本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。ここでは、本実施形態に係る撮像装置としてデジタル一眼レフカメラに適用した場合について説明する。
本実施形態に係るデジタル一眼レフカメラは、CMOSやCCD等の撮像素子で物体像(被写体像)を撮像するスチルカメラである。このデジタル一眼レフカメラには、撮像動作の開始を指示するためのレリーズ釦がカメラの外装筐体に設けられている。また、デジタル一眼レフカメラは、撮像モードとして、レリーズ釦を押し続けている間、撮像動作を繰り返す連続撮像モード(連写モード)を備えている。デジタル一眼レフカメラは、この連写モードが選択された状態でレリーズ釦が操作されている間、物体像観察用可動ミラーを撮像光路外に退避させ、物体像(被写体像)を電子画像に光電変換する撮像動作を繰り返し行うようになっている。また、このデジタル一眼レフカメラには、撮影者が記録画像の再生動作を入力するための再生釦と、再生釦に応答して記録画像を再生表示する外部表示器がカメラの外装筐体に設けられている。
図1は、本実施形態に係るデジタル一眼レフカメラ(以下、カメラという)50のハードウェア構成を示す図である。カメラ50は、カメラ全体の動作シーケンスを司るCPU141、照明ユニット101、撮影レンズ120、ファインダ装置130、可動ミラー124、焦点検出装置139、シャッタ126、撮像素子127及び内蔵プリンタ160を有する。ここで、撮像素子127は、CCDやCMOSイメージャ等であり、アスペクト比3:2の矩形の撮像部を有する。
また、カメラ50は、ズーム・ピント・防振駆動回路134、絞り駆動回路135、ミラー駆動回路136、AFセンサ駆動回路137、シャッタ駆動回路138、除塵機構駆動回路169及びプリンタ制御回路161を有する。ここで、プリンタ制御回路161は内蔵プリンタ160を制御するものである。
また、カメラ50は、撮像素子防振制御回路172、GPS回路162、無線通信回路163、デジタルテレビチューナ164、赤外線通信回路170、音声処理回路165及び画像改ざん検知用データ処理回路166を有する。撮像素子防振制御回路172は、撮像素子127の位置を動かして画像の振れを止めるものである。ここで、GPS回路162は、カメラの位置を計測するものである。カメラ50は、赤外線通信回路170を介して、携帯電話等の外部機器との間で比較的少ないデータ量の通信を行うことができる。音声処理回路165は、マイクやスピーカ等が含まれ、マイクから入力される音声を変換したり、スピーカから音声を出力したりする。
また、カメラ50は、スイッチ入力部142、EEPROM143、信号処理回路145、照明制御回路146、EPROM147、SDRAM148及びフラッシュメモリ150を有する。
撮影レンズ120は、複数のレンズ群121、167、123から構成されている。これらのレンズ群の間には、絞り機構122が設けられている。レンズ群121、167、123はズーム・ピント・防振駆動回路134によって駆動される。また、絞り機構(単に絞りという)122は絞り駆動回路135によって駆動される。
レンズ群121、167、123の後方には可動ミラー124が設けられている。可動ミラー124は、ハーフミラー及びその保持機構から構成され、第1の位置であるミラーダウンの位置と第2の位置であるミラーアップの位置との間で移動することができる。可動ミラー124は、露光時(撮像時)において、固定軸124aを中心に回転し、ミラーダウンの位置である第1の位置からフォーカシングスクリーン131側に向けて、ミラーアップの位置である第2の位置に跳ね上がることで、撮影光路から待避する。また、可動ミラー124の中央部分の背面には、凹面鏡で構成されたサブミラー125が図1に示すように下方に物体光を反射するように設けられている。
サブミラー125の反射光軸の下方には、2つのレンズで像分離を行う再結像光学系128が設けられている。また、再結像光学系128による物体像の結像位置には、AFセンサ129が設けられている。このAFセンサ129には、AFセンサ駆動回路137が接続されている。これらサブミラー125、再結像光学系128及びAFセンサ129によって、焦点検出装置139を構成している。焦点検出装置139は、公知の位相差検出方式によって、撮像素子127上の複数の位置において物体の結像状態を検出する。
ズーム・ピント・防振駆動回路134は、既知の電磁モータや超音波モータ等の駆動源、これらの駆動源を制御するドライバ回路、レンズの位置を検出するエンコーダ装置等から構成されている。ズーム・ピント・防振駆動回路134はレンズ群121、167、123の光軸方向の位置を制御することにより、ズーム制御及びピント制御を行う。また、ズーム・ピント・防振駆動回路134はレンズ群167を光軸と直交する方向の位置に制御することにより防振制御を行う。
可動ミラー124の反射光路上には、ファインダ光学系が設けられている。ファインダ光学系は、フォーカシングスクリーン131、光学ガラスからなるペンタプリズム132、接眼レンズ133等から構成されている。ファインダ装置130は、このファインダ光学系に、液晶表示器108、プリズム154、測光レンズ155、測光センサ156等を加えて構成されている。
撮影レンズ120のレンズ群121、167、123を透過した物体光(入射光)は、可動ミラー124で反射され、フォーカシングスクリーン131上に結像される。撮影者は、このフォーカシングスクリーン131に結像された光学物体像(光学像)を、ペンタプリズム132及び接眼レンズ133を介して、単一の接眼窓(表示部)168を通して視認することができる。光学像を視認する利点は、時間遅れが事実上無いことである。
測光センサ156は、測光レンズ155を介してフォーカシングスクリーン131上の物体像の明るさを測光するためのセンサである。測光センサ156は、ファインダ装置130内であって、接眼レンズ133の観察光軸から偏心した測光軸上の位置に測光レンズ155と共に設けられている。また、測光センサ156は、複数に分割された受光面を有するフォトダイオードで形成されている。CPU141は、測光センサ156のフォトダイオードから個々に出力された輝度出力に対し、焦点検出装置139によるフォーカシングスクリーン131上の測距位置に応じた演算を行う。CPU141は、この演算結果から露光制御を行うための物体輝度情報(BV値)を求める。
なお、マイクロプロセッサで構成されるCPU141には、データバス152を介して、ズーム・ピント・防振駆動回路134、絞り駆動回路135、ミラー駆動回路136、AFセンサ駆動回路137及び除塵機構駆動回路169が接続されている。また、CPU141には、データバス152を介して、シャッタ駆動回路138、プリンタ制御回路161、撮像素子防振制御回路172、GPS回路162、無線通信回路163、デジタルテレビチューナ164及び赤外線通信回路170が接続されている。さらに、CPU141には、データバス152を介して、音声処理回路165、画像改ざん検知用データ処理回路166、照明制御回路146、スイッチ入力部142及び不揮発性メモリであるEEPROM143が接続されている。
