JP2016221664A - 固定構造および切削工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一方の部材であるヘッド部分10の先端に挿入部30を形成し、挿入部30の外周面には先端に向かうほど拡径していく第1テーパ面31を、間隔をあけて複数形成し、他方の部材であるシャンク50に受容穴51を形成し、受容穴51の内壁に受容穴51の底部に向かうほど拡径する第2テーパ面を備え、且つ平均の厚みがその他の部分の厚みよりも厚い固定壁53を間隔をあけて複数設ける固定構造。
【選択図】 図7
Description
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、小径工具に適用したとしても安定的に固定力を発揮できる固定構造およびその固定構造を備えた切削工具を提供することを目的とする。本発明のさらなる目的は、切削工具のみならず、連結箇所が細径を有する2つの部材を互いに対してよりしっかりと固定することを可能にすることにある。
ヘッド部分10は、図3から図6に特に示される。ヘッド部分10は切れ刃を備える切削部20と、切削部20の後端面に形成される挿入部30と、からなる。以下の説明においては、ヘッド部分10の「先端側」とは挿入部30がある方を指し、「後端側」とは切削部20がある方を指す。つまり、図5における図面下方向が先端方向である。切削部20はヘッド部分10の本体部を構成する。本実施形態の切削部20は複数の切れ刃を備える。挿入部30は、シャンク50の受容穴に挿入されて互いに係合するとき、径方向中心向きの押圧力を受けるように構成されている。特に、ヘッド部分10がシャンク50に締まり嵌めによりしっかりと固定できるように、後述するように、挿入部30および受容穴51は構成される。
図7に示すように、切削部20および挿入部30の中心軸線C1は一致し、中心軸線C1はヘッド部分10の中心軸線でもある。ヘッド部分10とシャンク50とを固定したとき、ヘッド部分10の中心軸線C1とシャンク50の中心軸線C2とは同一直線上にのる。つまり、ヘッド部分10がシャンク50に固定されたとき、リーマ100の中心軸線(または回転軸線)は、ヘッド部分10の中心軸線C1およびシャンク50の中心軸線C2に一致する。シャンク50の内部には冷却液が通過する流路が形成されており、その開口部はシャンク50の先端付近に長細い楕円形状で形成されている。
ここで、図7を参照する。図7は、リーマ100における、中心軸線C1を含んで一つの第1テーパ面31を通過する断面を示す。図7の断面で第1テーパ面31を見るとき、中心軸線C1から第1テーパ面31までの長さは、先端面20bから離れるほど、つまり挿入部30の先端に近い位置ほど長くなる。つまり、第1テーパ面31は先端に向かうほど径方向外側に広がる形状になっている。
挿入部30の先端には、3つのストッパー33が周方向に等間隔に突出して形成されている。各ストッパー33は軸線C1方向において、切削部20から離れる方向に突出している。特にここでは、各ストッパー33は軸線C1に概ね平行な方向に延在する。各ストッパー33は一つの第1テーパ面31および一つの平行壁部32と関連付けられている。工具回転方向(リーマ100で切削加工を行うときの回転軸線周りの回転方向)に対して逆向きの方向を逆回転方向とするとき、一つのストッパー33は、関連する第1テーパ面31の逆回転方向の端部近傍に配置されている。この実施形態では、関連する第1テーパ面31の逆回転方向の端部31aから、軸線C1方向において後端側に突き出るように、ストッパー33は形成されている。ストッパー33は周方向を向いた面、特に逆回転方向を向いた第1面33aを有し、かつ、径方向外側を向いた第2面33bを有する。第2面33bは、第1テーパ面31に連続し、ここでは軸線C1方向に平行に延びる。第2面33bは、第1テーパ面31に滑らかに連続して、かつ、第1テーパ面31と同じように先端側に向かうほど、径方向外側に傾いてもよい。好ましくは、ストッパー33の最大外径、すなわち第1面33aから軸線C1までの長さのうち最大のものが第1テーパ面31の最大外径を超えないことである。突出形成されたストッパー33の表面のうち周方向を向く第1面33aは、ヘッド部分10がシャンク50に固定されるとき、受容穴51の内側に形成されるストッパー受け部55に当接して、切削加工時にヘッド部分10がシャンク50に対して回転することを防止する機能を有する。またストッパー33はシャンク50に加えられたトルクを、ストッパー受け部55を介してヘッド部分10に伝達する機能も有する。
ヘッド部分10の後端面20aには星形の穴24が形成されている。ヘッド部分10とシャンク50とを固定する際に、穴24にはレンチ等の工具が挿入され、ヘッド部分10がシャンク50に対して相対的に回転させられる。
一方、第1テーパ面31からヘッド部分10の中心軸線C1までの長さのうち最大のものは、固定壁53の壁面からシャンク50の中心軸線C2までの長さのうち最大のものよりも長くなっている。そのため、ヘッド部分10をシャンク50に挿入して回転させると、挿入部30が固定壁53を押し広げて変形させるので、ヘッド部分10とシャンク50との間に締め付け力が発生する。
次に、軸線方向においてヘッド部分10側からみて、ヘッド部分10をシャンク50に対して相対的に時計回りに回転させる(つまり、逆回転方向に回転させる)。ある程度までヘッド部分10を回転させると、拡径面部分34が第2テーパ面53aに当接する。その状態からさらにヘッド部分10を回転させると、拡径面部分34は固定壁53をシャンク50の径方向外側に少しずつ弾性的に押し広げながら第2テーパ面53aの表面を移動し、続いて第1テーパ面31と第2テーパ面53aとが当接する。すなわちこのとき、第1テーパ面31が第2テーパ面53aと当接する係合位置に到達したため、ヘッド部分10がシャンク50に固定され始める。ただし、当接面積がそれほど大きくないため、この状態では固定力はそれほど大きくない。
第1テーパ面31を第2テーパ面53aに当接させながらさらにヘッド部分10を回転させると、挿入部30のストッパー33の第1面33aが受容穴51の内側に形成されたストッパー受け部55に当接する。この時点では第1テーパ面31の大部分が第2テーパ面53aに当接するので、ヘッド部分10はシャンク50から中心軸線C1方向に抜けなくなる。また、シャンク50からヘッド部分10へトルクが確実に伝達される状態になる。
さらに、固定壁53がシャンク50に対して等間隔に配置されているため、ヘッド部分10はバランスよく押圧力を受けて固定時のがたつきが抑制される。
さらに、上記固定構造では、テーパ状の係合部よりも軸線方向後端側にストッパーおよびストッパー受け部を配置した。したがって、特許文献1の固定構造ではテーパ状の係合部よりも径方向外側にストッパーおよびストッパー受け部が配置されるので、本実施形態の固定構造は、特許文献1の固定構造に比べて、より小径の工具に適する。
10…ヘッド部分
20…切削部
21…切れ刃
22…すくい面
23…逃げ面
25…切りくず排出溝
30…挿入部
31…第1テーパ面
32…平行壁部
33…ストッパー
34…拡径面部分
50…シャンク
51…受容穴
53…固定壁
53a…第2テーパ面
54…接続壁
55…ストッパー受け部
Claims (10)
- 第1部材(10)を第2部材(50)に対して固定するための固定構造であって、
前記第1部材(10)は本体部と、該本体部から突出する挿入部(30)とを備え、
該挿入部は、該挿入部の第1軸線を中心として周方向に間隔をあけて配置された複数の第1係合面(31)を有し、
各第1係合面は、該挿入部(30)の突出先端方向に向かうにしたがい径方向に拡大するように形成されていて、
前記第2部材(50)は、該第2部材の取付部に、前記挿入部が挿入可能に構成されている受容穴(51)を備え、
該受容穴(51)は、開口部を定めるように周方向に連続した周壁と、該周壁に交差するように延在する底壁とによって区画形成されていて、
該周壁に、該受容穴(51)の第2軸線を中心として周方向に複数の第2係合面(53a)が間隔をあけて配置され、
各第2係合面は、該受容穴(51)の前記開口部側から前記底壁側に向かうにしたがい径方向に拡大するように形成されていて、かつ該周壁の残りの部分よりも前記第2軸線に近く、
前記挿入部(30)は、前記受容穴(51)内で、前記第1軸線周りに動かされることで、前記第1係合面が前記第2係合面に非当接状態にある非係合位置と、前記第1軸線が前記第2軸線に一致するように前記第1係合面が前記第2係合面に当接状態にある係合位置とに選択的に位置付けられる、
固定構造。 - 前記第1部材が前記第2部材に固定されることにより構成される組立体は、前記第1軸線および前記第2軸線に一致する中心軸線を有し、
前記第1係合面から前記第1軸線までの長さの最大値は、前記第2係合面から前記第2軸線までの長さの最大値よりも大きい請求項1に記載の固定構造。 - 前記挿入部は、前記第1系合面に対して、前記第1軸線方向において前記本体部から離れる方向に延在する少なくとも一つのストッパー(33)をさらに備え、
前記第2部材(50)は、前記底壁に、該ストッパー(33)が当接可能なストッパー受け部(55)をさらに備え、
前記挿入部(30)が前記受容穴(51)内で前記非係合位置にあるとき、前記ストッパーは前記ストッパー受け部(55)に非当接状態にあり、
前記挿入部(30)が前記受容穴(51)内で前記係合位置にあるとき、前記ストッパーは前記ストッパー受け部(55)に当接状態にある、
請求項1または2に記載の固定構造。 - 前記ストッパーの当接面から前記第1軸線までの長さは、前記第1係合面から該第1軸線までの長さの最大値を超えない、請求項3に記載の固定構造。
- 前記ストッパー(33)における前記ストッパー受け部(55)との当接面は、周方向を向き、凹湾曲形状または凸湾曲形状を有し、
前記ストッパー受け部(55)における前記ストッパー(33)との当接面は前記ストッパーの前記当接面に相補的な形状を有する、
請求項3または4に記載の固定構造。 - 前記挿入部(30)に形成される前記第1係合面(31)が前記第1軸線周りの周方向に均等に配置され、
前記第2係合面が前記第2軸線周りの周方向に均等に配置される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の固定構造。 - 前記第1係合面(31)は、前記挿入部(30)の前記第1軸線周りの周方向において、該第1軸線からの距離が変化するように構成され、
前記挿入部(30)が前記受容穴(51)内で前記非係合位置から前記係合位置に動かされるにしたがい、前記第1係合面から前記第2係合面への押圧力が増加するように、前記第2係合面は形成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の固定構造。 - 前記第2係合面は、前記第2軸線周りの周方向において、該第2軸線からの距離が変化するように構成され、
前記挿入部(30)が前記受容穴(51)内で前記非係合位置から前記係合位置に動かされるにしたがい、前記第1係合面から前記第2係合面への押圧力が増加するように、前記第1係合面は形成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の固定構造。 - 請求項1から8のいずれかに記載の固定構造が適用された切削工具。
- 前記第1部材および前記第2部材の少なくとも一方は、切れ刃を備える、
請求項9に記載の切削工具。
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