JP5154474B2 - 木材の耐光処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内装材、家具材等に広く使われる木材の耐光性を向上させるための木材の耐光処理方法の改良に関する。
従来、内装材、家具材等に広く使われる木材の耐光性を向上させるための処理方法として、木材あるいはその表面塗料に紫外線吸収剤を添加する方法が、一般に知られている。
例えば、特許文献1には、耐光堅牢度を改良することを目的として、染色木材を紫外線吸収剤を含むカチオン系浸漬液に浸漬することを特徴とする染色木材及びその耐光性改良方法が開示され提案されている。
しかしながら、上述の特許文献1に開示された方法は、紫外線吸収剤が劣化しやすいなど紫外線吸収能力に限界があり、効果の持続性に問題があった。
また、木材の耐光性を向上させる別の処理方法として、木材表面に顔料などの耐光性の高い材料を塗布する方法も一般に知られているが、この方法は、木材表面を顔料などで隠蔽することになって、木材の質感が損なわれるという問題があった。
特開2008−183864号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、木材の質感を損なうことが少なく、耐光性の持続効果の高い木材の耐光処理方法を提供することを目的としている。
木材には主成分として、セルロースと、リグニンと、ヘミセルロースが含まれており、木材を加熱すると、ヘミセルロースから熱分解により耐光性の高い重合性着色物が生成し、同時にリグニンに含まれるフェノール類似の低分子樹脂が酸化着色して耐光性の低い酸化着色物が副生成する。
本発明は、木材に含まれている耐光性の高い重合性着色物は、高圧水蒸気処理により水分が潤沢な状態で加熱処理すれば、水分が少ない場合の加熱処理と異なって、耐光性の高い重合性着色物をより多く発生させることができ、一方で、木材に加熱処理を与えた際に副生成する耐光性の低い酸化着色物を少なくできたという知見に基づいている。
上記目的を解決するために、請求項1に記載の木材の耐光処理方法は、スライス単板を製造するためのフリッチ材よりなる木材に高圧水蒸気による加熱処理を与えて、該木材に含有されている耐光性の高い重合性着色物を生成するとともに、そのとき生成する耐光性の低い酸化着色物を木材の表面に析出させ、その後、析出した酸化着色物を、木材の表層面をスライス切除することで除去することを特徴とする。
また、請求項2に記載の木材の耐光処理方法は、請求項1に記載の木材の耐光処理方法において、上記高圧水蒸気による加熱処理は、上記木材の加熱温度が110℃〜170℃の範囲で、処理時間を10分以上としていることを特徴とする。
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請求項1に記載の木材の耐光処理方法によれば、高圧水蒸気処理により水分が潤沢な状態で加熱処理するので、水分が少ない場合の加熱処理と異なって、より多く耐光性の高い重合性着色物を発生させ、耐光性の低い酸化着色物をより少なくすることができる。そのため、耐光性の持続効果に優れている。
また、木材表面に顔料などを塗布して木材表面を隠蔽しないので、木材の質感を損なうことがない。
木材が加熱されると、木材の表面は、耐光性の低い酸化着色物が木材道管に集中的に析出して木目を強調するに至り、紫外線によって退色しやすくなる、そのため、光の当たったところは木目が飛んだような外観を呈することになりがちである。
しかし、請求項1に記載の木材の耐光処理方法によれば、副生成する耐光性の低い酸化着色物をその移行性を利用して表面析出させ、その後、表面析出した酸化着色物を除去するので、光が当っても、木目が飛んだような外観を呈することも少なくできる。
また、表面に析出した酸化着色物が、後の仕上げ加工時に刃物に絡みついたり、仕上げのためのサンダーが目詰まりしたりして製品の価値を落とすことも少ない。
このように、木材やその表面に紫外線吸収剤を添加した塗装を施す方法と比較して、耐光性の持続効果に優れている。
また、木材表面に顔料などを塗布して木材表面を隠蔽しないので、木材の質感を損なうことがない。
さらに、請求項1に記載の木材の耐光処理方法によれば、フリッチ材とフリッチ材から製造されるスライス単板の耐光性を持続させることができる。また、フリッチ材やスライス単板の質感を損なうことがない。
また、酸化着色物の除去は、木材の表層面のスライス切除により行うので、木材をスライスしてスライス単板を得るときには、外側のスライス単板だけを除去すればよい。そのため加工処理が簡単である。
また、請求項2に記載の木材の耐光処理方法によれば、木材の加熱温度が110℃〜170℃の範囲で、処理時間を10分以上としているので、十分に重合性着色物を生成させることができる。そのため木材の耐光性を十分に高くすることができる。すなわち、温度が低かったり加熱時間が短かすぎると十分に重合性着色物を生成させることができないが、110℃以上の加熱で、処理時間が10分以上であるので、十分に重合性着色物を生成させることができる。また、加熱が行き過ぎると耐光性の低い酸化着色物が副生成し、表面に析出し、後の仕上げ加工で刃物に絡みついたり、仕上げのためのサンダーが目詰まりしたりして製品化が困難になるが、本発明では、木材の処理温度が170℃以下であるので、加熱が行き過ぎることがない。そのため、表面に析出する酸化着色物が多すぎることがなく、後の加工で刃物に絡みついたり、サンダーが目詰まりしたりして製品化が困難になることをより少なくすることができる。
また、加熱が行き過ぎることがないので、木材を炭化させることが少ない。そのため、焼杉のように耐光性が向上するが、炭化のために木材本来の質感が保てなくなるというようなことを少なくすることができる。
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本発明の木材の耐光処理方法を示すフロー図である。 本発明の木材の耐光処理方法に適用する処理装置の構成を示す概念図である。 図1の処理装置の概略の対応断面図である。 本発明の木材の耐光処理方法による実施例の評価結果をまとめた表である。 金属カゴに木材を拘止させる構成を示す説明図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について説明する。図1は、本発明の木材の耐光処理方法Sを示すフロー図であり、図2は、本発明の木材の耐光処理方法Sに適用する処理装置1の構成を示す概念図である。また、図3は、図2の処理装置1の概略の対応断面図である。
本実施形態の木材の耐光処理方法Sは、内装材、家具材等に広く使われるスライス単板を製造するためのフリッチ材を処理して、このフリッチ材と、これから製造されるスライス単板の耐光性を改良するためのものであり、図2、図3に示す処理装置1を用いてフリッチ材である木材2を処理する。
ここで、処理装置1は、高圧蒸気釜4を備えており、この高圧蒸気釜4は、フリッチ材として用いる木材2を拘止した状態に保持する保持手段としての台座3を内部に有した水溜容器5を内部に備えている。
台座3は、上側固定部材3a、下側固定部材3bと、押さえ板2a、2bとを備えている。図2では、木材2は、押さえ板2a、2bで上下両側から挟まれ、隙間を確保するために、スペーサー7a、7bを介在させた状態で台座3の上側固定部材3a、下側固定部材3bとの間に置かれ拘止される。
上側固定部材3aと下側固定部材3bとは、両者の間隔を変更可能に構成されており、木材2は、押さえ板2a、2bで上下両側から挟まれ、台座3の上側固定部材3aと下側固定部材3bとの間に置かれた状態で、ボルトナット構造3dによって拘止される。
そして、下側固定部材3bは、水溜容器5の中に固定されており、水溜容器5は、高圧蒸気釜4の内壁面からレール6によって支持された状態で高圧蒸気釜4の内部でレール6の車輪7により移動可能になっており、高圧蒸気釜4に対して出し入れできる。
このように、高圧蒸気釜4と水溜容器5とが別々に設けられ、水溜容器5内に冷却水を導入させるので、高圧蒸気釜4に直接冷却水が注がれて加わる熱衝撃をなくすることができる結果、高圧蒸気釜4の耐圧容器の安全性が高い。
また、水に触れる水溜容器5だけをステンレスで製造し、高圧蒸気釜4はそれよりも安価な材料を採用するなど、使用する材料を異なるものにすることにより、装置のコストを低減することができる。
高圧蒸気釜4は、長手方向に分割可能に構成されている。この高圧蒸気釜4は、不図示のボルトナット機構あるいはクランプ機構により、フランジ4a、4bを着脱することによりふた4cを開けて内部を開放し、台座3ごと水溜容器5を取り出すことができるようになっている。
また、高圧蒸気釜4には、高圧高温蒸気の導入口5aと、排気口5bと、加圧タンク8で加圧された水タンク9からの加圧水の導入口5cとが設けられている他、液化した蒸気をスチームトラップ5dを介して排水するドレン口5eと、水の排水口5fと、蒸気導入バルブ6aと、蒸気排気バルブ6bと、水導入バルブ6cと、ドレンバルブ6eと、排水バルブ6fとが設けられている。
ここで、木材2としては、乾燥処理を施していない湿った含水率が33%以上(含水率:33〜67%ドライベースの生材)のブナのフリッチ材が採用されている。また、本実施形態では、サイズが50mm(厚)×107mm(巾)×450mm(長さ)の木材2が採用されている。
次に、図1を参照して、この処理装置1を用いて実施する耐光処理方法Sについて説明する。
本実施形態の木材2の耐光処理方法Sにおいては、まず、ステップS1において、複数の木材2を、スペーサー7a、7bを介在させて積層し、木材2それぞれの隙間を確保する。
次に、ステップS2において、積層された複数の木材2の最上面と最下面に押さえ板2a、2bで挟む。
また、ステップS3において、押さえ板2a、2bで挟んだ複数の木材2を、水溜容器5の保持手段である台座3に固定する。
それから、ステップS4において、水溜容器5ごと高圧蒸気釜4に挿入する。水溜容器5の底部にも配管を接続して水の排水口5f、ドレン口5eと接続し、ふた4cを閉じて閉釜する。
また、ステップS5において、蒸気導入バルブ6a、蒸気排気バルブ6b、ドレンバルブ6eを開いて釜内空気を蒸気と置換する。
また、ステップS6において、蒸気排気バルブ6bを閉めて、高圧蒸気釜4の中に高圧蒸気を供給して木材2を処理してヘミセルロースから熱分解により耐光性の高い重合性着色物を生成させる。
それから、処理が完了したら、ステップS7において、蒸気導入バルブ6aを閉めて、加圧保持しながら水溜容器5内に水導入バルブ6cを開いて水を供給して保持手段の台座3に固定している木材2を水没させる。
この時、水導入バルブ6cを開いて、高圧蒸気釜4内に水を挿入して(0.7MPa)、台座3に固定している木材2を高圧状態のまま水没冷却させる。その際、高圧蒸気釜4内の圧力が下がらないように管理する。圧力の低下には蒸気導入バルブ6aを補助的に開、あるいは水の圧力をアップする。また、圧力の上がり過ぎには蒸気排気バルブ6bでコントロールする。さらに冷却効率を上げるため、水をオーバーフローさせて調整しながら、循環させる。
冷却が完了したら、ステップS8において、蒸気排気バルブ6bを開いて、高圧蒸気釜4を降圧処理する。また、排水バルブ6fを開いて水溜容器5内の冷却水を排出後、水の排水口5f、ドレン口5eと接続している配管を水溜容器5から取り外す。
そして、ステップS9において、水溜容器5ごと高圧蒸気釜4内から取り出し、ステップS10において、保持手段の台座3から木材2を取り出す。
最後に、ステップS11において、木材の表層をサンダー仕上げ等で除去して副生成する耐光性の低い酸化着色物を除去して、フリッチ材である木材2の処理を終了する。
この後、本実施例では、後述するように、処理後の木材2をスライスし、スライス単板にして、突き板加工を行う。
このように、本実施形態の木材の耐光処理方法Sにおいては、木材2に高圧水蒸気による加熱処理を与えて、木材2に含有されている耐光性の高い重合性着色物を生成し、かつ副生成する耐光性の低い酸化着色物をその移行性を利用して表面析出させ、その後、表面析出した酸化着色物を除去する。
また、高圧水蒸気処理は、木材の加熱温度が110℃〜170℃の範囲で、処理時間を10分以上とする。
ここで、図4に示すように、上述の処理装置1を用いて行った実験例(実施例1、2、3、4、比較例1、2、3、4)について説明する。図4は、本発明の木材の耐光処理方法Sによる実施例の評価結果をまとめた表である。
実施例1では、115℃に昇温させ、この115℃の状態で10分間保持する高圧水蒸気処理を行った。
その後、0.7MPaの加圧水を挿入して冷却した後、大気圧に開放し、取り出した。
このように、この高圧水蒸気処理においては、処理に必要なエネルギーを確保するために、10分以上の間保持するようにした。
その後、熱処理された木材2の表層をサンダー仕上げ、プレーナ等にて除去し、副生成した耐光性の低い酸化着色物を除去したフリッチ材を得た。
その後、以下のように、突き板加工を行う。すなわち、フリッチ材をスライサーにて0.25mm厚にスライス加工してスライス単板を得る。その後、一番外側のスライス単板を除去するとともに、残りのスライス単板を酢酸ビニル系接着剤で12mm厚の合板に熱圧貼りし、これに、素地サンダー(#240)を施した後、2液ウレタン塗料をスプレーして表面仕上げし、製品化した。
なお、熱処理された木材2の表層をサンダー仕上げ、プレーナ等にて除去する代わりに、酸化着色物の除去を木材2の表層面のスライス切除により行っもよい。この場合は、木材2をスライスしてスライス単板を得るときに、外側のスライス単板だけを除去すればよい。そうすれば、加工処理が簡単になる。
以下、実施例2−4、比較例2−3は、実施例1において、温度、保持時間の高圧水蒸気処理の条件を変更したものであり、比較例1は、実施例1において、高圧水蒸気処理しなかったものである。また、比較例4は、実施例4において表面を除去しないそのままのケースである。樹種、サイズ、含水率、昇温時間、水冷、突き板加工などは実施例1と同じである。
実施例2では、115℃に昇温させ、実施例1より長く30分間保持する高圧水蒸気処理を行った。
その後、0.7MPaの加圧水を挿入して2時間冷却した後、大気圧に開放し、取り出した。
実施例3では、135℃に昇温させ、実施例2と同じ30分間保持する高圧水蒸気処理を行った。
実施例4では、170℃に昇温させ、実施例2と同じ30分間保持する高圧水蒸気処理を行った。
比較例1は、実施例1において、高圧水蒸気処理なしの場合である。
比較例2では、110℃以下の105℃に昇温させ、実施例2と同じ30分間保持する高圧水蒸気処理を行った。
比較例3では、170℃以上の180℃に昇温させ、実施例2と同じ30分間保持する高圧水蒸気処理を行った。
比較例4では、実施例4において表面を除去しないでそのままとした場合である。
ここで、図4の表では、上述の各実験例の耐光性とライン適正と総合評価とをまとめている。耐光性は、フェードメーター(キセノンランプ)を48時間照射後、照射前後での色差をハンター色差ΔEにて確認した数値である。また、ライン適正は、生産ラインで問題がなかったかどうかを示している。評価はそれぞれ記号◎(極めて良好)、○(良好)、△(やや不良)、×(不良)で表した。
これによれば、耐光性は、実施例4(ΔE=1.7、◎)が一番良好で、順に実施例3(ΔE=2.2、◎)、実施例2(ΔE=4.2、○)、実施例1(ΔE=4.9、○)、に対して、比較例の方は、比較例4(ΔE=2.6であるが、キセノンランプ照射のために、木目が消失したので、△)、比較例3(ΔE=5.2、△)、比較例2(ΔE=6.6、△)、比較例1(ΔE=8.8、×)であった。
また、ライン適正は、実施例1−4が、(問題なし、○)でであったのに対して、比較例の方は、比較例3(樹脂のためにプレーナー刃にかからず、×)、比較例1、2、4は、(問題なし、○)であった。
その結果、総合評価が、実施例3、4が最も良好で◎、次に、実施例1、2が良好でO、であったのに対して、比較例の方は、比較例2、4が、やや不良△、比較例1、3が、不良×であった。
以上説明したように、本実施形態の木材の耐光処理方法Sによれば、高圧水蒸気処理により水分が潤沢な状態で加熱処理するので、水分が少ない場合の加熱処理と異なって、より多く耐光性の高い重合性着色物を発生させ、耐光性の低い酸化着色物をより少なくすることができる。そのため、耐光性の持続効果に優れている。
また、木材表面に顔料などを塗布して木材表面を隠蔽しないので、木材2の質感を損なうことがない。
木材2が加熱されると、木材2の表面は、耐光性の低い酸化着色物が木材道管に集中的に析出して木目を強調するに至り、紫外線によって退色しやすくなる、そのため、光の当たったところは木目が飛んだような外観を呈することになりがちである。
しかし、副生成する耐光性の低い酸化着色物をその移行性を利用して表面析出させ、その後、表面析出した酸化着色物を除去するので、光が当っても、木目が飛んだような外観を呈することも少なくできる。
また、表面に析出した酸化着色物が、後の仕上げ加工時に刃物に絡みついたり、仕上げのためのサンダーが目詰まりしたりして製品の価値を落とすことも少ない。
このように、木材やその表面に紫外線吸収剤を添加した塗装を施す方法と比較して、耐光性の持続効果に優れている。
また、木材表面に顔料などを塗布して木材表面を隠蔽しないので、木材の質感を損なうことがない。
また、木材2の加熱温度が110℃〜170℃の範囲で、処理時間を10分以上としているので、十分に重合性着色物を生成させることができる。そのため木材2の耐光性を十分に高くすることができる。すなわち、温度が低かったり加熱時間が短かすぎると十分に重合性着色物を生成させることができないが、110℃以上の加熱で、処理時間が10分以上であるので、十分に重合性着色物を生成させることができる。また、加熱が行き過ぎると耐光性の低い酸化着色物が副生成し、表面に析出し、後の仕上げ加工で刃物に絡みついたり、仕上げのためのサンダーが目詰まりしたりして製品化が困難になるが、本発明では、木材2の処理温度が170℃以下であるので、加熱が行き過ぎることがない。そのため、表面に析出する酸化着色物が多すぎることがなく、後の加工で刃物に絡みついたり、サンダーが目詰まりしたりして製品化が困難になることをより少なくすることができる。
また、加熱が行き過ぎることがないので、木材2を炭化させることが少ない。そのため、焼杉のように耐光性が向上するが、炭化のために木材本来の質感が保てなくなるというようなことを少なくすることができる。
そして、酸化着色物の除去は、研磨により行うので、簡単に表面に析出する酸化着色物を除去をすることができる。
また、酸化着色物の除去を、木材2の表層面のスライス切除により行えば、木材2をスライスしてスライス単板を得るときには、外側のスライス単板だけを除去すればよい。そのため加工処理が簡単である。
このように、フリッチ材とフリッチ材から製造されるスライス単板の耐光性を持続させることができる。また、フリッチ材やスライス単板の質感を損なうことがない。
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
例えば、保持手段は、図示の台座3のような、構成に限定されない。図5は、保持手段としての金属カゴ25に木材2を拘束させる構成を示す説明図である。図5では、金属カゴ25の重量によって木材2の浮きを防止しながら木材2を水没させて冷却するように構成されている。図5の処理装置21において、金属カゴ25は、網カゴ25aとカゴ台25bとを備え、網カゴ25aの上部を開いて積層した複数の木材2を金属カゴ25内に隙間なく収納できるようになっている。このように、処理装置21においては、スペーサー7aを介して積層した複数の木材2を金属カゴ25に詰めて高圧蒸気処理するとともに、この金属カゴ25の重量によって木材2の浮きを防止しながら木材2を水没させて冷却するように構成されている。
なお、金属カゴ25は、高圧蒸気釜4の底面からレール6によって支持された状態で高圧蒸気釜24の内部で車輪27により移動して高圧蒸気釜24から出入りできるようになっている。
このように、木材2を拘止した状態に保持することができる構造であれば、種々の保持手段が採用可能である。
高圧蒸気釜4の材質もステンレスに限定されない。木材2の金属汚染を考えると、圧力容器はステンレスが好ましいが、その他の材料が採用可能である。
また、本実施形態では、木材2は、乾燥処理を施していない湿った含水率:33〜67%ドライベース(生材)のブナ材に限定されない。種々の木材が採用可能であるし、サイズも種々の設計変更が可能である。集成、スライス条件なども種々の設計変更が可能である。
また、木材2はフリッチ材と、スライス単板に適用したが、例えば、内装材、家具材等、その他の木材2にも適用可能である。
また、高圧水蒸気による熱処理は、110℃以上で、かつ170℃以下であることが好ましいが、処理温度130℃(処理圧力0.175MPa)以下の場合は、木材2の水没は、高圧蒸気処理の圧力より0.08MPa以上下がらない状態で圧力を保持することが好ましい。
また、水の加圧手段は特に限定しないが、高圧水タンクや高圧ポンプの使用が、好ましい。
さらに、木質感を損なわない範囲で従来の耐光性処理(例えば耐光性材料の塗布や紫外線吸収剤による処理)との併用が可能である。
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
2 木材
S 木材の耐光処理方法

Claims (2)

  1. スライス単板を製造するためのフリッチ材よりなる木材に高圧水蒸気による加熱処理を与えて、該木材に含有されている耐光性の高い重合性着色物を生成するとともに、そのとき生成する耐光性の低い酸化着色物を木材の表面に析出させ、その後、析出した酸化着色物を、前記木材の表層面をスライス切除することで除去することを特徴とする木材の耐光処理方法。
  2. 請求項1に記載の木材の耐光処理方法において、
    上記高圧水蒸気による加熱処理は、上記木材の加熱温度が110℃〜170℃の範囲で、処理時間を10分以上としていることを特徴とする木材の耐光処理方法。
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