JP5160574B2 - 光電変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換装置、特に、バンドギャップが比較的狭く、長波長域にも光感度を有する半導体材料を光電変換層に用いた光電変換装置に関する。
ガラス板を基板として用いる薄膜光電変換装置では、ガラス板上に透明電極となる透明導電膜が成膜され、この透明導電膜上に、光電変換層を含む薄膜光電変換ユニットが形成される。透明導電膜としては、酸化錫膜が多用されている。結晶粒の成長に伴って透明導電膜の表面に現れる凹凸形状は、入射光を光電変換層近傍に閉じこめて光電変換効率を改善する効果(光閉じこめ効果)を発揮する。そこで、従来から、透明導電膜については、光電変換効率を向上させる様々な表面形状が提案されている。
薄膜光電変換ユニットとしては、非晶質シリコン薄膜を光電変換層としたユニットとともに、非晶質シリコンゲルマニウム薄膜を光電変換層としたユニットや、微結晶シリコンなど結晶質シリコン系の薄膜を光電変換層としたユニットが知られている。さらに、透明導電膜上に、互いに異なる光電変換層を含む2つの薄膜光電変換ユニットを積層したタンデム型の光電変換装置は、広い波長域の光を活用できるため、精力的に開発が進められている。
光電変換装置では、光電変換効率を上げるために、用いる光電変換層に応じた工夫が必要となる。例えば、結晶質シリコン系の薄膜を光電変換層とした薄膜光電変換ユニット(結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニット)は、非晶質シリコン系のユニットよりも吸収係数が小さい。しかし、光の吸収を増すために単に膜厚を増やしたのでは、製造コストが増すことになる。このため、結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットを用いた光電変換装置では、光閉じこめ効果を利用した光電変換効率の改善が特に重要となる。
また、一般に、非晶質シリコンゲルマニウム薄膜や結晶質シリコン系薄膜を光電変換層としたユニットでは、一般的な非晶質シリコン薄膜を光電変換層としたユニットよりも、分光感度が高い領域が長波長側に存在する。また、非晶質シリコン薄膜であっても、厚膜化すれば、長波長側においても分光感度が高くなる。このため、これらの薄膜を光電変換層として用いる場合には、例えば波長650nm以上の比較的波長が長い領域における光電変換効率も重視する必要がある。
しかしながら、従来の光電変換装置は、必ずしも、光電変換層の特性に適した構造を備えてはいなかった。例えば、結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットを用いた光電変換装置では、大きな光閉じこめ効果を得るために透明導電膜の表面凹凸の傾斜を急峻にすると、この膜の上に形成する結晶質シリコン系薄膜の膜質が劣化するおそれがある。上記タンデム構造のように、他の薄膜を介して形成する場合であっても、傾斜が大きい表面凹凸は結晶質シリコンの結晶性を劣化させる。したがって、結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットでは、光電変換効率改善のために重要な光閉じこめ効果を、透明導電膜の表面凹凸のみに頼ることなく実現することが望まれる。
また、比較的波長が長い領域における光電変換効率も重視すべき光電変換層を用いる場合であっても、従来の光電変換装置では、光電変換層とともに用いる他の部材や薄膜については、当該領域における特性、具体的には透過率や光閉じこめ効果への寄与が、必ずしも適切に調整されてはいなかった。
そこで、本発明は、比較的波長が長い領域においても高い光電変換効率を有する光電変換層、換言すればバンドギャップが相対的に狭い光電変換層を含み、この光電変換層の光電変換効率を改善できる構造を備えた光電変換装置を提供することを目的とする。特に、本発明は、透明導電膜による光閉じこめ効果のみに頼ることなく、結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットの光電変換効率を改善した光電変換装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の光電変換装置は、
互いに平行な第1および第2の主表面を備えた透明基板と、前記第1の主表面上に形成された反射抑制膜と、前記第2の主表面上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された少なくとも一つの光電変換ユニットと、前記光電変換ユニット上に形成された裏面電極とを備えた光電変換装置であって、
前記反射抑制膜が、0.01μm以上1.0μm以下の平均粒径を有する微粒子と、前記微粒子同士、および前記微粒子と前記透明基板との間の付着強度を向上させるバインダーとから構成され、
前記微粒子が、粒径が0.05μm以上0.15μm以下の範囲にあるシリカ微粒子Aおよび粒径が0.2μm以上0.8μm以下の範囲にあるシリカ微粒子Bのみからなり、
前記第1の主表面の60%以上の領域前記微粒子により被覆されて前記反射抑制膜の表面に前記微粒子によって凹凸が形成され、前記微粒子により凹凸が形成されている領域の50%以上において前記シリカ微粒子Aが、前記領域の30%以上において前記シリカ微粒子Bがそれぞれ前記第1の主表面を被覆し
前記透明導電膜を形成した状態で測定した前記透明基板の波長域800nm〜900nmにおける光線透過率が75%以上であり、
前記光電変換ユニットが、前記透明導電膜側から順に、非晶質シリコン系薄膜を光電変換層とする非晶質シリコン系光電変換ユニットと、バンドギャップが1.85eV以下の半導体材料の薄膜である結晶質シリコン系薄膜を光電変換層とする結晶質シリコン系光電変換ユニットとがこの順に積層された構成を有することを特徴とする。
上記光電変換装置は、波長700nmにおける外部量子効率が0.2以上となる程度に長波長域にも光感度を有することが好ましい。同波長における外部量子効率は0.3以上がさらに好ましい。また、上記光電変換装置において、バンドギャップが1.85eV以下の半導体材料の薄膜が結晶質シリコン系薄膜である場合には、前記結晶質シリコン系薄膜を光電変換層とする結晶質シリコン系光電変換ユニットの膜厚は10μm以下が好適である。
本発明の光電変換装置の一形態の断面図である。 反射抑制膜の一例を形成したガラス板の表面を、走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。 反射抑制膜の別の一例を形成したガラス板の表面を、走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。 反射抑制膜のまた別の一例を形成したガラス板の表面を、走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す写真である。 本発明の光電変換装置(タンデム型)の外部量子効率の波長依存性の例を、反射抑制膜を形成しない場合の同依存性とともに示した図である。 反射抑制膜を形成したガラス板の分光反射特性を示す図である。 本発明の光電変換装置(厚膜化した非晶質シリコン層を光電変換層とする)の外部量子効率の波長依存性の例を、反射抑制膜を形成しない場合の同依存性とともに示した図である。 本発明の光電変換装置(非晶質シリコンゲルマニウム層を光電変換層とする)の外部量子効率の波長依存性の例を、反射抑制膜を形成しない場合の同依存性とともに示した図である。
以下、本発明の好ましい形態について説明する。
本発明の光電変換装置では、光電変換層として、結晶質シリコン系薄膜に加え、非晶質シリコン薄膜、非晶質シリコンゲルマニウム薄膜、非晶質シリコン錫薄膜などの非晶質シリコン系薄膜を用いることができる。非晶質シリコン薄膜は、通常、波長域500〜600nmに感度のピークがあり、長波長域での感度は高くない。したがって、光電変換層として非晶質シリコン薄膜を用いる場合には、厚膜化するか、またはゲルマニウム、錫などを添加してバンドギャップを狭小化することにより、波長700nmにおける外部量子効率を0.2以上とすることが好ましい。ただし、後述するように、複数の光電変換層を含むタンデム型の構成とする場合には、全体で上記程度の外部量子効率が得られるのであれば、非晶質シリコン薄膜の外部量子効率を高くしなくても本発明の効果は十分に得られる。本発明の光電変換装置は、特に、バンドギャップが1.75eV以下の半導体材料の薄膜を光電変換層に用いる場合に適している。
結晶質シリコン薄膜のバンドギャップは、非晶質シリコン薄膜よりも狭く、通常、1.1eV程度である。結晶質シリコン薄膜を光電変換層とする場合には、薄膜光電変換ユニットの膜厚を10μm以下、好ましくは5μm以下として製造コストが過度に上昇しないようにすることが好ましい。上記膜厚は、特に制限されないが、0.1μm以上が好ましい。
光電変換ユニットの光電変換効率を向上させるため、本発明では、透明基板の光入射側に、微粒子を含む反射抑制膜を形成することとした。透明基板の反射を抑制するためには、基板の屈折率に基づいて光学的に算出される適切な屈折率を有する薄膜が利用されることが多い。例えば、最も典型的なガラス板の反射抑制膜は、蒸着法などにより成膜された表面が平坦なフッ化マグネシウムの薄膜である。
しかし、本発明者は、バンドギャップが相対的に狭い材料を光電変換層に用いる場合、とりわけ吸収が少ない結晶質シリコン薄膜を光電変換層とする場合には、微粒子が露出して表面に凹凸が形成された反射抑制膜がより適切であることを見出した。本発明の一形態では、この反射抑制膜が光閉じ込め効果の増大に寄与する。また、本発明の別の一形態では、この反射抑制膜による広い波長域における反射低減の効果、特に長波長域における反射低減の効果が、光電変換装置の特性を向上させる。
また、上記のような光電変換層を用いた薄膜光電変換ユニットと、表面に凹凸を有する反射抑制膜とを併用する場合には、透明導電膜を形成した透明基板の透過率がより大きな影響を与える。具体的には、透明導電膜付き透明基板の波長域800〜900nmにおける光線透過率は75%以上が好適である。この波長域における高い光線透過率が、上記反射抑制膜による反射抑制効果および光閉じ込め効果、特に光閉じこめ効果を、光電変換効率の向上に結びつける。
反射抑制膜の表面形状に起因する光閉じこめ効果は、光電変換装置内の透明導電膜付き透明基板を含む範囲(反射抑制膜の表面から裏面電極に至る範囲)において生じるから、この光閉じこめ効果により透明導電膜付き透明基板を透過する光量も増加する。したがって、上記透明導電膜付き透明基板による透過光量の増大は、上記反射抑制膜による光閉じこめ効果を補強するものとなる。
上記のような薄膜光電変換ユニットと、反射抑制膜と、透明導電膜付きガラス板とを組み合わせれば、製造コストの不必要な増加を招くことなく、光電変換効率を合理的に改善できる。
図1は、本発明の光電変換装置の好ましい一形態の断面図である。この光電変換装置は、光入射側から順に、反射抑制膜1、ガラス板2、下地膜3、透明導電膜4、非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニット5、結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニット6、裏面電極7が積層されたタンデム構造を有する。この光電変換装置では、反射抑制膜1の表面において露出した微粒子により凹凸が形成されている。
反射抑制膜1は、微粒子とバインダーとを含むことが好ましい。微粒子としては、酸化物微粒子が好ましく、屈折率が2.0以下、特に屈折率が1.6以下の材料からなる微粒子が好適である。特に適した酸化物微粒子は、シリカ微粒子である。ただし、ここでは、酸化シリコンを主成分としていれば、他の成分を含んでいてもシリカ微粒子と呼ぶこととする。シリカ微粒子としては、例えば、ゾルゲル法によりシリコンアルコキシドをアンモニアなどの塩基性触媒の存在下で反応させて合成したシリカ微粒子や、珪酸ソーダなどを原料としたコロイダルシリカ、気相で合成されるヒュームドシリカなどを用いることができる。
このような微粒子を用いて形成した反射抑制膜は、多くの場合、微粒子間に空隙を含む構造を有する。空隙を含むと、膜の実質的な屈折率が低下し、反射抑制効果が向上する。実際には、反射抑制膜の構造は、微粒子の粒径により変化する。微粒子の粒径が小さすぎると、粒子間の空隙も小さくなって毛管力が増し、空気中の水分や有機物が除々に空隙に入り込む。空隙が失われると膜の屈折率は増すことになる。その一方、微粒子の粒径が大きすぎると、ガラス板との密着性が低下する。このような観点から、微粒子の平均粒径は0.01μm以上1.0μm以下が好適である。
微粒子の粒径により、反射抑制膜の光学的特性を調整することもできる。反射抑制効果を高めるために最適である微粒子の粒径は、0.05μm以上0.15μm以下の範囲にある。例えば、この範囲の粒径を有するシリカ微粒子でガラス板の表面を被覆すると、広い波長域において、蒸着法で適切な膜厚に成膜したフッ化マグネシウム膜を大きく上回る反射防止効果が得られる。
さらに驚くべきことに、粒径が0.2μm以上0.8μm以下の微粒子を用いると、光閉じ込め効果が大きく向上することも見出された。例えば、この範囲の粒径を有するシリカ微粒子でガラス板の表面の一部を被覆すると、それだけで、結晶質シリコン薄膜など相対的に分光感度のピークが長波長側にシフトした光電変換層を用いたユニットの光電変換効率が向上することが確認された。上記微粒子は、波長域600〜1000nmの光との相互作用が強く、結晶質シリコン系光電変換層などの分光感度が高い波長域における光閉じこめへの寄与が大きいと考えられる。
以上より、微粒子の平均粒径は、概略、0.05μm以上0.8μm以下の範囲が好ましい。また、ガラス板の主表面のすべての領域において微粒子が露出している必要はないが、この主表面の60%以上の領域において微粒子が露出して凹凸が形成されていることが好ましい。上記のような微粒子の粒径による光学的影響を考慮すると、微粒子により凹凸が形成されている領域の50%以上において、0.05μm以上0.15μm以下の粒径を有する微粒子が露出していると大きな反射防止効果が得られる。また、微粒子により凹凸が形成されている領域の30%以上において、0.2μm以上0.8μm以下の粒径を有する微粒子が露出していると、結晶質シリコン系光電変換層の分光感度が高い波長域における光閉じこめ効果が大きくなる。上記両微粒子が上記割合で表面上にともに存在すると、特に好ましい結果が得られる。
ここで、微粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡により概略を評価できるが、厳密に測定する必要がある場合には、透過型電子顕微鏡を用いて測定すればよい。なお、微粒子が凝集している場合には、凝集した粒子(例えば鎖状に連なった二次粒子)ではなく、個々の粒子(一次粒子)の粒径を採用する。
反射抑制膜は、微粒子とともにバインダーを含むことが好ましい。バインダーは、微粒子同士、および微粒子とガラス板との間の付着強度を向上させる。バインダーとしては、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物およびタンタル酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物が好ましい。バインダーの原料としては、Si、Al、Ti、ZrおよびTaから選ばれる少なくとも1種の金属のアルコキシドが、膜強度や化学的安定性の観点から好適である。バインダー成分の含有量が比較的大きい膜では、バインダー成分の屈折率が反射率に影響を及ぼすため、屈折率の小さいシリコンアルコキシド、特にシリコンテトラアルコキシドまたはそのオリゴマーが好ましい。
以下、シリカ微粒子およびバインダーを含む反射抑制膜の製法についてさらに詳しく説明する。この膜は、シリカ微粒子、金属アルコキシドなどの金属化合物などから調製したコーティング液を用いて成膜できる。このコーティング液は、金属化合物の加水分解物をシリカ微粒子と混合することによって調製してもよいが、シリカ微粒子の存在下で、加水分解可能な金属化合物を加水分解して調製することが好ましい。シリカ微粒子の存在下で金属アルコキシドを加水分解すると、シリカ微粒子表面のシラノール基と金属アルコキシドとの間の縮合反応がコーティング液中で促進される。この縮合反応は、シリカ微粒子間の密着力を高めるだけでなく、シリカ微粒子表面の反応性を上げて微粒子とガラス基板との密着力も強化する。こうして調製されたコーティング液をガラス板に塗布し、加熱することにより、ガラス板上に反射抑制膜を形成できる。
シリカ微粒子が露出している面積比率が高い反射抑制膜は、シリカ微粒子の存在下でバインダーとなる金属化合物の加水分解を進行させたり、バインダーの含有量を適切な範囲(例えば重量比がシリカ微粒子以下)とすることにより、形成できる。
次に、ガラス板2について説明する。ガラス板は、透明導電膜を形成した状態において、波長域800〜900nmにおける光線透過率が75%以上となるものであれば、組成、厚さともに特に制限されない。最も一般的なソーダライムガラスを用いる場合、重量%により表示して、Fe23に換算した全酸化鉄量が0.1%以下、好ましくは0.08%以下である組成とすると、上記光線透過率が得やすくなる。なお、非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットを形成する場合には、透明導電膜付きガラス板の波長域500〜600nmにおける光線透過率が80%以上であることが好ましい。
ガラス板としてフロートガラスを用いる場合には、ガラス板のボトム面(フロートバス内で錫浴に接していた面)に反射抑制膜を形成することが好ましい。ボトム面は、反対側のトップ面よりも平坦性に優れているため、微小な微粒子を含むコーティング液を塗布する面として適している。
次に、下地膜3および透明導電膜4について説明する。
透明導電膜4としては、ITO膜や酸化亜鉛膜を用いてもよいが、酸化錫を主成分とする膜、具体的には、フッ素などの不純物をドープして導電性を高めた酸化錫膜が好ましい。透明導電膜の膜厚は、使用する光電変換ユニットや、所望の光電変換効率に応じて必要とされる導電性に基づいて適宜決定すればよい。ただし、透明導電膜付きガラス板の光電透過率を上記範囲とする必要を考慮すると、透明導電膜の膜厚は、概略、400nm以上1000nm以下が適している。
透明導電膜の表面に結晶粒の成長などによる凹凸が形成されていれば、光閉じこめ効果がさらに大きくなる。しかし、ここでは、透明導電膜の表面に凹凸を形成することは必須ではない。この膜の凹凸を過度に急峻とすると、結晶質シリコン系薄膜の膜質を劣化させるおそれがある。このため、特に結晶質シリコン系薄膜を用いる場合には、透明導電膜は、膜のヘイズ率が20%以下にとどまる程度に凹凸を付与することが好ましい。
下地膜3は、ガラス板からのアルカリ成分の拡散を防止したり、透明導電膜付きガラス板の光学特性を調整するために形成されることが多い。下地膜を形成する場合には、下地膜が介在した状態で、透明導電膜付きガラス板の波長域800〜900nmにおける光線透過率が75%以上であればよい。
下地膜は、単層であっても2以上の層から形成されていてもよい。好ましい下地膜の一例は、ガラス板側から順に、高屈折率膜と低屈折率膜とをこの順に積層した2層構成の膜である。高屈折率膜の材料としては、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、窒化珪素、酸窒化珪素(SiON)およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも一つが好ましい。この膜の膜厚は5nm以上100nm以下が好ましく、屈折率は1.7以上2.7以下が好適である。
一方、上記高屈折率膜よりも相対的に屈折率が低い低屈折率膜の材料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、炭素を含む酸化珪素(SiOC)およびこれらの混合物から選ばれる少なくとも一つが好ましい。この膜の膜厚は1nm以上60nm以下が好ましく、屈折率は1.4以上1.8以下が好適である。
下地膜および透明導電膜は、特に制限されないが、ガラス板またはガラス板製造ラインにおけるガラスリボン上において、被膜形成原料の熱分解を伴う方法、特にCVD法により成膜することが好ましい。
次に、光電変換ユニットについて説明する。光電変換ユニットは、単層としてもよいが、複数層を積層することが好ましい。図1に示した光電変換装置は、非晶質シリコン系薄膜を光電変換層としたユニット(非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニット)5および結晶質シリコン系薄膜を光電変換層としたユニット(結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニット)6がガラス板側から順に積層された、いわゆるタンデム型の構造を有している。
図1に示した光電変換装置では、バンドギャップが相対的に狭い(約1.1eV)結晶質シリコン系薄膜からなる光電変換層と、バンドギャップが相対的に広い非晶質シリコン薄膜からなる光電変換層とを併用することにより、広い波長域における光の有効利用が図られている。ただし、本発明の光電変換装置は、図1に示した構造に限定されるものではない。例えば、この構造では、バンドギャップが狭い(≦1.85eV)材料として結晶質シリコンが用いられているが、バンドギャップが1.85eV以下である半導体材料は結晶質シリコンに限られない。
通常、非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットは、pin型の順にプラズマCVD法により各半導体層を堆積して形成される。具体的には、例えば、導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シリコン系層、光電変換部となる真性非晶質シリコン層、および導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン系層をこの順に堆積すればよい。しかし、これら各層は上記に限定されるものではなく、例えばp型微結晶シリコン系層において不純物原子をアルミニウムなどとしてもよく、p層として非晶質シリコン系層を用いてもよい。また、p層として、非晶質または微結晶のシリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなどの合金材料を用いてもよい。非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットの膜厚は0.5μm以下が好適である。
