JP2010209984A - 動力伝達用ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】エレメントがプーリに接触するときに、ディンプルとホールの内面との干渉を回避できるとともに、ベルトがプーリに巻き掛かっていない部分で、エレメントの直進性を向上できる、動力伝達用ベルトを提供する。
【解決手段】複数のエレメント6が積層され、エレメント6の両側にディンプル18およびホール21が形成されており、ディンプル18がホール21内に配置されてエレメント6同士の姿勢が整えられ、かつ、リング8により結束されて環状に構成されており、エレメント6にロッキングエッジ7が形成されている、動力伝達用ベルトにおいて、エレメント6同士が相対回転する前の段階では、リング8の半径方向に沿った平面内で、クリアランスS1の方がクリアランスS2よりも広く構成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、板片状の複数のエレメントを積層し、積層されたエレメントをリングにより結束してエレメントを環状に配列した構成の動力伝達用ベルトに関するものである。
従来、動力源の動力を被駆動部材に伝達するために用いられる動力伝達用のベルトとして、複数のエレメントを積層し、積層されたエレメントをリングにより結束して全てのエレメントを環状に配列した構成のベルトが知られており、このような動力伝達用ベルトの一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された動力伝達用ベルトにおいては、エレメントが、基体部分と傘状の頂部とを首部により接続して構成されている。また、頂部の一方の面には、隣接するエレメントに向けて凸となるディンプルが形成されている。さらに、頂部の他方の面には、ディンプルに対応してホールが形成されている。そして、ディンプルとホールとは相互に嵌合して、隣接するエレメント同士の相対位置を決めるように作用する。その場合、エレメント同士の相対位置には所定の許容幅があるので、ディンプルとホールとは所定の隙間(クリアランス)をもって嵌合するように構成される。
さらに、全てのエレメントには、基体部分と頂部との間にスリットが形成されており、そのスリットに帯状体(リング)が配置されて、積層されたエレメント全体が環状に結束されている。そして、動力伝達用ベルトがプーリに巻き掛けられると、これらのエレメントがプーリに接触し、駆動プーリの動力でエレメント同士の間に押圧力が生じて、従動プーリを回転させるトルクが発生する。
さらにまた、各エレメントにはロッキングエッジが形成されている。このロッキングエッジは、各エレメントがプーリに接触して扇状に拡がることにより、エレメント同士が相対的に傾斜した場合に、エレメント同士を接触状態に維持する部分である。このロッキングエッジは、一般的にはその名称のとおり、線状の部分として構成される。
さらに、エレメントの製造技術上の理由で、ベルトの半径方向で、ロッキングエッジの位置には不可避的なバラツキが生じる。すると、エレメント同士がロッキングエッジを支点として相対回転したときに、前記帯状体の半径方向に沿った平面内で、ディンプルとホールとの間に形成されたクリアランスが狭くなり、ディンプルとホールの内面とが干渉する可能性がある。これを回避するために特許文献1に記載された発明では、前記帯状体の半径方向に沿った平面内で、ロッキングエッジの距離差が大きいほど、クリアランスが大きくなるように構成している。したがって、ロッキングエッジの位置の相違に起因して、エレメントが、隣接するエレメントに対して大きく傾くとしても、これらのエレメントにおけるディンプルとホールの内面とが接触することを回避できるとされている。
ところで、複数のエレメントを積層し、そのエレメントをリングにより結束して環状とする構成の動力伝達ベルトには、特許文献1に記載されたものの他に、特許文献2に記載されたものがある。この特許文献2に記載された動力伝達ベルトは、リングが配置される凹部を有するC字形状のエレメントを有し、そのエレメントにはディンプルおよびホールが形成されている。また、特許文献2に記載されたエレメントでは、リングの半径方向で、キングエッジの内側にディンプルおよびホールが設けられている。そして、全てのエレメントを積層し、前記凹部にリングを嵌め込んで、全てのエレメントが環状に結束されている。
