JP5150020B2 - AlN−Al2O3複合材料の製造法 - Google Patents
AlN−Al2O3複合材料の製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5150020B2 JP5150020B2 JP2000116960A JP2000116960A JP5150020B2 JP 5150020 B2 JP5150020 B2 JP 5150020B2 JP 2000116960 A JP2000116960 A JP 2000116960A JP 2000116960 A JP2000116960 A JP 2000116960A JP 5150020 B2 JP5150020 B2 JP 5150020B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aln
- powder
- sintered body
- thermal conductivity
- composite material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた熱伝導率を有し、高放熱性の半導体用基板や、ICを組み立てる際に部品を加熱圧着して接合する治具として使用するAlN−Al2O3複合焼結体とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特開平2−248368号公報に記載されているように、AlN焼結体自体は、優れた熱伝導率を有するセラミックスであることは従来から知られている。このAlN焼結体は、主成分であるAlNに、焼結助剤としてY2O3やCaOなどの酸化物を添加して窒素ガス中で普通焼結して得られたAlNと焼結助剤の2成分系焼結体であって、これらの焼結助剤以外の成分は熱伝導率を阻害するものとされ、この2成分系の範囲内での高純度のものが指向されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように熱伝導性に優れたAlN焼結体ではあっても、下記欠点があることが指摘されている。
【0004】
先ず第1は、高純度を指向するために、通常のセラミックスの場合のような粒成長抑制剤の存在は許容されず、そのため焼結中の結晶粒子成長が抑制できず、この成長した結晶粒子内に気孔が取り込まれて粒内気孔として残存し、焼結体の密度は理論密度の99%以下となって十分に緻密化することが困難であることである。そのために、従来の熱伝導性に優れたAlN焼結体は、硬さはもとより、曲げ強度や破壊靭性などの機械的性質が劣ることである。
【0005】
その第2は、遊離酸素やAl2O3として存在する結合酸素の存在によって熱伝導率が低下するいう問題があるために焼結体中の酸素量を1%以下にする必要があり、焼結雰囲気が制限されることである。
【0006】
また、その第3は、焼結体中のAlN結晶粒子同士の結合強度が低く、強度、靭性のほかに、加工時に結晶粒子が脱落し、加工面は気孔の存在と同様に、面粗度が低下し、摩擦係数が増大し、異常発熱や相手材との反応、凝着などの問題が発生する。
【0007】
さらには、AlNは熱伝導率が高いという特性があるが、それを損なう要素の一つに気孔の存在がある。熱伝導率は粒界に不純物や気孔があると熱伝導が妨げられ、本来の熱伝導率が得られない。したがって、高い熱伝導率を得るためには気孔を減らす、すなわち、焼結体の相対密度を理論密度近くまで上げることが必要となる。
【0008】
さらにまた、AlN焼結体に数ミクロンから十数ミクロンの厚さのメタライズ層を形成したヒーターのような機能材として使用する用途がある。この場合にも、焼結体の気孔の存在による表面粗度の不均一がメタライズ層の厚みのばらつきを招いたり、塗布するメタライズがにじんでヒーター形状が変化し、所定の発熱特性が維持できないなどの電気的性質に悪影響を及ぼす。
【0009】
このように、従来の窒化アルミニウムセラミック材料は、AlN単一組成の材料であるために焼結時の結晶粒子成長のコントロールは焼結温度に依存しており、十分な密度を得るためには焼結温度を上げる必要がある。これが、結晶粒子が成長をもたらし、気孔が発生しやすい傾向にある。
【0010】
本発明において解決しようとする課題は、AlN焼結体自体が有する優れた熱伝導性を損なうことなく、気孔の形成を低減せしめ、表面粗度を改善し、靭性、強度を向上させるための手段、とくに、圧着治具に適した窒化アルミニウム(AlN)質セラミックスを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、Y2O3粉末とAl2O3粉末とをそれぞれ、2≦Y2O3≦7(重量%)0.5≦Al2O3≦10(重量%)の範囲含有するAlN粉末をプレスし、得られたプレス品を大気雰囲気400℃から800℃で加熱して粉体粒子の表面酸化処理を行ない、次いで、窒素雰囲気で、粒成長が生じない1750〜1850℃の焼結温度で予備的に焼結し、さらに、1650〜1750℃の温度域で窒素ガスを用いた熱間静水圧加圧焼結によって緻密化するAlN−Al2O3複合材料の製造法であって、これによって、AlN焼結体中に、結晶粒成長抑制材として、Al2O3結晶粒子を分散させることで、結晶粒子の微細化による気孔の含有容量をほぼ0.1%以下とすることができ、機械的性質の向上、特に、曲げ強度・破壊靭性・硬さを向上することができる。
【0012】
AlN中のAl2O3粒子はAlNとは反応せずに単独でAlNの結晶粒界に存在することになり、焼結中のAlN結晶粒成長を抑制する効果がある。しかしながら、過剰な添加はAlN自体の優れた熱伝導性を低下させることになるので、その添加量は、重量%で、0.5〜10%の範囲内であることが好ましい。
【0013】
その添加手段としては、粒子径が小さいAl2O3原料粉末を所定量添加して混合分散するか、あるいは、ボールからの混入によっても添加できる。Al2O3原料粉末の一次粒子の大きさとしては、AlNの粒界に存在して粒成長を抑制し、強度靱性を改善する点から、平均粒径で0.1〜1μmの範囲にあるのが望ましい。
【0014】
本発明の焼結体の製造に際しては、粒界バインダー相を減らし、粒成長が生じない1700〜1800℃の焼結温度で予備的に焼結し、残留した内部気孔を、焼結後のHIP処理(熱間静水圧加圧焼結)によって気孔を除去して、0.1容積%以下の気孔率を有する焼結体を得ることができる。このように、焼結体は、気孔がほとんどないものとすることができるので、靭性、強度が向上した優れた熱伝導率を有する素材とすることができる。
【0015】
さらに、焼結前に、400〜800℃の温度域で、大気中で酸化処理することによってAlN結晶粒子界面に酸素を導入し、それによって、粒界での結晶粒子結合力が向上し、強度、靭性はもとより、加工時の粒子脱落がなくなり、面粗度が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例によって本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
主成分として、平均粒子径が0.8ミクロンのAlN粉末、及び、焼結助剤である平均粒子径1.0ミクロンのY2O3および、平均粒径で0.5μmのアルミナ粉を所定量添加し、メタノール溶媒中で焼結体の純度が99.5%以上のφ15mmのAl2O3ボールを入れたナイロンポット中にて20時間分散混合を行った。スラリー取り出しの後、アルコール系のバインダーを添加して、クローズドスプレードライヤーにて窒素雰囲気中で造粒混合を行った。
【0018】
得られた調製造粒粉を4×5×45mmの曲げ試験片、Φ20×3tmmの熱 伝導率測定用試料を金型プレスで作製し、脱脂の後、大気雰囲気中500℃の温度で1時間保持し、粉体粒子の表面酸化処理を行なった。その後、窒素ガス中、 1750〜1850℃の温度域で予備焼結を行った。得られた試料の一部を、1650〜1750℃の温度域で窒素ガスを用いたHIP処理を行った。
【0019】
この焼結法で作製した試料をそれぞれ、加工して、機械的性質、熱伝導率測定を行った。
【0020】
得られた試料を研削加工し、硬さや曲げ強度などの物性調査と熱伝導率などの熱的特性の測定を行なった。また、得られた研削した試料に、タングステンを主成分とするメタライズ用ペーストを塗布し、その印刷精度、および、端部のにじみについての調査を行なった。また、研削面の面粗度を測定し、粒子脱落の有無による面粗度の変化を調査した。
【0021】
以上の測定結果を表1の実施例1〜20に示す。比較例5〜13は、アルミナの添加効果を比較したものであり、比較例14〜20は、本願発明のY2O3,Al2O3の添加効果を示すための対比のための比較例である。
【0022】
【表1】
表1に示すように、本発明の実施例の場合は、各比較例と対比して気孔の低減と結晶粒子結合強度が向上しており、機械的性質はもとより、メタライズ特性や耐粒子脱落性も改善されていることが認められた。
【0023】
【発明の効果】
本発明によって、以下の効果を奏する。
【0024】
1.焼結体の気孔率が低下によって、従来のAlN材料では対応できなかった曲げ強度、破壊靭性などの種々の機械的性質が向上する。
【0025】
2.Al2O3を添加した本発明材料はAlN量と結晶粒界の点からは、熱伝導率が低下するが、緻密化による気孔率の低下の効果で熱伝導率は向上する。このため、総体的には、従来の2成分系AlN並みの熱伝導率が確保された材料が得られる。
【0026】
3.従来、AlNセラミックスは結晶粒径が大きいことによる低強度が原因で、耐摩耗部品などの用途には採用されることはなかったが、結晶粒子径が小さく、強度が改善された本材料は、耐摩耗性の向上はもとより、粒子が微細で結晶粒子の結合強度が向上しているため、ブラスト摩耗評価においても、従来のAlN焼結体よりも優れている。
【0027】
4.メタライズ時の印刷精度は基材となる焼結体の面粗度に依存しており、気孔の多い焼結体ではメタライズ層の端がにじんで印刷精度に問題があったが、本発明による気孔がない焼結体ではメタライズ時に、微小な印刷パターンでの精度が向上し、小型で精密なメタライズヒーター部材の製造が可能となる。
Claims (2)
- Y2O3粉末とAl2O3粉末とをそれぞれ、
2≦Y2O3≦7(重量%)
0.5≦Al2O3≦10(重量%)
の範囲含有するAlN粉末をプレスし、
得られたプレス品を大気雰囲気400℃から800℃で加熱して粉体粒子の表面酸化処理を行ない、
次いで、
窒素雰囲気で、粒成長が生じない1750〜1850℃の焼結温度で予備的に焼結し、
さらに、
1650〜1750℃の温度域で窒素ガスを用いた熱間静水圧加圧焼結によって緻密化するAlN−Al2O3複合材料の製造法。 - AlN粉末に混合分散されるAl2O3原料粉末の一次粒子の大きさが、平均粒径で0.1〜1μmの範囲にある請求項1に記載のAlN−Al2O3複合材料の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000116960A JP5150020B2 (ja) | 2000-04-18 | 2000-04-18 | AlN−Al2O3複合材料の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000116960A JP5150020B2 (ja) | 2000-04-18 | 2000-04-18 | AlN−Al2O3複合材料の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001302351A JP2001302351A (ja) | 2001-10-31 |
JP5150020B2 true JP5150020B2 (ja) | 2013-02-20 |
Family
ID=18628351
