JP7363170B2 - 変速制御方法及び変速制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、変速制御方法及び変速制御システムに関する。
特許文献1では、複数のドグクラッチと、所望の変速比に応じてドグクラッチを変位させることで入力軸との動力伝達が切り替えられる複数のギア列と、を備える四輪駆動車両の変速機が提案されている。
特に、特許文献1の四輪駆動車両には、駆動源(エンジン又はモータ)から前輪に伝達する動力を調節する変速機と、後輪に伝達する動力を調節する変速機と、が配されている。そのため、一方の変速機の変速中においてドグクラッチがギア列と噛合しない状態(ニュートラル状態)では、当該変速機を介して駆動輪に所望の動力が伝達されない駆動力抜けが生じる。
これに対して、特許文献1で提案されている変速制御方法では、一方の変速機の変速中の駆動力抜けが生じるシーンにおいて、他方の駆動輪の駆動力を増大させて当該駆動力抜けを補填する処理(駆動力補填処理)を行っている。
特開2006-027383号公報
しかしながら、車両の走行シーンによっては、上記駆動力補填処理によって他方の駆動輪の駆動力が不足し、当該駆動輪のスリップが生じる恐れがある。
したがって、本発明の目的は、変速時の駆動力補填処理における駆動輪のスリップの発生を抑制することのできる変速制御方法及び変速制御システムを提供することにある。
本発明のある態様によれば、前輪を駆動する前輪駆動モータを有する前輪駆動システムと、後輪を駆動する後輪駆動モータを有する後輪駆動システムと、を備え、前輪駆動システム及び後輪駆動システムの少なくとも一方に変速機が設けられた車両において、変速機が設けられる一方の駆動輪における駆動力抜けを他方の駆動輪からの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を、一方の変速機における変速中に実行する変速制御方法が提供される。この変速制御方法では、補填駆動力の上限の基本値として、駆動力補填処理中の車両に対する要求駆動力と他方の駆動輪の駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定し、変速中に他方の駆動輪のスリップが検出されるか又は該スリップの発生が予測される場合に、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力から該基本上限補填駆動力よりも小さい制限上限補填駆動力に変更し、制限上限補填駆動力は、駆動輪のスリップが検出又は予測されたときの補填駆動力として定められる。
本発明によれば、変速時の駆動力補填処理における駆動輪のスリップの発生を抑制することができる。
図1は、本発明の各実施形態の変速制御方法が実行される共通の電動車両構成を説明する図である。 図2は、各実施形態の変速制御方法を実行するための制御構成を説明するブロック図である。 図3は、第1実施形態の変速制御方法を説明するフローチャートである。 図4は、第1実施形態の変速制御方法を説明するためのタイミングチャートである。 図5は、第2実施形態の変速制御方法を説明するためのタイミングチャートである。 図6は、第3実施形態の変速制御方法を説明するためのタイミングチャートである。 図7は、第4実施形態の変速制御方法を説明するためのタイミングチャートである。 図8は、第5実施形態の変速制御方法を説明するフローチャートである。 図9は、第5実施形態の復帰判定処理及び復帰時変化率調節処理を実行した結果を示すタイミングチャートである。 図10は、第5実施形態の変形例1を説明するためのタイミングチャートである。 図11は、第5実施形態の変形例2を説明するためのタイミングチャートである。 図12は、第6実施形態の基本上限復帰処理を説明するためのタイミングチャートである。 図13は、第8実施形態における電動車両構成を説明する図である。
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
以下、第1実施形態について説明する。
(第1実施形態の車両構成)
図1は、本実施形態の変速制御方法が実行される車両100の主要な構成を説明する図である。
なお、図1の車両100は、駆動源としての駆動モータ10を備え、当該駆動モータ10の駆動力により走行可能な自動車のことであり、電気自動車や、ハイブリッド自動車が含まれる。
特に、図1に示す車両100には、車両100において相対的に前方の位置(以下、「前輪側」と称する)に配置される前輪駆動システムfds、及び車両100において相対的に後方の位置(以下、「後輪側」と称する)に配置される後輪駆動システムrdsが搭載されている。
前輪駆動システムfds及び後輪駆動システムrdsは、それぞれ前輪側駆動源としてのフロントモータ10f及び後輪側駆動源としてのリアモータ10rを備えている。フロントモータ10f及びリアモータ10rは、それぞれフロント駆動輪11f(左フロント駆動輪11fL及び右フロント駆動輪11fR)及びリア駆動輪11r(左リア駆動輪11rL及び左リア駆動輪11rR)を駆動する動力を生成する。
すなわち、車両100は、駆動モータ10の動力をフロント駆動輪11f及びリア駆動輪11rに伝達させる四輪駆動車両として構成される。前輪駆動システムfds及び後輪駆動システムrdsの詳細について説明する。
前輪駆動システムfdsは、上記フロントモータ10f及びフロント駆動輪11fに加え、フロントインバータ14fと、フロント変速機16fと、を備える。
フロントモータ10fは、三相交流モータとして構成される。フロントモータ10fは、電源としてのバッテリ15(図2参照)からの電力の供給を受けて駆動力を発生する。フロントモータ10fで生成される駆動力はフロント変速機16f及びフロントドライブシャフト21fを介してフロント駆動輪11fに伝達される。
また、フロントモータ10fは、車両100の走行時にフロント駆動輪11fに連れ回されて回転する際に発生する回生駆動力を交流電力に変換する。
フロントインバータ14fは、バッテリ15からの電力を三相交流に変換するためのスイッチングを行うスイッチング回路を備える。また、フロントインバータ14fは、上述したフロントモータ10fの回生駆動力に基づいて得られた交流電力を上記スイッチングによって直流電力に変換してバッテリ15に供給する。
フロント変速機16fは、フロントモータ10fとフロント駆動輪11fとの間の伝達動力に対する変速(以下、「前輪変速」とも称する)を実行する装置である。
特に、フロント変速機16fは、上記前輪変速として、フロントモータ10fのロータシャフト(以下、「入力軸20f」とも称する)からフロントドライブシャフト21fまでの動力伝達経路において、相対的にギア比が低いHighギア及び相対的にギア比が高いLowギアの2つの変速段の切り替えを行う。フロント変速機16fの構成をより詳細に説明する。
フロント変速機16fは、主として、Lowギア列22fと、Highギア列24fと、ドグクラッチ26fと、ファイナルギア30fと、を備えている。
Lowギア列22fは、相互に歯噛するドライブギア40f及びドリブンギア41fを備えている。ドライブギア40fは入力軸20f上において固定されずに回転可能に設けられている。また、ドリブンギア41fは出力軸32fに固定されている。さらに、Lowギア列22fでは、ドライブギア40fの歯数に対してドリブンギア41fの歯数が大きく構成される。すなわち、Lowギア列22fを介して入力軸20fから出力軸32fに伝達される場合(変速段ShがLowである場合)の変速比γ(以下、「フロント変速比γf」とも称する)は1より大きくなる。
Highギア列24fは、相互に歯噛するドライブギア42f及びドリブンギア43fを備えている。ドライブギア42fは入力軸20f上において固定されずに回転可能に設けられている。また、ドリブンギア43fは出力軸32fに固定されている。さらに、Highギア列24fでは、ドライブギア42fの歯数とドリブンギア43fの歯数が略等しく構成される。すなわち、Highギア列24fを介して入力軸20fから出力軸32fに伝達される場合(変速段ShがHighである場合)のフロント変速比γfは略1となる。
ドグクラッチ26fは、後述するシフトコントローラ54からの指令に基づいてLowギア列22fとHighギア列24fの間において図1の左右方向でスライド移動するシフトフォーク44f、及びシフトフォーク44fと一体に設けられ入力軸20f上を摺動可能なセレクタギア45fから構成される。なお、ドグクラッチ26fのスライド移動は、油圧又は専用のモータを用いて実行することができる。
このドグクラッチ26fが、セレクタギア45fとLowギア列22fが締結する位置とされると、入力軸20fから、セレクタギア45f及びLowギア列22fを介して出力軸32fへ動力が伝達される状態となる。
一方、ドグクラッチ26fが、セレクタギア45fとHighギア列24fが締結する位置とされると、入力軸20fから、セレクタギア45f及びHighギア列24fを介して出力軸32fへ動力が伝達される状態となる。
なお、ドグクラッチ26fが、セレクタギア45fとLowギア列22f又はHighギア列24fが締結されない位置にあるときがニュートラル状態となる。
さらに、ファイナルギア30fは、出力軸32fの動力を左フロント駆動輪11fL及び右フロント駆動輪11fRに分配するためのギア構造を有する。
一方、後輪駆動システムrdsは、上記リアモータ10r及びリア駆動輪11rに加え、リアインバータ14rと、リア変速機16rと、を備える。なお、後輪駆動システムrdsの各要素の機能は、前輪駆動システムfdsの各要素の機能と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
(第1実施形態の制御構成)
以下、前輪駆動システムfdsの各要素と後輪駆動システムrdsの各要素において、共通する事項に関しては、適宜、「駆動システムds」などのフロントであることを示す「f」及びリアであることを示す「r」などの文字を省いた符号を用いて包括的に説明する。
図2は、車両100の制御系を説明するためのブロック図である。図示のように、車両100の制御系は、シフトアクチェータとして機能するドグクラッチ26及びモータアクチェータとして機能するインバータ14を制御するコントローラ50を有する。
コントローラ50は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたコンピュータ、特にマイクロコンピュータで構成される。コントローラ50は、以下で説明する変速制御及びモータ制御における各処理を実行できるようにプログラムされている。
コントローラ50は、入力情報としてのアクセル開度α及び車速Vを取得する。そして、コントローラ50は、アクセル開度α及び車速Vに基づいて変速機16の変速段Sh(フロント変速段Shf及びリア変速段Shr)、並びに駆動モータ10のモータトルクTm(フロントモータトルクTfm及びリアモータトルクTrm)を定める。
特に、コントローラ50は、アクセル開度センサ60の検出値をアクセル開度α(要求駆動力DFreq)として取得する。また、コントローラ50は、図示しない回転数センサなどにより取得した駆動モータ10のモータ回転数Nm(入力軸20の回転速度に相当)を算出し、このモータ回転数Nmに現在の変速比γ及びタイヤ動半径Rを考慮した所定の車速算出ゲインKv(=2πR/γ)を乗じることで車速Vを演算する。なお、コントローラ50が車速Vを演算する態様に代えて、車速センサを設けて、その検出値を車速Vとして取得しても良い。
また、車速Vを演算するためのモータ回転数Nmとしては、フロントモータ10fの回転数であるフロントモータ回転数Nfmとリアモータ10rの回転数であるリアモータ回転数Nrmの何れを用いても良いが、車両100の仕様及び走行シーンに応じて、スリップ(空転)がより発生し難い側の駆動輪11を駆動させる駆動モータ10のモータ回転数Nmを用いることが好ましい。
さらに、コントローラ50は、車両100の外部に設置される外部サーバから、車両100の走行路面に関する外部情報を取得する。
(変速制御)
コントローラ50は、アクセル開度α(要求駆動力DFreq)及び車速Vに基づき、所定の変速マップに基づいて変速段Sh(フロント変速段Shf及びリア変速段Shr)を定める。そして、コントローラ50は、定められた変速段Shを実現するようにドグクラッチ26を操作する。
(モータ制御)
コントローラ50は、アクセル開度α及び上記変速段Shに基づいて車両100に要求される総駆動力、すなわち駆動源としてのフロントモータ10f及びリアモータ10rの双方に要求されるトルクの合計である総モータトルクTfrmを定める。
また、コントローラ50は、上記総モータトルクTfrmから、フロント駆動輪11f及びリア駆動輪11rのスリップを抑制するなどの観点から適宜定められる前後駆動力配分ゲインを用いて、フロントモータトルク基本値及びリアモータトルク基本値を演算する。
さらに、コントローラ50は、フロントモータトルク基本値に対して、リア変速機16rが変速中であるか否か(後輪変速中であるか否か)に基づいてフロントモータトルク基本値を補正し、フロントモータトルクTfmを定める。
また、コントローラ50は、リアモータトルク基本値に対して、フロント変速機16fが変速中であるか否か(前輪変速中であるか否か)に基づいてリアモータトルク基本値を補正して、リアモータトルクTrmを定める。
特に、コントローラ50は、アクセル開度α又は車速Vが予め定められたフロント変速閾値を跨いだ場合にフロント変速段ShfをLowからHigh又はHighからLowに切り替える。なお、このとき、コントローラ50は、ドグクラッチ26fを変速先のギアにスムーズに締結するために、入力軸20fと出力軸32fの差回転数が変速先のフロント変速比γfに応じた所定回転数内となるようにフロントモータトルク基本値を補正する。
同様に、コントローラ50は、リア変速段ShrをLowからHigh又はHighからLowに切り替える際には、入力軸20rと出力軸32rの差回転数が変速先のリア変速比γrに応じた所定回転数内となるようにリアモータトルク基本値を補正する。
さらに、コントローラ50は、後輪変速中には、リア駆動輪11rの駆動力抜けを補填する駆動力補填処理を実行する。一方、コントローラ50は、前輪変速中には、フロント駆動輪11fの駆動力抜けを補填する駆動力補填処理を実行する。
ここで、本実施形態における駆動力補填処理とは、一方のドグクラッチ26(26f又は26r)の動作に伴い、一方の駆動モータ10(フロントモータ10f又はリアモータ10r)から一方の駆動輪11(フロント駆動輪11f又はリア駆動輪11r)の駆動力伝達の少なくとも一部が遮断される状態において発生する当該一方の駆動輪11の駆動力不足(駆動力抜け)を、他方の駆動モータ10(リアモータ10r又はフロントモータ10f)の駆動力により補填する処理を意味する。
特に、コントローラ50は、上記一方のドグクラッチ26をニュートラル状態に移行すべく変速前のギアとの締結を解除する準備フェーズ、ニュートラル状態となっているイナーシャフェーズ、及び変速後のギアと締結する処理を行うフェーズの過程において、駆動力補填処理を実行する。
より詳細には、コントローラ50は、後輪変速中の上記駆動力補填処理において、リア駆動輪11rの駆動力抜けを補填するように、上記フロントモータトルク基本値を増加側に補正してフロントモータトルクTfmを定める。すなわち、フロントモータトルクTfmの増加補正分が後輪変速中の補填駆動力となる。特に、本実施形態のコントローラ50は、リア駆動輪11rの駆動力抜けを補填する駆動力補填処理時おいて、上記外部情報などに基づいて後述する補填駆動力の制限を行う。
一方、コントローラ50は、前輪変速中の上記駆動力補填処理において、フロント駆動輪11fの駆動力抜けを補填するように、上記リアモータトルク基本値を増加側に補正してリアモータトルクTrmを定める。すなわち、リアモータトルクTrmの増加補正分が前輪変速中の補填駆動力となる。特に、本実施形態のコントローラ50は、フロント駆動輪11fの駆動力抜けを補填する駆動力補填処理時おいて、上記外部情報などに基づいて後述する補填駆動力の制限を行う。
そして、モータコントローラ52は、フロントモータ10f及びリアモータ10rのそれぞれの実トルクが、定めたフロントモータトルクTfm及びリアモータトルクTrmになるように、フロントインバータ14f及びリアインバータ14rに対するスイッチング操作を実行する。
なお、以下では、便宜上、本実施形態の変速制御方法における各処理をリア駆動輪11rによる駆動力の補填が行われる前輪変速に適用することを想定して説明する。しかしながら、フロント駆動輪11fによる駆動力の補填が行われる後輪変速にも同様に適用可能である。
図3は、第1実施形態の変速制御方法を説明するフローチャートである。なお、本実施形態において、コントローラ50は、図3に示すルーチンを所定の演算周期で繰り返し実行する。
図3に示す各処理を実行する前提として、コントローラ50は、前輪変速時におけるリア駆動輪11rの補填駆動力の上限値としての基本上限補填駆動力を設定する。また、以下の説明において、補填駆動力とは、前輪変速中のフロント駆動輪11fの駆動力抜けの補填分を含めて設定されたリア駆動輪11rの駆動力から、本来の前後駆動力配分ゲインに応じて定まるリア駆動輪11rに対する要求駆動力分を差し引いた駆動力を意味する。
また、本実施形態において、基本上限補填駆動力は、車両に対する要求駆動力(要求駆動力DFreq)と、上記補填駆動力を含むリア駆動輪11rの駆動力と、の差を最小とする観点から定まる駆動力として定められる。すなわち、基本上限補填駆動力は、車両に対する要求駆動力をリア駆動輪11rの駆動力で全て補填する観点から定まる補填駆動力の値である。
また、車両に対する要求駆動力とは、一方の駆動輪における駆動力と他方の駆動輪における駆動力を合算した値(変速前の総モータトルクTfrmに相当)を意味する。すなわち、基本上限補填駆動力は、車両100の走行挙動を好適に維持する観点から、静止摩擦μが比較的大きい平坦路を直進している際の変速中において、リア駆動輪11rの路面に対するスリップが生じないように設定される補填駆動力の基本的な上限値である。
先ず、図3に示すステップS200において、コントローラ50は、外部情報に基づいて車両100が走行する路面が滑りやすい路面であるか否かを判定する。
具体的に、コントローラ50は、車両100の走行路面が滑りやすいか否かを特定できる情報を少なくとも含む外部情報を、車両100に搭載される図示しない通信機能(いわゆるコネクテッド機能)を介して外部サーバから取得する。
そして、コントローラ50は、取得した路面情報から、車両100の走行路面が滑りやすいか否かを特定する情報を抽出し、当該情報に基づいて路面が滑りやすいか否かを判断する。
例えば、コントローラ50は、路面が低μ路又は登坂路である場合には滑りやすいと判断する一方で、そうでない場合には滑りやすくないと判断する。なお、本ステップS200において、滑りやすい路面であるか否かを分ける基準(閾値)は、路面が上記駆動力補填処理において現実的に車両100のスリップが生じる可能性があるか否かという観点から予め実験等により定めることができる。
そして、コントローラ50は、車両100の走行する路面が滑りやすい路面ではないと判断すると、補填駆動力の上限を上記基本上限補填駆動力に維持する(ステップS210)。
一方、コントローラ50は、上記ステップS200において車両100の走行する路面が滑りやすい路面であると判断すると、ステップS220の処理を実行する。
ステップS220において、コントローラ50は、補填駆動力の上限として、外部情報制限駆動力を設定する。
ここで、外部情報制限駆動力は、車両100の走行環境(雨や雪等の天候など)及び走行路面の状態(低μ路であるか否か、又は統計的にスリップが生じ易い路面か否かなど)に応じた補正量により基本上限補填駆動力を補正して得られる値である。
すなわち、車両100が滑りやすい路面を走行する場合には、補填駆動力の上限を通常の路面と同じに設定すると、リア駆動輪11rの駆動力が路面とのグリップを維持するために必要な値を下回る可能性(タイヤ摩擦円を超える可能性)がある。そのため、本実施形態では、車両100の走行する路面が滑りやすい路面であると判断すると、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力よりも小さい外部情報制限駆動力に変更する。
特に、コントローラ50は、車両100の走行時(特に変速時)においてリア駆動輪11rのスリップの発生し易さの度合が大きいほど、外部情報制限駆動力を小さく設定する。
これにより、変速の前段階において、変速時のリア駆動輪11rのスリップが発生し易いか否かを予測して、当該スリップの発生をより好適に抑制するように変速時の補填駆動力の上限を調節することができる。
次に、ステップS230において、コントローラ50は、第1変速前スリップ検知処理を実行して、スリップ検知があるか否かを判定する。なお、この第1変速前スリップ検知処理は、変速を行う前に、変速中にスリップの発生を予測する趣旨で実行するものである。第1変速前スリップ検知処理の詳細について説明する。
(第1変速前スリップ検知処理)
コントローラ50は、前輪変速中と同様の処理を実行して、車両100のスリップが発生するか否かを検知する第1変速前スリップ検知処理を実行する。
すなわち、第1変速前スリップ検知処理は、補填駆動力の上限が当該処理前に設定された基本上限補填駆動力又は外部情報制限駆動力となる前提において、前輪変速中と同様のフロント駆動輪11fの駆動力抜けが生じる状態を擬似的に作り出し、この状態において車両100のスリップが発生するか否かを判断する処理である。なお、フロント駆動輪11fの駆動力抜け状態が長時間に亘る状態を避ける観点から、第1変速前スリップ検知処理の継続時間を変速中の駆動力補填処理のそれよりも短くすることが好ましい。
そして、コントローラ50は、リアモータトルクTrmが基本上限補填駆動力に近づいて増加する過程において車両100のスリップが発生するか否かを判定する。
具体的に、コントローラ50は、フロント駆動輪11fの回転数とリア駆動輪11rの回転数の間の(タイヤ差回転数)、当該タイヤ差回転数の時間変化、GPSなどの外部情報に基づいて観測される車両100の速度と検出される車速Vの差、ABS作動時のブレーキ力、操舵装置(ステアリング)の切り角と横Gの関係などのスリップ判定パラメータが所定の閾値を越えるかに基づいて車両100のスリップが発生しているか否かを判断する。
さらに、コントローラ50は、車両100のスリップが発生していると判断した場合に、そのときのリア駆動輪11rの駆動力を第1スリップ限界駆動力として記録する。
そして、コントローラ50は、上記第1変速前スリップ検知処理においてスリップを検知しなかった場合には、補填駆動力の上限をそのまま維持する(ステップS240)。一方、コントローラ50は、上記第1変速前スリップ検知処理においてスリップを検知した場合には、ステップS250の処理に移行する。
ステップS250において、コントローラ50は、上記第1スリップ限界駆動力を補填駆動力の上限として設定する。これにより、後の前輪変速中における車両100のスリップの発生がより好適に特定される。特に、路面情報に基づいて補填駆動力の上限を外部情報制限駆動力に制限した場合(ステップS210)であってもなお、前輪変速中のスリップが発生し得る状況において、当該スリップの発生をより確実に抑制することができる。
ステップS260において、コントローラ50は前輪変速を開始する。具体的にコントローラ50は、前輪変速を開始すると、変速の進行に応じて入力軸20と出力軸32fの間の差回転数が所定範囲に収まるようにフロントモータ回転数Nfm(すなわち、フロントモータトルクTfm)を調節しつつ、ドグクラッチ26fをLowギア列22fからHighギア列24fに切り替える。そして、コントローラ50は、フロント駆動輪11fの駆動力抜けが生じているときには、当該駆動力抜けを補填するべくリアモータトルクTrmを増大させる。すなわち、このリアモータトルクTrmの増大分が補填駆動力に相当する。
ステップS270において、コントローラ50は、変速中スリップ検知処理を実行して、スリップ検知があるか否かを判定する。具体的に、コントローラ50は、上記第1変速前スリップ検知処理におけるスリップの判定と同様の観点で、車両100のスリップが発生しているか否かを判定する。
さらに、コントローラ50は、変速中スリップ検知処理により車両100のスリップを検知した場合に、そのときのリア駆動輪11rの駆動力を第2スリップ限界駆動力として記録する。
そして、コントローラ50は、変速中スリップ検知処理においてスリップを検知しなかった場合には、補填駆動力の上限をそのまま維持する(ステップS280)。一方、コントローラ50は、変速中スリップ検知処理においてスリップを検知した場合には、ステップS290の処理に移行する。
ステップS290において、コントローラ50は、上記第2スリップ限界駆動力を補填駆動力の上限として設定する。これにより、前輪変速中における車両100のスリップの発生がより好適に特定される。特に、第1変速前スリップ検知処理に基づく制限を経てもなお、前輪変速中にスリップが発生した場合に、補填駆動力の上限を第2スリップ限界駆動力に設定することで、変速中においてできるだけ補填駆動力を制限しない状態として駆動力抜けを抑制する効果を発揮させつつ、当該前輪変速中のスリップを好適に抑制することができる。
次に、本実施形態の変速制御方法による制御結果について説明する。
図4は、本実施形態の変速制御方法による制御結果の一例を説明するタイミングチャートである。
図4に示す例では、予め、補填駆動力の上限として基本上限補填駆動力が設定されている。そして、時刻t1において、路面情報に基づく判定に基づいて走行路面が滑りやすい路面であると判断され、補填駆動力の上限が外部情報制限駆動力に変更される(図3のステップS200のYes及びステップS220)。
次に、時刻t2~時刻t3において、第1変速前スリップ検知処理が実行される。そして、第1変速前スリップ検知処理においてスリップが検知されて、補填駆動力の上限が当該検知時の補填駆動力である第1スリップ限界駆動力に変更される(図3のステップS230のYes及びステップS250)。
次に、時刻t4~時刻t5において、変速が実行される。そして、時刻t4における変速の開始と略同一タイミングで、駆動力補填処理及び変速中スリップ検知処理が開始される。そして、変速中スリップ検知処理においてスリップが検知されて、補填駆動力の上限が当該検知時の補填駆動力である第2スリップ限界駆動力に変更される(図3のステップS230のYes及びステップS250)。
以下、上述した本実施形態の構成による作用効果についてより詳細に説明する。
本実施形態の変速制御方法は、前輪(フロント駆動輪11f)を駆動する前輪駆動モータ(フロントモータ10f)を有する前輪駆動システムfdsと、後輪(リア駆動輪11r)を駆動する後輪駆動モータ(リアモータ10r)を有する後輪駆動システムrdsと、を備え、前輪駆動システムfds及び後輪駆動システムrdsにそれぞれフロント変速機16f及びリア変速機16rが設けられた車両100において実行される。
この変速制御方法では、フロント変速機16fが設けられる一方の駆動輪であるフロント駆動輪11fにおける駆動力抜けを、他方の駆動輪であるリア駆動輪11rからの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を、フロント変速機16fにおける変速中(前輪変速中)に実行する。
そして、補填駆動力の上限の基本値として、駆動力補填処理中の車両100に対する要求駆動力(要求駆動力DFreq)とリア駆動輪11rの駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定する(図3のステップS200のYes及びステップS210)。さらに、変速中にリア駆動輪11rのスリップが検出されるか(ステップS270のYes)又は変速前にスリップの発生が予測される場合(ステップS230のYes)に、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力から該基本上限補填駆動力よりも小さい制限上限補填駆動力(第1スリップ限界駆動力又は第2スリップ限界駆動力)に変更する(ステップS250又はステップS290)。また、制限上限補填駆動力は、リア駆動輪11rのスリップが検出又は予測されたときの補填駆動力(第1スリップ限界駆動力又は第2スリップ限界駆動力)として定められる(図4参照)。
これにより、前輪中に駆動力補填処理を実行することでリア駆動輪11rからの補填駆動力がフロント駆動輪11fに供給されても、リア駆動輪11rのスリップが発生することを好適に抑制することができる。したがって、変速中のスリップの発生によって車両100の乗員に違和感を与えるという事態を抑制することができる。
また、本実施形態の変速制御方法では、車両100の走行路面が滑りやすいか否かに関する情報を少なくとも含む外部情報を取得し(ステップS200)、外部情報に基づいて走行路面が滑りやすいと判断した場合(ステップS200のYes)に、制限上限補填駆動力として外部情報制限駆動力を設定する(ステップS220)。
これにより、変速前の段階で変速中にスリップの蓋然性を高め得る情報を外部から取得し、これに基づいて基本上限補填駆動力に代えてより小さい値の外部情報制限駆動力に設定するので、後の変速中のスリップの発生をより好適に抑制することができる。
特に、本実施形態の変速制御方法では、走行路面の滑りやすさの度合が大きいほど、外部情報制限駆動力を小さくする。
これにより、後の変速中のスリップ発生の蓋然性の程度に応じて外部情報制限駆動力が決まるため、変速中においてスリップの発生を抑制し得る観点からより好適に補填駆動力を制限することができる。
さらに、本実施形態の変速制御方法では、変速の前に、変速中における駆動力抜けを擬似的に発生させて駆動力補填処理を行いつつ、リア駆動輪11rのスリップが発生するか否かを検知する第1変速前スリップ検知処理を実行し(ステップS230)、第1変速前スリップ検知処理によりリア駆動輪11rのスリップが検知されると(ステップS230のYes)、当該検知時における補填駆動力を第1スリップ限界駆動力として抽出し、制限上限補填駆動力を第1スリップ限界駆動力に定める(ステップS250)。
これにより、変速の前に、変速中と同様の状態で第1変速前スリップ検知処理を実行してスリップが検知されたときの第1スリップ限界駆動力によって補填駆動力の上限が制限される。このため、後の変速時においてできるだけ補填駆動力を制限しない状態として駆動力抜けを抑制する効果を発揮させつつ、リア駆動輪11rのスリップの発生をより確実に抑制することができる。
さらに、本実施形態では、上記変速制御方法を実行するための変速制御システムSが提供される。
この変速制御システムSは、前輪(フロント駆動輪11f)を駆動する前輪駆動モータ(フロントモータ10f)を有する前輪駆動システムfdsと、後輪(リア駆動輪11r)を駆動する後輪駆動モータ(リアモータ10r)を有する後輪駆動システムrdsと、前輪駆動システムfds及び後輪駆動システムrdsにそれぞれ設けられたフロント変速機16f及びリア変速機16rによる変速を実行する変速制御装置としてのコントローラ50と、を有する。
そして、コントローラ50は、フロント変速機16fが設けられる一方の駆動輪であるフロント駆動輪11fにおける変速中(前輪変速中)の駆動力抜けを、他方の駆動輪であるリア駆動輪11rからの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を実行する駆動力補填処理部と、補填駆動力の上限の基本値として、駆動力補填処理中の車両100に対する要求駆動力と駆動力補填処理中のリア駆動輪11rの駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定する基本上限補填駆動力設定部(図3のステップS200のYes及びステップS210)と、変速中にリア駆動輪11rのスリップが検出されるか(ステップS270のYes)又は変速前にスリップの発生が予測される場合(ステップS230のYes)に、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力から制限上限補填駆動力(第1スリップ限界駆動力又は第2スリップ限界駆動力)に変更する上限変更部(ステップS250又はステップS290)と、制限上限補填駆動力を、リア駆動輪11rのスリップが検出又は予測されたときの補填駆動力として定める制限上限設定部(図4参照)として機能する。
これにより、上記変速制御方法を実行するために好適なシステム構成が実現されることとなる。
なお、上記実施形態では、コントローラ50が、車両100の走行路面が滑りやすいか否かに関する情報を含む外部情報を取得し、当該外部情報から走行路面の滑りやすさの度合を定め、それに応じて外部情報制限駆動力を設定する例を説明した。しかしながら、これに代えて、コントローラ50が、走行路面の滑りやすさの度合に応じて設定すべき外部情報制限駆動力も含む外部情報を取得し、この外部情報から当該外部情報制限駆動力を抽出して設定する態様を採用しても良い。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。特に、本実施形態では、補填駆動力の上限を第1実施形態で説明した制限上限補填駆動力(すなわち、外部情報制限駆動力、第1スリップ限界駆動力、又は第2スリップ限界駆動力)に設定した場合(図3のステップS250又はステップS290)に、駆動力補填処理中の実際のリア駆動輪11rの補填駆動力(すなわち、実補填駆動力)を制限上限補填駆動力に近づける速度(実補填駆動力の変化率)を調節する一例を示す。
図5は、本実施形態の変速制御方法を説明するためのタイミングチャートである。なお、図5においては、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力に設定した場合における実補填駆動力の変化を実線グラフで示し、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力に設定した場合の実補填駆動力の変化を基本上限補填駆動力に設定した場合における実補填駆動力の変化を破線グラフで示す。
特に、本実施形態のコントローラ50は、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力に設定した場合には、これを基本上限補填駆動力に設定した場合と比べ、変速中の実補填駆動力の変化率を小さくするように制御する。
なお、本実施形態において、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力に設定した場合の実補填駆動力の変化率とは、図5の実線グラフにおける時刻t4~時刻t4´(準備フェーズ)における傾き及び時刻t5´~時刻t5(完了フェーズ)における傾きを意味する。一方で、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力に設定した場合の実補填駆動力の変化率とは、図5の破線グラフにおける時刻t4~時刻t4´(準備フェーズ)における傾き及び時刻t5´~時刻t5(完了フェーズ)における傾きを意味する。
より詳細には、本実施形態のコントローラ50は、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力に設定した場合に、上述した変速中の実補填駆動力の変化率を相対的に小さくするように、フロントモータトルクTfm及びリアモータトルクTrmを設定する。
すなわち、本実施形態の変速制御方法では、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力に設定した場合に、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力に設定した場合と比べて変速中における補填駆動力の変化率を小さくする。
これにより、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力に設定したことに起因して車両100の乗員に感じさせる恐れのある変速ショックを抑制することができる。すなわち、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力に設定したことで、駆動力補填処理中の実補填駆動力が本来設定されるべき上限(基本上限補填駆動力)まで増加せずに制限上限補填駆動力においてカットされることにより乗員が感じるショックを緩和することができる。
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。特に、本実施形態では、車両100の走行路面が直線路面である場合に、当該走行路面が滑りやすいか否かの判定の結果に応じて、駆動力補填処理の実行時間を変える例を説明する。
図6は、本実施形態の変速制御方法を説明するためのタイミングチャートである。
図6に示すように、本実施形態のコントローラ50は、車両100の直線路面の走行時の変速中において、車両100の走行路面が滑りやすいと判断した場合(すなわち、外部情報制限駆動力、第1スリップ限界駆動力、又は第2スリップ限界駆動力が設定された場合)の駆動力補填処理の実行時間Δt1を、車両100の走行路面が滑りやすくないと判断した場合(基本上限補填駆動力が設定される場合)の駆動力補填処理の実行時間Δt2よりも長く設定する。
具体的に、コントローラ50は、車両100が滑りやすい直線路面を走行する場合の駆動力補填処理中の実補填駆動力の変化率を車両100が滑りやすくない直線路面を走行する場合におけるそれよりも小さくするように制御することで、実行時間Δt1を実行時間Δt2より長くする。
なお、コントローラ50は、例えば、フロントモータトルクTfm及びリアモータトルクTrmを適宜補正することで、上記駆動力補填処理中の実補填駆動力の変化率の調節を実現することができる。
すなわち、本実施形態の変速制御方法では、車両100の直線路面の走行時の変速中において、補填駆動力の上限が制限上限補填駆動力に設定されている場合(図3のステップS230及びステップS270の少なくとも一方の判定がYesの場合)の駆動力補填処理の実行時間Δt1を、基本上限補填駆動力が設定される場合(図3のステップS200、ステップS230、及びステップS270が何れもNoの場合)の駆動力補填処理の実行時間Δt2よりも長くする。
これにより、車両100が滑りやすい直線路面を走行する場合であって補填駆動力の上限が制限上限補填駆動力に設定された場合には、車両100が滑りやすくない直線路面を走行する場合と比べて実補填駆動力の変化率を小さくすることができる。これにより、変速時において駆動力の急変化に起因して車両100の乗員が感じる違和感を抑制することができる。すなわち、車両100の乗員に感じさせる恐れのある変速ショックを抑制することができる。したがって、車両100が滑りやすい路面を走行するシーンにおいても、変速ショックが好適に抑制された変速制御を実現することができる。
なお、車両100の走行路面が滑りやすくないと判断した場合には、補填駆動力の上限が基本上限補填駆動力に設定されるか、たとえ第1スリップ限界駆動力又は第2スリップ限界駆動力に設定されたとしても当該制限上限補填駆動力が比較的、基本上限補填駆動力に近い値となることが想定される。すなわち、車両100の走行路面が滑りやすくないと判断された場合には、補填駆動力の上限が制限されることに起因した変速中の車両100の駆動力に対する制限が小さくなり、変速前後における車両100の駆動力変化が小さくなる。このため、補填駆動力の変化率が比較的大きい場合であっても、車両100の乗員が感じる変速ショックが比較的小さくなる。そのため、車両100の走行路面が滑りやすくないと判断した場合には、補填駆動力の変化率を維持することで、車両100の乗員に与える変速ショックを抑制しながら変速時間の短縮も図ることができる。
[第4実施形態]
以下、第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態~第3実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。特に、本実施形態では、車両100の旋回時において、補填駆動力の上限が基本上限補填駆動力に設定されているか、制限上限補填駆動力に設定されているかに応じて、駆動力補填処理の実行時間を変える例を説明する。
図7は、本実施形態の変速制御方法を説明するためのタイミングチャートである。
先ず、本実施形態のコントローラ50は、車両100の操舵装置(ステアリング)の切り角などの入力情報に基づいて、車両100が旋回中である否かを判定し、旋回中であると判断したことを前提に以下で説明する制御を実行する。
図7に示すように、車両100の旋回時であって補填駆動力の上限が制限上限補填駆動力に設定に設定されている場合の駆動力補填処理の実行時間Δt3を、非旋回時であって基本上限補填駆動力が設定される場合(図3のステップS200、ステップS230及びステップS270の判定結果が何れもNoの場合)の駆動力補填処理の実行時間Δt2よりも長く、非旋回時であって制限上限補填駆動力が設定される場合(図3のステップS200、ステップS230、及びステップS270の少なくとも何れかかがYes判定の場合)における駆動力補填処理の実行時間Δt1よりも短く設定する。
具体的に、コントローラ50は、車両100の旋回時且つ制限上限補填駆動力の設定時における駆動力補填処理中の実補填駆動力の変化率(実線グラフの傾きの大きさ)を、非旋回時且つ基本上限補填駆動力が設定される場合の実補填駆動力の変化率(点線グラフの傾きの大きさ)よりも小さく、さらに非旋回時且つ制限上限補填駆動力が設定される場合の実補填駆動力の変化率よりも大きくする。
なお、コントローラ50は、例えば、フロントモータトルクTfm及びリアモータトルクTrmを適宜補正することで、上記駆動力補填処理中の実補填駆動力の変化率の調節を実現することができる。
すなわち、本実施形態の変速制御方法では、車両100の旋回時の変速中において制限上限補填駆動力が設定される場合の駆動力補填処理の実行時間Δt3を、車両100の非旋回時において基本上限補填駆動力に設定される場合の駆動力補填処理の実行時間Δt2よりも長く設定する。
このように、車両100の旋回時の変速中に補填駆動力の上限が制限上限補填駆動力に設定された場合において、車両100の乗員に感じさせる恐れのある変速ショックを抑制することができる。
さらに、上記実行時間Δt3を、車両100の非旋回時において制限上限補填駆動力が設定される場合の駆動力補填処理の実行時間Δt1よりも短く設定する。
これにより、変速中のスリップを好適に抑制しつつ、駆動力補填処理の実行時間Δt3を過剰に長くすることに起因する変速時間の長期化も防ぐことができる。
特に、車両100の旋回時は、乗員が遠心力の作用を感じるため、非旋回時と比べて変速時におけるトルク段差を認識しづらい。そのため、車両100の乗員に与える変速ショックを抑制しつつ、旋回時の駆動力補填処理の実行時間Δt3を非旋回時における駆動力補填処理の実行時間Δt1よりも短くすることができる。
[第5実施形態]
以下、第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態~第4実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。特に、本実施形態では、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力(外部情報制限駆動力、第1スリップ限界駆動力、又は第2スリップ限界駆動力が設定されている場合)から基本上限補填駆動力に復帰させる制限駆動力復帰処理について説明する。
図8は、本実施形態の変速制御方法を説明するフローチャートである。
図示のように、先ず、ステップS300においてコントローラ50は、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力に維持すべきか否かを判断するための復帰判定処理を実行する。
具体的に、コントローラ50は、第1実施形態で説明した変速中スリップ検知処理において、リア駆動輪11rのスリップが検知されるか否かを判定する。
そして、コントローラ50は、上記判定結果が否定的である場合には制限上限補填駆動力を維持すべきと判断して(ステップS310のYes判定)、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力から変更せずに維持(ステップS320)して本ルーチンを終了する。
一方、コントローラ50は上記判定結果が肯定的である場合には、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力に近づける復帰時変化率調節処理を実行する。
図9は、本実施形態の復帰判定処理及び復帰時変化率調節処理を実行した結果を示すタイミングチャートである。
図示のように、コントローラ50は、変速中の実補填駆動力が基本上限補填駆動力に到達するまでに変速中スリップ検知処理においてリア駆動輪11rのスリップが検知されない場合には、上記復帰判断を行い、復帰時変化率調節処理にしたがって補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力から基本上限補填駆動力に近づけるように変化させる。
特に本実施形態では、コントローラ50は、この復帰時変化率調節処理時における補填駆動力の上限の変化率を、車両100の乗員に変速ショックを感じさせない程度の大きさに調節する。
すなわち、本実施形態の変速制御方法は、補填駆動力の上限が制限上限補填駆動力に変更されている場合(図3のステップS200、ステップS230、及びステップS270の少なくとも何れかかがYes判定の場合)に、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力に復帰させるべきか否かを判定する復帰判定処理(図8のステップS300)と、復帰判定処理による判定結果が肯定的である場合の復帰判断がなされると(ステップS310がYes判定であると)実行され、補填駆動力の上限を所定の変化率で基本上限補填駆動力に近づける復帰時変化率調節処理(ステップS330)と、をさらに含む。
これにより、補填駆動力の上限に対する制限を解除すべきシーンにおいて好適に、当該上限を基本上限補填駆動力に復帰させることができる。特に、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力に復帰させる際には、その変化率の大きさ適切に調整するので、当該復帰時において車両100の乗員が感じる変速ショックを抑制することができる。
(変形例)
以下、第5実施形態の変形例について説明する。
図10及び図11は、それぞれ、本実施形態の変形例1及び2を説明するためのタイミングチャートである。
図10で示す変形例1では、コントローラ50は、第1実施形態で説明した変速前スリップ検知処理において、補填駆動力が基本上限補填駆動力に到達するまでにリア駆動輪11rのスリップを検知しないときに復帰判断を行う。そして、復帰判断がなされると、上記復帰時変化率調節処理(図8のステップS330)を開始する。
すなわち、変形例1では、変速の前に、駆動力補填処理を行いつつ、他方の駆動輪であるリア駆動輪11rのスリップが発生するか否かを検知する第2変速前スリップ検知処理(本変形例では図3のステップS230の変速前スリップ検知処理)を実行し、変速前スリップ検知処理において、補填駆動力が基本上限補填駆動力に到達するまでリア駆動輪11rのスリップを検知しないときに復帰判断を行う(図8のステップS310のYes判定)。
変形例1によれば、補填駆動力の上限の制限を解除するタイミングを設定するための具体的な態様が提供される。
図11で示す変形例2では、コントローラ50は、第1実施形態で説明した変速中スリップ検知処理によりスリップが検出されたタイミング(時刻t6)から、予め定められる上限駆動力制限時間が経過したときに復帰判断を行う。そして、復帰判断がなされると、上記復帰時変化率調節処理(ステップS330)を開始する。
すなわち、変形例2では、復帰判定処理(ステップS300)において、補填駆動力の上限を制限上限補填駆動力に設定した時点(時刻t6)から、所定経過時間である上限駆動力制限時間が経過したとき(時刻t7)に復帰判断を行う(図8のステップS310のYes判定)。
変形例2によれば、補填駆動力の上限の制限を解除するタイミングを設定するための具体的な態様が提供される。
なお、各変形例1及び2において、復帰時変化率調節処理による補填駆動力の上限の実値の変化率(増加率)を破線で示すグラフCのように所定の大きさ(傾き)以下にすることができる。
また、上記復帰判定処理及び上記復帰時変化率調節処理の具体的な態様は、本実施形態及び各変形例で説明したものに限定されない。
[第6実施形態]
以下、第6実施形態について説明する。なお、第1実施形態~第5実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、特に、図3のステップS200において車両100の走行路面が滑りやすいと判断された場合、すなわち、補填駆動力の上限が外部情報制限駆動力に設定されている場合を前提として、上記走行路面が滑りやすいという判断が解除された場合に、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力に復帰させる基本上限復帰処理を実行する。
図12は、本実施形態の基本上限復帰処理を説明するためのタイミングチャートである。図12から理解されるように、本実施形態におけるコントローラ50は、外部情報に基づく車両100の走行路面が滑りやすいという判断の解除を検出すると(時刻t8)、補填駆動力の上限を外部情報制限駆動力から基本上限補填駆動力に復帰させる。
ここで、この復帰時に、コントローラ50が補填駆動力の上限の実値の変化率(増加率)を破線で示すグラフCのように所定の大きさ(傾き)以下に制御しても良い。これにより、当該復帰時において車両100の乗員が感じる変速ショックを抑制することができる。
なお、本実施形態の基本上限復帰処理は、補填駆動力の上限が外部情報制限駆動力に設定されている場合であれば、変速前及び変速中を問わず実行することができる。
すなわち、本実施形態の変速制御方法では、補填駆動力の上限が外部情報制限駆動力に設定されている場合(図3のステップS200におけるYes判定の場合)に、走行路面が滑りやすいという判断が解除されると、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力に復帰させる基本上限復帰処理を実行する。
これにより、車両100の走行路面が滑りやすいという判断に起因して補填駆動力の上限に一定の制限(外部情報制限駆動力)が課されている場合であっても、当該制限を解除すべきシーンにおいて好適に、補填駆動力の上限を基本上限補填駆動力に復帰させることができる。
[第7実施形態]
以下、第7実施形態について説明する。なお、第1実施形態~第6実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、図1の車両100において、コントローラ50は、車両100の旋回時には、フロント変速機16fによる変速を実行しないように制御する。
すなわち、本実施形態では、前輪駆動システムfds及び後輪駆動システムrdsがそれぞれフロント変速機16f及びリア変速機16rを有する車両100において実行される変速制御方法が提供される。
この変速制御方法における駆動力補填処理では、フロント変速機16fによる変速におけるフロント駆動輪11fの駆動力抜け及びリア変速機16rによる変速におけるリア駆動輪11rの駆動力抜けを、それぞれリア駆動輪11rからの補填駆動力及びフロント駆動輪11fからの補填駆動力で補填する。
そして、車両100の旋回時には、フロント変速機16fによる変速を実行させないように制御する。
これにより、車両100の旋回時にフロント駆動輪11fの駆動力抜けが生じることに起因して、いわゆるオーバーステア状態に類するスリップの発生を好適に抑制することができる。
[第8実施形態]
以下、第8実施形態について説明する。なお、第1実施形態~第7実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。特に、本実施形態では、図1で説明した車両100と異なる構成を有する車両100´で実行される変速制御方法を説明する。
図13は、本実施形態の変速制御方法が実行される車両100´の構成を説明する図である。図示のように、車両100´は、変速機16としてフロント変速機16fのみが搭載されている。
すなわち、本実施形態の車両100´では、前輪駆動システムfdsに、変速時に駆動力抜けが発生する機構(Lowギア列22f、Highギア列24f、及びドグクラッチ26f等)を含むフロント変速機16fが搭載されている一方で、後輪駆動システムrdsにはそのような変速機16が搭載されていない。
したがって、本実施形態の車両100´では、駆動力補填処理において、フロント変速機16fによる前輪変速におけるフロント駆動輪11fの駆動力抜けが、リア駆動輪11rからの補填駆動力で補填されることとなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記各実施形態では、各種制御を実行する制御装置として一台のコントローラ50を用いる例について説明した。しかしながら、複数台のコントローラ50を設置して、各種制御における処理を分散させるようにしても良い。例えば、コントローラ50として、モータ制御に係る処理を実行するモータコントローラ、変速制御に係る処理を実行するシフトコントローラ、及びこのモータ制御と変速制御を統括しつつ他の制御を実行する統合コントローラを設けても良い。
また、上記各実施形態においては、説明の簡略化のため、フロントモータ10fの仕様(特性)とリアモータ10rの仕様(特性)が相互に略同一であることを前提としている。しかしながら、これらは、上記各実施形態の変速制御方法の実行を阻害しない範囲で相互に異なっていても良い。
さらに、上記各実施形態は、矛盾しない範囲で相互に組み合わせが可能である。
10 駆動モータ
10f フロントモータ
10r リアモータ
11 駆動輪
11f フロント駆動輪
11r リア駆動輪
14 インバータ
14f フロントインバータ
14r リアインバータ
16 変速機
16f フロント変速機
16r リア変速機
50 コントローラ
100 車両

Claims (12)

  1. 前輪を駆動する前輪駆動モータを有する前輪駆動システムと、後輪を駆動する後輪駆動モータを有する後輪駆動システムと、を備え、前記前輪駆動システム及び前記後輪駆動システムの少なくとも一方に変速機が設けられた車両において、前記変速機が設けられる一方の駆動輪における駆動力抜けを他方の駆動輪からの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を、前記一方の変速機における変速中に実行する変速制御方法であって、
    前記補填駆動力の上限の基本値として、前記駆動力補填処理中の前記車両に対する要求駆動力と前記他方の駆動輪の駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定し、
    前記変速中に前記他方の駆動輪のスリップが検出されるか又は該スリップの発生が予測される場合に、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力から該基本上限補填駆動力よりも小さい制限上限補填駆動力に変更し、
    前記制限上限補填駆動力は、前記駆動輪のスリップが検出又は予測されたときの前記補填駆動力として定められ
    前記変速の前に、前記変速中における前記駆動力抜けを擬似的に発生させて前記駆動力補填処理を行いつつ、前記他方の駆動輪のスリップが発生するか否かを検知する第1変速前スリップ検知処理を実行し、
    前記第1変速前スリップ検知処理により前記他方の駆動輪のスリップが検知されると、当該検知時における前記補填駆動力を第1スリップ限界駆動力として抽出し、
    前記制限上限補填駆動力を前記第1スリップ限界駆動力に定める、
    変速制御方法。
  2. 前輪を駆動する前輪駆動モータを有する前輪駆動システムと、後輪を駆動する後輪駆動モータを有する後輪駆動システムと、を備え、前記前輪駆動システム及び前記後輪駆動システムの少なくとも一方に変速機が設けられた車両において、前記変速機が設けられる一方の駆動輪における駆動力抜けを他方の駆動輪からの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を、前記一方の変速機における変速中に実行する変速制御方法であって、
    前記補填駆動力の上限の基本値として、前記駆動力補填処理中の前記車両に対する要求駆動力と前記他方の駆動輪の駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定し、
    前記変速中に前記他方の駆動輪のスリップが検出されるか又は該スリップの発生が予測される場合に、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力から該基本上限補填駆動力よりも小さい制限上限補填駆動力に変更し、
    前記制限上限補填駆動力は、前記駆動輪のスリップが検出又は予測されたときの前記補填駆動力として定められ、
    前記補填駆動力の上限を前記制限上限補填駆動力に設定した場合に、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力に設定した場合と比べて前記駆動力補填処理中における前記補填駆動力の変化率を小さくする、
    変速制御方法。
  3. 前輪を駆動する前輪駆動モータを有する前輪駆動システムと、後輪を駆動する後輪駆動モータを有する後輪駆動システムと、を備え、前記前輪駆動システム及び前記後輪駆動システムの少なくとも一方に変速機が設けられた車両において、前記変速機が設けられる一方の駆動輪における駆動力抜けを他方の駆動輪からの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を、前記一方の変速機における変速中に実行する変速制御方法であって、
    前記補填駆動力の上限の基本値として、前記駆動力補填処理中の前記車両に対する要求駆動力と前記他方の駆動輪の駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定し、
    前記変速中に前記他方の駆動輪のスリップが検出されるか又は該スリップの発生が予測される場合に、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力から該基本上限補填駆動力よりも小さい制限上限補填駆動力に変更し、
    前記制限上限補填駆動力は、前記駆動輪のスリップが検出又は予測されたときの前記補填駆動力として定められ、
    前記車両の直線路面の走行時の前記変速中において、
    前記補填駆動力の上限が前記制限上限補填駆動力に設定される場合の前記駆動力補填処理の実行時間を、前記基本上限補填駆動力が設定される場合の前記駆動力補填処理の実行時間よりも長くする、
    変速制御方法。
  4. 前輪を駆動する前輪駆動モータを有する前輪駆動システムと、後輪を駆動する後輪駆動モータを有する後輪駆動システムと、を備え、前記前輪駆動システム及び前記後輪駆動システムの少なくとも一方に変速機が設けられた車両において、前記変速機が設けられる一方の駆動輪における駆動力抜けを他方の駆動輪からの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を、前記一方の変速機における変速中に実行する変速制御方法であって、
    前記補填駆動力の上限の基本値として、前記駆動力補填処理中の前記車両に対する要求駆動力と前記他方の駆動輪の駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定し、
    前記変速中に前記他方の駆動輪のスリップが検出されるか又は該スリップの発生が予測される場合に、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力から該基本上限補填駆動力よりも小さい制限上限補填駆動力に変更し、
    前記制限上限補填駆動力は、前記駆動輪のスリップが検出又は予測されたときの前記補填駆動力として定められ、
    前記車両の旋回時の前記変速中における前記補填駆動力の上限を前記制限上限補填駆動力に設定する場合の前記駆動力補填処理の実行時間を、
    前記車両の非旋回時において前記補填駆動力の上限が前記基本上限補填駆動力に設定される場合の前記駆動力補填処理の実行時間よりも長く、且つ
    前記車両の非旋回時において前記補填駆動力の上限が前記制限上限補填駆動力に設定される場合の前記駆動力補填処理の実行時間よりも短く設定する、
    変速制御方法。
  5. 前輪を駆動する前輪駆動モータを有する前輪駆動システムと、後輪を駆動する後輪駆動モータを有する後輪駆動システムと、を備え、前記前輪駆動システム及び前記後輪駆動システムの少なくとも一方に変速機が設けられた車両において、前記変速機が設けられる一方の駆動輪における駆動力抜けを他方の駆動輪からの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を、前記一方の変速機における変速中に実行する変速制御方法であって、
    前記補填駆動力の上限の基本値として、前記駆動力補填処理中の前記車両に対する要求駆動力と前記他方の駆動輪の駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定し、
    前記変速中に前記他方の駆動輪のスリップが検出されるか又は該スリップの発生が予測される場合に、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力から該基本上限補填駆動力よりも小さい制限上限補填駆動力に変更し、
    前記制限上限補填駆動力は、前記駆動輪のスリップが検出又は予測されたときの前記補填駆動力として定められ、
    前記補填駆動力の上限が前記制限上限補填駆動力に変更されている場合に、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力に復帰させるべきか否かを判定する復帰判定処理と、
    前記復帰判定処理による判定結果が肯定的である場合の復帰判断がなされると実行され、前記補填駆動力の上限を所定の変化率で前記基本上限補填駆動力に近づける復帰時変化率調節処理と、をさらに含む、
    変速制御方法。
  6. 請求項に記載の変速制御方法であって、
    前記復帰判定処理において、
    前記変速の前に、前記変速中における前記駆動力抜けを擬似的に発生させて前記駆動力補填処理を行いつつ、前記他方の駆動輪のスリップが発生するか否かを検知する第2変速前スリップ検知処理を実行し、
    前記第2変速前スリップ検知処理において、前記補填駆動力が前記基本上限補填駆動力に到達するまでに前記他方の駆動輪のスリップを検知しないときに前記復帰判断を行う、
    変速制御方法。
  7. 請求項に記載の変速制御方法であって、
    前記復帰判定処理において、前記補填駆動力の上限を前記制限上限補填駆動力に設定した時点から所定時間が経過したときに前記復帰判断を行う、
    変速制御方法。
  8. 前輪を駆動する前輪駆動モータを有する前輪駆動システムと、後輪を駆動する後輪駆動モータを有する後輪駆動システムと、を備え、前記前輪駆動システム及び前記後輪駆動システムの少なくとも一方に変速機が設けられた車両において、前記変速機が設けられる一方の駆動輪における駆動力抜けを他方の駆動輪からの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を、前記一方の変速機における変速中に実行する変速制御方法であって、
    前記補填駆動力の上限の基本値として、前記駆動力補填処理中の前記車両に対する要求駆動力と前記他方の駆動輪の駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定し、
    前記変速中に前記他方の駆動輪のスリップが検出されるか又は該スリップの発生が予測される場合に、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力から該基本上限補填駆動力よりも小さい制限上限補填駆動力に変更し、
    前記制限上限補填駆動力は、前記駆動輪のスリップが検出又は予測されたときの前記補填駆動力として定められ、
    前記車両は、前記前輪駆動システム及び前記後輪駆動システムがそれぞれ前輪側変速機及び後輪側変速機を有し、
    前記駆動力補填処理では、
    前記前輪側変速機による変速における前記前輪の駆動力抜け及び前記後輪側変速機による変速における前記後輪の駆動力抜けを、それぞれ前記後輪からの前記補填駆動力及び前記前輪からの前記補填駆動力で補填し、
    前記車両の旋回時には、前記前輪側変速機による変速を実行させないように制御する、
    変速制御方法。
  9. 請求項1~8の何れか1項に記載の変速制御方法であって、
    前記車両の走行路面が滑りやすいか否かに関する情報を少なくとも含む外部情報を取得し、
    前記外部情報に基づいて前記走行路面が滑りやすいと判断される場合に、前記制限上限補填駆動力として外部情報制限駆動力を設定する、
    変速制御方法。
  10. 請求項に記載の変速制御方法であって、
    前記走行路面の滑りやすさの度合が大きいほど、前記外部情報制限駆動力を小さくする、
    変速制御方法。
  11. 請求項に記載の変速制御方法であって、
    前記補填駆動力の上限が前記外部情報制限駆動力に設定されている場合に、前記走行路面が滑りやすいという判断が解除されると、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力に復帰させる基本上限復帰処理を実行する、
    変速制御方法。
  12. 車両の前輪を駆動する前輪駆動モータを有する前輪駆動システムと、
    後輪を駆動する後輪駆動モータを有する後輪駆動システムと、
    前記前輪駆動システム及び前記後輪駆動システムの少なくとも一方に設けられた変速機による変速を実行する変速制御装置と、を有する変速制御システムであって、
    前記変速制御装置は、前記変速機が設けられる一方の駆動輪における駆動力抜けを他方の駆動輪からの補填駆動力により補填する駆動力補填処理を変速中に実行する駆動力補填処理部と、
    前記補填駆動力の上限の基本値として、前記駆動力補填処理中の前記車両に対する要求駆動力と前記他方の駆動輪の駆動力との差を最小とする観点から定まる基本上限補填駆動力を設定する基本上限補填駆動力設定部と、
    前記変速中の前記他方の駆動輪のスリップが検出されるか又は該スリップの発生が予測される場合に、前記補填駆動力の上限を前記基本上限補填駆動力から該基本上限補填駆動力よりも小さい制限上限補填駆動力に変更する上限変更部と、
    前記制限上限補填駆動力を、前記駆動輪のスリップが検出又は予測されたときの前記補填駆動力として定める制限上限設定部と、を有し、
    前記変速の前に、前記変速中における前記駆動力抜けを擬似的に発生させて前記駆動力補填処理を行いつつ、前記他方の駆動輪のスリップが発生するか否かを検知する第1変速前スリップ検知処理を実行し、
    前記第1変速前スリップ検知処理により前記他方の駆動輪のスリップが検知されると、当該検知時における前記補填駆動力を第1スリップ限界駆動力として抽出し、
    前記制限上限補填駆動力を前記第1スリップ限界駆動力に定める、
    変速制御システム。
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