JP5159026B2 - 水溶液中のイオン性物質吸着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、水溶液中の特定イオン性物質を層状複水酸化物で選択的に吸着する吸着剤に関するものである。
層状複水酸化物は、下記化学式(1)
[(M2+)1-x(M3+)x(OH)2x+[An- x/n・yH2O]x- ・・・(1)
(式(1)中、M2+は前記2価金属イオン、M3+は前記3価金属イオン、0<x<1、An-はn価の陰イオン、yH2Oは層間水)
であって、難燃化剤、安定剤、成型改質剤および保湿性改良剤などとして、樹脂に添加され、利用されてきた。
特許文献1には、樹脂用の配合剤として、層状複水酸化物の層間にアミノ酸をインターカレートさせたものが記載されている。
また、層状複水酸化物は、陰イオン交換能を有することから、有害物質の吸着剤として用いられている。
特許文献2には、土壌中のフッ素及びホウ素を吸着固定化する方法として、層状複水酸化物を用いることが記載されている。
一方、人体や環境に悪影響を与える下記のような元素について厳しく規制が施されている。例えば、カドミウムは電池・メッキ・顔料等に使われており、鉱山排水・工場排水等のスラッジが廃棄された土壌等から河川等に混入する。イタイイタイ病の原因物質として知られている。水銀は温度計や歯科材料に使われており、有機水銀化合物は、水俣病の原因物質として知られている。セレンは半導体材料・薬剤・顔料等に使われており、自然水中に含まれることもあるが、その多くは鉱山排水・工場廃水等により混入する。鉛は鉛管・蓄電池・ハンダなどに使われ、工業製品中に添加物不純物として含まれており、環境中に広く分布している。ヒ素は合金・半導体材料として使われ、染料・製革・染料等の工場からの排水や農薬等が河川水中への汚染の原因となっている。六価クロムはクロム合金や皮なめしに使われており、工場排水等により混入し、検出されることがある。フッ素はフロンガス製造等に使われ、適量摂取は、虫歯の予防効果があるとされているが、高濃度で摂取した場合は斑状歯の症状が現れることがある。ホウ素は金属精錬時の脱酸剤、シリコン半導体のドーピング剤、原子炉の中性子吸着剤、医薬品、ガラス、ペイント、防腐剤、染料、顔料などに用いられる。亜鉛はトタン板・合金・乾電池等に使われ、高濃度に含まれると白濁の原因となる。鉄は鉱山排水・下水排水等からの混入や鉄管の使用で検出され、高濃度に含まれると異臭味や苦味を与える原因となる。銅は工場排水・農薬の混入や給水装置等に使われる銅管、真鍮器具等の溶出で検出され、高濃度であると洗濯物等を着色する原因となる。マンガンは合金・乾電池・ガラスなどに使われている。
ところが、溶液中に存在するこれらの物質の回収は、イオン交換樹脂、水酸化物、硫酸バンドによる凝集沈澱法などにより行われているが、他の物質が存在すると効率よく回収が行えないという問題点があり、効果的な選択的吸着性を有した吸着剤が望まれている。
特開2003−226681号公報 特開2004−321887号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、溶液中に存在する、人体や環境に悪影響を与える元素に対して、効果的な選択的吸着性を有する、安価な吸着剤を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、アルギニンが層間にインターカレートされた層状複水酸化物を有効成分としており、ホウ素を含む化合物であるイオン性物質を含んだ水溶液中の該ホウ素を含んでいる該イオン性物質を、pHの調整に応じて、選択的に該層状複水酸化物の層間に吸着し、又は吸着されている該イオン性物質を該層間から放出することによって、再生可能な吸着剤であって、該イオン性物質を該層状複水酸化物から分離して回収するものであることを特徴とする、ホウ素を含む化合物であるイオン性物質の分離回収用吸着剤である。
例えばこの吸着剤は、該イオン性物質が、カドミウム、鉛、水銀、セレン、銅、亜鉛、クロム、鉄、マンガン、ニッケル、スズ、アンチモン、モリブデン、砒素、フッ素、ホウ素、臭素を含む化合物とするものである。
請求項に記載の発明は、該イオン性物質が、ホウ酸であることを特徴とする請求項1に記載の吸着剤である。
該アルギニンが、例えば重合体のアミノ酸を構成する
請求項に記載の発明は、アミノ酸がインターカレートされた前記層状複水酸化物の外層酸化物に、Li、Al3+、Cr3+およびFe3+から選ばれる金属イオンと、Mg2+、Zn2+、Ca2+、Cu2+、Zr2+、Co2+、Ni2+、Fe2+およびMn2+から選ばれる金属イオンとの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の吸着剤である。
アミノ酸をインターカレートした層状複水酸化物は、簡便に効率的かつ高純度で調製される。1価および/または3価の金属イオンを含有する水溶性塩を0.1〜9モル当量、2価の金属イオンを含有する水溶性塩および/または2価金属の酸化物を0.25〜50モル当量、アミノ酸を0.1〜9モル当量用いることが好ましい。
本発明の吸着剤は、層状複水酸化物の層間にインターカレートしたアミノ酸の種類より、特定イオン性物質を選択的に吸着することができる。
本発明の吸着剤は、pHを調整することにより、層間に吸着したイオン性物質を放出させることができるため、再利用することが可能である。
吸着方法は、まず、吸着剤をイオン性物質が含まれる水溶液に入れ、イオン性物質と接触させる。水溶液中では層間のアミノ酸を配位子とした、錯体反応により、回収したいイオン性物質が選択的に吸着される。次に、濾過をしてイオン性物質が吸着した層状複水酸化物を回収する。
層間のアミノ酸を配位子とした、錯体反応により、選択的に吸着するため、アミノ酸の種類により、選択的に吸着されるイオン性物質が異なる。
カドミウム、水銀、銅の選択的吸着は、チオール基(−SH)又はヒドロキシル基(−OH)を有するアミノ酸をインターカレートした層状複水酸化物を用いる。
亜鉛、鉄、鉛の選択的吸着は、アシル基(−N−)を有するアミノ酸をインターカレートした層状複水酸化物を用いる。
ホウ素、フッ素、ヒ素、マンガン、クロムの選択的吸着は、イミド基(−NH−)又はアミジン基(−C=NH)を有するアミノ酸をインターカレートした層状複水酸化物を用いる。
また、吸着されるイオン性物質が複数の配位数をとる場合、配位数による立体配置が錯体形成に関係しているため、層間にインターカレートするアミノ酸を重合などして配位子の数を調整することで立体配置の違いによる選択的吸着が可能である。
さらに、吸着するイオン性物質が、両性物質であると、pHが高い時は、陰イオン性となり吸着され、pHが低い時は、陽イオン性となるため放出される。このことから、pHを調整することにより、層間に吸着した両性物質を放出させて、吸着剤を再生し、再利用することが可能である。
両性物質としては、例えば、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマスなどの酸化物が挙げられる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1 アルギニンをインターカレートしたMgAl系層状複水酸化物の合成)
アルギニン4.5g(0.026mol)をイオン交換水200gに溶解した。この時のpH値は8.98であった。次に硝酸マグネシウム6水和物9.9g(0.039mol)及び硝酸アルミニウム9水和物5.0g(0.013mol)を300gのイオン交換水に溶解し、混合金属水溶液を得た。アルギニン水溶液に、49%NaOH水溶液を用いてpH値8〜10になるように調整しながら混合金属水溶液を滴下していった。滴下終了後75〜80℃で加熱しながら24時間熟成した。得られた固体生成物をイオン交換水にて洗浄を行い、常温で乾燥し、アルギニン(NH2C=NHNH(CH2)3CH(NH2)CO2H)をインターカレートした層状複水酸化物を得た。
(実施例2 アルギニンをインターカレートしたZnAl系層状複水酸化物の合成)
アルギニン4.5g(0.026mol)をイオン交換水200gに溶解した。この時のpH値は9.12であった。次に硝酸亜鉛6水和物9.9g(0.039mol)及び硝酸アルミニウム9水和物5.0g(0.013mol)を300gのイオン交換水に溶解し、混合金属水溶液を得た。アルギニン水溶液に、49%NaOH水溶液を用いてpH値8〜10になるように調整しながら混合金属水溶液を滴下していった。滴下終了後75〜80℃で加熱しながら24時間熟成した。得られた固体生成物をイオン交換水にて洗浄を行い、常温で乾燥し、アルギニンをインターカレートした層状複水酸化物を得た。