なお、導電型(p型、n型)微結晶シリコン系層の膜厚は、3nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がさらに好ましい。
真性非晶質シリコン層は、プラズマCVD法によって下地温度を450℃以下として形成することが好ましい。この層は、導電型決定不純物原子の密度が1×1018cm-3以下である実質的に真性半導体である薄膜として形成される。真性非晶質シリコン層の好ましい膜厚の範囲は、光電変換装置の構成にもよるが、通常、0.05μm以上0.5μm以下である。ただし、非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットでは、真性非晶質シリコン層に代えて、合金材料である非晶質シリコンカーバイド層(例えば10原子%以下の炭素を含有する非晶質シリコンからなる非晶質シリコンカーバイド層)や非晶質シリコンゲルマニウム層(例えば30原子%以下のゲルマニウムを含有する非晶質シリコンからなる非晶質シリコンゲルマニウム層)を形成してもよい。
なお、次に説明する結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットを形成しない場合(シングルセルとする場合)には、波長700nmにおける外部量子効率が0.2以上となる程度にまで厚膜化した真性非晶質シリコン層を光電変換層に用いることが好ましい。上記程度にまで外部量子効率が高くなるようにゲルマニウムなどを添加した非晶質シリコンアロイ系材料を光電変換層としてもよい。
結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットも、非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットと同様の手順でpin型各半導体層をこの順にプラズマCVD法により堆積して形成される。例えば、結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットに含まれる光電変換層(i層)となる結晶質シリコン系光電変換層も、下地温度を450℃以下としたプラズマCVD法によって形成することが好ましい。
この結晶質シリコン系光電変換層としては、ノンドープの真性シリコン多結晶薄膜、体積結晶化分率が80%以上の微結晶シリコン薄膜、微量の不純物を含む弱p型または弱n型で十分な光電変換機能を備えているシリコン系薄膜などを用いることができる。さらに、合金材料であるシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウムを用いた層としてもよい。
結晶質シリコン系光電変換層の膜厚は、0.1μm以上10μm以下、特に5μm以下が好ましい。この光電変換層は450℃以下の低温で形成されるため、結晶粒界や粒内における欠陥を終端または不活性化させるための水素原子を比較的多く含んでいる。層中の水素含有量は、0.5〜30原子%、特に1〜20原子%の範囲が好ましい。
結晶質シリコン系光電変換層に含まれる結晶粒の多くは、下地層から厚さ方向に柱状に成長している。また、多くの結晶粒は膜面に平行に(110)の優先配向面を有していることが好ましい。
結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットは、非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットと比較して発生する開放端電圧が低く、発生する短絡電流密度が高いため、ガラス板上の導電膜のシート抵抗値よりも光線透過率が光電変換効率により大きく寄与する。このため、微粒子が表面に露出した反射抑制膜を形成し、かつ透明導電膜付きガラス板の光線透過率を向上させると、入射光が増加し、かつこの入射光が効果的に閉じ込められるため、光電変換効率が大きく向上する。
非晶質シリコン光電変換層の分光感度特性は、概ね500〜600nmの波長域において最大となる。一方、結晶質シリコン光電変換層の光電変換層は、概ね700〜900nmにおいて最大となる。0.05μm以上0.15μm以下の粒径を有する微粒子と、0.2μm以上0.8μm以下の粒径を有する微粒子とがともに表面から露出している反射抑制膜は、上記両光電変換層を用いたタンデム型の光電変換装置に特に適している。
なお、ここでは、「結晶質」の材料には、多結晶体に加え、部分的に非晶質を含んでいても体積結晶化分率50%以上であれば「結晶質」に相当するものとする。また、「シリコン系」の材料には、非晶質または結晶質のシリコンに加え、非晶質シリコンゲルマニウムなどシリコンを50原子%以上含む半導体材料も該当するものとする。
上記ではシリコン系薄膜を用いた場合の例を示したが、化合物半導体(例えば、CdTe、CuIn(S,Se)2、Cu(In,Ga)(S,Se)2)の薄膜を光電変換層に用いた光電変換装置についても、本発明は適用が可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
[透明導電膜付きガラス板の製造]
(試料1)
フロート法によるガラス板製造ライン上において、フロートバス内に配置した複数のコータを用い、Fe23に換算した全酸化鉄量が0.01重量%である厚さ4mmのガラスリボン上に、酸化錫膜(SnO2膜)、酸化シリコン膜(SiO2膜)、フッ素含有酸化錫膜(SnO2:F膜)をこの順に成膜した。
具体的には、最上流側に配置されたコータ直前でのガラスリボンの温度を約650℃として、このコータから、ジメチル錫ジクロライド(蒸気)、酸素、窒素からなる混合ガスを供給し、ガラスリボン上に、膜厚が25nmのSnO2膜を成膜した。次いで、下流側に配置されたコータから、モノシラン、エチレン、酸素、窒素からなる混合ガスを供給し、SnO2膜上に、膜厚が25nmのSiO2膜を成膜した。続いて、さらに下流側のコータから、ジメチル錫ジクロライド(蒸気)、酸素、窒素、フッ化水素(蒸気)からなる混合ガスを供給し、SiO2膜上に、膜厚が500nmのSnO2:F膜を成膜した。ガラスリボンを所定寸法に切断して、透明導電膜付きガラス板(以下、「試料1」)を得た。
(試料2)
連続式常圧CVD装置を用い、厚さ0.7mmのホウ珪酸ガラス板上に、SiO2膜、SnO2:F膜をこの順に成膜した。
具体的には、予め所定寸法に切断した上記ガラス板を約600℃に加熱し、その表面に、モノシラン、酸素、窒素からなる混合ガスを供給し、膜厚が25nmのSiO2膜を成
膜した。続いて、モノブチル錫トリクロライド(蒸気)、酸素、水蒸気、窒素、トリフルオロ酢酸(蒸気)からなる混合ガスを供給し、SiO2膜上に、膜厚が600nmのSnO2:F膜を成膜した。こうして、透明導電膜付きガラス板(以下、「試料2」)を得た。
(試料3)
ガラスリボンに含まれるFe23換算全酸化鉄量を0.11重量%とし、SnO2:F膜の膜厚を800nmとした点を除いては、試料1と同様にして、透明導電膜付きガラス板(以下、「試料3」)を得た。
試料1〜3をそれぞれ洗浄、乾燥した後に、積分球を備えた分光光度計により波長域400〜1000nmにおける分光透過特性を測定した。波長域500〜600nmおよび800〜900nmにおける透過率の平均値を、膜面のシート抵抗値とともに表1に示す。
(表1)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
試料1 試料2 試料3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
透過率(%)
500〜600nm 87 86 80
800〜900nm 80 85 70
シート抵抗値(Ω/□) 19 11 8
SnO2:F膜厚(nm) 500 600 800
―――――――――――――――――――――――――――――――――
[反射抑制膜の形成]
(試料4〜11)
上記で得た透明導電膜付きガラス板を洗浄、乾燥し、透明導電膜を形成していないガラス板の表面に、反射抑制膜を形成した。
具体的には、所定の平均一次粒径を有するシリカ微粒子の分散液(日本触媒製)を攪拌しながら、エタノール、テトラエトキシシラン、濃塩酸を順次添加し、さらに攪拌しながら反応させた。この液を、ヘキシレングリコールにより希釈してコーティング液とした。このコーティング液を、ガラス板の表面に、スピンコーティング法により塗布し、炉内温度700℃の電気炉に2分間投入して反射抑制膜を成膜した。
なお、試料によっては、異なる平均粒径を有するシリカ微粒子の分散液を固形分比が所定割合となるように混合して用いた。
(試料12)
同じく上記で得た透明導電膜付きガラス板を洗浄、乾燥し、透明導電膜を形成していないガラス板の表面に、EB蒸着法により膜厚100nmのフッ化マグネシウム膜を形成して反射抑制膜とした。なお、成膜温度は室温、成膜速度は1nm/秒とした。
試料4〜11の反射抑制膜の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、シリカ微粒子がガラス表面を被覆している領域の比率(被覆率)を測定した。また、異なる平均粒径を有するシリカ微粒子を用いた試料については、微粒子が被覆している領域において各微粒子が占める割合をさらに測定した。結果を表2に示す。
(表2)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
試料4 試料5 試料6 試料7 試料8
―――――――――――――――――――――――――――――――――
透明導電膜付き 試料2 試料2 試料2 試料2 試料1
ガラス板
微粒子被覆率(%) 95 72 61 98 95
微粒子A
平均粒径(μm)0.1 0.1 0.1 0.07 0.1
被覆率(%) 100 52 61 100 100
微粒子B
平均粒径(μm) − 0.3 0.5 − −
被覆率(%) − 48 39 − −
―――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――
試料9 試料10 試料11 試料12
――――――――――――――――――――――――――――
透明導電膜付き 試料3 試料1 試料2 試料2
ガラス板
微粒子被覆率(%) 95 67 45 (MgF2膜)
微粒子A
平均粒径(μm)0.1 0.25 − −
被覆率(%) 100 58 − −
微粒子B
平均粒径(μm) − 0.9 0.5 −
被覆率(%) − 42 100 −
――――――――――――――――――――――――――――
なお、試料4〜試料6の走査型電子顕微鏡による観察結果を、それぞれ図2〜図4として示す。反射抑制膜を形成する微粒子が、略球状であり、粒径のバラツキが極めて小さいことがわかる。各試料とも、微粒子Aの粒径は実質的にすべてが0.05〜0.15μmの範囲にあり、微粒子Bの粒径は実質的にはすべてが0.2〜0.8μmの範囲にあった。
[光電変換ユニットおよび裏面電極の形成(タンデム型)]
(試料13〜24)
