JP5155513B2 - ヒアルロン酸修飾物 - Google Patents
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Description
本発明は、新規なヒアルロン酸修飾物、それを主成分とする関節疾患の処置製剤、及びそれを用いた関節疾患の処置方法に関する。また、本発明は、そのヒアルロン酸修飾物を主成分とする外科手術用補助剤又は処置剤、及びそれを用いた外科手術方法にも関する。さらに、本発明は、そのヒアルロン酸修飾物を主成分とする組織修復剤、及びそれを用いた組織修復方法にも関する。
背景技術
これまでの約40年間、多くの関節軟骨欠損、慢性関節リウマチ、変形性関節症等の関節疾患処置方法が提案されてきた。現在、自家細胞移植による関節軟骨再生法も試みられているが、数度の手術を必要とし、簡便さに欠け、患者の負担が大きい。人工関節を用いる場合においては、生体適合性や耐久性の問題がある。これらの問題を解決する薬物による治療方法が長らく望まれている。
こうした状況の中、現在、医療の現場において、ヒアルロン酸を関節腔内に直接注入する治療法が広く用いられている(例えば、アルツ(商品名)、製造 生化学工業株式会社、販売 科研製薬株式会社)。ヒアルロン酸は関節液の主成分の1つであり、その粘弾性効果や炎症抑制効果により関節において鎮痛効果を発揮する。一般に、変形性関節症、慢性関節リウマチ等の関節症患者の関節液中において、ヒアルロン酸濃度、分子量が正常関節液に対し低下していることが知られており、このことが関節液の潤滑作用、ショックアブソーバー作用の低下に起因する疼痛症状の発生につながると考えられている。唯、ヒアルロン酸の関節腔内からのクリアランスは早く、その滞留時間を延長する目的で高分子量(190万ダルトン程度)のヒアルロン酸を用いる事も試みられている(スベニール(商品名):製造 アベンティスファーマ株式会社、販売 中外製薬株式会社)が、高分子量であるが故に低温流通が必要であり、また高粘度であるため注入圧が高くなる傾向がある。関節腔内における貯留は、5日間程度(薬理と治療、22(S−3)、S779(1994))、鎮痛効果の持続も1週間程度であり、患者のコンプライアンス低減のためにも更なる効果の持続が求められている。
一方、部分的に化学的な架橋を架ける事で滞留時間を延長することも試みられている(例えば、Synvisk(商品名)、Genzyme Biosurgery社(日本公開特許公報 特開平4−261664号(米国特許第5399351号、欧州特許第466300号);Restylane(商品名)、Q−MED社(Dermatologic Surgery, 24, 1317−1325(1998))等)が、架橋剤による炎症誘発等の問題が懸念される。また、ヒアルロン酸間の水素結合等による物理架橋を利用したゲル素材の報告も有るが(国際公開公報 WO00/27405号)、水溶液にすると架橋の崩壊が始まるため、現在用いられているヒアルロン酸製剤のような取り扱いやすい液剤(注射剤)での流通は難しい。
一方、温度応答性高分子として、ポリN置換アクリルアミド誘導体、ポリN置換メタアクリルアミド誘導体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール部分酸化物等が知られている。生体に安全性の高い温度応答性高分子としては、医薬品に用いる素材として米国食品医薬品局(FDA)に認可されているポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PPO−PEO:商品名 Pluronic)が知られている(認可グレードはF68及びF127)。また、その類似のポリマーとしてポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマー(PPO−PEO−PPO:商品名 PluronicR)が知られている。これらポリマー単独でも温度を上昇させることで粘度上昇、ゲル化することが報告されている(Adv. Drug. Delivery Rev., 31, 197−221(1998))が、そのためには16%w/v以上という高濃度が必要であり、安全性、薬物担持率の上で不利である。
また、疎水部にPPOの代わりにポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体を用いた、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PLGA−PEO:商品名 Regel)又はポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体ブロックポリマー(PLGA−PEO−PLGA:商品名 Regel)、或いは、疎水部にPPOの代わりにポリ乳酸重合体を用いた、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PLA−PEO)又はポリ乳酸−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸ブロックポリマー(PLA−PEO−PLA)も同様の温度応答性機能を持つことが知られている(国際公開公報 WO99/18142号)。
また、このような温度応答性高分子と親水性高分子を組み合わせた、一般的な熱可逆性ハイドロゲル材料の報告も有る(日本公開特許公報 特開平5−262882号、特開平9−227329号、特開平11−169703号、国際公開公報 WO95/15152号)が、ヒアルロン酸とPEO−PPO−PEO、PPO−PEO−PPO、PEO−PLGA−PEO、PLGA−PEO−PLGA、PEO−PLA−PEO又はPLA−PEO−PLAを組み合わせた例は示されておらず、更にこれらは外用剤・香粧品等を目的としたもので、関節腔内等の体内への注入を目的としたものでもない。ポリアクリル酸とPEO−PPO−PEOをグラフトした温度応答性高分子(国際公開公報 WO97/24430号(米国特許第5709815号)、ヒアルロン酸にポリN−イソプロピルアクリルアミドをグラフトした高分子(Biomacromol., 2, 856−863(2001))も報告されているが、ポリアクリル酸、ポリN−イソプロピルアクリルアミドは、変異原性のあるモノマーの残存等、安全性に問題がある。また、ヒアルロン酸とPluronicを結合させた素材(Journal of Controlled Release, Vol.80,Issues1−3,p69−77(2002年4月23日))についても報告されているが、その素材自身の医薬用途については開示も示唆もされていない。なおこの文献に記載の素材の分子量は12600であるため、生体排泄しにくいものであり、医薬用途には不適当である。
上述した如く、室温流通が可能であって粘度が低く注入しやすく、且つ長期に亘って関節腔内に滞留し鎮痛効果を示すような実用的なヒアルロン酸製剤に適した安全なヒアルロン酸ベースの素材は現在のところ存在していない。
また、ヒアルロン酸製剤は眼科手術の補助剤等の用途(商品名:Healon)、組織修復剤としての用途等も知られているが、室温流通が可能であって粘度が低く注入しやすく、手術中に適度な粘度を有する外科手術用補助剤または処置剤は未だ知られていない。
発明の開示
本発明者は、かかる問題点を解決する為に鋭意研究を進めたところ、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー、ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマー、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体ブロックポリマー、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー及びポリ乳酸−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸ブロックポリマーから選択されるブロックポリマーを結合させることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー、ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマー、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体ブロックポリマー、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー及びポリ乳酸−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸ブロックポリマーから選択されるブロックポリマーとが結合したヒアルロン酸修飾物に関する。
また、本発明は、前記ブロックポリマーが、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー又はポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマーである前記ヒアルロン酸修飾物にも関する。
また、本発明は前記ブロックポリマーの大部分が、その片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に結合している前記ヒアルロン酸修飾物にも関する。
また、本発明は、前記ブロックポリマーが、その片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に結合している前記ヒアルロン酸修飾物にも関する。
また、本発明は、前記ブロックポリマーが、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩のカルボキシル基に結合している前記ヒアルロン酸修飾物にも関する。
また、本発明は、生理食塩水中及び/又はリン酸生理食塩水中における前記ヒアルロン酸修飾物の相転移温度が、前記ヒアルロン酸修飾物10.0%w/v以下の濃度で、20℃以上35℃以下であることを特徴とする前記ヒアルロン酸修飾物にも関する。
また、本発明は、前記ブロックポリマーの重量平均分子量が1200ダルトン以上であることあることを特徴とする前記ヒアルロン酸修飾物にも関する。
また、本発明は、前記ブロックポリマーの、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩への導入率が、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩中のグルクロン酸当たり8モル%以上であることあることを特徴とする前記ヒアルロン酸修飾物にも関する。
また、本発明は、前記ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量が150万ダルトン以下であることを特徴とする前記ヒアルロン酸修飾物にも関する。
さらに、本発明は、ヒアルロン酸修飾物を主成分とする医薬組成物にも関する。
また、本発明は、前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする関節疾患の処置製剤にも関する。
また、本発明は、前記の関節疾患が関節軟骨欠損、慢性関節リウマチ、変形性関節症又は肩関節周囲炎である、前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする関節疾患の処置製剤にも関する。
また、本発明は、注射用製剤である前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする関節疾患処置製剤にも関する。
また、本発明は、前記ヒアルロン酸修飾物の有効量を患者に投与することからなる、関節疾患の処置方法にも関する。
さらに、本発明は、前記の関節疾患が関節軟骨欠損、慢性関節リウマチ、変形性関節症又は肩関節周囲炎である、前記ヒアルロン酸修飾物の有効量を患者に投与することからなる、関節疾患の処置方法にも関する。
更に、本発明は、前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする外科手術補助又は処置剤にも関する。
また、本発明は、前記の外科手術が眼科手術または内視鏡的粘膜切除術である、前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする外科手術補助又は処置剤にも関する。
また、本発明は、前記ヒアルロン酸修飾物の必要量を対象部位に適用することを含む外科手術方法にも関する。
また、本発明は、前記の外科手術が眼科手術または内視鏡的粘膜切除術である、前記ヒアルロン酸修飾物の必要量を対象部位に適用することを含む外科手術方法にも関する。
さらに、本発明は、前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする組織修復剤にも関する。
また、本発明は、柔組織の損傷、外科手術後の萎縮性不整、モース(Mohs’)化学外科損傷、しわ、又はしわの裂傷傷跡を修復することに用いられる、前記ヒアルロン酸修飾物を主成分とする組織修復剤にも関する。
さらに、本発明は、前記ヒアルロン酸修飾物の必要量を対象部位に適用することを含む組織修復方法にも関する。
また、本発明は、柔組織の損傷、外科手術後の萎縮性不整、モース(Mohs’)化学外科損傷、しわ、又はしわの裂傷傷跡を修復する、前記ヒアルロン酸修飾物の必要量を対象部位に適用することを含む組織修復方法にも関する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を更に具体的に説明する。
本発明のヒアルロン酸修飾物は、ヒアルロン酸(HAとも略す)及び/又はその薬学的に許容される塩と、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー、ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマー、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体ブロックポリマー、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー又はポリ乳酸−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸ブロックポリマーから選択されるブロックポリマーとが結合したものである。ここで、ヒアルロン酸は、β−D−N−アセチルグルコサミンとβ−D−グルクロン酸が交互に結合した直鎖状の高分子多糖で、次のような基本構造を有する。
(式中、nは、特に限定されないが、例えば、100〜10,000の整数である)
本発明のヒアルロン酸修飾物は、生体内(例えば関節腔内等)に注入した際、体温で相転移し、相転移に伴う疎水結合による物理的架橋によってその粘弾性を急増させる。即ち、本発明のヒアルロン酸修飾物は、相転移温度以下においては、架橋のかかったゲル状態ではなく流動性のあるゾル状態である。
この目的のために、本発明のヒアルロン酸修飾物においては、前記ブロックポリマーの大部分が、その片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に結合していることが望ましい。尚、ここで「ブロックポリマーの大部分が、その片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と結合している」とは、通常雰囲気下・20℃以下の状態において、得られたヒアルロン酸修飾物の流動性が保たれている(得られたヒアルロン酸修飾物がゾル状態である)結合状態を指す。更に、原料のヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と得られたヒアルロン酸修飾物とを比較した際、その粘度に顕著な差が見られない結合状態であることが好ましい。また、前掲の「大部分」とは、前述の結合状態を満足する割合であれば特に限定されないが、具体的には、その片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と結合しているブロックポリマーの量が、結合している全ブロックポリマーの量に対して70%w/w以上である状態を指し、好ましくは85%w/w以上である状態を指し、特に好ましくは95%w/w以上である状態を指す。尚、何れの場合においても、ブロックポリマーの両末端がヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に導入されている率は、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩中のグルクロン酸当たり5モル%以下であり、好ましくは3モル%以下であり、特に好ましくは1モル%以下である。当然のことながら、本発明ヒアルロン酸修飾物は、前記ブロックポリマーが、その片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に結合しているヒアルロン酸修飾物のみで構成されていてもよい。
片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と結合しているブロックポリマーの量の結合している全ブロックポリマーの量に対する率、並びにブロックポリマーの両末端がヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に導入されている率を定量する方法としては、プロトンNMRで得られるブロックポリマーの導入量と、ブロックポリマーを結合させる前段階におけるヒドラジド化もしくはアミノ化されたヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩中の、ヒドラジド(HZ)基又はアミノ基の実際の減少量との比較から求めることができる。例えばブロックポリマーを結合させる前段階においてヒドラジド化されたヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩を用いる場合、アジピン酸ジヒドラジドでヒドラジド基を導入したヒアルロン酸誘導体(HA−HZ)のプロトンNMRから得られるフリーなヒドラジド基由来のピーク(2.2〜2.3ppm)は、ブロックポリマーの導入率に比例して減少するはずであるから、このピークとヒアルロン酸由来のピーク(2.1ppm)の比を実測する(X)。一方で、ブロックポリマーの導入が100%片末端であると仮定して、ブロックポリマー導入率から比例的に計算されるフリーなヒドラジド基由来のピークの、ヒアルロン酸由来のピークに対する比を計算する(Y)。この実測値の比が理論値の比より小さくなった割合が両末端で結合したブロックポリマーの割合になる。グルクロン酸に対するブロックポリマーの導入率をZ%、HA−HZのヒドラジド基導入率をH%とすると、片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と結合しているブロックポリマーの量の結合している全ブロックポリマーの量に対する率(%)は、(1−(H−Z)/Z(1−X/Y))×100で表される。また同様に両末端がヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に導入されている率(%)は、グルクロン酸当たり、(H−Z)×(1−X/Y)で表される。
また、生理食塩水中及び/又はリン酸生理食塩水中における本発明のヒアルロン酸修飾物の相転移温度が、本発明のヒアルロン酸修飾物10.0%w/v以下の濃度で、20℃以上35℃以下であることが望ましい。尚、ここでいう相転移温度とは、ヒアルロン酸修飾物の粘度の温度変化をコーン−プレート型粘度計等の粘度計で測定した際、粘度の変化がその最大変化量の10%に達した温度をいう。従ってこの相転移は、本発明の目的に合致する範囲で、所謂ゾル−ゲル転移であってもよいし、ゾル状態からより粘度の高いゾル状態への転移であってもよい。
本発明に用いられるヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩は、粘度を注入しやすい程度に抑え、且つ室温流通を可能とするため、重量平均分子量で150万ダルトン以下であるものを用いることが好ましい。重量平均分子量の下限値については特に限定されないが、重量平均分子量が下がるに伴い、温度上昇に伴う粘度上昇を達成する為により高いヒアルロン酸濃度が必要となってくるため、1万ダルトン以上であることが好ましい。ここで、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量の測定方法については、光散乱法等、各種の公知の方法を利用することができる。尚、このようなヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩は、鶏冠や豚皮下等の生物由来のものを抽出する方法や生物発酵法等の各種公知の方法を用いて製造することができ、或いは市販のものを購入して(例えば、電気化学工業株式会社、株式会社資生堂、生化学工業株式会社等から)入手することも可能である。
また、ここでヒアルロン酸の薬学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。この中で、特に好ましい塩は、医薬品として繁用されているナトリウム塩である。
本発明に用いられるポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PPO−PEO)、ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマー(PPO−PEO−PPO)、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PLGA−PEO)、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体ブロックポリマー(PLGA−PEO−PLGA)、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PLA−PEO)及びポリ乳酸−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸ブロックポリマー(PLA−PEO−PLA)から選択されるブロックポリマーは、前述した如く本発明のヒアルロン酸修飾物の相転移温度が20℃以上35℃以下となるように、1.0%w/vの生理食塩水中及び/又は1.0%w/vのリン酸生理食塩水中におけるそれらポリマーの低温臨界溶液温度(LCST)を調整したものを用いる。具体的には、1.0%w/vの生理食塩水中及び/又は1.0%w/vのリン酸生理食塩水中(好ましくは1.0%w/vのリン酸生理食塩水中)において、前記ブロックポリマーのLCSTが15℃以上40℃以下であるものを用いればよい。ここでいうLCSTとは、前記の溶液中に溶解させたブロックポリマーの500nmにおける吸光度を温度変化させながら測定した際、その吸光度変化が最大変化量の10%に達した温度をいう。また、上記相転移温度の範囲内で異なるLCSTを持つ複数の前記ブロックポリマーを組み合わせて使用してもよいが、好ましくは1種のブロックポリマーを使用するのがよい。
本発明に用いられるポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PPO−PEO)、ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマー(PPO−PEO−PPO)、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PLGA−PEO)、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体ブロックポリマー(PLGA−PEO−PLGA)、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PLA−PEO)及びポリ乳酸−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸ブロックポリマー(PLA−PEO−PLA)から選択されるブロックポリマーは、これに限定されるものではないが、一般的には次のような基本構造を有する。
(1)PEO−PPO−PEOトリブロックポリマー
(2)PPO−PEO−PPOトリブロックポリマー
(3)PEO−PLGA−PEOトリブロックポリマー又はPEO−PLA−PEOトリブロックポリマー
(4)PLGA−PEO−PLGAトリブロックポリマー又はPLA−PEO−PLAトリブロックポリマー
PPO−PEO−PPOトリブロックポリマー及びPEO−PPO−PEOトリブロックポリマーにおいては、疎水性のPPOブロックと親水性のPEOブロックの比率は、これに限定されないが、例えば、90〜10%w/w:10〜90%w/wが好ましい。PEO−PLGA−PEOトリブロックポリマー、PLGA−PEO−PLGAトリブロックポリマー、PEO−PLA−PEOトリブロックポリマー及びPLA−PEO−PLAトリブロックポリマーにおいて、疎水性のPLGA又はPLAブロックと親水性のPEOブロックの比率は、これに限定されないが、例えば、51〜83%w/w:17〜49%w/wが好ましい。また、PLGA又はPLAブロックにおいて、ラクテート含量は、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%であり、グリコレート含量は、好ましくは0〜70%、より好ましくは0〜50%である。
また、本発明のヒアルロン酸修飾物が充分な架橋強度を発現できるためには、前記ブロックポリマーの重量平均分子量は1200ダルトン以上であることが好ましい。さらに、生分解後の体内からの排泄性を考慮すると、ブロックポリマーとしてPEO−PPO−PEO又はPPO−PEO−PPOを用いる場合は、その重量平均分子量は1200ダルトン以上1万ダルトン以下であることがより好ましい。ブロックポリマーとしてPEO−PLGA−PEO、PLGA−PEO−PLGA、PEO−PLA−PEO又はPLA−PEO−PLAを用いる場合は、PLGA又はPLA自体は生分解性であるので、PEO成分の重量平均分子量が1万ダルトン以下であることがより好ましい。尚、ここでいうPEO−PLGA−PEO、PLGA−PEO−PLGA、PEO−PLA−PEO又はPLA−PEO−PLA、或いはPEOの重量平均分子量とは、ポリエチレンオキサイドを標準物質に用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した際の重量平均分子量をいう。
尚、このようなPEO−PPO−PEOは商品名 Pluronicとして、またPPO−PEO−PPOは商品名 PluronicRとしてそれぞれ市販されており、例えばBASF武田ビタミン株式会社、旭電化工業株式会社等から入手することが可能である。それらの合成方法は、Colloids and SurfacesA、96、1−46(1995)等に記載されている。また、PEO−PLGA−PEO及びPLGA−PEO−PLGAは商品名 Regelとして市販されており、例えばMacroMed社、Alkermes社等から入手することが可能である。それらの合成方法は、J.Biomed.Mat.Res.、61、188−196(2002)、WO99/18142号公報等に記載されている。
ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩にブロックポリマーを結合させる方法としては特に制限されないが、例えば、ヒドラジド化(国際公開公報 WO95/15168号(米国特許第5616568号、米国特許第5652347号、米国特許第5874417号)等)或いはジアミン化合物をカルボジイミド等のカップリング剤で結合、アミノ化したヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と片末端の水酸基を、4−ニトロフェニルクロロフォルメイト化(国際公開公報 WO95/24430(米国特許第6486213号))或いはジ−N−ヒドロキシスクシンイミドからなる架橋剤をDMSO中でピリジン等の塩基性有機溶媒下で反応させ、N−ヒドロキシスクシンイミド化した前記ブロックポリマーを反応させる方法、或いは、4−ニトロフェニルクロロフォルメイト化した後ジアミン、あるいはジヒドラジドと反応させ、アミノ基あるいはヒドラジド基を片末端に修飾した前記ブロックポリマーとヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩のカルボキシル基をカルボジイミド等のカップリング剤を用いて結合させる方法等が挙げられる。
なお、参考のために示すと、上記ヒアルロン酸又はその塩とブロックポリマーの片末端の水酸基との結合は、次のスキーム(1)〜(4)のように模示することができる。但し、これはポリマー同士の反応を説明のために単に摸示したに過ぎず、本発明の結合方法はこれに何ら制限されるものではない。例えば、下記スキーム中、ヒアルロン酸を、HA−COOHとして示したが、ヒアルロン酸中のカルボキシ基は基本構造の繰返し単位の数(前記n)だけ存在する。
スキーム(1)
(式中、HA−COOHはヒアルロン酸を示し;そして、H2N−R−NH2はジヒドラジドまたはジアミンを示す〔R=NH−CO−A−CO−NHの場合にジヒドラジド〕)
スキーム(2)
(式中、HO−TBP−OHは前記の各種トリブロックポリマーを示し;Phはフェニルを示し;H2N−R″−NH2はジヒドラジドまたはジアミンを示す
〔R″=NH−CO−A−CO−NHの場合にジヒドラジド〕;そして、その他の略号は上記と同様である。)
スキーム(3)
(式中、略号は上記と同様である。)
スキーム(4)
(式中、略号は上記と同様である。)
上記スキームに示した反応の反応条件は、国際公開公報 WO95/15168号、国際公開公報 WO95/24430等の記載を参照して決定することができる。例えば、スキーム(1)では、ヒアルロン酸(1)を、ジヒドラジド(2)とジシクロヘキシルカルボジイミド、ジメチルアミノプロピルカルボジイミドなどのジカルボジイミドの存在下反応させ、末端アミノ化ヒアルロン酸(3)を得る。通常、この反応は、水及び/又は水溶性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール類、ジオール類)中、0〜100℃、好ましくは10℃〜40℃の温度で、0.5〜48時間行う。スキーム(2)では、トリブロックポリマー(4)と4−ニトロフェニルクロロホルメート(5)を、塩化メチルなどのハロゲン化炭化水素溶媒中、トリエチルアミン等の塩基の存在下、0〜40℃で0.5〜24時間反応させて4−ニトロフェニルホルメート化トリブロックポリマー(6)を得る。この化合物(6)は、末端アミノ化ヒアルロン酸(3)と、水及び/又は水溶性溶媒中で、0℃〜40℃で、0.5〜48時間反応させて、目的とするトリブロックポリマー結合ヒアルロン酸(9)を得る。一方、化合物(6)とジアミン(7)とを、ハロゲン化炭化水素溶媒中、0〜40℃で、0.5〜48時間反応させて末端アミノ化トリブロックポリマー(8)を得る。この化合物(8)を、ヒアルロン酸(1)と反応させて、目的とするトリブロックポリマー結合ヒアルロン酸(12)を得る(スキーム(4))。なお、スキーム(3)では、トリブロックポリマー(4)と、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)(10)とを反応させて、NHS活性化トリブロックポリマー(11)を得、これを末端アミノ化ヒアルロン酸(3)と反応させて、目的とするトリブロックポリマー結合ヒアルロン酸(12)を得る。なお、上記反応において、ブロックポリマーのうち、大部分が片末端の水酸基のみに活性化官能基が導入されたブロックポリマーを得ることは、各原料の仕込量を調整することによって、容易に行うことができる。例えば、活性化官能基の反応時の仕込み量をブロックポリマーの末端官能基と等モル以下として反応させれば、片末端のみ活性化されたブロックポリマーを主成分として得ることができる。さらに、活性化官能基の反応時の仕込み量を減らせば、活性化されていないブロックポリマーの割合は増すが、片末端のみが活性化されたブロックポリマーの割合も増す。
本発明において使用されるジアミン、ジヒドラジドは特に限定されないが、例えばジアミンとしては、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、等のジアミノアルカン類、N−リジル−ジアミノエタン、N,N’−ジリジル−ジアミノエタン等のモノ、またはジ(リジル)ジアミノアルカン類、アミノ基を2つ以上もつペプチド等が挙げられる。ジヒドラジドとしては、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドリジド、スベリック酸ジヒドラジド、オキサリック酸ジヒドラジド、マロニック酸ジヒドラジド等が挙げられる。PLGAやPPO等の疎水部を末端に持つものは水中でのヒアルロン酸もしくはその誘導体へのグラフト反応性が低くなるため、ヒアルロン酸もしくはその誘導体をトリブチルアンモニウム塩にすることでDMSO等の極性有機溶媒に可溶とし、極性有機溶媒中で上記の反応を行うと良い。また、上記においてヒドラジド化を経由する場合は、本発明のヒアルロン酸修飾物中に残存する未反応のヒドラジド基を無水コハク酸等と反応させ、フリーのヒドラジド基をなくしておくことが生体への適用上好ましい。
前記ブロックポリマーのヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩への導入率については、相転移に伴う充分な粘度の変化を得る為、ヒアルロン酸中のグルクロン酸当たり、8モル%以上であることが好ましい。尚、前記ブロックポリマーのヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩への導入率はプロトンNMR法で、ヒアルロン酸由来のプロトン(N−acetylate)と前記ブロックポリマー由来のプロトンの面積比から算出すればよい。
このようにして得られた本発明のヒアルロン酸修飾物は、高分子量のヒアルロン酸を用いていないため、室温流通が可能である。また、相転移温度を20℃以上35℃以下に調整することにより、室温においては粘度が低く取り扱いやすい(注射等により注入しやすい)一方、生体内(例えば関節腔内)に注入した際、相転移温度まで温められることによって粘弾性が急増する。
本発明のヒアルロン酸修飾物は、生体内(例えば関節腔内)に注入した際、長期に亘って生体内に滞留することが好ましい。ここでいう長期とは、従来のヒアルロン酸製剤では達成できなかった期間、即ち1週間以上をいい、好ましくは2週間以上である。尚、このような生体内(例えば関節腔内)における滞留期間を測定するには、例えば、放射性ラベル化して標識化したヒアルロン酸を用いる方法(薬理と治療、22、325−350、1994)、又はフルオレセインイソチオシアネート(FITC)等の蛍光ラベル化して標識化したヒアルロン酸を用いる方法等の従来のヒアルロン酸製剤で試みられている方法、或いは、ヒアルロニダーゼでヒアルロン酸部分を分解し、前記ブロックポリマーをGPCで定量する方法、あるいは、投与後の関節幅の経時的減少を直接測定する方法等を用いて測定すればよい。
上述したように、本発明のヒアルロン酸修飾物は、室温流通が可能であって粘度が低く注入しやすく、且つ長期(2週間以上)に渡って関節腔内に滞留可能であり、また高い安全性が予想されるため、今までにない実用的なヒアルロン酸製剤の主成分として、関節疾患の処置に非常に有用である。
尚、ここでいう「関節疾患」とは、関節軟骨欠損、慢性関節リウマチ、変形性関節症、肩関節周囲炎等の疾患をいう。「処置」とは、前記関節疾患の治療、予防、病態の進展抑制(悪化の防止や現状維持)等のための処置をいう。
また、本発明のヒアルロン酸修飾物は、上述したような特性を利用して、外科手術に用いる補助又は処置剤、薬物徐放用担体、再生医療、組織工学に用いられる細胞増殖用マトリックスなどへの応用も可能である。例えば、本発明のヒアルロン酸修飾物を主成分とする外科手術補助又は処置剤は、例えば、眼科手術または内視鏡的粘膜切除術(EMR)に用いることができる(WO02/056914号公報等参照)。さらに、本発明のヒアルロン酸修飾物は、柔組織の損傷を強化し修復する用途にも応用することができる(特開平10−324701号公報参照)。例えば、本発明のヒアルロン酸修飾物は、柔組織の損傷たとえばざ瘡の傷跡、外科手術後の萎縮性不整、モース(Mohs’)化学外科損傷、口びるおよび老令のしわの裂傷傷跡のような損傷、あるいはしわ自体を修復するのに安全に使用することができる。
本発明のヒアルロン酸修飾物は、その有効量に、適宜、製薬上許容しうる担体、賦型剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、香料、着色剤を加えて医薬組成物として用いることができる。本発明の医薬組成物は、例えば、注射剤、溶液剤、経皮吸収剤、軟膏、ローション、カプセル剤等に製剤化することができる。製剤中のヒアルロン酸修飾物の含有量は、例えば、製剤全体に対して、0.01〜99.9%w/w、好ましくは、0.1〜70%w/wである。
本発明のヒアルロン酸修飾物を関節疾患処置製剤あるいは外科手術補助又は処置剤として製剤化するに際しては、特に限定されないが、例えば、生理食塩水やリン酸生理食塩水等に所望の濃度に溶解させ、注射用製剤として製剤化することができる。この際、必要に応じて、酸又は塩基を加えることにより、溶液を所望のpHに調製してもよい。また、ナトリウム塩、カリウム塩等の1価の金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、マンガン塩等の2価の金属塩等の無機塩等を加えることにより、溶液を所望の塩濃度に調製してもよい。更に、所望に応じて、安定化剤等が加えられていてもよい。このようにして調製された、本発明のヒアルロン酸修飾物を溶解させた溶液を、ディスポーザブル注射筒等の注射器に予め充填させた形で流通させてもよい。
本発明のヒアルロン酸修飾物を主成分とする関節疾患処置製剤を注射用製剤として投与するに際しては、本発明のヒアルロン酸修飾物が0.01%〜50%w/vの溶液濃度、好ましくは0.05%〜20%w/vの溶液濃度、特に好ましくは0.5%〜10%w/vの溶液濃度のものを、1回あたり1〜3mLを患者に投与すればよい。但し、この投与量は、医師の指示、対象となる患者、又は疾患や疾患の重篤度、或いは原料となるヒアルロン酸の分子量等により、それぞれ最適な投与量に適宜増減してもよい。
本発明のヒアルロン酸修飾物を主成分とする外科手術補助又は処置剤を注射剤として用いる場合は、本発明のヒアルロン酸修飾物が0.01%〜50%w/vの溶液濃度、好ましくは0.05%〜20%w/vの溶液濃度、特に好ましくは0.5%〜10%w/vの溶液濃度のものを、必要量手術の対象部位に適用すればよい。例えば、このような製剤を、径が20〜22Gで、注射針のチューブの有効長が1000〜2500mmの注射針を有する内視鏡用注射針を用いて、手術の対象部位に適用し、胃や腸などの粘膜組織の切除に利用することができる。例えば、ポリープや癌などの切除予定の粘膜下層に、内視鏡用注射針を介して上記製剤を注入して切除予定部位を隆起させ、その隆起部分をスネアやニードルナイル等で切除する。なお、上記製剤を眼科手術補助剤として用いる場合は、例えば、白内障手術において、上記製剤を、手術スペース(前房深度と呼ばれる)の維持や角膜内皮などを物理的侵襲から保護するために注入する。例えば、混濁した水晶体核を除去したのち、上記製剤を注入することにより、前房深度を十分に維持しつつ、眼内レンズを挿入することができる。
なお、本発明の組織修復剤は、例えば、上記のような組成を有する注射用製剤、溶液剤、経皮吸収剤、軟膏又はローションのような製剤として組織の修復が必要な部位に適用することができる。
実 施 例
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例においては、NMRスペクトルは核磁気共鳴装置 JNM−ECA500(日本電子株式会社製)を用いて測定した。
〔実施例1〕
(実施例1−1)
(1)ニトロフェニルフォルメイト化したPluronicL62D(PluronicL62D−NPC)の合成
Pluronic L−62D(商品名)(分子量2360ダルトン、LCST28℃、BASF武田ビタミン株式会社製)8mmol、4−N−ニトロフェニルクロロフォルメイト(東京化成株式会社製)10mmolを100mLの塩化メチレン(Sigma社)に溶かし、10mmolのトリエチルアミンを加え室温で12時間反応させた後、エーテルで洗浄後エバポレータで濃縮し、ニトロフェニルフォルメイト化したPluronicL62D(PluronicL62D−NPC)17.2gを得た。
(2)ヒドラジド(HZ)基が導入されたヒアルロン酸(HA−HZ)の合成
分子量5.8×105ダルトンのヒアルロン酸(HA)(電気化学工業株式会社製)100mgを0.25%濃度で蒸留水に溶解し、5N塩酸でpHを4.7〜4.8に調製した。1−エチル−3−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)とアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を、HA:EDC:ADH=1:5:40モル比になるよう添加し、5N塩酸でpHを4.7〜4.8に保ちながら室温で2時間反応させた。100mM塩化ナトリウム溶液、25%エタノール溶液で透析(スペクトラポア7、分画分子量(MWCO):12k−14kダルトン)し、凍結乾燥して標題のヒドラジド(HZ)基が導入されたヒアルロン酸(HA−HZ)85mgを得た。
得られたHA−HZ中のHZ導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の68%がHZ化されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、HZ:Methylene、1.7ppm、2.4ppm)。
(3)ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物の合成
前記(2)で得られたHA−HZ 10mgを10mLの100mMリン酸緩衝溶液(PB、pH8.0)に溶かし、同じく前記(1)で得られたPluronicL62D−NPCを、HZ:NPC=1:20モル比になるよう添加し、4℃で1日間反応させた。pHを11にして過剰のNPCを加水分解した後、4℃で水に対して透析(スペクトラポア7、MWCO:300kダルトン)することで精製、エバポレーションで濃縮した。標題のヒアルロン酸にポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PPO−PEO)を結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。
得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の13モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
また、このヒアルロン酸修飾物の4%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でゲル化した。
(実施例1−2)
(1)HZが導入されたヒアルロン酸(HA−HZ)の合成
分子量1.9×105ダルトンのHA(電気化学工業株式会社製)100mgを0.5%濃度で蒸留水に溶解したほかは前述の実施例1−1の(2)と同様の方法で、標題のHZが導入されたHA(HA−HZ)83mgを得た。得られたHA−HZ中のHZ導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の64%がHZ化されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、HZ:Methylene、1.7ppm、2.4ppm)。
(2)ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物の合成
前記(1)で得られたHA−HZ 10mgを10mLの100mMリン酸緩衝溶液(PB、pH8.0)に溶かし、実施例1−1の(1)と同様の方法で得られたPluronicL62D−NPCを、HZ:NPC=1:20モル比になるよう添加し、4℃で1日間反応させた。pHを11にして過剰のNPCを加水分解させた後、4℃で水に対して透析(スペクトラポア7、MWCO:300kダルトン)することで精製、エバポレーションで濃縮した。標題のヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。
得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の30モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
また、このヒアルロン酸修飾物の6%v/v酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でゲル化した。
(実施例1−3)
(1)HZが導入されたヒアルロン酸(HA−HZ)の合成
分子量2.5×104ダルトンのHA(電気化学工業株式会社製)100mgを1%濃度で蒸留水に溶解したほかは前述の実施例1−1の(2)と同様の方法で、標題のHZが導入されたHA(HA−HZ)88mgを得た。得られたHA−HZ中のHZ導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の65%がHZ化されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、HZ:Methylene、1.7ppm、2.4ppm)。
(2)ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物の合成
前記(1)で得られたHA−HZ 10mgを10mLの100mMリン酸緩衝溶液(PB、pH8.0)に溶かし、実施例1−1の(1)と同様の方法で得られたPluronicL62D−NPCを、HZ:NPC=1:20モル比になるよう添加し、4℃で1日間反応させた。pHを11にして過剰のNPCを加水分解させた後、4℃で水に対して透析(スペクトラポア7、MWCO:50kダルトン)、さらにジメチルスルホキシド(DMSO)に対して透析し、再度水に置換した後凍結乾燥、標題のヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。
このヒアルロン酸修飾物の10%v/v酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でゲル化した。
〔実施例2〕
(実施例2−1)
(1)ニトロフェニルフォルメイト化したPluronicL92(PluronicL92−NPC)の合成
Pluronic L92(商品名)(分子量3650ダルトン、LCST17℃、BASF武田ビタミン株式会社製)を用いるほかは、実施例1−1の(1)と同様の方法で、ニトロフェニルフォルメイト化したPluronicL92(PluronicL92−NPC)27.3gを得た。
(2)ヒアルロン酸にPPO−PEO−PPOを結合させたヒアルロン酸修飾物の合成
実施例1−1の(2)で得られたHA−HZを用い、PluronicL62D−NPCの代わりに前記(1)で得られたPluronicL92−NPCを用いるほかは、実施例1−1の(3)と同様の方法で、標題のヒアルロン酸にポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマー(PPO−PEO−PPO)を結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の27モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の2%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でゲル化した。
(実施例2−2)
実施例1−2の(1)で得られたHA−HZを用いるほかは、実施例2−1の(2)と同様の方法で、標題のヒアルロン酸にPPO−PEO−PPOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の29モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の4%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でゲル化した。
(実施例2−3)
実施例1−3の(1)で得られたHA−HZを用いるほかは、実施例2−1の(2)と同様の方法で、標題のヒアルロン酸にPPO−PEO−PPOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。
このヒアルロン酸修飾物の10%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でゲル化した。
(実施例2−4)
(1)ヒドラジド(HZ)基が導入されたヒアルロン酸(HA−HZ)の合成
分子量1.5×106ダルトンのヒアルロン酸(HA)(電気化学工業株式会社製)100mgを0.1%濃度で蒸留水に溶解し、5N塩酸でpHを4.7〜4.8に調製した。1−エチル−3−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)とアジピン酸ジヒドラジド(ADH)を、HA:EDC:ADH=1:5:40モル比になるよう添加し、5N塩酸でpHを4.7〜4.8に保ちながら室温で2時間反応させた。100mM塩化ナトリウム溶液、25%エタノール溶液で透析(スペクトラポア7、分画分子量(MWCO):12k−14kダルトン)し、凍結乾燥して標題のヒドラジド(HZ)基が導入されたヒアルロン酸(HA−HZ)88mgを得た。
得られたHA−HZ中のHZ導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の61%がHZ化されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、HZ:Methylene、1.7ppm、2.4ppm)。
(2)ヒアルロン酸にPPO−PEO−PPOを結合させたヒアルロン酸修飾物の合成
実施例2−4の(1)で得られたHA−HZを用いるほかは、実施例2−1の(2)と同様の方法で、標題のヒアルロン酸にPPO−PEO−PPOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。4℃で水に対して透析(スペクトラポア7、MWCO:300kダルトン)することで精製、エバポレーションで濃縮した。得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の9モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の1%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でゲル化した。
〔比較例1〕
Pluronic L−31(商品名)(分子量1100ダルトン、LCST39℃、旭電化工業株式会社製)を用いるほかは、実施例1−1と同様の方法で、ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の1.4モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の2%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃で白濁化したが、顕著な粘度上昇、ゲル化は認められなかった。
〔比較例2〕
Pluronic L−31(商品名)(分子量1100ダルトン、LCST39℃、旭電化工業株式会社製)を用いるほかは、実施例1−2と同様の方法で、ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の0.5モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の4%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃で白濁化したが、顕著な粘度上昇、ゲル化は認められなかった。
〔比較例3〕
Pluronic L−31(商品名)(分子量1100ダルトン、LCST39℃、旭電化工業株式会社製)を用いるほかは、実施例1−3と同様の方法で、ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の2.0モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の10%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃で白濁化したが、顕著な粘度上昇、ゲル化は認められなかった。
〔比較例4〕
Pluronic L−64(商品名)(分子量2900ダルトン、LCST54℃、旭電化工業株式会社製)を用いるほかは、実施例1−1と同様の方法で、ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の11モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の2%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でも液体、55℃でゲル化した。
〔比較例5〕
Pluronic L−64(商品名)(分子量2900ダルトン、LCST54℃、旭電化工業株式会社製)を用いるほかは、実施例1−2と同様の方法で、ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の15モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の4%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でも液体、54℃でゲル化した。
〔比較例6〕
Pluronic L−64(商品名)(分子量2900ダルトン、LCST54℃、旭電化工業株式会社製)を用いるほかは、実施例1−3と同様の方法で、ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の19モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の10%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でも液体、55℃でゲル化した。
〔比較例7〕
実施例1−1で、PluronicL62D−NPCを、HZ:NPC=1:2モル比になるよう添加するほかは、実施例1−1と同様の方法で、ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。
得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の7.0モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の2%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でも顕著な粘度上昇、ゲル化は認められなかった。
〔比較例8〕
実施例1−2で、PluronicL62D−NPCを、HZ:NPC=1:2モル比になるよう添加するほかは、実施例1−2と同様の方法で、ヒアルロン酸にPEO−PPO−PEOを結合させたヒアルロン酸修飾物を得た。
得られたHA−Pluronic中のPluronic導入率をプロトンNMR法で定量したところ、HAのカルボン酸の5.8モル%にPluronicが導入されていた(HA:N−acetylate、2.1ppm、Pluronic:PropyleneoxideのMethyl、1.2ppm)。
このヒアルロン酸修飾物の4%v/vリン酸生理食塩性溶液は、25℃で液体、36℃でも顕著な粘度上昇、ゲル化は認められなかった。
[試験例1 粘度の温度応答性]
実施例2−4の1%v/vリン酸生理食塩性溶液の粘度の温度依存性をViscometer RE110R system(東機産業会社製)を用いて、コーン/プレート型、せん断速度1.0(sec−1)で測定した。37℃での粘度は室温の100倍以上となった。その結果を図13に示す。
[試験例2 関節腔内滞留性]
エーテル麻酔にかけたラットの下肢の毛を剃り、26G注射針付シリンジにて関節腔内および皮下に実施例2−4で調製したサンプルを投与した。投与後のラットの膝関節幅をノギスにて経時的に測定し、投与前の膝関節幅からの膨張度を投与サンプルの滞留性の指標とした。関節幅は、ラットの関節幅を3回測定し平均値を各時点の代表値とした。投与後72時間でも生理食塩水投与の3倍の関節幅を維持していた。その結果を図14に示す。
産業上の利用可能性
ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PPO−PEO)、ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロックポリマー(PPO−PEO−PPO)、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PLGA−PEO)、ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸/ポリグリコール酸共重合体ブロックポリマー(PLGA−PEO−PLGA)、ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸−ポリエチレンオキサイドブロックポリマー(PEO−PLA−PEO)及びポリ乳酸−ポリエチレンオキサイド−ポリ乳酸ブロックポリマー(PLA−PEO−PLA)から選択されるブロックポリマーとが結合した本発明のヒアルロン酸修飾物は、室温流通が可能であり且つ粘度が低く取り扱いやすいにもかかわらず、生体内(例えば関節腔内)に注入後その粘弾性を急増させることが可能である。従って、本発明のヒアルロン酸修飾物は、今までにない実用的なヒアルロン酸製剤の主成分として、関節疾患の処置に非常に有用である。また、本発明のヒアルロン酸修飾物を主成分とする製剤は、眼科手術、内視鏡的粘膜切除術などの外科手術用補助剤又は処置剤としても有効に用いられる。さらに、本発明のヒアルロン酸修飾物は、その特性を利用して、薬物徐放用担体などへの応用も期待できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1−1で得られた本発明ヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図2は、実施例1−2で得られた本発明ヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図3は、実施例2−1で得られた本発明ヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図4は、実施例2−2で得られた本発明ヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図5は、比較例1で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図6は、比較例2で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図7は、比較例3で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図8は、比較例4で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図9は、比較例5で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図10は、比較例6で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図11は、比較例7で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図12は、比較例8で得られたヒアルロン酸修飾物のプロトンNMRチャートである。
図13は、試験例1で得られた実施例2−4のヒアルロン酸修飾物の粘度の温度応答性である。
図14は、試験例1で得られた実施例2−4のヒアルロン酸修飾物投与後の関節幅の経時変化である。
Claims (13)
- ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩と、Pluronic L−62D(商品名、BASF武田ビタミン株式会社製)およびPluronic L92(商品名、BASF武田ビタミン株式会社製)から選択されるブロックポリマーとが結合したヒアルロン酸修飾物であって、前記ブロックポリマーがPluronic L−62Dである場合の、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩への導入率が、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩中のグルクロン酸当たり13モル%または30モル%であり、前記ブロックポリマーがPluronic L92である場合の前記導入率が、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩中のグルクロン酸当たり9モル%、27モル%または29モル%である、ヒアルロン酸修飾物であって、生理食塩水中及び/又はリン酸生理食塩水中における前記ヒアルロン酸修飾物の相転移温度が、10.0%w/v以下の濃度で、20℃以上35℃以下のヒアルロン酸修飾物。
- 前記ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩の重量平均分子量が150万ダルトン以下であることを特徴とする請求項1に記載のヒアルロン酸修飾物。
- 前記ブロックポリマーの70%w/w以上が、その片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に結合している請求項1または2に記載のヒアルロン酸修飾物。
- 前記ブロックポリマーが、その片末端のみでヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩に結合している請求項1または2に記載のヒアルロン酸修飾物。
- 前記ブロックポリマーが、ヒアルロン酸及び/又はその薬学的に許容される塩のカルボキシル基に結合している請求項1または2に記載のヒアルロン酸修飾物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のヒアルロン酸修飾物を主成分とする医薬組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のヒアルロン酸修飾物を主成分とする関節疾患の処置製剤。
- 前記の関節疾患が関節軟骨欠損、慢性関節リウマチ、変形性関節症又は肩関節周囲炎である請求項7記載の関節疾患の処置製剤。
- 注射用製剤である請求項7又は8に記載の関節疾患の処置製剤。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のヒアルロン酸修飾物を主成分とする外科手術補助又は処置剤。
- 前記の外科手術が眼科手術または内視鏡的粘膜切除術である請求項10に記載の外科手術補助又は処置剤。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のヒアルロン酸修飾物を主成分とする組織修復剤。
- 柔組織の損傷、外科手術後の萎縮性不整、モース(Mohs’)化学外科損傷、しわ、又はしわの裂傷傷跡を修復することに用いられる請求項12に記載の組織修復剤。
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