(比較例1 アラニンをインターカレートしたMgAl系層状複水酸化物の合成)
アラニン2.3g(0.026mol)をイオン交換水200gに溶解した。この時のpH値は7.23であった。次に硝酸マグネシウム6水和物9.9g(0.039mol)及び硝酸アルミニウム9水和物5.0g(0.013mol)を300gのイオン交換水に溶解し、混合金属水溶液を得た。アラニン水溶液に、49%NaOH水溶液を用いてpH値8〜10になるように調整しながら混合金属水溶液を滴下していった。滴下終了後75〜80℃で加熱しながら24時間熟成した。得られた固体生成物をイオン交換水にて洗浄を行い、常温で乾燥し、アラニン(CH3CH(NH2)CO2H)をインターカレートした層状複水酸化物を得た。
(比較例2 グルタミン酸をインターカレートしたMgAl系層状複水酸化物の合成)
グルタミン酸3.8g(0.026mol)を49%NaOH4.2g(0.05mol)を溶解したイオン交換水200gに溶解し、グルタミン酸ナトリウム水溶液を調製した。この時のpH値は10.83であった。次に硝酸マグネシウム6水和物9.9g(0.039mol)及び硝酸アルミニウム9水和物5.0g(0.013mol)を300gのイオン交換水に溶解し、混合金属水溶液を得た。グルタミン酸ナトリウム水溶液に、49%NaOH水溶液を用いてpH値8〜10になるように調整しながら混合金属水溶液を滴下していった。滴下終了後75〜80℃で加熱しながら24時間熟成した。得られた固体生成物をイオン交換水にて洗浄を行い、常温で乾燥し、グルタミン酸(HO2CCH2CH2CH(NH2)CO2H)をインターカレートした層状複水酸化物を得た。
(比較例3 リシンをインターカレートしたMgAl系層状複水酸化物の合成)
49%NaOH2.1g(0.026mol)を溶解したイオン交換水200gにリシン4.7g(0.026mol)を溶解し、リシン水溶液を調製した。この時のpH値は9.89であった。次に硝酸マグネシウム6水和物9.9g(0.039mol)及び硝酸アルミニウム9水和物5.0g(0.013mol)を300gのイオン交換水に溶解し、混合金属水溶液を得た。リシン水溶液に、49%NaOH水溶液を用いてpH値8〜10になるように調整しながら混合金属水溶液を滴下していった。滴下終了後75〜80℃で加熱しながら24時間熟成した。得られた固体生成物をイオン交換水にて洗浄を行い、常温で乾燥し、リシンをインターカレートした層状複水酸化物を得た。
(比較例4 硝酸をインターカレートしたMgAl系層状複水酸化物の合成)
イオン交換水200gに硝酸ナトリウム2.2g(0.026mol)を溶解し、硝酸ナトリウム水溶液を調製した。この時のpH値は6.62であった。次に硝酸マグネシウム6水和物9.9g(0.039mol)及び硝酸アルミニウム9水和物5.0g(0.013mol)を300gのイオン交換水に溶解し、混合金属水溶液を得た。硝酸ナトリウム水溶液に、49%NaOH水溶液を用いてpH値8〜10になるように調整しながら混合金属水溶液を滴下していった。滴下終了後75〜80℃で加熱しながら24時間熟成した。得られた固体生成物をイオン交換水にて洗浄を行い、常温で乾燥し、硝酸をインターカレートした層状複水酸化物を得た。
(比較例5 硝酸をインターカレートしたZnAl系層状複水酸化物の合成)
イオン交換水200gに硝酸ナトリウム2.2g(0.026mol)を溶解し、硝酸ナトリウム水溶液を調製した。この時のpH値は6.70であった。次に硝酸亜鉛9.9g(0.039mol)及び硝酸アルミニウム9水和物5.0g(0.013mol)を300gのイオン交換水に溶解し、混合金属水溶液を得た。硝酸ナトリウム水溶液に、49%NaOH水溶液を用いてpH値8〜10になるように調整しながら混合金属水溶液を滴下していった。滴下終了後75〜80℃で加熱しながら24時間熟成した。得られた固体生成物をイオン交換水にて洗浄を行い、常温で乾燥し、硝酸をインターカレートした層状複水酸化物を得た。
(比較例6 層の構成成分がFe、Mg、Alからなる層状複水酸化物の合成)
イオン交換水200gに塩化ナトリウム1.5g(0.026mol)を溶解し、塩化ナトリウム水溶液を調製した。この時のpH値は6.30であった。次に塩化マグネシウム6水和物6.3g(0.031mol)及び塩化アルミニウム6水和物3.1g(0.013mol)及び塩化鉄6水和物1.2g(0.004mol)を300gのイオン交換水で溶解し、混合金属水溶液を得た。塩化ナトリウム水溶液に、49%NaOH水溶液を用いてpH値8〜10になるように調整しながら混合金属水溶液を滴下していった。滴下終了後75〜80℃で加熱しながら24時間熟成した。得られた固体生成物をイオン交換水にて洗浄を行い、常温で乾燥し、硝酸をインターカレートした層状複水酸化物を得た。
(比較例7 層の構成成分がMg、Li、Alからなる層状複水酸化物の合成)
イオン交換水200gに塩化ナトリウム1.5g(0.026mol)を溶解し、塩化ナトリウム水溶液を調製した。次に塩化マグネシウム6水和物4.1g(0.02mol)及び塩化アルミニウム6水和物3.1g(0.013mol)及び塩化リチウム0.5g(0.013mol)を300gのイオン交換水で溶解し、混合金属水溶液を得た。塩化ナトリウム水溶液に、49%NaOH水溶液を用いてpH値8〜10になるように調整しながら混合金属水溶液を滴下していった。滴下終了後75〜80℃で加熱しながら24時間熟成した。得られた固体生成物をイオン交換水にて洗浄を行い、常温で乾燥し、硝酸をインターカレートした層状複水酸化物を得た。
実施例1〜2、比較例1〜7で得られた層状複水酸化物を用いて、ホウ素の吸着試験を行った。
(ホウ酸水溶液吸着試験)
イオン交換水1000mlに、ホウ酸2.57g(0.04mol)を溶解し、49%NaOH水溶液を用いてpH8.34に調製した。
ホウ酸水溶液100ml中に実施例1〜2、比較例1〜7で得られた固体をそれぞれ0.1g入れ、25℃で2時間、スタラーにて攪拌した。
2時間後、固体と濾液に分離して、濾液中のホウ酸を定量することで吸着量を算出した。定量方法は滴定法に従った。濾液を10ml計り採り、フェノールフタレインを数滴加え発色させる。次に、0.5N塩酸にて溶液を透明にした後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液にてpH7に調整して、グリセリン水溶液(グリセリン/交換水=1.0の水溶液)を30ml加えて、0.1N水酸化ナトリウム水溶液にて濾液中のホウ酸量を定量した。3回繰り返しその平均値を測定値とした。吸着試験結果を表1に示す。
(混合処理液吸着試験)
イオン交換水1000mlに、ホウ酸0.25g(4.0×10-3mol)、フッ化ナトリウム0.17g(4.0×10-3mol)、燐酸ナトリウム12水和物1.5g(4.0×10-3mol)を溶解し、1N塩酸4ml(4.0×10-3mol)を用いてpH8.51に調製した。
混合処理液100ml中に実施例1及び実施例2をそれぞれ0.1g入れ、25℃で2時間、スタラーにて攪拌した。
2時間後、固体と濾液に分離して、濾液中のホウ酸を定量することで吸着量を算出した。定量方法は滴定法に従った。濾液を10ml計り採り、フェノールフタレインを数滴加え発色させる。次に、0.5N塩酸にて溶液を透明にした後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液にてpH7に調整して、グリセリン水溶液(グリセリン/交換水=1.0の水溶液)を30ml加えて、0.1N水酸化ナトリウム水溶液にて濾液中のホウ酸量を定量した。3回繰り返しその平均値を測定値とした。混合処理液を用いての吸着試験結果を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0005159026
ホウ酸水溶液を用いた吸着試験の結果、実施例1〜2は層間にアミノ酸をインターカレートしていない比較例4〜5と比べ、高いホウ酸吸着を示した。また、実施例1〜2の結果と比較例1〜3の結果から、層間にインターカレートしているアミノ酸の種類によってホウ酸の吸着量が異なることが示された。
混合処理液を用いた吸着試験の結果、実施例1及び実施例2は、層間交換容量に近いホウ酸吸着量を示した。この結果より、層間にインターカレートしているアルギニンが選択的ホウ酸吸着に関与していると推測できる。
(結晶構造解析)
実施例1、実施例2及びホウ酸吸着前後の実施例1をX線回折に供した。X線回折は、X線回折装置を使用し、対陰極に銅(Cu Kα λ=1.54Åとする。)を採用し、管電圧40kV,管電流100mA、スキャンスピード2.00°/minとした。そして、測定角度範囲2θ=2〜65°の範囲内でX線を照射し、回折図を得ると共に、ピークの先端から2θを求め、面間隔dをBraggの式(nλ=2dsinθ)に従い算出した。
混合処理液で処理を施す前後での実施例1の結晶構造を確認した。ホウ酸吸着前の実施例1回折結果に格子定数c0=25.8Å、a0=3.04Åの六方晶系として指数付けすると(003)、(006)といった回折ピークが観測されることから実施例1はc軸方向に積層した層状構造を持つといえる。また、格子定数a0の値は一般的に報告されている値(3.0Å)と一致する。従って実施例1は層状複水酸化物様化合物であるといえる。基本面間隔の値(8.6Å)から層の厚み4.8Åを差し引いた値(3.8Å)から、層間にアルギニンがインターカレートしていると考えられる。実施例2においても同様な回折パターンを観測されたことから、実施例2も層間にアルギニンをインターカレートした層状複水酸化物であるといえる。
次に、ホウ酸吸着後の実施例1の結果からは、格子定数c0=28Åの相(B相と以下略記)と、格子定数c0=7.7Å(F相と以下略記)の相が観測された。F相は文献値からフッ素イオンをインターカレートした層状複水酸化物の格子定数と一致することから、フッ素イオンを層間にインターカレートした層状複水酸化物によるものであるといえる。次に、ホウ酸吸着後の実施例1を50mlイオン交換水に投入して、0.1N塩酸によりpHを3に調製して、2時間常温攪拌した後に、固体を分離し、処理液中のホウ酸を定量した結果、0.2mmolのホウ酸を観測した。
この結果から、実施例1に吸着していたホウ酸がほぼ溶出していることがいえる。更に、この固体をXRDにより結晶構造解析をした結果、混合試験液で処理を施す前の実施例1が示す同一の格子定数c0=25.8Åの相が観測され、F相は若干残存していたが、B相は観測されなかった。この結果から、また、pHを調整することで層間に吸着したホウ酸が溶出することがわかった。また、実施例1が示す選択的ホウ酸吸着は他のアミノ酸に認められないアルギニンのアミジン基(RC(=NH)NH2R)が関与していると考えられる。層間にインターカレートしているアルギニンのアミジン基にホウ酸が挟まれる様な形で層間に取り込まれているのではないかと推測される。
次に、実施例1を用いて処理時間に対するホウ酸吸着量と処理pHによるホウ酸吸着量について試験した。結果を図1、2に示す。
図1からホウ酸の吸着量はホウ酸水溶液及び混合処理液において1時間でほぼ吸着量が平衡となっている。混合処理液における結果より、層間交換容量に近い値でホウ酸吸着量が平衡になっていることから、この結果においても層間に選択的にホウ酸が吸着していることが指示される。
図2の結果よりホウ酸吸着の最適値は8付近であることがいえる。pHの値が8より小さく又は大きくなるに従い、ホウ酸吸着量の低下が認められる。これは、ホウ酸のイオン価数の違いによるホウ酸の構造形態の変化に伴うものであると考えられる。この結果から、ホウ酸の構造形態によって層間への選択的吸着は影響を受けると考えられる。
本発明を適用する実施例1の処理時間に対するホウ酸吸着量を示す図である。
本発明を適用する実施例1の処理pHによるホウ酸吸着量を示す図である。

Claims (3)

  1. アルギニンが層間にインターカレートされた層状複水酸化物を有効成分としており、ホウ素を含む化合物であるイオン性物質を含んだ水溶液中の該ホウ素を含んでいる該イオン性物質を、pHの調整に応じて、選択的に該層状複水酸化物の層間に吸着し、又は吸着されている該イオン性物質を該層間から放出することによって、再生可能な吸着剤であって、該イオン性物質を該層状複水酸化物から分離して回収するものであることを特徴とする、ホウ素を含む化合物であるイオン性物質の分離回収用吸着剤。
  2. 該イオン性物質が、ホウ酸であることを特徴とする請求項1に記載の吸着剤。
  3. アミノ酸がインターカレートされた前記層状複水酸化物の外層酸化物に、Li、Al3+、Cr3+およびFe3+から選ばれる金属イオンと、Mg2+、Zn2+、Ca2+、Cu2+、Zr2+、Co2+、Ni2+、Fe2+およびMn2+から選ばれる金属イオンとの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の吸着剤。
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