JP5150540B2 - 炭化水素油の水素化精製方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化精製方法 Download PDF

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本発明は、灯油、軽油、灯油と軽油の混合油のいずれかを水素化精製する工程と、減圧軽油を水素化精製する工程とを交互に行う炭化水素油の水素化精製方法に関する。
近年、液体燃料においては、硫黄含有量をより低減させることが要求されている。その要求に対して、燃料油メーカーでは既に様々なクリーン燃料製造法を検討してきた。特にガソリンにおいては硫黄分10ppm以下の規制があるため、燃料油メーカーでは触媒の改良や設備の増設等の対応策を採ってきた。
一般に、ガソリンの主基材は流動接触分解装置(FCC)で生成する分解ガソリンである。したがって、ガソリン中の硫黄分を低減するためには、分解ガソリン中の硫黄分を低減することが重要である。
分解ガソリン中の硫黄分はFCCの原料である減圧軽油中の硫黄分に依存し、減圧軽油中の硫黄分が多いほど、分解ガソリン中の硫黄分も高くなることが知られている。したがって、硫黄分が低いクリーンなガソリンを製造するためには、FCCの原料である減圧軽油中の硫黄分をあらかじめ除去する必要がある。
通常、減圧軽油を脱硫するための水素化精製処理(FCCの前処理)では、水素化精製用触媒を充填した固定床反応塔にて、水素気流中、高温高圧の反応条件で減圧軽油を水素化精製する処理が行なわれる。
また、ディーゼル燃料の基材となる灯油や軽油についても、減圧軽油と同様に、水素化精製用触媒を充填した固定床反応塔にて、水素化脱硫が行なわれる。
水素化精製用触媒としては、アルミナ等の担体にモリブテンやコバルト等の活性金属が担持されたものが広く使用されている。
水素化精製における脱硫活性は、担体の種類、活性金属の種類や量に影響を受けることが知られている。例えば、非特許文献1には、担体(アルミナまたはシリカ)および活性金属(モリブテンまたはモリブテンとコバルトの混合)の影響が開示されている。また、非特許文献2には、担体としてジルコニアやチタニアを用い、活性金属としてニッケルやタングステンを用いた触媒の脱硫活性について開示されている。
アプライド・キャタリシスA:ジェネラル(Applied Catalysis A:General)、エルゼビア(Elsevier)社発行、345、2008年、p.80−88 アプライド・キャタリシスA:ジェネラル(Applied Catalysis A:General)、エルゼビア(Elsevier)社発行、257、2004年、p.157−164
ところで、ほとんどの製油所では、灯油または軽油の水素化精製用反応塔と減圧軽油の水素化精製用反応塔とは異なるものを使用し、触媒も各原料油の性状に応じたものが使用されている。しかしながら、一部の製油所では設備が不足しているため、同一の反応塔で、同一の触媒を用いて、灯油または軽油の水素化精製と減圧軽油の水素化精製とを交互に行っている。
これまで、各々の原料油に適した水素化精製用触媒は開発されてきたが、灯油または軽油の水素化精製と減圧軽油の水素化精製の両方に適した触媒は知られていなかった。そのため、灯油または軽油の水素化精製と減圧軽油の水素化精製を交互に行う場合には、一方の原料油に適した触媒を用いるため、他方の原料油の水素化精製の脱硫活性が低くなることがあった。
他方の原料油の水素化精製において脱硫活性が低くなる場合には、硫黄分の除去量を維持するために反応温度を上げることがあった。しかしながら、その場合には触媒が劣化しやすく、寿命が短くなるという問題を生じた。また、他方の原料油の水素化精製において脱硫活性が低くなる場合には、処理量を低減させることもあったが、その場合には経済性が損なわれるという問題が生じた。
本発明の目的は、同一の水素化精製用触媒を用いて、灯油、軽油、灯油と軽油の混合油のいずれかを水素化精製する工程と減圧軽油を水素化精製する工程とを交互に行うにもかかわらず、両工程にて硫黄分を高度に除去でき、水素化精製用触媒の劣化を抑制できる炭化水素油の水素化精製方法を提供することにある。
本発明は、以下の構成を有する。
[1] 水素化精製用触媒に、水素存在下、灯油、軽油、灯油と軽油の混合油のいずれかを接触させて水素化精製する工程と、前記水素化精製用触媒と同一の水素化精製用触媒に、水素存在下、減圧軽油を接触させて水素化精製する工程とを交互に行う炭化水素油の水素化精製方法であって、
水素化精製用触媒として、アルミニウム、珪素、リンおよびホウ素を含有する担体にモリブテン、コバルトおよびニッケルを担持した触媒前駆体を、硫化モリブテンの平均積層数が1.0を超え1.9以下になるように予備硫化処理して得た水素化精製用触媒を用いることを特徴とする炭化水素油の水素化精製方法。
[2] 前記水素化精製用触媒の担体は、
(a)アルミニウムの含有量が、アルミニウム酸化物(Al)換算で75質量%以上、
(b)珪素の含有量が、珪素酸化物(SiO)換算で0.2〜10.0質量%、
(c)リンの含有量が、リン酸化物(P)換算で1.0〜5.0質量%、
(d)ホウ素の含有量が、ホウ素酸化物(B)換算で1.0〜10.0質量%である(ただし、担体全体を100質量%とする。)ことを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の水素化精製方法。
[3] 前記水素化精製用触媒は、
(e)モリブテンの含有量が、モリブデン酸化物(MoO)換算で10〜23質量%、
(f)コバルトの含有量が、コバルト酸化物(CoO)換算で1.0〜5.0質量%、
(g)ニッケルの含有量が、ニッケル酸化物(NiO)換算で0.2〜3.0質量%である(ただし、水素化精製用触媒全体を100質量%とする。)ことを特徴とする[1]または[2]に記載の炭化水素油の水素化精製方法。
本発明の炭化水素油の水素化精製方法によれば、同一の水素化精製用触媒を用いて、灯油、軽油、灯油と軽油の混合油のいずれかを水素化精製する工程と減圧軽油を水素化精製する工程とを交互に行うにもかかわらず、両工程にて硫黄分を高度に除去でき、水素化精製用触媒の劣化を抑制できる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の炭化水素油の水素化精製方法は、水素化精製用触媒に、水素存在下、灯油、軽油、灯油と軽油の混合油のいずれかを接触させる工程(以下、第1の工程という。)と、水素化精製用触媒に、水素存在下、減圧軽油を接触させる工程(以下、第2の工程という。)とを交互に行う。
第1の工程で処理される灯油とは、石油精製における常圧蒸留塔より留出した留分であり、沸点が140℃〜260℃の留分を70質量%以上含む留分である。
軽油とは、石油精製における常圧蒸留塔より留出した留分であり、沸点が260℃〜360℃の留分を70質量%以上含む留分である。
第1の工程における反応圧力(水素分圧)は3.0〜15.0MPaであることが好ましく、4.0〜10.0MPaであることがより好ましい。反応圧力が3.0MPa以上であれば、脱硫活性のみならず脱窒素活性がより高くなり、15.0MPa以下であれば、水素消費量を抑制でき、運転コストの増加を抑えることができる。
反応温度は300〜420℃であることが好ましく、320〜380℃であることがより好ましい。反応温度が300℃以上であれば、脱硫活性のみならず脱窒素活性がより高くなり、420℃以下であれば、触媒劣化をより抑制できると共に、反応装置の耐熱温度(通常約425℃)より低くなる。
液空間速度は0.5〜4.0h−1であることが好ましく、0.5〜2.0h−1であることがより好ましい。液空間速度が0.5h−1以上であれば、処理量が多くなり、生産性を向上させることができ、4.0h−1以下であれば、反応温度を低くでき、触媒劣化をより抑制できる。
水素油比は1000〜8000scfb(1バレルあたりの標準立方フィート)であることが好ましく、1500〜5000scfbであることがより好ましい。水素油比が1000scfb以上であれば、脱硫活性のみならず脱窒素活性をより向上させることができ、8000scfb以下であれば、運転コストの増加を抑えることができる。
第2の工程で処理される減圧軽油とは、石油精製における常圧蒸留残油を減圧蒸留装置で処理した際の、沸点が340〜550℃の留分を70質量%以上含む留分である。常圧蒸留で処理される油は特に限定されないが、石油系の原油、オイルサンド由来の合成原油、石炭液化油、ビチュメン改質油などが挙げられる。
第2の工程における反応条件は、第1の工程における反応条件と同様である。
第1の工程および第2の工程では、水素化精製用触媒としては同一のものを使用する。 本発明における水素化精製用触媒は、アルミニウム、珪素、リンおよびホウ素を含有する担体にモリブテン、コバルトおよびニッケルを担持した触媒前駆体を予備硫化処理したものである。
通常、水素化精製用触媒は、固定床反応器内に充填されて使用される。
担体中のアルミニウムの含有量は、アルミニウム酸化物(Al)換算で75質量%以上であり、好ましくは80質量%以上である。酸化物換算のアルミニウムの含有量が75質量%未満であると、触媒劣化しやすくなる傾向にある。
担体中の珪素の含有量は、珪素酸化物(SiO)換算で0.2〜10.0質量%であり、好ましくは0.5〜6.0質量%である。酸化物換算の珪素含有量が0.2質量%未満または10.0質量%を超えると、モリブテンが凝集し、脱硫活性および脱窒素活性が低下する傾向にある。
担体中のリンの含有量は、リン酸化物(P)換算で1.0〜5.0質量%であり、好ましくは2.0〜4.0質量%である。酸化物換算のリン含有量が1.0質量%未満または5.0質量%を超えると、脱硫活性が低下する傾向にある。
担体中のホウ素の含有量は、ホウ素酸化物(B)換算で1.0〜10.0質量%であり、好ましくは3.0〜7.0質量%である。酸化物換算のホウ素含有量が1.0質量%未満であると、充分な脱硫および脱窒素活性が得られず、10.0質量%を超えると、触媒強度が弱くなり、実用上使用することは困難である。
なお、上記アルミニウム、珪素、リンおよびホウ素の含有量はいずれも、担体全体を100質量%とした際の量である。
該水素化精製用触媒におけるモリブテン含有量は、モリブデン酸化物換算で10〜23質量%であり、好ましくは12〜22質量%、より好ましくは15〜20質量%である。酸化物換算のモリブデン含有量が10質量%未満または23質量%を超えると、脱硫活性および脱窒素活性が急激に低下する傾向にあり、実用的でない。
コバルト含有量は、コバルト酸化物(CoO)換算で1.0〜5.0質量%であり、好ましくは2.0〜4.0質量%である。酸化物換算のコバルト含有量が1.0質量%未満であると、脱硫活性の低下が大きくなる傾向にあり、5.0質量%を超えると、脱硫活性の向上が見られない。
ニッケル含有量は、ニッケル酸化物(NiO)換算で0.2〜3.0質量%である。酸化物換算のニッケル含有量が0.2質量%未満であると、脱窒素活性の低下が大きくなり、3.0質量%を超えると、脱硫活性が低下する。
なお、上記モリブデン、コバルトおよびニッケルの含有量はいずれも、水素化精製用触媒全体を100質量%とした際の量である。
予備硫化処理が施された水素化精製用触媒においては、担体表面に硫化モリブデンが層状に形成されている。
硫化モリブテンの平均積層数は1.0を超え1.9以下であり、好ましくは1.1〜1.6である。平均積層数が1.9以下であることにより、灯油、軽油、減圧軽油のいずれに対しても脱硫活性が高くなる。なお、平均積層数1.0以下のものは事実上得られない。
ここで、硫化モリブデンの平均積層数は、以下の方法により求められる。
すなわち、水素化精製用触媒の透過型電子顕微鏡写真を撮影し、画像に見られる各硫化モリブデンの積層数を調べる。そして、以下の式により平均積層数を求める。
(平均積層数)=Σ(積層数n×積層数nの硫化モリブデンの個数)/測定対象の硫化モリブデンの合計数
(ただし、nは1以上の整数である。)
上記水素化精製用触媒は、アルミニウム、珪素、リンおよびホウ素を含有する担体にモリブテン、コバルトおよびニッケルを担持して調製した触媒前駆体を予備硫化処理する方法により得られる。
担体に活性金属を担持させて触媒前駆体を調製する方法としては、例えば、含浸法が挙げられる。ここで、含浸法とは、担体に活性金属の溶液を含浸させた後、乾燥、焼成する方法のことである。
含浸法では、モリブデン、コバルトおよびニッケルの3種類の金属を同時に担持することが好ましい。別々に金属を担持すると、脱硫活性または脱窒素活性が不充分になることがある。例えば、まず、モリブテンとコバルトとを同時含浸し、その後、ニッケルのみを含浸させて担持した場合には、脱窒素活性が低くなることがある。
担持を含浸法により行う場合には、担体上でのモリブデンの分散性が高くなって、得られる触媒の脱硫活性のみならず脱窒素活性がより高くなることから、リン酸またはカルボン酸化合物の共存下で行うことが好ましい。その際、モリブテン酸化物100質量%に対して3〜25質量%のリン酸および35〜75質量%のカルボン酸化合物を添加することが好ましい。ここで、カルボン酸化合物としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸などが挙げられる。
予備硫化処理は、具体的には、触媒前駆体に硫黄化合物(例えば硫化水素、ジメチルジスルフィド等)および水素を反応させる処理である。この処理により、硫化モリブテンの積層構造を形成させて、活性を発現させることができる。
この予備硫化処理では、硫化後の硫化モリブテンの平均積層数が1.0を超え1.9以下になるように調整する。上述したように、硫化モリブデンの平均積層数が1.9以下であることにより、脱硫活性を高くすることができる上に、脱窒素活性も高くなる。
予備硫化処理の条件によって、硫化モリブテンの硫化の度合いおよび硫化モリブデンの積層数が変わるため、平均積層数が前記範囲になるように、圧力(水素分圧)や温度等の条件を適宜調整する。
具体的に、予備硫化処理では、圧力を2.0MPa以上にすることが好ましく、3.0MPa以上にすることがより好ましい。圧力が2.0MPa以上であれば、充分にモリブテンを硫化でき、脱硫活性のみならず脱窒素活性をより高くできる。
また、予備硫化処理における水素分圧は、予備硫化装置の耐圧の観点から、150MPa以下であることが好ましい。
また、予備硫化処理では、温度を240〜380℃にすることが好ましく、250〜350℃にすることがより好ましい。また、予備硫化処理の際の温度が240℃以上であれば、充分にモリブテンを硫化でき、380℃以下であれば、容易に硫化モリブテンの平均積層数を1.9以下にできる。
上記水素化精製用触媒を用いる本発明の水素化精製方法では、灯油、軽油、灯油と軽油の混合油のいずれかを水素化脱硫する第1の工程と、減圧軽油を水素化脱硫する第2の工程とを交互に行うにもかかわらず、両工程にて硫黄分を高度に除去できる。そのため、一方の工程にて反応温度を大幅に上げる必要がなく、触媒の劣化を抑制でき、寿命が短くなることを防ぐことができる。
さらに、上記水素化精製用触媒を用いる本発明の水素化精製方法では、第1の工程および第2の工程において窒素分も高度に除去できる。そのため、FCCにて、窒素分で被毒を受けるFCC触媒の劣化を防止できるため、分解ガソリン収率を向上させることができる。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[触媒前駆体の調製]
(触媒前駆体1)スチームジャケット付100Lタンクに、Al濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液8.55kgを入れ、イオン交換水29kgで希釈した。その後、P濃度換算で2.5質量%のリン酸三ナトリウム溶液3.6kgとSiO濃度換算で5.0質量%の珪酸ナトリウム溶液1.8kgを攪拌しながら添加し、60℃に加熱して、担体調製用溶液を得た。
また、50L容器に、Al濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液13.43kgを入れ、イオン交換水24kgで希釈した。次いで、ローラーポンプを用いて、前記希釈した硫酸アルミニウム溶液を、前記担体調製用溶液に一定速度でpHが7.2となるまで添加して、水和物スラリーを調製した。
得られた水和物スラリーを攪拌しながら60℃で1時間熟成した後、平板フィルターを用いて脱水し、0.3質量%アンモニア水溶液150Lで洗浄した。洗浄後のケーキ状スラリーをイオン交換水で希釈してAl濃度で10質量%となるようにした後、15質量%アンモニア水でpHを10.5に調整した。
pHを調整したスラリーを還流機付熟成タンクに移し、攪拌しながら95℃で10時間熟成した。熟成終了後のスラリーを脱水し、スチームジャケットを備えた双腕式ニーダーにて練りながら所定の水分量まで濃縮捏和した後、ホウ酸280gを添加し、再度所定の水分量まで濃縮捏和した。得られた捏和物を押し出し成型機にて直径1.8mm、長さ2〜3mmの円柱状に成型し、110℃で乾燥した。次いで、乾燥した成型品を、電気炉で550℃の温度で3時間焼成して担体を得た。この担体中のSiO濃度は2.8質量%、P濃度は2.8質量%、B濃度は5.0質量%であった。
次いで、三酸化モリブデン235g、塩基性炭酸ニッケル24gおよび塩基性炭酸コバルト75gをイオン交換水500mlに懸濁させ、この懸濁液を95℃で5時間液容量が減少しないように還流させながら加熱した。その後、加熱後の液にクエン酸147gおよびリン酸21gを加えて溶解させて含浸液を調製し、その含浸液を前記担体1000gに噴霧含浸させた。この含浸品を、乾燥した後、電気炉にて550℃で1時間焼成して、触媒前駆体1を得た。触媒前駆体1の活性金属成分は、MoOが18.0質量%で、CoOが3.5質量%で、NiOが1.0質量%であった。
(触媒前駆体2)含浸液の調製においてクエン酸の代わりにリンゴ酸147gを使用したこと以外は、触媒前駆体1と同様の調製法により触媒前駆体2を得た。触媒前駆体2の活性金属成分は、MoOが18.0質量%、CoOが3.5質量%、NiOが1.0質量%であった。
(触媒前駆体3)担体調製においてホウ酸を使用しなかったこと以外は触媒前駆体2と同様の調製法により触媒前駆体4を得た。
(触媒前駆体4)担体調製においてリン酸三ナトリウムを使用しなかったこと以外は触媒前駆体2と同様の調製法により触媒前駆体4を得た。
(触媒前駆体5)金属担持において塩基性炭酸ニッケルを使用しなかったこと以外は触媒前駆体2と同様の調製法により触媒前駆体5を得た。
(触媒前駆体6)金属担持においてモリブテンとニッケルを先に含浸させ、乾燥後にコバルトを含浸させたこと以外は触媒前駆体2と同様の調製法により触媒前駆体6を得た。
[予備硫化方法]
(硫化法1)流通式固定床反応装置に触媒前駆体100mlを充填し、混合ガス(水素:硫化水素=97:3容量%)を30L/時間の流速で流しながら、全圧6MPaにて反応塔を室温から10℃/分の速度で加熱昇温した。次いで、240℃で4時間保持した後、再び340℃まで昇温した。340℃で24時間保持して、予備硫化を終了した。
(硫化法2)最終温度を400℃としたこと以外は、硫化法1と同様にして、予備硫化処理を行った。
[平均積層数の求め方]
予備硫化終了後、反応塔を室温まで冷却し、流通ガスを混合ガスから窒素に切り替えた。圧力を常圧まで下げた後、反応塔入口および出口を、開閉弁を閉じることにより封じた後、反応塔を取り外した。窒素で満たされたグローボックス内で反応塔から予備硫化処理した触媒を取り出し、そのうちの約10gを20メッシュ以下に粉砕した。得られた触媒粉末は窒素雰囲気下でサンプル容器に保存した。
硫化触媒中の硫化モリブテン積層数は、透過型電子顕微鏡(TEM)の画像を観察することにより測定される。
平均積層数は、以下の式により求められる。
(平均積層数)=Σ(積層数n×積層数nの硫化モリブデンの個数)/測定対象の硫化モリブデンの合計数
(ただし、nは1以上の整数である。)
[減圧軽油および軽油の水素化精製]
(実施例1)触媒前駆体1(100ml)を固定床反応装置に充填し、硫化法1にて予備硫化処理した。その後、その固定床反応装置に、減圧軽油(沸点範囲343〜550℃、硫黄分2.44質量%)を200ml/時間の速度で供給して、水素化精製を行なった。その際の、反応条件は、水素分圧6MPa、液空間速度2.0h−1、水素油比2,500scfb、反応温度340℃とした。
また、減圧軽油を処理した後、減圧軽油の代わりに軽油(沸点範囲260〜359℃、硫黄分1.24質量%)を使用し、反応温度を350℃にして、水素化精製を行なった。
減圧軽油および軽油の水素化精製後の硫黄分を表1に示す。
(実施例2)触媒前駆体1の代わりに触媒前駆体2を使用したこと以外は、実施例1と同様の水素化精製を行なった。水素化精製後の硫黄分を表1に示す。
(比較例1)触媒前駆体1の代わりに触媒前駆体3を使用したこと以外は、実施例1と同様の水素化精製を行なった。水素化精製後の硫黄分を表1に示す。
(比較例2)触媒前駆体1の代わりに触媒前駆体4を使用したこと以外は、実施例1と同様の水素化精製を行なった。水素化精製後の硫黄分を表1に示す。
(比較例3)触媒前駆体1の代わりに触媒前駆体5を使用したこと以外は、実施例1と同様の水素化精製を行なった。水素化精製後の硫黄分を表1に示す。
(比較例4)触媒前駆体1の代わりに触媒前駆体6を使用したこと以外は、実施例1と同様の水素化精製を行なった。水素化精製後の硫黄分を表1に示す。
(比較例5)予備硫化において硫化法1の代わりに硫化法2を適用したこと以外は実施例1と同様の水素化精製を行なった。水素化精製後の硫黄分を表1に示す。
Figure 0005150540
アルミニウム、珪素、リンおよびホウ素を含有する担体にモリブテン、コバルトおよびニッケルを担持して調製された触媒前駆体が予備硫化され、硫化モリブテンの平均積層数が1.0を超え1.9以下の水素化精製用触媒を用いた実施例1,2では、減圧軽油および軽油の両方について、硫黄分を高度に除去できた。
担体の成分としてホウ酸を含まない水素化精製用触媒を用いた比較例1、担体の成分としてリンを含まない水素化精製用触媒を用いた比較例2では、減圧軽油および軽油の硫黄分を充分に除去できなかった。
活性金属の成分としてニッケルを含まない水素化精製用触媒を用いた比較例3では、減圧軽油および軽油の硫黄分を充分に除去できなかった。
アルミニウム、珪素、リンおよびホウ素を含有する担体にモリブテン、コバルトおよびニッケルを担持して調製された触媒前駆体を予備硫化したが、硫化モリブテンの平均積層数が1.9を超える水素化精製用触媒を用いた比較例4,5では、減圧軽油および軽油の硫黄分を充分に除去できなかった。

Claims (3)

  1. 水素化精製用触媒に、水素存在下、灯油、軽油、灯油と軽油の混合油のいずれかを接触させて水素化精製する工程と、前記水素化精製用触媒と同一の水素化精製用触媒に、水素存在下、減圧軽油を接触させて水素化精製する工程とを交互に行う炭化水素油の水素化精製方法であって、
    水素化精製用触媒として、アルミニウム、珪素、リンおよびホウ素を含有する担体にモリブテン、コバルトおよびニッケルを担持した触媒前駆体を、硫化モリブテンの平均積層数が1.0を超え1.9以下になるように予備硫化処理して得た水素化精製用触媒を用いることを特徴とする炭化水素油の水素化精製方法。
  2. 前記水素化精製用触媒の担体は、
    (a)アルミニウムの含有量が、アルミニウム酸化物(Al)換算で75質量%以上、
    (b)珪素の含有量が、珪素酸化物(SiO)換算で0.2〜10.0質量%、
    (c)リンの含有量が、リン酸化物(P)換算で1.0〜5.0質量%、
    (d)ホウ素の含有量が、ホウ素酸化物(B)換算で1.0〜10.0質量%である(ただし、担体全体を100質量%とする。)ことを特徴とする請求項1に記載の炭化水素油の水素化精製方法。
  3. 前記水素化精製用触媒は、
    (e)モリブテンの含有量が、モリブデン酸化物(MoO)換算で10〜23質量%、
    (f)コバルトの含有量が、コバルト酸化物(CoO)換算で1.0〜5.0質量%、
    (g)ニッケルの含有量が、ニッケル酸化物(NiO)換算で0.2〜3.0質量%である(ただし、水素化精製用触媒全体を100質量%とする。)ことを特徴とする請求項1または2に記載の炭化水素油の水素化精製方法。
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