JP5158115B2 - 現像装置、プロセスユニット、画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、感光体上の静電潜像を現像する現像装置、当該現像装置を有するプロセスユニットおよび画像形成装置に関する。
プリンタ、複写機等の電子写真方式の画像形成装置では、通常、画像データに対応したトナー画像を現像装置によって感光体ドラム上に形成し、そのトナー画像を、直接、あるいは、中間転写ベルト等に転写した後に、記録紙、OHPシート等の記録シートに転写し、さらにその後に、定着装置において、トナー画像を当該記録シートに定着するようになっている。
現像装置には、トナーのみによって構成される1成分現像剤を用いる場合と、トナーと磁性のキャリアとを含む2成分現像剤を用いる場合とがある。2成分現像剤を用いる現像装置には、通常、2成分現像剤が収容されたハウジング内に、感光体ドラム上の静電潜像をトナーで現像する現像ローラと、現像ローラに2成分現像剤を供給する供給スクリューと、供給スクリューに現像剤を供給する撹拌スクリューとが設けられている。感光体ドラム、供給スクリューおよび撹拌スクリューは、それぞれが略水平な状態で相互に平行になっている。
ハウジング内の2成分現像剤は、ハウジング内を撹拌スクリューによって搬送される間に撹拌および混合されることによりトナーが帯電状態とされる。帯電状態になったトナーは、キャリアとともに供給スクリューへと搬送される。供給スクリューは、撹拌スクリューの搬送方向とは逆方向に2成分現像剤を搬送する。供給スクリューによって搬送されるトナーおよびキャリアは、現像ローラに供給される。
現像ローラに供給されたキャリアは、現像ローラの周面上において磁気ブラシを形成し、磁気ブラシに付着したトナーが、感光体ドラム上の静電潜像を現像する。現像ローラに供給されないトナーおよびキャリアは、供給スクリューの搬送方向下流側の端部から、撹拌スクリューの搬送方向の上流側の端部へと搬送される。このように、ハウジングの内部において、トナーおよびキャリアは、撹拌スクリューおよび供給スクリューによって循環される。
画像形成装置では、感光体ドラムに対する現像剤の供給量が一定になるように、感光体ドラム、現像ローラ、供給スクリューおよび撹拌スクリューが水平状態になるように設置することが望ましい。画像形成装置が水平に設置されない場合には、ハウジング内の現像剤が偏った状態になり、感光体ドラムに対する現像剤の供給量が一定にならず、感光体ドラム上に形成されるトナー画像の品質が低下するおそれがある。
例えば、撹拌スクリューの搬送方向上流側(供給スクリューの搬送方向下流側)の端部が、撹拌スクリューの搬送方向下流側(供給スクリューの搬送方向上流側)の端部よりも下方に位置するように現像装置が傾斜した状態になると、ハウジング内に収容された現像剤は、撹拌スクリューの搬送方向上流側(供給スクリュー73の下流側)の端部へと流動して、その端部において溜まった状態になる。
このような状態になると、撹拌スクリューが配置された撹拌室内における現像剤の上面レベルが、撹拌スクリューの搬送方向上流側端部において、撹拌スクリューの搬送域よりも上方になり、この部分に溜まった現像剤が、撹拌スクリューによって供給スクリューの上流側の端部に安定的に搬送されない状態になる。これにより、供給スクリューにて搬送される現像剤量が低下し、現像ローラに供給される現像剤量が低下することによって感光体ドラムにトナーを安定的に供給できなくなる。
近年、画像形成装置の小型化および低価格化が要望されており、このことから、現像装置のハウジング内に収容される現像剤量を減らして、撹拌スクリュー等を小型化することによって現像装置を小型化することにより、画像形成装置を小型化することが行われている。このような小型の画像形成装置では、現像装置が傾斜していない水平状態においても、供給スクリューによって搬送される現像剤量が少なくなっている。
このために、上記のように、撹拌スクリューの搬送方向上流側の端部が、他方の端部よりも下方に位置した傾斜状態になると、小さな傾斜角度で傾斜した状態になっても、供給スクリューによって所定量の現像剤が搬送されない搬送不良が生じる確率が高くなる。その結果、現像ローラに所定量の現像剤が供給されないことにより、感光体ドラム上の静電潜像が良好にトナー現像することができないおそれがある。
特許文献1には、現像装置が傾斜状態になった場合に、現像スリーブの周面上において、傾斜方向の下側に移動した現像剤を、現像スリーブの搬送方向中央部側に向うように整流する整流フィンを設ける構成が開示されている。
また、特許文献2には、ドクターブレードによって現像ローラから掻き取られた現像剤を、現像ローラの軸方向に沿って搬送する搬送スクリューを設け、搬送スクリューに現像剤を流下させるセパレータ(規制部材)に、現像剤を搬送スクリューの搬送方向上流側に傾斜した状態で案内するフィンを設けるとともに、現像剤の偏りに応じてフィンの傾斜角度を変更させるバランサを設ける構成が開示されている。
特開2001−117337号公報 特開2002−278270号公報
特許文献1および2に開示された構成では、現像スリーブが所定の傾斜状態になった場合に、供給スクリューから現像スリーブの周面上へ搬送される現像剤量を均一化することは可能である。しかしながら、特許文献1および2のいずれも、撹拌スクリューの搬送方向上流側の端部が下流側の端部よりも低くなることにより、撹拌スクリューによる搬送効率が低下することを解消することはできない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、撹拌スクリューおよび供給スクリューのように、水平方向に沿って相反する逆向きに現像剤を搬送させる第1および第2の現像剤搬送部材によって現像剤を循環させる際に、第1および第2の現像剤搬送部材による搬送方向が水平方向に対して傾斜した状態になっても、現像剤の搬送効率が低下するおそれのない現像装置を提供することにある。本発明の他の目的は、そのような現像装置を有するプロセスユニットおよび画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る現像装置は、ハウジングの内部に、トナーを含む現像剤を水平方向に沿った状態で第1方向に搬送する第1現像剤搬送部材が配置された撹拌室と、現像剤を、前記第1方向とは逆向きの第2方向に搬送する第2現像剤搬送部材が配置された供給室とが設けられており、前記第2現像剤搬送部材にて搬送される現像剤が現像ローラに供給されて、当該現像ローラによって感光体上の静電潜像をトナーで現像する現像装置であって、前記ハウジングの内部に、前記第1現像剤搬送部材にて搬送される現像剤を、前記第2現像剤搬送部材の搬送方向の上流側の端部へと導く第1連通部と、前記第2現像剤搬送部材にて搬送される現像剤を、前記第1現像剤搬送部材の搬送方向の上流側の端部へと導く第2連通部とが設けられており、前記第2連通部は、当該第2連通部が前記第1連通部よりも低くなるように前記ハウジングが傾斜した場合に、その傾斜角度が増加するに連れて、前記撹拌室側に導かれる現像剤量が減少するように構成されている。
また、本発明に係るプロセスユニットは、前記現像装置を有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記現像装置を有することを特徴とする。
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記プロセスユニットを有することを特徴とする。
本発明の現像装置では、第1現像剤搬送部材の搬送方向上流側に位置する第2連通部が、第1連通部よりも低くなるようにハウジングが傾斜すると、当該第2連通部を通って撹拌室内に導かれる現像剤量が減少するために、現像剤が撹拌室内における当該第2連通部の近傍において溜まるおそれがない。従って、第2連通部の近傍において現像剤が溜まることによって第1現像剤搬送部材による現像剤の搬送効率の低下が生じないために、供給室内における現像剤量が低下せず、供給室内において現像剤を安定的に現像ローラに供給することができる。
好ましくは、前記第2連通部は、当該第2連通部の前記供給室側に位置する流入口よりも前記撹拌室側に位置する流出口側の方が前記第1連通部に近いことを特徴とする。
好ましくは、前記第2連通部は、2つの対向する内面を有しており、一方の内面は、前記第2現像剤搬送部材の搬送方向下流側において、前記流入口から前記流出口にかけて、順次、前記第1連通部に接近するように傾斜したガイド面であり、当該ガイド面における前記流出口側の端部に位置する側縁部が、他方の内面における前記流入口側の端部に位置する側縁部よりも前記第1連通部に接近していることを特徴とする。
好ましくは、前記2つの内面が相互に平行になっていることを特徴とする。
好ましくは、前記第2連通部は、当該第2連通部が前記第1連通部よりも低くなるように前記ハウジングが傾斜した場合に、その傾斜角度が増加するに連れて、当該傾斜方向に沿った前記第2連通部の開口面積を小さくする開口面積変更手段が設けられていることを特徴とする。
好ましくは、前記開口面積変更手段は、前記第2連通部が前記第1連通部よりも低くなるように前記ハウジングが傾斜した場合に、自重によって前記第2連通部の開口内に突出して当該第2連通部内の一部を遮蔽するように設けられた遮蔽板と、当該遮蔽板の前記第2連通部内への突出量が前記傾斜角度に略比例するように当該遮蔽板を付勢する付勢手段とを有することを特徴とする。
好ましくは、前記ハウジング内には、トナーとともにキャリアが収容されていることを特徴とする。
本発明の実施形態に係る現像装置が設けられた画像形成装置であるタンデム型カラーデジタルプリンタの構成を示す模式図である。 図1に示すプリンタのプロセスユニットに設けられた現像装置の横断面図である。 図2のE−E線に沿った断面図である。 図2のF−F線に沿った垂直方向の断面図である。 図3において「P」で示す主要部の拡大図である。 本実施形態の現像装置を所定方向に傾斜させた場合における現像スリーブへの現像剤の供給量の良否についての実験結果を示すグラフである。 本実施形態の現像装置における変形例の主要部の断面図である。 本実施形態の現像装置におけるさらに他の変形例の主要部の断面図である。 その現像装置における現像スリーブへの現像剤の供給量の良否についての実験結果を示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係る現像装置の主要部の断面図である。 図10に示す現像装置の動作を説明するための主要部の断面図である。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態に係る現像装置が設けられた画像形成装置であるタンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という)の構成を示す模式図である。このプリンタは、プリント(印刷)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいて、周知の電子写真方式により、フルカラーあるいはモノクロの画像を記録用紙、OHPシート等の記録シートに形成する。
プリンタは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによるトナー画像を記録シート上に形成する画像形成部Aと、画像形成部Aの下方に配置された給紙部Bとを備えている。給紙部Bは、記録シートSが内部に収容された給紙カセット51を備えており、給紙カセット51内の記録シートSが画像形成部Aに供給される。
画像形成部Aは、プリンタのほぼ中央部において一対のベルト周回ローラ42および43に水平状態で巻き掛けられて周回移動可能になった中間転写ベルト41を備えている。中間転写ベルト41は、図示しないモーターによって、矢印Xで示す方向に周回移動するようになっている。
中間転写ベルト41の下方には、プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kが、中間転写ベルト41の周回移動方向の上流側からその順番で配置されている。各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーによって中間転写ベルト41上にトナー画像を形成する。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれは、画像形成部Aに対して着脱可能に構成されており、プリンタにおける正面側から背面側(内奥側)に向って画像形成部Aの内部に挿入されることにより画像形成部Aに装着される。各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれは、寿命に達すると新たなプロセスユニット10Y、10M、10C、10Kに交換される。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kは、使用されるトナーの色が異なること以外は、同様の構成になっているために、以下においては、主として、プロセスユニット10Yの構成について説明する。
プロセスユニット10Yには、中間転写ベルト41に対向して水平状態に配置された感光体ドラム11が設けられている。この感光体ドラム11は、軸方向が、中間転写ベルト41の幅方向に沿った状態になっており、プリンタにおける正面側の端部から内奥側の端部にわたって直線状に延びている。各感光体ドラム11は、矢印Eで示す方向に回転されるようになっている。
全てのプロセスユニット10Y、10M、10C、10Kの下方には、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれの感光体ドラム11の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する露光装置17が設けられている。露光装置17は、画像形成部Aに取り付けられている。
プロセスユニット10Yには、対向する感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる帯電装置12が設けられている。帯電装置12は、感光体ドラム11の表面上における露光装置17からのレーザ光の照射位置に対して回転方向の上流側において、感光体ドラム11に近接した状態で対向している。帯電装置12にて帯電された感光体ドラム11の表面には、露光装置17から照射されるレーザ光によって静電潜像が形成される。
感光体ドラム11の表面おけるレーザ光が照射される位置に対して感光体ドラム11の回転方向の下流側には、現像装置20が配置されている。現像装置20は、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像する。
現像装置20に対して感光体ドラム11の回転方向の下流側(感光体ドラム11の上方)には、中間転写ベルト41を挟んで感光体ドラム11に対向して配置された1次転写ローラ15が設けられている。現像装置20にて現像された感光体ドラム11上のトナー画像は、1次転写ローラ15によって中間転写ベルト41の外周面上に転写される。なお、1次転写ローラ15は、画像形成部Aに取り付けられている。
他のプロセスユニット10M、10C、10Kにおける感光体ドラム11上にも、それぞれの感光体ドラム11上に形成された画像を中間転写ベルト41に転写する1次転写ローラ15が配置されており、各1次転写ローラ15のそれぞれが画像形成部Aに取り付けられている。それぞれの感光体ドラム11上に形成されたトナー画像は、各1次転写ローラ15によって、中間転写ベルト41上の同一領域上にそれぞれ転写される。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kには、トナー画像が中間転写ベルト41上に転写された後の感光体ドラム11の表面を清掃する清掃装置14がそれぞれ設けられている。各清掃装置14は、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kにおける感光体ドラム11の表面のトナー画像が中間転写ベルト41に転写される位置よりも感光体ドラム11の回転方向下流側にそれぞれ配置されている。
中間転写ベルト41は、各1次転写ローラ15によって転写されたそれぞれのトナー画像を、K色のトナー用のプロセスユニット10Kに近接して配置された一方のベルト周回ローラ42にまで搬送する。このベルト周回ローラ42には、中間転写ベルト41を介して2次転写ローラ54が対向配置されている。2次転写ローラ54は中間転写ベルト41に圧接されており、その圧接部分に、トナー画像を記録シートに転写する転写ニップが形成されている。
転写ニップには、給紙部に設けられた給紙カセット51内の記録シートSが、給紙ローラ52によって搬送される。記録シートSは、タイミングローラ対53によって、中間転写ベルト41上に形成されたトナー画像が転写ニップに搬送されるタイミングに同期して搬送される。中間転写ベルト41上に形成されたトナー画像は、転写ニップを通過する記録シートSに圧接されると、2次転写ローラ54によって形成される電界の静電力によって記録シートS上に一括して転写される。
なお、中間転写ベルト41上のトナー画像を形成するトナーは、2次転写ローラ54の静電力によっては完全に記録シート上に転写されず、一部が中間転写ベルト41上に残留する場合がある。この場合の中間転写ベルト41上の残留トナーは、プロセスユニット10Yに近接して配置されたベルト周回ローラ43に対して中間転写ベルト41を介して対向配置された残留トナー除去装置57によって、電気的および機械的に除去される。除去されたトナーは、廃トナーとして廃トナーボトル58に貯留される。
転写ニップを通過した記録シートSは、画像形成部Aの上部に設けられた定着部60に搬送される。定着部60には、相互に圧接された加熱ローラ61および加圧ローラ62を備えており、加熱ローラ61および加圧ローラ62の間には、両者が相互に圧接されていることによって定着ニップが形成されている。加熱ローラ61の軸心部にはヒータランプ63が配置されており、ヒータランプ63によって加熱ローラ61が加熱される。
転写ニップを通過して定着部60に搬送される記録シートSのトナー画像は、記録シートSが定着ニップを通過する間に加熱および加圧されて記録シートS上に定着される。定着部60においてトナー画像が定着された記録シートSは、トナー画像が形成された面を下方に向けた状態で、プリンタの上部に設けられた排紙トレイ56上に排出される。
各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kにそれぞれ設けられた現像装置20は同様の構成をしており、各現像装置20の内部には、2成分現像剤(キャリアおよびトナー)が収容されている。各現像装置20は、対向配置されたそれぞれの感光体ドラム11上に形成された静電潜像を、2成分現像剤を用いてトナー現像するように構成されている。
図2は、現像装置20の横断面図、図3は、図2のE−E線に沿った水平方向の断面図、図4は、図2のF−F線に沿った垂直方向の断面図である。
図2に示すように、現像装置20は、感光体ドラム11の軸方向に沿って長く延びるハウジング21を有しており、ハウジング21の内部には、トナーおよびキャリアを含む2成分現像剤が収容されている。ハウジング21の内部は、感光体ドラム11に近接して配置された供給室21sと、供給室21sにおける感光体ドラム11とは反対側の下部に配置された撹拌室21pとが設けられている。供給室21sと撹拌室21pとは、隔壁部26によって区画されている。
ハウジング21には、供給室21sの上部において、感光体ドラム11の下部外周面に対向するように開口部21aが設けられており、供給室21sの上部には、開口部21aを介して感光体ドラム11の下部外周面に対向した現像ローラ25が配置されている。供給室21s内の下部には、現像ローラ25に対向して、第2現像剤搬送部材としての供給スクリュー23が配置されている。
現像ローラ25は、従来の2成分現像剤を用いた現像装置において使用される現像ローラと同様に、感光体ドラム11に平行に配置された円筒状の現像スリーブ25aと、現像スリーブ25a内に設けられた磁気ローラ25bとを有している。磁気ローラ25bは、ハウジング21に対して固定されており、現像スリーブ25aは、磁気ローラ25bの周囲を回転するように、ハウジング21に支持されている。現像スリーブ25aは、図2に矢印Yで示す方向に回転駆動されるようになっている。
供給スクリュー23は、図3に示すように、軸心部に設けられた回転軸23aと、回転軸23aにおける両側の各端部を除いた周囲に所定方向に螺旋状に巻き付けられた状態の搬送羽根23bとを有している。回転軸23aは水平状態になった現像スリーブ25aに平行になっている。回転軸23aの各端部は、プリンタの正面側に位置するハウジング21の端面(以下、正面側端面とする)21b、および、プリンタの背面側に位置するハウジング21の端面(以下、背面側端面とする)21cに、それぞれ回転可能に支持されている。
回転軸23aは、回転力が伝達されることによって、所定方向に回転されるようになっている。搬送羽根23bは、回転軸23aが所定方向に回転されることにより、回転軸23aと一体となって回転して、図3に矢印D3で示す水平方向に現像剤を搬送するように構成されている。搬送羽根23bにて搬送される現像剤の一部は、現像スリーブ25aの外周面上に供給される。
図2に示すように、撹拌室21pの内部には、第1現像剤搬送部材としての撹拌スクリュー22が配置されている。撹拌スクリュー22は、供給スクリュー23の斜め下方において、供給スクリュー23とは隔壁部26を挟んで隣接しており、供給スクリュー23とは平行な水平状態になっている。撹拌スクリュー22の軸心は、供給スクリュー23の軸心を通る水平面に対して、例えば下方に15°程度の角度で傾斜した平面上に位置している。
図3に示すように、隔壁部26は、撹拌室21pおよび供給室21sの長手方向に沿って長くなった帯板状をしている。隔壁部26の幅方向(長手方向および厚さ方向のそれぞれと直交する方向)は、供給スクリュー23の軸心と撹拌スクリュー22の軸心とを含む平面に対して直交状態になっている。従って、隔壁部26の幅方向は、垂直面に対して15°程度の角度で傾斜している。
隔壁部26は、全体にわたって一定の厚さ(本実施形態では10mm)であり、供給室21sの内部に面した供給室内面26bと、撹拌室21pの内部に面した撹拌室内面26cとが相互に平行になっている。従って、供給室内面26bおよび撹拌室内面26cは、それぞれ、垂直面に対して15°程度の角度で傾斜している。
図3および図4に示すように、撹拌室21pに設けられた撹拌スクリュー22は、供給スクリュー23よりも長くなっており、ハウジング21の正面側端面21bに、一方の端部(正面側端部)が回転可能に支持された回転軸22aと、回転軸22aにおける両側の各端部を除いた周囲に螺旋状に巻き付けられた状態の搬送羽根22bとを有している。この搬送羽根22bは、供給スクリュー23の搬送羽根23bとは、逆方向に螺旋状態に巻き付けられている。
撹拌スクリュー22の回転軸22aにおける背面側端部は、ハウジング21における背面側端面21cよりもプリンタの背面部に近接しており、その回転軸22aの背面側端部が、円筒状のケーシング部21dによって覆われている。ケーシング部21dは、供給スクリュー23の回転軸23aを支持する背面側端面21cに一体的に取り付けられており、ケーシング部21dの背面側の端面21hに、撹拌スクリュー22の回転軸22aの背面側の端部が回転可能に支持されている。ケーシング部21dの上部には、トナー搬送管(図示せず)から供給されるトナーの補給口21eが設けられている。
撹拌スクリュー22の回転軸22aは、供給スクリュー23における回転軸23aとは逆方向に回転されるようになっている。撹拌スクリュー22の搬送羽根22bは、回転軸22aの回転によって、供給スクリュー23による現像剤の搬送方向とは逆向き(図3に矢印D1で示す略水平方向)に、撹拌室21p内の現像剤を搬送するようになっている。
図2に示すように、撹拌室21pの底面21fは、撹拌スクリュー22における搬送羽根22bの回転領域に沿って半円筒形状になっており、供給室21sの底面21gも、供給スクリュー23における搬送羽根23bの回転領域に沿って半円筒形状になっている。撹拌室21pの底面21fと、供給室21sの底面21gとは、それぞれ隔壁部26に接続されている。
撹拌室21pの底面21fは、円筒形状のケーシング部21dの下部の半円筒形状の周面部分に連続しており、ケーシング部21dの内部が、撹拌室21pの一部を構成している。ケーシング部21dの上部に設けられたトナー補給口21eからケーシング部21d内に流入するトナーは、撹拌スクリュー22の搬送方向上流側端部における搬送羽根22bの回転領域へと流下する。
撹拌スクリュー22の搬送方向上流側端部に供給されたトナーは、撹拌スクリュー22が回転することによって、撹拌室21p内の現像剤とともに、図3に矢印D1で示すように、回転軸22aに沿ってハウジング21の正面側端面21bに向って水平方向に搬送される。これにより、現像剤は、撹拌スクリュー22の搬送方向下流側の端部へと搬送される。
図3に示すように、ハウジング21の内部には、隔壁部26における長手方向の両側において、撹拌室21pの内部と供給室21sの内部とを連通させる第1連通部28および第2連通部29がそれぞれ設けられている。第1連通部28は、撹拌スクリュー22の下流側端部および供給スクリュー23の搬送方向の上流側端部にそれぞれ対向しており、第2連通部29は、撹拌スクリュー22(第1現像剤搬送部材)の搬送方向の上流側端部および供給スクリュー(第2現像剤搬送部材)23の下流側端部にそれぞれ対向している。
撹拌室21p内を撹拌スクリュー22によって搬送される現像剤は、搬送方向下流側の端部において、図3に矢印D2で示すように、第1連通部28を通って、供給室21s内に供給される。供給室21s内に供給された現像剤は、供給スクリュー23によって、図3に矢印D3で示す方向に搬送される。この搬送の間に、現像剤の一部が、現像ローラ25の現像スリーブ25aにおける外周面上に供給される。
供給スクリュー23によって現像スリーブ25aに供給されなかった現像剤は、供給スクリュー23の搬送方向の下流側端部に搬送され、この下流側端部において、第2連通部29内を、図3に矢印D4で示す方向に流動して、撹拌室21p内へ供給される。撹拌室21p内へ供給された現像剤は、撹拌スクリュー22によって、第1連通部28に向って搬送される。以上のようにして、現像剤はハウジング21の内部を循環する。
供給スクリュー23によって現像ローラ25に供給される現像剤は、固定状態になったマグネットローラ25bの周囲を回転する現像スリーブ25aの外周面上で、マグネットローラの磁極によって磁気ブラシを形成し、磁気ブラシに付着したトナーが、感光体ドラム11の静電潜像に付着する。これにより、感光体ドラム11の静電潜像がトナー現像される。
なお、このような現像動作の実行時に、ハウジング21内に収容された現像剤のトナー濃度が、例えば磁気センサー(図示せず)によって検出されており、磁気センサーによって検出されるトナー濃度が、予め設定された値よりも小さくなると、対応するトナーカートリッジ(図示せず)からトナー搬送管(図示せず)を介して、ハウジング21のケーシング部21dに設けられた補給口21eにトナーが供給される。
第1連通部28は、供給スクリュー23の搬送方向上流側端部に近接して配置された隔壁部26の長手方向の一方の端部と、この端部に対向してハウジング21の正面側端面21bに設けられたガイド体24との間に形成されている。第1連通部28の中心軸は、撹拌スクリュー22および供給スクリュー23のそれぞれの長手方向に対して直交しており、また、第1連通部28における隔壁部26の長手方向に沿った開口幅は、全体にわたって一定になっている。
図5は、図3における「P」で示す主要部の拡大図である。図5に示すように、供給スクリュー23の搬送方向下流側端部に近接した隔壁部26の長手方向の端部と、この端部に対向してハウジング21の背面側端面21cに設けられたガイド部材27とによって、第2連通部29が形成されている。ガイド部材27は、隔壁部26の厚さ方向および幅方向のそれぞれに沿った寸法が、隔壁部26のそれぞれの同方向の寸法に等しくなっており、隔壁部26に沿って配置されている。
ガイド部材27は、供給スクリュー23の搬送方向下流側において、第2連通部29内に流入する現像剤を撹拌室21pに導くガイド面(内面)27aを有しており、このガイド面27aが、第2連通部29の一方の内面を形成している。ガイド部材27には、隔壁部26の撹拌室内面26cとは同一平面上に位置するガイド部材側面27bを有しており、ガイド面27aが、ガイド部材側面27bに対して所定の鋭角(α)を形成するように傾斜した平坦面になっている。なお、ガイド面27aは、供給室21s側において、ハウジング21の背面側端面21cに突き当てられている。
隔壁部26には、ガイド面27aとは第2連通部29を挟んで対向した対向面(内面)26aが設けられている。対向面26aは、隔壁部26における供給室内面26bに対して所定の鋭角(α)を形成するように傾斜した平坦面になっている。ガイド面27aと対向面26aとは相互に平行になっており、従って、対向面26aは、隔壁部26における撹拌室内面26cとは、鈍角(180°−α)を形成している。
第2連通部29には、供給室21s内を供給スクリュー23によって搬送される現像剤が流入し、第2連通部29の内部を撹拌室21p内に向って流動する。第2連通部29の中心軸は、ガイド面27aと対向面26aとが相互に平行になっているために、隔壁部26の供給室内面26bに対して所定の鋭角(α)で傾斜している。従って、第2連通部29内に流入した現像剤は、第2連通部29の中心軸に沿って導かれて、撹拌室21pに接近するに連れて、順次、第1連通部28に接近するように流動することになる。
第2連通部29における現像剤の流入口は、隔壁部26における供給室内面26bと対向面26aとが相互に突き合されて所定の鋭角(α)を形成する流入口第1側縁26dと、ガイド部材27のガイド面27aとハウジング21の背面側端面21cとが突き合されて形成された流入口第2側縁27dとによって、供給室21sの内部に向って開口した状態になっている。
第2連通部29における現像剤の流出口は、隔壁部26の撹拌室内面26cと対向面26aとによって形成される流出口第1側縁26eと、ガイド部材27のガイド面27aとガイド部材側面27bとによって形成される流出口第2側縁27cとによって、撹拌室21pの内部に向って開口した状態になっている。
本実施形態では、第2連通部29における流入口第1側縁26dが、流出口第2側縁27cよりも、供給スクリュー23の搬送方向下流側(撹拌スクリュー22の搬送方向の上流側)に位置しており、従って、流出口第2側縁27cが流入口第1側縁26dよりも第1連通部28に接近した状態になっている。
このような構成の現像装置20が設けられたプリンタは、通常、事務所等の室内において、各プロセスユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれの感光体ドラム11が、軸方向(主走査方向)に沿って水平状態になるように設置される。しかしながら、このような水平状態に設置されることなく、正面側部分が背面側部分に対して上方に位置するように傾斜した状態になる場合がある。このような場合には、各現像装置20も同様の傾斜状態になる。
この場合、第2連通部29の中心軸が、供給室21s側に位置する流入口から、撹拌室21p側に位置する流出口にかけて、順次、第1連通部28に接近するように傾斜しているために、第1連通部28が第2連通部29よりも上方に位置するようにハウジング21が傾斜した状態になると、第2連通部29の中心軸は、水平方向に対する傾斜角度が小さくなる。
これにより、供給室21s内から、第2連通部29内を通過して撹拌室21p内に流入する単位時間当たりの現像剤の流動量が減少する。このために、従来のように、撹拌室21p内における第2連通部29の近傍において現像剤が溜まるおそれがない。従って、従来の現像装置のように、撹拌スクリュー22の外側に位置する現像剤が搬送されにくくなるような現象が生じることがなく、撹拌スクリュー22によって円滑に現像剤が搬送される。
その結果、第1連通部28を通って撹拌室21p内から供給室21sへ流動する現像剤量が低下するおそれがない。これにより、供給室21s内の供給スクリュー23により、現像ローラ25の現像スリーブ25aに対して現像剤を安定的に供給することができ、現像スリーブ25aによって供給されるトナーにより、感光体ドラム11の静電潜像を良好に現像することができる。
なお、本実施形態の現像装置20においては、撹拌スクリュー22は、供給スクリュー23の斜め下方において、供給スクリュー23とは平行に配置されていたが、このような構成に限らず、撹拌スクリュー22が、供給スクリュー23に対して垂直方向の下方に配置される構成、あるいは、撹拌スクリュー22が、供給スクリュー23に対して水平方向に並んで配置される構成であってもよい。
撹拌スクリュー22が、供給スクリュー23に対して垂直方向の下方に配置される構成の場合には、撹拌スクリュー22および供給スクリュー23のそれぞれの軸心を通る平面に垂直な断面は、図5に示された構成と同様の構成になる。
この場合にも、現像装置20のハウジング21が、第1連通部28が第2連通部29よりも上方に位置するように傾斜した状態になると、第2連通部29の中心軸は、水平面に対する傾斜角度が小さくなる。これにより、第2連通部29を通って供給室21sから撹拌室21pへ流動する現像剤量が低下する。その結果、供給室21s内における現像剤量が低下せず、現像ローラ25の現像スリーブ25aに対して、現像剤が安定的に供給される。
また、撹拌スクリュー22が、供給スクリュー23に対して水平方向に並んで配置される構成の現像装置20の場合にも、第1連通部28が第2連通部29よりも上方に位置するようにハウジング21が傾斜した状態になると、第2連通部29における撹拌室21p側に位置する流出口が、供給室21s側に位置する流入口よりも第1連通部28に接近していることにより、上方への移動量が大きくなる。
その結果、撹拌スクリュー22の搬送能力以上の現像剤が流入することにより撹拌スクリュー22の外側の領域に現像剤が無駄に溜まって総循環現像剤量が減少するということもなく、もって、供給室21sから撹拌室21pへと流動する現像剤量が低減される。これにより、供給室21s内における現像剤量が低下せず、現像ローラ25の現像スリーブ25aに対して、現像剤が安定的に供給される。
撹拌スクリュー22が供給スクリュー23の垂直方向の下方に設けられている構成(撹拌スクリュー22および供給スクリュー23のそれぞれの軸心を通る垂直断面が、図5に示す構成)になった本実施形態の現像装置20について、以下の条件で、第1連通部28が第2連通部29よりも上方に位置するようにハウジング21を傾斜させた場合に、現像ローラ25の現像スリーブ25aに対する現像剤の供給不良が発生するかについて、実験を行った。
現像ローラ25の現像スリーブ25aとして、外径が16mmのアルミニウム(Al)の円筒体を用いた。現像スリーブ25aの外周面は、サンドブラスト表面処理を行っている。現像スリーブ25aの回転数は360r.p.m.とした。
供給スクリュー23は、直径が6mmの回転軸23aに、直径(スクリュー径)が14mmであってピッチが25mmの螺旋状の搬送羽根23bが設けられた構成になっている。供給スクリュー23の回転数は、340r.p.m.とした。
撹拌スクリュー22は、現像剤の搬送方向が逆向きになるように、搬送羽根22bの螺旋の方向を、供給スクリュー23の搬送羽根23bの構成を逆向きにしたこと以外は、供給スクリュー23と同様の構成とした。
現像剤として、フェライトコアをアクリルMEC(Micro Engineering Coating)した体積平均粒径33μmのキャリアと、スチレン−アクリル樹脂を乳化重合法によって製造した体積平均粒径6.5μmのトナーとによって構成して、7%のトナー濃度でハウジング21内に200g収容した。
なお、第1連通部28における開口部分を37mm×16mmの長方形状、第2連通部29における開口部分10mm×10mmの正方形状とした。また、第2連通部29は、供給スクリュー23の軸心方向に対する傾斜角度αが30°になるように形成されている。
このような条件において、現像装置20のハウジング21を、第1連通部28が第2連通部29よりも上方および下方に位置するよう傾斜させて、その傾斜角度を変化させた場合における現像スリーブ25aへの現像剤供給量について検証した。なお、現像スリーブ25aへの現像剤供給量は、現像スリーブ25aの外周面に付着する現像剤量に基づいている。その結果を、図6のグラフに示す。
図6のグラフでは、第1連通部28が第2連通部29よりも上方に位置するように傾斜させた場合(この場合の傾斜角度をマイナス(−)としている)とともに、第2連通部29が第1連通部28よりも上方に位置するように傾斜させた場合(この場合の傾斜角度をプラス(+)としている)も示している。なお、現像スリーブ25aの外周面によるトナーの搬送量が200g/m以下の場合には、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良(NG)であると判定した。
図6のグラフに示すように、現像装置20の傾斜角度が−10°になっても、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良(NG)は発生しなかった。ただし、現像装置20の傾斜角度が−10°を越えると、供給室21sの内部における第2連通部29の近傍において溜まった現像剤は、現像ローラ25が嵌合されたハウジング21の開口部21aを通って流出する現象が発生した。
比較のために、第2連通部29に対向したガイド面27aを、撹拌スクリュー22および供給スクリュー23のそれぞれの搬送方向に対して直交する方向に沿って形成したこと以外は、上記の実験に使用した現像装置20と同様の構成にした現像装置に対して、同様の条件で実験を行った。その実験結果(比較例)を、図6のグラフに破線で示す。この場合には、ハウジングの傾斜角度が、水平に対して−2°を超えることにより、現像スリーブへの現像剤の供給不良(NG)が発生した。
なお、撹拌スクリュー22が、供給スクリュー23に対して垂直方向の下方に配置される構成の現像装置20の場合には、本実施形態のように、ガイド面27aにおける撹拌室21p側の流出口第2側縁27c(撹拌スクリュー22の搬送方向上流側に位置している)が、第2連通部29に対向する対向面26aの流入口第1側縁26d(供給スクリュー23の搬送方向上流側に位置している)よりも、第1連通部28側に位置していることが好ましい。
このような構成により、第2連通部29よりも第1連通部28が上方に位置するように、現像装置20のハウジング21が傾斜した状態になると、第2連通部29内に流入する現像剤がガイド面27aに衝突してガイド面27aに沿って流動することになり、ガイド面27aの水平方向に対する傾斜角度が小さくなっていることによって、第2連通部29内を通過する現像剤の流動速度が低下する。これにより、供給室21sから撹拌室21p内に供給される単位時間当たりの現像剤量を減少させることができる。
なお、本実施形態においては、このような構成に限らず、第2連通部29に対向する対向面26aの流入口第1側縁26dに対して、ガイド面27aの流出口第2側縁27cを、供給スクリュー23の搬送方向下流側(撹拌スクリュー22の搬送方向の上流側)に位置させる構成であってもよい。
図7および図8は、このような構成とした第2連通部29の具体例をそれぞれ示している。図7は、撹拌スクリュー22が、供給スクリュー23に対して垂直方向の下方に配置された現像装置20において、供給スクリュー23の軸方向に対するガイド面27aの傾斜角度を、180°−60°(従って、供給スクリュー23の軸方向に対する対向面26aの傾斜角度を60°)として、対向面26aと、ガイド部材27のガイド面27aとが上下方向に重ならない構成としている。
また、図8は、撹拌スクリュー22が、供給スクリュー23に対して垂直方向の下方に配置された現像装置20において、隔壁部26の厚さを、前記実施形態における隔壁部26の厚さの1/2(=5mm)として、第2連通部29に対向する対向面26aとガイド面27aとが上下方向に重ならない構成としている。
図7および図8の構成の現像装置20では、図5に示す現像装置20よりも、第2連通部29を通過する現像剤量は若干増加するが、ハウジング21の傾斜による現像スリーブ25aへのトナーの供給不良が発生することを抑制することができる。
図7および図8の構成の現像装置20についても、前述した実験と同様の実験を行って、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良(NG)が発生するかを検証した。その実験結果を、図9のグラフに示す。図9のグラフにおいて、図7に示す構成の現像装置20の実験結果を実線で示しており、図8に示す構成の現像装置20の実験結果を一点鎖線で示している。なお、図9における破線は、図6のグラフに破線で示された比較例の実験結果である。
図7に示す構成の現像装置20の場合には、現像装置20の傾斜角度が水平状態に対して−4°を超えると、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良が発生したが、比較例の場合の傾斜角度(−2°)よりも、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良が発生する現像装置20の傾斜角度が大きくなっている。
図8に示す構成の現像装置20の場合には、現像装置20の傾斜角度が水平状態に対して−5°を超えると、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良が発生したが、この場合も、比較例の場合の傾斜角度(−2°)よりも、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良が発生する現像装置20の傾斜角度が大きくなっている。
なお、本実施形態では、現像装置20における撹拌スクリュー22および供給スクリュー23のそれぞれの構成、両者の配置、トナーおよびキャリアの構成等によって、撹拌スクリュー22および供給スクリュー23による現像剤の搬送量等が変化するために、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良が発生するガイド面27aの傾斜角度も変化する。このために、第2連通部29の傾斜角度、軸方向長さ、断面積の大きさ、断面形状等については、撹拌スクリュー22および供給スクリュー23の構成等に応じて、適宜、設定すればよい。
例えば、第2連通部29のガイド面27aが供給スクリュー23の搬送方向に対して直交する方向に沿って形成されている場合に、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良が発生する現像装置20の傾斜角度に基づいて、第2連通部29における供給スクリュー23に対する傾斜角度、軸方向長さ、断面積の大きさ等を設定すればよい。
<実施形態2>
図10は、本発明の実施形態2における現像装置20の第2連通部29の構成を示す断面図である。本実施形態では、撹拌スクリュー22が、供給スクリュー23に対して垂直方向の下方に配置されており、従って、現像装置20が主走査方向に沿って配置されると、隔壁部26は水平状態になる。第2連通部29は、ハウジング21の背面側端面21cと、隔壁部26の対向面26aとの間に形成されている。隔壁部26の対向面26aは、ハウジング21の背面側端面21cと平行になっている。
隔壁部26における背面側端部には、収納室26mが内部に形成されている。この収納室26mは、隔壁部26の幅方向のほぼ全域にわたって形成されている。隔壁部26の対向面26aを有する側壁部には、隔壁部26の厚さ方向の中央部において、収納室26mの内部と第2連通部29とを連通する連通口26nが設けられている。収納室26mの内部には、第2連通部29における隔壁部26の長手方向に沿った開口幅を変更することにより、現像剤が通過する開口部分の面積を変更する開口面積変更手段30が設けられている。
開口面積変更手段30は、隔壁部26の幅方向のほぼ全域にわたって延びる帯板状に形成された遮蔽板31を有している。遮蔽板31は、収納室26mの内部において、隔壁部26の長手方向に沿って平行移動可能に配置されている。遮蔽板31は、収納室26m側(第2連通口29側)の端部が低くなるように隔壁部26が傾斜することにより、自重によって収納室26mの内部を平行移動する。これにより、遮蔽板31は、隔壁部26に設けられた連通口26nを通って、第2連通部29内に突出する。
連通口26n内に突出した遮蔽板31は、収納室26m側(第2連通口29側)の端部が低くなるように隔壁部26が傾斜して連通口26nに突出することにより、連通口26nにおける隔壁部26側の側部を遮蔽する。これにより、第2連通部29における隔壁部26の長手方向(傾斜方向)に沿った開口幅が短くなり、第2連通部29内における現像剤の通過領域の開口面積が減少し、第2連通部29内を流動する現像剤量が低減される。
遮蔽板31には、収納室26mの内奥側に位置する側部にストッパー部31aが設けられている。ストッパー部31aは、遮蔽板31が連通口26nを通って第2連通部29内に、所定の長さにわたって突出することにより、遮蔽板31が収納室26mから抜け出ることを防止するようになっている。
なお、現像装置が想定よりも大きく傾斜した状態になっても、遮蔽板によって連通口が完全に遮断されないようにストッパー部の寸法を設定することが好ましい。遮断されると、撹拌室へ現像剤が全く搬送されなくなるので、供給室内で現像剤が詰まり現像装置が壊れる可能性が高い。
収納室26mの内部には、遮蔽板31を収納室26m内に付勢する付勢手段として引っ張りバネ32が設けられている。引っ張りバネ32は、例えば、隔壁部26の幅方向の中央部に配置されている。引っ張りバネ32の一端は、収納室26mの内奥側の内面に取り付けられており、引っ張りバネ32の他端は、遮蔽板31に取り付けられている。引っ張りバネ32は、収納室26m側(第2連通口29側)の端部が低くなるように隔壁部26が傾斜する場合に、傾斜角度が1°増加する毎に、第2連通口29内に突出する遮蔽板31の長さが1mm増加するように、所定のバネ定数に設定されている。
このような構成の現像装置20では、第1連通部28が第2連通部29よりも上方に位置するように現像装置20のハウジング21が傾斜すると、遮蔽板31には、その傾斜角度に応じた重力が加わる。これにより、図11に示すように、遮蔽板31は、重力によって、連通口26nを通って第2連通部29内に突出して、第2連通部29における隔壁部26に沿った開口幅を短くする。
この場合、第2連通部29内に突出する遮蔽板31の長さは、現像装置20の水平方向に対する傾斜角度が1°増加する毎に1mm増加するように、引っ張りバネ32のバネ定数が設定されているために、ハウジング21の傾斜角度の増加に比例して、第2連通部29内に突出する遮蔽板31の長さが増加することになる。従って、現像装置20の水平方向に対する傾斜角度が増加するにつれて、遮蔽板31による第2連通部29の遮蔽面積が大きくなる。
このように、遮蔽板31が第2連通部29内に突出した状態になると、第2連通部29の内部における隔壁部26の対向面26aに隣接する部分が遮蔽され、第2連通部29における隔壁部26の長手方向に沿った開口幅が小さくなる。この場合、第2連通部29内に突出する遮蔽板31の長さが、ハウジング21の水平方向に対する傾斜角度の増加に比例して増加するために、第2連通部29における当該開口幅も、ハウジング21の水平方向に対する傾斜角度の増加に比例して小さくなる。
第2連通部29における開口幅が小さくなると、供給室21sから第2連通部29を通って撹拌室21pへと流動する現像剤の単位時間当たりの搬送量が低下する。これにより、撹拌室21pにおいては、第2連通部29を通って流入する現像剤量が低下することになる。その結果、前記実施形態1の現像装置20と同様に、撹拌室21p内における第2連通部29の近傍において現像剤が溜まるおそれがないために、撹拌スクリュー22によって供給室21sへ搬送される現像剤量が低下しない。これにより、現像ローラ25の現像スリーブ25aに対して、現像剤を安定的に供給することができる。
本実施形態2の現像装置20についても、以下の条件で、前記実施形態1の現像装置20にて行った実験と同様の実験を行って、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良(NG)が発生するかを検証した。
本実施形態2の現像装置20における隔壁部26の厚さ(垂直方向の長さ)は10mmとした。遮蔽板31は、隔壁部26の長手方向に沿った長さは、ストッパー部31aも含めて12mm(但し、ストッパー部31a以外の長さは10mm)とした。また、ストッパー部31a以外の遮蔽板31における垂直方向の長さ(隔壁部26の厚さ方向に沿った長さ)は4mm、ストッパー部31aにおける隔壁部26の長手方向に沿った長さは2mm、垂直方向の長さ(隔壁部26の厚さ方向に沿った長さ)は6mmとした。遮蔽板31は、全体がSUSによって構成されており、その重量は40gになっている。
引っ張りバネ32は、第1連通部28が第2連通部29よりも上方に位置するように現像装置20のハウジング21を傾斜させた場合の水平方向に対する傾斜角度が1°(以下、この場合の傾斜角度をマイナス(−)とする)傾斜する毎に、遮蔽板31が第2連通部29内への突出量が1mmずつ増加するように、0.0068N/mmのバネ定数としている。
このような構成の本実施形態2の現像装置20では、ハウジング21が−10°の傾斜角度になっても、現像スリーブ25aへの現像剤の供給不良(NG)は発生しなかった。但し、ハウジング21の傾斜角度が−10°を越えると、供給室21sの内部における第2連通部29の近傍において溜まった現像剤が、ハウジング21における現像ローラ25が嵌合された開口部21aを通って流出するおそれがあった。
なお、本実施形態においても、現像装置20における撹拌スクリュー22および供給スクリュー23のそれぞれの構成、両者の配置、トナーおよびキャリアの構成等によって、撹拌スクリュー22および供給スクリュー23による現像剤の搬送量等が変化するために、現像スリーブ25aへのトナーの供給不良が発生する現像装置20の傾斜角度も変化する。このために、遮蔽板31の重量、引っ張りバネ32のバネ定数等については、撹拌スクリュー22および供給スクリュー23の構成等に応じて、適宜、設定すればよい。
<変形例>
本発明の構成は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明は、2成分現像剤を用いる現像装置に限らず、1成分現像剤を用いる現像装置にも適用できる。
また、本発明は、画像形成部Aに対して、現像装置20のみが装着可能になっている場合にも適用することができる。さらに、本発明に係る画像形成装置は、タンデム型カラーデジタルプリンタに限るものではなく、モノクロ画像を形成するプリンタであってもよく、しかも、プリンタに限らず、カラーまたはモノクロの画像を形成できる複写機、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等にも適用できる。
本発明は、現像剤を撹拌しつつ水平方向に沿って搬送する第1現像剤搬送部材と、第1現像剤搬送部材にて搬送される現像剤を第1現像剤搬送部材の搬送方向とは逆向きに搬送する間に現像ローラに供給する第2現像剤搬送部材とによって、現像剤を循環させる現像装置において、現像装置が水平方向に対して傾斜した場合に有用な技術である。
A 画像形成部
B 給紙部
10Y、10M、10C、10K プロセスユニット
11 感光体ドラム
20 現像装置
21 ハウジング
21p 撹拌室
21s 供給室
22 撹拌スクリュー
22a 回転軸
22b 搬送羽根
23 供給スクリュー
23a 回転軸
23b 搬送羽根
25 現像ローラ
25a 現像スリーブ
25b 磁気ローラ
26 隔壁部
26a 対向面
27 ガイド部材
27a ガイド面
28 第1連通部
29 第2連通部
30 開口面積変更手段
31 遮蔽板
32 引っ張りバネ

Claims (10)

  1. ハウジングの内部に、トナーを含む現像剤を水平方向に沿った状態で第1方向に搬送する第1現像剤搬送部材が配置された撹拌室と、現像剤を、前記第1方向とは逆向きの第2方向に搬送する第2現像剤搬送部材が配置された供給室とが設けられており、前記第2現像剤搬送部材にて搬送される現像剤が現像ローラに供給されて、当該現像ローラによって感光体上の静電潜像をトナーで現像する現像装置であって、
    前記ハウジングの内部に、前記第1現像剤搬送部材にて搬送される現像剤を、前記第2現像剤搬送部材の搬送方向の上流側の端部へと導く第1連通部と、前記第2現像剤搬送部材にて搬送される現像剤を、前記第1現像剤搬送部材の搬送方向の上流側の端部へと導く第2連通部とが設けられており、
    前記第2連通部は、当該第2連通部が前記第1連通部よりも低くなるように前記ハウジングが傾斜した場合に、その傾斜角度が増加するに連れて、前記撹拌室側に導かれる現像剤量が減少するように構成されていることを特徴とする現像装置。
  2. 前記第2連通部は、当該第2連通部の前記供給室側に位置する流入口よりも前記撹拌室側に位置する流出口側の方が前記第1連通部に近いことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記第2連通部は、2つの対向する内面を有しており、一方の内面は、前記第2現像剤搬送部材の搬送方向下流側において、前記流入口から前記流出口にかけて、順次、前記第1連通部に接近するように傾斜したガイド面であり、当該ガイド面における前記流出口側の端部に位置する側縁部が、他方の内面における前記流入口側の端部に位置する側縁部よりも前記第1連通部に接近していることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
  4. 前記2つの内面が相互に平行になっていることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
  5. 前記第2連通部は、当該第2連通部が前記第1連通部よりも低くなるように前記ハウジングが傾斜した場合に、その傾斜角度が増加するに連れて、当該傾斜方向に沿った前記第2連通部の開口面積を小さくする開口面積変更手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  6. 前記開口面積変更手段は、前記第2連通部が前記第1連通部よりも低くなるように前記ハウジングが傾斜した場合に、自重によって前記第2連通部の開口内に突出して当該第2連通部内の一部を遮蔽するように設けられた遮蔽板と、当該遮蔽板の前記第2連通部内への突出量が前記傾斜角度に略比例するように当該遮蔽板を付勢する付勢手段とを有することを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
  7. 前記ハウジング内には、トナーとともにキャリアが収容されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の現像装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の現像装置を有することを特徴とするプロセスユニット。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項8に記載のプロセスユニットを有することを特徴とする画像形成装置。
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