JP5159712B2 - ガス測定装置 - Google Patents
ガス測定装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5159712B2 JP5159712B2 JP2009154253A JP2009154253A JP5159712B2 JP 5159712 B2 JP5159712 B2 JP 5159712B2 JP 2009154253 A JP2009154253 A JP 2009154253A JP 2009154253 A JP2009154253 A JP 2009154253A JP 5159712 B2 JP5159712 B2 JP 5159712B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gas
- flow path
- liquid sample
- carrier gas
- separation device
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
これまでに、大気中に存在する芳香族炭化水素を採取して測定する技術として、ガス分光分析用微量フローセルを用いる方法が提案されている(たとえば、特許文献1、2参照)。
当該ガス測定装置は、ガス濃縮セル51とガス検出セル52を備え、これらは接続流路53を介して接続されている。
ガス濃縮セル51は、分析対象ガスを含むキャリヤーガスを流すガス流路61と、ガス流路61の途中の内表面に設けられ、多孔質シリカ材料等が用いられてなるガス採取部62と、ガス採取部62を加熱する薄膜ヒータ63を備えている。薄膜ヒータ63は、電源65と接続している。ガス流路61の一方の先端は接続流路53と接続し、他方の先端は、ガス流路61に分析対象ガスを含むキャリヤーガスを導入するガス導入流路64と接続している。ガス導入流路64のガス流路61とは反対側の一端は、ガス導入流路64に分析対象ガスを含むキャリヤーガスを吸引するためのポンプ54と接続している。ポンプ54は、ガス導入流路64が接続した面と対向する面にガス導入口66を備えている。
ガス検出セル52は、ガス流路61からガス濃縮セル51で濃縮されたキャリヤーガスが接続流路53を通過して流入し、かつ、測定用の紫外線が通過する紫外線光路兼ガス流路71を備えている。またガス検出セル52には、測定し終えたキャリヤーガスを排出するガス排出流路72が、紫外線光路兼ガス流路71の下流側に備えられている。紫外線光路兼ガス流路71の一端は、紫外線光路兼ガス流路71に紫外線を入射する紫外光源55と流路59aを介して接続し、他方の一端は、出射した紫外線を検出するための紫外検出器56と流路59bを介して接続している。
紫外光源55及び紫外検出器56と、紫外線光路兼ガス流路71との間には、紫外線用のレンズ57a、57bがそれぞれ配置されている。また紫外検出器56は、パソコン58に接続されており、分析結果を解析できるようになっている。
図9は、従来のガス分離装置の一実施形態例を示す一部縦断面図である。
図9に示す実施形態のガス分離装置は、容器81と、ガス導入口82及びバルブ85が設けられているガス排出口83を備えた蓋体とから構成されている。
図9において、ガス分離装置には液体試料80が収容されている。
当該ガス分離装置においては、キャリヤーガスを、当該ガス分離装置のガス導入口82から液体試料80中に連続的に供給してバブリング処理を施す。これにより、ヘッドスペース部84に存在するキャリヤーガス中の芳香族炭化水素濃度が高まる。そして、ヘッドスペース部84に存在する芳香族炭化水素を含むキャリヤーガスを、バルブ85を調節することにより、当該ガス分離装置のガス排出口83から、図8におけるガス濃縮セル51へ供給することにより、上述の大気中に存在する芳香族炭化水素の含有割合を測定する場合と同様、芳香族炭化水素の検出を行うことができる。
図10は、従来のガス分離装置の他の実施形態例を示す側面図である。
図10において、当該ガス分離装置は、キャリヤーガスを流す流路91と、芳香族炭化水素を含む液体試料90が収容された密閉容器92とが、パーベーパレーション膜93を介して隣接している。密閉容器92には、液体試料90として芳香族炭化水素を含む水が収容され、パーベーパレーション膜93には、水分子をほとんど透過せず、芳香族炭化水素分子を選択的に透過する(以下この作用を「パーベーパレーション作用」という。)シリコーン膜が用いられている。
当該ガス分離装置においては、キャリヤーガスを流路91の入口91aから連続的に供給することにより、芳香族炭化水素が、図10中の複数の横矢印で示すように、密閉容器92からシリコーン膜を透過して流路91の方向へ移動する。これにより、キャリヤーガス中の芳香族炭化水素濃度が高まる。そして、芳香族炭化水素を含むキャリヤーガスを、流路91の出口91bから、図8におけるガス濃縮セル51へ供給することにより、上述の大気中に存在する芳香族炭化水素の含有割合を測定する場合と同様、芳香族炭化水素の検出を行うことができる。
さらに、従来のガス分離装置は、液体試料を密閉容器に収容するため、連続的に液体試料を供給することができず、水質の連続監視には不適切である。
なお、パーベーパレーション技術を用いた図10に示すガス分離装置において、キャリヤーガスと芳香族炭化水素を含む水との配置を逆にした構成、すなわち密閉容器92にキャリヤーガスを封入し、流路91に芳香族炭化水素を含む水を流す構成とする方法も考えられる。しかし、そのような構成であっても、上述したように、密閉容器92の容量が数百ミリリットルないし数リットルであるため、キャリヤーガス中の分析対象ガスの濃度を高めるためには、相当な量の芳香族炭化水素を含む水を流す必要がある。
また、アメリカ合衆国においては“safe drinking water act”で規定されている。この基準によると、芳香族炭化水素の規制値は、排水については500ppb以下、水道飲料水については5ppb以下となっている。
一方、図8に示すような従来のガス測定装置においては、ガス採取部62に用いられている多孔質シリカ材料としてメソポーラスシリカが知られている。
しかし、相対湿度90%程度というキャリヤーガスに対して、ガス採取部62にメソポーラスシリカを用いた場合、キャリヤーガスに含まれる芳香族炭化水素のメソポーラスシリカへの吸着性は、水分子の存在により阻害され、芳香族炭化水素の測定における検出感度は、おおよそ50ppm程度しか得られず、上述した水質基準の芳香族炭化水素量を検知するのは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、液体試料の水質を連続的に測定でき、かつ、当該液体試料中に存在する芳香族炭化水素などの分析対象ガスを高感度で検出できる装置又は方法を提供することを課題とする。
本発明のガス測定装置は、液体試料中に存在する芳香族炭化水素ガスをキャリヤーガス中に分離するガス分離装置と、前記ガス分離装置で分離した前記芳香族炭化水素ガスを吸着するガス採取部を有する流路が設けられ、前記キャリヤーガス中の芳香族炭化水素ガス濃度を高めるガス濃縮セルと、前記ガス濃縮セルで濃縮された前記キャリヤーガスに含まれる前記芳香族炭化水素ガスを検出するガス検出セルとを備え、前記ガス分離装置と前記ガス濃縮セルとは乾燥チューブを介して接続されており、前記ガス分離装置は、前記キャリヤーガスを流す流路と前記液体試料を流す流路とを備え、前記キャリヤーガスを流す流路は、シリコーン膜を介して前記液体試料を流す流路と隣接しており、前記ガス採取部の材料としてゼオライトが用いられ、前記乾燥チューブの材料として、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテン−スルホン酸とのコポリマーのみが用いられていることを特徴とする。
本発明のガス測定装置においては、前記シリコーン膜がチューブ状であることが好ましい。
本発明のガス測定装置によれば、液体試料の水質を連続的に測定でき、かつ、液体試料中に存在する芳香族炭化水素などの分析対象ガスを高感度で検出できる。たとえば、日本とアメリカ合衆国における水質基準の芳香族炭化水素量を充分に検知できる。
本発明のガス分離装置は、キャリヤーガスを流す流路と、液体試料を流す流路とを備え、前記キャリヤーガスを流す流路が、シリコーン膜を介して前記液体試料を流す流路と隣接しているものである。
本実施形態のガス分離装置10は、キャリヤーガスを流す流路12と、液体試料14を流す流路11とを備え、流路12が、シリコーン膜13を介して流路11と隣接している。
流路11には、液体試料14を導入する入口11aと、液体試料14を排出する出口11bが設けられている。
流路12には、キャリヤーガスを導入する入口12aと、キャリヤーガスを排出する出口12bが設けられている。
図1において、流路11には、液体試料14として芳香族炭化水素を含む水が連続的に供給され、流路11内を、芳香族炭化水素を含む水が流れている。流路12には、キャリヤーガスとして空気が連続的に供給され、流路12内を空気が流れている。
シリコーン膜13には、水分子をほとんど透過せず、芳香族炭化水素分子を選択的に透過するものが用いられている。
ガス分離装置10においては、液体試料14中の芳香族炭化水素が、図1中の複数の横矢印で示すように、パーベーパレーション作用によって流路11からシリコーン膜13を透過して流路12へ移動する。これにより、液体試料14中に存在する芳香族炭化水素を空気中に連続的に分離することができる。
図2(a)は、ガス分離装置の概略縦断面図である。
