JP5160349B2 - 感熱記録用顕色物質及び感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録用顕色物質及び感熱記録材料 Download PDF

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Description

本発明は、感熱記録用顕色物質及び感熱記録材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、画像部の保存性と未発色部の保存性に優れる感熱記録材料を与える感熱記録用顕色物質、及び該顕色物質を感熱発色層に含む上記特性を有する感熱記録材料に関するものである。
感熱記録材料は、一般に支持体上に電子供与性の無色若しくは淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色物質とを主成分とする感熱発色層を設けたもので、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光などで加熱することにより、染料前駆体と顕色物質とが瞬時に反応し、記録材料が得られる。このような感熱記録材料は、古くより開発が進められ、例えば、紙面に特殊な塗被を施して、通常は無色であるが、加熱又は赤外線照射により顕色する組成物からなる熱感応性複写シートとして、反応顕色成分がラクトン、ラクタム又はサルトン型の無着色染料ベース、有機酸及び熱可融性物質よりなる熱感応性複写シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、耐湿性及びプリント安定性が改良され、耐湿性の改良により塗布された記録形成成分の乾燥及び作製中における着色を防ぐことができる感熱記録材料として、記録形成ユニットがクリスタル・バイオレット・ラクトン及びフェノール性物質を有する支持体シート材料よりなり、該フェノール性物質は室温では固体、サーモグラフ温度では液化又は気化し、ラクトンと反応して記録を生じ、該ラクトン及びフェノール性物質はポリビニルアルコール中に分散している感熱記録材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このような感熱記録材料は、比較的簡易な装置で記録が得られ、保守が容易であること、騒音の発生が少ないことなどの利点があり、各種携帯端末などのサーマルプリンター、超音波エコーなどに付属する医療画像プリンター、心電図や分析機器などのサーモペンレコーダー、航空券、乗車券、商品のPOSラベルなどに利用されている。
感熱記録材料には、発色性に優れ、低熱量で高濃度に発色すること、得られた画像の保存性に優れること、未発色部の白度が保持されることなどの様々な特性が要求される。特に、電子レンジ加工食品ラベル、駐車券、配送ラベル、チケットなどには、記録画像の信頼性が重視されるために、耐可塑剤性、耐湿性、耐熱性などの保存安定性が要求される。このために、感熱記録材料の顕色剤として、様々な化合物が検討されている。
例えば高感度で地肌のかぶりが少なく、記録像の保存性、とりわけ耐水性、耐可塑剤性に優れた感熱記録材料が得られる顕色剤として、α,α'−ビス[4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−p−キシレン、α,α'−ビス[4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−m−キシレン若しくはα,α'−ビス[4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−o−キシレンを含有する感熱記録材料が提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、発色画像の保存安定性、特に耐可塑剤性、耐油性、耐光性、耐湿熱性に優れた感熱記録材料の顕色剤として、ジヒドロキシジフェニルスルホンとアルキレンジクロライドやα,α'−ジクロロキシレンなどとの反応物であるジフェニルスルホン架橋型化合物が例示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、これらの化合物は、未発色部の耐熱性が不十分であり、また、顕色剤の高保存性という要求が十分に満たされているとは言えない。
特公昭43−4160号公報 特公昭45−14039号公報 特開平7−149713号公報 特開平10−29969号公報
本発明は、このような事情のもとで、画像部の保存性、特に耐可塑剤性に優れ、さらに、未発色部の保存性、特に耐熱性に優れた感熱記録材料を与えることのできる感熱記録用顕色物質、及び該顕色物質を用いてなる上記の優れた性状を有する感熱記録材料を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造のジフェニルスルホン架橋型化合物中の重合組成を特定化することにより、その課題を解決し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]下記一般式(1)
Figure 0005160349
(式中、nは1〜6の整数を示す。)
で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含む感熱記録用顕色物質であって、前記ジフェニルスルホン架橋型化合物が、一般式(1)におけるn=1の化合物と、n=2の化合物とを、合計量で50質量%以上含有することを特徴とする感熱記録用顕色物質、及び
[2]支持体上に、(A)前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含む感熱記録用顕色物質と、(B)無色又は淡色のロイコ染料からなる発色物質とを含有する感熱発色層を有する感熱記録材料であって、前記ジフェニルスルホン架橋型化合物が、一般式(1)におけるn=1の化合物と、n=2の化合物とを、合計量で50質量%以上含有することを特徴とする感熱記録材料、
を提供するものである。
本発明によれば、画像部の保存性、特に耐可塑剤性に優れ、さらに未発色部の保存性、特に耐熱性にも優れた感熱記録材料を与えることのできる、特定の組成を有するジフェニルスルホン架橋型化合物を含む感熱記録用顕色物質、及び該顕色物質を用いてなる上記の優れた性状を有する感熱記録材料を提供することができる。
まず、本発明の感熱記録用顕色物質(以下、単に顕色物質と称することがある。)について説明する。
[感熱記録用顕色物質]
本発明の感熱記録用顕色物質は、下記一般式(1)
Figure 0005160349
(式中、nは1〜6の整数を示す。)
で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含む感熱記録用顕色物質であって、前記ジフェニルスルホン架橋型化合物が、一般式(1)におけるn=1の化合物と、n=2の化合物とを、合計量で50質量%以上含有することを特徴とする。
本発明に用いる前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物は、例えば、ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ビス(ハロメチル)ビフェニル(ハロメチルとしては、クロロメチル又はブロモメチルが好ましい)とを、塩基性物質の存在下、溶媒を用いて脱ハロゲン化水素反応させることにより製造することができる。反応温度としては50℃以上、溶剤の還流温度以下であることが好ましい。用いるジヒドロキシジフェニルスルホンとしては、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、これらの混合物を挙げることができる。これらの中で、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは、画像部の保存性、特に耐湿熱性、耐可塑剤性に優れ、さらに、未発色部の耐熱性に優れた顕色物質を得ることができるので特に好適に用いることができる。
用いる塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジンなどを挙げることができる。
用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類;グリコール類のモノアルキルエーテル類;グリコール類のジアルキルエーテル類;アセトン等のケトン類;アセトニトリル等のニトリル類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル、炭酸ジメチル、炭酸プロピレン等のエステル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族系炭化水素類、及びこれらの混合溶媒などを挙げることができるが、さらに水とアルコール類との混合溶媒又は水と芳香族炭化水素類との混合溶媒を用いることもできる。混合溶媒として用いるアルコール類としては、イソプロパノール、エタノール、メタノールが好ましく、特にイソプロパノールが好ましい。水とアルコール類との混合溶媒を用いる場合、重合反応終了後、アルコールを留去した後結晶をろ別することにより、反応により生成するハロゲン化水素の塩基性物質による中和物、例えば塩化ナトリウムなどを反応系内に溶解させることができ、効率よく目的とする反応生成物と分離することができる。一般式(1)に示すジフェニルスルホン架橋型化合物中にナトリウムやカリウムのような金属イオンが1000質量ppmを超えて含有すると、該化合物を用いた感熱記録材料の耐水性が低下したり、感熱記録材料を印刷する際にヘッドが摩耗したりすることがあるので金属分の管理は重要である。
本発明において、一般式(1)に示すジフェニルスルホン架橋型化合物におけるnは、1〜6の整数で、n=1とn=2の化合物の合計量が50質量%以上である。n=1とn=2の化合物の合計量が50質量%未満の場合、一般式(1)で表される当該架橋型化合物中に存在する末端ヒドロキシル基の濃度が低下して、顕色物質としての効果が低下するおそれがある。
一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物の製造において、ジヒドロキシジフェニルスルホンとビス(ハロメチル)ビフェニルとのモル比は、用いる反応溶媒により重合様式が異なるため適宜選択する必要がある。例えば、N,N−ジメチルホルムアミドのように反応生成物が溶解する溶媒を用いた場合10:3〜10:7であることが好ましく、10:7を超えてビス(ハロメチル)ビフェニルの割合が増大するとn=3以上の化合物が増加するため所望とする組成のジフェニルスルホン架橋型化合物が得られない可能性がある。また、水とイソプロパノールの混合溶媒を用いた場合、n=1以上の反応生成物は反応系外に析出し、n=3以上の重合反応の進行が遅いため、10:2〜10:6であることが好ましく、10:6を超えてビス(ハロメチル)ビフェニルの割合が増大すると未反応のハロメチル基が残存する可能性があるので好ましくない。
ジヒドロキシジフェニルスルホンと4,4'−ビス(ハロメチル)ビフェニルの縮合反応をジヒドロキシジフェニルスルホンが過剰の状態で行うと、反応混合物には未反応のジヒドロキシジフェニルスルホンが混在する場合がある。混在するジヒドロキシジフェニルスルホンは、洗浄等の精製手段によりジフェニルスルホン架橋型化合物から分離除去することができ、あるいは、ジヒドロキシジフェニルスルホン自体が顕色物質としての性能を有するので、ジフェニルスルホン架橋型化合物から分離除去することなく、そのまま感熱記録用顕色物質として使用することもできる。ただし、ジヒドロキシジフェニルスルホンの含有量が多くなると、感熱記録材料の画像部の保存性と未発色部の保存性が低下するおそれがある。
次に、本発明の感熱記録材料について説明する。
[感熱記録材料]
本発明の感熱記録材料は、支持体上に、(A)前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含む感熱記録用顕色物質と、(B)無色又は淡色のロイコ染料からなる発色物質とを含有する感熱発色層を有する感熱記録材料であって、前記ジフェニルスルホン架橋型化合物が、前述で説明したように、一般式(1)におけるn=1の化合物と、n=2の化合物とを、合計量で50質量%以上含有することを特徴とする。
((B)発色物質)
本発明において、感熱発色層に含有させる(B)成分の発色物質として用いる無色又は淡色のロイコ染料に特に制限はなく、例えば、フルオラン誘導体、キナゾリン誘導体、フタリド誘導体、トリフェニルメタン誘導体、フェノチアジン誘導体などを挙げることができる。これらのロイコ染料の中で、フルオラン誘導体は、発色性が良好なので特に好適に用いることができる。フルオラン誘導体であるロイコ染料としては、例えば、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2',4'−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(4−メチルフェニル)]アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロへキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ペンチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−へキシル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチル−N−ブチルアミノ−7−(2'−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−クロロフルオラン、3−ピロジリル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2'−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2'−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ブチルアミノ−7−(2'−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオランなどを挙げることができる。
これらのロイコ染料は1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また感熱発色層に含有させる発色物質の量は、目的とする感熱記録材料の特性に応じて、適宜選択することができる。
((A)感熱記録用顕色物質)
本発明においては、前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を顕色剤として単独で用いることもできるが、従来公知の顕色物質と併用することもできる。本発明で用いる前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物と従来公知の顕色物質とを併用することで、従来公知の顕色物質の発色性を損なうことなく、画像部の保存性と未発色部の保存性をより向上させることが可能となる。使用できる従来公知の顕色物質に特に制限はないが、例えば次のようなものが挙げられる。
α−ナフトール、β−ナフトール、4−オクチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルペンタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,6−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシメチル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(2−ヒドロキシ−4−クロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4'−ヒドロキシベンゾイルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(3'−ヒドロキシベンゾイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2'−ヒドロキシベンゾイルオキシ)シクロヘキサン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、4,4'−チオビスフェノール、4,4'−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−クロロフェノール)、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、4,4'−ジフェノールスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−イソプロポキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−エトキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−プロポキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−メチル−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−メチル−3',4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−2,4−(フェニルスルホニル)フェノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンジエチルエーテル縮合物、4,4'−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−(3−p−トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素、N−(4'−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリン、N−(4'−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、5−ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、N,N'−ジフェニルチオ尿素、N,N'−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−(3−p−ブトキシフェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−(p−ブトキシフェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−フェニル尿素、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などを挙げることができる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(増感剤)
本発明の感熱記録材料には、必要に応じて感熱発色層に増感剤を含有させることができる。用いる増感剤に特に制限はないが、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)、4−アセチルベンジル、N−フェニルトルエンスルホンアミド、トルエンスルホン酸ナフチル、p−ベンジルビフェニル、m−テルフェニル、4,4'−ジプロポキシジフェニルスルホン、4,4'−ジイソプロポキシジフェニルスルホン、4,4'−ジアリルオキシジフェニルスルホン、2,4'−ジプロポキシジフェニルスルホン、2,4'−ジイソプロポキシジフェニルスルホン、2,4'−ジアリルオキシジフェニルスルホン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、テレフタル酸ベンジルなどを挙げることができる。これらの増感剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(画像安定化剤)
本発明の感熱記録材料においては、感熱発色層にさらに画像安定化剤を含有させることができる。用いる画像安定化剤に特に制限はなく、例えば、4−ベンジルオキシ−4'−(2−メチルグリシジルオキシ)−ジフェニルスルホン、4,4'−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−4,4'−スルホニルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロへキシルフェニル)ブタン、ポリヒドロキシ安息香酸などのポリエステル構造を有する化合物、ウレアウレタンなどのウレタン構造を有する物質、ポリ(フェニルスルホン)エーテルなどのポリエーテル構造を有する物質などを挙げることができる。これらの画像安定化剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(填料、その他添加剤)
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱発色層に填料を含有させることができる。用いる填料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理されたシリカなどの無機填料や、ポリスチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、シリコーン樹脂粒子、セルロース粉、スチレン/メタクリル酸共重合体粒子、塩化ビニリデン系樹脂粒子、スチレン/アクリル共重合体粒子、プラスチック球状中空微粒子などの有機填料などを挙げることができる。これらの填料は1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、他の添加剤を感熱発色層に含有させることができる。含有させる添加剤としては、例えば、ステアリン酸エステルワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛などの滑剤、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール系紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料などを挙げることができる。
(感熱記録材料の製造)
本発明の感熱記録材料の製造方法に特に制限がなく、例えば、発色物質、顕色剤、及び必要に応じて添加する増感剤、画像安定化剤、その他の成分を適当な結合剤とともに、水媒体などの媒体中に分散させて感熱発色層の塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に塗布し、乾燥することにより製造することができる。発色物質、顕色剤、増感剤を含有する分散液は、発色物質を含有する分散液、顕色剤を含有する分散液及び増感剤を含有する分散液をそれぞれ個別に調製したのち、これらの分散液を混合することにより調製することが好ましい。各分散液中において、発色物質、顕色剤及び増感剤は、微粒子化して分散していることが望ましいので、これらの分散液の調製には、サンドミル、ボールミルなどを用いることが好ましい。
<結合剤>
使用する結合剤に特に制限はなく、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メトキシセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ゼラチン、カゼイン、澱粉、アルギン酸などの天然高分子類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂などを挙げることができる。これらの結合剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
(支持体、アンダーコート層、バックコート層)
本発明の感熱記録材料に使用する支持体には特に制限はなく、例えば、中性紙や酸性紙などの紙、合成紙、古紙パルプを用いた再生紙、フィルム、不織布、織布などを挙げることができる。
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に、さらに、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理されたシリカなどの無機填料や、ポリスチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、シリコーン樹脂粒子、セルロース粉、スチレン/メタクリル酸共重合体粒子、塩化ビニリデン系樹脂粒子、スチレン/アクリル共重合体粒子、プラスチック球状中空微粒子などの有機填料などを含むアンダーコート層やバックコート層を設けることが好ましい。アンダーコート層やバックコート層を設けることにより、断熱層として作用し、サーマルヘッド等からの熱エネルギーの効率的活用による感度向上をもたらすことができる。特に、プラスチック球状中空微粒子を含むアンダーコート層やバックコート層は、熱感度を効果的に向上させることができるので好適に用いられる。
なお、プラスチック球状中空微粒子とは、熱可塑性樹脂を殻としており、内部に空気その他の気体を含有してすでに発泡状態となっている微小中空粒子であり、平均粒子径は0.2〜20μm程度のものである。この平均粒子径(粒子外径)が0.2μmより小さいものは、任意の中空率にすることが難しいなどの生産上の問題があってコスト面で難点があり、逆に20μmより大きいものは塗布乾燥後の表面平滑性が低下するためにサーマルヘッドとの密着性が低下し、熱感度向上効果が低下する。従って、該粒子は粒子径が前記範囲にあると共に粒子径のバラツキが少ないものが好ましい。さらにこのプラスチック球状中空粒子は、その断熱効果を勘案すると中空率は、40%以上のものが好ましく、90%以上のものが更に好ましい。中空率が低いものは、断熱効果が不充分なためサーマルヘッドからの熱エネルギーが支持体を通じて感熱記録材料の外へ放出され、熱感度向上効果が劣る。なお、ここで言う「中空率」とは、中空微粒子の外径と内径の比であり、下記で表されるものである。
中空率(%)=[(中空微粒子の内径)/(中空微粒子の外径)]×100
プラスチック球状中空微粒子は、前記したように熱可塑性樹脂を殻とするものであるが、該樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエンあるいはそれらの共重合体樹脂などが挙げられる。これらの中でも、特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
アンダーコート層やバックコート層に使用する結合剤に特に制限はなく、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メトキシセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ゼラチン、カゼイン、澱粉、アルギン酸などの天然高分子類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂などを挙げることができる。
本発明の感熱記録材料においては、さらに必要に応じて、感熱発色層の上に、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール類などの水溶性樹脂や、スチレン−ブタジエン共重合体、テルペン樹脂などの水溶性エマルジョンや非水溶性樹脂、それらの樹脂に填料、イソシアネート類、不飽和化合物などのモノマーやオリゴマーと架橋剤を加えてオーバーコート層を形成することができる。
本発明の感熱記録材料は、色調の異なる発色物質をそれぞれ感熱発色層として多層形成した多色感熱記録材料とすることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、実施例において、反応物組成及び化合物組成は、以下の条件にて測定した。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件>
クロマトグラフ:東ソー(株)製、「HLC−8020」
カラム:東ソー(株)製TSK gel G2000H×L+TSK gel G3000H×L
カラム温度:40℃
移動層:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
流量:1.0mL/分
検出器:RI
<DSCの測定条件>
DSC本体:島津(株)製、「DSC−50」
昇温条件(ファーストラン):室温から300℃、10℃/分
降温条件(ファーストラン):300℃から室温、30℃/分
昇温条件(セカンドラン):室温から300℃、10℃/分
<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定条件>
カラム:ODS
溶解液:50質量%アセトニトリル水
カラム温度:40℃
流速:1mL/分
注入量:5μL
検出器:UV(254nm)
また、実施例及び比較例において、作製した感熱記録材料の性能は、次の方法により評価した。
(1)耐熱性
作製した感熱記録材料の発色させていない部分(未発色部)の色濃度を反射濃度計[マクベス社製、「RD−918」]を用いて測定する。次に、80℃または100℃で24時間放置した後、色濃度を測定した。
(2)耐可塑剤性
作製した感熱記録材料を、感熱印字装置[(株)大倉電気製]を用いて、印字電圧20V、パルス巾3msで発色させ、発色させた部分(画像部)の色濃度を反射濃度計[マクベス社製、「RD−918」]を用いて測定した。次に、画像部に塩ビラップを3枚重ね、さらに一般紙10枚を重ね、約1.96N/cm2となるように重りをのせて20℃環境下24時間放置したのち色濃度を測定した。
実施例1
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン[日華化学(株)製、商品名「BPS−H」]を100g(0.40モル)入れ、250gのイソプロパノールにて溶解した。次いで、水酸化ナトリウム22.4g(0.56モル)を溶解した250gの水溶液を加え、60℃まで加熱した後、4,4'−ビス(クロロメチル)−1,1−ビフェニルを51g(0.20モル)添加し、加熱還流状態(86℃)で8時間撹拌した。その後、35質量%塩酸水溶液を滴下し中和したのち、イソプロパノールを留去した。80℃で結晶をろ別し、60℃の熱水100gで洗浄した。次に、反応容器に得られた結晶と50質量%のメタノール水溶液200gを加え、3時間加熱還流後、40℃まで冷却し、結晶をろ別し、水洗、乾燥したところ、反応生成物110gが得られた。得られた反応生成物のTg(ガラス転移点)は117℃(DSC測定:セカンドラン)であった。更にこの反応生成物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]で測定し、次のような組成であることを確認した。
Figure 0005160349
n=0 :保持時間 19.2分:ピーク面積比(%) 4.5
n=1 :保持時間 17.5分:ピーク面積比(%) 35.8
n=2 :保持時間 16.5分:ピーク面積比(%) 26.3
n=3 :保持時間 15.8分:ピーク面積比(%) 10.5
n=4 :保持時間 15.3分:ピーク面積比(%) 6.1
n≧5 :保持時間 14.9分:ピーク面積比(%) 16.8
上記反応組成物中に、下記化合物(2)に示す成分が、保持時間18.4分:面積%2.4%含まれていた。
Figure 0005160349
実施例2
水酸化ナトリウム22.4g(0.56モル)の代わりに18g(0.45モル)を使用した以外は、実施例1と同様にして白色の反応生成物104gを得た。Tgは114℃であった。反応生成物の組成は、n=0:ピーク面積比1.8%、n=1:ピーク面積比53.9%、n=2:ピーク面積比19.6%、n=3:ピーク面積比6.2%、n=4:ピーク面積比5.2%、n≧5:ピーク面積比13.3%であった。さらに、前記化合物(2)で示す成分がピーク面積比で0.5%含まれていた。
実施例3
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン[日華化学(株)製、商品名「BPS−H」]100g及び水酸化ナトリウム24gを溶解させた水溶液500gを加え、60℃まで加熱撹拌し溶解させた後、トルエン200gと4,4'−ビス(クロロメチル)−1,1'−ビフェニル51gを添加し、加熱還流状態(87℃)で10時間撹拌した。その後、80℃まで冷却後、希塩酸水溶液を滴下し中和したのち、減圧ろ過し、60℃の熱水100gで結晶を洗浄し、乾燥させた。続いて、撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに得られた結晶とメタノール250gを加え、3時間加熱還流後、40℃まで冷却し、結晶を減圧ろ過により単離した。乾燥したところ白色の反応生成物が72g得られた。
Tgは105℃であった。組成物は、n=0:ピーク面積比0.3%、n=1:ピーク面積比86.4%、n=2:ピーク面積比5.4%、n=3:ピーク面積比4.7%、n=4:ピーク面積比3.2%であった。
比較例1
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン[日華化学(株)製、商品名「BPS−H」]を50g(0.20モル)入れ、200gのジメチルホルムアミド(DMF)にて溶解した。次いで、水酸化ナトリウム14g(0.35モル)を加え、70℃まで加熱した後、約30分を要して4,4'−ビス(クロロメチル)−1,1'−ビフェニルを40g(0.16モル)添加し、110℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を、0.1質量%塩酸水2000g中に30℃で0.5時間かけて徐々に添加したのち、さらに2時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、水洗した。次に反応溶液に得られた結晶と20質量%メタノール水溶液500gを仕込み、70℃で2時間加熱したのち、25℃に冷却して析出した結晶をろ別し、水洗、乾燥したところ反応生成物70gが得られた。Tgは128℃であった。更にこの反応生成物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]で測定したところ次のような組成であった。反応生成物の組成は、n=0:ピーク面積比2.7%、n=1:ピーク面積比19.8%、n=2:ピーク面積比27.7%、n=3:ピーク面積比17.9%、n=4:ピーク面積比11.2%、n≧5:ピーク面積比20.7%であった。
以上、実施例1〜3及び比較例1の結果を第1表に示す。
Figure 0005160349
次に前記化合物を感熱記録用顕色剤として用いた例を示す。なお、下記組成よりなる混合物を磁性ポールミルで分散し、(A液)〜(E液)を調製した。
実施例4
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン10質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液10質量部、水30質量部を、サンドミルを用いて4時間微粉砕して分散させることにより、発色物質分散液(A液)を調製した。実施例1で得られた反応生成物10質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液10質量部、水30質量部を、サンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させることにより、顕色剤分散液(B液)を調製した。シリカゲル[水沢化学(株)製、「P527」]10質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液10質量部、水30質量部を、サンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させることにより、シリカゲル分散液(C液)を調製した。ステアリン酸亜鉛10質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液10質量部、水30質量部を、サンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させることにより、ステアリン酸亜鉛分散液(D液)を調製した。非発泡性プラスチック微粒子中空粒子(固形分24質量%、平均粒径3μm、中空度90%)40質量部、スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス[日本ゼオン(株)製、「Nipol(登録商標)LX438C」]10質量部、水50質量部を、ディスパーを用いて撹拌重合させることにより、樹脂液(E液)を調製した。
次に、A液5質量部、B液20質量部、C液20質量部及びD液2.5質量部を、ディスパーを用いて撹拌混合し発色層の塗布液を調製した。また、C液5質量部及びE液10質量部を、ディスパーを用いて撹拌混合しアンダーコート層の塗布液を調製した。
坪量60g/m2の上質紙に、アンダーコート層の塗布液を乾燥塗布量が3g/m2となるように塗布し、乾燥してアンダーコート塗布紙を得た。このアンダーコート層上に、発色層の塗布液を乾燥塗布量が5g/m2となるように塗布し、乾燥し、0.98MPaの圧力でカレンダー処理して感熱記録紙を作製し、評価を行った。
実施例5
実施例1で得られた反応生成物の代わりに、実施例2で得られた反応生成物を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例4と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。
実施例6
実施例1で得られた反応生成物の代わりに、実施例3で得られた反応生成物を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例4と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。
実施例7
実施例1で得られた反応生成物10質量部の代わりに、実施例1で得られた反応生成物6質量部及び4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン[日華化学(株)製、「BPS−MAE」]4質量部を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例4と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。なお、用いたBPS−MAEを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により組成を確認したところ、4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホンが97.3質量%、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンが0.8質量%、4,4'−ジアリルオキシ−ジフェニルスルホンが0.7質量%、3−アリル−4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン0.5質量%、3−アリル−4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン0.3質量%、3−アリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン0.3質量%であった。
実施例8
実施例1で得られた反応生成物10質量部の代わりに、実施例1で得られた反応生成物5質量部、4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン[日華化学(株)製、「BPS−MAE」]4質量部、及び4,4'−ジアリルオキシジフェニルスルホン[日華化学(株)製、「BPS−DAE」]1質量部を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例4と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。
比較例2
実施例1で得られた反応生成物の代わりに、比較例1で得られた反応生成物を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例4と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。
以上、実施例4〜8及び比較例2の感熱記録紙の評価結果を第2表に示す。
Figure 0005160349
第2表の結果から本発明の化合物を顕色剤として用いた感熱記録紙は画像の色濃度、耐可塑剤性、地肌の耐熱性に優れていることが分かる。
本発明の感熱記録材料は、画像部の保存性、特に耐可塑剤性に優れると共に、未発色部の保存性、特に耐熱性に優れている。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0005160349

    (式中、nは1〜6の整数を示す。)
    で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含む感熱記録用顕色物質であって、前記ジフェニルスルホン架橋型化合物が、一般式(1)におけるn=1の化合物と、n=2の化合物とを、合計量で50質量%以上含有することを特徴とする感熱記録用顕色物質。
  2. 支持体上に、(A)下記一般式(1)
    Figure 0005160349

    (式中、nは1〜6の整数を示す。)
    で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を含む感熱記録用顕色物質と、(B)無色又は淡色のロイコ染料からなる発色物質とを含有する感熱発色層を有する感熱記録材料であって、前記ジフェニルスルホン架橋型化合物が、一般式(1)におけるn=1の化合物と、n=2の化合物とを、合計量で50質量%以上含有することを特徴とする感熱記録材料。
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