反射抑制膜を形成した透明導電膜付きガラス板(試料4〜12)と、反射抑制膜がない透明導電膜付きガラス板(試料1、2)について、透明導電膜上に、プラズマCVD法により、非晶質シリコン薄膜光電変換ユニット、結晶質シリコン薄膜光電変換ユニットをこの順に積層した。非晶質シリコン光電変換ユニットに含まれるpin接合において、用いたp型非晶質シリコンカーバイド層の厚さは15nm、n型非晶質シリコン層の厚さは30nmとした。また、真性非晶質シリコン層はRFプラズマCVD法により形成した。成膜条件としては、シラン(SiH4)の反応ガス、約40Paの反応室内圧力、15mW/cm2のRFパワー密度、および150℃の成膜温度を用いた。このような成膜条件と同じ条件でガラス基板上に直接300nmの厚さまで堆積された真性非晶質シリコン膜の暗導電率は5×10-10S/cmであった。なお、真性非晶質シリコン層の膜厚は150nmとした。また、上記と同様にして作製した真性非晶質シリコン層のバンドギャップは約1.75eVであった。
上記n型非晶質シリコン層の上に、ボロンがドープされたp型微結晶シリコン系層、ノンドープの真性結晶質シリコン層、リンがドープされたn型微結晶シリコン系層をこの順に堆積して結晶質シリコン薄膜光電変換ユニットを作製した。結晶質シリコン薄膜光電変換ユニットの膜厚は1.5μmとした。また、p型微結晶シリコン系層およびn型微結晶シリコン系層の膜厚は、それぞれ15nm、30nmとした。上記と同様にして作製した真性結晶質シリコン層のバンドギャップは約1.1eVであった。
なお、プラズマCVD法による真性結晶質シリコン層の成膜は、シランを反応ガスとして用い、反応室内圧力を約670Pa、RFパワー密度を150mW/cm2、成膜温度を350℃として行った。また、2次イオン質量分析法により測定したところ、真性結晶質シリコン層に含まれる水素は2原子%であった。また、X線回折法によるピーク強度比から、この層を構成する結晶粒は膜面に平行な方向については(110)面を優先配向面としていた。
さらに、ITO層(膜厚80nm)および銀層(膜厚300nm)をこの順にスパッタリング法により成膜して裏面電極を形成し、光電変換装置を得た。各光電変換装置について、外部量子効率の波長依存性を測定した。得られた各波長ごとの効率に入射光量を掛けて得た外部量子効率を全波長にわたって積分して電流合計値を算出した。結果を表3に示す。
(表3)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
試料13 試料14 試料15 試料16
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
透明導電膜付きガラス板 試料2 試料2 試料2 試料2
反射抑制膜+透明導電膜 試料4 試料5 試料6 試料7
付きガラス板
電流合計値(mA/cm2) 21.1 21.9 20.9 20.7
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
試料17 試料18 試料19 試料20
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
透明導電膜付きガラス板 試料1 試料3 試料1 試料2
反射抑制膜+透明導電膜 試料8 試料9 試料10 試料11
付きガラス板
電流合計値(mA/cm2) 19.8 17.2 18.1 20.4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――
試料21 試料22 試料23
―――――――――――――――――――――――――――――
透明導電膜付きガラス板 試料2 試料2 試料1
反射抑制膜+透明導電膜 試料12 − −
付きガラス板 (MgF2膜)
電流合計値(mA/cm2) 20.3 20.0 17.8
―――――――――――――――――――――――――――――
表3に示したように、試料2に微粒子が露出した反射抑制膜を形成した試料13〜16および20では、試料2をそのまま用いた試料22、およびこれにフッ化マグネシウム膜を形成した試料21よりも、良好な特性が得られた。試料1に微粒子が露出した反射抑制膜を形成した試料17および19でも、試料1をそのまま用いた試料23よりも、良好な特性が得られた。一方、透明導電膜付きガラス板の透過率が低い試料18では、特性が大きく低下した。
外部量子効率の波長依存性を、試料13(微粒子膜)、試料14(微粒子混合膜)、試料22(反射抑制膜なし)について、図5にまとめて示す。微粒子により反射抑制膜を形成した試料では、広い波長域において、外部量子効率が上昇していた。また、特に微粒子Bを加えた試料14(微粒子混合膜)を用いると、波長域800〜900nmにおける外部量子効率が向上した。
一方、フッ化マグネシウムを反射抑制膜として形成した試料21では、波長域500〜600nm近辺では外部量子効率が上昇したものの、その上昇の程度は微粒子を含む反射抑制膜ほどではなく、波長域800〜900nm近辺では外部量子効率はほとんど上昇しなかった。
この原因を調査するために、試料13、14、21に使用した反射抑制膜と同じ膜を、厚さ0.7mmのホウ珪酸ガラス板上に成膜した試料を作製した。各試料について、膜を形成していない側のガラス表面を砥石で研磨してすりガラス状とし、つや消し黒の塗料を塗布することにより、この面からの反射を実質的に無視できる程度に抑制した。これらの試料について、反射抑制膜面の分光反射特性を測定した。結果を図6に示す。
図6に示したように、平均粒径0.1μmの微粒子膜は、広い波長域において、反射防止効果がフッ化マグネシウム膜よりも優れている。この微粒子に平均粒径0.3μmの微粒子を混合した微粒子混合膜では、平均粒径0.1μmの微粒子膜よりも反射防止効果では劣っている。しかし、この微粒子混合膜を用いると、図5に示したように、波長域800〜900nm付近において外部量子効率が向上する。このような効率の向上は、上記波長域における光閉じこめ効果によるものである。
[光電変換ユニットおよび裏面電極の形成(非晶質シリコン系ユニットのみ)]
さらに、上記タンデム型のユニットに代えて、厚膜化した非晶質シリコン層、または非晶質シリコンゲルマニウム層を光電変換層とする非晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットを用いた光電変換装置を作製した。ここでは、外部量子効率を図示した試料(図5;試料13(微粒子膜),14(微粒子混合膜),22(反射抑制膜なし))に対応するように、透明導電膜付きガラス板として、上記試料4、試料5または試料2を用いた。
非晶質シリコン層を光電変換層として含む光電変換ユニットは、上記タンデム型における非晶質シリコン光電変換ユニットと同様にして作製した。ただし、真性非晶質シリコン層の膜厚は320nmとした。上記と同様にして作製した真性非晶質シリコン層のバンドギャップは1.75eVであった。
また、非晶質シリコンゲルマニウム層を光電変換層とする光電変換ユニットでも、p型層およびn型層は、上記タンデム型における非晶質シリコン光電変換ユニットと同様にして成膜した。ただし、光電変換層は、RFプラズマCVD法により、SiH4およびGeH4の反応ガス、約40Paの反応室内圧力、15mW/cm2のRFパワー密度、および150℃の成膜温度を用いた。成膜ガス全体に対するGeH4の比率は約5モル%とした。また、真性シリコンゲルマニウム層の膜厚は200nmとした。上記と同様にして作製した真性シリコンゲルマニウム層のバンドギャップは1.55eVであった。
さらに、各光電変換ユニットに上記と同様にして裏面電極を形成して光電変換装置を完成し、さらに各光電変換装置について、上記と同様にして外部量子効率の波長依存性を測定した。
厚膜化した非晶質シリコン層を光電変換層とする光電変換ユニットを用いた場合の外部量子効率の波長依存性を図7に、非晶質シリコンゲルマニウム層を光電変換層とする光電変換ユニットを用いた場合の外部量子効率の波長依存性を図8にそれぞれ示す。図7に示したように、真性非晶質シリコン薄膜を光電変換層とする場合であっても、厚膜化して長波長域における光感度を高くすれば、光電変換効率改善の効果は十分に得られる。かかる観点からの真性非晶質シリコン薄膜の厚膜化は、製法等にも依存するが、概略、膜厚320nm以上とすれば十分である。
図7および図8に示したように、この場合も、微粒子を含む反射抑制膜により、長波長域を含む比較的広い波長域にわたって外部量子効率が向上した。このような反射抑制膜は、波長700nmにおける反射抑制膜がない状態での外部量子効率が0.2以上、特に0.3以上の光電変換装置に適している。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、透明導電膜付き透明基板と、微粒子を用いた反射抑制膜と、光電変換ユニット(特に結晶質シリコン系光電変換ユニット)との相互作用により、光電変換効率を改善した光電変換装置を提供できる。各部材の特性を相互に適切に調整した本発明の光電変換装置によれば、徒に製造コストを増加させることなく、極めて合理的に光電変換効率を改善できる。
1 反射抑制膜
2 ガラス板
3 下地膜
4 透明導電膜
5 非晶質シリコン系光電変換ユニット
6 結晶質シリコン系光電変換ユニット
7 裏面電極

Claims (4)

  1. 互いに平行な第1および第2の主表面を備えた透明基板と、前記第1の主表面上に形成された反射抑制膜と、前記第2の主表面上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された少なくとも一つの光電変換ユニットと、前記光電変換ユニット上に形成された裏面電極とを備えた光電変換装置であって、
    前記反射抑制膜が、0.01μm以上1.0μm以下の平均粒径を有する微粒子と、前記微粒子同士、および前記微粒子と前記透明基板との間の付着強度を向上させるバインダーとから構成され、
    前記微粒子が、粒径が0.05μm以上0.15μm以下の範囲にあるシリカ微粒子Aおよび粒径が0.2μm以上0.8μm以下の範囲にあるシリカ微粒子Bのみからなり、
    前記第1の主表面の60%以上の領域前記微粒子により被覆されて前記反射抑制膜の表面に前記微粒子によって凹凸が形成され、前記微粒子により凹凸が形成されている領域の50%以上において前記シリカ微粒子Aが、前記領域の30%以上において前記シリカ微粒子Bがそれぞれ前記第1の主表面を被覆し
    前記透明導電膜を形成した状態で測定した前記透明基板の波長域800nm〜900nmにおける光線透過率が75%以上であり、
    前記光電変換ユニットが、前記透明導電膜側から順に、非晶質シリコン系薄膜を光電変換層とする非晶質シリコン系光電変換ユニットと、バンドギャップが1.85eV以下の半導体材料の薄膜である結晶質シリコン系薄膜を光電変換層とする結晶質シリコン系光電変換ユニットとがこの順に積層された構成を有することを特徴とする光電変換装置。
  2. 波長700nmにおける外部量子効率が0.2以上である請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記結晶質シリコン系光電変換ユニットの膜厚が10μm以下である請求項1または2に記載の光電変換装置。
  4. 前記透明基板が、重量%により表示して、Fe23に換算した全酸化鉄量が0.1%以下である組成を有するソーダライムガラス板である、請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換装置。
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