特開2002−257200号公報 特開2008−51322号公報
ところで、特許文献2に記載された動力伝達ベルトにおいても、エレメントがプーリに接触して、エレメント同士がロッキングエッジを支点として相対回転するときに、ディンプルとホールとの間に形成されたクリアランスが狭められて、ディンプルとホールの内面とが干渉する可能性がある。そこで、特許文献2に記載されたエレメントにおいて、特許文献1に記載された技術を用いて、ディンプルとホールの内面との間のクリアランスを広くすることが考えられる。
しかしながら、このように構成すると、特許文献2に記載された動力伝達用ベルトがプーリに巻き掛かっていない直線走行の部分では、動力伝達用ベルトの進行方向に対するエレメントの直進性が低下してしまう可能性がある。この作用を具体的に説明すると、隣接するエレメント同士で位置決めをしているディンプルおよびホールが、ロッキングエッジよりも内側に設けられているため、ディンプルとホールとの嵌合が浅くなる。また、動力伝達用ベルトの幅方向において、ディンプルとホールとの間のクリアランスは、エレメントの積層枚数分が累積して増加する。その結果、動力伝達用ベルトが直線走行する部分では、その進行方向に対して、各エレメントが蛇行している状態となり、エレメントの直進性が低下する。
このように、直進性が低下したエレメントがプーリに接触するとき、エレメントの両端に形成された接触面と、プーリの傾斜面との接触が部分的な接触となる。このため、ベルトの回転に伴い、ベルトを外周側から見た平面内で、エレメントが所定角度の範囲内で回転する運動、つまりヨーイング運動が生じる。このように、エレメントがヨーイング運動をすると、エレメントまたはプーリが、摩耗または変形する可能性があるとともに、リングの縁と、エレメントの凹部の内面とが部分的に接触し、エレメントまたはリングが、摩耗または変形する可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、エレメントがプーリに接触する部分で、隣り合うエレメント同士がロッキングエッジを支点として相対回転したときに、リングの半径方向に沿った平面内で、ディンプルとホールの内面とが干渉することを回避できるとともに、エレメントがプーリに接触せずに直線走行する範囲で、そのエレメントの直進性を向上することができる、動力伝達用ベルトを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、積層方向における一方にディンプルが形成され、かつ、積層方向における他方にホールが形成された複数のエレメントを有し、前記ディンプルを前記ホール内に配置して前記複数のエレメントを姿勢を整えて積層するとともに、積層されたエレメント同士の前記ディンプルと前記ホールとの間には前記リングの半径方向のクリアランスが形成されており、積層された複数のエレメントが可撓性のリングにより環状に結束されているとともに、前記エレメント同士の積層方向における一方に、積層方向で隣り合うエレメント同士が相対回転するときの支点となるロッキングエッジが形成されている、動力伝達用ベルトにおいて、積層方向で隣り合うエレメント同士がロッキングエッッジを支点として相対回転する前の段階で、前記リングの半径方向に沿った平面内で、前記リングの半径方向で前記ディンプルの外側におけるクリアランスの方が、前記ディンプルの内側におけるクリアランスよりも大きく設定されていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記ディンプルは、前記リングの半径方向に沿った平面内の第1中心線を中心として形成された円柱形状もしくは円錐台形状に構成されており、前記ホールは、前記リングの半径方向に沿った平面内の第2中心線を中心として形成された円柱形状もしくは円錐台形状に構成されており、前記第1中心線と前記第2中心線とのなす傾斜角度が零度を越える値に設定されることにより、前記リングの半径方向に沿った平面内で、前記リングの半径方向で前記ディンプルの外側におけるクリアランスの方が、前記ディンプルの内側におけるクリアランスよりも大きく設定されていることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記リングの半径方向で、前記ロッキングエッジよりも内側に前記ディンプルおよび前記ホールが設けられていることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記複数のエレメントには、前記リングの半径方向で外側に向けて開口された凹部がそれぞれ形成されており、その凹部に前記リングが配置されていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの構成に加えて、前記複数のプーリのうちいずれかのプーリにおける前記エレメントの接触半径が最小であり、かつ、そのプーリに前記エレメントが接触して、隣り合うエレメント同士が前記ロッキングエッジを支点として相対回転するとき、そのエレメント同士が相対回転する角度と、前記第1中心線と前記第2中心線とのなす傾斜角度とが一致するように、前記第1中心線と第2中心線とのなす傾斜角度が設定されていることを特徴とするものである。
請求項1ないし5のいずれかの発明によれば、エレメントがプーリに接触して、隣り合うエレメント同士がロッキングエッジを支点として相対回転すると、ディンプルとホールとの間に形成されるクリアランスのうち、リングの半径方向で外側に形成されるクリアランスは狭められるが、外側のクリアランスの方が内側のクリアランスよりも広くなっており、その外側のクリアランスでディンプルとホールの内面とが接触することを回避できる。
また、請求項1ないし5のいずれかの発明によれば、リングの半径方向で外側のクリアランスを相対的に広くしているため、リングの幅方向では、前記クリアランスが広くならずに済む。このため、エレメントがプーリに接触することなく直線走行するとき、エレメント同士がベルトの幅方向に位置ズレして、各エレメントがプーリに接触するときにエレメントが所定角度範囲内で回転(ヨーイング運動)し、エレメントの両端に形成された接触面と、プーリの傾斜面との接触が部分的な接触となることを回避できる。したがって、エレメントやプーリに傷が付く不具合が発生することを未然に防止できる。
つまり、請求項1ないし5のいずれかの発明によれば、エレメントがプーリに接触して、隣り合うエレメント同士がロッキングエッジを支点として相対回転するときに、ディンプルがホールの内面に接触することを回避する効果と、エレメントが直線走行するときに、リングの幅方向にエレメントが位置ズレする量の増加を抑制する効果とを、両方得ることができる。
この発明に係る動力伝達用ベルトを構成するエレメントを示す断面図である。 この発明に係る動力伝達用ベルトを有するベルト式無段変速機の平面図である。 この発明に係る動力伝達用ベルトのエレメントの構成を示す図である。
つぎに、この発明をより具体的に説明する。先ず、この発明で対象とする動力伝達ベルトについて説明すると、この発明で対象とする動力伝達ベルトは、動力源の動力を被駆動部材に伝達する装置、例えば、ベルト式無段変速機に使用されるものである。このベルト式無段変速機では、プーリの外周部に形成された断面V字状の巻き掛け溝に動力伝達用ベルトが挟み込まれ、その結果、プーリとエレメントとの間で生じる摩擦力で、トルクを伝達するように構成されている。そのベルト式無段変速機の一例を図2に模式的に示してあり、動力伝達ベルト1(以下、「ベルト1」と記す)は、ベルト式無段変速機を構成している駆動プーリ2と従動プーリ3とに巻き掛けられている。また、動力源(図示せず)の動力が駆動プーリ2に伝達され、その駆動プーリ2の動力がベルト1を経由して従動プーリ3に伝達される。これらの各プーリ2,3は、テーパー面をそれぞれ備えた固定片と可動片とを対向させて配置することにより、断面V字状の巻き掛け溝4が形成され、その可動片を油圧シリンダなどのアクチュエータ5によって固定片に対して前後動させることにより、巻き掛け溝4の幅を変化させるように構成されている。
このようにして使用されるこの発明で対象とするベルトは、全体として環状をなし、かつ両側面がV字状もしくはテーパ状をなすように、多数のエレメントをリングで環状に結束して構成されている。図1は、上記のベルト1の円周方向に沿った断面図であり、図3は、ベルト1の半径方向に沿った平面内におけるエレメント6の形状を示す図である。このエレメント6は、金属製の板片であり、同一の形状および寸法のものが姿勢を揃えて積層される。ここで、エレメント6の姿勢には、エレメント6の表裏の向き、ベルト1の幅方向における位置、ベルト1の半径方向における位置が含まれる。このエレメント6は、ベルト1の幅方向(図3の左右方向)における左右の側面9が、テーパ状の傾斜した面として形成された本体(基体)部10を有し、そのテーパ状に傾斜した両側面9が、駆動プーリ2および従動プーリ3の傾斜面11に摩擦接触して、駆動プーリ2と従動プーリ3との間でトルクを伝達する構成である。
また、本体部10の幅方向(図3の左右方向)における両端部分に、本体部10からエレメント6の上下方向に延びた左右の柱部12,13がそれぞれ形成されている。エレメント6の上下方向とは、ベルト1の厚さ方向である。さらに、柱部12に連続して、柱部13に向けて突出した張り出し部14が形成され、柱部13に連続して、柱部12に向けて突出した張り出し部15が形成されている。つまり、柱部12および張り出し部14はフック形状に構成され、柱部13および張り出し部15はフック形状に構成されている。そして、エレメント6の本体部10の外側、つまり、柱部12と柱部13との間に、ベルト1の外周側に開口した凹部16が形成されている。そして、各エレメント6の凹部16内にリング8が配置されて、全てのエレメント6が環状に結束されてベルト1が構成されている。このリング8は、例えば、金属製で環状の薄い帯状体(単リング)を内外周に複数層に重ねて1本のリング8が構成されており、リング8は複数本または単数本の何れでもよいが、図2および図3では、2本のリング8を用いた構成が図示されている。具体的には、ベルト1の幅方向に、2本のリング8が並べて配置されている。
前記凹部16の幅は、2本のリング8の幅の合計よりも大きく構成されており、張り出し部14と張り出し部15との間の距離は、2本のリング8の幅の合計よりも小さく構成されている。つまり、張り出し部14,15は、2本のリング8が凹部16内から抜け出すことを防止する抜け止めとして機能する。さらに、エレメント6における凹部16の底面はサドル面17とされており、積層されたエレメント6をリング8で結束したときに、2本のリング8の内周面がサドル面17に接触する。
さらに、ベルト1がプーリ2,3に接触する部分で、各エレメント6を互いに接触させた状態で扇状に開いた配列を可能にするために、エレメント6にはロッキングエッジ7が形成されている。このロッキングエッジ7は、具体的には、エレメント6の厚さが変化する境界線もしくは境界領域であり、エレメント6の高さ方向での中央部分(すなわち上端部と下端部との間の部分)に、そのエレメント6の幅方向(図3で左右方向)に延びて形成されている。前記エレメント6の高さ方向とは、ベルト1の厚さ方向である。
すなわち、ベルト1がプーリ2,3に巻き掛かった状態では、エレメント6の上側(ベルト1としては外周側)の周長が長くなるので、エレメント6同士の間隔が広くなり、これとは反対にエレメント6の下側(ベルト1としては内周側)の周長が短くなるので、エレメント6同士の間隔が狭くなる。そのため、エレメント6の下側の部分は、下端側で薄くなるように構成されており、このように板厚がエレメント6の上側と下側とで変化する箇所が、ロッキングエッジ7となっている。このロッキングエッジ7はエレメント6の二つの表面により形成された角部である。したがって、各エレメント6は、ロッキングエッジ7を中心(支点)にして板厚方向に回転し、すなわちピッチングが生じて、上記のように扇状に開くようになっている。なお、このロッキングエッジ7は、エレメント6の積層方向で、表裏両面のいずれか一方に形成されていればよい。また、ベルト1の半径方向で、ロッキングエッジ7は、サドル面17と同じ位置、または、サドル面17よりも内側に配置されている。
さらに、2本のリング8に沿って積層されたエレメント6同士の姿勢を整える構成について説明する。まず、エレメント6の積層方向における一方には、ディンプル18が形成されている。具体的には、前記エレメント6には、リング8の半径方向で、ロッキングエッジ7よりも外側に、そのロッキングエッジ7を形成する平坦面(表面)19が形成されており、リング8の半径方向で、ロッキングエッジ7よりも内側にディンプル(突出部)18が形成されている。ディンプル18は、エレメント6の積層方向に突出されており、エレメント6の積層方向で、ディンプル18の先端は平坦面19よりも前方に位置している。
これに対して、エレメント6の積層方向で平坦面19とは反対側に平坦面20が形成されている。ベルト1の円周方向に沿った平面内で、平坦面19と平坦面20とは平行であり、ベルト1の半径方向でロッキングエッジ7よりも内側にホール21が形成されている。このホール21は、エレメント6の積層方向の深さを有する溝、または窪みである。そして、エレメント6同士が積層された状態で、エレメント6のディンプル18が、そのエレメント6と隣り合うエレメント6のホール21に挿入される構成である。これにより、隣り合うエレメント6同士を積層する向きが決定される。
この実施例においては、ディンプル18は円錐台形状であり、ホール21は円錐台形状に構成されている。より具体的には、ディンプル18は先端側に向けて直径が小さくなるテーパを有している。ホール21は、奥に向けて内径が小さくなるテーパを有している。さらに、平坦面19と平坦面20とが面接触(密着)しているとき、リング8の半径方向に沿った平面内では、隣り合うエレメント同士で、ホール21の方がディンプル18よりも、リング8の半径方向で外側に位置ずれして配置されるように、各エレメント6の単体が構成されている。この図1の例では、ディンプル18の中心線A1とホール21の中心線B1とのなす傾斜角度αが零度を越える構成とすることにより、リング8の半径方向に沿った平面内では、隣り合うエレメント同士で、ホール21の方がディンプル18よりも、リング8の半径方向で外側に位置ずれして配置されている。
ここでは、理解を容易にするために、隣り合うエレメント6同士で構成を説明すると、中心線B1が、平坦面19,20と垂直であり、中心線A1は、平坦面19,20と垂直ではない。言い換えれば、中心線A1に対して、中心線B1は時計方向に傾斜角度α分を回転させた位置に設定されている。なお、この傾斜角度αは鋭角である。そして、平坦面19と平坦面20とが密着した状態で、ディンプル18とホール21との間には、環状の隙間(クリアランス)が形成されている。
このクリアランスには、リング8の半径方向でディンプル18の外側に形成されたクリアランスS1と、リング8の半径方向でディンプル18の内側に形成されたクリアランスS2とが含まれる。さらに、ベルト1が従動プーリ3に巻き掛かる半径が最小であるときに、言い換えれば、従動プーリ3に対するエレメント6の接触半径が最小であるときに、エレメント6同士の回転角度φと、傾斜角度αとが一致するように、傾斜角度αが決定されている。なお、従動プーリ3に対するエレメント6の接触半径の最小値は、駆動プーリ3の接触面11自体の有効半径、およびベルト式無段変速機で選択される変速比の最小値などにより決定される。また、回転角度φは、エレメント6の接触半径の最小値、エレメント6の厚さなどのパラメータから決まる値である。上記のように構成されたディンプル18とホール21とが嵌合することで、隣り合うエレメント6同士が、リング8の円周方向に対して垂直な平面内で相対移動する範囲が規制され、ベルト1の幅方向に沿った平面内でエレメント6同士の相対移動が規制される。エレメント6同士の相対移動ができる範囲は、クリアランスにより決定される。
つぎに、この実施例における作用を説明する。まず、動力源の動力が駆動プーリ2に伝達されると、その駆動プーリ2の動力が摩擦力により各エレメント6に伝達され、ベルト1の円周方向に沿った押圧力(圧縮力)が発生する。その押圧力が従動プーリ3に接触しているエレメント6に伝達され、そのエレメント6と従動プーリ3との間の摩擦力により、従動プーリ3を回転させるトルクが発生する。ベルト1の走行範囲のうち、図2に示すように、駆動プーリ2および従動プーリ3に巻き掛かっていない走行範囲H1では、押圧力により各エレメント6が直線走行する。図2にはベルト1の走行方向が矢印X1で示されているこの走行範囲H1では、隣り合うエレメント6の平坦面19と平坦面20とが密着する。これに対して、ベルト1が駆動プーリ3に巻き掛っている走行範囲H2では、ベルト1の円周方向に沿った平面内で、図1に示すようにエレメント6が円弧状の軌跡で走行する。
そして、走行範囲H1を走行しているエレメント6が、走行範囲H2に移行するとき、つまり、駆動プーリ3に接触していなかったエレメント6が駆動プーリ3に接触する瞬間に、そのエレメント6が、走行方向で後方に位置しているエレメント6のロッキングエッジ7を支点として、図1に示すように反時計方向に回転する作用が生じる。このように、隣り合うエレメント6同士が相対回転するときクリアランスS1は狭められる。この実施例では、中心線A1に対して中心線B1が時計方向に傾斜角度α分が傾斜しており、元々、クリアランスS1が相対的に広くなっているため、そのクリアランスS1が狭められたとしても、そのクリアランスS1部分でディンプル18とホール21の内面とが接触または干渉することを回避できる。したがって、エレメント6に傷が付いたり、変形したり、摩耗したりすることを回避できる。さらに、ディンプル18がホール21の内面に接触して、ホール21を有するエレメント6が、リング8の半径方向で外側に押されて、そのエレメント6のサドル面17とリング8との摩擦力が増加することを回避できる。さらには、エレメント6同士がロッキングエッジ7を支点として相対回転すると、クリアランスS2は同程度に維持されるか、またはクリアランスS2が広がるため、その部分でディンプル18とホール21の内面とが接触することを回避できる。
また、この実施例では、リング8の半径方向に沿った平面内で、中心線A1と中心線B1との間に傾斜角度αを設定して、クリアランスS1をクリアランスS2よりも広くしているため、リング8の幅方向では、ディンプル18とホール21の内面との間のクリアランスを広げずに済む。このため、エレメント6が走行範囲H1を走行する場合に、エレメント6同士がベルト1の幅方向に位置ズレする(姿勢が悪化する)ことを回避できる。したがって、エレメント6が駆動プーリ3に接触してヨーイング運動が生じ、エレメント6や駆動プーリ3に傷が付く不具合、または、リング8の縁と、エレメント6の凹部16の内面とが部分的に接触し、エレメント6またはリング8に傷が付く不具合を、未然に防止できる。
上記のように、この実施例によれば、エレメント6が駆動プーリ3に接触して、隣り合うエレメント6同士がロッキングエッジ7を支点として相対回転するときに、ディンプル18がホール21の内面に接触することを回避する効果と、エレメント6が走行範囲H1を走行するときに、ベルト1の幅方向にエレメント6が位置ズレする量の増加を抑制する効果とを、両方得ることができる。ここで、この発明の構成と、実施例で説明した構成との対応関係を説明すると、中心線A1が、この発明の第1中心線に相当し、中心線B1が、この発明の第2中心線に相当する。
上記の実施例では、中心線A1が平坦面19,20と垂直に構成されているが、エレメント6の平坦面19と平坦面20とが密着した状態で、中心線B1と、平坦面19,20とを垂直とする構成でも、上記の実施例と同様の作用効果を得られる。この場合、中心線A1と、平坦面19,20は垂直ではなくなる。さらに、エレメント6の平坦面19と平坦面20とが密着した状態で、中心線A1,B1が、共に平坦面19,20と垂直ではない構成を採用しても、上記の実施例と同様の作用効果を得られる。つまり、エレメント6が従動プーリ3に接触してエレメント6同士がロッキングエッジ7を支点として相対回転したときに、クリアランスS1が相対的に広くなる構成であればよい。なお、ディンプル18を円柱形状とし、ホール21を円柱形状としてもよい、
さらに、この発明において、リングの半径方向に沿った平面内で、クリアランスS1をクリアランスS2よりも広くする構成として、図1以外の構成を採用することもできる。例えば、リング8の半径方向に沿った平面内で、ディンプル18の中心線A1と、ホール21の中心線B1とを平行に配置するとともに、リング8の半径方向に沿った平面内で、ディンプル18の中心線A1の方が、ホール21の中心線B1よりも、半径方向で外側に配置(偏心)してもよい。このように構成した場合も、平坦面19と平坦面20とが密着した状態で、クリアランスS1を相対的に広くすることができる。さらに、半径方向の内側半分におけるホール21の形状を半円形とし、半径方向の外側半分におけるホール21の形状を楕円の半分の形状としても、クリアランスS1をクリアランスS2よりも広くすることができる。なお、図1に示す例では、全てのエレメント6に設けられたディンプル18およびホール21について、その中心線A1と中心線B1とのなす傾斜角度αが零度を越える値に設定されているが、ベルト1を構成する全てのエレメント6のうち、隣り合うエレメント6の少なくとも1組について、その構成が採用されていればよい。例えば、全数のうち半分のエレメントでもよいし、所定の個数おきに、中心線A1と中心線B1とのなす傾斜角度αが零度を越える値に設定された2個1組のエレメント6を配置してもよい。
1…動力伝達用ベルト(ベルト)、 2…駆動プーリ、 3…従動プーリ、 6…エレメント、 7…ロッキングエッジ、 8…リング、 18…ディンプル、 21…ホール、 A1,B1…中心線、 α…傾斜角度。

Claims (5)

  1. 積層方向における一方にディンプルが形成され、かつ、積層方向における他方にホールが形成された複数のエレメントを有し、前記ディンプルを前記ホール内に配置して前記複数のエレメントを姿勢を整えて積層するとともに、積層されたエレメント同士の前記ディンプルと前記ホールとの間には前記リングの半径方向のクリアランスが形成されており、積層された複数のエレメントが可撓性のリングにより環状に結束されているとともに、前記エレメント同士の積層方向における一方に、積層方向で隣り合うエレメント同士が相対回転するときの支点となるロッキングエッジが形成されている、動力伝達用ベルトにおいて、
    積層方向で隣り合うエレメント同士がロッキングエッッジを支点として相対回転する前の段階で、前記リングの半径方向に沿った平面内で、前記リングの半径方向で前記ディンプルの外側におけるクリアランスの方が、前記ディンプルの内側におけるクリアランスよりも大きく設定されていることを特徴とする動力伝達用ベルト。
  2. 前記ディンプルは、前記リングの半径方向に沿った平面内の第1中心線を中心として形成された円柱形状もしくは円錐台形状に構成されており、
    前記ホールは、前記リングの半径方向に沿った平面内の第2中心線を中心として形成された円柱形状もしくは円錐台形状に構成されており、
    前記第1中心線と前記第2中心線とのなす傾斜角度が零度を越える値に設定されることにより、前記リングの半径方向に沿った平面内で、前記リングの半径方向で前記ディンプルの外側におけるクリアランスの方が、前記ディンプルの内側におけるクリアランスよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達用ベルト。
  3. 前記リングの半径方向で、前記ロッキングエッジよりも内側に前記ディンプルおよび前記ホールが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の動力伝達用ベルト。
  4. 前記複数のエレメントには、前記リングの半径方向で外側に向けて開口された凹部がそれぞれ形成されており、その凹部に前記リングが配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の動力伝達用ベルト。
  5. 前記複数のプーリのうちいずれかのプーリにおける前記エレメントの接触半径が最小であり、かつ、そのプーリに前記エレメントが接触して、隣り合うエレメント同士が前記ロッキングエッジを支点として相対回転するとき、そのエレメント同士が相対回転する角度と、前記第1中心線と前記第2中心線とのなす傾斜角度とが一致するように、前記第1中心線と第2中心線とのなす傾斜角度が設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の動力伝達用ベルト。
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