JP6680937B1 - 乳脂肪感付与剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】乳関連製品、中でも通常よりも乳脂肪量を抑えた乳関連製品にこくやボリューム感を付与することに加え、トップの香り立ちへの効果にも優れた香味料素材を提供することである。【解決手段】特定の第三級チオール化合物を有効成分とする乳関連製品の乳脂肪感付与剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物又は乳製品代用品用の乳脂肪感付与剤、及び当該乳脂肪感付与剤を上記乳製品等に特定量添加することによる乳製品等の乳脂肪感付与方法に関する。
乳及び乳製品は、蛋白、脂肪、ビタミン、ミネラル等を豊富に含有し、栄養学的にもバランスがとれた食品であり、世界中で広く摂取されている。また、飲食品の栄養強化に加えて、風味をまろやかにする等の目的で牛乳、生クリーム、発酵乳、粉乳等を各種飲食品に添加することも広く行われている。
さらに、乳脂肪等を原料としないマーガリンやファットスプレッド等の乳製品代用品も種々開発され、消費者の健康志向の高まりに伴い需要を伸ばしている(以下、「乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物又は乳製品代用品」を総じて「乳関連製品」と称する)。
一般に、乳関連製品は、独特な好ましい香味や「コク」(深みのある濃厚な味わい)、ボリューム感を有しており、これが乳関連製品のおいしさに大きく寄与していると考えられる。
しかしながら、乳関連製品の香味やコクには乳脂肪が深く関与しており、カロリーカットやコストダウン等の目的で製品中の乳脂肪含量を抑えた場合には香味やコク等が不足する。
かかる場合に、そうした香味等を必要十分なレベルで補充、或いは増強しうる香味料素材としてはこれまでに、2−アセチルチアゾール等のアセチル化合物を含有させることにより、油脂や乳原料の含有量を増大させることなく、油脂含有乳風味飲食品のこく味を増強する方法(特許文献1)、(E)−6−ノネナールを有効成分とする、乳特有の濃厚なコクや乳脂肪感のある香味付与することができる乳風味付与乃至乳風味改善剤(特許文献2)が提案されている。
さらに、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンを有効成分とする、乳、乳製品等のコクを増強する香味変調剤(特許文献3)、12−トリメチルデカナールを有効成分とする、乳製品が有する風味またはこく味を増強する乳風味賦与乃至増強剤(特許文献4)、3−メチルノナン−2,4−ジオンを有効成分とする、乳特有のこくやボリューム感を乳、乳関連製品に補充し増強しうる香味料組成物(特許文献5)等も提案されている。
上記先行技術文献に記載された香味料素材は、いずれも乳関連製品にコクやボリューム感を付与する優れた効果を有すが、口に入れた直後のトップの香り立ちに寄与する効果が十分ではない。
したがって、口に入れた直後から乳らしい脂肪感が感じられるような、全体としてバランスの取れた乳脂肪感を通常よりも脂肪の量を減らした低脂肪乳等に付与するという点では不十分であった。
特開2017−29040号公報 特開2017−18025号公報 特開2016−202017号公報 特開2010−158210号公報 特開2003−52330号公報
本発明の課題は、乳関連製品、中でも通常よりも乳脂肪量を抑えた乳関連製品にコクやボリューム感を付与することに加え、トップの香り立ちへの効果にも優れた香味料素材を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高濃度では不快な刺激臭を有するが、希釈状態では快い焦臭、焼肉臭となり、従来はコーヒーや果実等のフレーバー素材として用いられていた3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートなど、特定の第三級チオール化合物が、乳関連製品にコクやボリューム感を付与し、その効果は乳関連製品を口に入れた直後から発現することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下に示すとおりのものである。
〔1〕下記一般式(1)で表される第三級チオール化合物から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分とする乳関連製品の乳脂肪感付与剤。
Figure 0006680937
[式中、R1
Figure 0006680937
である。]
〔2〕第三級チオール化合物が、3−メルカプト−3−メチルブチル フォーメートである上記1に記載の乳脂肪感付与剤。
〔3〕乳関連製品が低脂肪乳関連製品である上記1又は2に記載の乳脂肪感付与剤。
〔4〕上記1〜3のいずれかに記載の乳脂肪感付与剤を含有することを特徴とする低脂肪乳関連製品用香料組成物。
〔5〕上記1〜3のいずれかに記載の乳脂肪感付与剤を低脂肪乳関連製品に0.01ppt〜10ppm添加することを特徴とする乳脂肪感付与方法。
〔6〕上記1〜3のいずれかに記載の乳脂肪感付与剤を0.01ppt〜10ppm含有する低脂肪乳関連製品。
乳関連飲食品、特にカロリーカット等の目的で製品中の乳脂肪含量を抑えた製品に本発明品の乳脂肪感付与剤を添加すると、当該製品にコクやボリューム感を付与し、口に入れた直後から乳らしい脂肪感を感じられるようにすることができるので、低脂肪製品の乳脂肪感を通常の脂肪含有量の乳関連製品と同等のレベルにまで付与増強することができる。
以下に、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
〔1〕有効成分
本発明の乳脂肪感付与剤は、下記式(1):
Figure 0006680937
[式中、R1
Figure 0006680937
である。]
で表される第三級チオール化合物である。
具体的には3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメート(R1が基(a)の場合)、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテート(R1が基(b)の場合)、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン(R1が基(c)の場合)、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノール(R1が基(d)の場合)、p−メンタ−8−チオール−3−オン(R1が基(e)の場合)、4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオール(R1が基(f)の場合)である。
本発明の有効成分である第三級チオール化合物は、食品香料用の化合物として知られている。
3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメート(3-mercapto-3-methylbutyl formate)はコーヒー豆など、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテート(3-mercapto-3-methylbutyl acetate)はホップなどに存在し、いずれもコーヒー、茶等に添加する香料素材
として用いられている。
4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン(4-mercapto-4-methyl-2-pentanone)、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノール(4-mercapto-4-methyl-2-pentanol)、は柑橘果実、ホップなどに存在し、茶、コーヒー等に添加する香料素材として用いられている。
p−メンタ−8−チオール−3−オン(p-mentha-8-thiol-3-one)は、アフリカ原産のミカン科植物のブチュの葉に存在し、マンゴー、アップル、コーヒー等に添加する香料素材として用いられている。
4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオール(4-methoxy-2-methyl-2-butanethiol)は、クロスグリ(カシスとも呼ばれる)、オリーブ等に存在し、茶、コーヒー等に添加する香料素材として用いられている。
しかしながら、第三級チオール化合物に関しては、口に入れた直後に感じるトップのコクやボリューム感を乳関連製品に付与し、乳らしい脂肪感をバランスよく増強する効果を有することは知られていなかった。
本発明の第三級チオール化合物は、いずれも試薬等として市販されており、例えば、シグマアルドリッチジャパン合同会社、東京化成工業株式会社、富士フィルム和光純薬株式会社等から適宜購入して使用することができる。
また、公知文献(例えば特開昭49−7207号公報)に記載された方法により合成したものを用いることもできる。
〔2〕乳関連製品
本発明の乳脂肪感付与剤の配合対象である乳関連製品、即ち乳、乳製品、乳若しくは乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品は、以下のとおりである。
乳としては、例えば、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年12月27日厚生省令第52号)に規定された生乳、牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、加工乳等を挙げることができる。
乳製品としては、例えば、前記省令に規定されたクリーム、バター、バターオイル、ヨーグルト等の発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、チーズ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、練乳、全粉乳、脱脂粉乳、加糖粉乳、濃縮ホエイ、ホエイパウダー等を挙げることができる。
乳若しくは乳製品含有飲食品としては、例えば、上記の牛乳、クリーム類、バター、チーズ、練乳、粉乳等を添加したコーヒー飲料、茶飲料、果汁飲料、炭酸飲料、冷菓類、和洋菓子類、パン類、スープ類、カレー、シチュー、各種インスタント飲食品、各種スナック食品、ドレッシング等の調味料等を挙げることができる。
乳製品代用品としては、例えば、油脂を乳化して製造されるマーガリンやファットスプレッド等のバター代用品、さらにコーヒーや紅茶等に添加する、例えばコーヒーホワイトナー等のクリーム類代用品を挙げることができる。
本発明の乳脂肪感付与剤は、乳関連製品にコク、ボリューム感を付与する効果に優れるので、上記乳関連製品のうち、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳等を用いた通常よりも脂肪の量を減らした乳関連製品への使用に適している。
なお、本発明では、通常よりも脂肪の量を減らした乳関連製品を「低脂肪乳関連製品」と称するが、具体的には食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)に従い、製品100g当たりの脂質量が3.0g以下(低脂肪乳のように一般に飲用に供する液状の食品の場合は100ml当たりの脂質量が1.5g以下)の乳関連製品、又は、一般の乳関連製
品よりも脂質を25%以上低減させた製品であって、100g当たりの脂質の低減量が一般の製品よりも3.0g以上(低脂肪乳のように一般に飲用に供する液状の食品の場合は100ml当たりの脂質の低減量が1.5g以上)の乳関連製品を挙げることができる。
〔3〕低脂肪乳関連製品用香料組成物
本発明の第三級チオール化合物は、単独で乳関連製品に添加することもできる。また、任意成分として他の香料素材と組み合わせて、乳脂肪感付与作用を有する香料組成物として使用することもできる。
組み合わせる他の香料素材としては、乳系香料に一般的に使用される天然香料素材、合成香料素材が用いられ、天然香料素材としては例えば、乳脂などの油脂類をリパーゼで加水分解し、脂肪酸を遊離させた酵素フレーバーや、クリーム、粉乳、バターなど牛乳を原料とする加工品からのエキストラクト、乳原料と糖を特定条件下で加熱して得られる加熱処理フレーバー等を挙げることができる。
合成香料素材としては、炭素数4〜12の脂肪酸及びそのメチル、エチルエステル、炭素数6〜14の飽和・不飽和ヒドロキシ酸に由来するδ−、γ−ラクトン類、炭素数5〜15のメチルケトン類、炭素数6〜12の脂肪族アルデヒド類、ベンズアルデヒド、バニリン等の芳香族アルデヒド類、マルトール類、フラノン類、ジアセチル、アセチルプロピオニル等のジケトン類、スルフィド、ジスルフィド、チアゾール類、インドール類等の含硫、含窒素化合物等が挙げられる。この他、乳製品の風味付けに一般的に用いられるフルーツ系フレーバー、バニラやコーヒーフレーバー等に用いられる公知の合成香料素材を幅広く使用することができる(特許庁公報「周知慣用技術集(香料)第II部 食品用香料」2000年発行 258〜347頁参照)。
香料組成物中への第三級チオール類化合物の添加量は特に制限はないが、一般には、香料組成物中において0.01ppb〜10000ppm、好ましくは0.05ppb〜1000ppm、さらに好ましくは0.1ppb〜100ppmである。
〔4〕乳脂肪感付与方法
本発明の第三級チオール化合物を低脂肪乳関連製品に添加することにより、低脂肪乳関連製品に口に入れた直後に感じるトップのコクやボリューム感を付与し、乳らしい脂肪感をバランスよく増強することで、乳脂肪感を通常の乳関連製品と同等のレベルにまで付与増強することができる。
第三級チオール化合物は、低脂肪乳関連製品に直接添加し、或いは前記香料組成物の態様、すなわち低脂肪乳関連製品用香料組成物として添加することができる。
第三級チオール化合物を乳関連飲食品に添加する場合の添加量は、一般に、飲食品中に、0.01ppt〜10ppm、好ましくは0.05ppt〜1ppm、さらに好ましくは0.1ppt〜100ppbである。
添加量が0.01ppt未満の場合は香味改善効果が十分でない場合があり、添加量が10ppmを超えた場合は第三級チオール化合物の香味が浮き出る可能性がある。
本発明の乳脂肪感付与剤はそのまま或いは他の香料素材と組み合わせた香料組成物として、必要に応じてエタノール、プロピレングリコール、グリセリン等の溶剤に溶解して乳関連製品に添加できる。さらに、一般的に用いられる乳化剤や賦形剤を添加し常法に従って乳化香料、粉末香料として使用することもできる。乳脂肪感付与剤の乳関連製品への添加の時期は特に制限なく、乳関連製品の製造工程の各段階で適宜添加することができる。乳関連製品の製造が殺菌工程を含む場合は、一般的には殺菌工程の前に添加するが、乳脂肪感付与剤又はこれを含む香料組成物を膜濾過等で除菌することにより、殺菌工程の後に添加することもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
本実施例および比較例で使用した原材料等は、以下のとおりである。
(1)3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートは、シグマアルドリッチジャパン合同会社製の試薬を購入して使用した。
(2)3−メルカプト−3−メチルブチルアセテートは、特開昭49−7207号公報の実施例1記載の方法により合成したものを使用した。
3−メルカプト−3−メチルブチルアセテートの具体的な合成方法は、以下のとおりである。
a)3−アセチルチオ−3−メチルブタナルの製造
チオ酢酸(35g)を38gの3−メチルブト−2−エナルに攪拌しながら徐々に加えた。この反応を窒素雰囲気中で温度を26〜32℃に保って行なった。1晩放置後に反応混合物を真空蒸留して、bp.54〜55℃/1mmHg、nD201.4810の3−アセチルチオ−3−メチルブタナル63g(87%)を得た。
b)3−メルカプト−3−メチルブチルアセテートの製造
3−アセチルチオ−3−メチルブタナル(32g)を50mlのメタノールに溶解した。この溶液に対し3.5gのNaBH4と0.3gのNaOCH3とを50mlのメタノールに溶解した溶液を滴下漏斗から攪拌しながら滴下した。滴下中に氷水で反応混合物の温度を20〜25℃に保った。NaBH4の添加終了後の反応混合物を1時間攪拌し、その後で同容の水を攪拌しながら加え、混合物n−ペンタンで2回抽出したペンタン抽出液を塩化ナトリウム水溶液で洗い硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した後に残留物を蒸留してbp.39〜40℃/1mmHg、nD201.4616の3−メルカプト−3−メチルブチルアセテート25g(77%)を得た。
(3)4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノールは、シグマアルドリッチジャパン合同会社製の試薬を購入して使用した。
(4)p−メンタ−8−チオール−3−オンは、東京化成工業株式会社製の試薬を購入して使用した。
(5)4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオールは、シグマアルドリッチジャパン合同会社製の試薬を購入して使用した。
(6)4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノンは、東京化成工業株式会社製の試薬を購入して使用した。
〔実施例1〜7、比較例1〕
乳脂肪感付与剤としての3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートをエタノール(95v/v%の含水エタノール)に、0.01ppb〜10%の濃度範囲で溶解させて7種類のエタノール溶液を作成し、それぞれを市販の低脂肪乳(乳脂肪の含有量1.2%)に0.1質量%添加し、実施例1〜7の低脂肪乳を調製した。
また、エタノール(95v/v%の含水エタノール)のみを0.1質量%添加した低脂肪乳を調製し、比較例1とした。
Figure 0006680937
〔試験例1〕
実施例1〜7及び比較例1の低脂肪乳について、熟練した6名の専門パネルにより、乳のコク、ボリューム感の強さを官能評価した。
結果を表1に示した。
Figure 0006680937
表1より、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを0.01ppt〜10ppm添加すると乳のコク、ボリューム感が強まり、低脂肪乳に好ましい乳脂肪感が付与された。
一方、添加量100ppmでは3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメート自体の香味の影響により、乳の香味が損なわれる結果となった。
〔実施例8〜13〕
乳脂肪感付与剤としての3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートをエタノール(95v/v%の含水エタノール)に5ppm添加したエタノール溶液を、市販の低脂肪乳(乳脂肪の含有量1.2%)に0.1質量%添加して、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを5ppb含有する低脂肪乳を調製した(実施例8)。
3−メルカプト−3−メチルブチルアセテート、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノール、p−メンタ−8−チオール−3−オン、4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオールについても同様に、それぞれ5ppb含有する低脂肪乳を調製した(実施例9、11〜13)。
また、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノンについては、その1ppmエタノール溶液を低脂肪乳に0.1質量%添加し、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノンを1ppb含有する低脂肪乳を調製した(実施例10)。
〔試験例2〕
実施例8〜13の低脂肪乳について、熟練した6名の専門パネルにより、乳のコク、ボリューム感の強さについて官能評価を行った。
評価結果を表2に示した。官能評価結果は、乳脂肪感付与剤を添加しない比較例1(試験例1参照)を4点とした下記7段階で採点したパネルの平均値である。
Figure 0006680937
Figure 0006680937
本発明の乳脂肪感付与剤を添加した低脂肪乳は、無添加品(比較例1)と比較して、風味を損なうことなく乳特有のコクやボリュームが付与され、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
〔実施例14〕
市販の低脂肪ヨーグルト(脂肪分が0.2%)100質量部に対し、乳脂肪感付与剤として、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを0.1ppm含有するエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加え、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを0.1ppb含有する本発明のヨーグルトサンプル1を調製した。
一方、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを含有しないエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加えた比較品ヨーグルトサンプル2を得た。
熟練した専門パネル6名による官能評価を行ったところ、乳脂肪感付与剤を添加したヨーグルトサンプル1は、ヨーグルトサンプル2と比較して、乳特有のコクやボリュームが強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
〔実施例15〕
市販の練乳100質量部に対し、乳脂肪感付与剤として、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを0.1ppm含有するエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加え3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを0.1ppb含有する本発明の練乳サンプル1を調製した。
一方、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを含有しないエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加えた比較品練乳サンプル2を得た。
熟練した専門パネル6名による官能評価を行ったところ、乳脂肪感付与剤を添加した練乳サンプル1は、練乳サンプル2と比較して、乳特有のコクやボリューム、濃厚感が強く感じられ、風味が豊かとなり嗜好性が向上した。
〔実施例16〕
市販の植物性ホイップ100質量部に対し、乳脂肪感付与剤として、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを0.1ppm含有するエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加え、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを0.1ppb含有する本発明の植物性ホイップサンプル1を調製した。
一方、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを含有しないエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加えた植物性ホイップサンプル2を得た。
熟練した専門パネル6名による官能評価を行ったところ、乳脂肪感付与剤を添加した植物性ホイップサンプル1は、植物性ホイップサンプル2と比較して、乳特有のコクやボリューム、濃厚感が強く感じられ、動物性クリーム様の風味になり嗜好性が向上した。
〔実施例17〕
市販のマーガリン100質量部に対し、乳脂肪感付与剤として、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを0.1ppm含有するエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加え、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを0.1ppb含有する本発明のマーガリンサンプル1を調製した。
一方、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを含有しないエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加えたマーガリンサンプル2を得た。
熟練した専門パネル6名による官能評価を行ったところ、乳脂肪感付与剤を添加したマーガリンサンプル1は、マーガリンサンプル2と比較して、乳特有のコクやボリューム、濃厚感が強く感じられ、動物性クリーム様のマイルドな風味になり嗜好性が向上した。
〔実施例18〕
市販の植物性ホイップ100質量部に対し、乳脂肪感付与剤として、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを10ppb含有するエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加え、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを10ppt含有する本発明の植物性ホイップサンプル3を調製した。
〔比較例2〕
市販の植物性ホイップ100質量部に対し、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートを含有しないエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加えた植物性ホイップサンプルを調製し、比較例2とした。
〔比較例3〕
市販の植物性ホイップ100質量部に対し、特許文献5に記載の有効成分である3−メチルノナン−2,4−ジオンを10ppb含有するエタノール溶液(95v/v%の含水エタノール)を0.1質量部加え、3−メチルノナン−2,4−ジオンを10ppt含有する植物性ホイップサンプルを調製し、比較例3とした。
〔試験例3〕
実施例18の植物性ホイップについて、熟練した8名の専門パネルにより乳脂肪感の強さ(コク、ボリューム感)及び発現性の強さについて評価を行った。
評価結果を表3に示した。
官能評価結果は、比較例2を4点とした下記7段階で採点したパネルの平均値である。
乳脂肪感の強さは、以下の7段階で評価した。
Figure 0006680937
発現性は、トップ(口に入れてすぐに感じる香味)及びラスト(口に入れてしばらく感じる香味および余韻)の強さを、乳脂肪感と同じ7段階で評価した。
Figure 0006680937
比較例3及び実施例18のいずれのサンプルも比較例2と比較して、乳のコク、ボリュームが強く感じられたが、香味の発現性が異なった。
すなわち、比較例3は主にラストの乳脂肪感が増強され、余韻が強く感じられるのに対し、本発明品の実施例18は、主にトップの乳脂感、乳特有の香り立ちが強く感じられた。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される第三級チオール化合物から選択される少なくとも1種の化合物からなる乳関連製品の乳脂肪感付与剤であって、ここで乳関連製品とは、低脂肪乳、低脂肪乳製品、低脂肪乳若しくは低脂肪乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品であり、ここで低脂肪乳又は低脂肪乳製品とは、製品100g当たりの脂質量が3.0g以下(飲用に供する液状の食品の場合は100ml当たりの脂質量が1.5g以下)の製品、又は、製品の脂質を25%以上低減させた製品であって、100g当たりの脂質の低減量が元の製品よりも3.0g以上(飲用に供する液状の食品の場合は100ml当たりの脂質の低減量が1.5g以上)の製品である、
    上記の乳脂肪感付与剤。
    Figure 0006680937
    [式中、R1は、
    Figure 0006680937
    である。]
  2. 乳脂肪感付与剤の乳関連製品への添加量が0.01ppt〜10ppmである請求項1記載の乳脂肪感付与剤。
  3. 第三級チオール化合物が、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートである請求項1又は2に記載の乳脂肪感付与剤。
  4. 乳製品代用品が、マーガリン、ファットスプレッド、コーヒーホワイトナー、植物ホイップである請求項1〜3のいずれか1項記載の乳脂肪感付与剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳脂肪感付与剤を含有することを特徴とする乳関連製品用香料組成物であって、ここで乳関連製品とは、低脂肪乳、低脂肪乳製品、低脂肪乳若しくは低脂肪乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品であり、ここで低脂肪乳又は低脂肪乳製品とは、製品100g当たりの脂質量が3.0g以下(飲用に供する液状の食品の場合は100ml当たりの脂質量が1.5g以下)の製品、又は、製品の脂質を25%以上低減させた製品であって、100g当たりの脂質の低減量が元の製品よりも3.0g以上(飲用に供する液状の食品の場合は100ml当たりの脂質の低減量が1.5g以上)の製品である、
    上記の低脂肪乳関連製品用香料組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳脂肪感付与剤を乳関連製品に0.01ppt〜10ppm添加することを特徴とする乳脂肪感付与方法であって、ここで乳関連製品とは、低脂肪乳、低脂肪乳製品、低脂肪乳若しくは低脂肪乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品であり、ここで低脂肪乳又は低脂肪乳製品とは、製品100g当たりの脂質量が3.0g以下(飲用に供する液状の食品の場合は100ml当たりの脂質量が1.5g以下)の製品、又は、製品の脂質を25%以上低減させた製品であって、100g当たりの脂質の低減量が元の製品よりも3.0g以上(飲用に供する液状の食品の場合は100ml当たりの脂質の低減量が1.5g以上)の製品である、
    上記の乳脂肪感付与方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の乳脂肪感付与剤を0.01ppt〜10ppm含有する乳関連製品であって、ここで乳関連製品とは、低脂肪乳、低脂肪乳製品、低脂肪乳若しくは低脂肪乳製品を含有する飲食物、又は乳製品代用品であり、ここで低脂肪乳又は低脂肪乳製品とは、製品100g当たりの脂質量が3.0g以下(飲用に供する液状の食
    品の場合は100ml当たりの脂質量が1.5g以下)の製品、又は、製品の脂質を25%以上低減させた製品であって、100g当たりの脂質の低減量が元の製品よりも3.0g以上(飲用に供する液状の食品の場合は100ml当たりの脂質の低減量が1.5g以上)の製品である、
    上記の低脂肪乳関連製品。
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