JP5159656B2 - 鑑識用転写シート、該鑑識用転写シート製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された鑑識用粘着シートは、透明な支持フィルムの片面にウレタン系粘着剤を塗布したウレタン粘着シートを、表面が離型性プラスチックフィルムからなる台紙に貼着して構成される。
例えば、特許文献2に提案された鑑識用粘着シートは、支持体の片面に粘着剤層を備えた粘着シート層と前記粘着剤層に再貼付可能に貼り合わせられた台紙層とからなる鑑識用粘着シート本体と、前記粘着シート層と前記台紙層とを貼り合わせた状態で両者を貼着固定する剥離判別用粘着テープとを備えたことを特徴とするものである(特許文献2参照)。
特許文献3に開示された鑑識用転写シートは、片面に粘着剤層を備えた粘着シートと前記粘着剤層に再貼付可能に貼り合わせられた台紙とからなる鑑識用転写シート本体と、前記粘着シート層と前記台紙とを貼り合わせた状態で両者の縁部に沿って両面に亘って貼着した捺印可能な貼着部材とを備えたものである。
しかしながら、一般的に粘着シートの表面がつるつるした平滑面であるため割印方法では粘着シート面への印影を鮮明にして捺印することが難しく、粘着シート面の印影が不鮮明になるという問題がある。この点、仮に特殊なインクを用いて印影を鮮明にして落ちにくくすることも考えられるが、このようにすると印鑑を洗浄するのに特殊な溶剤を必要とし、それ故に印鑑に損傷を与えることも考えられる。
しかしながら、経年による粘着力の劣化や何らかの物理的作用によって、粘着シートが台紙から剥離したような場合において、上記の方法では本来は真正な証拠であっても証拠能力の低下をまねくことも考えられる。
鑑識用転写シートは指紋等の採取物件、採取日、採取者、立会人当を直筆で記載すると共に捺印した台紙と、採取した指紋等が転写された粘着シートから構成される。そして、それらが指紋採取時に張り合わされて一体になることで、当該転写された指紋が当該台紙に記載された採取物件等のものであることを示すものである。したがって、鑑識用転写シートの証拠能力を担保するには、採取された指紋が転写された粘着シートと当該指紋が採取された採取物件等とを記載した台紙との対応関係が指紋採取時のままであることが明確であればよい。
この点、特許文献2、3に開示されたものは、指紋等が採取されたときに粘着シートと台紙とが一旦貼り合わされた後、それが一度も剥がされていないことを証明することで両者の対応関係が異なるものに入れ代わっていないことを証明しようという考え方である。
そこで、発明者は従来の発想を転換して、粘着シートと台紙が元々一体であったことを確認できるようにすることで、両者が分離した形跡の有無を問わず証拠能力を高めることができるとの知見を得た。
そこでこのようなことを実現するためにさらに検討を行った。
台紙側には署名捺印がされることから台紙は真正である。したがって、台紙に張り合わされている粘着シートが張り合わされた当初のものと同一のものであることを確認できるようにすればよい。そのために、粘着シートと台紙とを貫通するようにして刻印をし、しかもその刻印を通常の方法では再現できず、しかも簡易に刻印できるようにするにはどうすればよいかを鋭意検討した。
本発明はこのような発想の転換と検討に基づきなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
前記鑑識用転写シートの少なくとも一辺に前記台紙と前記粘着シートの両方に跨って複数の記号が連続して刻印されており、これら記号における隣接するものの大きさ及び隣接する記号同士の間隔が異なるように設定され、かつ前記刻印はレーザによってなされており、前記台紙と前記粘着シートの両方を刳り貫くように刻印されるか又は前記台紙を刳り貫いて前記粘着シートには熱による着色するように刻印されていることを特徴とするものである。
なお、本明細書において記号には文字、数字、その他の記号を含む。
なお、「pt」とは、文字サイズを示すものであり、JISで採用されている1ポイント=0.3514mmを意味する。
本実施の形態においては鑑識用転写シートの例として、指紋を採取するための指紋転写シートを例に挙げて説明する。
図1、図2、図3は本実施の形態にかかる指紋転写シートの説明図であり、図1が表面側(粘着シート面側)を示し、また図2が裏面側(台紙側)を示し、さらに図3は断面図を示している。本実施の形態にかかる指紋転写シート1は、片面に粘着剤層3を備えた粘着シート5と前記粘着剤層3に再貼付可能に貼り合わせられた台紙7とを備え、指紋転写シート1の上下二辺に台紙7と粘着シート5の両方に跨って英文字が連続して刻印されており、これら英文字における隣接するものの大きさ及び隣接するもの同士の間隔が異なるように設定されているものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
指紋転写シート1は、図3に示すように、片面に粘着剤層3を備えた粘着シート5と粘着剤層3に再貼付可能に貼り合わせられた台紙7とからなる。
台紙7には、図2に示すように、採取日時、事件名、採取者、立会人等の一まとまりの記載事項を記載できる枠(以下、「記載枠」という)が6個印刷されている。
なお、本実施の形態の指紋転写シート1では、記載枠が6個印刷された場合が示されているが、その数は特に限定されない。ただ、記載枠を複数印刷しておくことで、指紋転写シート1を指紋採取対象の大きさに合わせて切断して使用する際にも、切断した各片に記載枠が少なくとも一つ存在するようにできるので、便宜である。
例えば、図2における上辺に刻印した文字のうち左から「HIJTYH」の6文字を取り出して各文字の大きさと文字間隔を示す次の表1のようになっている。
なお、取り出した6文字に続く文字についても上記の6文字と同様に隣り合う各文字の大きさが微妙に異なるように設定されており、かつ隣り合う各文字間の間隔が微妙に異なるように設定されている。
指紋転写シート1は所定の大きさに切り取って使用することになるが、その際に各切り取った部位に付されている文字列のパターン(大きさと文字間隔)の同じものが存在しないので、仮に悪意の者が別の粘着シート5に指紋を転写して台紙7に貼りつけようとしても、パターンの文字列の粘着シート5がないので、そのようなことができない。また、仮に粘着シート5に付された刻印と同じものを刻印しようとしても、文字の大きさ及び文字間隔が微妙に違ったものを作成しようとしても極めて困難であり、そのような悪意者の行為も排除できる。
図7は本発明の一実施の形態に係る指紋転写シート製造装置の説明図である。指紋転写シート製造装置9は、刻印する文字列を入力する文字列入力手段11と、入力された文字列に対して、各文字の大きさ及び/または文字間隔をランダムに設定するランダム文字列設定手段13と、ランダム文字列設定手段13によって設定された文字列を刻印するためにレーザ刻印装置17に指示する制御手段15と、制御手段15の指示にしたがって指紋転写シート1に文字列の刻印をするレーザ刻印装置17を備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
文字列入力手段11としては、例えばキーボードなどである。その他の例としては、音声によって文字列を入力する音声文字入力装置のようなものであってもよい。
ランダム文字列設定手段13は、文字列入力手段11によって入力された文字列に対して、各文字の大きさ及び/または文字間隔をランダムに設定するものであり、CPUがプログラムを実行することで実現されるものである。
ランダム文字列設定手段13による文字列の設定方法の一例を、例えば、実施の形態1で説明したような「HIJTY」の5文字からなる文字列が入力された場合を想定して説明する。
実施の形態1で説明したように、「HIJTY」の5つの文字列において、隣り合う各文字の大きさや、隣り合う各文字間の間隔がランダムに設定される。
(ア) 基礎となるL文字の文字列SをS=C1+C2+・・・・・+C(L−1)+CLとする。
ただし、Lは1以上の整数、Sは任意もしくは連番で与えられる。
例えば、L=5の場合において、上記の5文字を用いると、文字列Sは、「S=HIJTY」となる。
(イ)刻印する文字列DはD=S1+S2+・・・・・+S(K−1)+SKとなる。
ただし、K=(刻印可能幅)÷(文字列Sの最大値)
例えば、印刷可能幅が15cmであり、文字列Sの最大幅が5cmであれば、K=3となる。
K=3の場合、上記の基礎となる文字列SがS=HIJTYの場合、刻印する文字列Dは、
D=HIJTYHIJTYHIJTYとなる。
(ウ)SNのCMのポイント数はPN.Mとする。
(エ)SNのCMの前の文字との文字間長はWN.Mとする。
但し、W1.1は絶対座標0からの長さとする。
(オ)PN.M及びWN.Mの具体的なポイント数は、N=1からLまで、M=1からKまでに関して下記(i)(ii)の方法で各々の値を作成する。
なお、PN.M並びにWN.Mは、刻印装置の刻印精度以下にならないように計数と定数で調整される。
(i) PN.M=乱数×計数+定数
(ii) WN.M=乱数×計数+定数
指紋の採取現場において、指紋の採取対象物の表面に刷毛などで粉末を少しずつ塗布し、穂先で軽く払うようにして指紋隆線の部分だけに粉末を付着させて指紋を浮き上がらせる。次に、図8(a)に示すように、指紋転写シート1を指紋採取面積に応じて鋏などで切断する。ことのとき、切り取った指紋転写シート片19の裏面を示す図8(b)のように、指紋転写シート片19の裏面には、一まとまりの必要事項記載欄を含む記載枠が少なくとも一つ含まれるようにするのが望ましい。
また、指紋転写シート1を指紋採取対象面積に対応した大きさに切断して使用した場合にも適用できるので、極めて経済的である。
3 粘着剤層
5 粘着シート
7 台紙
9 指紋転写シート製造装置
11 文字列入力手段
13 ランダム文字列設定手段
15 制御手段
17 レーザ刻印装置
19 指紋転写シート片
Claims (3)
- 片面に粘着剤層を備えた粘着シートと、前記粘着剤層に再貼付可能に貼り合わせられた台紙とを備え、前記台紙には採取日時、採取者を含む一まとまりの記載事項を記載できる記載枠が複数印刷されている鑑識用転写シートであって、
前記鑑識用転写シートの少なくとも一辺に前記台紙と前記粘着シートの両方に跨って複数の記号が連続して刻印されており、これら記号における隣接するものの大きさ及び隣接する記号同士の間隔が異なるように設定され、かつ前記刻印はレーザによってなされており、前記台紙と前記粘着シートの両方を刳り貫くように刻印されるか又は前記台紙を刳り貫いて前記粘着シートには熱による着色するように刻印されていることを特徴とする鑑識用転写シート。 - 隣接する記号の大きさ及び/または隣接するもの同士の間隔が0.5pt以内の範囲で異なるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の鑑識用転写シート。
- 片面に粘着剤層を備えた粘着シートと前記粘着剤層に再貼付可能に貼り合わせられた台紙とを備え、前記台紙には採取日時、採取者を含む一まとまりの記載事項を記載できる記載枠が印刷されている鑑識用転写シートの少なくとも一辺に記号を連続して刻印する刻印工程を有し、該刻印工程において、隣接する記号の大きさ及び隣接する記号同士の間隔が異なるように刻印するようにし、前記刻印はレーザを照射することにより前記台紙と前記粘着シートの両方を刳り貫くように刻印するか又は前記台紙を刳り貫いて前記粘着シートには熱による着色するように刻印することを特徴とする鑑識用転写シート製造方法。
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