図2(a)において、ガス分離装置20は、シリコーン膜からなる中空のシリコーンチューブ23の外周に、テフロン(登録商標)からなる中空のチューブ24が配置されることにより、液体試料を流す流路21と、キャリヤーガスを流す流路22とが形成されており、流路22が、シリコーン膜(シリコーンチューブ23)を介して流路21と隣接した構成を備えている。
チューブ24の一端には、シリコーンチューブ23に対して垂直方向に、ポンプ25を有する流路22cが設けられている。他方の一端には、流路22cと略平行に流路22dが設けられている。流路22と流路22cと流路22dとは連通しており、キャリヤーガスは、これら流路の入口22aからポンプ25の吸引によって導入され、流路22c、流路22、流路22dをこの順に流れて出口22bから排出される。
液体試料は、流路21の入口21aから導入され、シリコーンチューブ23内を流れて出口21bから排出される。
図2(a)において、流路21には、液体試料として芳香族炭化水素を含む水が連続的に供給され、流路21内を、芳香族炭化水素を含む水が流れている。
シリコーンチューブ23とチューブ24は、シリコーンチューブ23を内側にして同心円状に配置されている。
シリコーンチューブ23内は液体試料を流す流路21となっており、シリコーンチューブ23とチューブ24との間はキャリヤーガスを流す流路22となっている。
ガス分離装置20においては、流路21を流れる液体試料中の芳香族炭化水素26が、パーベーパレーション作用によりシリコーンチューブ23面に向かって移動してシリコーン膜を透過し、流路22内を流れるキャリヤーガス中に連続的に分離している。
なかでも、本発明のガス分離装置としては、液体試料中に存在する分析対象ガスの抽出効率及びキャリヤーガス中の分析対象ガス濃度がより高まることから、図2に示すガス分離装置20を用いることが好ましい。
しかしながら、本発明において液体試料を流しながらガス分離を行う場合、実際には、シリコーン膜の近傍に存在する分析対象ガスがシリコーン膜を透過することになる。そのため、液体試料中に存在する分析対象ガスの抽出効率に関しては、流路内の液体試料の容量とシリコーン膜の表面積(ガス分離装置20においてはシリコーンチューブ23の内径)との比率(液体試料の容量/シリコーン膜の表面積)が重要なパラメータとなり、このパラメータをできるだけ小さくすることが好ましい。
これと同時に、キャリヤーガス中の分析対象ガス濃度を高くするためには、流路内のキャリヤーガスの容量とシリコーン膜の表面積(ガス分離装置20においてはシリコーンチューブの外径)との比率(キャリヤーガスの容量/シリコーン膜の表面積)が重要なパラメータとなり、このパラメータをできるだけ小さくすることが好ましい。
これら2つのパラメータを考慮すると、たとえば図2に示すガス分離装置20のように、チューブ24の内側にシリコーンチューブが配置された二重チューブ構成が特に好適な形態であると考えられる。
図2に示す実施形態のガス分離装置20において、
流路21の容量(図2(a)中のX−Y間)は59μL、
キャリヤーガスの容量(流路22cと流路22dを除く。)は0.7mL、
シリコーンチューブ23の内径は0.5mm、
シリコーンチューブ23の外径は1.0mmである。
またガス分離装置20においては、上記密閉容器のような大容量の流路を設ける必要がないことから、液体試料又はキャリヤーガスの使用量を低減でき、液体試料の水質の連続測定を可能とする装置として実用的である。
さらに、ガス分離装置20のような構成は、シリコーン膜に対する液体試料の圧力に対しても丈夫な構造である。例えば、図1のような平面状のシリコーン膜を用いた構成では、液体試料の圧力の変化によってシリコーン膜が変形しやすいが、チューブ状のシリコーン膜であれば、液体試料の圧力の影響は周方向に均一に分散するため、若干の収縮又は膨張が生じてもその形状が変化することがない。
図3は、ガス分離装置の他の実施形態(複数のシリコーンチューブがテフロン(登録商標)からなるチューブの内側に配置されたもの)を示す概略縦断面図である。
図3において、ガス分離装置30は、テフロン(登録商標)からなる中空のチューブ34の内側に、シリコーン膜からなる中空の4本のシリコーンチューブ33が配置され、キャリヤーガスを流す複数の流路32が、シリコーン膜(シリコーンチューブ33)を介して液体試料を流す複数の流路31とそれぞれ隣接した構成を備えている。
ガス分離装置30によれば、液体試料中に存在する分析対象ガスの抽出効率に優れ、キャリヤーガス中の分析対象ガス濃度を短時間で高くできる。
本発明のガス分離方法は、上記本発明のガス分離装置を用い、前記キャリヤーガスを流す流路に前記キャリヤーガスを供給し、かつ、前記液体試料を流す流路に前記液体試料を流しながら、前記液体試料中に存在する分析対象ガスを前記キャリヤーガス中に分離する方法である。
当該ガス分離方法においては、本発明のガス分離装置を用い、それぞれの流路にキャリヤーガスと液体試料を個別に流しながらガス分離を行う。
液体試料としては、分析対象ガスを含む液状のものであればよく、たとえば、芳香族炭化水素を含む水、アルコールを含む水等が挙げられる。
キャリヤーガスは、たとえば空気、窒素等を用いることができる。
たとえば図2に示す実施形態のガス分離装置20において、流路を流す液体試料の流速は、0.08〜5[単位:mL/分]とすることが好ましく、0.5〜2[単位:mL/分]とすることがより好ましい。
流路を流すキャリヤーガスの流速は、1〜200[単位:mL/分]とすることが好ましく、20〜50[単位:mL/分]とすることがより好ましい。
流路内の温度は、0〜80℃とすることが好ましく、10〜30℃とすることがより好ましい。
液体試料の流速、キャリヤーガスの流速、温度を上記範囲に制御することにより、液体試料中に存在する分析対象ガスのキャリヤーガスへの抽出効率がより向上する。
本発明のガス測定装置は、上記本発明のガス分離装置と、前記ガス分離装置で分離した分析対象ガスを吸着するガス採取部を有する流路が設けられ、前記キャリヤーガス中の前記分析対象ガス濃度を高めるガス濃縮セルと、前記ガス濃縮セルで濃縮された前記キャリヤーガスに含まれる前記分析対象ガスを検出するガス検出セルとを備える。
本実施形態のガス測定装置40は、ガス分離装置20と、ガス濃縮セル41と、ガス検出セル42とを備えている。
ガス分離装置20とガス濃縮セル41は、ポンプ44と乾燥チューブ45を介して接続されている。ポンプ44と乾燥チューブ45は、ガス分離装置20側からこの順に配置されている。
ガス分離装置20は、図2に示すガス分離装置と同じ実施形態のものである。
ガス濃縮セル41とガス検出セル42は、接続流路46を介して接続されている。
ガス濃縮セル41は、ガス分離装置20で分離した分析対象ガスを含むキャリヤーガスを流す流路(図示せず)と、その流路の途中の内表面に設けられ、ゼオライトが用いられてなるガス採取部と、当該ガス採取部を加熱する薄膜ヒータ(図示せず)を備えている。
ガス濃縮セル41は、ガス採取部の材料を除き、図8に示すガス濃縮セルと同じ実施形態のものを用いることができる。
ガス検出セル42は、ガス濃縮セル41で濃縮されたキャリヤーガスが接続流路46を通過して流入し、かつ、測定用の紫外線が通過する紫外線光路兼ガス流路43を備えている。またガス検出セル42には、測定し終えたキャリヤーガスを排出するガス排出流路47が、紫外線光路兼ガス流路43の下流側に備えられている。紫外線光路兼ガス流路43の一端は、紫外線光路兼ガス流路43に紫外線を入射する紫外光源48aと接続流路43aを介して接続し、他方の一端は、紫外分光器48bと接続流路43bを介して接続している。また紫外分光器48bは、パソコン49に接続されており、分析結果を解析できるようになっている。
次いで、分離した分析対象ガスを含むキャリヤーガスを、ポンプ44の吸引により、乾燥チューブ45を通過させてガス濃縮セル41に供給する。
ガス濃縮セル41に供給されたキャリヤーガスはガス濃縮セル41内に形成された流路を流れ、分析対象ガスが、当該流路の途中に設けられたガス採取部に吸着固定される。
図5は、ガス採取部の材料として、ゼオライトと、従来から利用されているメソポーラスシリカとを用いた場合の、「芳香族炭化水素の吸着能力」と「キャリヤーガスの相対湿度」との関係を示したグラフである。
図5から、メソポーラスシリカは、キャリヤーガスの相対湿度0%の環境であれば、非常に優れた芳香族炭化水素の吸着能力を示すことが分かる。しかし、一般的な大気の湿度を想定した相対湿度45%程度の環境になると、芳香族炭化水素の吸着能力が著しく低下し、バブリング処理後のキャリヤーガスの湿度を想定した相対湿度90%の環境になると、芳香族炭化水素をほとんど吸着できなくなることが分かる。
一方、ゼオライトは、キャリヤーガスの相対湿度0%の環境では、芳香族炭化水素の吸着能力はメソポーラスシリカに劣るものの、相対湿度45%程度の環境では、芳香族炭化水素の吸着能力は逆転し、メソポーラスシリカよりも高い吸着能力を示している。さらに、ゼオライトは、相対湿度90%の環境であっても、芳香族炭化水素の吸着能力を充分に有していることが分かる。
すなわち、ゼオライトは、「液体試料」中に存在する分析対象ガスを測定するという、水質の測定の際に使用するガス採取部の材料として好適なものである。
ガス濃縮セル41で濃縮されたキャリヤーガスは、接続流路46を通過してガス検出セル42に導入する。そして、吸収分光により分析対象ガスの検出が行われる。
ガス分離装置20から送られてくるキャリヤーガスは、ガス分離装置20で液体試料が用いられているため、その相対湿度が高い。これに対して、ガス分離装置20とガス濃縮セル41との間に乾燥チューブ45を配置することにより、ガス分離装置20から送られてくる高湿度のキャリヤーガスの相対湿度を低減でき、ガス濃縮セル41での濃縮効率が高まる。これにより、キャリヤーガス中の分析対象ガス濃度をより高めることができる。
いずれの図も、ガス測定装置として、図9に示すガス分離装置と同じ実施形態のものが用いられている。バブリング処理が行われることにより、ガス分離装置から送られてくるキャリヤーガスの相対湿度が90%程度まで高くなっている。
図6〜7において、液体試料としては、ベンゼンを含む水が用いられている。
乾燥部材45aとしては、ナフィガスドライヤー(米国PERMAPURE社製)が用いられている。
ナフィガスドライヤーは、乾燥剤を充填したボックス中で、ナフィオン(デュポン社製、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテン−スルホン酸とのコポリマー)のチューブが引き回された構造を有している。
図6より、乾燥部材45aとしてナフィガスドライヤーを用いた場合、ガス濃縮セル41に導入するキャリヤーガスの相対湿度をほぼ0%にまで低減できることが分かる。したがって、ガス濃縮セル41におけるガス採取部の材料としては、本発明に係るゼオライトに限らず、従来から利用されているメソポーラスシリカも、キャリヤーガスの相対湿度が0%の環境であることから用いることができる。そして、ガス濃縮セル41において、キャリヤーガス中のベンゼン濃度を、数ppbレベルから数ppmレベルにまで高めることができる。
ただし、乾燥部材45aとしてナフィガスドライヤーを用いた場合、乾燥性能を維持するために、乾燥剤の定期的な交換が不可欠となり、また乾燥剤の交換等の保守点検に相当のコストを要する。
乾燥チューブ45としては、ナフィオンのチューブのみ(乾燥剤は用いられていない)が用いられている。
乾燥チューブ45としてナフィオンのチューブのみを用いた場合、ガス濃縮セル41に導入するキャリヤーガスの相対湿度は大気レベルまで低減される。この場合にガス濃縮セル41におけるガス採取部の材料としてゼオライトを用いることにより、一般的な大気の湿度と想定される相対湿度45%程度の環境であっても、キャリヤーガス中のベンゼン濃度を、数ppbレベルから数ppmレベルにまで充分に高めることができる。一方、メソポーラスシリカは、相対湿度45%程度の環境では図5に示すように芳香族炭化水素の吸着能力が低下してしまうことから、キャリヤーガス中のベンゼン濃度を充分に高めることができない。
加えて、乾燥チューブ45としてナフィオンのチューブのみを用い、かつ、ガス採取部の材料としてゼオライトを用いたガス測定装置においては、乾燥剤を用いていないことから、従来の乾燥部材では必要であった乾燥剤の交換等の保守点検が不要であり、経済的にも有利である。
したがって、本発明によれば、河川若しくは地下水などの液体試料の水質の連続測定が可能であり、その液体試料中に存在する微量の芳香族炭化水素ガスを高感度で測定できる。たとえば、日本とアメリカ合衆国における水質基準の芳香族炭化水素量を充分に検知できる。
Claims (2)
- 液体試料中に存在する芳香族炭化水素ガスをキャリヤーガス中に分離するガス分離装置と、
前記ガス分離装置で分離した前記芳香族炭化水素ガスを吸着するガス採取部を有する流路が設けられ、前記キャリヤーガス中の芳香族炭化水素ガス濃度を高めるガス濃縮セルと、
前記ガス濃縮セルで濃縮された前記キャリヤーガスに含まれる前記芳香族炭化水素ガスを検出するガス検出セルと
を備え、
前記ガス分離装置と前記ガス濃縮セルとは乾燥チューブを介して接続されており、
前記ガス分離装置は、前記キャリヤーガスを流す流路と前記液体試料を流す流路とを備え、
前記キャリヤーガスを流す流路は、シリコーン膜を介して前記液体試料を流す流路と隣接しており、
前記ガス採取部の材料としてゼオライトが用いられ、
前記乾燥チューブの材料として、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテン−スルホン酸とのコポリマーのみが用いられていることを特徴とするガス測定装置。 - 前記シリコーン膜がチューブ状である、請求項1記載のガス測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009154253A JP5159712B2 (ja) | 2009-06-29 | 2009-06-29 | ガス測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009154253A JP5159712B2 (ja) | 2009-06-29 | 2009-06-29 | ガス測定装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011007758A JP2011007758A (ja) | 2011-01-13 |
JP5159712B2 true JP5159712B2 (ja) | 2013-03-13 |
Family
ID=43564584
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009154253A Expired - Fee Related JP5159712B2 (ja) | 2009-06-29 | 2009-06-29 | ガス測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5159712B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102013102439B4 (de) | 2013-03-12 | 2021-09-02 | Dionex Softron Gmbh | Verfahren zur Herstellung einer fluidischen Verbindungskomponente für die Chromatographie |
DE102013102440B3 (de) | 2013-03-12 | 2014-05-15 | Dionex Softron Gmbh | Positioniermittel für eine Messzelle |
DE102013102438B3 (de) * | 2013-03-12 | 2014-03-20 | Dionex Softron Gmbh | Flusszelle |
CN104215699B (zh) * | 2013-05-31 | 2016-04-27 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种岩石中气态烃酸解气同位素分析的在线脱气系统 |
JP5859159B1 (ja) * | 2015-06-18 | 2016-02-10 | 株式会社ピュアロンジャパン | 水素ガス濃度の連続測定方法及びそれに用いる水素ガス濃度測定装置 |
JP6611140B1 (ja) * | 2018-07-12 | 2019-11-27 | 株式会社ピュアロンジャパン | 溶存気体測定装置 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5757305Y2 (ja) * | 1978-07-17 | 1982-12-09 | ||
JPH0495752A (ja) * | 1990-08-06 | 1992-03-27 | Agency Of Ind Science & Technol | 気体透過膜を用いた液体中の溶存成分ガス濃度測定法 |
JP3322325B2 (ja) * | 1993-12-28 | 2002-09-09 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 分析用試料濃縮装置 |
JPH09304374A (ja) * | 1996-05-17 | 1997-11-28 | Shimadzu Corp | 揮発性有機化合物の監視装置 |
JP2000241313A (ja) * | 1999-02-17 | 2000-09-08 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | ガス分光分析装置 |
JP3972528B2 (ja) * | 1999-08-27 | 2007-09-05 | 宇部興産株式会社 | 流体分離膜モジュールおよび分離方法 |
JP2001296217A (ja) * | 2000-04-12 | 2001-10-26 | Toyota Motor Corp | ガス分析装置およびガス分析方法 |
JP3583739B2 (ja) * | 2000-08-22 | 2004-11-04 | 日本電信電話株式会社 | ガス分光分析用微小フローセルおよびその製造方法 |
US6783573B2 (en) * | 2002-09-27 | 2004-08-31 | Welch Allyn Protocol, Inc. | Gas sampling system |
JP3969489B2 (ja) * | 2003-02-28 | 2007-09-05 | 日本電信電話株式会社 | ベンゼンの測定方法及びベンゼンガス選択吸着性多孔質シリカ材料の製造方法 |
WO2005015198A1 (ja) * | 2003-08-06 | 2005-02-17 | Nippon Telegraph And Telephone Corporation | 多孔質材料を用いた分子の検出方法ならびに該多孔質材料及び該多孔質材料の製造方法 |
-
2009
- 2009-06-29 JP JP2009154253A patent/JP5159712B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011007758A (ja) | 2011-01-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5159712B2 (ja) | ガス測定装置 | |
JP4903056B2 (ja) | ガスクロマトグラフ | |
US9358508B2 (en) | Dryer and water recovery/purification unit employing graphene oxide or perforated graphene monolayer membranes | |
US7753991B2 (en) | Water transport method and assembly including a thin film membrane for the addition or removal of water from gases or liquids | |
US9983182B2 (en) | Device for sampling and detecting volatile organic compounds in water | |
Sae-Khow et al. | Pervaporation in chemical analysis | |
JP4990075B2 (ja) | 分離膜モジュール | |
KR101456284B1 (ko) | 시료 농축장치 | |
US9933398B2 (en) | Device and method for extracting compounds contained in a liquid sample with a view to analysing them | |
US20070012190A1 (en) | Integrated degassing and debubbling apparatus | |
Lahlou et al. | Gas phase micro-preconcentrators for benzene monitoring: A review | |
KR20160087874A (ko) | 기체를 검출하기 위한 기기 및 방법 | |
WO2017138646A1 (ja) | 3成分同時分析装置および3成分同時分析方法 | |
CN204028046U (zh) | 膜富集采样装置 | |
JP2019070654A (ja) | 事前分離ユニットを有するシステム | |
EP2894469B1 (en) | Membrane exchange unit and systems having membrane exchange units | |
KR101109644B1 (ko) | 수질 분석시스템 | |
CN213875525U (zh) | 一种离子迁移谱的预富集装置 | |
CN114002306A (zh) | 一种气泡富集提取水中挥发性有机物的膜进样结构 | |
RU2672452C1 (ru) | Мембранный контактор для очистки природных и технологических газов от кислых компонентов | |
US6368559B1 (en) | Device for analyzing organic compounds particularly in aqueous and gaseous samples | |
WO2021014835A1 (ja) | ガスセンサによる測定方法及び測定装置 | |
JP2009236590A (ja) | ガスクロマトグラフ装置およびガス成分脱離方法 | |
JPH09159587A (ja) | 分析用燃焼ガスの除湿方法及び分析方法 | |
KR20070107548A (ko) | 시료 전처리 방법 및 이를 이용한 전처리 장치 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111111 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120911 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120913 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121108 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121204 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121211 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5159712 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151221 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |