JP5155888B2 - ねじおよびドライバビット - Google Patents
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Description
図17(a)は、従来の十字溝ねじ101の頭部の平面図であり、同図(b)は、その頭部とドライバビットの一部切り欠き断面図である。
同図(a)に示すように、ねじ101の頭部102の駆動穴110は、4本の係合溝111が、中心から放射線状に90度の角をなして形成されてなり、各係合溝111の底面112は、同図(b)に示すように傾斜しており、駆動穴110は、深くなるほど細くなっている。
すなわち、呼び径が2mm以下のような小さなねじ(以下、「小径ねじ」という。)にあっては、頭部102の外径と厚みも非常に小さくなり、このような頭部102に、図17(b)に示しているのと同様に底の深い先細り形状の駆動穴110を設けると、ねじ101の強度が極端に弱くなり、いわゆる首飛び現象が発生することになるので、駆動穴110の深さを浅くせざるを得ない。
そうすると係合溝111の底面112の傾斜面の角度が平坦に近くなって、この部分でドライバビット120の先端穂先部121をガイドする機能を期待できなくなり、両者を軸合わせしながら係合させることが難しくなる。
この吸着方式は、スリーブ状のビットガイド内にドライバビットを同軸上に挿通し、当該ビットガイド内を後方(先端部と反対方向)に排気することにより、大気圧との差圧でビット先端にねじの頭部を吸着保持させるように構成されているものである(例えば、特開平8−19970号公報参照)。
上述のように小径ねじでは、係合溝111の底面112によるガイド機能が低下しているため、上記のようにねじ101をドライバビット120との中心軸がずれた状態で吸着すると、先端穂先部121をねじ101の駆動穴110にうまく係合させることができず、ねじ締め動作が的確に行えないおそれがある。
図18(a)は、ドライバビット120の先端穂先部121をねじ101の駆動穴110に同軸上に係合させた状態を示す平面図であり、駆動突起部は、ねじ頭部102上面を含む平面による断面形状で示している。
一方、このようなクリアランスが介在するということは、逆に言えば、ねじ101とドライバビット121の軸ずれを許容したままねじ締めが実行されるおそれがあることを意味し、ドライバビット121を回動させたときの係合羽根122の係合側面が係合溝111の係合内壁に当接する位置にばらつきが生じやすく、最悪の場合には図18(b)に示すように係合溝111の根元部分Pで当接することになる。
また、前記係合溝の係合内壁の点Kにおける曲率半径は、前記ドライバビットの係合側面の点Jにおける曲率半径と同じか若しくはこれよりも小さいことが望ましい。
ここで、前記駆動穴の、前記各係合溝の合流する部位の底面には、円筒状の凹部がねじの中心軸と同軸上に穿設されているとしてもよい。
また、前記各係合羽根の少なくとも前記駆動穴に挿入される部分の係合側面の、前記軸部の中心軸に直交する断面の形状が、軸部の中心軸を原点とし、平面視において隣接する2つの係合羽根の各中心線のなす角の2等分線上に焦点を有する双曲線形状もしくは放物線形状を有しているようにしても構わない。
ここで、前記円柱状の突起の外径は、前記ねじの各係合溝の幅よりも大きくすることが望ましい。
(1)ねじの形状
図1は、本発明の実施の形態に係るねじ1の斜視図である。
同図に示すように、ねじ1は、上面に三叉形状の駆動穴4が形成された頭部2と、この頭部2と一体に形成され、その周面にねじ山5が形成された脚部3とからなる。
この図に示すように、駆動穴4は、ねじ1の中心軸C1から放射状に伸び、かつ、円周方向に等間隔に120°の角をなして形成された3本の係合溝41と中心軸C1に同軸上に形成された円筒状のセンタ穴(凹部)42とから構成されている。
各係合溝41は、平坦な底面411と、円周方向に対向して配置される一対の係合内壁412と、外周側に位置する外周側内壁413からなる。
ねじ山5のピッチ、高さなどは、そのねじの呼び径の大きさや用途により、例えば、ねじに関するJIS(日本工業規格)に基づき決定される。
(2)ドライバビットの先端形状
上記ねじ1のねじ締めに供されるドライバビット6の先端部(以下、「係合先端部」という。)は、上記駆動穴4の形状に合わせた形状となっている。
同図に示すように駆動突起部8は、3枚の係合羽根81が、ドライバビット6の中心軸C2から放射状に、かつ、円周方向に等間隔に120°の角をなして形成されており、また、各係合羽根81の合流する基部83には、円柱状のセンタ突起82が、ドライバビット6の中心軸C2と同軸上に突設されてなる。
各係合羽根81の端面811は、平坦であって、中心軸C2と直交する同一の平面上にある。また、一対の係合側面812および外周側側面813は、上記端面811を含む同一平面に対して直立するように形成される。
なお、各係合溝41の平面視の形状は、その中心線C3(図4(c)参照)に対称な同一形状となっており、各係合羽根81の断面形状も、その中心線C4(図4(a)参照)に対称な同一形状となっている。
図4(a)(b)は、それぞれドライバビット6の駆動突起部8のみの平面図、および当該駆動突起部8の係合羽根81の中心線における縦断面図を示す。
当該図4(a)に示すように、各係合羽根81の隣接する係合側面812の横断面の輪郭は、それらの漸近線812aが相互に110°の角をなす双曲線85を描くように形成される。
ここで、mは、駆動突起部8の外接円の直径、Waは、係合羽根81の外周側(もっとも幅が狭い箇所)における幅の寸法を意味する(それぞれ単位は[mm]。以下、寸法を示す符号の単位は全て[mm]とする)。
ここで、tは、円柱状のセンタ突起82の、係合羽根81の端面811からの突出量、t’は、テーパ部821の中心軸C2方向の幅、dは、センタ突起82の外径、d’は、テーパ部821の先端側の最細部の外径を示す。
図4(c)に示すように、隣接する係合溝41の2つの係合内壁412の断面輪郭は、それらの漸近線412aが相互に106°の角をなす双曲線45を描くように連続して形成される。また、各双曲線45の内接円がセンタ穴42の輪郭となるように、センタ穴42の径D(図4(d)参照)が決定される。
また、図4(d)に示すように、係合溝41の底面411の断面の輪郭は、中心軸C1に直交している。図4(d)では、一つの係合溝41しか開示されていないが、3つの係合溝41が全て同形状であり、各係合溝41における底面411は、中心軸C1に直交する同一の平面上にあるように形成される。
上記駆動穴4と駆動突起部8の各寸法間には次のような関係が成り立つ。
d’<Wb<d<D ・・・条件(1)
Wa<Wb ・・・条件(2)
m<M ・・・条件(3)
t’<t≦T ・・・条件(4)
(4)双曲線45、85の形状について
本実施の形態では、駆動突起部8における隣接する2つの係合羽根81の係合側壁812の描く双曲線85の2つの漸近線812aのなす角度をθa、駆動穴4における隣接する係合溝41の係合内壁412が描く双曲線45の漸近線のなす角度をθbとすると、θa>θb(条件(5))が成立するようにしている(本実施の形態では、θa=110°、θb=106°)。
一般に、x軸上に焦点を有し、正のx切片がa(>0)、x>0の領域における2本の漸近線同士のなす角をθとする双曲線の方程式は、次式で示される。
x2/a2−y2/(a・tan(θ/2))2=1 (式1)
また、各漸近線の式は、y=±x・tan(θ/2)となる。
x2/(d/2)2−y2/((d/2)・tan55°)2=1 (式2)
同様に、駆動穴4の係合溝41の場合、式1において、θ=θb=106°であり、x切片aは、その内接円(センタ穴42の内径)の半径D/2に等しいため、隣接する係合溝41の伸びる方向の中線をx軸、これに直交する方向をy軸、中心軸C1を原点とした場合に、双曲線45は、次式で示される。
なお、本実施の形態では、呼び径1[mm]のねじについて、d/2=0.18[mm]、D/2=0.2[mm]に設定している。
外接円に近付くほど双曲線85、45はそれぞれの漸近線に近付くが、上記のようにx切片aの値を係合羽根81の方が係合溝41の場合よりも小さくし、かつ、漸近線のx軸となす角度θ/2の値を、係合羽根81の方が係合溝41の場合よりも大きくすることにより、上記条件(1)におけるd<Dの関係や条件(2)(Wa<Wb)も満足される。
例えば、係合羽根81側の双曲線85を示す式2において、α(>0)だけ、中心軸からx方向に移動させた双曲線の式は、
(x−α)2/(d/2)2−y2/((d/2)・tan55°)2=1
(式4)
と示すことができ、この式4を係合溝41側の双曲線45の式として適用してもよい。
本実施の形態によれば、次のような作用効果が得られる。
(5−1)ねじの吸引保持の際における係合の容易性
図6(a)は、ねじ1の駆動穴4にドライバビット6の駆動突起部8を同軸上に挿入(係合)した状態を、平面視において示す図である。なお、同図では、駆動突起部8については、その中心軸C2方向の係合羽根81の部位における横断面で示しており、本来斜線を付すべきであるが、本図は係合溝41と係合羽根81の形状の関係を示すことに主眼があり、破線や引出し線などがわかりにくくなるので、便宜上斜線の図示を省略している(以下の、図7、図8、図9(a)、図10(a)(b)、図11(a)、図12(a)、図13(a)、図14(a)、図16などにおいて同じ。)。
(5−2)良好なトルク伝達性と駆動穴潰れの防止
図7は、図6(a)における一つの係合溝41の部分を拡大したときの図である。
同図に示すように、中心Oから半径r1の円弧が、中心線CL、当該中心線CLより図の右側に存する部分の係合側面812および係合内壁412のそれぞれの輪郭と交わる点を順次H1、J1、K1とし、半径r2(<r1)の円弧R2と、中心線CL、当該中心線CLより図の右側に存する部分の係合側面812および係合内壁412のそれぞれの輪郭と交わる点を順次H2、J2、K2とする。
ここで、この関係を一般化すれば、任意の半径rの円弧が、中心線CL、当該中心線CLより図の同一側に存する部分の係合側面812および係合内壁412のそれぞれの輪郭と交わる点を順次H、J、Kとし、線分OJ、OKと中心線CLのなす角をθw、θhとし、β=θh−θwとすると、βはrの変化と共に変化するので、rを変数とする関数F(r)と捉えることができる。
なお、rの最小値は、D/2(係合内壁412の内接円の半径)である。また、本実施の形態では、係合羽根81の先端部のコーナにR状の面取部814が設けられているので、rの最大値は、中心Oから、係合側面812の当該面取部814手間前までの距離r0である。
すなわち、まず、F(r)の一次微分値が負の場合には、図7において、必ずβ1<β2となるので、係合羽根81をβ1だけ右方向に回動させると点J1は点K1に当接するが、点J2は点K2に当接するまでにいたらないので、根元部分よりも常に外周側の位置で当接して駆動トルクが伝達されることになる。
同図に示すようにドライバビット6の係合羽根81を、中心軸C2を中心にして右方向に回転させると(本実施の形態における設計では、係合羽根81と係合溝41の中心線が一致した状態から約3°回転)、その係合側面812の先端付近が、駆動穴4の係合溝41の係合内壁412の当接位置S1において当接し、係合溝41の根元に係合羽根81との隙間Gが生じている。
また、係合内壁412に加えられる駆動トルクは、例えば、係合位置S1においては、係合側面812との接触面の法線方向に加わる力F1と、それに直交する中心軸からのアーム長さL1の積で求まるところ、上記アーム長さL1を長くとることができ、大きな駆動トルクを伝えることが可能となるものである(他のS2、S3の箇所においても同様)。
特に、本実施の形態では、図5に示すように係合溝41の係合内壁412の描く双曲線45よりも係合羽根81の係合側面812の描く双曲線85の漸近線の傾きを示すθの値が大きく、且つ、正のx切片aの値が僅かに小さいため、当接点S1〜S3における係合内壁412の曲率半径が係合側面812の曲率半径よりも微小に小さくなっており、係合羽根81の係合側面812および係合溝41の係合内壁412が僅かに弾性変形するだけで、より広い接触面積を確保することができる。
なお、理論的には、D/2≦r≦r0を満たす任意の半径rの円弧が、中心線CLより同一側に存する部分の係合側面812および係合内壁412のそれぞれの輪郭と交わる点J、Kにおける曲率半径が同じになるように係合内壁412と係合側面812の断面形状を決定すれば、駆動トルク伝達時における係合側面812と係合内壁412の接触面積がさらに増大し、より一層上記効果を享受することができるが、これは製造上の駆動穴のバラツキやドライバビットの摩耗によりF(r)のrによる一次微分値が負もしくは0となる条件(6)を満たさなくなる恐れがあるので、本実施の形態では僅かに係合内壁412の曲率半径を係合側面812より小さくして、前記条件を満たすようにしている。
次に、F(r)の一次微分値が0の場合には、係合羽根81の係合側面812と係合溝41の係合内壁412は広い範囲で面接触して駆動力が分散して伝達されることになり、たとえ係合内壁412の根元部分に駆動力が加えられたとしてもその大きさは、一点に集中していた従来の場合に比べ、非常に小さく抑えられ、駆動穴4を破損するまでに至らないものである。
(5−3)軸倒れの防止およびセンタリング
上述の図6(b)に示すように、係合羽根81の先端の平坦面811が、係合溝41の平坦な底面411に当接し、かつそれらの平坦面は、それぞれ中心軸C1、C2に直交する同一平面内にあり、これらの当接関係が、全ての係合羽根81と係合溝41間で生じるので、ねじ1とドライバビット6の中心軸C1、C2が平行に維持され、軸倒れを効果的に防止することができる。
特に、本実施の形態においては、上記係合溝41と係合羽根81の係合が、中心軸周りに等間隔に存する3箇所で行われるため、がたつきが生じにくく、安定してねじ1をドライバビット6に吸着保持できるという利点がある。
(5−4)センタリング機能の向上
また、仮に、ねじ1をドライバビット6に吸着保持したときに、係合溝41と係合羽根81の回転方向の位置が、図9(a)に示すように一致していなくても、すぐに図6(a)(b)に示すような係合状態に移行することができる。
すなわち、ねじ吸着時において、図10(a)の示すようにセンタ穴42とセンタ突起82のクリアランスの範囲内で、ねじ1がドライバビット6に対し右左方向に若干ずれている場合を考えると、条件(5)により中心軸近くの曲率半径は、係合内壁412の方が係合側面812より小さくなるため、まず係合溝41と係合羽根81の根元付近S4で当接し、係合羽根81の矢印方向への回動により、位置S4で係合羽根81から係合内壁412に加わる力の反作用T0により、ねじ1が相対的に右方向に移動し、これに連れて、他の係合羽根81と係合溝41とが当接して、各当接位置S1〜S3で反作用T1〜T3を受け、その中で力の弱い方向に中心軸C2を相対的に移動させようとする。このような調整機能が作用することにより3箇所の係合溝41と係合羽根81との当接位置S1〜S3が移動し、それらの位置における係合内壁412からの反作用T1〜T3がほぼ等しくなる位置、すなわち、図10(b)に示すように中心軸C1とC2がほぼ一致する位置に収束する。これにより、センタリングを確実に行うことができる。
図11(a)(b)は、この場合のセンタリング動作を示すものである。
Wr=2・(D/2)sin60°
既述のように本実施の形態では、呼び径が1[mm]であって、D=0.4[mm]としているので、sin60°=1.73/2として計算すると、Wr=0.346[mm]となる。
したがって、この内接円と交わる(接する)部分から先端部の外接円までの範囲を一の係合溝と定義すると、各係合溝41の幅が、センタ突起82の外径dよりも小さいこと、より望ましくは、係合溝41の幅が、外接円側(幅Wb)から中心軸C1に移動するに連れて徐々に大きくなり、その根元部分の幅Wrも上記センタ突起82の外径dより小さくなるような形状にすることにより、センタリング機能を十分に発揮することができるものである。
上記趣旨から、センタ突起82のテーパ部821の代わりに、適当な曲率半径のR部を形成しても同様な効果が得られる。
しかし、本実施の形態に係るねじ1およびドライバビット6の構成によれば、ねじ1を自動ねじ締め機のドライバビット6に吸着保持させるときに、たとえ、両者の中心軸が若干ずれていたとしても、軸倒れを効果的に防止すると共に、効率的にセンタリングが行え、さらには、必要な締め付けトルクを確保しながら、ねじ1およびドライバビット6の耐久性を向上できるという優れた作用効果を得ることができるものである。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明の内容が、上記実施の形態に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を考えることができる。
(1)上記実施の形態では、各係合溝41の底面411は、センタ穴42の穿設されている部分を除き、ほぼ全面を平坦面で形成したが、軸倒れを防止できる程度で平面が形成されていればよいので、必ずしも当該底面411の全面を平面に形成する必要はない。
両図に示すように、係合溝41の底面411には、その部位よりも若干突出した位置に平坦部411aが設けられており、各係合溝41の平坦部411aの上面(係合羽根81との当接面)が、ねじ1の中心軸C1に直交する同一平面内に来るように形成されている。
また、図13(a)(b)に示すように、ドライバビット6の係合羽根81の端面811の一部に平坦部811aを設けるようにしてもよい。
さらに、係合溝41の底面411と、係合羽根81の端面811の双方ともその一部分の対応する位置に上記の平坦部411a、811aを設けるようにしても構わない。この場合に、センタ穴42とセンタ突起82のクリアランスの範囲内で中心軸C1とC2がずれた場合でも、いずれの係合溝41内においても上記平坦部411a、811aが当接するような範囲に設定することが望ましいのはいうまでもない。
もっとも、ねじ1の係合溝41、ドライバビット6の係合羽根81における部分的な平坦部411a、811aをそれぞれ底面411、端面811から突出させるのではなく、一方を後退(凹部)させて、他方の平坦部がその凹部内に入って相互の平坦面同士の当接を確保できるように凸形状にすれば、上記と同様な軸倒れ防止の効果は得られる。
また、ねじ1についてみれば、センタ穴42がなくなることにより、ねじの強度が向上し、ドライバビット6についてみれば、一番摩耗する部分であるセンタ突起82をなくすことができるので、耐久性が増し、メンテナンスコストをより低減化できる。
なお、本変形例の場合でも、係合溝41、係合羽根81が3本であるため、センタ穴42がなくても、図10で説明した原理に基づきセンタリングが達成されるので支障はない。
同図(a)(b)は、それぞれ本変形例におけるドライバビット6の駆動突起部8の平面図、およびねじ1の駆動穴4の平面図を示す。なお、これらの図において上記実施の形態と同じ符号を付したものは同じ部材・内容を示しているため、それらの説明は省略する。
もっとも、複数の直線により近似して形成する場合には、角部が発生し、その部分に応力が集中するので、耐久性を増すという観点からは、断面形状が連続した曲線となるように係合溝41、係合羽根81を形成する方がより望ましいといえる。
これにより、ねじ吸着時に、軸ずれが生じても、駆動突起部8の先端が当接する傾斜面がなくなり、軸倒れが生じにくいという効果を得ることができる。
上述したように、本発明では、従来の十字溝ねじと全く異なる技術思想により、ねじの駆動穴とドライバビットの駆動突起部間に十分なクリアランスを確保して、ねじの吸着保持の際における両者の係合をより容易に行うことができると共に、駆動穴の破損が生じにくく、駆動トルクの伝達性に優れており、特に小径ねじのねじ締め自動化に大いに資するものである。
(1)上述のねじ1の駆動穴4の形状は、特に、サイズの小さなねじ(呼び径が、2.0mm以下)において効果を発揮するが、サイズの大きなねじであってももちろん適用可能である。
(2)また、上述のねじ1の駆動穴4およびドライバビット6の駆動突起部8の形状は、自動ねじ締め機専用でなくても、手動操作用に供せられるものであってもよい。
2 頭部
3 脚部
4 駆動穴
5 ねじ山
6 ドライバビット
7 軸部
8 駆動突起部
41 係合溝
42 センタ穴
45、85 双曲線
46、86 放物線
411 底面
411a 平坦部
412 係合内壁
413 外周側内壁
412a 漸近線
81 係合羽根
82 センタ突起
811 端面
811a 平坦部
812 係合側面
813 外周側側面
812a 漸近線
821 テーパ部
Claims (11)
- ドライバビットの軸部先端の駆動突起部が係合する駆動穴が形成された頭部と、前記頭部と一体に形成され、その周面にねじ山が形成された脚部を有するねじであって、
前記ねじの駆動穴は、平面視において、3本の同一形状の係合溝が、ねじの中心軸から放射状であって、かつ、円周方向に等間隔に形成されてなると共に、
前記ドライバビットの駆動突起部は、平面視において3本の同一形状の係合羽根が前記軸部の中心軸から放射状であって、かつ、円周方向に等間隔に形成されており、
前記各係合溝と各係合羽根の形状は、平面視において、それぞれ中心軸を通る中心線に対してほぼ対称に形成されており、
前記駆動突起部と駆動穴を、両者の中心軸が一致し、かつ、各係合溝と各係合羽根の中心線を一致した状態で係合させたときに、
各係合羽根の係合側面とこれに対向する係合溝の係合内壁との間に所定量以上の間隙が介在し、
かつ、ねじの中心軸に直交する断面において、
ねじの中心軸を中心Oとする半径rの円弧と係合羽根の係合側面との交点をJ、当該半径rの円弧と前記係合側面と間隙を挟んで対向する係合内壁との交点をK、線分OJがその係合羽根における中心線となす角をθw、線分OKがその係合溝の中心線となす角をθhとして、
F(r)=θh − θw
と定義したときに、F(r)をrで一次微分したときの値が、負または0であることを特徴とするねじ。 - 各係合溝において円周方向に対向する一対の係合内壁の、ねじの中心軸に直交する断面の形状が、それぞれ内側に湾曲する曲線形状であって、前記各係合溝の幅は、中心軸に近いほど広くなると共に、当該曲線の曲率半径は、中心軸に近付くほど小さくなっている
ことを特徴とする請求項1に記載のねじ。 - 前記係合溝の係合内壁の点Kにおける曲率半径は、前記ドライバビットの係合側面の点Jにおける曲率半径と同じか若しくはこれよりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のねじ。
- 前記各係合溝の係合内壁のねじの中心軸に直交する断面の形状は、ねじの中心軸を原点とし、平面視において隣接する2つの係合溝の各中心線のなす角の2等分線上に焦点を有する双曲線形状もしくは放物線形状を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のねじ。
- 前記駆動穴の、前記各係合溝の合流する部位の底面には、円筒状の凹部がねじの中心軸と同軸上に穿設されてなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のねじ。
- 軸部とその先端に形成された駆動突起部とからなり、ねじの頭部に形成された駆動穴に前記駆動突起部を係合させて作用するドライバビットであって、
前記ねじの駆動穴は、平面視において、3本の同一形状の係合溝が、ねじの中心軸から放射状であって、かつ、円周方向に等間隔に形成されてなると共に、
前記ドライバビットの駆動突起部は、平面視において3本の同一形状の係合羽根が前記軸部の中心軸から放射状であって、かつ、円周方向に等間隔に形成されており、
前記各係合溝と各係合羽根の形状は、平面視において、それぞれ中心軸を通る中心線に対してほぼ対称に形成されており、
前記駆動突起部と駆動穴を、両者の中心軸が一致し、かつ、各係合溝と各係合羽根の中心線を一致した状態で係合させたときに、
各係合羽根の係合側面とこれに対向する係合溝の係合内壁との間に所定量以上の間隙が介在し、
かつ、ねじの中心軸に直交する断面において、
ねじの中心軸を中心Oとする半径rの円弧と係合羽根の係合側面との交点をJ、当該半径rの円弧と前記係合側面と間隙を挟んで対向する係合内壁との交点をK、線分OJがその係合羽根における中心線となす角をθw、線分OKがその係合溝の中心線となす角をθhとして、
F(r)=θh − θw
と定義したときに、F(r)をrで一次微分したときの値が、負または0であることを特徴とするドライバビット。 - 前記各係合羽根の少なくとも前記駆動穴に挿入される部分の係合側面の、前記軸部の中心軸に直交する断面の形状が、それぞれ内側に湾曲する曲線形状であって、前記各係合羽根の幅は、中心軸に近いほど広くなると共に、当該曲線の曲率半径は、中心軸に近付くほど小さくなっている
ことを特徴と請求項6に記載のドライバビット。 - 前記各係合羽根の少なくとも前記駆動穴に挿入される部分の係合側面の、前記軸部の中心軸に直交する断面の形状が、軸部の中心軸を原点とし、平面視において隣接する2つの係合羽根の各中心線のなす角の2等分線上に焦点を有する双曲線形状もしくは放物線形状を有していることを特徴とする請求項6または7に記載のドライバビット。
- 前記各係合羽根の少なくとも前記駆動穴に挿入される部分の係合側面の前記軸部の中心軸に直交する断面の形状、および各係合溝の内壁面のねじの中心軸に直交する断面の形状は、いずれもそれぞれの中心軸を原点とする双曲線形状であって、前者の双曲線の漸近線間角度の方が、後者の双曲線の漸近線間角度よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載のドライバビット。
- 前記ねじの駆動穴における各係合溝の合流する部位の底面には、円筒状の凹部が当該ねじの中心軸と同軸上に穿設されてなり、
前記駆動突起部は、その係合羽根の合流する基部において、前記軸部の中心軸と同軸上に形成され、前記円筒状の凹部に挿入される円柱状の突起を備える
ことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のドライバビット。 - 前記円柱状の突起の外径は、前記ねじの各係合溝の幅よりも大きいことを特徴とする請求項10に記載のドライバビット。
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