JP5158158B2 - 携帯型無線通信機 - Google Patents

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Description

この発明は、防水に対応した携帯型無線通信機に関するものである。
音声を出力できるようにスピーカーを備えた携帯型無線通信機では、防水に対応したものでも、スピーカーの前面にグリルなどを設けて保護している。そのため、前記通信機が水没すると、グリル内に水が浸入して音が出なくなる問題があった。
これは、フロントグリル内に、例えば雨水や海水が大量に浸入すると、浸入した水の表面張力で前記グリルの格子に膜が形成されてしまい音が出なくなるからである。そのため、軽く衝撃を加えたり、乾燥させたりして侵入した水を排水してからでないと、使用できないという問題があった。
この問題を解決する一つの方法として、(特許文献1)には、図5のように、低周波発振回路1から、所定周波数の電気信号をアンプ2へ入力して、スピーカー3を作動するものが記載されている。このものは、スピーカー3を作動した作動音圧で直接グリル4の内側に侵入した異物を直接除去したり、あるいは、グリル4の内側に設けた防水膜(侵入防止膜)5を共振周波数で振動させて、防水膜5に付着した水やその他の異物を払い飛ばして除去したりするというものである。
特開2000−201388号公報
しかしながら、上記のスピーカーの作動音圧で直接グリル内の異物を除去するものでは、異物が除去されてグリル内から徐々に減少していくと、異物の減少した空隙から作動音圧が抜けて、残った異物に充分に音圧を与えられなくなり、最後まで除去し切れない問題がある。
一方、防水膜を共振周波数で振動させるものでは、低い音圧でも防水膜を振動させることはできるが、スピーカーからグリル内の空気に伝わった振動が、防水膜に伝達し、その防水膜を介して外界に音響を伝えるので、外界に音響が伝わるまでのエネルギー損失が大きく、音圧が充分に出ないので、水やその他の異物を除去する効果が充分ではない問題がある。
そこで、この発明の課題は、スピーカーグリル内に浸入した水を排水する充分な音圧が得られるようにすることである。
上記の課題を解決するため、この発明では、受信した音声信号の音量を調整する音量調整手段と、所定音量の排水信号を生成する排水信号生成手段と、排水動作を制御する制御手段と、前記音量調整手段の出力と排水信号生成手段の出力が入力され、その入力された音量調整手段の出力と排水信号生成手段の出力の一方を制御手段からの切替信号で切り替えて出力する信号切替回路と、前記切替回路の出力が入力される出力アンプと、前記出力アンプの出力が入力されるスピーカーと、前記スピーカーの前面に配置されたスピーカーグリルを備え、前記制御手段は、排水動作を開始すると、排水信号生成手段を作動して排水信号を生成するとともに、切替信号を出力して排水信号生成手段の排水信号を出力アンプに入力させるように前記切替回路を制御することで、音量調節手段の音量設定に関わらず、スピーカーを所定の音量の排水信号で振動させて、スピーカーグリル内の浸入水を排水するようにした構成を採用したのである。
このような構成を採用することにより、排水信号が音量調整手段を経由しないようにしたので、音量調整手段の音量設定に関わらず一定レベルの排水信号を信号切替回路を介して出力アンプへ入力できる。
このとき、上記出力アンプへの排水信号の入力時間を設定するタイマ手段を備えた構成を採用すれば、所定の時間で排水動作を止められるので無駄な電力消費を抑えられる。
また、上記グリルとグリルの内側に装着した異物侵入防止ネットとの間に排水路を設けた構成を採用することにより、前記排水路によってもグリルの排水が可能なので排水時間の短縮が図れる。
また、上記排水信号の生成をマイクロプロセッサのプログラムで行うようにした構成を採用することにより、周波数の変更がプログラムの書き換えで簡単に行える。そのため、例えば、スピーカーの特性や前記グリル内の容量が変わっても簡単に対応できる。
この発明は、以上のように構成したことにより、スピーカーグリル内に水が浸入してもスピーカーを振動させることにより排水して除去できる。また、このように、スピーカーを振動させることで排水できるので、通信中に水中に落とした場合や、突然高い水圧が与えられてスピーカーグリルの内部に水が浸入した場合でも、短期間で通信が可能な状態に復帰させることができる。
実施形態の正面図 図1の要部の拡大断面図 実施形態のブロック図 実施形態のフローチャート 従来例のブロック図
以下、この発明の最良の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この形態の携帯型無線通信機は、液晶画面10と操作スイッチ11を設けたフロントパネル12の下方に、スピーカーグリル13を設けた構造となっており、マイクや外部スピーカーなども接続できる構造となっている。
この形態のスピーカーグリル13は、横方向に形成されたスリット状のものを複数本並列に設けたもので、この各スリットは、図2のように、斜め下方向へ向けて開口させた構造となっており、水の浸入を抑制するようにしてある。
このスリットで構成される前記グリル13の内側には、図2に示すように、異物侵入防止ネット14が取り付けられており、その後方に内部スピーカー15を配置した構成となっている。
また、このグリル13と異物侵入防止ネット14の間には、隙間を設けて縦方向の排水路16を形成してある。
前記スピーカー15は、防水型のものを使用しており、図3のように、AFアンプ17と接続されている。前記AFアンプ17は、信号切替回路18bおよび電源電圧切替回路21と接続されており、前記信号切替回路18bは音量調節手段19に、前記音量調節手段19は信号切替回路18aに、前記信号切替回路18aは受信復調回路20にそれぞれ接続されている。また、前記電源電圧切替回路21と信号切替回路18a、bは、CPU(マイクロコンピュータ)22に接続されている。このCPU22は、操作スイッチ11とも接続されている。
前記AFアンプ17は、スピーカー15を作動するためのオーディオ用のアンプである。
また、信号切替回路18bは、後述する排水補助機能の動作の有無に応じて、前記AFアンプ17へ入力する信号を音量調整手段19から出力される信号か、あるいは、CPU22から出力する排水信号(BEEPLINEb)のいずれかに切り替えるためのものである。
ちなみに、信号切替回路18bには、外部出力用のAFアンプ23が接続されている。外部出力端子24に外部スピーカー、あるいはイヤホーンが接続されていると、受信復調信号の出力先を外部出力用のAFアンプ23へ切り替える。また、前記AFアンプ23は、電源電圧切替回路21に接続されており、外部スピーカーやイヤホーンの出力に合わせた電源電圧が供給できるようになっている。
音量調節手段19は、受信復調回路20からの受信信号(音声信号)の音量を調節するためのものである。ここでは、この音量調節手段19を、図3のように、信号切替回路18bの前段に設けたことで、排水信号は音量調節手段19を経由しないようにしてある。このようにしたことで、排水信号は、音量調節手段19の音量設定に関わらず一定レベルの出力が信号切替回路18bへ入力するようにしてある。
信号切替回路18aは、音量調整手段19へ入力する信号を受信復調回路20からの信号か、あるいは、CPU22から出力するBEEP信号(BEEPLINEa)のいずれかに切り替える。ちなみに、ここでのBEEP信号(BEEP LINEa)は、操作音などに用いられるものである。
受信復調回路20は、受信回路と復調回路から構成されるもので、受信信号を復調し、音声信号を音量調節手段19へ出力する。
電源電圧切替回路21は、AFアンプ17の電源電圧を排水補助機能の動作中か否かに応じて切り替えるためのものである。この形態の無線通信機では、通信系に7Vの電圧を供給し、それ以外の制御系及びオーディオ系に5Vを供給する2電圧式で、ここでは、通信系へ供給する7Vの電池出力Vccを分圧して制御系及びオーディオ系に供給するようにしている。そのため、図3の符号21で模式的に示すように、例えば、スイッチ回路で分圧回路をバイパスすることにより、通常、音声通信時に5VのAFアンプ17の電源電圧を、排水補助機能の動作時に7〜8V(動作時の前記アンプの電池電圧)にする。すると、前記スピーカー15の出力は、通常の音声出力時に0.8W程度であったものが排水補助機能の動作時には、1.8〜2.0W程度にすることができる。このように電源電圧を上昇させることで、スピーカー15の出力を大きくして高い音圧を得られるようにしてある。
また、電源電圧切替回路21には、このように分圧回路をバイパスするものに代えて、図3の符号21´で示すように昇圧回路(例えば、チャージポンプなど)を設けて、AFアンプ17へ排水補助機能の動作時に高い電圧を印加するようにしてもよい。このようにすると、通信系と制御系及びオーディオ系との電圧が同じ場合でもAFアンプ17に高い電圧を供給できるので好都合である。なお、スピーカー15には、この出力に耐えるものを採用するのは当然である。
CPU22は、制御用に設けたもので、通信制御やスイッチなどの操作系の制御と同時に、電源電圧切替回路21を制御して排水補助機能の動作に合わせてAFアンプ17の電源電圧を切替える。すなわち、AFアンプ17の電源電圧を排水機能に合わせて高くする。
また、CPU22は、信号切替回路18を制御して、AFアンプ17への入力信号を切り替える。すなわち、AFアンプ17への入力信号を、音量調節手段19を介して受信復調回路20から入力される音声信号と、CPU22が自ら出力する排水信号(例えば、BEEP音などの200Hz程度の低周波信号:この信号の周波数は、スピーカー15の特性、前記グリル13内の容量、その他、通信機の形状に合わせて適宜決められるものである。)を切替えて入力する。
さらに、CPU22は、排水機能の動作をストップさせるタイマ手段(内蔵)を備えている。前記タイマ手段は、排水補助機能の動作の開始と同時に計時を開始する。そして、計時がタイムアップすると電源電圧切替回路21を元の状態に切り替える。
このようなCPU22による制御は、CPU22に記憶させる制御プログラムよって実現できる。そのため、前記プログラムを書き換えることで、例えば、無線通信機に使用するスピーカー15やスピーカーグリル13内の容量などによって排水信号の周波数やタイムアップの時間を適宜調整して最適な値にできる。
操作スイッチ11は、排水補助機能を開始させるためのもので、ここでは、例えば、「Ctrl+Hi/Lo」(これ以外でも番号キーや符号キーなどどの様なキーでも可)など複数のキーを組み合わせて操作する。このように複数のキーを組み合わせて作動させるようにしたことにより、間違って通常の無線通信機の操作に影響を与えないようにしてある。このキー操作は、CPU22が読み込んで処理を実行する。
この形態は、上記のように構成されており、次に、排水補助機能についての動作を図4のフローチャートに基づいて説明する。
例えば、この通信機を水没させた場合には、まず、この通信機を作動(パワーオン)する(「処理」100:以下、「処理」省略)。すると、CPU22が受信中かどうかをチェックする(110)。このとき、受信中でなければ、送信中である(120)。
また、処理110で、受信中の場合には、外部スピーカーやマイクが接続されていないかをチェックする(130)。このとき、外部スピーカーやマイクが接続されていた場合は、排水補助機能を禁止して(140)、電源電圧切替回路21を切り替えて、AFアンプ17の電源電圧を排水時の高い電圧(例えば、7〜8V程度)に切り替えたのち、信号切替回路18を切り替えて、受信復調回路20からの受信復調信号をAFアンプ23へ入力し(150)、外部出力端子24へ出力する (160)。
また、先の処理130で外部スピーカーやマイクが接続されていなかった場合は、排水補助機能を作動させるキー操作が行われているかどうかをチェックする (170)。このとき、キー操作が行われていなかった場合は、電源電圧切替回路21でAFアンプ17の電源電圧を通常の通信状態の電圧に切り替えたのち (例えば5V)、受信復調回路20の出力信号を、信号切替回路18からAFアンプ17へ入力し (180)、内部スピーカーから出力する(190)。
一方、処理170でキー操作が行われた場合は、電源電圧切替回路21を切り替えて、AFアンプ17の電源電圧を排水時の高い電圧(例えば、7〜8V程度)に切り替えたのち、信号切替回路18を切り替えて、CPU22から排水用のBEEP音などの低周波信号をAFアンプ17へ入力し(200)、前記低周波信号でスピーカー15を駆動する(210)。
この間、スピーカー15の振動板の前面からは、前記グリル13の間に浸入した水の一部が、機器本体を動かすことにより、前記グリル13に設けた排水路16を通って排水される。具体的には、振動板の曲面の内部に溜まった水や異物侵入防止ネット上に表面張力で膜になって溜まっている水の一部が排水される。次に、排水補助機能が機能を始め、スピーカー15が作動すると、作動したスピーカー15の音圧によって、前記グリル13から水が噴き出し始める。
排水補助機能を作動させた当初は、前記グリル13内を水が満たしているので、その間は、排水用信号のBEEP音は外部に伝わらず、排水のみが行われる。そして、水が無くなると、排水信号の音が聞こえ始める。9〜10秒程度経過すると、CPU22のタイマ手段がタイムアップしてBEEP音は自動的に終了する。そのため、この動作時間内に排水信号の音声が聞こえれば、排水が完了したのである。
このように、排水時にAFアンプ17の電源電圧を高くして、AFアンプ17に低周波の信号を入力するようにしたので、通信中に比べて高い(例えば、2倍またはそれ以上の)音圧をグリル内の浸入水に与えることができる。そのため、高い排水効果を得ることができる。
また、この形態では、音量調節手段19を、信号切替回路18と受信復調回路20の間に設けたので、排水補助機能の動作時には、排水信号は音量調節手段19を経ることなく、AFアンプ17で増幅されて、スピーカー15へ入力される。従って、音声受信時の音量の大小に係らず、排水信号は一定の音量で出力されるので、操作ミスによる排水能力の低下を起こすことが無く、常に、決められた排水能力を発揮することができる。
また、高い音圧が得られるので、機器本体を寝かせた状態でも排水できる。そのため、船上など揺れる場所で排水させる際にも机上において排水させることができるので好都合である。
また、長期間通信に使用しない場合に、排水補助機能を動作させれば、スピーカー15を活性化させて経年変化を防ぐ効果も有しており、スピーカーのメンテナンスに用いることもできる。
13 スピーカーグリル
16 排水路
17 AFアンプ
18 信号切替回路
19 音量調節手段
20 受信復調回路
21 電源電圧切替回路
22 CPU

Claims (6)

  1. 携帯型無線通信機であって、
    受信した音声信号の音量を調整する音量調整手段(19)と、
    所定音量の排水信号としてBEEP信号を生成する排水信号生成手段(22)と、
    排水動作を制御する制御手段(22)と、
    前記音量調整手段(19)の出力と排水信号生成手段(22)の出力が入力され、その入力された音量調整手段(19)の出力と排水信号生成手段(22)の出力の一方を制御手段(22)からの切替信号(b)で切り替えて出力する信号切替回路(18b)と、
    前記切替回路(18b)の出力が入力される出力アンプ(17)と、
    前記出力アンプ(17)の出力が入力されるスピーカー(15)と、
    前記スピーカー(15)の前面に配置されたスピーカーグリル(13)を備え、
    前記制御手段(22)は、排水動作を開始すると、排水信号生成手段(22)を作動してBEEP信号を生成するとともに、切替信号(b)を出力して排水信号生成手段(22)のBEEP信号を出力アンプ(17)に入力させるように前記切替回路(18b)を制御することで、音量調節手段(19)の音量設定に関わらず、スピーカー(15)を所定の音量のBEEP音で振動させて、スピーカーグリル(13)内の浸入水を排水するようにした携帯型無線通信機。
  2. 上記制御手段(22)は排水動作時に、電源電圧切替手段(21)によって出力アンプ(17)への印加電圧を復調音声出力時の電圧より高い電圧へ切り替え、かつ、信号切替回路(18b)によって出力アンプ(17)へ排水信号を連続的に出力することにより、スピーカー(15)への出力電圧の振幅を音声信号出力時よりも大きくして、スピーカーグリル(13)内に侵入した水を排水する請求項1に記載の携帯型無線通信機。
  3. 上記出力アンプ(17)への排水信号の入力時間を設定するタイマ手段(22)を備えた請求項1または2に記載の携帯型無線通信機。
  4. 上記グリル(13)とそのグリル(13)の内側に装着した異物侵入防止ネット(14)との間に排水路(16)を設けた請求項1乃至3のいずれかに記載の携帯型無線通信機。
  5. 上記排水信号の生成をマイクロプロセッサ(22)のプログラムで行うようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯型無線通信機。
  6. 上記スピーカー(15)が防水型であって、所定の音量の排水信号で振動させた音圧をスピーカーグリル(13)内の侵入水に与えることによって排水するようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の携帯型無線通信機。
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