JP5150946B2 - 食肉スライサー - Google Patents

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本発明は、回転する丸刃の回転面に前端面を沿わせつつ、左右方向に往復移動する肉箱から送り出された食肉塊の先端部から丸刃が切り出すスライス肉を、人手によって受取るようにした食肉スライサーにおける受取部分の改良に関する。
本発明に関連する従来の食肉スライサーには、例えば特許文献1に開示されているようなものが多く見られる。このような食肉スライサーにおけるスライス肉の受取部分には、特許文献1における図1に示されているように、当て板(厚み調節板)6の前方下部にテーブル面が設けられていて、このテーブル面と当て板6の前面(テーブルとの対向面)と丸刃支持台のテーブル側壁面との3面で受取作業空間が形成されている。
当て板6は、当て板6のテーブルとの対抗面が保持板6aによって保持され、当て板6の下方位置においてテーブルの上部に設けられた支持台7に、送り方向に沿って摺動自在に支持されている。
上記の受取部分においては、当て板6の支持部材が肉屑の溜まり易い場所にあり、作業終了後の清掃作業に手間を要するばかりでなく、支持部材の摺動部や調節機構内へ肉汁などが進入して機能不良や雑菌の温床となるなどの問題があった。その上、作業者がスライス肉を受取る作業を行う容器載置用のテーブル上に支持部材があるので邪魔になっていた。
上述した問題点を改善しようとして、特許文献2に示される当て板の支持装置が提案された。しかしながらこの支持装置は、当て板20を丸刃14と反対側の位置で縦向きに配置された支持部材28で支持したものであり、作業者は機体に向って支持部材28側から斜め方向に向って立ちスライス肉を受取るので支持部材28が右腕の動きの邪魔になる。
また、支持部材28がテーブル12上に立設されているので人手で受取ったスライス肉の収納容器であるパイレッシュやトレーをテーブル12の上面に置く時の邪魔になる。
又、特許文献3においては、当て板5が、当て板5の上下端にから延設された固定腕5a,5aを介して刃物台2に摺動自在に取り付けられ、丸刃軸の延長上に設けられたハンドル9によって位置調整可能とされている。
しかしながら、この特許文献3の支持装置においては、当て板5が当て板5から離れた刃物軸周辺で支持されるので強度的に不利であり、又、固定腕5aが丸刃の周辺に位置するので肉屑が絡まり易く、スライス肉の受取り時にも邪魔になるという問題がある。
特開2008−142783号公報 特開2007−319955号公報 特開2004−66445号公報
本発明は、前述のような従来の食肉スライサーにおけるスライス肉の受取部分の問題を解決するためになされたものであって、当て板のテーブルとの対向面と、当て板の下部に設けられたスライス肉の容器載置用のテーブルの上面と、丸刃支持台のテーブル側壁面との3面で囲われるように形成されるスライス肉の受取り作業空間内には、スライス肉の受取り作業の邪魔となる部材を配置しないようにして、作業を円滑に行えるようするとともに、テーブル上面に肉屑が溜まっても容易に清掃ができるようにすること、更には、当て板の調節機構への肉汁などが侵入するおそれのない食肉スライサーを提供する。
本発明は、機体上部に立設されて垂直に回転する丸刃と、食肉塊の送出装置を有して前記丸刃の回転面に前端面を沿わせつつ左右方向に往復移動する肉箱とを具備し、該肉箱から送り出される食肉塊の先端部から前記丸刃が切り出すスライス肉を人手によって受取るように構成されていて、前記食肉塊の先端位置を規制する当て板と、該当て板を食肉塊が送り出される方向に沿って移動可能な調節機構を介して支持する支持部材と、前記当て板の下方にスライス肉の容器載置用のテーブルとを備えた食肉スライサーにおいて、テーブルを機体に着脱自在に取着するとともに、前記支持部材が前記テーブルの下側に配置されていることを特徴とする食肉スライサーとしている。
本発明においては、前記テーブルは、該テーブルの反当て板側端面の反丸刃側隅角部に作業者が機体に接近できるように切欠部を形成するとともに、当て板側に当て板の移動を許容する空隙を有して機体に着脱自在に取着されていることが望ましく又、前記当て板の移動量が前記テーブルに設けられた覗き窓から視認可能とされていることが好ましい。
本発明によれば、当て板の支持部材がスライス肉の容器載置用のテーブルの下側に配置されたので、テーブル上面と当て板のテーブルとの対向面には作業の邪魔になる部材がなく平滑な面で形成されるのでスライス肉の受取り作業に支障がなく、溜まった肉屑も簡単に除去できる。又、当て板の調節機構内に肉汁が侵入して機能障害を起こしたり、雑菌の温床になるなどの問題がなくなる。
又、テーブルは、反当て板側端面の反丸刃側隅角部に作業者が機体側に接近できるように切欠部を形成するとともに、当て板側には前記当て板の移動を許容する空隙を有して機体に着脱自在に取着されているので、作業者がテーブルの隅角部に形成された切欠部分に沿って立ち、機体側に接近できるので切り出されるスライス肉の受取りが容易に行え、しかも手許のテーブル上面にトレーやパイレッシュなどを置いて受取ったスライス肉を楽に収納できる。
又、テーブルの当て板側には空隙を有するので当て板の移動が支障なく行える。更に、テーブルが着脱可能に構成されると、当て板の脱着、支持部材の点検整備、清掃を行う際に便利である。
スライス厚みを設定する時には、送出装置による食肉塊の送出量と関連させて当て板の位置を調節するが、その際にテーブルの上面の一部に覗き孔を設けて当て板の移動量が視認可能とすれば作業位置において当て板の位置が容易に確認できるので便利である。
本発明の一実施例である食肉スライサーの食肉塊が送り出される方向から見た全体図である。 図1の右側面図である。 図1における当て板の支持部分の詳細を示す部分拡大図。 図3の平面図。 図4におけるテーブルに設けられた覗き窓周辺の部分拡大図。 図5の側面図。
図面を参照しながら本発明の一実施例である食肉スライサーについて説明する。
本願発明の一実施例である食肉スライサーの機体1は、図1及び図2に示される様に箱体として構成されている。食肉塊が載置される肉箱2は、従来の食肉スライサーにおいて最も多く用いられている特許文献1〜3に示されるような機体に設けられたガイドに沿って左右方向に往復移動する構成としても良いが、本実施例においては、機体1の底部に設けられた水平支持軸5の軸心を中心として、肉箱2の往復移動時の往動側が上位となる傾斜に沿って左右方向に往復揺動可能に支持された構成としている。
肉箱2は、作業者との接触事故を防止するために往復揺動範囲を囲うように安全カバーで覆われているが、食肉塊の供給口には開閉カバー1aが設けられて、肉箱2の往復揺動における始端位置で停止中の肉箱2へ食肉塊が供給可能なように構成されている。
機体1の前端上部には、詳細は省略するが公知の構成により丸刃8が設けられる。丸刃8は、垂直に回転するように機台1上部に設けられた丸刃支持台1bに支持されている。
丸刃支持台1bは箱体で構成されていて、作業者との対面側(図1における刃物支持台1bの右側)壁面は、丸刃8から切り出されるスライス肉の受取作業空間の一面を形成する。尚、この壁面上部には、操作スイッチや表示板を備えた操作パネル1cが設けられている。
前記肉箱2は、図示しないが機体1に据付けられた減速機付サーボモーターよってクランク装置を介して肉箱2に載置された食肉塊をスライスするために必要な範囲にわたり丸刃8の回転面に前端面を沿わせつつ復動側に傾斜した姿勢で左右方向に往復揺動するように構成されている。
肉箱2は、載置された食肉塊の送出装置を備えている。肉箱2の底部には図示しないが公知の底部コンベヤが張設されており、又、左右両側には側壁板が設けられるが、本実施例においては、食肉の送り出しをよくするために切り終わり側(図1における向かって右側)の側壁板には、載置された食肉塊の側面を受けて底部コンベヤと同調して肉箱2の揺動に関連して間欠的に食肉を送り出す側部コンベヤが張設されている。
更に、肉箱2には、スライス作業時において底部コンベヤの上面に載置された食肉塊の上面に接して食肉塊を送り出す上下動可能な上部ローラー3が、従来の食肉スライサーと同様に設けられる。
肉箱2の前端面に対向する位置で丸刃8に隣接して、肉箱2から送り出される食肉塊の先端位置を規制する当て板4が設けられる。
当て板4の反肉箱2側の下方には、丸刃8によって切り出されるスライス肉を作業者が手の指先で受取る際に、スライス肉を収容するトレーやパイレッシュを置くことができるスライス肉の容器載置用のテーブル6が従来の食肉スライサーと同様に設けられるが、本実施例においては、テーブル6の当て板4と対向する側端面は、当て板4が食肉塊の送り出し方向に沿って移動調節される際に支障にならないように当て板4と空隙C(図6)を有して機体1に取着される。
又、本実施例におけるテーブル6は、清掃や、点検整備が容易なように工具を要しないで、簡単に脱着可能とされている。
即ち、薄板の周囲を折り曲げて補強された平板状のテーブル6は図4に示すように、作業者が立つ隅角部(図4における右下の隅角部)である反当て板側端面の反丸刃側の隅角部を切り欠いた矩形状とされていて、このテーブル6の裏面に固着されている支点ピン9を、丸刃支持台1b側の機壁に取り付けられた受け具7に貫通したピン孔に挿入することで取り付けられる。
このテーブル6の、支点ピン9が取り付けられた反対側端部には、図3に示すように下方に向けて位置決めピン10が突設されていて、このピン10が機体側に設けられた支持板11aに開けられた位置決め孔に係合することでテーブル6の位置決めがなされる。
このテーブル6は、支点ピン9を中心にして持上げ、位置決めピン10の係合を解いてから支点ピン9を受具7のピン孔から抜き取ると簡単に外すことができる構成である。
ついで、当て板4の支持部材の構成について説明する。
この種の食肉スライサーにおいては、作業者は、図4に細線で示すようにテーブル6における反当て板側端面の丸刃側隅角部(図4における右下の隅角部)に形成された切欠部分付近に半身で機体側に向うように添って立ち、丸刃8によって切り出されるスライス肉を指先で受取り手元のテーブル6の上面に置かれたトレーやパイレッシュに収納する。
スライス肉は高速回転する丸刃8により毎分50から70回位のスピードで空中に放り投げられるように飛び出してくるのでその動きに手先を同調させて素早く受取りトレーなどに収納する必要がある。
従って、スライス肉を受取るとき手先が接触して受傷するなどの事故を生じさせることなく安全にしかもスピーディーに受取り作業が行われるためには、当て板4のテーブルとの対向面とテーブル6の上面と丸刃支持台1bのテーブル側壁面との3面で囲われるように形成される受取作業空間には突起物や障害物が無いように構成することが望まれる。
そこで、本願発明においては、当て板4の支持部材11をテーブル6の下側に配置することでその目的を達成しようとするものである。
その具体的な構成例を図面に基づいて説明する。
当て板4は、図6に示されるように、当て板4の下端部分の略全幅にわたって延設されねじ止めされた断面が矩形状の係合突起22を、保持板21に刻設された位置決め溝に嵌め込むとともに、当て板4に設けられたフック23(図4参照)を保持板21の一端に引っ掛けてから、他端部に設けられたセットねじ24で保持板21と係合突起22とを締結することで当て板4を保持板21に保持させる。
このように構成することにより、当て板4が保持板21から簡単に単体で取り外すことができるので作業終了時において洗浄が容易に行える。
当て板4を保持する保持板21は、機体1を構成する箱体部分の上面であって、当て板4の幅方向における中心位置付近に配置されるようにボルトなどで取り付けられた支持台12に次のように支持されている。
支持台12には、幅方向(図1,3の左右方向)に距離を隔てて、一対のガイド孔が設けられていて、当て板4を保持する保持版21に一端が固着された一対のガイドピン13がこのガイド孔に嵌合されて、肉箱2による食肉塊の送り出し方向に沿って当て板4が移動可能に支持される。
当て板4は、図1、図3に示すように横方向の幅寸法を保ったままでテーブル6の下方に向けて延設されており、当て板4の下端部は係合突起22で補強され、又、保持具21の横長い位置決め溝に嵌め込まれセットねじ24で締結されて強固に保持される。
この当て板4は、従来の食肉スライサーと同様に調節機構によってスライス厚みの調節に関連して食肉塊の送り出し方向に沿って移動調節される。
本実施例における調節機構は、当て板4から突設された一対のガイドピン13を連結した部材14aと一体化された調節ナット14、この調節ナット14に螺合するねじ軸15の一端に固着されたねじ歯車16、このねじ歯車16と直交して噛み合う片方のねじ歯車17が固着された調節軸18、この調節軸18の一端に取り付けられた調節ハンドル19からなり、この調節ハンドル19を回転させることにより当て板4を食肉塊の送り出し方向に沿って移動調節することができる構成である。
上記の構成により、当て板4の調節機構を含む支持装置11は、テーブル6によって覆われた状態となるので、スライス肉の受取り作業時に支障にならず、テーブル上面に肉屑が溜まっても簡単に取り除くことができる。又、調節機構内に肉汁が混入するおそれもない。
なお、詳細は記述しないが20は、作業中に当て板4を固定するためにガイドピン13をロックする公知のロック装置であって、当て板4を移動調節する際にはこのロックを解く。
次に、当て板4の移動調節量がスライス肉の受取位置にいても視認できる構成について主に図5,6に基づき説明する。
食肉スライサーにおけるスライス厚みは、丸刃8の切断面(食肉塊先端部の被切断面と対向する丸刃の刃先側の回転面)からの肉箱2による送り出された食肉塊の送出量(長さ寸法)によって決定される。
肉箱2の底面先端部には、本実施例では図示を省略しているが、丸刃8の切断面に対向する受刃(通称まな板)が設けられている。良好な切断を行わせるためには、受刃の先端面と丸刃8の切断面との隙間は最小に調整される。従ってスライス厚みを設定する際には、丸刃8の切断面と受刃の先端面とは、ほぼ同一面上に位置するものと見做し、受刃の先端面からの食肉塊の送出量がスライス厚みに近似する値であるとしている。
一方、当て板4は、所定のスライス厚みの設定に合わせて、食肉塊の送り出し方向に沿って移動調節され、前述の受刃先端面から送り出された食肉塊の先端面に当接させられる。従って当て板4の食肉塊との当接面と受刃の先端面との隙間がスライス厚みと見做され、この隙間を見ることによってスライス厚みの確認を行う。
先行技術文献に示されるような従来の食肉スライサーでは、肉箱が露出しているので、作業者は、作業位置から離れて、当て板4の食肉塊との当接面と、受刃の先端面との隙間を当て板4の肉箱2側から覗いて確認するようにしていた。
本実施例の食肉スライサーのように肉箱2が安全カバーで覆われている場合には、図2に示されるように当て板4がカバーの中に入り込む状態となるので、前記の隙間を確認することが困難である。
本実施例においては、作業者が作業位置において調節ハンドル19によって当て板4の位置を調節し、作業位置にからも見やすい位置であるテーブル6の当て板4との対向位置の端部に覗き窓25を設けて、当て板4の移動量を示す表示を見るようにすると便利である。
この覗き窓25内には、保持板21に取り付けられた適宜目盛りを付した表示板26を配置する。
この表示板26の目盛りを指す指針27を支持台12に固着する。
このように構成することにより、当て板4がスライス厚み調節に合わせて移動調節されると、保持板21に取り付けられた表示板26が同時に移動させられるので、例えば、指針27が指す目盛りのゼロ位置を、当て板4の食肉塊の先端面との当接面と、丸刃8の切断面とが同一面上に揃う位置に合せて置けば、当て板4の移動量を示す目盛りをそのままスライス厚みとして読み取ることができる。
1 機体
1b 丸刃支持台
2 肉箱
4 当て板
6 テーブル
8 丸刃
11 支持部材
12 支持台
25 覗き窓
26 表示板
27 指針

Claims (1)

  1. 機体上部に立設されて垂直に回転する丸刃と、食肉塊の送出装置を有して前記丸刃の回転面に前端面を沿わせつつ左右方向に往復移動する肉箱とを具備し、該肉箱から送り出される食肉塊の先端部から前記丸刃が切り出すスライス肉を人手によって受取るように構成されていて、前記食肉塊の先端位置を規制する当て板と、該当て板を食肉塊が送り出される方向に沿って移動可能な調節機構を介して支持する支持部材と、前記当て板の下方にスライス肉の容器載置用のテーブルとを備えた食肉スライサーにおいて、テーブルを機体に着脱自在に取着するとともに、前記支持部材が前記テーブルの下側に配置されていることを特徴とする食肉スライサー。
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