次に、可動ミラー124の後方には、シャッタ126、除塵機構173及び撮像素子127が設けられている。シャッタ126は、シャッタ駆動回路138によって駆動され、所定秒時開放することで、物体像を撮像素子127の受光面に導くものである。なお、物体像が撮像素子127の受光面に導かれるには、可動ミラー124がミラー駆動回路136により駆動され第2の位置に上昇して、撮影レンズ120の光軸上から退避する必要がある。さらに、上述したように、シャッタ126がシャッタ駆動回路138により駆動され、開状態になる必要がある。物体像が導かれ、撮像素子127の受光面に結像することで、撮像動作が行われる。このとき、撮像素子防振機構171が、撮像素子防振制御回路172により駆動され、接続された画像のブレを打ち消す方向に撮像素子127をシフト及び回転させることで、画像が流れて解像感が失われることを防いでいる。なお、撮像素子防振機構171は、ファインダ装置130への光路の分割位置よりも撮像素子127よりにあるので、撮影者は撮像素子127のシフトや回転による構図の変化をファインダ装置130により確認することができない。
除塵機構173は、光学ローパスフィルタや赤外線カットフィルタを機械的に振動させ、これらに付着した異物に加速度を与え、それによって発生する力で異物を振るい落とすものである。
スイッチ入力部142は、カメラの外装筐体に設けられたレリーズ釦(図示せず)の半押し操作に連動してオンになる第1レリーズスイッチ及び同レリーズ釦の深押し操作に連動してオンになる第2レリーズスイッチを有している。また、スイッチ入力部142は、カメラ50のパワースイッチに連動するスイッチ、外部表示器再生釦、液晶表示器再生釦及びカメラ50内の各種モード釦に連動するモードスイッチ等の複数のスイッチを有する。スイッチ入力部142は、ユーザによる何れかのスイッチ操作に基づく操作信号をCPU141に供給する。CPU141は、第1レリーズスイッチのオンを検出すると、AFセンサ駆動回路137を制御し、AFセンサ129上の2像間の距離を演算する。CPU141は、演算した距離データからズーム・ピント・防振駆動回路134を制御し、撮影レンズ120により焦点調整を行う。また、CPU141は、第2レリーズスイッチのオンを検出すると、ミラー駆動回路136を制御し、可動ミラー124を光軸上から第2の位置に退避させる。CPU141は、この退避制御と共に、測光センサ156の出力に基づく物体輝度情報に基づいて適正絞り値、シャッタ秒時及び撮像素子感度を求める。CPU141は、求めた絞り値で絞り駆動回路135を介して絞り機構122を駆動させる。CPU141は、求めたシャッタ秒時でシャッタ駆動回路138を介してシャッタ126を駆動させる。
EEPROM143は、不揮発性の半導体メモリである。EEPROM143には、生産工程において、個々のカメラのばらつきを抑えて出荷するために必要なカメラの固体毎の調整値が格納されている。また、EEPROM143には、測光センサ156からの出力により、CPU141がバックライト108bの光量を規定するためのBV値やバックライト光量の関係を示す係数等が格納されている。CPU141は、EEPROM143に格納されたBV値とバックライト光量との関係を示す係数を参照し、バックライト108bに供給する電流量を決定し、視認するに適切な光量値を取得する。
シャッタ126の開動作によって撮像素子127の受光面に結像された物体像は、アナログ画像信号に変換される。また、アナログ画像信号に変換された物体像は、信号処理回路145においてデジタル画像信号に変換される。この信号処理回路145は、その内部にRISCプロセッサ、カラープロセッサ、JPEGプロセッサを含んで構成されている。信号処理回路145は、デジタル画像信号の圧縮・伸張処理、ホワイトバランス処理、エッジ強調処理等の画像処理を行う。また、信号処理回路145は、液晶表示器108に出力されるコンポジット信号(輝度信号、色差信号)への変換処理等を行う。
CPU141及び信号処理回路145は、通信ライン153で接続されている。CPU141と信号処理回路145との間では、この通信ライン153を介して、画像信号の取り込みタイミング等の制御信号やデータの送受が行われる。また、信号処理回路145は、データバス151を介して、EPROM147、SDRAM(シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ)148及びフラッシュメモリ150に接続されている。
信号処理回路145で生成されたコンポジット信号は、ファインダ装置130内の液晶表示器108(第1の表示装置)に出力され、電子画像が表示される。この液晶表示器108は、ペンタプリズム132と接眼レンズ133の間に設けられている。液晶表示器108は、カラー画像を表示するための表示素子であるLCD(液晶表示素子)108a及びこのLCD108aの表示面を後方から照明するためのバックライト108bから構成されている。バックライト108bには、例えば白色LEDが用いられている。
ペンタプリズム132は、複数の反射面132aを有している。また、ペンタプリズム132には、反射面132aを延長した面154bを有し、ペンタプリズム132と同一の屈折率を有するプリズム154がインデックスマッチングを取った接着剤を用いて固着されている。液晶表示器108から発射された光線は、ペンタプリズム132に入射した後、プリズム154の内部で2回反射して、接眼レンズ133の方向へ導かれる(図2参照)。このとき、液晶表示器108のLCD108aの表示面は、プリズム154の面154aの曲率によって、フォーカシングスクリーン131と光学的に等価な位置となっている。そして、可動ミラー124が第1の位置にあるか第2の位置にあるかに拘わらず、撮影者はLCD108aに表示された電子画像を、接眼窓168を通して視認することができる。つまり、液晶表示器108に電子画像を表示している間、撮影者はフォーカシングスクリーン131に結像した光学像と液晶表示器108に表示された電子画像との両方を、同一のファインダで同時に視認できる状態(第2の状態)となる。なお、LCD108aに表示された画像の明るさは、バックライト108bである白色LEDの電流供給量を変化させることで、適切な明るさに調整される。
EPROM147には、信号処理回路145に含まれるプロセッサ(CPU)で処理されるプログラムが格納されている。SDRAM148は、画像処理前の画像データや画像処理中の画像データを一時的に記憶する揮発性のメモリである。フラッシュメモリ150は、最終的に確定された画像データを記憶する不揮発性のメモリである。SDRAM148は、画像データを記憶したり読み出したりする動作が高速であるものの、電源供給が停止されるとその記憶内容が消滅してしまう。一方、フラッシュメモリ150は、画像データを記憶したり読み出したりする動作が低速であるものの、カメラ50のパワースイッチがオフされても記憶内容が保存される。
照明ユニット101は、発光パネル103、反射傘118及びRGB各色の高輝度LED119を有している。高輝度LEDから発射された光は、直接又は反射傘118によって反射され、発光パネル103を通過して物体に向けて照射される。照明ユニット101は、カメラ50本体から取り外すことができる。取り外された照明ユニット101は、内蔵電池(図示せず)によって無線通信回路を駆動させることができる。即ち、照明ユニット101は、例えばUWB規格により無線通信回路163を介してカメラ50本体と通信することができ、カメラ50本体側から遠隔操作できるように構成されている。照明制御回路146は、CPU141の制御の下で、RGB各色の光量バランスを決定し、高輝度LED119へ発光指示を制御する。
カメラ50の外装筐体には、外部表示器201(第2の表示装置)が設けられている。撮影者によってスイッチ入力部142が有する外部表示器再生釦が押されると、フラッシュメモリ150に記憶された電子画像が読み出される。読み出された電子画像は、信号処理回路145で各種画像処理を行い、再生画像として外部表示器201に表示される。ここで、外部表示器201はカメラ50の外装筐体に設けられているため、撮影者が外部表示器201に表示された再生画像を視認するには、ファインダ装置130から目を離す必要がある。そのため、外部表示器再生釦が押されて外部表示器201に再生画像を表示しているとき、撮影者はフォーカシングスクリーン131上に結像した物体像と液晶表示器108に表示された電子画像との何れも観察することはできない。即ち、外部表示器201に再生画像を表示している間は、撮影者は電子画像しか観察できない状態となる。そこで、外部表示器201に再生画像を表示している間は、液晶表示器108による電子画像表示は中断するようにしてもよい。このように、液晶表示器108による電子画像表示は中断することで、電池の消耗を軽減することができる。
本実施形態のカメラ50では、上述したように撮影者が同一のファインダ装置130でフォーカシングスクリーン131に結像した光学像と、液晶表示器108に表示された電子画像との両方を視認することができる(第1の状態)。さらに、本実施形態のカメラ50では、撮影者が外装筐体に設けられた外部表示器201において、外部表示器201に表示された電子画像のみを視認することができる(第2の状態)。このように、本実施形態のカメラ50では、撮影者は少なくとも上述した2つの表示形態により電子画像等を視認することができる。
図2はファインダ装置130の構成を示す断面図である。また、図3は図2の矢印A方向から視たファインダ装置130の構成を示す側面図である。ファインダ装置130は、図1に示す可動ミラー124で反射・分岐した光路上において、フォーカシングスクリーン131、コンデンサレンズ180及びペンタプリズム132を有している。撮影レンズ120のレンズ群121、167、123を透過して、フォーカシングスクリーン131上に結像した物体光は、コンデンサレンズ180を透過して、ペンタプリズム132に入射される。ペンタプリズム132に入射された物体光は、ペンタプリズム132の反射面132a等に反射された後、面132bからアイカップ186で囲まれた接眼窓168の方向へ射出する。このとき、物体光は、ダイクロミラー182を透過し、3つのレンズ133a、133b、133cで構成される接眼レンズ133を介して、接眼窓168を覗く撮影者の目に到達し、その網膜上で再結像する。
ダイクロミラー182は、有機EL表示素子185から発射されミラー184と視度合わせレンズ183とを透過した光を接眼窓168方向に反射する。ここで、フォーカシングスクリーン131上には、視野マスク179が設けられている。視野マスク179には、撮像素子127で撮像される物体像範囲を示す矩形開口を有している。接眼窓168を覗く撮影者は、有機EL表示素子185に示された焦点検出装置139の測距点位置情報197(図7参照)を視野マスク179中の物体像と重ねて見ることができる。
図4は液晶表示器108のLCD108aの画面を示す図である。液晶表示器108のLCD108aは、4:3のアスペクト比を有するカラーの表示範囲108cを有している。この表示範囲108cは、撮像素子127と同じ3:2のアスペクト比を有するLCD表示領域108dと扁平横長のLCD表示領域108eとをそれぞれファインダ視野内の電子画像表示に有している。LCD表示領域108dには、電子画像が表示される。またLCD表示領域108eには、文字列やアイコンが表示される。
次に、LCD108aのLCD表示領域108dに表示された電子画像、即ちLCD108aのLCD表示領域108dから発射された光線193は、図2に示すように、ペンタプリズム132の面132bからペンタプリズム132内に入射する。ペンタプリズム132内に入射した光線は図2に示す光線192である。ペンタプリズム132の面132bによって屈折し、方向が変化した光線192は、次に、銀蒸着された面132aに入射する。光線192はここで反射し、ペンタプリズム132に接着により固着されたプリズム154に入射する。光線192は、銀蒸着された面154aで再び反射し、さらにペンタプリズム132の面132aと連続するプリズム154の銀蒸着された面154bに戻ってさらに反射する。そして、反射した光線192は、ペンタプリズム132の面132bから接眼窓168の方向へ射出する。
このように、プリズム154内において反射光路を構成することにより、接眼レンズ133からLCD表示領域108dまでの光路長が、接眼レンズ133からフォーカシングスクリーン131までの光路長に近くなる。従って、LCD表示領域108dの視度とフォーカシングスクリーン131の視度とがほぼ合致する。
さらに、プリズム154の面154aに曲率を付与することで、LCD表示領域108dの視度とフォーカシングスクリーン131の視度とをより正確に合わせることができる。なお、プリズム154の面154aが平面であっても、もともと両者の視度が近くなっているので、面154aの曲率はごく弱いものでよい。また、面154aの反射光路は偏芯系となるものの、光学諸収差の劣化は無視できる程度である。
図5はペンタプリズム132への光線の入射状態を示す図である。LCD108aのLCD表示領域108dから発射された光線193のうち、緑色の光線193gは、ペンタプリズム132の面132bに対して角θ1で斜めに入射し、空気とガラスの界面で屈折し、角θ2でペンタプリズム132の内部を進む。ここで、ガラスの屈折率の色分散により、光の波長に応じて角θ1と角θ2との関係は異なるので、このままではLCD表示領域108dが電子画像として表示された場合、上下方向の色滲みが発生し、解像感の悪い画像となってしまう。そこで、LCD表示領域108dに表示される電子画像は、予めRGBの画像を色分散によって発生する位置ズレ量だけシフトさせている。
図6はLCD表示領域108dに表示される電子画像の位置ズレ状態を示す図である。LCD表示領域108dには、赤色の電子画像194r、緑色の電子画像194g及び青色の電子画像194bが、上下方向に位置が異なって表示されている。この結果、赤色の電子画像194r、緑色の電子画像194g及び青色の電子画像194bの対応する位置から発射された光線193r、193g及び193bは、図5に示すように、ペンタプリズム132の内部で1本の光線192として進行する。そして、最終的に色滲みがほとんど解消された状態で、光線192は撮影者の目まで到達する。
また、LCD108aの表示領域108eから発射された光線194(図2参照)は、導光プリズム181を経てペンタプリズム132の底面からペンタプリズム132に入射し、物体光と同じようにペンタプリズム132内を反射して面132bから射出される。
図7はファインダ視野内の表示を示す図である。ファインダ視野内の表示は、第1表示領域191、第2表示領域190d、第3表示領域190e及び測距点位置情報197から構成されている。第1表示領域191は、視野マスク179の開口によって規定された物体の光学像を示す。第2表示領域190dは、第1表示領域191の上方にあって、LCD108aのLCD表示領域108dに基づく電子画像による情報表示を行う。第3表示領域190eは、第1表示領域191の下方にあって、LCD108aのLCD表示領域108eに基づく文字列やアイコンによる情報表示を行う。測距点位置情報197は、第1表示領域191の内部にあり、有機EL表示素子185によって示される。このとき、第2表示領域190d、第3表示領域190e及び測距点位置情報197の表示輝度は、何れも測光センサ156及び測光レンズ155からなる測光装置の出力に基づき、撮影者が視認するに適切な値に制御される。
図7の第2表示領域190dに表示される電子画像は、情報表示の1つとして、前回撮影された画像である。図7の第2表示領域190dに表示される電子画像には、光学ローパスフィルタ上に付着した異物が写り込んでしまったことによって、撮影者は黒点195が存在したことが判断できる。また、撮像素子防振機構171が作動したことによって、撮影者は被写体の上方が欠けた意図しない構図の物体像になったことが判断できる。さらには、画像がブレていないこと、ピントが物体に合っていること等が判断できる。
さらに、画像の属性に対応した所定のマークを画像と同時に表示することによって、その画像に付加された情報を表すことができる。例えば、図7に示したダイヤ形のマーク196は、画像改ざん検知用データ処理回路166によって、前回撮影した画像に対し、適切に画像改ざん検知用データが付加されたことを示している。また、他のカメラで撮影された画像を表示した場合には、改ざん検知判定結果を他のマークで示してもよい。
なお、本実施形態では、液晶表示器108を用いたが、この代わりに有機EL表示器を用いてもよい。この場合、バックライト108bは不要となる。
図8は、撮像素子127上に設けられた色分解用カラーフィルタの構成を示す図である。カラーフィルタはRGBの各色フィルタ要素が1画素毎に規則的に配列された構成を有している。具体的には図8に示すように、横方向に緑信号(G)及び青信号(B)が交互に配列された第1ラインと、赤信号(R)及び緑信号(G)が交互に配列された第2ラインと、が交互に配列され、単位印刷情報が形成されている。本実施形態では、3896ピクセル×2595ピクセルの有効画素が得られるように構成するため、色分解用カラーフィルタを使用することにより足りない部分の色データは補間処理を用いて、各有効画素分の24ビットRGBデータ(各8ビット)を作成する。また、本実施形態では、モザイクカラーフィルタを用いた場合について説明したが、補間処理の必要のない3CCD構成によるカラーフィルタを用いてもよく、カラーフィルタとしてCMY(補色)系を用いてもよい。
次に、電子画像のみ表示する場合のホワイトバランスの補正方法について説明する。ここで、人間の視覚系は明るさや色に対する恒常性を有するため、照明光源が変化しても色の見え方に大きな変化は与えない色順応特性をもっている。この色順応を定量化し、ホワイトバランスに、その比率を反映させることで、人間の見た目の色を標準観察環境下において再現することができる。ここで言う標準観察環境下とは、sRGB色空間において規定している発行体色のD65光源(x=0.3127,y=0.3291)の基準白を想定している。ただし、標準観察環境下はこの場合に限られず、異なる基準白であってもよい。
図9(a)は電子画像のみを表示する場合のホワイトバランス処理を行うホワイトバランス補正装置214の構成を含むブロック図である。図9(a)では、撮像素子127、輝度信号色度信号生成回路202、ホワイトバランス補正装置214、色差信号生成回路205が示されている。また、ホワイトバランス補正装置214は、ゲイン制御回路203,204、ゲート回路207,208、(R−B)信号検出回路209、平均化回路210、比較増幅器211、リミット回路212、トラッキング補正回路213を含んで構成されている。
次に、ホワイトバランス補正装置214の処理動作について説明する。まず、撮像素子127に入射された光信号は、光電変換され、輝度信号色度信号生成回路202に入力される。光電変換され入力された光信号に対して、輝度信号色度信号生成回路202は、輝度信号の高周波成分YH、輝度信号の低周波成分YL、赤色信号(R)及び青色信号(B)を出力する。これらの信号のうち、赤色信号(R)及び青色信号(B)は、それぞれ各色のゲイン制御回路203,204に入力される。ゲイン制御回路203、204は、トラッキング補正回路213からの制御信号によって制御された特性に従って、それぞれ増幅した後、色信号R′、色信号B′として出力する。次に、色信号R′及び色信号B′は、輝度信号YLと共に色差信号生成回路205に入力される。色差信号生成回路205は、入力された色信号R′、色信号B′及び輝度信号YLに基づいて、色差信号(R−YL)、(B−YL)を生成する。この色差信号(R−YL)、(B−YL)は、輝度信号YHと共に、以降の画像処理回路に出力される。
ここで色差信号(R−YL)、(B−YL)は、ホワイトバランス補正装置214にも入力される。即ち、色差信号(R−YL)、(B−YL)はそれぞれゲート回路207、208に入力される。ゲート回路207、208は、ブランキング期間内の不要信号、高輝度撮影時の信号つぶれによる異常色差信号等を取り除く。次に、ゲート回路207、208から出力された信号は(R−B)信号検出回路209に入力される。(R−B)信号検出回路209は、ゲート回路207から出力された色差信号(R−YL)と、ゲート回路208から出力された色差信号(B−YL)との差をとることにより、(R−B)信号を生成する。次に、平均化回路210は、(R−B)信号検出回路209から出力された(R−B)信号を平均化し、直流信号に変換する。比較増幅器211は、平均化回路210から出力された出力信号レベルと基準電圧Vref1とを比較して、それに応じた出力信号を出力し、この出力信号をリミット回路212に入力する。次に、リミット回路212は、比較増幅器211からの出力信号のレベルを、実用的な色温度範囲(例えば2000K〜10000K)でホワイトバランスが制御されるように、色温度の上限、下限に対応してそれぞれV2r、V3rに設定する。即ち、リミット回路212からの出力信号のレベルは、V2r以上、V3r以下になる。
次に、リミット回路212からの出力信号はトラッキング補正回路213に入力される。トラッキング補正回路213は、リミット回路212からの出力信号に基づき、ゲイン制御回路203、204のゲインをホワイトバランスが補正されるような信号を生成する。より具体的には、トラッキング補正回路213は、被写体の(R−B)信号成分がほぼ0になるように制御するための信号Rcont,Bcontを生成し、それぞれゲイン制御回路203,204に出力する。このように、電子画像のみを表示する場合、電子画像中の無彩色部における色信号の赤色成分と青色成分とが等しくなるように各色信号のゲインを制御することによりホワイトバランス処理が行われる。
ここで、図10及び図11を用いて、Rcont及びBcontと色温度との関係の一例について説明する。図10のベクトル図に示すように、色温度6000Kの白色の点をP1とし、2000Kの白色の点をP2とし、10000Kの白色の点をP3とする。図11に示すように、P1に対応するRcont、Bcontの電圧をそれぞれV1r、V1bとする。この場合、P2を図10のベクトル図の中心へ制御(補正)するためのRcont、Bcontの電圧は、図11のV2r、V2bとなる。同様に、P3を図10のベクトル図の中心へ制御するためのRcont、Bcontの電圧は、図11のV3r、V3bとなる。
また、図10に示す点P4は、Rcont、Bcontの値がV3r,V3bまでで制限されているため、ホワイトバランス補正装置214が動作しても図10のベクトル図の中心P1までには補正されない。以上のように、ホワイトバランス補正装置214の負帰還ループが構成されているため、実用的な色温度範囲内ではホワイトバランスのとれた色差信号を得ることができる。本発明のホワイトバランス処理とは、このような被写体の(R−B)信号成分に応じて、RBのゲインを制御する一連の処理のことである。
図12は薄暗い室内で撮影したシーン(A)の補正前ヒストグラムを示す図である。図12(a)は輝度分布を示すヒストグラムである。図12(b)(c)(d)は、それぞれR信号、G信号、B信号の濃度分布を示すヒストグラムである。図12に示すように、シーン(A)の画像は、R信号及びB信号共に同じような分布であり、色差がないものである。図12に示すシーン(A)の画像に対して、上述したホワイトバランス補正装置214により補正する。図13は薄暗い室内で撮影したシーン(A)の補正後ヒストグラムを示す図である。図13に示すように、輝度、R信号、G信号、B信号のそれぞれが同じように明るくなるように補正されている。
図14は日没1時間前の夕焼けで撮影したシーン(B)の補正前ヒストグラムを示す図である。図14に示すように、シーン(B)の画像は、R信号が突出しているものである。図14に示すシーン(B)の画像に対して上述したホワイトバランス補正装置214により補正する。図15は日没1時間前の夕焼けで撮影したシーン(B)の補正後ヒストグラムを示す図である。図15に示すように、R信号がG信号及びB信号との比率差が減り、加えて輝度が明るくなるように補正されている。
次に、図16(a)〜(d)を参照して、人間の視覚系の色順応特性について説明する。例えば、光源の分光特性が、図16(a)に示すような場合を想定する。図16(a)に示す光源の分光特性は、各波長成分の強度がほぼ等しく、フラットな特性を有している。図16(b)は、この光源に照らされている無彩色被写体からの光の分光特性を示す図である。図16(b)に示す無彩色被写体からの光の分光特性は、光源の分光特性と同様にフラットな分布となる。このような光源下では、RGB光に対する人間の目の感度はほぼ等しく、図16(c)に示すように、フラットな感度バランスとなる。ここで、図16(c)に示すRGB光に対する感度分布は、人間の目が無彩色被写体を無彩色として認識することを説明するために模式的に描いたRGB感度分布であり、人間の目の分光感度分布とは異なる。図16(c)に示すように、RGB感度分布はフラットな感度バランスとなるため、人間の目が認識する被写体の色味も、図16(d)に示すように、フラットな分布となる。これにより、人間は被写体が無彩色であると認識する。
次に、光源の分光特性が、図17(a)に示すような場合を想定する。図17(a)に示す光源の分光特性は、長波長側にいくほど強度が強くなっている。図17(a)に示す光源の分光特性によれば、色味としては少し赤味がかったものになる。図17(b)は、この光源に照らされている無彩色被写体からの光の分光特性を示す図である。図17(b)に示す無彩色被写体からの光の分光特性は、光源の特性の影響で、長波長成分を多く含む分布となる。このような光源下でも人間の視覚系は白色の見え方が一定となるようにするために、RGB光に対する人間の目の感度は、図17(c)に示すように、光源の分光強度に対して逆数の関係となるように分布する。従って、図17(c)に示すように、RGB感度分布は、RからBにいくにつれて強くなるような、傾きをもった感度バランスとなる。そのため、被写体の分光特性は長波長側にいくほど強くなるのに対して、人間の目の感度は長波長側にいくほど弱くなっており、両方で打ち消しあうことで、人間の目が認識する色味としては、図17(d)に示すように、色によらずフラットな分布となる。上述した人間の視覚系の色順応特性により、人間の視覚系は、どのような光源下においても、白いものは同じように白く見えるように、感度バランスを調整している。
一方、本実施形態のカメラ50のように、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認できる場合、大部分の表示を占める光学像に対して、人間の目は色順応性を働かせる。そのため、人間の目は、標準観察環境下において忠実な色再現をするようにホワイトバランス処理を行った電子画像に対して正しい色で認識しない。
次に、図18(a)〜図18(d)を参照して、光学像に対して色順応性を働かせた人間の目が、電子画像を正しい色で認識しないメカニズムについて説明する。例えば、光源の分光特性が、図18(a)に示すような場合を想定する。図18(a)に示す光源の分光特性は、長波長側にいくほど強度が強くなっており、色味としては少し赤味がかったものになる。このような光源で照明された無彩色被写体を電子画像として表示する場合、その電子画像は標準観察環境下で無彩色となるようにホワイトバランス処理が行われるため、電子画像の分光特性は、図18(b)に示すようにフラットなものとなる。
一方、人間の目は、図18(a)に示すような少し赤味がかった光源下でも白色の見え方が一定となるようにするために、RGB光に対する人間の目の感度は、図18(c)に示すように、光源の分光強度に対して逆数の関係となるように分布する。従って、図18(c)に示すように、RGB感度分布は、RからBにいくにつれて強くなるような、傾きをもった感度バランスとなる。そのため、電子画像の分光特性はフラットなのに対して、人間の目の感度は長波長側にいくほど弱くなっており、人間の目が認識する色味としては、図18(d)に示すように、青味がかった色となってしまう。それに対して、人間の目は光学像に対しては、上述した色順応特性により、光源が少し赤味がかったものであっても、無彩色のものは無彩色として認識してしまう。上述したような仕組みにより、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能な場合、撮影者は、両者の色味の違いを認識してしまう。
そこで本実施形態のカメラ50では、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能な場合に、電子画像のみ視認可能なときとは異なるホワイトバランス処理を行う。即ち、電子画像のみ視認可能なときには、カメラ50は標準観察環境下で正しい色再現が実現できるようにホワイトバランスを行う。それに対して、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能なときには、カメラ50は被写体を照明している光源において、正しい色再現が実現できるようにホワイトバランス処理を行う。
次に、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能な場合のホワイトバランスの補正方法について説明する。上述したように人間の視覚系は、明るさや色に対する恒常性を有するため、人間の視覚系は照明光源が変化しても色の見え方に大きな変化は与えない色順応特性をもっている。この色順応を定量化し、ホワイトバランスに、その比率を反映させることで、人間の見た目の色を標準観察環境下において再現することができる。さらに、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能な場合には、その比率を、被写体を照明している光源の分光特性に応じて調整することで、光学像に対して色順応特性を働かせた人間の目にも、正しい色再現が可能となる。
図9(b)は、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能な場合のホワイトバランス補正処理の画像処理を行うホワイトバランス補正装置214の構成を含むブロック図である。図9(b)では、撮像素子127、輝度信号色度信号生成回路202、ホワイトバランス補正装置214、色差信号生成回路205が示されている。また、ホワイトバランス補正装置214は、ゲイン制御回路203,204を含んで構成されている。
次に、ホワイトバランス補正装置214の処理動作について説明する。まず、撮像素子127に入射された光信号は、光電変換され、輝度信号色度信号生成回路202に入力される。光電変換され入力された光信号に対して、輝度信号色度信号生成回路202は、輝度信号の高周波成分YH、輝度信号の低周波成分YL、赤色信号(R)及び青色信号(B)を出力する。これらの信号のうち、赤色信号(R)及び青色信号(B)は、それぞれ各色のゲイン制御回路203,204に入力される。ゲイン制御回路203、204は、それぞれ増幅した後、色信号R′,色信号B′として出力する。次に、色信号R′及び色信号B′は、輝度信号YLと共に色差信号生成回路205に入力される。色差信号生成回路205は、入力された色信号R′、色信号B′及び輝度信号YLに基づいて、色差信号(R−YL)、(B−YL)を生成する。この色差信号(R−YL)、(B−YL)は輝度信号YHと共に、以降の画像処理回路に出力される。
電子画像のみ視認可能な場合には、ホワイトバランス補正装置214は、被写体の(R−B)信号成分がほぼ0になるように、ゲイン制御回路203,204を制御していた。それに対して、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能な場合には、それとは異なる制御を行う。より具体的には、例えばホワイトバランス補正装置214がゲイン制御回路203、204において、ほぼ等しくゲイン値をかけることで、増幅後の色信号R′,色信号B′に、光源の特性を残すようにすればよい。ホワイトバランス補正装置214が、このような赤と青とに対するゲイン制御を行ってホワイトバランス処理をすることにより、ホワイトバランス処理後の電子画像に光源の色特性を残すことができる。即ち、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能な場合であっても、光源の色特性を残すような画像処理を行うことで、光学像に対して色順応特性を働かせた人間の目でも、正しい色再現が行うことができる。このように、光学像と電子画像とを同時に表示する場合の電子画像に対しては、例えば、電子画像中の色信号の赤色成分と青色成分とに、等しいゲインをかけることによりホワイトバランス処理が行われる。
次に、図19(a)〜図19(d)を参照して、光学像に対して色順応性を働かせた人間の目が電子画像を正しい色で認識するメカニズムについて説明する。ここでは、ホワイトバランス補正装置214は、上述のようにD65光源の輝度240相当時との色差にある係数をかけたものでホワイトバランス処理を行う。光源の分光特性が、図19(a)に示すように、長波長側にいくほど強度が強くなっている場合を想定する。このような光源で照明された無彩色被写体を、D65光源の輝度240相当時との色差にある係数をかけたものでホワイトバランス処理を行った電子画像として表示した場合、電子画像の分光特性は図19(b)に示すように、光源の分光特性を残したものとなる。一方、人間の目は、図19(a)に示すような長波長側にいくほど強度が強くなっている光源下でも、白色の見え方が一定になるように、RGB光に対する人間の目の感度は、図19(c)に示すように、光源の分光強度に対して逆数の関係となるように分布する。従って、図19(c)に示すように、RGB感度分布は、RからBにいくにつれて強くなるような、傾きをもった感度バランスとなる。そのため、被写体の分光特性は長波長側にいくほど強くなるのに対して、人間の目の感度は長波長側にいくほど弱くなっており、両方で打ち消しあうことで、人間の目が認識する色味としては、図19(d)に示すように、色によらずフラットな分布となる。上述したような仕組みにより、光学像に対して色順応性を働かせた人間の目であっても、電子画像を正しい色で認識することができる。
次に、図1のような構成を有するカメラ50におけるCPU141の動作シーケンスについて説明する。図20は、カメラ50のメインフローチャートを示す図である。また、図21は、スイッチ入力部142のレリーズ釦を半押し操作(第1レリーズオン操作)した後に実行される撮像動作手順を示すフローチャートである。図21の撮影動作フローチャートは、図20のメインフローチャート内にて呼び出されるサブルーチンである。
まず、CPU141は、スイッチ入力部142が有するメインスイッチ(パワースイッチ)がオンになっているか否かを判定する(ステップS100)。メインスイッチがオンの場合には、CPU141は、カメラ50の電気回路を駆動させて、撮影準備状態にする(ステップS101)。メインスイッチがオンでない場合には、CPU141は、さらにメインスイッチがオンになっているか否かを判定する。
次に、CPU141は、第1レリーズスイッチがオンされたか否かを判定する(ステップS102)。第1レリーズスイッチがオンされた場合には、CPU141はステップS200に処理を進め、撮影動作サブルーチンを実行し、撮影動作に入る。一方、第1レリーズスイッチがオンされていない場合には、CPU141は、スイッチ入力部142が有する外部表示器再生釦がオンされたか否かを判定する(ステップS103)。
外部表示器再生釦のオンを検出すると、CPU141は、ステップS104に処理を進め、フラッシュメモリ150に記憶された画像を読み出し、信号処理回路145で各種画像処理を行い、再生画像として外部表示器201に表示する。なお、外部表示器201は、カメラ50の外装筐体に設けられているため、撮影者が外部表示器201に表示された再生画像を視認するには、ファインダ装置130から目を離す必要がある。そのため、CPU141が、外部表示器再生釦の押下を検出し外部表示器201に再生画像を表示しているときには、撮影者はフォーカシングスクリーン131上に結像した物体像も、液晶表示器108に表示された電子画像も、視認することはできない。即ち、外部表示器201に再生画像が表示されている間は、撮影者は電子画像しか視認できない状態となる。
ここで、ステップS104のように、撮影者が電子画像のみ視認可能なときには、CPU141は、標準観察環境下において良好な色再現となるようなホワイトバランス処理を行った電子画像を表示する。これにより撮影者は電子画像のみを観察した場合に、正しい色味の電子画像を視認することができる。
ステップS103において、外部表示器再生釦が押されなかったと判定された場合には、CPU141は、ステップS105に処理を進め、スイッチ入力部142が有する液晶表示器再生釦がオンされたか否かを判定する。液晶表示器再生釦がオンされたと判定された場合には、CPU141はミラー駆動回路136を介して可動ミラー124を第1の位置から第2の位置である撮像光路外に退避させる(ステップS106)。ミラーアップが完了したら、CPU141はフラッシュメモリ150に記憶された画像を読み出し、信号処理回路145で各種画像処理を行い、再生画像として液晶表示器108に表示する(ステップ107)。
ステップS107において、液晶表示器108に再生画像を表示しているときは、ミラーアップしているので、ファインダ装置130には被写体光束が到達しないため、光学像は表示されていない。そのため、ミラーアップした状態で液晶表示器108に再生画像を表示している間は、撮影者は電子画像しか視認することができない状態となる。
ここで、ステップS107のように、撮影者が電子画像のみ視認可能なときには、CPU141は、標準観察環境下において良好な色再現となるようなホワイトバランス処理を行った電子画像を表示する。これにより撮影者は電子画像のみを観察した場合に、正しい色味の電子画像を視認することができる。
ステップS200の撮影動作サブルーチンが終了した場合及びステップS104において記録画像を外部表示器201に表示が終了した場合、CPU141は、ステップS100に処理を戻す。また、ステップ105において液晶表示器再生釦がオンされていないと判定された場合及びステップ107において記録画像を液晶表示器108に表示が完了した場合にも、CPU141は、ステップS100に処理を戻す。
次に、ステップS200の撮影動作サブルーチンについて図21のフローチャートを参照して説明する。まず、CPU141は、測光レンズ155を介して測光センサ156を駆動させ、測光を行う(ステップS201)。また、CPU141は、測光センサ156からの出力を用いて物体の輝度を測定する(ステップS201)。また、CPU141は、測定した輝度の輝度情報から露光量(絞り機構122の絞り込み量、シャッタ126のシャッタスピード及び撮像素子感度)を所定の演算プログラムに従って演算する。
次に、CPU141は、フラッシュメモリ150に前回記憶した電子画像(デジタル画像信号)を読み出す。CPU141は、ファインダ装置130の第2表示領域190dに読み出した電子画像を表示するように指示する制御信号を、信号処理回路145に送出する(ステップS202)。信号処理回路145は、この制御信号を受けると、上記電子画像を一時的にSDRAM148に格納すると共に、この電子画像をコンポジット信号に変換する処理を行う。信号処理回路145は、このコンポジット信号を液晶表示器108に供給し、液晶表示器108のLCD108aに電子画像を表示する。この結果、ファインダ装置130の第2表示領域190dには、前回撮像された電子画像が表示される。なお、既に電子画像が表示されている場合、信号処理回路145は、そのまま表示を継続する。
CPU141は、バックライト108bを構成する白色LEDへの電流供給量を変更することで、バックライト108bの光量を調整する。CPU141は、撮像前に測光した物体輝度(輝度情報)に基づき、撮影者がLCD108aに表示された電子画像を視認するのに適切な光量で照明する。液晶表示器108によって表示される電子画像はファインダ内に表示されるため、撮影者は、液晶表示器108による電子画像とフォーカシングスクリーン131に結像した光学象とを同時に視認可能な状態となる。
本実施形態のカメラ50は、電子画像と光学像とが同時に視認可能なときには、被写体を照明する光源下において良好な色再現となるようなホワイトバランス処理を行った電子画像を表示する。即ち、カメラ50は、外部表示器201に表示するときとは異なるホワイトバランス処理を行った画像を表示する。これにより、撮影者は光学像の照明光源に順応したときであっても、正しい色味の電子画像として認識することができる。
次に、CPU141は、AFセンサ駆動回路137を介してAFセンサ129を駆動し、撮影レンズ120のデフォーカス量(測距値)を測定する(ステップS203)。さらに、CPU141は、この測距値に基づき、レンズ群121、167、123の合焦動作を行う。次に、CPU141は、撮影者によってレリーズ釦が深押しされているか否か、即ち、スイッチ入力部142に接続された第2レリーズスイッチがオンになっているか否かを判定する(ステップS204)。第2レリーズスイッチがオンになっていない場合、CPU141は、撮影者によってレリーズ釦が半押しされているか否か、即ち、第1レリーズスイッチがオンになっているか否かを判定する(ステップS216)。第1レリーズスイッチがオンになっている場合、CPU141は、レリーズ釦が半押しされている状態であると判断し、ステップS201に処理を戻す。一方、第1レリーズスイッチがオンになっていない場合、撮影者がレリーズ釦から指を離したと判断できるので、CPU141は、そのまま図20に示すメインフローチャートで示されるメインルーチンに処理を戻す。
一方、ステップS204において、第2レリーズスイッチがオンになっている場合、CPU141は、レリーズ釦が深押しされていると判断する。そして、CPU141は、ミラー駆動回路136を介して可動ミラー124を第1の位置から第2の位置である撮像光路外に退避させる(ステップS205)。CPU141は、ステップS205でミラーアップを行った後、ステップS201で演算された絞り込み量に基づき、絞り駆動回路135を介して絞り機構122の絞り込み動作を行う(ステップS206)。
次に、CPU141は、撮像開始を指示する信号を信号処理回路145に送出する(ステップS207)。信号処理回路145は、この信号を受けると、撮像素子127の電荷蓄積動作を開始させる。CPU141は、ステップS201で演算されたシャッタスピードに基づき、シャッタ126を開閉する(ステップS208)。
CPU141は、シャッタ126を閉成した後、信号処理回路145に撮像停止を指示する信号を送出する(ステップS209)。信号処理回路145は、この信号を受けると、撮像素子127での電荷蓄積動作を終了させる。さらに、信号処理回路145は、撮像素子127から画像信号を読み出してアナログデジタル(A/D)変換を行い、デジタル画像信号に変換する処、及びこれに付随する画像処理を実行する。
CPU141は、上記デジタル画像信号の格納及び表示を指示する制御信号を信号処理回路145に送出する(ステップS210)。信号処理回路145は、この信号を受けると、上記デジタル画像信号を一時的にSDRAM148の連写データ蓄積領域に順番に格納すると共に、同データをコンポジット信号に変換する処理を行う。信号処理回路145は、このコンポジット信号を液晶表示器108に供給し、液晶表示器108のLCD108aに撮像された電子画像を表示する。この結果、ファインダ装置130の第2表示領域190dには、電子画像が表示される。このとき、CPU141は、バックライト108bを構成する白色LEDへの電流供給量を変更することで、バックライト108bの光量を調整する。CPU141は、撮像前に測光した物体輝度に基づき、撮影者がLCD108aに表示された電子画像を視認するのに適切な光量で照明する。
ここで、液晶表示器108に表示された電子画像は、フォーカシングスクリーン131に結像した光学像に近接表示されているので、撮影者はファインダ装置130を通して両方を同時に視認することが可能である。上述したように、人間の視覚系は、被写体を照明している光源に対して色順応してしまうため、標準観察環境下で正しい色再現が実現できるようにホワイトバランス処理が行われた電子画像を、色味が違うと感じてしまう恐れがある。従って、本実施形態のカメラ50は、光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能な場合には、電子画像のみ視認可能なときとは異なるホワイトバランス処理を行う。より具体的には、カメラ50は光学像と電子画像とが同一ファインダで同時に視認可能な場合には、被写体を照明している光源において、正しい色再現が実現できるようにホワイトバランス処理を行う。
次に、CPU141は、絞り駆動回路135を介して絞り機構122を絞り込み状態から開放状態に戻す(ステップS211)。CPU141は、ミラー駆動回路136を介して可動ミラー124を第2の位置から第1の位置である撮像光路内に復帰(ミラーダウン)させる(ステップS212)。
CPU141は、第2レリーズスイッチがオンであるか否かを判定する(ステップS213)。第2レリーズスイッチがオンである場合、CPU141は、ステップS201の処理に戻り、第2レリーズスイッチがオフになるまでステップS201からステップS212までの処理を繰り返す。つまり、この時点で第2レリーズスイッチがオフでない場合、CPU141は、連写を継続する。従って、ファインダ装置130には、直前に撮像された電子画像が動画のように順次表示されることになる。
一方、ステップS213において第2レリーズスイッチがオンでない場合、CPU141は撮影者が連写を終了させようとしていると判断する。この場合、CPU141は、SDRAM148に一時的に記憶されている連写画像をフラッシュメモリ150の所定の記憶領域に記憶するように、信号処理回路145に指示する(ステップS214)。信号処理回路145は記憶を始めると、撮影した電子画像を撮影者に確認させるために、直前に撮影した画像を、所定時間自動的に外部表示器201に表示する(ステップS215)。この後、CPU141は、メインルーチンに処理を戻す。
ここで、ステップS215における撮影画像の外部表示器201への表示は、通常、レックビューと称される機能であり、撮影した画像が撮影者の意図通りのものであるかを確認するために、撮影した直後に所定時間自動的に表示されるものである。レックビュー時に撮影者は、外部表示器201に表示された電子画像と直視した被写体とを見比べて、色味や構図を確認する可能性がある。このとき、撮影者の視覚系は、被写体を照明している光源に対して色順応するので、標準観察環境下で最適な色再現となるようにホワイトバランス処理を行われた電子画像に、色味が違うと感じてしまう恐れがある。そこで本実施形態のカメラ50は、レックビュー時には、外部表示器201に表示するにも関わらず、被写体を照明している光源において最適な色再現となるようにホワイトバランス処理を行った電子画像を表示する。つまり、撮影者による操作を受けてフラッシュメモリ150に保存された画像を再生表示するときと、異なるホワイトバランス処理を行った電子画像を表示する。これにより、レックビュー時に撮影者が電子画像と被写体とを見比べたときでも、撮影者が感じる被写体と電子画像との色味の違いを軽減することができる。
このように、本実施形態のカメラによれば、光学像と電子画像とを同一ファインダで同時に視認可能なときでも、光学像と電子画像との色味の違いを軽減することができる。
上述した本発明の実施形態における撮像装置を構成する各手段及び撮像装置の制御方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによっても実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器からなるシステムに適用してもよい。
なお、本発明は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム又は装置に直接、又は遠隔から供給する。そして、そのシステム又は装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。更に、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
更に、その他の方法として、まず記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。そして、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても上述した実施形態の機能が実現される。