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000116960A Expired - Lifetime JP5150020B2 (ja) | 2000-04-18 | 2000-04-18 | AlN−Al2O3複合材料の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5150020B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4970712B2 (ja) * | 2003-06-19 | 2012-07-11 | 日本碍子株式会社 | 窒化アルミニウム焼結体、窒化アルミニウムの製造方法、及び窒化アルミニウムの評価方法 |
JP4666960B2 (ja) * | 2004-06-28 | 2011-04-06 | 京セラ株式会社 | 静電チャック |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0524930A (ja) * | 1991-07-16 | 1993-02-02 | Showa Denko Kk | AlN焼結体およびその製造方法 |
JP2535139B2 (ja) * | 1994-08-22 | 1996-09-18 | 株式会社東芝 | 放熱基板 |
-
2000
- 2000-04-18 JP JP2000116960A patent/JP5150020B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001302351A (ja) | 2001-10-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5084155B2 (ja) | アルミナ焼結体及びその製造方法、並びに、このアルミナ焼結体を用いた静電チャック及びその製造方法 | |
JP4951753B2 (ja) | 炭化ケイ素焼結体の製造方法 | |
JPWO2008026641A1 (ja) | 酸化アルミニウム基複合焼結体及び切削インサート | |
JPS60246268A (ja) | サイアロン基セラミツクス | |
JP5150020B2 (ja) | AlN−Al2O3複合材料の製造法 | |
JP4598212B2 (ja) | Wc基複合セラミックス焼結体の製造方法 | |
JP3537241B2 (ja) | 窒化珪素焼結体の製造方法 | |
CN101511748A (zh) | 氧化铝基复合烧结体和切削刀片 | |
JP2019529320A (ja) | セラミック構成要素およびその形成方法 | |
JP4802312B2 (ja) | セラミック治具及びその製造方法 | |
JP3303729B2 (ja) | 窒化アルミニウム系焼結体とその製造方法 | |
WO2023084957A1 (ja) | 窒化珪素複合材料及びプローブ案内部品 | |
JPH0688832B2 (ja) | 多結晶セラミックス製品及びその製造方法 | |
JP4761617B2 (ja) | 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法、並びにそれを用いた電子用部品 | |
JP2723170B2 (ja) | 超塑性窒化ケイ素焼結体 | |
JP2513260B2 (ja) | アルミナ基セラミックス製薄膜ヘッド基板 | |
JP4868641B2 (ja) | 窒化アルミニウム基板の製造方法 | |
JP2012171845A (ja) | 窒化珪素質焼結体 | |
JP3735397B2 (ja) | 窒化チタン焼結体及びその製造方法 | |
JP2958731B2 (ja) | 酸化アルミニウム基焼結体及びその製造方法 | |
JPH07187759A (ja) | アルミナセラミックスおよびその製造方法 | |
JPH06321641A (ja) | 複合セラミックス | |
JP2981689B2 (ja) | 高強度Al2 O3 −SiC複合焼結体及びその製造方法 | |
JP2000191376A (ja) | 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法 | |
JP2001322874A (ja) | 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070315 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20091214 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100507 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100624 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101008 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101207 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120106 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120301 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120706 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120904 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121109 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121203 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5150020 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151207 Year of fee payment: 3 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |