JP5150877B2 - 呈味改善剤、香料組成物及びそれらを含有する飲食品 - Google Patents

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Description

本発明は、呈味改善剤に関する。更に詳しくは、飲食品に用いた場合、良好な旨味、こく味、ボリューム感等を付与し、かつ切れ味のある良好な呈味を付与する呈味改善剤に関する。
近年、飲食品の多様化に伴い特徴的な香気香味の要求が高まり、様々な呈味改善剤が要求されている。この要求に応える目的で各種のフレーバーが提案されている。その一つの提案として、動物性または植物性脂肪の加水分解物のジグリセライド画分は、脂質に伴う感覚刺激性を良くし、これを含有した香料組成物を飲食品に加えることで、リッチで、クリーミーでこくのある呈味を強化できることが知られていた(特許文献1)。
特許文献1に記載のジグリセライド画分は、動物性または植物性脂肪の加水分解物のジグリセライド画分との記載があるのみであり、グリセリンにどのような脂肪酸が結合したジグリセライドであるかの記載は一切ない。動物性または植物性脂肪の加水分解物のジグリセライド画分との記載からして、種々の脂肪酸が結合した種々のジグリセライドの混合物と思われるが、当該ジグリセライド画分を呈味改善剤として用いると、リッチで、クリーミーなこく味を付与することは可能であっても切れ味を付与することはできず、すっきりした呈味を付与するには不十分なものである。
特表平9−502103号公報
本発明は、飲食品に配合することで、飲食品固有の旨味、こく味、ボリューム感を付与・向上し、しかも飲食したときに優れた切れ味を付与できる呈味改善剤を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく呈味改善剤としてのジグリセライドについて鋭意研究を行った結果、一方に比較的短鎖の脂肪酸、他の一方に比較的長鎖の脂肪酸が結合したジグリセライドが、飲食品が固有に有する油っこさや酸味等の嫌な呈味をマスキングしつつ、該飲食品に旨味、こく味、ボリューム感を付与・向上し、かつ優れた切れ味を与える効果があるという知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明は、下記一般式(1)
Figure 0005150877

(式中、R1、R2、R3のうち、1個は炭素数2〜8のいずれかの飽和または不飽和脂肪酸由来のアシル基、他の1個は炭素数12〜18のいずれかの飽和または不飽和脂肪酸由来のアシル基、残余は水素原子)で表されるジグリセライドの単独または2以上の混合物を有効成分とする呈味改善剤である。
また、本発明は、前記一般式(1)において、R1が酪酸、ヘキサン酸またはオクタン酸由来のアシル基、R2がパルミチン酸、ステアリン酸またはオレイン酸由来のアシル基、R3が水素原子であるジグリセライド、及び/またはR1が酪酸、ヘキサン酸またはオクタン酸由来のアシル基、R2が水素原子、R3がパルミチン酸、ステアリン酸またはオレイン酸由来のアシル基であるジグリセライドを有効成分とする呈味改善剤である。
また、本発明は前記呈味改善剤を含有する香料組成物であり、更には前記呈味改善剤、前記香料組成物を含有する飲食品である。
本発明の呈味改善剤は、飲食品に少量配合することで、飲食品が固有に有する油っこさや酸味等の嫌な呈味をマスキングしつつ、該飲食品に旨味、こく味、ボリューム感を付与・向上し、かつ優れた切れ味を付与するものであり、また香気香味の香り立ちを強める効果(以下、リフトアップ効果ともいう)にも極めて優れたものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のジグリセライドは、グリセリンに結合する脂肪酸として一方に炭素数が2〜8の比較的短鎖の脂肪酸、他の一方に炭素数が12〜18の比較的長鎖の脂肪酸が結合したジグリセライドである。グリセリンに結合する脂肪酸が両者共に炭素数が8以下の比較的短鎖の脂肪酸が結合したジグリセライドは、十分なこく味や旨味を付与することができない。一方、グリセリンに結合する脂肪酸が両者共に炭素数が12以上の比較的長鎖の脂肪酸が結合したジグリセライドでは、こく味や旨味は付与できるが、切れ味が十分でない。
本発明の、グリセリンに結合する脂肪酸として一方に炭素数が2〜8の比較的短鎖の脂肪酸、他の一方に炭素数が12〜18の比較的長鎖の脂肪酸が結合したジグリセライドにおいて、前記比較的短鎖の脂肪酸の炭素数が2に満たないものはこく味やボリュームが十分に付与できず、また8より多い場合は切れ味が十分でなくなり、本発明の目的は達成できない。一方、前記比較的長鎖の脂肪酸の炭素数が12に満たない場合は十分なこく味や旨味を付与することができず、また18より多い場合は切れ味が十分でなくなり、本発明の目的は達成できない。
式(1)で表される本発明のジグリセライドにおいて、グリセリンに結合する比較的短鎖の脂肪酸と比較的長鎖の脂肪酸はどの位置に結合したものでも本発明の効果は得られる。以下、グリセリンの1の位置と2の位置に脂肪酸が結合したジグリセライドを1,2−DAGともいい、また、グリセリンの1の位置と3の位置に脂肪酸が結合したジグリセライドを1,3−DAGともいう。1,2−DAGにおいては、比較的短鎖の脂肪酸が1の位置に、比較的長鎖の脂肪酸が2の位置に結合したものが、本発明の呈味改善剤として特に適している。
1,2−DAGは、1,3−DAGに比べて水―アルコール系溶剤に対する溶解性が高く飲料への適用性に優れている。また切れ味の付与や香気香味のリフトアップ効果にも優れた特徴がある。一方、1,3−DAGは、ボリュ−ム感に優れた特徴がある。また、脂質感と甘味のリフトアップ効果に優れている。
前記1,2−DAG及び1,3−DAGは、目的に応じて個別に用いても良く、両者任意の割合で混合して用いても良い。
本発明の呈味改善剤である、特定の構造を有するジグリセライドは、天然物からの抽出または酵素法または有機合成により得られる。
天然物から抽出する場合は、牛乳、生クリーム、チーズ、バターミルク、発酵乳などを原料として、エチルアルコール、ヘキサン、酢酸エチルやこれらの混合溶剤などの有機溶剤により乳脂肪分を抽出し、その抽出液を順相カラムクロマトグラフィーで分画することでジグリセライドが得られる。または、前記抽出液の乳脂肪分を分子蒸留することによってもジグリセライドを得ることができる。その後、更に逆相カラムクロマトグラフィーおよび高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCともいう)による分離、精製を行うことで、本発明の特定構造のジグリセライドを多く含有する画分を得ることができる。ジグリセライドの構造は、ジグリセライドを加水分解して脂肪酸を同定することで側鎖の構造を決定し、また結合位置に関しては核磁気共鳴分析によって確認することができる。
酵素法による場合は、動物性または植物性脂肪に、酵素、例えばリパーゼを作用させて加水分解し、ジグリセライドを含有する油脂混合物を得て、該油脂混合物を、上述の場合と同様に、カラムクロマトグラフィーまたは分子蒸留することによってジグリセライド画分が得られる。その後、更に逆相カラムクロマトグラフィーおよびHPLCによる分離を行うことで、本発明の特定構造のジグリセライドを多く含有する画分を得ることができる。
有機合成法による場合は、以下に示す化学合成により得ることができる。
Figure 0005150877
すなわち、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(a)を出発原料とし、そのアルコール部を脂肪酸エステルに導く(b)。続いて保護基であるアセタール部分を脱離させた(c)後、1級アルコール部へ保護基を導入する(d)。次に、残存する水酸基を脂肪酸エステルに変換し(e)、最後に、導入した保護基を脱保護することで本発明の1,2−ジグリセライド(f)を得ることができる。
この合成ルートの出発原料である、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノールは、工業薬品として市販されており容易に入手可能であり、また、グリセリンとアセトンから公知の方法で合成して得ることもできる。
本発明の1,3−ジグリセライドは、1,2−ジグリセライドの第1、2工程と同様な操作を経た後、例えば、第3工程でピリジンなどの塩基性化合物の存在下、対応する無水カルボン酸と反応させるとトリアシルグリセライドと共に生成する。この両者は、例えばシリカゲルカラムグラフィーなどで分離可能である。
この合成方法で、第1および第4工程で反応させる酸ハライドの種類を、本発明が規定する特定のアシル基に相当する酸ハライドに変えることにより、本発明の1,2−ジグリセライドおよび1,3−ジグリセライドのすべてを得ることが可能である。なお、より詳細には、後述の合成例で具体的に説明する。
全工程における、それぞれの反応時間、反応温度などについて特に制限はないが、反応の進行状態などを把握する目的で、薄層クロマトグラフィーによる反応追跡などが一般的に行われる。例えば、反応が充分に進行していないと判断される場合等は、各反応条件は適宜変更されうるものである。
全工程において、単離精製の方法としては、例えば常圧または減圧蒸留、順相または逆相クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー(以下、GCともいう)またはHPLCによる分取クロマトグラフィーなどが挙げられ、目的に応じてそれぞれの操作を単独、もしくは組み合わせて適宜使い分けることができる。
本発明の呈味改善剤には、呈味改善の効果を損なわない範囲内で、各種のモノ、ジ、トリ
グリセライドやその他の副産物等が含まれていても構わない。
本発明のジグリセライドは、直接飲食品に配合して使用できる。この場合は、飲食品中に0.001〜0.01重量%の割合で配合するのが適当である。
また、本発明のジグリセライドに対して他のフレーバー香料、例えばミルク、ヨーグルト、クリーム、バター、チーズなどの各種乳製品フレーバー;バニラ系フレーバー;コーヒー系フレーバー;または紅茶・ウーロン茶・緑茶などの茶系フレーバーなどのフレーバー香料等を添加した香料組成物を調製して、該香料組成物を飲食品に配合して用いることもできる。
香料組成物中のジグリセライドの含有量は、0.01〜10重量%が好ましく、特に0.1〜2.0重量%程度が適当である。
該香料組成物を飲食品に配合する場合は、飲食品中に本発明の呈味改善剤が0.001〜0.01重量%含有されることで効果が見られる。
本発明の呈味改善剤並びに当該呈味改善剤を含有する香料組成物は、各種の飲食品に使用できる。適用できる飲食品としては、クリーム類(生クリーム、植物性油脂を含有するホイップクリーム、クリームソースを含む);バター類(植物性油脂を含有するデアリースプレッド等を含む);チーズ類(プロセスチーズ、チーズフード等を含む);アイスクリーム類(ラクトアイス等を含む);濃縮乳類(脱脂濃縮乳、全脂濃縮乳、加糖脱脂濃縮乳等を含む);各種乳類(全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー類、調製粉乳類、牛乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、及びこれらを含む乳製品等);コーヒー飲料類、ココア飲料類、茶系飲料類(紅茶、ウーロン茶、緑茶など)、機能性飲料などの飲料類;チョコレート類、焼き菓子・ベーカリー類、冷菓類(アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類)などの菓子類などが挙げられる。
特に、ショートニング、ラクトアイス、乳飲料等に適用すれば、乳由来の脂質感やこく味を付与することができ、かつすっきりとした切れ味を付与することができる。また、コーヒー等に適用すれば、コーヒー本来の香気をリフトアップすることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
<本発明呈味改善剤の合成>
合成例1
1,2−DAGの内、R1が炭素数4、R2が炭素数16のアシル基である1−ブチリル−2−パルミトイルグリセリンの合成。
第1工程:2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル ブチレートの合成。
2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(84.6g)と、トリエチルアミン(97g)のジメチルホルムアミド(500ml)溶液を10℃以下に冷却し、ブチリルクロライド(74.4g)をこの条件下で滴下した。滴下後1時間撹拌を続けて反応を完結させた後、反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液へ加え、生成物を酢酸エチルで2回抽出した。以後、水および飽和食塩水による洗浄、乾燥、濃縮を常法に従い処理し、高真空蒸留を行い(3mmHg、沸点80℃)、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル ブチレートを110.8g得た。
第2工程:2,3−ジヒドロキシプロピル ブチレートの合成。
第1工程で得たアセタールエステル(87.4g)をメタノール(400ml)に溶かし、室温で撹拌しながら10%(重量比)硫酸水溶液(13.1g)を加えた。5時間反応させた後、反応溶液を10%(重量比)炭酸ナトリウム水溶液に加え、反応生成物を酢酸エチルで3回抽出した。続いて常法に従い処理後、溶剤などを減圧留去し、粗生成物41gを得た。
これを、ヘキサン−酢酸エチル混合溶剤(溶媒体積比率4:6)を用いた、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(以下、SCCともいう)で精製し、2,3−ジヒドロキシプロピル ブチレートを29g得た。
第3工程:3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル ブチレートの合成。
第2工程で得たアルコールエステル(26.4g)とイミダゾール(14.6g)をテトラヒドロフラン(200ml)へ溶かし、ここへ撹拌しながら20℃以下で、t−ブチルジメチルシリルクロライド(TBDMSCl,30g)を滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌を続けた。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液へ加え、酢酸エチルで3回抽出した。この酢酸エチル溶液を常法により処理したのち減圧濃縮し、粗生成物50gを得た。これを減圧蒸留し(3mmHg、沸点120℃)、3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル ブチレートを41g得た。
第4工程:3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−パルミトイルオキシプロピルル ブチレートの合成。
第3工程で得た化合物(13g)、トリエチルアミン(9.5g)、4,4−ジメチルアミノピリジン(0.5g)をジメチルホルムアミド(120ml)に溶かした。この溶液に撹拌しながら20度以下で、パルミトイルクロライド(13g)をテトラヒドロフラン(20ml)へ溶かした溶液を滴下した。滴下後5時間撹拌を続けた後、5%(重量比)炭酸水素ナトリウム水溶液へ反応溶液を加え、酢酸エチルで2回抽出した。この酢酸エチル溶液を常法により処理したのち減圧濃縮し、粗生成物25.9gを得た。これを、ヘキサン−酢酸エチル混合溶剤(溶媒体積比率98:2)を用いたSCCで精製し、3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2−パルミトイルオキシプロピル ブチレートを7.8g得た。
第5工程:1−ブチリル−2−パルミトイルグリセリンの合成。
メタノール(30ml)と10%(重量比)硫酸水溶液(0.8g)の溶液に、第4工程で得たエステル体(5g)を撹拌しながら室温で加えた。2時間撹拌後、反応溶液を5%(重量比)炭酸水素ナトリウム水溶液に加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を常法に従い処理後、減圧濃縮し、粗生成物4.3gを得た。これを、ヘキサン−酢酸エチル混合溶剤(溶媒体積比率88:12)を用いたSCCで精製し、本発明の呈味改善剤である、1−ブチリル−2−パルミトイルグリセリン(以下、呈味改善剤Aという)を2.2g得た。
合成例2
1,2−DAGの内、R1が炭素数4、R2が不飽和脂肪酸由来の炭素数18のアシル基である1−ブチリル−2−オレオイルグリセリンの合成。
前記の合成例1の第1工程から第5工程の一連の反応において、第4工程で滴下した試薬のパルミトイルクロライド(13g)を、オレオイルクロライド(15.9g)に変更して、同様の一連の操作を実施することで、最終的に本発明の呈味改善剤である1−ブチリル−2−オレオイルグリセリン(以下、呈味改善剤Bという)を2g得た。
合成例3
1,3−DAGの内、R1が炭素数4、R3が炭素数16のアシル基である1−ヘキサノイル−3−パルミトイルグリセリンと、R1が炭素数4、R3が炭素数18のアシル基である1−ヘキサノイル−3−ステアロイルグリセリンとの混合物の合成。
エキセルT−95(花王社製)10.2g、ピリジン2.5g、テトラヒドロフラン50mlを混合した溶液へ、攪拌条件下で無水ヘキサン酸7gを滴下した。引き続きこの溶液を60℃まで加温し、5時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、希塩酸へ反応溶液を注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。その後常法に従い処理後、減圧濃縮して粗生成物13.7gを得た。この粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチル混合溶剤で(溶媒体積比率93:7〜88:12)を用いたSCCで精製し、本発明の呈味改善剤である1−ヘキサノイル−3−パルミトイルグリセリンと1−ヘキサノイル−3−ステアロイルグリセリンの混合物(以下、呈味改善剤Cという)を3.1g得た。
<本発明呈味改善剤の評価>
実施例1
合成例1で得られた呈味改善剤Aをミルクフレーバーに1%添加した香料組成物Aを調製し、該香料組成物Aを最終的に呈味改善剤Aの濃度が0.001%になるようにラクトアイスに賦香した。全く同様に合成例2、3で得られた呈味改善剤B、Cのそれぞれについても香料組成物B、Cを調製し、該香料組成物B、Cをラクトアイスに賦香した。
香料組成物の処方
Figure 0005150877
ラクトアイスの処方
Figure 0005150877
比較品として、R1、R2が共に比較的短鎖の炭素数4のアシル基である1,2−ジブチリルグリセリン(以下、比較品1という)、及びR1、R2が共に比較的長鎖の炭素数16のアシル基である1,2−ジパルミトイルグリセリン(以下、比較品2という)を前記合成例と同様の方法で合成し、上記と同様にミルクフレーバーに1%添加した香料組成物(以下、それぞれ、比較品1を添加した香料組成物、比較品2を添加した香料組成物という)を調製し、該香料組成物のそれぞれを、最終的に比較品1及び2の濃度が0.001%になるようにラクトアイスに賦香した。それぞれのラクトアイスについて、熟練したパネリスト5名により評価した結果を表3に示す。
Figure 0005150877
1:非常に悪い。 2:悪い。 3:普通。 4:良い。 5:非常に良い。

実施例2
合成例1で得られた呈味改善剤Aを市販のショートニングに0.1%賦香した。全く同様に、実施例1に記載の比較品1、2のそれぞれを用いてショートニングに0.1%賦香した。賦香したそれぞれのショートニングについて、実施例1と同様に熟練されたパネリスト5名により評価した結果を表4に示す。評価は実施例1と同基準で行った。
Figure 0005150877
実施例3
[ミルク入りコーヒーによる評価] 市販のブレンドコーヒー(名称/コーヒー,原材料名/牛乳,コーヒー,砂糖,脱脂粉乳,乳化剤)を精製水で2倍に希釈したミルク入りコーヒー飲料に対して合成例1で得た呈味改善剤Aを、0.1%賦香したものについて、無添加品と比較して官能評価した。実施例1と同様に熟練されたパネリスト5名により評価した結果を表5に示す。評価は実施例1と同基準で行った。
Figure 0005150877
実施例4
[ブラックコーヒーによる評価] 市販のブラック無糖(名称/コーヒー,原材料名/コーヒー)を精製水で2倍に希釈したコーヒー飲料に対して合成例2で得た呈味改善剤Bを、0.1%賦香したものについて、無添加品と比較して官能評価した。実施例1と同様に熟練されたパネリスト5名により評価した結果を表6に示す。評価は実施例1と同基準で行った。
Figure 0005150877
上記実施例の結果より、本発明の呈味改善剤及びこれを含有する香料組成物は、ラクトアイス、ショートニング、ミルク入りコーヒー等の乳様飲食品や、また乳脂を含まないブラックコーヒー等に対して少量配合することで、当該飲食品が固有に有する油っこさや酸味等の嫌な呈味をマスキングしつつ、該飲食品に旨味、こく味、ボリューム感を付与・向上し、かつ優れた切れ味を付与するものであり、また香気香味の香り立ちを強める効果にも極めて優れたものである。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0005150877
    (式中、R1、R2、R3のうち1個は炭素数2〜8のいずれかの飽和または不飽和脂肪酸由来のアシル基、他の1個は炭素数12〜18のいずれかの飽和または不飽和脂肪酸由来のアシル基、残余は水素原子。ただし、R1またはR3が水素原子のときは、R2は炭素数12〜18のいずれかの飽和または不飽和脂肪酸由来のアシル基)で表わされるジグリセライドの単独または2以上の混合物を有効成分とする呈味改善剤。
  2. ジグリセライドが、下記一般式(2)
    Figure 0005150877
    (式中、R1が酪酸、ヘキサン酸またはオクタン酸由来のアシル基、R2がパルミチン酸、ステアリン酸またはオレイン酸由来のアシル基)で表わされるジグリセライド、及び/または下記一般式(3)
    Figure 0005150877
    (式中、R1が酪酸、ヘキサン酸またはオクタン酸由来のアシル基、R3がパルミチン酸、ステアリン酸またはオレイン酸由来のアシル基)で表わされるジグリセライドである請求項1記載の呈味改善剤。
  3. 請求項1または請求項2記載の呈味改善剤を含有する香料組成物。
  4. 請求項1または請求項2記載の呈味改善剤または請求項3記載の香料組成物を、呈味改善剤純分で0.001〜0.01重量%含有する飲食品。
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