JP5155620B2 - 厚み滑り振動片の製造方法 - Google Patents

厚み滑り振動片の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5155620B2
JP5155620B2 JP2007209104A JP2007209104A JP5155620B2 JP 5155620 B2 JP5155620 B2 JP 5155620B2 JP 2007209104 A JP2007209104 A JP 2007209104A JP 2007209104 A JP2007209104 A JP 2007209104A JP 5155620 B2 JP5155620 B2 JP 5155620B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thickness
electrode
quartz
wafer
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007209104A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008085997A (ja
Inventor
宏明 植竹
才一郎 大塚
剛 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Instruments Inc
Original Assignee
Seiko Instruments Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Instruments Inc filed Critical Seiko Instruments Inc
Priority to JP2007209104A priority Critical patent/JP5155620B2/ja
Publication of JP2008085997A publication Critical patent/JP2008085997A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5155620B2 publication Critical patent/JP5155620B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Description

本発明は、厚み滑り振動片の製造方法、厚み滑り振動片、該厚み滑り振動片を有する厚み滑り振動子、及び、該厚み滑り振動子を有する発振器に関するものである。
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが提供されているが、その1つとして、MHz帯の発振周波数を有する制御、通信機用の振動子として好適に用いられている厚み滑り振動子が知られている。
ここで、厚み滑り振動子の一例として、図54から図58を参照しながらシリンダパッケージタイプの厚み滑り振動子を例に挙げて簡単に説明する。なお、図54から図58においては、クロム層及び金層を適宜誇張して図示している。
図54に示すように、厚み滑り振動子90は、厚み滑り振動片91と、該厚み滑り振動片91を内部に収納するケース92と、厚み滑り振動片91をケース92内に密閉させるプラグ93とを備えている。
厚み滑り振動片91は、図55から図57に示すように、一定の厚みで板状に形成され、外形が矩形状に形成された水晶板94と、該水晶板94の両面に形成された励振電極95、引き出し電極96及びマウント電極97とを有している。具体的には、水晶板94の両面の略中央部分に、励振電極95がそれぞれ対向するように形成されている。なお、図55では、一方の励振電極95のみ図示している。また、水晶板94の矩形状の外形は、機械加工により形成する方法が慣用されている(特許文献1参照)。
水晶板94の端部には、引き出し電極96を介して励振電極95に電気的に接続された上記マウント電極97が形成されている。なお、このマウント電極97は、一方の励振電極95に接続されたものと、他方の励振電極95に接続されたものとが、それぞれ水晶板94の両面に形成されている。この際、一方の面に形成されたマウント電極97は、水晶板94の側面を回り込むようにして他方の面に形成されたマウント電極97と電気的に接続されている。また、励振電極95、引き出し電極96及びマウント電極97は、前記機械加工により形成された個々の振動板を金属等のスペーサーの水晶収納部分に設置し、その上下面を所定の電極パターンに対応した窓が形成されたマスク板で挟持して成膜することにより形成することが慣用されている(特許文献2参照)。この金属膜としては、様々なものが使用されるが、例えば、水晶板94に対して密着力の高いクロムを薄膜状にクロム層98として堆積させた後、該クロム層98上に、酸化に強い安定した金を薄膜状に金層99として積層させたものが使用されている。
上記ケース92は、図54に示すように、有底円筒状に形成されており、後述するステム100の外周に対して圧入されることで嵌合固定されるようになっている。
上記プラグ93は、ケース92を密閉させるステム100と、ステム100を貫通した状態で配置された2本のリード端子101と、ステム100の内側に充填された充填剤102とを有している。2本のリード端子101は、それぞれケース92内に突出している部分がインナーリード101aとなり、ケース92外に突出している部分がアウターリード101bとなっている。なお、リード端子101の外表面には、予め錫(Sn)−鉛(Pb)の半田メッキが施されている。
上述した厚み滑り振動片91と、ケース92と、プラグ93とを組み立てる場合には、2本のリード端子101のインナーリード101aとマウント電極97とを接触させた後、リード端子101の外表面に予め施された半田メッキを溶解させる。これにより、リード端子101とマウント電極97とを、機械的及び電気的に接続する。次に、真空雰囲気若しくは不活性ガス雰囲気中でケース92をステム100に圧入して、厚み滑り振動片91を気密封止する。これにより、厚み滑り振動子90を組み立てることができる。
特に、この厚み滑り振動子90は、共振周波数が厚み滑り振動片91の厚みによって決定されてしまうものなので、所望する共振周波数に応じて厚み滑り振動片91の厚みを予め厳密に調整している。また、厚み滑り振動片91に励振電極95等を形成すると膜厚分だけ厚みが変化してしまうので、通常は上述した組み立て後に、アルゴンイオン等を利用して励振電極95を薄く削り、周波数を調整する周波数調整を行っている。このようにして、厚み滑り振動子90の電気特性を所定の数値内に収まるように調整している。
特開昭63−227109号公報 特開平6−37567号公報
しかしながら、上記従来の方法では、以下の課題が残されている。
初めに、鉛は自然環境や人体に悪影響を及ぼす有害な重金属であるため、近年では鉛を使用しなお鉛フリー化への転換が世界的に進められている。そのため、インナーリード101aとマウント電極97とを接続する際に使用する錫−鉛メッキに関しても、鉛を使用しない錫−銅メッキ等が用いられるようになってきた。
ところが、錫−銅メッキは拡散し易いので、振動子として完成後に125℃を超えるような高温の雰囲気に長時間放置した場合や、前記振動子をリフロー処理で基板に実装する場合において、図58に示すように、メッキ膜Mがマウント電極97上から引き出し電極96上に拡散する場合があった。更には、引き出し電極96を越えて励振電極95上まで拡散する場合もあった。なお図58では、上側の励振電極95の中央部分近傍までメッキ膜Mが拡散している場合を示している。特に積層した金属膜のうち、表面に形成された金は、錫に溶け易い性質を有しているので、メッキ膜Mが金に沿うような形で拡散し易かった。このため、拡散したメッキ膜Mの影響を受けて励振電極95の重量が変化して、周波数が大幅(数十ppmから数百ppm)に変動する。これにより、振動子としての規定の周波数範囲を超える場合があった。このような現象は、振動子が小型になり熱容量が小さくなるに伴い、振動子を構成する部材の温度変化が大きくなるから、より顕著に発生する課題である。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、鉛フリー化に対応しながら、小型で安定した品質の厚み滑り振動片を効率良く製造することができる厚み滑り振動片の製造方法、厚み滑り振動片、該厚み滑り振動片を有する厚み滑り振動子、及び、該厚み滑り振動子を有する発振器を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る厚み滑り振動片の製造方法は、励振電極と、引き出し電極を介して励振電極に電気的に接続されたマウント電極とが水晶板の外表面上に形成され、所定の電圧が励振電極に印加されたときに厚み滑り振動する厚み滑り振動片を、水晶ウエハを利用して一度に複数製造する方法であって、水晶の原石を決められた切断角度及び厚みで切断して前記水晶ウエハにすると共に、該水晶ウエハの厚みを所定の厚みまで研磨する切断研磨工程と、該切断研磨工程後、前記水晶ウエハの研磨面をエッチングして加工変質層を除去すると共に、水晶ウエハの厚みを規定値内に揃えるエッチング工程と、該エッチング工程後、前記水晶ウエハの両面にクロムを薄膜状に堆積させたクロム層をそれぞれ成膜すると共に、該クロム層上に金を薄膜状に堆積させた金層をさらに成膜する金属層成膜工程と、該金属層成膜工程後、前記クロム層及び前記金層をフォトリソ技術によりエッチングして、所定の形状にパターニングする金属層エッチング工程と、該金属層エッチング工程後、前記水晶板が連結部を介して前記水晶ウエハに連結されるように、パターニングした前記クロム層及び金層をマスクとして水晶ウエハをフォトリソ技術によりエッチングすると共に、パターニングした前記クロム層及び金層を、前記励振電極、前記引き出し電極及び前記マウント電極のパターンに沿ってエッチングする電極パターン形成工程と、該電極パターン形成工程後、前記引き出し電極領域における少なくとも一部分の前記金層、又は、前記マウント電極領域における引き出し電極近傍の前記金層を、フォトリソ技術によりエッチングして除去する金層除去工程と、該金層除去工程後、前記連結部を切断して複数の前記水晶板を個片化する切断工程と、を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動片の製造方法においては、切断研磨工程、エッチング工程、金属層成膜工程、金属層エッチング工程、電極パターン形成工程、金層除去工程及び切断工程を行うことで、水晶板、励振電極、引き出し電極及びマウント電極からなる厚み滑り振動片を1枚の水晶ウエハから一度に複数製造することができる。
まず、後に水晶板となる水晶の原石を、予め決められた切断角度及び厚みで切断して水晶ウエハにすると共に、該水晶ウエハをさらに研磨して所定の厚みにする切断研磨工程を行う。次いで、水晶ウエハの研磨面をエッチングして加工変質層を除去すると共に、水晶ウエハの厚みを周波数に応じて決められた規定値内に揃えるエッチング工程を行う。
次いで、スパッタ装置等を利用して、水晶ウエハの両面にクロムを薄膜状に堆積させたクロム層をそれぞれ成膜すると共に、該クロム層上に金を薄膜状に堆積させた金層をさらに成膜する金属層成膜工程を行う。なお、このクロム層と金層とを積層した積層膜は、後に励振電極、引き出し電極及びマウント電極となるものである。
次いで、水晶ウエハの両面に形成された積層膜を、レジスト等を用いたフォトリソ技術を利用してエッチングして、所定の形状にパターニングする金属層エッチング工程を行う。この際、後に製造される厚み滑り振動片の水晶板と同じ大きさの積層膜が、水晶ウエハに繋がった状態で複数配列されるようにパターニングを行う。なお、この時点では、水晶ウエハにはまだ何も加工がなされていない。
次いで、パターニングされたクロム層及び金層からなる上記積層膜をマスクとして、水晶ウエハをフォトリソ技術によりエッチングする。これにより、1枚の水晶ウエハから後に厚み滑り振動片となる水晶板を、連結部を介して水晶板に連結された状態で複数形成することができる。続いて、マスクとして使用していたクロム層及び金層からなる積層膜を、フォトリソ技術により励振電極、引き出し電極及びマウント電極のパターンに沿ってエッチングする。この電極パターン形成工程を行うことで、水晶ウエハに連結部で連結された状態の厚み滑り振動片を複数形成することができる。
次いで、水晶板の両面に形成された励振電極、引き出し電極及びマウント電極のうち、引き出し電極領域における少なくとも一部分の金層、又は、マウント電極領域における引き出し電極近傍の金層を、フォトリソ技術によりエッチングして除去する金層除去工程を行う。即ち、励振電極、引き出し電極及びマウント電極は、前工程の段階でクロム層及び金層が積層された積層膜により形成されていたが、このうち、上述した領域の金層だけを除去してクロム層だけにする。
そして、最後に各水晶板と水晶ウエハとを連結していた連結部を切断して切り離し、水晶板を個片化する切断工程を行う。その結果、水晶ウエハから、励振電極、引き出し電極及びマウント電極が水晶板の外表面上に形成された厚み滑り振動片を一度に複数製造することができる。
このように製造された厚み滑り振動片は、マウント電極にリード端子等の外部接続端子を接触させた後、メッキにより両者を機械的及び電気的に接続されて使用される。そして、外部接続端子を介して両マウント電極に所定の電圧を印加することで、引き出し電極を介して励振電極に電流を流すことができ、所定の周波数で厚み滑り振動させることができる。そして、この厚み滑り振動を、MHz帯の発振周波数を有する制御、通信機用の振動源等として利用することができる。
特に、金層除去工程により、引き出し電極領域における少なくとも一部分の金層、又は、マウント電極領域における引き出し電極近傍の金層を除去して、クロム層だけにしている。よって、マウント電極と外部接続端子とを接続する際に鉛を使用しないメッキ、例えば、錫−銅メッキを使用したとしても、従来のものと異なり、メッキ膜の拡散を途中で抑えることができる。
即ち、従来のものは、金層に沿って励振電極までメッキ膜が拡散してしまっていた。これに対して本発明の厚み滑り振動片は、金層が途中で除去されているので、メッキ膜が励振電極まで拡散する前に止まってしまう。このように、金層を除去することで、メッキ膜が励振電極まで拡散してしまうことを防止することができる。つまり、金層が除去された領域を、拡散防止領域として機能させることができる。
そしてまた、本発明はフォトリソ技術を用いて除去すべき金属の領域(即ち、その位置と幅)を決め、且つ、エッチングにより金層の除去をしているから、その領域を水晶ウエハの両面の全面に亘って、精度良く且つ均一に加工することができる。従って、厚み滑り振動片をより小型化しても、水晶ウエハの面内に亘って除去すべき領域を均一に且つ再現性良く加工することができる。
従って、外部接続端子に接続された厚み滑り振動片は、鉛を使用しないメッキを使用したとしても、メッキ膜の拡散が防止されるので周波数が大幅に変動することはない。よって、品質を高めることができ信頼性の向上化を図ることができる。また、一枚のウエハから複数の厚み滑り振動片を一度に製造できるので、効率の良い製造を行うことができる。
上述したように、本発明に係る厚み滑り振動片の製造方法によれば、鉛フリー化に対応しながら、高品質な厚み滑り振動片を一度に複数、効率良く製造することができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動片の製造方法は、励振電極と、引き出し電極を介して励振電極に電気的に接続されたマウント電極とが水晶板の外表面上に形成され、所定の電圧が励振電極に印加されたときに厚み滑り振動する厚み滑り振動片を、水晶ウエハを利用して一度に複数製造する方法であって、水晶の原石を決められた切断角度及び厚みで切断して前記水晶ウエハにすると共に、該水晶ウエハの厚みを所定の厚みまで研磨する切断研磨工程と、該切断研磨工程後、前記水晶ウエハの研磨面をエッチングして加工変質層を除去すると共に、水晶ウエハの厚みを規定値内に揃えるエッチング工程と、該エッチング工程後、前記水晶ウエハの両面にエッチング用金属層をそれぞれ成膜する第1の金属層成膜工程と、該第1の金属層成膜工程後、前記エッチング用金属層をフォトリソ技術によりエッチングして、所定の形状にパターニングする金属層エッチング工程と、該金属層エッチング工程後、前記水晶板が連結部を介して前記水晶ウエハに連結されるように、パターニングした前記エッチング用金属層をマスクとして水晶ウエハをフォトリソ技術によりエッチングすると共に、前記励振電極の周囲を囲むように水晶ウエハの両面をフォトリソ技術により環状にエッチングして、前記水晶板の振動漏れを抑制する環状溝を形成するウエハエッチング工程と、該ウエハエッチング工程後、前記エッチング用金属層を除去した後、前記水晶ウエハの両面にクロムを薄膜状に堆積させたクロム層をそれぞれ成膜すると共に、該クロム層上に金を薄膜状に堆積させた金層をさらに成膜する第2の金属層成膜工程と、該第2の金属層成膜工程後、前記クロム層及び金層を、前記励振電極、前記引き出し電極及び前記マウント電極のパターンに沿ってエッチングする電極パターン形成工程と、該電極パターン形成工程後、前記引き出し電極領域における少なくとも一部分の前記金層、又は、前記マウント電極領域における引き出し電極近傍の前記金層を、フォトリソ技術によりエッチングして除去する金層除去工程と、該金層除去工程後、前記連結部を切断して複数の前記水晶板を個片化する切断工程と、を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動片の製造方法においては、切断研磨工程、エッチング工程、第1の金属層成膜工程、金属層エッチング工程、ウエハエッチング工程、第2の金属層成膜工程、電極パターン形成工程、金層除去工程及び切断工程を行うことで、水晶板、励振電極、引き出し電極及びマウント電極からなる厚み滑り振動片を1枚の水晶ウエハから一度に複数製造することができる。
まず、後に水晶板となる水晶の原石を、予め決められた切断角度及び厚みで切断して水晶ウエハにすると共に、該水晶ウエハをさらに研磨して所定の厚みにする切断研磨工程を行う。次いで、水晶ウエハの研磨面をエッチングして加工変質層を除去すると共に、水晶ウエハの厚みを周波数に応じて決められた規定値内に揃えるエッチング工程を行う。
次いで、スパッタ装置等を利用して、水晶ウエハの両面に所定の金属を薄膜状に堆積させたエッチング用金属層をそれぞれ成膜する第1の金属層成膜工程を行う。
次いで、水晶ウエハの両面に形成されたエッチング用金属層を、レジスト等を用いたフォトリソ技術を利用してエッチングして、所定の形状にパターニングする金属層エッチング工程を行う。この際、後に製造される厚み滑り振動片の水晶板と同じ大きさのエッチング用金属層が、水晶ウエハに繋がった状態で複数配列されるようにパターニングを行う。なお、この時点では、水晶ウエハにはまだ何も加工がなされていない。
次いで、パターニングされたエッチング用金属層をマスクとして、水晶ウエハをフォトリソ技術によりエッチングする。これにより、1枚の水晶ウエハから後に厚み滑り振動片となる水晶板を、連結部を介して水晶板に連結された状態で複数形成することができる。また、後に形成される励振電極の周囲を囲むように水晶ウエハの両面をフォトリソ技術により環状にエッチングして、水晶板の振動漏れを抑制する環状溝をそれぞれ形成する。
このウエハエッチング工程が終了した後、マスクとして利用したエッチング用金属層を除去する。そして、スパッタ装置等を利用して、水晶ウエハの両面にクロムを薄膜状に堆積させたクロム層をそれぞれ成膜すると共に、該クロム層上に金を薄膜状に堆積させた金層をさらに成膜する第2の金属層成膜工程を行う。なお、このクロム層と金層とを積層した積層膜は、後に励振電極、引き出し電極及びマウント電極となるものである。
次いで、水晶ウエハの両面に形成された積層膜を、フォトリソ技術により励振電極、引き出し電極及びマウント電極のパターンに沿ってエッチングする。この電極パターン形成工程を行うことで、水晶ウエハに連結部で連結された状態の厚み滑り振動片を複数形成することができる。
次いで、水晶板の両面に形成された励振電極、引き出し電極及びマウント電極のうち、引き出し電極領域における少なくとも一部分の金層、又は、マウント電極領域における引き出し電極近傍の金層を、フォトリソ技術によりエッチングして除去する金層除去工程を行う。即ち、励振電極、引き出し電極及びマウント電極は、前工程の段階でクロム層及び金層が積層された積層膜により形成されていたが、このうち、上述した領域の金層だけを除去してクロム層だけにする。
そして、最後に各水晶板と水晶ウエハとを連結していた連結部を切断して切り離し、水晶板を個片化する切断工程を行う。その結果、水晶ウエハから、励振電極、引き出し電極及びマウント電極が水晶板の外表面上に形成されていると共に、励振電極の周囲が環状溝によって囲まれた厚み滑り振動片を一度に複数製造することができる。
このように製造された厚み滑り振動片は、マウント電極にリード端子等の外部接続端子を接触させた後、メッキにより両者を機械的及び電気的に接続されて使用される。そして、外部接続端子を介して両マウント電極に所定の電圧を印加することで、引き出し電極を介して励振電極に電流を流すことができ、所定の周波数で厚み滑り振動させることができる。そして、この厚み滑り振動を、MHz帯の発振周波数を有する制御、通信機用の振動源等として利用することができる。
特に、金層除去工程により、引き出し電極領域における少なくとも一部分の金層、又は、マウント電極領域における引き出し電極近傍の金層を除去して、クロム層だけにしている。よって、マウント電極と外部接続端子とを接続する際に鉛を使用しないメッキ、例えば、錫−銅メッキを使用したとしても、従来のものと異なり、メッキ膜の拡散を途中で抑えることができる。
即ち、従来のものは、金層に沿って励振電極までメッキ膜が拡散してしまっていた。これに対して本発明の厚み滑り振動片は、金層が途中で除去されているので、メッキ膜が励振電極まで拡散する前に止まってしまう。このように、金層を除去することで、メッキ膜が励振電極まで拡散してしまうことを防止することができる。つまり、金層が除去された領域を、拡散防止領域として機能させることができる。
そしてまた、本発明はフォトリソ技術を用いて除去すべき金属の領域(即ち、その位置と幅)を決め、且つ、エッチングにより金層の除去をしているから、その領域を水晶ウエハの両面の全面に亘って、精度良く且つ均一に加工することができる。従って、厚み滑り振動片をより小型化しても、水晶ウエハの面内に亘って除去すべき領域を均一に且つ再現性良く加工することができる。
従って、外部接続端子に接続された厚み滑り振動片は、鉛を使用しないメッキを使用したとしても、メッキ膜の拡散が防止されるので周波数が大幅に変動することはない。よって、品質を高めることができ信頼性の向上化を図ることができる。また、一枚のウエハから複数の厚み滑り振動片を一度に製造できるので、効率の良い製造を行うことができる。
更に、水晶板には励振電極の周囲を囲むように環状溝が形成されているので、励振電極は他の部分よりも厚みが薄くなった薄肉部で囲まれた状態となる。よって、励振電極によって生じた厚み滑り振動は、この薄肉部を超えて外側に伝わり難くなる。従って、振動漏れを抑制することができ、効率良く厚み滑り振動させることができる。
上述したように、本発明に係る厚み滑り振動片の製造方法によれば、鉛フリー化に対応しながら、高品質で振動漏れが抑制された厚み滑り振動片を一度に複数、効率良く製造することができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動片の製造方法は、上記本発明の厚み滑り振動片の製造方法において、前記電極パターン形成工程の際、前記水晶板の両面に前記マウント電極を形成し、前記金層除去工程と前記切断工程との間に、金属マスクを有する成膜用治具に前記水晶ウエハをセットする治具セット工程と、該治具セット工程後、前記金属マスクを利用して前記水晶板の側面に、クロムを薄膜状に堆積させたクロム層を成膜すると共に、該クロム層上に金を薄膜状に堆積させた金層をさらに成膜する側面金属層成膜工程とを行い、前記水晶板の両面に形成された前記マウント電極を電気的に接続することを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動片の製造方法においては、電極パターン形成工程の際に、水晶板の両面にマウント電極を形成するように、クロム層及び金層をエッチングする。なお、この時点では、両面に形成されたマウント電極は、電気的に接続されていない。
そして、金層除去工程を行った後、複数の水晶板が連結部を介して連結されている水晶ウエハを、金属マスクを有する成膜用治具にセットする治具セット工程を行う。次いで、成膜用治具の金属マスクを利用して、複数の水晶板の側面にだけ、クロム層を成膜すると共に、該クロム層にさらに金層を成膜して側面金属層を形成する側面金属層成膜工程を行う。これにより、水晶板の両面に形成されたマウント電極を、クロム層及び金層からなる側面金属層を介して互いに電気的に接続することができる。
従って、厚み滑り振動片を外部接続端子に接続する際に、水晶板を片面側からだけで確実に接続することができる。特にインナーリード等の外部接続端子とマウント電極とを対向して配置するだけで確実に接続を行えるので、治具類の形状が単純となり、製造がより容易になる。従って、製造効率をさらに高めることができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動片の製造方法は、上記本発明の厚み滑り振動片の製造方法において、前記切断研磨工程の際、前記水晶ウエハが角型であって、長辺が11mm以上34mm以下で、且つ、短辺が11mm以上29mm以下となるように前記原石から切断することを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動片の製造方法においては、通常使用される約11mm角の水晶ウエハに対して略8倍以上の面積を有する水晶ウエハを利用するので、厚み滑り振動片を一度により多く製造することができる。従って、製造効率をさらに高めることができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動片の製造方法は、上記本発明の厚み滑り振動片の製造方法において、前記切断研磨工程の際、前記水晶ウエハが直径3インチとなるように前記原石から切断することを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動片の製造方法においては、通常使用される約11mm角の水晶ウエハに対して、大口径の3インチサイズの水晶ウエハを利用するので、厚み滑り振動片を一度により多く製造することができる。従って、製造効率をさらに高めることができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動片の製造方法は、上記本発明の厚み滑り振動片の製造方法において、前記エッチング工程の際、前記水晶ウエハの厚みを30μm以上160μm以下となるように厚みを調整することを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動片の製造方法においては、水晶ウエハの厚みを30μm以上160μm以下の範囲内に仕上げるので、実用的な周波数範囲(例えば、共振周波数が48MHz)の厚み滑り振動片を製造することができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動片は、上記本発明の厚み滑り振動片の製造方法により製造されたことを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動片においては、上述した製造方法により製造されているので、鉛を使用しないメッキを使用したとしても、メッキ膜の拡散を防止することができ、周波数が大幅に変動してしまうことを防ぐことができる。よって、品質を高めて信頼性の向上化を図ることができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動子は、上記本発明の厚み滑り振動片と、該厚み滑り振動片を内部に気密封止する封止部材と、一端が前記マウント電極に電気的に接続されると共に、他端が外部に電気的に接続される外部接続端子と、を備えていることを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動子においては、外部接続端子の他端に所定の電圧を印加することで、マウント電極に電流を流すことができ、厚み滑り振動片を滑り振動させることができる。特に、信頼性が向上した高品質の厚み滑り振動片を有しているので、同様に振動子としての高品質化を図ることができる。
また、本発明に係る発振器は、上記本発明の厚み滑り振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とするものである。
この発明に係る発振器においては、上述した厚み滑り振動子を備えているので、同様に高品質化を図ることができ、製品の信頼性を高めることができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動片は、水晶板と、該水晶板の外表面上に形成され、所定の電圧が印加されたときに水晶板を厚み滑り振動させる励振電極と、前記水晶板の外表面上に形成され、引き出し電極を介して前記励振電極に電気的に接続されたマウント電極と、を備え、前記励振電極、前記引き出し電極及び前記マウント電極が、クロムを薄膜状に堆積させたクロム層と、該クロム層上に金を薄膜状に堆積させた金層とからなる積層膜から形成され、これら積層膜のうち、引き出し電極領域における少なくとも一部分の金層、又は、マウント電極領域における引き出し電極の近傍の金層が除去されていることを特徴とするものである。
この発明に係る厚みすべり振動子においては、マウント電極にリード端子等の外部接続端子を接触させた後、メッキにより両者を機械的及び電気的に接続されて使用される。そして、外部接続端子を介してマウント電極に所定の電圧を印加することで、引き出し電極を介して励振電極に電流を流すことができ、所定の周波数で厚み滑り振動させることができる。そして、この厚み滑り振動を、MHz帯の発振周波数を有する制御、通信機用の振動源等として利用することができる。
特に、引き出し電極領域における少なくとも一部分の金層、又は、マウント電極領域における引き出し電極近傍の金層が除去されてクロム層だけになっている。よって、マウント電極と外部接続端子とを接続する際に鉛を使用しないメッキ、例えば、錫−銅メッキを使用したとしても、従来のものと異なり、メッキ膜の拡散を途中で抑えることができる。
即ち、従来のものは、金層に沿って励振電極までメッキ膜が拡散してしまっていた。これに対して本発明の厚み滑り振動片は、金層が途中で除去されているので、メッキ膜が励振電極まで拡散する前に止まってしまう。このように、金層が除去されているので、メッキ膜が励振電極まで拡散してしまうことを防止することができる。つまり、金層が除去された領域を、拡散防止領域として機能させることができる。
従って、鉛を使用しないメッキを使用したとしても、メッキ膜の拡散が防止されるので周波数が大幅に変動することはない。よって、品質を高めることができ信頼性の向上化を図ることができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動片は、上記本発明の厚み滑り振動片において、前記マウント電極が、前記水晶板の両面に形成され、前記水晶板の側面には、クロムを薄膜状に堆積させたクロム層と該クロム層上に金を薄膜状に堆積させた金層とから形成され、水晶板の両面に形成された前記マウント電極を電気的に接続する側面金属層が形成されていることを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動片においては、水晶板の両面に形成されたマウント電極が、クロム層及び金層からなる側面金属層を介して互いに電気的に接続された状態となっている。従って、厚み滑り振動片を外部接続端子に接続する際に、水晶板を片面側からだけで確実に接続することができる。特にインナーリード等の外部接続端子とマウント電極とを対向して配置するだけで確実に接続を行える。
また、本発明に係る厚み滑り振動片は、上記本発明の厚み滑り振動片において、前記水晶板には、前記励振電極の周囲を囲むように環状に形成され、水晶板の振動漏れを抑制する環状溝が形成されていることを特徴とするものである。
この発明に係る厚み滑り振動片においては、励振電極の周囲を囲むように水晶板に環状溝が形成されているので、励振電極が他の部分よりも厚みが薄くなった薄肉部で囲まれた状態となる。よって、励振電極によって生じた厚み滑り振動は、この薄肉部を超えて外側に伝わり難くなる。従って、振動漏れを抑制することができ、効率良く厚み滑り振動させることができる。
本発明に係る厚み滑り振動片の製造方法によれば、鉛フリー化に対応しながら、安定した品質の厚み滑り振動片を効率良く製造することができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動片によれば、上述した製造方法により製造されているので、鉛を使用しないメッキを使用したとしても、メッキ膜の拡散を防止することができ、周波数が大幅に変動してしまうことを防ぐことができる。よって、品質を高めて信頼性の向上化を図ることができる。
また、本発明に係る厚み滑り振動子によれば、信頼性が向上した高品質の厚み滑り振動片を有しているので、同様に振動子としての高品質化を図ることができる。
また、本発明に係る発振器によれば、上述した厚み滑り振動子を備えているので、同様に高品質化を図ることができ、製品の信頼性を高めることができる。
以下、本発明に係る厚み滑り振動子、厚み滑り振動片及び厚み滑り振動片の製造方法の第1実施形態を、図1から図25を参照して説明する。なお、本実施形態では、厚み滑り振動子として、シリンダパッケージタイプの厚み滑り振動子を例に挙げて説明する。また、図1から図25では、クロム層及び金層の膜厚を適宜誇張して図示している。
本実施形態の厚み滑り振動子1は、図1に示すように、厚み滑り振動片2と、該厚み滑り振動片2を内部に収納するケース3と、厚み滑り振動片2をケース3内に密閉させる気密端子であるプラグ4とを備えている。
上記厚み滑り振動片2は、図2から図4に示すように、一定の厚みで板状に形成された水晶板10と、該水晶板10の外表面上に形成された励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13とを備えている。
本実施形態の水晶板10は、外形が略矩形状に形成されている。そして、この水晶板10の両面の略中央部分に、上記励振電極11がそれぞれ対向するように形成されている。また、水晶板10の端部には、引き出し電極12を介して励振電極11にそれぞれ電気的に接続されたマウント電極13が形成されている。なお、マウント電極13は、一方の励振電極11に接続されたものと、他方の励振電極11に接続されたものとが、水晶板10の両面にそれぞれ形成されている。この際、一方の面に形成されたマウント電極13は、他方の面に形成されたマウント電極13に対して、水晶板10の側面上に形成された側面金属層14を介して互いに電気的に接続されている。
また、励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13は、共に下地層としてクロムを薄膜状に堆積させたクロム層15と、該クロム層15上に金を薄膜状に堆積させた金層16とが積層されて形成されたものである。但し、本実施形態の引き出し電極12は、クロム層15のみで形成されているものである。つまり、引き出し電極12の領域では、金層16が除去されている。
ケース3は、図1に示すように、有底円筒状に形成されており、プラグ4の後述するステム5の外周に対して圧入されて嵌合固定されている。なお、このケース3の圧入は、真空雰囲気下で行われており、ケース3内の厚み滑り振動片2を囲む空間が真空に保たれた状態となっている。
プラグ4は、ケース3を密閉させるステム5と、該ステム5を貫通した状態で配置され、ステム5を間に挟んで一端側がマウント電極13に電気的に接続されたインナーリード6aとされ、他端側が外部に電気的に接続されるアウターリード6bとされた2本のリード端子6と、ステム5の内側に充填された充填剤7とを備えている。
なお、ケース3及びプラグ4は、厚み滑り振動片2を内部に気密封止する封止部材8を構成するものである。また、2本のリード端子6は、外部接続端子として機能するものである。
ステム5は、金属材料で環状に形成されている。また、充填剤7の材料としては、例えば、ホウ珪酸ガラスである。また、リード端子6の表面及びステム5の外周には、鉛を使用しないメッキ、例えば、錫(Sn)−銅(Cu)メッキが施されている。なお、この錫−銅メッキを利用して、インナーリード6aとマウント電極13とが機械的及び電気的に接続されている。これについては、後に詳細に説明する。
このように構成された厚み滑り振動子1を作動させる場合には、2本のリード端子6のアウターリード6bに対して、所定の電圧を印加する。これにより、インナーリード6a、マウント電極13及び引き出し電極12を介して励振電極11に電流を流すことができ、水晶板10を所定の周波数で厚み滑り振動させることができる。そして、この厚み滑り振動を、MHz帯の発振周波数を有する制御、通信機用の振動源等として好適に利用することができる。
次に、上述した厚み滑り振動子1の製造方法について以下に説明する。初めに、その前段階として、厚み滑り振動片2の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態の厚み滑り振動片2の製造方法は、切断研磨工程、エッチング工程、金属層成膜工程、金属層エッチング工程、電極パターン形成工程、金層除去工程、治具セット工程、側面金属層成膜工程及び切断工程を順に行って、1枚の水晶ウエハSを利用して一度に複数の厚み滑り振動片2を製造する方法である。
これら各工程について、図5及び図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、水晶の原石を決められた切断角度及び厚みで切断して水晶ウエハSにすると共に、該水晶ウエハSの厚みを所定の厚みまで研磨する切断研磨工程を行う。この切断研磨工程について具体的に説明する。なお、この工程は、図7及び図8に示す研磨装置20を利用して行うものであるので、先にこの研磨装置20について簡単に説明する。
この研磨装置20は、図7及び図8に示すように、汎用のラッピング装置であって、サンギヤ(太陽歯車)21と、インターナルギヤ(内歯車)22と、キャリア(遊星歯車)23とからなる遊星歯車機構を有している。また、キャリア23の上下には、下定盤24及び上定盤25が配置されている。なお、この研磨装置20は、下定盤24が回転し、上定盤25が固定された3ウェイ方式とされている。また、サンギヤ21、インターナルギヤ22、キャリア23及び下定盤24は、図7に示す方向に回転するように設定されている。なお、この際の下定盤24の回転速度及び印加荷重は、図示しない制御部によってプログラム制御されている。
キャリア23は、直径6インチの円板であり、下定盤24と上定盤25との間に所定間隔毎に10個配置されている。また、1つのキャリア23に対して、5枚の水晶ウエハSが入るようになっている。これにより、1バッチの研磨で50枚の水晶ウエハSを一度に研磨することが可能とされている。
このように構成された研磨装置20を利用して、上記切断研磨工程を行う。
まず、水晶のランバード原石を用意すると共に、X線回折法等によりランバード原石の切断角度の測定を行う(S1)。これは、厚み滑り振動片2の温度特性が、ランバード原石の切断角度に依存しているからである。なお、本実施形態では、切断角度として、35度10分30秒±30秒に設定する。
次いで、上記切断角度を持って、ランバード原石をワイヤーソー(例えば、線径が約160μmの高張力線)を用いて略220μmの厚みに切断する(S2)。なお、この切断時に使用する研磨剤としては、例えば、平均粒径が約11.5μmの緑色炭化珪素研磨剤である。
これにより、複数の水晶ウエハSを得ることができる。なお、この時点での水晶ウエハSの寸法は、例えば、X方向が約30mm、Z方向が約34.4mm、厚さが約220μmである。但し、この寸法に限られず、水晶ウエハSを直径3インチとなるようにしても構わない。更には、長辺が11mm以上34mm以下、短辺が11mm以上29mm以下の角型となるように水晶ウエハSを切断しても構わない。このような寸法にすることで、通常使用される11mm角のものに対して、遥かに大きな面積を有する水晶ウエハSにすることができるので、厚み滑り振動片2を一度により多く製造することができる。
次に、水晶ウエハSの厚みを所定の厚みである約34μmまで研磨する。本実施形態では、3回のラッピング(粗加工)と、1回の仕上げラッピング(仕上げ加工)とを行って徐々に所定の厚みに近づけていく場合を説明する。
まず1回目のラッピングを行う前に、水晶ウエハSの側面の研磨を行う(S3)。即ち、切断した1枚毎の水晶ウエハSを接着剤で張り合わせてブロックにした後、図示しない研磨機で外周の研削を行う。続いて、面摺機にブロックを当ててコーナーの面取りを行い、水晶ウエハSの方向に識別を付けた後、図示しないラッピング装置で外周をラッピングする。これにより、水晶ウエハSの寸法精度を出すことができ、且つ、外周を滑らかに仕上げて、水晶ウエハSの割れや欠けの発生を抑えることができる。その後、加熱等により接着剤を溶解させ、1枚毎の水晶ウエハSに分離する。そして、分離した水晶ウエハSを洗浄液中で超音波洗浄して、接着剤を完全に除去する。
続いて、第1回目のラッピングを行う(S4)。この第1回目のラッピングでは、水晶ウエハSを図7及び図8に示す研磨装置20を利用して、厚みを220μmから120μmまで薄くする。即ち、片面50μm研磨を行う。なお、この際厚みが110μmのキャリア23を用いる。また、加工終了のエンドポイントの検出は、電極棒とネットワークアナライザとによる厚み滑り振動周波数計測(空隙法)に基づいて行っている。後に行う残り2回のラッピング及び仕上げラッピングも同様である。また、緑色炭化珪素研磨剤を砥粒として使用する。これに関しても、後に行う残り2回のラッピング及び仕上げラッピングも同様である。
続いて、第2回目のラッピングを行う(S5)。この第2回目のラッピングでは、研磨装置20により、厚みを120μmから80μmまで薄くする。即ち、片面20μm研磨を行う。なお、この際厚みが70μmのキャリア23を用いる。
続いて、第3回目のラッピングを行う(S6)。この第3回目のラッピングでは、研磨装置20により、厚みを80μmから50μmまで薄くする。即ち、片面15μm研磨を行う。なお、この際厚みが40μmのキャリア23を用いる。
上述した3回のラッピング(3段階の粗加工)が終了した後、水晶ウエハSを超音波洗浄する(S7)。即ち、水晶ウエハSを図示しないバスケットに収納すると共に、バスケットごと洗浄液に浸漬する。そして、超音波洗浄を行って水晶ウエハSの表面に付着している砥粒を除去する。この工程は、次の工程で使用されるより細かな粒径の砥粒に、粗加工の砥粒を混ぜないために必要な工程である。
超音波洗浄後、水晶ウエハSを仕上げラッピングする(S8)。なお、この工程では、上述した3回のラッピング加工で使用した研磨剤が混入するのを避けるため、同一構成ではあるが別の研磨装置20を使用する。また、研磨剤としては、アルミナベースの精密ラッピング剤を使用する。また、研磨液としては、水道水ではなく純水を用いると共に、下定盤24に均一に供給する。
この仕上げラッピングによって、水晶ウエハSの厚みを50μmから所定の厚みである34μmまで薄くする。即ち、片面8μmの研磨を行う。なお、この際厚みが30μmのキャリア23を用いる。
そして、仕上げラッピングが終了した後、水晶ウエハSの洗浄を再度行う(S9)。即ち、水晶ウエハSを再度バスケットに収納した後、超音波洗浄と純水洗浄とを繰り返し行う。またこの際、酸洗浄とアルカリ洗浄とを組み合わせて行う。そして、純水によるすすぎ洗浄の後に、スピン乾燥機により脱水及び乾燥を行う。
これにより、切断研磨工程が終了する。
次いで、水晶ウエハSの研磨面をエッチングして加工変質層を除去すると共に、水晶ウエハSの厚みを周波数に応じて決められた規定値内に揃える厚み揃えエッチング(エッチング工程)を行う(S10)。
本実施形態では、例えば、エッチング量として4μmに設定する。まず、水晶ウエハSの厚みを、図示しない厚み滑り測定器で予め全て測定した後に、一定の厚み毎に分類する。そして、分類した水晶ウエハSをそれぞれ専用のバスケットに並べた後、所定の時間の間、バスケットごとエッチング液に浸漬する。なおこの間、バスケットをゆっくり上下に揺動させて、水晶ウエハSの厚みにムラが生じてしまうことを防止する。そして、所定の時間が経過した後、バスケットをエッチング液から取り出すと共に、純水に浸漬させて十分にエッチング液を取り去る。その後、スピン乾燥を行った後、水晶ウエハSの厚みを再度測定し、規定値内に入っていれば本工程を終了する。測定した結果、仮に水晶ウエハSの厚みが規定値内に入っていない場合には、再度本工程によるエッチングを繰り返す。
なお、エッチング液としては、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムとの混合液を使用する。また、エッチング液のエッチング速度は、別のサンプルで予め求めておき、エッチング対象の水晶ウエハSのエッチング時間を決定している。
なお、上述した工程の際、水晶ウエハSの厚みを30μm以上160μm以下の範囲内に仕上げることが好ましい。このようにすることで、実用的な周波数範囲(例えば、共振周波数が48MHz)の厚み滑り振動片2を製造することができる。なお、下限値である30μmは、研磨加工中の割れ、欠けやキャリア23の破損による歩留まり低下を考慮した値である。一方、上限値である160μmは、ATカット又はBTカットに要求される周波数帯に相当する厚みと、原石を切断した後に実施される研磨加工の取りしろ値とを考慮した値である。
そして、水晶ウエハSの厚み揃えが終了した後、再び洗浄を行う(S11)。即ち、水晶ウエハSをバスケットに収納した後、超音波洗浄と純水洗浄とを繰り返し行う。またこの際、酸洗浄とアルカリ洗浄とを組み合わせて行う。そして、純水によるすすぎ洗浄の後に、スピン乾燥機により脱水及び乾燥を行う。
次に、水晶ウエハSの両面にクロムを薄膜状に堆積させたクロム層15をそれぞれ成膜すると共に、該クロム層15上に金を薄膜状に堆積させた金層16をさらに成膜する金属層成膜工程を行う。
具体的には、まず、厚み揃えが終了した水晶ウエハSを所定のバスケットにセットして、水晶ウエハSの準備を行う(S20)。そして、純水や60℃程度の温度に加熱した温純水や超純水にバスケットを浸漬して、水晶ウエハSを洗浄する(S21)。洗浄した後、水晶ウエハSをスピン乾燥機等で脱水する。脱水後、真空中で水晶ウエハSを加熱し、吸着した水分を脱利させる。次いで、スパッタ装置等の図示しない成膜装置を利用して、水晶ウエハSの両面にクロム層15と金層16とを積層した状態でそれぞれ成膜する(S22)。
この際、クロム層15の厚みが数百Åとなるように成膜すると共に、金層16の厚みが数千Åとなるように成膜を行う。また、水晶ウエハSの両面に対して同時に成膜を行っても構わないし、片面だけ先に成膜した後、裏返して残りの片面を成膜しても構わない。なお、クロム層15と金層16とを積層した積層膜Pは、後に励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13となるものである。
次いで、クロム層15及び金層16をフォトリソ技術によりエッチングして、所定の形状にパターニングする金属層エッチング工程を行う。この際、後に製造される水晶板10と同じ大きさのクロム層15及び金層16が、それぞれ繋がった状態で複数配列されるようにパターニングを行う。
具体的には、まず、水晶ウエハSの両面にレジスト(ネガ型のフォトレジスト)をそれぞれ塗布する(S23)。即ち、水晶ウエハSの片面にレジストを塗布して所定の温度で処理した後、残りの片面に同様にレジストを塗布する。両面にレジストを塗布した後、80℃程度の温度で熱処理を行う。
続いて、複数の厚み滑り振動片2の水晶板10の外形形状を形成し、且つ、水晶板10が連結部10aを介して水晶ウエハ10に繋がるようにするための図示しない外形形成用マスクを用意する。そして、この外形形成用マスクを利用して、水晶ウエハSの両面に形成されたレジストを同時に露光した後、現像を行ってレジストによる外形パターンを形成する(S24)。
続いて、レジストによる外形パターンをマスクとして、クロム層15及び金層16をエッチングする(S25)。この際、クロム層15をエッチングするエッチング液としては、例えば、フェリシアン化カリウムと水酸化カリウムの水溶液とを混合させた水溶液等が用いられる。また、金層16をエッチングするエッチング液としては、例えば、ヨウ素、無水エタノール、ヨウ化カリウム、純水等の混合液が用いられる。
そして、不要となったレジストを剥離する(S26)。これにより、水晶ウエハSの両面には、後に製造される厚み滑り振動片2の水晶板10と同じ外形形状で且つ一端に連結部10aと重なる同様の連結部P1を有するクロム層15及び金層16の積層膜Pのパターンが複数配列される。この状態の水晶ウエハSの片面を、図9(a)に示す。この図9(a)の斜線で示す領域が、上述した積層膜Pがパターニングされた領域である。また、この領域は、後の水晶エッチング工程(S29)でマスクとなる領域であり、白地の部分がエッチングにより溶解して取り去られる部分に相当している。そして、レジストを剥離した後、水晶ウエハSを超音波洗浄すると共に、スピン乾燥機で脱水した後、クリーンオーブンで乾燥させる。
上記金属層エッチング工程後、水晶板10が連結部10aを介して水晶ウエハSに連結されるように、パターニングしたクロム層15及び金層16からなる積層膜Pをマスクとして水晶ウエハSをフォトリソ技術によりエッチングすると共に、パターニングしたクロム層15及び金層16からなる積層膜Pを、励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13のパターンに沿ってエッチングする電極パターン形成工程を行う。
本実施形態では、まず、水晶ウエハSのエッチングを行う前に、積層膜Pに対してレジストによる電極パターンを形成する場合を説明する。
まず、上述した方法と同様の方法により、水晶ウエハSの両面に再度レジストを塗布する(S27)。続いて、励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13のレジストによるパターンを形成するための図示しない電極パターン形成用マスクを用意する。そして、この電極パターン形成用マスクを利用して、水晶ウエハSの両面に形成されたレジストを同時に露光した後、現像を行ってレジストによる電極パターンを形成する(S28)。
なお、本工程は、次工程である水晶ウエハSのエッチング工程(S29)の後に実施することも可能であるが、本実施形態のようにエッチング前に行うことが好ましい。つまり、水晶ウエハSをエッチングする前であるので、水晶ウエハSには上述した積層膜Pの段差しかなく、十分に平坦であり、レジスト膜の厚みを十分均一に形成することができる。従って、レジストのパターンを精度良く形成することが可能である。仮に、水晶ウエハSのエッチング後に本工程を実施する場合には、レジストの塗布装置に制限があり、且つ、レジストの厚みの管理もより厳密にしなければならない。但し、これらの事に注意すれば、水晶ウエハSのエッチング後に本工程を実施しても構わない。
続いて、先の工程(S25)で形成したクロム層15及び金層16の積層膜Pをマスクとして、水晶ウエハSをエッチングして、振動片の外形を形成する(S29)。この際、水晶ウエハSをエッチングするエッチング液としては、例えば、フッ化水晶酸と酸性フッ化アンモニウム水溶液とを混合させた水溶液等が用いられる。
これにより、図9(b)に示すように、1枚の水晶ウエハSから後に厚み滑り振動片2となる水晶板10を、連結部10aを介して水晶ウエハSに連結した状態で複数形成することができる。なお、図9(b)では、クロム層15及び金層16の図示を省略している。また、図9(b)では、厚み滑り振動片2の水晶板10はウエハの中心近傍に存在する種結晶を境にして上段と下段との2段に配置され、且つ、各段ともに8個ずつの水晶板10が形成された列が複数配置されている。例えば、厚み滑り振動片2の水晶板10の長辺が約2mmで短辺が約1.1mmの外形のとき、長辺が約34mmで短辺が約29mmの水晶ウエハSを用いた場合には、厚み滑り振動片2の水晶板10の取り個数は約150から約200個となる。
続いて、前述の工程(S28)で形成したレジストによる電極パターンをマスクとして、クロム層15及び金層16からなる積層膜Pをエッチングする(S30)。つまり、フォトリソ技術により、励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13のパターンに沿ってクロム層15及び金層16をエッチングする。なお、この際使用するエッチング液は、上述したものと同様のものを使用する。
このように、電極パターン形成工程を行うことで、水晶ウエハSに連結部10aで連結された状態の厚み滑り振動片2を複数形成することができる。この時点では、図10及び図11に示すように、励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13は、共にクロム層15及び金層16から構成されている。なお、図10から図13においては、連結部10aの図示を省略している。
続いて、不要となったレジストを剥離する(S31)。また、レジストを剥離した後、水晶ウエハSを超音波洗浄すると共に、スピン乾燥機で脱水した後、クリーンオーブンで乾燥させる。
次に、水晶板10の両面に形成された励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13のうち、引き出し電極12領域における少なくとも一部分の金層16、又は、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16を、フォトリソ技術によりエッチングして除去する金層除去工程を行う。なお、本実施形態では、引き出し電極12領域における金層16を全て除去する。
具体的には、まず、上述したと同様に水晶ウエハSの両面にレジストを再度塗布する(S32)。続いて、引き出し電極12領域における金層16を剥離するための図示しない金層剥離用マスクを用意する。そして、この金層剥離用マスクを利用して、水晶ウエハSの両面に形成されたレジストを同時に露光した後、現像を行ってレジストによる金層剥離パターンを形成する(S33)。
続いて、レジストによる金層剥離パターンをマスクとして、引き出し電極12領域における金層16をエッチングする(S34)。この際、金層16をエッチングするエッチング液としては、例えば、ヨウ素、無水エタノール、ヨウ化カリウムや純水等の混合液が用いられる。これにより、図12に示すように、引き出し電極12領域における金層16が剥離され、下地となっているクロム層15が露出した状態となる。なお、この時点では、水晶板10の両面に形成されたマウント電極13は、互いに電気的に接続されていない。
続いて、不要となったレジストを剥離する(S35)。また、レジストを剥離した後、水晶ウエハSを超音波洗浄すると共に、スピン乾燥機で脱水した後、クリーンオーブンで乾燥させる。
次に、水晶板10の両面に形成されたマウント電極13を互いに電気的に接続させるために、金属マスクを有する図示しない成膜用治具に水晶ウエハSをセットする治具セット工程を行う(S36)。この金属マスクは、例えば、薄いステンレス製の金属プレートであり、水晶ウエハSを成膜用治具にセットした際に、複数の水晶板10の側面に側面金属層14を形成する領域以外を隠すようになっている。
水晶ウエハSをセットした後、図示しない成膜装置を利用して、複数の水晶板10の側面にだけ、クロムを薄膜状に堆積させたクロム層15を成膜すると共に、該クロム層15上に金を薄膜状に堆積させた金層16をさらに成膜する側面金属層成膜工程を行う(S37)。これにより、図13及び14に示すように、水晶板10の両面に形成されたマウント電極13を、クロム層15及び金層16からなる側面金属層14を介して互いに電気的に接続することができる。
なお、金層16の厚みとしては、例えば、1000Åから1500Å程度である。また、側面金属層14を形成する際に、水晶板10の両面側からそれぞれ成膜することが好ましい。
側面金属層14を形成した後、水晶ウエハSを成膜用治具から取り外す(S38)。そして、最後に各水晶板10と水晶ウエハSとを連結していた連結部10aを切断して切り離し、水晶板10を個片化する切断工程を行う。
その結果、水晶ウエハSから、励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13が水晶板10の外表面上に形成された図2に示す厚み滑り振動片2を一度に複数製造することができる。特に、1枚の水晶ウエハSから複数の厚み滑り振動片2を製造できるので、効率の良い製造を行うことができる。
次に、上述したように厚み滑り振動片2を製造した後、図1に示す厚み滑り振動子1を製造するまでの工程について、図15に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、本実施形態では、図16に示す製造装置30を利用して製造する場合を例に挙げて説明する。初めに、この製造装置30について簡単に説明する。
この製造装置30は、図16(a)、(b)に示すように、図示しない搬送ベルトによって移動可能なマウント治具31と、該マウント治具31上に取り付けられた振動片ホルダ32と、該マウント治具31上に着脱自在に固定されるパレット33とを備えている。
マウント治具31は、上面視矩形状に形成されており、両端に形成された開口31aを介して搬送ベルトに嵌合固定されるようになっている。そして、マウント治具31は、搬送ベルトによって、図17に示すように、ワーク供給ステーションS1、マウントステーションS2、取り出しステーションS3間を順に循環されるようになっている。そして、各ステーションS1、S2、S3で各処理が適宜行われることにより、厚み滑り振動子1が製造されるようになっている。これについては、後に詳細に説明する。
振動片ホルダ32には、図16(b)に示すように、厚み滑り振動片2を位置決めさせる凹部32aが、長手方向に沿って所定間隔毎に複数形成されている。これにより、図16(a)に示すように、複数の厚み滑り振動片2を所定の間隔に並べた状態で固定することができるようになっている。
また、パレット33は、上面視矩形状で且つ断面視L字状に形成されており、図16(b)に示すように、上部にプラグ4を嵌め込むことができる凹部33aが、長手方向に沿って所定間隔毎に複数形成されている。この凹部33aは、円筒状のステム5を上方から嵌合できるように、底面が円筒内面の溝状に形成されている。この凹部33aによって、図16(a)に示すように、複数のプラグ4を所定の間隔に並べた状態でパレット33に固定できるようになっている。なお、パレット33の凹部33aの間隔は、振動片ホルダ32の凹部32aの間隔と同じ間隔に設定されている。これにより、複数の厚み滑り振動片2と複数のプラグ4とを、それぞれ対向するように位置決めした状態で確実に並べることができるようになっている。
次いで、このように構成された製造装置30を利用して厚み滑り振動子1を製造する場合について説明する。
まず、搬送ベルトを駆動してマウント治具31を図17に示すワーク供給ステーションS1に移動させる。そして、ワーク供給ステーションS1にて、図示しないロボット等により、振動片ホルダ32に形成された凹部32aに複数の厚み滑り振動片2を整列させる(S40)。またこれと同時に、ワーク供給ステーションS1にて、複数のプラグ4をパレット33の凹部33aにセットしておく。
次いで、ワーク供給ステーションS1にて、複数のプラグ4が予めセットされたパレット33を図示しないロボット等により、マウント治具31に装着する(S41)。これにより、図16(a)、(b)に示すように、各厚み滑り振動片2のマウント電極13上に、各プラグ4のインナーリード6aが位置した状態になる。
次いで、搬送ベルトを駆動してマウント治具31をワーク供給ステーションS1から図17に示すマウントステーションS2に移動させる。そして、各プラグ4を、バネ性を有する図示しないインナーリード押さえ工具で押さえつけ、インナーリード6aをマウント電極13に対して密着させる(S42)。
インナーリード6aとマウント電極13とを密着させた後、加熱した熱風をインナーリード6aに当ててインナーリード6aの外表面に予め施されている錫−銅メッキを溶解させる。すると、溶解したメッキ膜Mは、図18及び図19に示すように、厚み滑り振動片2のマウント電極13に流れると共に、マウント電極13領域の金層16に対して十分に濡れるので、強固な半田接続となる。これにより、インナーリード6aとマウント電極13とを、機械的及び電気的に接続することができる(S43)。
特に本実施形態では、金層除去工程により、引き出し電極12領域における金層16を除去してクロム層15だけにしているので、上述した接続の際に鉛を使用しない錫−銅メッキを使用したとしても、従来のものとは異なり、メッキ膜Mの拡散を途中で抑えることができる。
即ち、従来では、金層16に沿って励振電極11までメッキ膜Mが拡散してしまっていた。これに対して本実施形態では、金層16が途中で除去されているので、図18及び図19に示すように、メッキ膜Mが引き出し電極12まで流れず、励振電極11にまで拡散する前に止まってしまう。このように、金層16を除去することで、メッキ膜Mが励振電極11まで拡散してしまうことを防止することができる。つまり、金層16が除去された領域を、拡散防止領域として機能させることができる。
従って、この厚み滑り振動片2は、周波数が大幅に変動する恐れがなく、後に周波数調整工程を行ったときに、確実に所望する周波数内に収めることができる。このように、高品質な厚み滑り振動片2を用いているので、信頼性の向上化を図ることができる。
また、本実施形態では、側面金属層14により水晶板10の両面のマウント電極13が電気的に接続されているので、インナーリード6aを水晶板10の裏表に関係なくマウント電極13に対して確実に接続することができる。つまり、上述したように、厚み滑り振動片2を片面だけでインナーリード6aに接続できるので、製造が容易になり、製造効率を高めることができる。
次いで、複数のプラグ4及び厚み滑り振動片2について、インナーリード6aとマウント電極13との接続が終了した後、搬送ベルトを駆動してマウント治具31を図17に示す取り出しステーションS3に移動させる。そして、取り出しステーションにて、図示しないロボット等によりパレット33をマウント治具31から取り外す。
なお、取り出しステーションS3にてパレット33が取り外されたマウント治具31は、搬送ベルトの駆動により自動回収ラインに沿ってワーク供給ステーションS1に再び移動させられる。その後、再び複数の厚み滑り振動片2と、複数のプラグ4が予めセットされたパレット33とが供給された後、上述した工程を繰り返す作業に用いられる。
次いで、パレット33上で互いに接合された厚み滑り振動片2とプラグ4とを、半田接続による歪みを除去する目的で、真空中において所定の温度で加熱する真空ベーキングを行う(S44)。真空ベーキング後、互いに接合された厚み滑り振動片2とプラグ4とを、2つのイオン発生源を内部に有する図示しない真空チャンバー内にセットする。そして、真空チャンバー内でアルゴンプラズマを発生させて、アルゴンイオンで片面の励振電極11を薄く削る方式で周波数調整を行う(S45)。
この周波数調整は、最初のイオン源でまず高速に周波数を粗く調整した後、次のイオン源で精密に周波数を調整する。また、この周波数調整は、周波数が低い領域から徐々に高くし、所定の周波数幅に収まったところで調整を終了する。
次いで、ケース3をプラグ4と同一のピッチで図示しない所定の治具に整列させる。そして、真空中で複数のプラグ4の各ステム5に沿って、所定の荷重を加えながらケース3を挿入する(S46)。なお、真空中ではなく、N2等の不活性ガス中で圧入を行っても構わない。これにより、ケース3内に厚み滑り振動片2を気密封止することができ、図1に示す厚み滑り振動子1を製造することができる。
なお、圧入を行う前に、プラグ4、厚み滑り振動片2及びケース3等を十分に加熱して、表面吸着水分等を脱利させておく。
次いで、スクリーニングを行う(S47)。このスクリーニングは、周波数や共振抵抗値の安定化を図ると共に、ケース3を圧入した圧入箇所に、圧縮応力に起因する金属ウイスカが発生してしまうことを抑制するために行うものである。次いで、厚み滑り振動子1の電気特性検査を行う(S48)。即ち、厚み滑り振動片2の共振周波数、共振抵抗値、ドライブレベル特性(共振周波数及び共振抵抗値の励振電力依存性)等を測定し、分類する。また、絶縁抵抗特性をチェックする。
そして最後に、パレット33から厚み滑り振動子1を取り外す(S49)。これにより、所望の電気特性に調整された厚み滑り振動子1を製造することができる。
特に、本実施形態の厚み滑り振動子1は、上述したように周波数が大幅に変動することがない信頼性の向上した高品質の厚み滑り振動片2を有しているので、同様に振動子としての高品質化を図ることができる。また、厚み滑り振動片2は、内部に気密封止されているので、空気のダンピングの影響を受けずに高精度に振動することができる。また、塵埃等の影響を受けないことからも品質に優れている。
なお、上記実施形態では、金層除去工程の際に、引き出し電極12領域における金層16を全て除去したが、一部除去するだけでも構わない。
即ち、図20及び図21に示すように、引き出し電極12領域における金層16の一部(マウント電極13近傍の金層16)を所定距離H(例えば、10μm以上50μm以下)だけ除去しても構わない。この場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
このように、引き出し電極12領域において金層16を全て除去せずに一部だけ除去しても構わない。つまり、引き出し電極12領域における少なくとも一部分の金層16を除去すれば、メッキ膜Mが励振電極11まで拡散してしまうことを防止することができる。
また、引き出し電極12領域における金層16ではなく、図22から図25に示すように、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16を所定距離H(例えば、10μm以上50μm以下)だけ除去しても構わない。この場合であっても、図25に示すように、マウント電極13とインナーリード6aとを接続する際に、メッキ膜Mがマウント電極13上に留まるので、励振電極11上まで拡散してしまうことを防止することができる。従って、この場合であってもやはり同様の作用効果を奏することができる。
次に、本発明に係る厚み滑り振動片、厚み滑り振動子及び厚み滑り振動片の製造方法の第2実施形態を、図26から図30を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。また、図26から図30においても、クロム層及び金層を誇張して図示している。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では厚み滑り振動片2の片面に2つのインナーリード6aが接続されていたのに対し、第2実施形態では、厚み滑り振動片2の両面にインナーリード6aがそれぞれ接続されている点である。
即ち、本実施形態の厚み滑り振動子50は、 図26に示すように、各励振電極11に電気的に接続されたマウント電極13が片面にのみ形成された厚み滑り振動片51を備えている。そして、2本のインナーリード6aが厚み滑り振動片51を両側から挟むように配置されており、水晶板10の片面にそれぞれ形成されたマウント電極13に接続されている。
本実施形態の厚み滑り振動片51は、図27から図30に示すように、水晶板10の両面に励振電極11が対向するように形成されている。そして、各励振電極11に電気的に接続する引き出し電極12及びマウント電極13のみが、水晶板10の片面にだけ形成されている。つまり、第1実施形態のように、一方の励振電極11に電気的に接続されるマウント電極13が水晶板10の両面にそれぞれ形成されているのではなく、片面にだけ形成されている。
また、本実施形態の厚み滑り振動片51は、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16が除去されており、この部分だけ下地のクロム層15が露出している。
このように構成された厚み滑り振動子50を製造する場合には、プラグ4と厚み滑り振動片51とを接続する際に、水晶板10を両面から挟むように2本のインナーリード6aを配置して、該インナーリード6aとマウント電極13とを接触させる。そして、インナーリード6aに熱風を当てて、メッキを溶解させ、インナーリード6aとマウント電極13とを接続する。この際、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16が除去されているので、メッキ膜Mがマウント電極13上だけに留まる。よって、励振電極11上まで拡散してしまうことを防止することができる。従って、本実施形態の場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
特に、本実施形態の厚み滑り振動片51は、各励振電極11に接続されているマウント電極13が水晶板10の片面にだけ形成されているので、第1実施形態のように側面金属層14を形成する必要がない。よって、厚み滑り振動片51を製造する際に、側面金属層成膜工程(S36からS38)を省略することができる。従って、製造時間の短縮及び製造工程の短縮を図ることができ、製造効率をさらに高めることができる。
なお、本実施形態において、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16を除去したが、この場合に限られず、第1実施形態のように、引き出し電極12領域における金層16を全て除去しても構わないし、一部分を除去しても構わない。
本発明は、このように該当する金層16の領域を、フォトリソ技術を用いて取り除いているので、加工精度は、厚み滑り振動片が小型になっても水晶ウエハSの両面の全面に亘って維持できる。従って、小型化しても、品質バラツキの少ない厚み滑り振動子を提供することが可能となる。
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図31を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態の厚み滑り振動子1を有する発振器の場合を例に挙げて説明する。
本実施形態の発振器55は、図31に示すように、厚み滑り振動子1を、集積回路56に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器55は、コンデンサ等の電子部品57が実装された基板58を備えている。基板58には、発振器用の上記集積回路56が実装されており、この集積回路56の近傍に、厚み滑り振動子1の厚み滑り振動片2が実装されている。これら電子部品57、集積回路56及び厚み滑り振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
このように構成された発振器55において、厚み滑り振動子1に電圧を印加すると、該厚み滑り振動子1内の厚み滑り振動片2が振動する。この振動は、厚み滑り振動片2が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路56に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路56によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、厚み滑り振動子1が発振子として機能する。
上述したように、本実施形態の発振器55によれば、耐熱性に優れた高品質な厚み滑り振動子1を備えているので、発振器55自体の高品質化を図ることができ、製品の信頼性を向上することができる。また、これに加え、長期にわたって安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、厚み滑り振動片2、51の外形形状を矩形状として説明したが、この場合に限られず、円形状でも構わないし、外形形状は自由に設計して構わない。
ここで、本発明に係る厚み滑り振動片の変形例として、逆メサ構造の厚み滑り振動片60について、図32から図35を参照して説明する。なお、第1実施形態の厚み滑り振動片2の構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
この厚み滑り振動片60は、図32から図34に示すように、外形が矩形状に形成された水晶板10を備えており、該水晶板10の両面の略中央部分には上面視円形状で且つ断面視台形状の凹部61が形成されている。これにより水晶板10は、凹部61が形成された領域で厚みが薄くなっている。
そして、水晶板10の両面に形成された凹部61内にそれぞれ励振電極11が形成されている。また、各励振電極11には、引き出し電極12及びマウント電極13が水晶板10の片面にだけ形成されている。つまり、第2実施形態のように一方の励振電極11に電気的に接続されるマウント電極13が、水晶板10の片面にだけ形成されている。
また、本実施形態の厚み滑り振動片60は、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16が除去されており、この部分だけ下地のクロム層15が露出している。
次にこのように構成された逆メサ構造の厚み滑り振動片60の製造方法について、図35に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。なお、図6に示すフローチャートと同じ工程の場合には、同一の符号付しその説明を簡略化している。
まず、厚み揃えが終了した水晶ウエハSを所定のバスケットにセットして準備(S20)した後、洗浄を行う(S21)。次いで、スパッタ装置等の成膜装置を利用して、水晶ウエハSの両面にクロム層15と金層16とを積層した状態でそれぞれ成膜する(S22)。次いで、水晶ウエハSの両面にレジストをそれぞれ塗布する(S23)。続いて、複数の厚み滑り振動片60の外形形状を形成するための図示しない外形形成用マスクを利用して、水晶板10が連結部10aを介して水晶ウエハSに連結されるように、水晶ウエハSの両面に形成されたレジストを同時に露光した後、現像を行ってレジストによる外形パターンを形成する(S24)。
続いて、レジストによる外形パターンをマスクとして、クロム層15及び金層16をエッチングする(S25)。そして、不要となったレジストを剥離する(S26)。これにより、水晶ウエハSの両面には、後に製造される厚み滑り振動片60の水晶板10と同じ大きさのクロム層15及び金層16がそれぞれ独立した状態で複数配列された状態となる。なお、この時点では、水晶ウエハSにはまだ何も加工がなされていない。
次に、水晶ウエハSの両面に再度レジストを塗布する(S27)。続いて、外形の部分を残し、且つ、凹部61に相当する部分のレジストが剥離されるようにレジストを露光、現像してレジストパターンを形成する(S50)。続いて、前述の工程(S24)で形成したクロム層15及び金層16からなる積層膜Pをマスクとして、水晶ウエハSをエッチングする(S51)。これにより、1枚の水晶ウエハSから後に厚み滑り振動片60となる水晶板10を、連結部10aを介して水晶ウエハSに連結した状態で複数形成することができる。続いて、水晶ウエハSをエッチング液に浸漬して、先ほど形成したレジストパターンをマスクとしてクロム層15及び金層16を溶解させる(S52)。これにより、水晶板10が上面視円形状で露出した状態となる。
次いで、前の工程で露出した部分の水晶板10をエッチングする(S53)。これにより、水晶板10の両面に凹部61をそれぞれ形成することができ、逆メサ構造とすることができる。なお、この部分の水晶板10の厚みは僅かであるので、エッチングレートを管理しながらエッチングを慎重に行う。
次いで、マスクとなっていたレジスト及びクロム層15及び金層16を全て剥離(S54)した後、改めて、水晶板10の両面にクロム層15及び金層16を成膜する(S55)。なお、この2回目に成膜されたクロム層15と金層16とからなる積層膜Pが、後に励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13となるものである。
次いで、水晶ウエハSの両面にレジストをそれぞれ塗布する(S56)。続いて、各電極のパターンを形成するための図示しない電極パターン形成用マスクを利用して、水晶ウエハSの両面に形成されたレジストを同時に露光した後、現像を行ってレジストによる電極パターンを形成する(S57)。続いて、レジストによる電極パターンをマスクとして、クロム層15及び金層16からなる積層膜Pをエッチングする(S58)。
これにより、水晶板10の両面に形成された凹部61内に励振電極11を形成することができると共に、各励振電極11に接続された引き出し電極12及びマウント電極13を水晶板10の片面にのみ形成することができる。なお、この時点では、励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13は、共にクロム層15及び金層16から構成されている。
そして、不要となったレジストを剥離する(S59)。次いで、上述したと同様に水晶ウエハSの両面にレジストを再度塗布する(S60)。続いて、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16を剥離するための金層剥離用マスクを用意する。そして、この金層剥離用マスクを利用して、レジストを同時に露光した後、現像を行ってレジストによる金層剥離パターンを形成する(S61)。続いて、このレジストによる金層剥離パターンをマスクとして、金層16をエッチングする(S62)。これにより、図32に示すように、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16が剥離され、下地となっているクロム層15が露出した状態となる。そして、最後に不要となったレジストを剥離する(S63)。
その結果、図32に示すように、逆メサ構造の厚み滑り振動片60を製造することができる。
このように製造された逆メサ構造の厚み滑り振動片60も、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、この厚み滑り振動片60は、凹部61の部分で水晶板10の厚みが薄いので、基本波の発振周波数をさらに高周波側に上げることができる。例えば、基本波の発振周波数が50MHzを越えるような高周波(例えば、76.8MHz)に周波数を上げることができる。
なお、前述した実施形態における水晶の外形及び逆メサ部のエッチングには、フッ酸系のエッチング液によるウエットエッチングに限られず、ハロゲン系ガスを用いたドライエッチング、例えば、RIE(リアクティブイオンエッチング)等を利用することも可能である。
次に、本発明に係る厚み滑り振動片110の変形例として、振動漏れを抑制することができる厚み滑り振動片110について、図36から図48を参照して説明する。なお、第1実施形態の厚み滑り振動片2の構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
この厚み滑り振動片110は、図36及び図37に示すように、外形が矩形状に形成された水晶板10と、水晶板10の両面に形成された励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13と、水晶板10の側面に形成された側面金属層14と、励振電極11の周囲を一周囲むようにリング状(環状)に形成され、水晶板10の振動漏れを抑制する環状溝111と、を備えている。
本実施形態の励振電極11は、水晶板10の両面の略中央部分に配置され、直径d1の円形に形成されている。環状溝111は、上述したように円形の励振電極11の周囲を一周囲むように該励振電極11の外側で同心円状に形成された溝であり、例えば、中心間距離が直径d2とされている。この環状溝111によって、水晶板10には他の部分よりも厚みが薄くなった薄肉部10bが形成されている。つまり、励振電極11は、この薄肉部10bで周囲が囲まれた状態となっている。そのため、励振電極11によって生じた水晶板10の厚み滑り振動は、この薄肉部10bを超えて水晶板10の外側に伝わり難くなる。よって、振動漏れを抑制することができるようになっている。なお、環状溝111の幅や深さは、振動漏れ量に応じて決定される。
また、本実施形態の厚み滑り振動片110は、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16が除去されており、この部分だけ下地のクロム層15が露出している。
次に、このように構成された厚み滑り振動片110の製造方法について、図38に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。なお、図6に示すフローチャートと同じ工程の場合には、同一の符号を付しその説明を簡略化する。なお、以降に示す図39から図48は、図37と同じように、図36で示す切断線V−V線に沿った断面を示す図である。
まず、厚み揃えが終了した水晶ウエハSを所定のバスケットにセットして準備(S20)した後、洗浄を行う(S21)。次いで、スパッタ装置等の成膜装置を利用して、水晶ウエハSの両面に所定の金属を薄膜状に堆積させたエッチング用金属層をそれぞれ成膜する第1の金属層成膜工程を行う。なお、本実施形態では、エッチング用金属層として、クロム層15と金層16とからなる積層膜Pを用いた場合を例にして説明する。
よって、水晶ウエハSの両面に、クロム層15を成膜すると共に、該クロム層15上に金層16を成膜する(S22)。次いで、図39に示すように、水晶ウエハSの両面にレジスト112をそれぞれ塗布する(S23)。
次に、エッチング用金属層、即ち、積層膜Pをエッチングして所定の形状にパターニングする金属層エッチング工程を行う。まず、複数の厚み滑り振動片110の外形形状を形成するための図示しない外形形成用マスクを利用して、水晶ウエハSの両面に形成されたレジスト112を同時に露光した後、現像を行ってレジスト112による外形パターンを形成する(S24)。これにより、図40に示すように、レジスト112が部分的に溶解した状態となる。
なお、図40で示すW1は、後に個片化されたときに水晶板10の幅方向となる寸法を示したものである。またW2は、隣接して形成される水晶板10との間隔を示すものである。なおこのW2に該当する寸法部分は、レジスト112が現像されて既に溶出されている。
続いて、レジスト112による外形パターンをマスクとして、クロム層15及び金層16からなる積層膜Pをエッチングする(S25)。これにより、図41に示すように、積層膜PがW2の幅寸法で部分的にエッチングされる。そして、不要となったレジスト112を剥離する(S26)。これにより、図42に示すように、水晶ウエハSの両面には、後に製造される厚み滑り振動片110の水晶板10と同じ大きさの積層膜Pがそれぞれ独立した状態で複数配列された状態となる。なお、この時点では、水晶ウエハSにはまだ何も加工がなされていない。
次に、水晶板10が連結部10aを介して水晶ウエハSに連結されるように、パターニングした積層膜Pをマスクとして水晶ウエハSをエッチングすると共に、後に形成する励振電極11の周囲を囲むように水晶ウエハSの両面をエッチングして、水晶板10の振動漏れを抑制する環状溝111を形成するウエハエッチング工程を行う。
まず、水晶ウエハSの両面に再度レジスト112を塗布する(S27)。続いて、環状溝111に相当する部分のレジスト112が剥離されるように、環状溝111のパターンを有するマスクでレジスト112を露光した後、該レジスト112を現像して図43に示すように溝パターン112aを形成する(S70)。なお、図43で示すW3は、溝パターン112aの幅を示すものである。
続いて、積層膜Pをマスクとして、水晶ウエハSをエッチングする(S71)。このエッチングにより、水晶ウエハSの表裏よりエッチング反応が進行して、図44に示すように表裏が貫通する。これにより、1枚の水晶ウエハSから後に厚み滑り振動片110となる水晶板10を、連結部10aを介して水晶ウエハSに連結した状態で複数形成することができる。従って、水晶板10は、隣り合う左右の水晶板10と所定の幅W2を空けた状態で分離する。
続いて、先ほどパターニング(S70にてパターニング)したレジスト112をマスクとして、クロム層15及び金層16からなる積層膜Pをエッチングする(S72)。これにより、図45に示すように、積層膜Pがレジストに形成された溝パターン112aに倣ってエッチングされ、幅W3の環状溝111の溝パターン112aが同様に形成される。
続いて、溝パターン112aが形成された積層膜Pをマスクとして、水晶ウエハSを再度エッチングする(S73)。このエッチングにより、図46に示すように、水晶ウエハSの両面に、適当な深さで幅がW3の環状溝111を形成することができる。これにより、水晶ウエハSには、環状溝111によって厚みが薄くなった薄肉部10bが形成される。
このエッチングについて詳細に説明すると、積層膜Pに溝パターン112aがエッチングされた時点で、水晶ウエハSの表面は溝パターン112aと重なっている領域が露出した状態となる。そのため、この露出した領域において、水晶ウエハSは表裏よりエッチング反応が進行する。このとき、エッチング速度を予め把握しておくことにより、エッチング槽への浸漬時間に基づいてエッチングされる環状溝111の深さ等を予想することができる。
更に、このエッチングについて詳細に述べると、該エッチングの際、水晶板10の側面が露出しているため、側面が若干エッチングされてしまい、幅寸法W1が若干縮小してしまう。従って、ここで縮小されてしまう量を予め考慮して、先に行う水晶ウエハSのエッチング(S71)を行うことが好ましい。
次に、上述した積層膜Pを除去した後、水晶ウエハSの両面に再度クロム層15と金層16とをそれぞれ成膜する第2の金属層成膜工程を行う。
まず、図47に示すように、水晶ウエハSから積層膜P及びレジスト112を剥離する(S74)。そして、この図47に示す状態を出発点として、以降の工程で励振電極11、引き出し電極12、マウント電極13及び側面金属層14を形成していく。積層膜P及びレジスト112の剥離が終了した後、改めて水晶ウエハSの両面にクロム層15と金層16とからなる積層膜Pを成膜する(S75)。なお、この2回目に成膜された積層膜Pが、後に励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13となるものである。
次に、成膜した積層膜Pを、励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13の各パターンに沿ってエッチングする電極パターン形成工程を行う。
まず、水晶ウエハSの両面にレジストをそれぞれ塗布する(S76)。続いて、各電極のパターンを形成するための図示しない電極パターン形成用マスクを利用して、水晶ウエハSの両面に形成されたレジストを同時に露光した後、現像を行ってレジストによる電極パターンを形成する(S77)。続いて、レジストによる電極パターンをマスクとして、クロム層15及び金層16からなる積層膜Pをエッチングする(S78)。
これにより、図48に示すように、水晶板10の両面に励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13を形成することができる。なお、この時点では、励振電極11、引き出し電極12及びマウント電極13は、共にクロム層15及び金層16から構成されている。
次に、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16を剥離する金層除去工程を行う。
まず、不要となったレジストを剥離する(S79)。次いで、水晶ウエハSの両面にレジストを再度塗布する(S80)。続いて、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16を剥離するための金層剥離用マスクを用意する。そして、この金層剥離用マスクを利用して、レジストを同時に露光した後、現像を行ってレジストによる金層剥離パターンを形成する(S81)。続いて、このレジストによる金層剥離パターンをマスクとして、金層16をエッチングする(S82)。これにより、マウント電極13領域における引き出し電極12近傍の金層16が剥離され、下地となっているクロム層15が露出した状態となる。なお、この時点では、水晶板10の両面に形成されたマウント電極13は、まだ互いに電気的に接続されていない。そして、不要となったレジストを剥離する(S83)。
次に、水晶板10の両面に形成されたマウント電極13を互いに電気的に接続させるために、図6で示した側面金属層14を形成する各工程(S36からS38)を同様に行う。なお、これら各工程の詳細は前述した内容と同様であるので、省略する。
その結果、図36及び図37に示すように、水晶板10の両面に環状溝111が形成された厚み滑り振動片110を製造することができる。
このように製造された厚み滑り振動片110も、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。それに加え、この厚み滑り振動片110は、環状溝111が形成されているため、励振電極11が他の部分よりも厚みが薄くなった薄肉部10bで囲まれた状態となっている。よって、励振電極11によって生じた厚み滑り振動が、薄肉部10bを超えて外側に伝わり難い。従って、振動漏れを抑制することができ、さらに効率良く厚み滑り振動させることができる。
なお、この厚み滑り振動片110を製造するに当たり、以下の点に注意が必要である。
即ち、引き出し電極12は、励振電極11からマウント電極13の方向に向かって引き出されるものであるが、途中で環状溝111を横切るように通過せざるを得ない。そのため、引き出し電極12を形成する際に、環状溝111の角部分或いはその近傍で、断線しないように(パターンが切れないように)注意する必要がある。
なお、上記実施形態において、励振電極11を円形とし、環状溝111を励振電極11に対して同心円状に形成したリング状としたが、この場合に限定されるものではない。例えば、励振電極11を長方形等のような矩形状に形成しても構わないし、六角形等のような多角形状に形成しても構わない。また、環状溝111は、励振電極11の周囲を囲む形状であれば、やはり矩形状でも多角形状でも構わない。
また、水晶ウエハSをエッチング(S71、S73)する際に、エッチング液を用いたウェットプロセスを述べたが、これに限られず、ドライエッチングを利用したドライプロセスで行っても構わない。
更に、第1の金属層成膜工程の際に、エッチング用金属層として、クロム層15及び金層16からなる積層膜Pを用いたが、該積層膜Pに限定されるものではない。異なる種類の金属を積層しても構わないし、或いは、単一の金属を成膜しても構わない。
次に、振動子のパッケージについて述べる。上記第1実施形態及び第2実施形態では、厚み滑り振動子の一例として、シリンダパッケージタイプの厚み滑り振動子1、50を例に挙げて説明したが、この場合に限られるものではない。例えば、図49に示すように、箱型パッケージタイプの厚み滑り振動子でも構わない。ここで、この箱型パッケージタイプの厚み滑り振動子70について、簡単に説明する。なお、第1実施形態の厚み滑り振動片2を備えた場合を例にして説明する。
この厚み滑り振動子70は、内側に凹部71aが形成されたメタル製のベース71と、該ベース71の凹部71a内に収容される厚み滑り振動片2と、厚み滑り振動片2を凹部71a内に収容した状態でベース71に固定されるリッド72とを備えている。
ベース71には、一対のハーメチック封止構造を持つリード74が配置され、その先端に半田ボール73が設けられており、該半田ボール73と厚み滑り振動片2のマウント電極13とが機械的及び電気的に接続されている。具体的には、マウント電極13と半田ボール73とを加圧接触させた状態で加熱することで、マウント電極13とリード74とを接続している。この際、第1実施形態で説明したように、半田メッキが励振電極11側まで拡散する恐れがない。
また、リード74はベース71の底面に露出している。即ちこのリード74は、一端がマウント電極13に電気的に接続されると共に、他端が外部に接続される外部接続端子として機能する。また、ベース71の底面には、露出したリード74を除く領域において図示しない絶縁膜が形成されている。
リッド72は、真空中又は不活性ガス雰囲気で、シーム溶接法や電子ビーム溶接法や低融点ガラス等によりベース71に固定されている。これにより、厚み滑り振動片2は、凹部61内に気密封止されている。即ち、ベース71及びリッド72は、厚み滑り振動片2を気密封止する封止部材75を構成している。
このように厚み滑り振動片2をベース71及びリッド72で封止することで、マウント電極13への半田の拡散を防止した高品質な箱型パッケージタイプの厚み滑り振動子70を得ることができる。なお、この厚み滑り振動子70を使用する場合には、回路基板上等に載置して、プリント配線とリード74とを電気的に接続すれば良い。
更には、第1実施形態のシリンダパッケージタイプの厚み滑り振動子1を、さらにモールド樹脂部で固めて表面実装型振動子としても構わない。
即ち、この表面実装型振動子80は、図50及び図51に示すように、厚み滑り振動子1と、該厚み滑り振動子1を所定の形状で固定するモールド樹脂部81と、一端側がアウターリード6bに電気的に接続されると共に、他端側がモールド樹脂部81の底面に露出して外部に電気的に接続される外部端子部82とを備えている。
この外部端子部82は、42アロイ等の金属材料を用い、振動子の長さ方向の断面形状がコの字状に形成されている。従って、樹脂モールドを施した表面実装型にした場合でも、振動子の長さ方向の増加は、最少限に抑制されている。なお、図51では、モールド樹脂部81の図示を省略している。
このように厚み滑り振動子1をモールド樹脂部81で固めることで、回路基板上等に安定して取り付けることができるので、より使用し易く、使い易さが向上する。
上述した第1実施形態の厚み滑り振動片2において、長辺が約34mmで短辺が約29mmの図9に示す水晶ウエハSを用いて作製する場合には、厚み滑り振動片2の水晶板10の取り個数が約150〜約200個程度であることは既に述べた。しかしながら、振動子の小型化に伴い、厚み滑り振動片2を一層小型化した場合には1つの水晶ウエハSからの取り個数を向上することができる。例えば、48MHz用の厚み滑り振動片2で、水晶板10の長辺(長さ方向で且つ水晶のX軸方向)が約850μm、短辺(幅方向)は約550μmの場合には、取り個数は612個となる。
図52は、このときの水晶ウエハSに配置された水晶板10のレイアウトの一例を示した図である。水晶ウエハSの中心部は、種結晶が存在するため、この中心部を避けた上下の領域に水晶板10が配置されている。しかも、全ての水晶板10が一方向に向くように配置されている。また、個々の水晶板10は、連結部10aによりブリッジ部S1に接続されている。そして、縦一列に18個の水晶板10を配置することができると共に、水晶ウエSハの短辺方向に17列配置することが可能である。但し、図52においては、上下の4列のみを図示しており、その他は図示を省略している。このように配置することで、上側及び下側の取り個数は、それぞれ18個×17列=306個となり、1枚の水晶ウエハSでは306個の2倍の612個となる。
なお、上記サイズの水晶板10を有する厚み滑り振動片2、即ち、長辺が約850μmで、短辺が約550μmの振動片を図6に示すフローチャートにしたがって製作すると共に、図15に示すフローチャートにしたがって圧電振動子1として実際に組み立てた。その結果、共振抵抗値が約70Ω以下となり、十分に実用に耐える値となった。
更に、水晶板10の配列を工夫してさらに取り個数を増加させた例を図53に示す。この図53に示すように、水晶板10を向かい合わせに配列することで、ブリッジ部S1の数を減らすことが可能となる。図52では、17個のブリッジ部S1が必要であったが、図53では、ブリッジ部S1の数は11となる。この結果、上側及び下側の領域においては、それぞれ水晶板10が向かい合わせとなる列が10列となる。よって、上側及び下側の取り個数は、一列に18個の水晶板10が配列されることを勘案して、18個×2列×10列=360個となり、1枚の水晶ウエハSでは360個の2倍の720個となる。従って、図52に示す場合よりも、取り個数を12%増加することができる。
次に、水晶ウエハSを大口径化する場合について、3インチの場合について簡潔に説明する。3インチウエハを用いると、先述した長辺が約34mmで短辺が約29mmの角型ウエハに比較して、振動片の取り個数は約3倍以上にできる。従って、3インチのような大口径ウエハの実用化は量産上大きな意味を有している。
水晶の切断研磨工程において、キャリア23は同じく6インチの円板を用い、水晶ウエハSは適当量の偏心を持たせて配置させた(不図示)。これは、研磨工程中に水晶ウエハSをキャリア23内で自転し易くし、水晶ウエハS面内で厚みのバラツキを低減させるためのものである。水晶ウエハSの切断後の厚みは、220μmであり、初回の研磨の厚みの設定値を130μmに、2回目の研磨の厚みの設定値を100μmに、最終の厚みの設定値を約60μmにそれぞれ設定し、3回の研磨を施した。
この約60μm程度の厚みは、例えば、映像用携帯機器の信号処理に多用される24MHzから27MHz等のAT振動子に用いられる。水晶ウエハS内の外周近傍を含む全面に亘る47点の厚みバラツキを空隙法で測定した結果、その面内厚みのバラツキは約0.39μmであったが、振動片を形成する領域の33点における面内厚みバラツキは、0.21μmであった。従って、この3インチの水晶ウエハSを用いて、前述した実施形態によりAT振動子を製造することができる。
3インチの水晶ウエハSの場合、その厚みの限界は、研磨方法を検討して実験した結果、約50μmであった。これ以上薄くなる場合、例えば、30μm台になると、ウエハの研磨工程におけるウエハの割れが多くなり、実用上の量産には適さない。また、フォトリソ技術では、溶液や純水を用いるウエット工程が多用されるために、エッチング工程や洗浄作業でもウエハの割れや欠けが発生し易い。また、ウエハを高速回転させて乾燥するスピン乾燥工程においても、割れが発生し易い。これらを勘案すると、3インチウエハの実用上の限界は、約50μmであると考えられる。
なお、前述した逆メサ構造を持つ振動子の場合には、凹部の振動領域を除いて、水晶板の厚みは、80μmから100μmの厚みに設定できるので、3インチの水晶ウエハを用いることができる。
本発明に係る厚み滑り振動子の第1実施形態を示す構成図である。 図1に示す厚み滑り振動片の平面図である。 図2に示す切断線A−Aに沿った断面図である。 図2に示す切断線B−Bに沿った断面図である。 図2に示す厚み滑り振動片を製造する際の一工程を示すフローチャートである。 図2に示す厚み滑り振動片を製造する際の一工程を示すフローチャートであって、図5に示すフローチャートの続きである。 図2に示す厚み滑り振動片を製造する際に使用する研磨装置の一例を示す上面図である。 図7に示す切断線C−Cに沿った断面図である。 図2に示す厚み滑り振動片を製造する途中の段階における水晶ウエハの平面図であって、(a)はクロム層及び金層を所定の形状にパターニングした状態を示す図であって、(b)は後に厚み滑り振動片となる複数の水晶板が連結部を介して水晶ウエハに形成されている状態を示す図である。 図2に示す厚み滑り振動片を製造する途中の段階における水晶板の斜視図であって、水晶板の両面にクロム層及び金層が各電極のパターンに沿ってパターニングされた状態を示す図である。 図10に示す矢印D方向から見た側面図である。 図2に示す厚み滑り振動片を製造する途中の段階における水晶板の斜視図であって、図10に示す状態の後、引き出し電極領域における金層を剥離してクロム層を露出させた状態を示す図である。 図2に示す厚み滑り振動片を製造する途中の段階における水晶板の斜視図であって、図12に示す状態の後、クロム層及び金層からなる側面金属層を水晶板の側面に形成した状態を示す図である。 図13に示す矢印E方向から見た側面図である。 図1に示す厚み滑り振動子を製造する際の一工程を示すフローチャートである。 図1に示す厚み滑り振動子を製造する際に使用する製造装置の一例を示す図であって、(a)は上面図であり、(b)は(a)に示す切断線F−Fに沿った断面図である。 図1に示す厚み滑り振動子を製造する際に、図16に示す製造装置のマウント治具に対して各処理を行うステーションを示した図である。 図3に示す状態の後、マウント電極とインナーリードとをメッキにより接続した状態を示す図である。 図4に示す状態の後、マウント電極とインナーリードとをメッキにより接続した状態を示す図である。 図2に示す厚み滑り振動片の変形例を示す図であって、引き出し電極領域における金層の一部が除去されている厚み滑り振動片の上面図である。 図20に示す切断線F−Fに沿った断面図である。 図2に示す厚み滑り振動片の変形例を示す図であって、マウント電極領域における引き出し電極近傍の金層が除去されている厚み滑り振動片の上面図である。 図22に示す切断線G−Gに沿った断面図である。 図22に示す切断線H−Hに沿った断面図である。 図24に示す状態の後、マウント電極とインナーリードとをメッキにより接続した状態を示す図である。 本発明に係る厚み滑り振動子の第2実施形態を示す構成図である。 図26に示す厚み滑り振動片の平面図である。 図27に示す切断線J−Jに沿った断面図である。 図27に示す切断線K−Kに沿った断面図である。 図27に示す切断線L−Lに沿った断面図である。 本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。 本発明に係る厚み滑り振動片の変形例を示す図であって、逆メサ構造タイプの厚み滑り振動片の上面図である。 図32に示す切断線N−Nに沿った断面図である。 図32に示す切断線P−Pに沿った断面図である。 図32に示す厚み滑り振動片を製造する際の一工程を示すフローチャートである。 本発明に係る厚み滑り振動片の変形例を示す図であって、水晶板に環状溝が形成された厚み滑り振動片の上面図である。 図36に示す切断線V−Vに沿った断面図である。 図36に示す厚み滑り振動片を製造する際の一工程を示すフローチャートである。 図36に示す厚み滑り振動片を製造する際の一工程を示す図であって、水晶板の両面にクロム層及び金層からなる積層膜を成膜すると共に、該積層膜上にレジストを塗布した状態を示す図である。 図39に示す状態からレジストをパターニングした状態を示す図である。 図40に示す状態からパターニングしたレジストをマスクとして積層膜をエッチングした状態を示す図である。 図41に示す状態からレジストを剥離した状態を示す図である。 図42に示す状態から積層膜上に再度レジストを塗布すると共に、該レジストに溝パターンを形成した状態を示す図である。 図43に示す状態から積層膜をマスクとして水晶板をエッチングした状態を示す図である。 図44に示す状態から溝パターンが形成されたレジストをマスクとして積層膜をエッチングし、該積層膜に溝パターンを形成した状態を示す図である。 図45に示す状態から溝パターンが形成された積層膜をマスクとして水晶板をエッチングし、該水晶板に環状溝を形成した状態を示す図である。 図46に示す状態から積層膜及びレジストを剥離した状態を示す図である。 図47に示す状態から水晶板上に再度クロム層及び金層からなる積層膜を成膜すると共に、該積層膜をパターニングして励振電極、引き出し電極、マウント電極を形成した状態を示す図である。 本発明に係る厚み滑り振動子の変形例を示す図であって、箱型パッケージタイプの厚み滑り振動子の断面図である。 本発明に係る厚み滑り振動子をモールド樹脂部でモールドした表面実装型振動子の断面図である。 図50に示す厚み滑り振動子のアウターリードと外部接続端子部との接続関係を示す斜視図である。 本発明に係る厚み滑り振動片を製造する途中の段階における水晶ウエハの平面図であって、後に厚み滑り振動片となる複数の水晶板が連結部を介して一方向に整列した状態で水晶ウエハに形成されている状態を示す図である。 本発明に係る厚み滑り振動片を製造する途中の段階における水晶ウエハの平面図であって、後に厚み滑り振動片となる複数の水晶板が連結部を介して向かい合わせに整列した状態で水晶ウエハに形成されている状態を示す図である。 従来の厚み滑り振動子の一例を示す分解斜視図である。 図54に示す厚み滑り振動片の平面図である。 図55に示す切断線Q−Qに沿った断面図である。 図55に示す切断線R−Rに沿った断面図である。 図56に示す状態の後、マウント電極とインナーリードとをメッキにより接続した状態を示す図である。
符号の説明
P 積層膜(エッチング用金属膜)
S 水晶ウエハ
1、50、70 厚み滑り振動子
2、51、60、110 厚み滑り振動片
6 リード端子(外部接続端子)
8、75 封止部材
10 水晶板
10a 連結部
11 励振電極
12 引き出し電極
13 マウント電極
14 側面金属層
15 クロム層
16 金層
55 発振器
56 集積回路
74 リード(外部接続端子)
111 環状溝

Claims (5)

  1. 励振電極と、引き出し電極を介して励振電極に電気的に接続されたマウント電極とが水晶板の外表面上に形成され、所定の電圧が励振電極に印加されたときに厚み滑り振動する厚み滑り振動片を、水晶ウエハを利用して一度に複数製造する方法であって、
    水晶の原石を決められた切断角度及び厚みで切断して前記水晶ウエハにすると共に、該水晶ウエハの厚みを所定の厚みまで研磨する切断研磨工程と、
    該切断研磨工程後、前記水晶ウエハの研磨面をエッチングして加工変質層を除去すると共に、水晶ウエハの厚みを規定値内に揃えるエッチング工程と、
    該エッチング工程後、前記水晶ウエハの両面にエッチング用金属層をそれぞれ成膜する第1の金属層成膜工程と、
    該第1の金属層成膜工程後、前記エッチング用金属層をフォトリソ技術によりエッチングして、所定の形状にパターニングする金属層エッチング工程と、
    該金属層エッチング工程後、前記水晶板が連結部を介して前記水晶ウエハに連結されるように、パターニングした前記エッチング用金属層をマスクとして水晶ウエハをフォトリソ技術によりエッチングすると共に、前記励振電極の周囲を囲むように水晶ウエハの両面をフォトリソ技術により環状にエッチングして、前記水晶板の振動漏れを抑制する環状溝を形成するウエハエッチング工程と、
    該ウエハエッチング工程後、前記エッチング用金属層を除去した後、前記水晶ウエハの両面にクロムを薄膜状に堆積させたクロム層をそれぞれ成膜すると共に、該クロム層上に金を薄膜状に堆積させた金層をさらに成膜する第2の金属層成膜工程と、
    該第2の金属層成膜工程後、前記クロム層及び金層を、前記励振電極、前記引き出し電極及び前記マウント電極のパターンに沿ってエッチングする電極パターン形成工程と、
    該電極パターン形成工程後、前記引き出し電極領域における少なくとも一部分の前記金層、又は、前記マウント電極領域における引き出し電極近傍の前記金層を、フォトリソ技術によりエッチングして除去する金層除去工程と、
    該金層除去工程後、前記連結部を切断して複数の前記水晶板を個片化する切断工程と、
    を備えていることを特徴とする厚み滑り振動片の製造方法。
  2. 請求項に記載の厚み滑り振動片の製造方法において、
    前記電極パターン形成工程の際、前記水晶板の両面に前記マウント電極を形成し、
    前記金層除去工程と前記切断工程との間に、
    金属マスクを有する成膜用治具に前記水晶ウエハをセットする治具セット工程と、
    該治具セット工程後、前記金属マスクを利用して前記水晶板の側面に、クロムを薄膜状に堆積させたクロム層を成膜すると共に、該クロム層上に金を薄膜状に堆積させた金層をさらに成膜する側面金属層成膜工程とを行い、前記水晶板の両面に形成された前記マウント電極を電気的に接続することを特徴とする厚み滑り振動片の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の厚み滑り振動片の製造方法において、
    前記切断研磨工程の際、前記水晶ウエハが角型であって、長辺が11mm以上34mm以下で、且つ、短辺が11mm以上29mm以下となるように前記原石から切断することを特徴とする厚み滑り振動片の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の厚み滑り振動片の製造方法において、
    前記切断研磨工程の際、前記水晶ウエハが直径3インチとなるように前記原石から切断することを特徴とする厚み滑り振動片の製造方法。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の厚み滑り振動片の製造方法において、
    前記エッチング工程の際、前記水晶ウエハの厚みを30μm以上160μm以下となるように厚みを調整することを特徴とする厚み滑り振動片の製造方法。
JP2007209104A 2006-08-31 2007-08-10 厚み滑り振動片の製造方法 Expired - Fee Related JP5155620B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007209104A JP5155620B2 (ja) 2006-08-31 2007-08-10 厚み滑り振動片の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006235488 2006-08-31
JP2006235488 2006-08-31
JP2007209104A JP5155620B2 (ja) 2006-08-31 2007-08-10 厚み滑り振動片の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008085997A JP2008085997A (ja) 2008-04-10
JP5155620B2 true JP5155620B2 (ja) 2013-03-06

Family

ID=39356311

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007209104A Expired - Fee Related JP5155620B2 (ja) 2006-08-31 2007-08-10 厚み滑り振動片の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5155620B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010074422A (ja) 2008-09-17 2010-04-02 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 水晶振動子素子の製造方法、水晶振動子素子、水晶振動子及び水晶発振器
JP5341685B2 (ja) * 2009-09-09 2013-11-13 日本電波工業株式会社 圧電デバイス
JP5534217B2 (ja) * 2010-11-10 2014-06-25 セイコーエプソン株式会社 圧電基板およびその製造方法、並びに圧電振動片の製造方法
JP2013027009A (ja) * 2011-07-26 2013-02-04 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 圧電振動片の製造方法及び圧電振動片
JP6175743B2 (ja) 2012-06-06 2017-08-09 セイコーエプソン株式会社 振動素子の製造方法
JP6627902B2 (ja) * 2018-03-19 2020-01-08 セイコーエプソン株式会社 振動素子、振動子、電子デバイス、電子機器、移動体および振動素子の製造方法

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5357786A (en) * 1976-11-04 1978-05-25 Seiko Epson Corp Production of crystal vibrator
JPS5460883A (en) * 1977-10-25 1979-05-16 Citizen Watch Co Ltd Manufacture of thin plate piezoelectric oscillator
JPS56110320A (en) * 1980-02-04 1981-09-01 Citizen Watch Co Ltd Production of quartz oscillator
JPS57125510A (en) * 1981-01-29 1982-08-04 Matsushima Kogyo Co Ltd Quartz oscillator
JPS59183025U (ja) * 1983-05-23 1984-12-06 キンセキ株式会社 水晶振動子
JPH04294622A (ja) * 1991-03-25 1992-10-19 Seiko Epson Corp 圧電素子の製造方法
JPH04332212A (ja) * 1991-05-08 1992-11-19 Seiko Epson Corp 厚み辷り圧電振動子及び厚み辷り圧電振動子の製造方法
JPH10209785A (ja) * 1997-01-23 1998-08-07 Matsushita Electric Ind Co Ltd 振動子の製造方法
JP3929675B2 (ja) * 2000-02-17 2007-06-13 セイコーインスツル株式会社 圧電振動子
JP2003298386A (ja) * 2002-03-29 2003-10-17 Seiko Instruments Inc 圧電振動子及びその製造方法
JP2005286992A (ja) * 2004-03-02 2005-10-13 Seiko Epson Corp 圧電振動片、圧電振動子および圧電発振器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008085997A (ja) 2008-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5155620B2 (ja) 厚み滑り振動片の製造方法
US8365371B2 (en) Methods for manufacturing piezoelectric vibrating devices
JP4930924B2 (ja) 水晶振動子の製造方法
JP2010109527A (ja) 水晶振動片およびその製造方法
CH698481A2 (de) Wafer, Vorrichtung und Verfahren zum Polieren eines Wafers, Verfahren zur Herstellung piezoelektrischer Schwingungserzeuger, piezoelektrischer Schwingungserzeuger, Oszillator, elektronisches Gerät und Funkuhr.
KR20100092914A (ko) 글래스 밀봉형 패키지의 제조 방법, 글래스 밀봉형 패키지의 제조 장치 및 발진기
CN110649909B (zh) 一种声表面波滤波器件晶圆级封装方法及其结构
JP2010187326A (ja) 圧電振動子の製造方法、圧電振動子および発振器
US8689415B2 (en) Methods for manufacturing piezoelectric devices
JP2009178780A (ja) キャリア、ウエハ研磨装置、ウエハ研磨方法、圧電振動子の製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器及び電波時計
US20110220383A1 (en) Wafer and package product manufacturing method
JP2009190159A (ja) キャリア及びウエハ研磨装置
JP5298835B2 (ja) デバイスの製造方法
JP3520839B2 (ja) 圧電振動片の製造方法
US20120216745A1 (en) Spin chuck and apparatus having spin chuck for manufacturing piezoelectric resonator piece
JP2013151040A (ja) ウエハ研磨装置及び研磨パッド
JP2001053036A (ja) ダイシングブレード及び圧電素板
JP2007096369A (ja) メタルマスク、及び圧電振動素子の分割方法
JP2002171008A (ja) 圧電素子片及び圧電デバイスの製造方法
JP2009190145A (ja) ウエハ研磨装置
JPH11163654A (ja) 補強された圧電基板の製造方法
KR100790751B1 (ko) 수정판 제조방법
JPH07111435A (ja) 水晶圧電デバイスの製造方法
JP5166015B2 (ja) 周波数調整装置
US9172347B2 (en) Wafer, method of manufacturing package, and piezoelectric oscillator

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20091105

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20091113

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100608

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120904

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121030

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121207

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151214

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees