JP5147862B2 - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数種類のインクを付与するためのインク付与手段(記録ヘッド)を記録媒体に対して走査させながら画像を記録するインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録装置は、高密度かつ高速な記録動作が可能であること、ランニングコストが安く静かな記録方式であることなど様々な優位点を有しており、各種装置の出力機器あるいはポータブルプリンタ等として様々な形態に商品化されている。特に近年では、複数色のインクを用い、カラー画像を形成する記録装置も数多く提供されている。
インクジェット記録装置は、一般に記録信号に応じてインクを吐出する記録手段(記録ヘッド)と、この記録ヘッドとインクタンクを搭載するキャリッジと、記録媒体を搬送する搬送手段と、これらを制御するための制御手段とを具えている。そして、シリアルスキャン型のインクジェット記録装置では、キャリッジがシリアルスキャンする記録主走査と、当該記録主走査と交差する副走査方向に記録媒体を搬送する搬送動作とを間欠的に繰り返すことによって、段階的に画像を形成していく。キャリッジには、4色ないしそれ以上の数のインクタンクが搭載され、これらのインクの単色および混合色を記録媒体上で形成することにより、フルカラーの画像を出力することが出来る。
ところで、インクジェット記録方式においては、このような複数のインクの記録媒体への付与順序によって、記録物に様々な影響を与えることが知られている。例えば、特許文献1には、記録媒体にインクを付与する順番によって、色度つまり画像の色味が変化する現象が開示されている。同文献によれば、インクジェット専用用紙に対し、先行して付与されたインクの色味がより強く発色されると記されている。
また、特許文献2には、着色インクによって画像を形成した後に更にコート液を付与することにより、耐擦性を向上させる技術が開示されている。ここで、耐擦性とは、記録物を爪や布等でこすった際の画像の耐性を意味している。このようなコート液は画像形成後に記録媒体に付与することにより効果を発揮するもので、画像形成前に付与すると効果が低減する。
以上のように、インクジェット記録装置においては、インクの付与順序を意図的に調整することにより、記録物の性能をより一層向上させることが出来る。このように、記録媒体に対してインクの付与順序を制御するためには、各色および各種類のインクを吐出するノズル列の配列構成が重要な要素となる。
一般に、シリアル型のカラーインクジェット記録装置においては、大きく分けて2つのタイプの記録ヘッド構成がある。一つは、各色のノズル列が記録ヘッド上において副走査方向に配列する縦並び構成、もう一つは、各色のノズル列が主走査方向に配列する横並び構成である。以下、これらの構成を順番に説明する。
図1は、縦並び構成の記録ヘッドを説明するための模式図である。ここでは、記録ヘッド151上に、イエローインク用のノズル列15Y、マゼンタインク用のノズル列15M、シアンインク用のノズル列15Cおよびブラックインク用のノズル列15Kが、互いにオーバーラップしないように副走査方向に1列に配置している。このような縦並び構成では、記録ヘッドの1回の記録主走査において、記録媒体の異なる領域に各色のインクが付与される。結果、記録ヘッド151が、往路方向および復路方向のどちらで記録主走査を行っても、記録媒体にインクが付与される順番は、ブラック→シアン→マゼンタ→イエローの順になる。例えば、シアンとマゼンタの混合によって表現されるブルー画像は、常にシアン→マゼンタの順でインクが付与される。このような記録ヘッド構成であれば、上述したようなコート液を使用する場合であっても、コート液を吐出するためのノズル列を副走査方向に対し最も下流側に配備すれば、特に困難な制御を行わなくても目的のインク付与順序で画像を形成することが出来る。
但し、このような縦並び構成の記録ヘッドの場合、記録媒体に対するインクの付与順序は固定的に定めることは出来るが、状況によってそれを変えることは困難である。また、各色のノズル列が副走査方向に一列に配列する構成上、記録ヘッドが副走査方向に長尺化する傾向がある。記録ヘッドの長尺化は、装置全体の大型化を招いたり、記録媒体の押さえ機構を複雑にしたりして、記録ヘッドのみならず装置自体のコストアップを招致する。
図2は、横並び構成の記録ヘッドを説明するための模式図である。ここでは、記録ヘッド171上に、イエローインク用のノズル列17Y、マゼンタインク用のノズル列17M、シアンインク用のノズル列17C、およびブラックインク用のノズル列17Kが、主走査方向に並列して配置している。このような横並び構成では、縦並び構成に比べて記録ヘッドが長尺化する傾向がなく、比較的小型で低価格な記録装置を実現することができる。
但し、横並び構成のヘッドの場合には、記録ヘッドの1回の記録主走査において、記録媒体の同じ領域に各色のインクが付与される。よって、往路方向の場合にはイエロー→マゼンタ→シアン→ブラックの順でインクが付与されるが、復路走査ではその逆の順番となる。既に説明したように、インクジェット記録では、記録媒体にインクを付与する順番によって再現される画像の色味が変化する。よって、このような記録走査毎のインク付与順の逆転は、画像品位を劣化させる要因となる。例えば、シアンとマゼンタの混合によって表現されるブルー画像は、シアン→マゼンタの順で形成されるバンドとマゼンタ→シアンの順にインクが付与されるバンドが交互に現れ、これらが色むらとして目立ってしまうのである。
このような問題に対応するため、インクジェット記録装置では一般にマルチパス記録という記録方法を採用している。マルチパス記録では、1回の記録主走査で記録可能な画像データを予め用意されているマスクパターンに従って間引き、複数回の記録主走査によって段階的に画像を完成させていく。
図3は、マルチパス記録方法を簡単に説明するための模式図である。ここでは、記録ヘッド51を用い、4パスのマルチパス記録によって記録媒体52に画像を記録する状態を示している。各記録主走査の間には記録ヘッドの記録幅の1/4に相当する量dだけ記録媒体52が副走査方向に搬送される。このような記録方法では、記録媒体52の同一画像領域(所定領域)は、記録ヘッドの4つの領域1〜4に対応する4回の記録主走査によって画像が完成される。結果、記録媒体上の主走査方向に配列する複数のドットは4つの異なるノズルによって記録されるので、ノズル単位のばらつきが緩和され、画像全体が滑らかになる。また、双方向記録を行った場合でも、記録媒体52の全ての画像領域は往路走査と復路走査の両方によってインクが付与されるので、記録媒体に対するインクの付与順序がバンドによって異なることもなく、画像全体の色むらが抑制される。
図4は、図3のような4パスのマルチパス記録を実行する際に利用するマスクパターンの一例を示した図である。ここでは、簡単のため一色分のノズル列56とそれに対応するマスクパターン57a〜57dを示している。ノズル列内のノズルは4つの領域に分割され、それぞれの領域に含まれるノズルは、各領域に対応するマスクパターン57a〜57dに従ってドットを記録する。個々のマスクパターン57a〜57dは、ドットの記録あるいは非記録を定めた複数の記録画素領域によって構成されており、黒く示した領域がドットの記録を許容する画素、白く示した領域がドットの記録を許容しない画素をそれぞれ示している。4種類のマスクパターン57a〜57dは互いに補完の関係を保っており、各記録走査でこれらマスクパターンと画像データとの論理積をとることによって、実際に各記録主走査で記録するドットが決定される。ここでは簡単のため4画素×3画素の領域を有するマスクパターンを示しているが実際のマスクパターンは主走査方向にも副走査方向にも更に大きな領域を有している。
このようなマルチパス記録方法を採用すれば、横並び構成の記録ヘッドを用いた場合であっても、マスクパターンの各領域の記録許容率を色ごとに異ならせることが出来る(特許文献3)。そして、縦並び構成の記録ヘッドのように記録媒体に対するインクの付与順序をある程度制御することが可能となる。
図5は、例えば4色のインクうち、特定のインク(イエローインク)のみを他のインク(Cシアンインク、マゼンタインク、ブラックインク)よりも極力遅い段階で記録媒体に付与するように工夫されたマスクパターンの一例を示した図である。61は、シアン、マゼンタあるいはブラックのノズル列を示し、これらはマスクパターン63a〜63dに従って画像を記録する。一方、イエローのノズル列62はマスクパターン64a〜64dに従って画像を記録する。このようなマスクパターンを予め用意しておくことにより、シアン、マゼンタ、ブラックについては25%ずつの4回の記録主走査で画像が記録され、最後の4回目でイエローの100%の記録が同時に行われる。結果、イエローインクは他のインクが付与された後に付与される確率が高くなる。
また特許文献4には、画像データの記録デューティに応じて記録ヘッドのノズルの使用比率を変化させる技術が開示されている。ここに開示されている方法によっても、記録デューティに応じて、インクの重ね順をコントロールすることが出来る。
このように、マルチパス記録時に用いるマスクパターンを様々な用途に応じて予め用意しておくことにより、横並び構成の記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置であっても、記録媒体へのインク付与順序を適切に制御することが可能となっている。
特開2002−248798号公報 特開2005−81754号公報 米国特許第6779873号明細書 特開2004−209943号公報 特開2000−103088号公報
しかしながら、図5に示したようなマスクパターンを採用した場合、特定のインク(イエローインク)は、常に、最終走査の記録を担う領域4のノズルのみによって記録が許容されることになる。すなわち、特定のインクがその他のインク(非特定インク)と重ならないような場合であっても、領域1〜3のノズルは使用されないので、必要以上にノズル使用頻度やパス間での記録許容率に偏りが生じてしまうのである。このような使用頻度や記録許容率の偏りは、マルチパス記録の利点を損なうばかりか、記録ヘッドの寿命を短縮させることにも繋がる。
以上のように、従来の構成では、各走査におけるインクの記録許容率が固定化されていたので、上述した偏りが必要以上に大きくなっていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、記録走査間(パス間)での特定インクの記録許容率の偏りを必要以上に大きくしないようにしつつも、特定のインクとその他のインクとの重なり順を制御することである。
上記目的を達成するための本発明は、所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって、前記複数回の走査それぞれについて前記単位領域内の記録を許容する画素と記録を許容しない画素とを定めたマスクパターンに従って前記単位領域に記録を行うインクジェット記録装置であって、前記単位領域に前記複数回の走査で付与される前記所定のインクの総量と前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に関する付与量情報を取得する取得手段と、前記付与量情報に応じて前記複数回の各走査における前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの付与量を前記マスクパターンにより決定する決定手段と、を有し、前記決定手段は、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に対する前記所定のインクの総量の比が所定の比より小さい場合における前記所定のインクの前記複数回の走査で付与される総量に対する前記複数回の走査のうち後半の走査で付与される量の割合が、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に対する前記所定のインクの総量の比が前記所定の比より大きい場合における前記割合よりも大きくなるように、前記所定のインクの付与量を決定することを特徴とする。
また、所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、前記単位領域に対する前記複数回の走査のうちの前半の走査および最初の走査の少なくとも一方における前記所定のインクの記録許容率を前記所定のインク以外のインクの記録許容率よりも高くするための処理を、前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび当該所定のインク以外のインクに関する情報に基づいて実行可能な処理手段を備えることを特徴とする。
また、所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、前記単位領域に対応するRGB情報に基づいて、前記単位領域に対する前記所定のインクの記録許容率を前記複数の走査毎に決定するための決定手段を備えることを特徴とする。
また、所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって、前記複数回の走査それぞれについて前記単位領域内の記録を許容する画素と記録を許容しない画素とを定めたマスクパターンに従って前記単位領域に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記単位領域に前記複数回の走査で付与される前記所定のインクの総量と前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に関する付与量情報を取得する取得工程と、前記付与量情報に応じて前記複数回の各走査における前記少なくとも1つのインクの付与量を前記マスクパターンにより決定する決定工程と、を有し、前記決定工程は、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に対する前記所定のインクの総量の比が所定の比より小さい場合における前記所定のインクの前記複数回の走査で付与される総量に対する前記複数回の走査のうち後半の走査で付与される量の割合が、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に対する前記所定のインクの総量の比が前記所定の比より大きい場合における前記割合よりも大きくなるように、前記所定のインクの付与量を決定することを特徴とする。
また、所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うためのインクジェット記録方法であって、前記単位領域に対する前記複数回の走査のうちの後半の走査および最終の走査の少なくとも一方における所定のインクの記録許容率を前記所定のインク以外のインクの記録許容率よりも高くするための処理を実行するか否かを、前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび当該所定のインク以外のインクに関する情報に基づいて判定する判定工程と、前記判定工程における判定結果に従って、前記単位領域に対する前記所定のインクおよび前記所定のインク以外のインクの付与を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする。
また、所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うためのインクジェット記録方法であって、前記単位領域に対する前記複数回の走査のうちの前半の走査および最初の走査の少なくとも一方における所定のインクの記録許容率を前記所定のインク以外のインクの記録許容率よりも高くするための処理を実行するか否かを、前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび当該所定のインク以外のインクに関する情報に基づいて判定する判定工程と、前記判定工程における判定結果に従って、前記単位領域に対する前記所定のインクおよび前記所定のインク以外のインクの付与を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする。
また、所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うためのインクジェット記録方法であって、前記単位領域に対応するRGB情報に基づいて、前記単位領域に対する前記所定のインクの記録許容率を前記複数の走査毎に決定するための決定工程と、前記決定工程において決定された記録許容率に基づいて、前記単位領域に対する前記所定のインクの付与を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする。
また、所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび当該所定のインク以外のインクに関する情報に応じて、前記単位領域に対して前記所定のインク以外のインクよりも相対的に後の走査で付与される所定のインクの割合を変化させる処理を実行可能な処理手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、単位画素に付与される特定のインクとそれ以外のインクに関する情報に応じて特定インクの記録許容率を決定することで、複数回の走査のいずれかにおいて特定インクの記録許容率を必要に応じて変えることができる。これにより、特定インクが集中して付与される走査が変わるため、その他のインクよりも前あるいは後の走査で付与される特定インクの割合を変えることができる。この結果、特定のインクとその他のインクとの重なり順を制御することが可能となる。
縦並び構成の記録ヘッドを説明するための模式図である。 横並び構成の記録ヘッドを説明するための模式図である。 マルチパス記録方法を簡単に説明するための模式図である。 4パスのマルチパス記録を実行する際に利用するマスクパターンの一例を示した図である。 イエローインクのみを、出来るだけ他のインクより遅い段階で記録媒体に付与するように工夫されたマスクパターンの一例を示した図である。 インクジェット記録装置の概観構成を説明するための図である。 インクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図である。 記録ヘッドを吐出口側から観察した状態を示す模式図である。 ホスト装置で実行される画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。 マスク選択パラメータ演算処理について説明するためのフローチャートである。 は第1の実施形態で適用可能なインデックスパターン(ドット配置パターン)について説明するための模式図である。 (a)は第1の実施形態で適用可能なマスクパターンAを示す模式図であり、(b)は第1の実施形態で適用可能なマスクパターンBを示す模式図である。 第1の実施形態において、記録装置のシステムコントローラで実行される画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。 画像データ、マスク選択パラメータ、マスクパターン、およびこれらから得られる記録データの例を説明するための図である。 第2の実施形態のマスクパターンの構成を説明するための模式図である。 (a)は第2の実施形態で適用可能なマスクパターンAを示す模式図であり、(b)は第2の実施形態で適用可能なマスクパターンBを示す模式図である。 は第2の実施形態において、記録装置のシステムコントローラで実行される画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。 (a)〜(g)は、第2の実施形態における、画像データ、マスク選択パラメータMP、マスクパターン、およびこれらから得られる記録データの例を説明するための図である。 インデックス展開処理について説明するための模式図である。 第3の実施形態で適用可能な32種類のマスクパターン0〜31を説明するための図である。 第3の実施形態において、記録装置のシステムコントローラ301で実行され画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。 第4の実施形態において、記録装置のシステムコントローラ301で実行される画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。 制約情報の演算および書き換え処理を説明するための模式図である。 (a)〜(i)は、第4の実施形態における、画像データ、マスク選択パラメータMP´、マスクパターン、およびこれらから得られる記録データの例を説明するための図である。 色域の拡大を図る際の一例を説明するための色度図である。 第5の実施形態において、ホスト装置で実行される画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ここで、実施形態の特徴について簡単に述べる。後述する実施形態の特徴の1つは、単位画素に対する複数回の走査夫々の特定インクの記録許容率を決定するにあたり、単位画素に付与される特定インクに関する情報のみならず、特定インク以外の少なくとも1つのインク(非特定インク)に関する情報も考慮することにある。つまり、単位画素に付与される特定インクと非特定インクに関する情報(例えば、CMYK情報やRGB情報等)に応じて、単位画素に対する特定インクの記録許容率を決定するのである。このように、特定のインクと非特定のインクの付与条件に応じて特定インクが集中して付与される走査が可変であるため、その他のインクよりも前あるいは後の走査で付与される特定インクの割合を変えることができる。この結果、特定のインクとその他のインクとの重なり順を制御することが可能となる。このように下記実施形態では、単位画素に対して非特定インクよりも相対的に後の走査で付与される特定インクの割合を変化させる処理を実行するのである。
上述したような記録許容率の決定は、記録許容率決定パターンの選択に従って実行されるのが好適である。「記録許容率決定パターン」とは、単位画素に対する特定のインクの記録許容率を複数回の走査毎に定めるためのパターンである。以下では、この記録許容率決定パターンを、便宜上、「マスクパターン」と称する。このような記録許容率決定パターンとしては、第1の実施形態で適用される2値のマスクパターンや、第2〜第5の実施形態で適用される多値のマスクパターン(例えば、図16や図20に示されるマスクパターン)がある。
後述する実施形態は、単位画素に付与される特定インクと非特定インクに直接的にあるいは間接的に関連する情報に基づいて、複数回の走査のうちの後半の走査あるいは最終の走査の少なくとも一方における記録許容率が異なる複数のパターンの中から1つを選択するものである。より詳しくは、これら複数のパターンのうちのいずれか1つを選択するための選択パラメータ(マスク選択パラメータMPあるいはMP´等)を、上述した特定インクおよび非特定インクに関連する情報に基づいて取得する。その後、こうして取得した選択パラメータに従って1つのパターンを選択する。このようなパターンの選択によって、特定インクに関する各記録走査での記録許容率が決定されることになる。なお、第5の実施形態では、単位画素に付与される特定インクおよび非特定インクに間接的に関連する情報として、単位画素に対応するRGB情報を用いている。従って、第5の実施形態では、単位画素に対応するRGB情報に基づいて、上記特定インクの記録許容率が決定されることになる。
上述した選択パラメータは、単位画素に対する特定インクの付与量(濃度)Aと非特定インクの付与量(濃度)Bとの相対関係に関連付けられていることが好適であり、特に、特定インクの付与量Aの、非特定インクの付与量Bに対する比(A/B)に関連付けられていることがより好適である。例えば、上記特定インクおよび非特定インクに関連する情報に基づき定められる上記比が小さいほど、後半の走査あるいは最終走査の少なくとも一方における特定インクの記録許容率が高いパターンが選択されるように、上記選択パラメータが上記比に関連付けられているのが好ましい。これにより、上記比が小さいほど(非特定インクが支配的なほど)、後半走査あるいは最終走査での特定インクの記録許容率を高くすることが可能となる。
また、下記実施形態のもう1つの特徴は、後半の走査および最終の走査の少なくとも一方における特定のインクの記録許容率を非特定インクの記録許容率よりも高くするための処理を実行するか否かを、上述したような単位画素に付与される特定のインクと非特定のインクに関する情報に基づいて実行する点にある。これにより、必要に応じて、非特定インクよりも後の走査で付与される特定インクの割合を増やすことができる。
なお、上述した形態とは逆に、特定インクを前半の走査あるいは最初の走査でより多く付与する方が効果的な場合もある。このような場合、前半の走査あるいは最初の走査の少なくとも一方における特定インクの記録許容率を必要に応じて高めるような処理を行う必要がある。そのためには、前半の走査および最初の走査の少なくとも一方における特定のインクの記録許容率が互いに異なる複数種類のパターンを設けておき、これら複数種類のパターンから1つを選択可能なように構成するのが好適である。勿論、上述した形態と同じように、パターンを選択するための情報としては、単位画素に付与される特定のインクと非特定のインクに関する情報を用いることはいうまでもない。そして、このような構成の場合、非特定インクの付与量Bに対する特定インクの付与量Aの比(=A/B)が小さいほど、前半の走査あるいは最初の走査の少なくとも一方における特定インクの記録許容率が高いパターンを選択するのが好適である。
また、前半の走査および最初の走査の少なくとも一方における特定のインクの記録許容率を非特定インクの記録許容率よりも高くするための処理を実行するか否かを、上述したような情報に基づいて実行するのも好ましい。これにより、必要に応じて、非特定インクよりも前の走査で付与される特定インクの割合を増やすことができる。
なお、上述した「後半(あるいは前半)の走査における記録許容率」とは、後半(あるいは前半)の走査の回数が1の場合には、その後半(あるいは前半)の走査に対応する1つの記録許容率を指す。また、後半(あるいは前半)の走査の回数が複数の場合には、その後半(あるいは前半)の走査それぞれに対応する複数の記録許容率の合計値あるいは平均値を指す。一方、「最終(あるいは最初)の走査における特定インクの記録許容率」とは、最終(あるいは最初)の走査に対応する1つの記録許容率を指す。
図6は本実施形態で使用するインクジェット記録装置の概観構成を説明するための図である。インクジェット記録ヘッドや複数色分のインクタンクを搭載するキャリッジ11は、キャリッジモータ12を駆動源として主走査方向に往復移動する。キャリッジ11の往復走査に追従するように取り付けられているフレキシブルケーブル13は、不図示の制御部とキャリッジ11に搭載された記録ヘッドとの間での電気信号の送受信を行う。キャリッジ11の移動位置は、主走査方向に延在して取り付けられているエンコーダ16を、キャリッジに備えられたエンコーダセンサが光学式に読みとることによって検出出来るようになっている。
外部に接続されたホスト装置より記録動作コマンドが入力されると、給紙トレイ15に積層されている記録媒体の1枚がキャリッジ11に搭載された記録ヘッドによって記録可能な位置まで給紙される。その後、2値の画像データに従ってインクを吐出しながらの記録ヘッドの記録主走査と、記録媒体の所定量の搬送動作を交互に繰り返すことにより、記録媒体に順次画像を形成していく。
キャリッジ11が移動する領域の端部には、記録ヘッドのメンテナンス処理を実行するための回復手段14が備えられている。回復手段14には、吸引および放置時に記録ヘッドのノズル面を保護するためのキャップ141、吐出回復時のコート液を受容する吐出受け142、吐出回復時の吐出したインクを受容する吐出受け143等が備えられている。ワイパーブレード144は、矢印の方向に移動しながら記録ヘッドのノズル面をワイピングする。
図7は、図6に示したインクジェット記録装置の制御系の構成を説明するためのブロック図である。301は、ホストコンピュータ306等の外部機器より受信した画像データを処理したり装置全体を制御したりするシステムコントローラである。システムコントローラ301は、マイクロプロセッサ、制御プログラム・マスクパターン・後述するインデックスパターン(ドット配置パターン)などを記憶したROMや各種画像処理を実施する際のワークエリアとなるRAM等の記憶部によって構成される。例えば、システムコントローラ301は、ROMに記憶されたマスクパターンを利用して、フレームメモリ308に格納された2値の画像データの記録の許容あるいは非許容を、記録走査ごとに決定し、これをバッファ309に格納する。詳しくは、記憶部(ROM)から読み出したマスクパターンと上記2値の画像データとの論理積演算を行うことによって、各走査で記録すべき2値のデータを生成し、これをバッファ309に格納する。12は主走査方向に記録ヘッドを搭載したキャリッジを移動させるためのキャリッジモータ、305は記録媒体を副走査方向に搬送するための搬送モータである。302及び303はドライバであり、システムコントローラ301から記録ヘッドや記録媒体の移動速度や移動距離などの情報を受け取り、夫々のモータ12及び305を駆動する。
306は外部に接続されたホスト装置であり、本実施形態のインクジェット記録装置に対して記録すべき画像情報を転送する。ホスト装置306の形態としては情報処理装置としてのコンピュータとするほか、イメージリーダなどの形態とすることもできる。307はホスト装置306からのデータを一時的に格納するための受信バッファであり、システムコントローラ301からデータの読み込みが行われるまで、受信データを蓄積しておく。
308(308k、308c、308m、308y)は、受信バッファ307から移された多値の画像データを2値の画像データに展開するためのフレームメモリである。このフレームメモリ308は、記録に必要な容量のメモリサイズをインク毎に有している。ここでは、記録媒体一枚分が記録可能なフレームメモリが用意されているが、このサイズに限定されないことは言うまでもない。309(309k、309c、309m、309y)は、インク毎に2値の画像データをそれぞれ一時的に記憶するためのバッファであり、記録ヘッドのノズル数に応じた記録容量を有する。
310は記録制御部であり、システムコントローラ301からの指令により記録ヘッド17を適切にコントロールし、記録速度や記録データ数などを制御する。311は記録ヘッドドライバであり、記録制御部310からの信号によりコントロールされ、インクを吐出させるための記録ヘッド17を駆動する。
以上の構成において、ホスト装置306から供給される画像データは、受信バッファ307に転送されて一時的に格納され、システムコントローラ301によって各色のフレームメモリ308に展開される。次に、当該展開された画像データは、システムコントローラ301によって読み出され所定の画像処理が施される。この所定の画像処理の最終段階において、後述するマスクパターン処理が行われた後に、記録走査ごとに記録の許容あるいは非許容が定められた2値データが、色毎にバッファ309に展開される。記録制御部310は、各バッファ内の2値データに基づいて記録ヘッド17の動作を制御する。
図8は、本実施形態で使用される記録ヘッド17を吐出口側から観察した状態を示す模式図である。本実施形態の記録ヘッド17は、各インク色において、1インチ当たり1200個の密度で1280個の吐出口が副走査方向に複数配列したノズル列を有している。詳しくは、ブラックインクを吐出するノズル列4K、シアンインクを吐出するノズル列4C、マゼンタインクを吐出するノズル列4M、およびイエローインクを吐出するノズル列4Yが記録ヘッドの主走査方向に並列して配置されている。ノズルから吐出されるインクの吐出量は約4.5plとする。但し、ブラックインクは高濃度を実現するために吐出量を他に比べて若干多く設定してあってもよい。本実施形態の記録装置は、このような記録ヘッドを主走査方向に走査しながらインクを吐出させることにより、主走査方向に2400dpi(ドット/inch;参考値)、副走査方向に1200dpiの記録密度でドットを記録することが可能となっている。
次に、本実施形態で適用するインクセットの成分および精製方法を説明する。
<イエローインク>
(1)分散液の作製
まず、以下に示す顔料10部、アニオン系高分子30部、純水60部を混合する。
・顔料:[C.I.ピグメントイエロー74(製品名:Hansa BrilliantYellow 5GX(クラリアント社製))]
・アニオン系高分子P−1:[スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比(重量比)=30/40/30)、酸価202、重量平均分子量6500、固形分10%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム]30部
次に、以上に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを150部充填し、水冷しつつ、12時間分散処理を行う。更に、この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去した。そして、最終調製物として、固形分が約12.5%、重量平均粒径が120nmの顔料分散体1を得た。得られた顔料分散体を用いて、下記のようにしてインクを調製する。
(2)インクの作製
以下の成分を混合し、十分に攪拌して溶解・分散後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧濾過して、インク1を調製する。
・上記で得た顔料分散体1:40部
・グリセリン:9部
・エチレングリコール:6部
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物
(商品名:アセチレノールEH):1部
・1,2−ヘキサンジオール:3部
・ ポリエチレングリコール(分子量1000):4部
・ 水:37部
<マゼンタインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価300、数平均分子量2500のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成する。また、上記ポリマー溶液を100g、C.I.ピグメントレッド122を100gおよびイオン交換水300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してマゼンタ分散液とする。得られたマゼンタ分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が5質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記マゼンタ分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度4質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製する。
・上記マゼンタ分散液 40部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物 0.5部
・(川研ファインケミカル製)イオン交換水 39.5部。
<シアンインク>
(1)分散液の作製
まず、ベンジルアクリレートとメタクリル酸を原料として、常法により、酸価250、数平均分子量3000のAB型ブロックポリマーを作り、水酸化カリウム水溶液で中和し、イオン交換水で希釈して均質な50質量%ポリマー水溶液を作成する。また、上記のポリマー溶液を180g、C.I.ピグメントブルー15:3を100gおよびイオン交換水220gを混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してシアン分散液とする。得られたシアン分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が10質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記シアン分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度2質量%、分散剤濃度2質量%の顔料インクを調製する。
・上記シアン分散液 20部
・グリセリン 10部
・ジエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物 0.5部
・(川研ファインケミカル製)イオン交換水 53.5部。
<ブラックインク>
(1)分散液の作製
イエローインク1で使用したポリマー溶液を100g、カーボンブラックを100gおよびイオン交換水300gを混合し、機械的に0.5時間撹拌する。次に、マイクロフリュイダイザーを使用し、この混合物を、液体圧力約70MPa下で相互作用チャンバ内に5回通すことによって処理する。更に、上記で得た分散液を遠心分離処理(12,000rpm、20分間)することによって、粗大粒子を含む非分散物を除去してブラック分散液とする。得られたブラック分散液は、その顔料濃度が10質量%、分散剤濃度が6質量%であった。
(2)インクの作製
インクの作製は、上記ブラック分散液を使用する。これに以下の成分を加えて所定の濃度にし、これらの成分を十分に混合撹拌した後、ポアサイズ2.5μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、顔料濃度5質量%、分散剤濃度3質量%の顔料インクを調製する。
・上記ブラック分散液 50部
・グリセリン 10部
・トリエチレングリコール 10部
・アセチレングリコールEO付加物 0.5部
・(川研ファインケミカル製)イオン交換水 25.5部。
以上示した各インクの耐擦性の差を調べるために、本発明者らが検討した結果を表1に示す。本検討では、耐擦性は爪で引っ掻いた際の主観的な傷つき易さで判断した。表において、○は全く傷つかない、△は若干傷がつく、×ははがれてしまう、ことを示している。なお、本検討において記録媒体はキヤノン製フォト光沢紙(商品名「フォト光沢紙[薄口]LFM−GP421R」を使用した。更に、記録ヘッドの各領域1〜8の記録率を均等とした8パス記録(つまり、各パスの記録許容率が12.5%となるマスクパターンを用いた8パス記録)により上記パッチの記録を行った。
Figure 0005147862
表1から、本実施形態のインクセットの中では、イエローインクの耐擦性が他に比べて優れていることが判る。イエローインクを付与した記録面と爪との摩擦係数が他のインクに比べて低いことが考えられる。
次に、本発明者らは、シアンおよびイエローの2次色で形成されるグリーン画像の耐擦性を調べるために、シアンとイエローのインク付与順序を異ならせた3種類の画像(パッチ)について、表1と同様な方法で検証した。本検討においては、表1の検討と同条件のもと、シアンとイエロー各色100%、計200%の付与量でパッチを記録した。インクの付与順序を制御するために、特別な形態のマスクパターンを2種類作成した。1つは、前半の4パスでシアンを25%ずつ計100%記録した後、後半の4パスでイエローを25%ずつ計100%記録する8パス用のマスクパターン(マスクパターン1)である。もう一つは、これら2色の関係を逆転したマスクパターン(マスクパターン2)である。更にイエローもシアンも12.5%ずつ記録する通常の8パス用のマスクパターン(マスクパターン3)も用意し、以上3種類のマスクパターンを使用して記録したグリーン画像の耐擦性をそれぞれ調べた。得られた結果を表2に示す。
Figure 0005147862
表2より、同じグリーン画像であっても、イエローインクを後から付与した方が耐擦性に優れていることが判る。これは、イエローを後から付与することにより画像表面の摩擦係数が低下するためだと考えられる。逆に、イエローを先に付与することにより耐擦性が悪化するのは、イエローインクの上に付与されたシアンインクがイエローインクにしっかり結着しないためだと考えられる。
本発明者らは、以上の検証結果を鑑み、イエローインクが他の色と混色して2次色を形成する場合には、イエローインクが他色インクよりも後で付与される割合を高めることが画像の耐擦性向上に有効であることを判断した。一方、イエローインクを他色インクよりもなるべく後で付与するために、イエローインクを常時後半の走査でだけ付与する形態では、ノズル使用頻度の偏りや記録媒体に対する走査間(パス間)の記録率の偏りが必要以上に生じてしまう。このような必要以上の偏りは緩和したい。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ノズル使用頻度の偏りやパス間記録率の偏りを抑制しつつも画像の耐擦性を向上させるためには、所定の条件を満たした場合に限って、イエローインクの付与走査をデフォルトとは変更することが有効である、との結論に至った。より詳しくは、他色インクと共にイエローインクが付与される条件を満たした記録媒体の領域(単位画素)に限って、イエローインクをなるべく後半走査あるいは最終走査で付与するように単位画素ごとにマスクパターンを可変にすることが効果的であると判断した。
なお、本明細書では、このように所定の条件を満たした単位画素と所定の条件を満たさない単位画素とで付与走査を変えるインクを「特定インク」と定義する。特定インクは1種類に限られず、2種類以上であってよい。一方、特定インク以外のインクを「非特定インク」と定義する。本実施形態の場合、イエローインクが「特定インク」に該当し、シアンインク、マゼンタインク、ブラックインクが「非特定インク」に該当する。また、本実施形態では、特定インクとして、耐擦過性に優れたイエローインクを例に挙げているが、耐擦過性に優れるインクの種類はイエローに限られるものではない。適用するインクの成分によってはシアンやマゼンタ等が耐擦過性に優れるインクとなる場合もある。この場合、耐擦過性に優れるシアンやマゼンタのインクが、特定インクに該当する。
以下、本実施形態の特徴的な制御を実現するための具体的構成について説明する。図9は、本実施形態のホスト装置で実行する画像処理の工程を具体的に説明するためのフローチャートである。図において、矩形は個々の画像処理工程を示し、楕円は個々の画像処理工程間で受け渡しされるデータの形式を示している。
一般に、ホスト装置にインストールされたプリンタドライバは、まず、RGB(レッド、グリーン、ブルー)データ101を有する画素データを、アプリケーションソフト等から受け取る。そして、解像度変更処理102にて、記録装置への出力に適した解像度を有するRGBデータ103に変換する。この段階の解像度は、記録装置が最終的にドットを記録する記録解像度(2400dpi×1200dpi)とは異なるものである。続く色調整工程104では、各画素のRGBデータ103を記録装置に適したR´G´B´データ105に色調整処理する。この色調整処理104は、予め用意されているルックアップテーブルを参照することによって行われる。
インク色分解処理106では、R´G´B´データ105を記録装置で使用するインク色に対応したCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の濃度データに変換する。一般に、色変換処理もルックアップテーブルを参照することによって行われる。具体的な変換方法としては、RGB値をそれぞれの補色であるCMYに置き換えつつ、これらの無彩色成分の一部をK(ブラック)に置き換えるような処理となる。インク色分解処理106によって変換されたCMYKの濃度データ107は、256階調を有する8bitデータであるが、次の4bitデータ変換処理108では4bitで表される9階調の濃度データ109に多値量子化される。このような多値量子化処理は、一般的な多値誤差拡散処理を採用することが出来る。この段階において、4bitで表される9階調の濃度データとは、各色とも、2進数で0000〜1000の値を有する9段階の濃度データである。
一方、インク色分解処理106によって生成されたCMYKの8bitの濃度データは、マスク選択パラメータ演算処理110にも利用される。マスク選択パラメータ演算処理110は、4色の濃度データを参照して、0または1の情報を有する1bitのマスク選択パラメータMP111を算出する。
図10は、マスク選択パラメータ演算処理110におけるマスク選択パラメータ111の算出工程を説明するためのフローチャートである。CMYKの各256階調の濃度データ107を受信すると、まず重み付け処理1101により、これらデータに0〜1の値を有する重み付け係数を乗算し、発生した端数を切り捨て、新たな濃度データC´M´Y´K´1102を得る。次に、演算処理1103によって、中間マスク選択パラメータMP´1104を算出する。中間マスク選択パラメータMP´は、定数B(ここではB=128)を用い、MP´=C´+M´+K´−Y´+Bと演算した後、下位の3bitを切り捨てて5bit(32値)にした値となる。
表3は、マスク選択パラメータ演算処理110に入力される各色の濃度データCMYKと、これら組み合わせによって得られる中間マスク選択パラメータMP´が得られるまでの算出値を示している。本例では、C、MおよびKに対する重み付け係数は0.16、Yに対する重み付け係数は0.5としている。また、演算処理1103で使用する定数Bは128としている。表から分かるように、Yの濃度値A(Yの付与量)の、他色の濃度値(CMYの付与量)Bに対する比(A/B)が小さい場合は、中間マスク選択パラメータMP´が比較的大きな値になりやすい。一方、Yの濃度値Aの、他色の濃度値B対する比(A/B)が大きい場合は、中間マスク選択パラメータMP´が比較的小さな値となりやすい。このようにMP´は特定インクと非特定インクの相対関係に関連付けられおり、上記比(A/B)が小さいほど上記MP´は大きくなりやすく、後述するように後半の走査の記録許容率が相対的に高いパターン(マスクパターンB)が選択されやすい。
Figure 0005147862
以上の説明では、画素のそれぞれに対し図10のフローチャートで説明した演算処理を行う内容で説明した。しかし、表3のように、入力値CMYKに対する出力値MP´の関係が一義的に決まっているのであれば、このようなルックアップテーブルを予め用意し、これを参照することによって中間マスク選択パラメータMP´を決定する構成であってもよい。
中間マスク選択パラメータ1104が算出されると、更にこの値に対し2値化処理1105を行うことによって、1bit(2値)のマスク選択パラメータMP111が取得される。2値化処理工程1105における2値化処理方法としては、一般的な誤差拡散やディザ法などを採用することが出来る。
以上、図9で説明した一連の工程によって生成された各色4bitの9値の濃度データ109およびマスク選択パラメータMP111は、記録装置に出力される。図7を参照するに、記録装置において、受信された出力データ109およびマスク選択パラメータMP111は、一度受信バッファ307に格納され、その後、システムコントローラ301によって出力データ109がフレームメモリ308に移される。
図13は、上記データに対し、システムコントローラ301が実行する画像処理の各工程を説明するための図である。システムコントローラ301は、まず、インデックス展開処理1306において、予めROMに格納されているインデックスパターンを用いて、各色の4bitデータ109を1bitデータ1307に変換する。
図19は、一般的なインデックス展開処理を説明するための模式図である。インデックス展開処理とは、ホスト装置などから入力された数段階の階調データ(多値データ)を記録装置が記録可能なドットの記録あるいは非記録を定めた2値データに変換するための処理である。図において、左側に示した2進数表記の階調データ0000〜1000は、ホスト装置から入力された4bitデータの値を示している。本実施形態の場合、この段階のデータは600dpiの解像度を有している。本明細書において、この単位の画素(すなわち、ホスト装置から入力され数レベルの階調値を有する多値画素)を、以後「単位画素」と称する。つまり、単位画素とは、階調表現可能な最小単位領域である。一方、それぞれの数値に対応する形で右側に示したパターンは、実際にドットを記録する画素あるいは非記録の画素を定めたドットパターンであり、個々の四角は、主走査方向2400dpi×副走査方向1200dpiの解像度で配列している。本明細書において、この四角の単位(記録装置が実際にドットの記録あるいは非記録を定める最小単位)を、以後「画素」と称する。黒はドットを記録する画素(記録画素)を示し、白はドットを記録しない画素(非記録画素)を示している。すなわち、本実施形態において、1つの単位画素の領域は4×2の画素群の領域に相当する。図では、1つの単位画素が有する階調データの値が増加するほど、4×2画素群内の記録画素(黒四角)が1つずつ増えている。
このようなインデックス展開処理を採用することにより、ホスト装置内における画像処理の負荷やホスト装置から記録装置に転送するデータ量を軽減することが出来る。例えば、上記のような4×2の画素群に含まれる全ての画素の記録あるいは非記録を正確に定めるためには、8bitの情報を必要とする。すなわち、ホスト装置は、この4×2画素群の領域のデータを記録装置に通知するために8bitの情報を転送する必要が生じる。しかしながら、図19に示したようなインデックスパターンが記録装置に予め格納されていれば、ホスト装置は単位画素内の階調データである4bitの情報を転送すればよいことになる。結果、インデックス展開を行わない場合に比べ転送するデータ量を半分に減らすことが出来、転送速度も速くなる。
図11は、本実施形態で実際に用いるインデックスパターン(ドットパターン)を説明するための模式図である。図において、左側に示した階調データ0000〜1000は、各色が有する4bitデータの値を示している。本実施形態では、各階調データに対応するインデックスパターンを、8パターンずつ用意している。例えば図11の階調データ0001に対しては、1a〜1hのインデックスパターンが用意されている。実際の1つの単位画素に対してはこれらのうちの何れか1つしか対応することは出来ないが、このように複数のインデックスパターンを用意しておくことにより、インデックスパターンのローテーションをかけることが出来る。すなわち、同じ値の階調データが連続して入力されるような場合であっても、様々なインデックスパターンを織り交ぜてドットを配置することが出来、個々のノズルの吐出ばらつきや記録装置に含まれる様々な誤差を画像上目立たなくすることが出来る。本実施形態においては図に示した8種類のインデックスパターンを、主走査方向にローテーションをかけながら使用する。例えば、主走査方向に0001、0001、0001、と連続した単位画素が入力された場合、出力パターンは1a、1b、1cとなる。また、主走査方向に0001、0010、0001と入力された場合、出力パターンは1a、2b、1cとなる。再度図13を参照するに、このようなインデックス展開処理1307により、各色1bitの記録画素に対応した2値の画像データ1307を得る。
続く工程1308〜1312は、ROMに格納されている2つのマスクパターンの中から1つを選択し、これを用いて実際に各記録走査で記録する記録データを生成する工程となる。そのために、まず工程1308では、処理対象となるインク色がイエロー以外であるか否かを判断する。処理対象となるインク色がイエロー以外であると判断された場合、工程1311へ進み、マスクパターンAを用いて記録データ1312を生成する。このようにシアン、マゼンタ、ブラックに関しては、走査間での記録許容率の偏りが小さいマスクパターンAが選択され、これにより、シアン、マゼンタ、ブラックに関する各記録走査での記録許容率が決定される。
一方、工程1308で、処理対象となるインク色がイエローであると判断された場合、工程1309へ進み、注目する単位画素に対応するマスク選択パラメータMP111の値を確認する。MP=1の場合は工程1310へ進み、マスクパターンBを用いて記録データ1312を生成する。MP=0の場合は工程1311へ進み、マスクパターンAを用いて記録データ1312を生成する。このようにイエローに関しては、単位画素に付与されるイエローインクとその他の色のインクに関する情報に基づいて、マスクパターンAあるいはマスクパターンAよりも後半走査での記録許容率が大きいマスクパターンBが選択される。また、このようなマスクパターンの選択によって、イエローに関する各記録走査での記録許容率が可変に決定される。以上のように生成されるマスク選択パラメータMPと使用されるマスクパターンの対応は表4に示すとおりになる。
Figure 0005147862
図12(a)および(b)は、マスクパターンAおよびマスクパターンBの内容を説明するための模式図である。両図において、71は同じインク色を吐出するノズル列を示しており、1200dpiのピッチで副走査方向に1280個のノズル(吐出口)が配列している。これら複数のノズルは副走査方向(ノズル配列方向)に8つのノズル領域に分割されており、それぞれの領域には図の右側に示すマスクパターン73a〜73hあるいはマスクパターン73i〜73pが使用される。例えば図12(a)において、領域1に対応したマスクパターン73hは1パス目のマスク、領域2に対応したマスクパ73gは2パス目のマスクというように、領域の番号とパスの番号は対応している。各マスクパターンにおける個々の四角は1つ分の画素を示しており、黒四角はドットの記録を許容する画素(記録許容画素)、白四角はドットの記録を許容しない画素(非記録許容画素)を示している。そして、インデックス展開後の2値の画像データ(CMYKの1bitデータ)1307と、選択されたマスクパターンとの論理積をとることによって、個々の記録走査で実際にドットを記録する記録画素が決定する。これにより、記録媒体の同一領域(所定領域)の画像は、8回の記録主走査によって記録が完成される。
図12(a)に示すマスクパターンAにおいて、各領域のパターン73a〜73hは均等な12.5%ずつの記録許容率となっており、且つ互いに補完の関係にある。一方、同図(b)に示すマスクパターンBにおいて、各領域のパターン73i〜73pは互いに補完の関係を有しながらも、偏りを持った記録許容率となっている。マスクパターンBでは、記録媒体の搬送方向である副走査方向に対し、上流側に位置するマスクパターンの記録許容率が6.25%と低く抑えられており、下流側に位置するマスクパターンの記録許容率が25%と高く設定されている。これは、このマスクパターンが採用された単位画素については、比較的マルチパスの遅い段階で記録が行われる確率が高いことを意味する。すなわち、本実施形態では、イエローの濃度値の、他色の濃度値に対する比が小さい単位画素ほど、2値化処理においてマスク選択パラメータMPが1になりやすく(つまり、マスクパターンBが選択されやすく)、他色よりも遅れてイエローインクが付与される確率が高い。一方、イエローの濃度値の、他色の濃度値に対する比が大きい単位画素では、記録許容率が均等なマスクパターンAが選択されやすい。なお、図12では、マスクパターンAの記録許容率はパス間で均等となっているが、本実施形態はこれに限られるものではなく、マスクパターンAの記録許容率がパス間で不均等となっていてもよい。要は、マスクパターンAは、マスクパターンBに比べて、後半走査あるいは最終走査での記録許容率が小さければよい。
図12(a)および(b)では、簡単のため主走査方向に16画素、副走査方向に4画素を有するマスクパターンで説明したが、実際のマスクパターンは副走査方向には各ノズル領域に相当する160画素、主走査方向にも更に広い範囲を有している。
以上、図13で示した一連の画像処理工程は、600dpiの単位画素ごとに繰り返し行う。すなわち、本実施形態によれば、単位画素ごとに使用するマスクパターンを切り替えることが出来るようになっている。
図14は、濃度データ109、マスク選択パラメータMP、マスクパターン、およびこれらから得られる記録データの例を説明するための図である。141C〜141Kは、シアン(141C)、マゼンタ(141M)、イエロー(141Y)、およびブラック(141K)のインデックス展開前の4bitの濃度データ109を示したものである。領域Aおよび領域Bは、それぞれ、4つの単位画素(=2単位画素×2単位画素)を有しており、個々の単位画素には4bitの濃度データ109が対応する。
142C〜142Kは、141C〜141Kの濃度データ109をインデックス展開処理した後の2値データである。上述した通り、本実施形態において1つの単位画素は8つの画素で構成されており、濃度データ141C〜141Kを、図11で説明したようなインデックスパターン(ドットパターン)に変換することによって、個々の画素の記録あるいは非記録が定められる。
143MPは、141C〜141Kの画像データに基づいて算出されたマスク選択パラメータMPである。領域AのY信号値(141Y)のCMK信号値(141C、141M、141Kの合計)に対する比は比較的小さいので、領域Aに含まれる4つの単位画素のうち3つ単位画素で、マスク選択パラメータMPが1になる。つまり、領域Aのイエローインクを記録するのに用いるマスクパターンとして、4つの単位画素のうち3つの単位画素でマスクパターンBが選択され、残りの1つの単位画素でマスクパターンAが選択される。一方、領域BのY信号値(141Y)のCMK信号値(141C、141M、141Kの合計)に対する比は比較的大きいので、4つの単位画素すべてでマスク選択パラメータMPが0となる。従って、領域Bのイエローインクを記録するのに用いるマスクパターンとして、4つの単位画素全てでマスクパターンAが選択される。
144Aおよび144Bは、図12(a)および(b)に示したマスクパターンAおよびマスクパターンBの、領域8に相当する部分を示している。マスクパターンA(144A)では記録許容率が12.5%になっているのに対し、マスクパターンB(144B)では記録許容率が25%になっている。すなわち、本例において、イエローについては、領域Bの1つの単位画素と領域Bの全ての単位画素でマスクパターンAが使用され、領域Bの3つの単位画素のみでマスクパターンBが使用される。一方、ブラック、シアン、マゼンタについては、領域Aおよび領域Bの全ての単位画素でマスクパターンAが使用される。
145C〜145Kは、インデックス展開後の2値データ142C〜142Kと、単位画素ごとに選択されたマスクパターンA(144A)あるいはマスクパターンB(144B)とを論理積した結果を示す図である。144Aおよび144Bは、マスクパターンAおよびBのうち、領域8に相当する部分を示しているので、最後の記録走査での記録許容画素を示している。141Yで示される領域Aのイエローの濃度信号値は、他色(141C、141M、141K)の濃度信号値に比べてそれ程大きいわけではない。しかし、最終記録走査での記録画素の割合、すなわち145Yの領域Aに示される黒四角の割合は、他色(145C、145M、145K)の領域Aに比べて大きくなっている。これは、図9、図10および図13を用いて説明した一連の工程によって、他色と比べて濃度データが然程大きくないイエローについては、マルチパスの最終段階でなるべく多くのインクが付与されるようなマスクパターンが設定されるからである。
表5は、表3で示した各色の濃度データCMYKの組み合わせに対する画像の耐擦性とムラの程度を、全色でマスクパターンAを使用した場合、イエローのみ全ての単位画素でマスクパターンBを使用した場合、および本実施形態の場合で比較した結果を示す。
Figure 0005147862
表5を参照するに、イエローのみ全ての単位画素でマスクパターンBを使用すれば、耐擦性に強いイエローインクを他色の上から被覆するように記録する割合が増えるので、画像全体の耐擦性を向上させることが出来る。しかし一方で、マスクパターンBにはノズルの記録回数に大きな偏りが含まれているので、本来のマルチパス記録の効果が損なわれ、特にイエローの画像データが高濃度である場合に、画像ムラが目立ってしまう。
これに対し、本実施形態においては、イエローのデータ値の、他色のデータ値に対する比が比較的大きい単位画素については、耐擦性よりも画像ムラを重視し、パス間での記録許容率の偏りが小さいマスクパターンAを選択する。一方、イエローのデータ値の、他色のデータ値に対する比が比較的小さい単位画素については、耐擦性の懸念が高く、画像ムラは目立ちにくいので、後半走査あるいは最終走査での記録許容率が大きいマスクパターンBを選択する。
このように本実施形態によれば、特定インク(本例では、イエローインク)が付与される単位画素に関し、特定インクと非特定インク(イエロー以外のインク)の付与条件(例えば、インク付与量に関連する情報)に応じてマスクパターンを選択することで、特定インクの記録許容率を可変に決定している。これにより、特定インクと非特定インクが共に付与される単位画素では、後半走査あるいは最終走査で付与される特定インクの割合を高めることができ、結果的に、特定インクが非特定インクよりも後の走査で付与される確率が高まる。その結果、耐擦過性に優れた特定インクを他の非特定インクよりも遅らせて付与することができ、画像の耐擦性を向上させることが出来る。本実施形態ではこのような作用を得るために、複数用意されたマスクパターンの中から、必要な単位画素にのみ選択的にインクの付与順序をコントロールできるようなマスクパターンを選択している。
なお、以上説明した本実施形態のホスト装置では、インク色分解処理106後の8bitの濃度データ107に対し、4bitデータ変換処理(多値量子化)108を行った後のデータ109を記録装置に転送する形態とした。そして、記録装置(システムコントローラ)は受信した4bitデータ109をインデックス展開処理1306によって2値データ1307に変換していた。このような形態を採用することにより、ホスト装置が処理するデータ量を低減し、記録装置への転送速度を高めることが出来る。しかし、本実施形態は、このような画像処理工程に限定されるものではない。ホスト装置では、インク色分解処理106後の多値濃度データ109に対し2値化処理を行い、2値化された1200dpi×2400dpiの画像データを記録装置に転送する形態であっても、上述した実施形態と同様に、本発明の特徴的な効果を得ることは出来る。
また、本実施形態では、図9のフローチャートに示される処理工程をホスト装置側で行い、図13のフローチャートに示される処理工程を記録装置側で行うこととして説明したが、これに限られるものではない。ホスト装置において、図9と図13の両方に示される処理工程を実行するようにしてもよいし、反対に、記録装置において、図9と図13の両方に示される処理工程を実行するようにしてもよい。
(第2の実施形態)
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に図6〜図8で示したインクジェット記録装置を用い、第1の実施形態と同様のインクを使用するものとする。また、一連の画像処理についても、ホスト装置で実行する画像処理の工程については、図9や図10のフローチャートで説明した第1の実施形態とほぼ同様である。但し、本実施形態では、4bitデータ変換処理108はホスト装置内で実行せず、インク色分解処理後の各色8bitで構成される濃度データ107とマスク選択パラメータMPとが記録装置に送信される。
また、本実施形態の記録装置では、実施形態1で説明したような2値のマスクパターンを用意するのではなく、記録ヘッドの個々の領域に対する記録許容率のみが定められたマスクパターン(記録許容率決定パターン)を用意する。
図15は、本実施形態のマスクパターンの構成を説明するための模式図である。本実施形態においても、1つのノズル列には1200dpiのピッチで副走査方向に1280個のノズル(吐出口)が含まれている。これら複数のノズルは8つのノズル領域に分割されており、それぞれの領域について、600dpiの単位画素ごとに記録許容率が定められている。この単位画素は、1200dpi×2400dpiの解像度を有する画素を副走査方向に2つ、主走査方向に4つ並べて構成される2画素×4画素分の領域に相当する。個々のノズル領域の記録許容率は、8分割された全領域の記録許容率の和が100%となるように定められている。
図16(a)および(b)は、本実施形態で用意する2種類のマスクパターンAおよびマスクパターンBを説明するための図である。図16(a)で示すマスクパターンAでは、8分割された領域の全てで記録許容率が12.5%になっている。一方、同図(b)で示すマスクパターンBでは、記録媒体の搬送方向である副走査方向に対し、上流側に位置するマスクパターンの記録許容率が7.5%と低く抑えられており、下流側に位置するマスクパターンの記録許容率が25%と高く設定されている。これは、このマスクパターンが採用された単位画素については、比較的マルチパスの遅い段階で記録が実行される確率が高いことを意味する。本実施形態では、このような2種類のマスクパターンを、複数色の画像データに応じて切り替え可能にしている。
図17は、本実施形態の記録装置において、システムコントローラ301が実行する画像処理の各工程を説明するための図である。
本実施形態では、入力されてきた8bitの濃度データ107に対し、まず工程1701において、処理対象のインク色がイエロー以外であるか否かを判断する。処理対象のインク色がイエロー以外であると判断された場合、工程1704へ進み、マスクパターンAを用いて8bitの出力データ1705を生成する。つまり、シアン、マゼンタ、ブラックに関しては、走査間での記録許容率の偏りが小さいマスクパターンAを用いる。
一方、工程1701で、処理対象のインク色がイエローであると判断された場合、工程1702へ進み、当該記録データが含まれる単位画素に対応するマスク選択パラメータMP111の値を確認する。MP=1の場合は工程1703へ進み、後半走査での記録許容率が大きいマスクパターンBを用いて8bitの出力データ1705を生成する。MP=0の場合は工程1704へ進み、マスクパターンAを用いて出力データ1705を生成する。本実施形態において、出力データ1705は、注目する単位画素の8bit濃度データ107と、選択されたマスクパターンAあるいはマスクパターンBに格納された記録許容率との積によって得られる。その後、2値化処理1706を実行し、1bitの記録データ1707を得る。すなわち、1回の記録主走査でドットを記録する画素が決定する。
以上、図17で示した一連の画像処理工程は、第1の実施形態と同様、600dpiの単位画素ごとに繰り返し行う。すなわち、本実施形態においても、単位画素ごとに使用するマスクパターンを切り替えることが出来るようになっている。
図18(a)〜(g)は、本実施形態における、8bit濃度データ107、マスク選択パラメータMP、マスクパターン、およびこれらから得られる記録データ1707の例を説明するための図である。図18(a)は、イエローの濃度データ107を、4×4の単位画素について示した図である。個々の単位画素は、0〜255で表現される8bit濃度データを有している。
図18(b)は、上記イエローの濃度データおよび本例では不図示の他の3色(シアン、マゼンタ、ブラック)の濃度データから得られる、個々の単位画素のマスク選択パラメータMPの例を示した図である。
図18(c)および(d)は、図16(a)および(b)に示したマスクパターンAおよびマスクパターンBの、領域8に相当する部分を示している。マスクパターンAでは記録許容率が12.5%になっているのに対し、マスクパターンBでは記録許容率が25%になっている。
図18(e)は、同図(a)に示したイエロー濃度データに対し、同図(b)に示したマスク選択パラメータMPに従って、領域8に相当する個々の単位画素に選択されたマスクパターンを示す図である。本例において、マスク選択パラメータMPが0の単位画素にマスクパターンAが使用され、マスク選択パラメータMPが1の単位画素にマスクパターンBが使用される。なお、他のインク色については、全ての単位画素についてマスクパターンAが使用されている。
図18(f)は、工程1703あるいは工程1704によって得られる、同図(a)に示したイエローの画像データと同図(c)に示した記録許容率の積の結果を示した図である。
また、図18(g)は、同図(f)に示された個々の値に基づいて、1つの単位画素を2画素×4画素に対応させて2値化処理を行った結果を示した図である。ここで、黒で示した画素は領域8によってドットが記録される画素、白で示した画素は領域8によってドットが記録されない画素をそれぞれ示している。
以上説明した本実施形態は、特許文献5に開示されている記録方法を応用した内容となっている。特許文献5においては、従来一般的に採用されていた2値のマスクパターンの変わりに、図15に示すような記録許容率を定めた多値のマスクパターンを使用する構成が開示されている。そして、多値の濃度データとマスクパターンによって定められた記録許容率との積に対し、2値化処理を行った結果を、1回の記録主走査の記録画素と定める。このような方法を採用することにより、個々の記録走査間に多少の記録位置(レジストレーション)ずれが発生しても、これに伴う濃度ムラを抑制することが出来る効果が開示されている。
本実施形態は、このような特許文献5の構成に加え、使用するマスクパターンの種類を単位画素毎に変更可能な構成を採用している。よって、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果とともに、特許文献5による効果も得ることが出来る。なお、図16では、マスクパターンAの記録許容率はパス間で均等となっているが、第1の実施形態と同様、マスクパターンAの記録許容率がパス間で不均等となっていてもよい。要は、マスクパターンAは、マスクパターンBに比べて、後半走査あるいは最終走査での記録許容率が小さければよい。
(第3の実施形態)
本実施形態においても、上記実施形態と同様に図6〜図8で示したインクジェット記録装置およびインクを使用するものとする。また、一連の画像処理についても、ホスト装置で実行する画像処理の工程については、第2の実施形態とほぼ同様である。但し、本実施形態では、図10を参照するに、マスク選択パラメータMPではなく、2値化処理前の中間マスク選択パラメータMP´1104を記録装置に転送する。従って本実施形態の記録装置は、単位画素あたり各色8bitで構成される濃度データ107と、5bit32値で構成される中間マスク選択パラメータMP´1104とをホスト装置より受信する。
図20は、本実施形態で用意する32種類のマスクパターン0〜31を説明するための図である。図において、マスクパターン0は、第2の実施形態のマスクパターンAと等しく、8分割された領域の全てで記録許容率が12.5%になっている。また、マスクパターン31は、第2の実施形態のマスクパターンBと等しいものである。すなわち、8分割された領域のうち、副走査方向の上流側に位置するマスクパターンの記録許容率が7.5%と低く抑えられており、下流側に位置するマスクパターンの記録許容率が25%と高く設定されている。更に、マスクパターン1〜マスクパターン30は、各領域の記録許容率が、マスクパターン0とマスクパターン31の記録許容率を均等に内分するような値に設定されている。すなわち、マスクパターンの番号が大きくなるほど、比較的後半の走査でドットが記録される確率が高くなる。第2の実施形態や本実施形態で採用するこのようなマスクパターンは1次元で構成されているから、実施形態1で説明したような2次元のマスクパターンに比べ、比較的少ないデータ容量に抑えることが出来る。すなわち、本実施形態のように32種類のマスクパターンを格納しておいても、装置内のメモリに多大な領域を必要とするものではない。
図21は、本実施形態の記録装置において、システムコントローラ301が実行する画像処理の各工程を説明するための図である。本実施形態では、入力されてきたCMYKの8bitデータ107に対し、まず工程2101において、処理対象となるインク色がイエロー以外であるか否かを判断する。処理対象となるインク色がイエロー以外であると判断された場合、工程2104へ進み、マスクパターン0を用いて8bitの出力データ2105を生成する。つまり、シアン、マゼンタ、ブラックに関しては、走査間での記録許容率の偏りが小さいマスクパターンAを用いる。
一方、工程2101で、処理対象となるインク色がイエローであると判断された場合、工程2102へ進み、注目する単位画素に対応するマスク選択パラメータMP´1104の値に応じたマスクパターンを図20に示した32種類の中から選択する。具体的には、MP´=0の場合はマスクパターン0が、MP´=1の場合はマスクパターン1が、MP´=31の場合はマスクパターン31が、それぞれ設定される。その後、工程2103へ進み、設定されたマスクパターンを用いて8bitの出力データ2105を生成する。なお、MP´は、イエローの出力データ値2105の、他色の出力データ値2105に対する比に関連付けられている。すなわち、この比が小さいほどMP´が大きくなる。従って、上記比が小さいほど、後半走査あるいは最終走査でのイエロー記録許容率が高いパターンが選択されることになる。
本実施形態においても、出力データ2105は、注目する単位画素の8bit画像データ107と、選択されたマスクパターンに格納された記録許容率との積によって得られる。その後、2値化処理2106を実行し、1bitの記録データ2107を得る。すなわち、1回の記録主走査でドットを記録する画素が決定する。
以上、図21で示した一連の画像処理工程は、上記実施形態と同様、600dpiの単位画素ごとに繰り返し行う。すなわち、本実施形態においても、単位画素ごとに使用するマスクパターンを切り替えることが出来るようになっている。
以上説明した本実施形態においては、単位画素ごとに切換え可能なマスクパターンの種類を上述した2つの実施形態よりも更に多く用意し、濃度データの少ない変動にも柔軟に対応することが可能になっている。よって、記録許容率が比較的大幅に異なる2種類のマスクの切換えに伴う画像弊害への懸念も緩和され、より滑らかな出力画像を期待することが出来る。
(第4の実施形態)
特許文献5の構成を応用した上記第2や第3の実施形態では、多値の濃度データを複数の記録走査(ノズル列の複数の領域)に分割してから2値化処理を行うことにより、レジストレーションのずれに起因する濃度ムラを抑制可能にしている。このように複数の記録走査に分割してから2値化処理を行うと、各記録走査で記録されるドットに補完関係はなく、100%画像であってもドットが記録されない画素や、2つ以上のドットが重なって記録される画素が存在する。特許文献5では、このような状態が、レジストレーションのずれに対する濃度変化を抑える効果があると説明している。
しかしながら、特許文献5の方法のみでは、各記録走査で記録されるドットの位置に相関性がないことから、画像の低周波成分が強調され、画像の粒状性が悪化する場合がある。よって本実施形態では、各記録走査で記録されるドットの配置にある程度の補完関係が保たれるように、既に記録されたドットの位置情報を把握し、この位置をなるべく除外するように、後続する記録走査で記録されるドットの位置を定めるものとする。
本実施形態においても、上記実施形態と同様に図6〜図8で示したインクジェット記録装置およびインクを使用するものとする。また、一連の画像処理についても、ホスト装置で実行する画像処理の工程については、第3の実施形態と同様である。但し、2値化後のドット配置情報を多値の画像データにフィードバックする都合上、本実施形態における単位画素は画素と等しく1200dpi×2400dpiの解像度を有するものとする。すなわち、本実施形態の記録装置は、単位画素あたり各色8bitで構成される1200dpi×2400dpiの濃度データ107と、個々の画素に対応する5bitのマスク選択パラメータMP´1104とをホスト装置より受信する。
図22は、本実施形態の記録装置において、システムコントローラ301が実行する画像処理の各工程を説明するための図である。本実施形態では、入力されてきた8bitの濃度データ107に対し、まず工程2201において、処理対象となるインク色がイエロー以外であるか否かを判断する。処理対象となるインク色がイエロー以外であると判断された場合、工程2204へ進み、マスクパターン0を用いて8bitの出力データ2205を生成する。
一方、工程2201で、処理対象となるインク色がイエローであると判断された場合、工程2202へ進み、当該記録データが含まれる画素に対応するマスク選択パラメータMP´1104の値に応じたマスクパターンを図20に示した32種類の中から選択する。その後、工程2203へ進み、設定されたマスクパターンを用いて8bitの出力データ2205を生成する。ここまでは、上述した実施形態3と同様である。
続く工程2206では、得られた8bitの出力データ2205に対し、下記図23に示される制約情報に基づいた処理を行い、新たな8ビットのCMYK情報(C″、M″、Y″、K″)を得る。なお、制約情報とは、下記図23で説明されるように、N走査目までのいずれかの走査でドットが記録されることが決定された画素位置に対し、今回処理対象となるN+1走査目でドットが記録される確率が下がるように、N+1走査目に対応した出力データ2205を補正するための情報である。この工程によって得られた新たな8ビット情報2207に対し、誤差拡散法やディザマトリクス法等を用いて2値化することにより(工程2208)、各色1bitの記録データ2209を得る。
次に、得られた1bitの記録データ2209に基づいて、後続の記録走査に対応する出力データ2205を補正する制約情報を得るための制約情報演算2210を行い、得られた情報を新たな制約情報として書き換える(工程2211)。
図23は、制約情報の演算および書き換え処理を説明するための模式図である。以下、図23および図22を参照しながら制約情報の演算および書き換え処理を説明する。2値化処理2208によって得られた、ノズル記録される画素の位置を示す情報2302である。制約情報演算2210では、情報2302が示す位置の画素に多値データ(255)を与え、当該画素を中心にローパスフィルタ処理2305を施すことによって周辺画素に多値データを分散し、これをマイナスデータに変換して一度保存する。このマイナスデータは、N走査目でドットが記録される画素に対してN+1走査目でドットが記録される確率を下げる役割を担う。また、ノズル領域Nの8bitデータ2309(2207)にフィルタ処理2310を施し、これをプラスのデータとして一度保存する。このプラスのデータは、上述したマイナスのデータをN+1走査目の出力データ2205(2301)に反映させても、N+1走査目の出力データの濃度が保存されるようにするための役割を担うものである。従って、このプラスのデータを上述したマイナスのデータに加算すると、その合計値はほぼゼロになる。そして、これらマイナスのデータとプラスのデータを、N−1走査目までの制約情報2303に対して加算し、新たな制約情報2306を得る。こうして得られた制約情報2306は、N走査目までにドットが記録されることが決定された画素に対してN+1走査目でドットが記録される確率が下がるように、N+1走査目の出力データ2205(2301)を補正するためのデータである。
次いで、この新たな制約情報2306をN+1走査目の出力データ2205(2301)に加算(減算)する。このようにして得られた新たな8bitデータを2値化処理(2308)した結果が、N+1走査目でノズル領域N+1によってドットが記録される画素の位置を示す情報(記録データ2209)となる。更に、他のノズル領域に対応するデータに対しても、上述したような処理を繰り返すことにより、最終的な2値データ(ドットの記録位置)を決定していく。
本実施形態において、制約情報は記録走査数が増えるたびに重ね書きされ、実際にドットを記録することが決定された画素ほど、マイナス値が大きくなり、また、ドットの記録が決定されていない画素はプラス値が大きくなる。これにより、一度ドットが配置された画素は次領域以降の2値化後のデータは0になり易く、ドットが記録される確率は低くなる。結果、各記録走査間のドット配列は、互いに排他的な傾向を示し、低周波成分が抑制され、視覚的に粒状感の低減された一様な画像を得ることが可能となる。
図24(a)〜(h)は、本実施形態における、濃度データ107、中間マスク選択パラメータMP´、マスクパターン、およびこれらから得られる記録データの例を説明するための図である。図24(a)は、イエローの濃度データ107を、4×4の単位画素について示した図である。個々の単位画素は、0〜255の濃度データで表されている。
図24(b)は、上記イエローの濃度データおよび本例では不図示の他の3色の濃度データから得られる、個々の単位画素の中間マスク選択パラメータMP´の例を示した図である。
図24(c)は、図20に示したマスクパターン0〜31のうちのいくつかの、ノズル列の領域1に相当する部分を示している。マスクパターン0では記録許容率が12.5%になっているのに対し、マスクパターン31では記録許容率が7.5%になっている。
図24(d)は、同図(a)に示したイエロー濃度データに対し、領域1に相当する部分の個々の単位画素に対する選択されたマスクパターンを示す図である。本例において、中間マスク選択パラメータMP´=0のイエローの単位画素、およびブラック、シアン、マゼンタの全単位画素にマスクパターン0が使用される。また、中間マスク選択パラメータMP´≠0のイエローの単位画素には、MP´の値に応じたマスクパターンが使用される。
図24(e)は、工程2203あるいは工程2204によって得られる、図24(a)に示したイエローの濃度データと同図(d)に示した記録許容率の積の結果を示した図である。
また、図24(f)は、同図(e)に示された個々の値に基づいて、2値化処理を行った結果を示した図である。ここで、黒で示した記録画素は領域1によってドットが記録される画素、白で示した記録画素は領域1によってドットが記録されない画素をそれぞれ示している。
図24(g)は、工程2210で行われる制約情報演算のために、同図(f)で示すドットが記録される画素を中心にローパスフィルタ処理2305を行って周辺画素に多値データを分散した状態を示した図である。図24(h)は、図24(e)に示された領域1の濃度データと、図24(g)のマイナス情報を加算したものである。これにより上述したように濃度を保存したままの制約情報を作成することができる。なお、ここでは処理2310に示されるフィルタ処理は行わない。
図24(i)は、領域2における、濃度データとマスクパターンによって定められる記録許容率の積の結果に対し、図24(h)で示す制約情報を加算した結果を示す図である。再度図20を参照するに、本例の場合、領域1と領域2のマスクデータ(記録許容率)はどのマスクパターンにおいても等しい値になっている。よって、画像データとマスクパターンによって定められる記録許容率の積の結果は、領域2においても、領域1と同様、図24(e)で示した内容となる。
図24(i)からもわかるように、領域1によってドットが記録される画素とその周辺の画素の画像データは、更に周辺の画像データに比べて、低い値に抑えられている。よってこの状態で誤差拡散またはディザ法によって2値化処理をかけても、領域1によってドットが記録される画素とその周辺の画素は、領域2によって再びドットが記録される確率は極めて低く抑えられる。
以上説明した構成により、本実施形態によれば、第3の実施形態の構成に加え、さらに各記録走査で記録されるドット同士の重なりを抑制する。これにより、上記第3の実施形態の効果に加え、画像の低周波成分を抑制しつつも、個々の記録走査間に発生する記録位置のずれに伴う濃度ムラを抑制する効果も得ることが出来る。
(第5の実施形態)
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に図6〜図8で示したインクジェット記録装置を用い、第1の実施形態と同様のインクを使用するものとする。また、一連の画像処理についても、ホスト装置で実行する画像処理の工程については、図9や図10のフローチャートで説明した第1の実施形態とほぼ同様である。但し、本実施形態では、中間マスク選択パラメータMP´の演算を、インク色分解後のCMYKの濃度データから行うのではなく、解像度変換後のRGBデータ101から算出する。このように本実施形態は、各走査における特定インクの記録許容率をRGB情報に基づいて可変に決定することを特徴とする。
図26は、本実施形態のホスト装置で実行する画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。本実施形態の中間マスクパラメータMP´設定工程では、インク色分解処理106によって生成されたCMYKの8bitの濃度データではなく、解像度変換後のRGBデータ101をもとに、中間マスク選択パラメータMP´2602を設定する。
この際、中間マスク選択パラメータMP´は、第1の実施形態で説明した工程1103のように、所定の計算式によって算出されてもよいが、RGBデータとCMYKデータは一般に線形関係にはなく、適切な計算式が一義的に定まるものではない。よって、表6に示すような、RGBの3次元データの各格子点に対し中間マスク選択パラメータMP´が予め定義された3次元LUTを用意し、単位画素ごとに適切な中間マスク選択パラメータMP´が選出されるような構成にしておくことが好ましい。
Figure 0005147862
このようにして中間マスク選択パラメータMP´2602を設定した後は、第1の実施形態と同様に、これを2値化し(工程2603)、1bitのマスク選択パラメータ2604を算出する。そして、このマスク選択パラメータ2604が記録装置へ送信される。その後、第1の実施形態と同様、記録装置において図13のフローチャートに従ってマスクパターンの選択を行う。こうすることで、各走査における特定インクの記録許容率がRGB情報に基づいて可変に決定される。
(その他の実施形態)
以上説明した5つの実施形態では、使用するイエローインクの耐擦性が他色に比べて良好であることを利用して、イエローインクを他のインクよりも遅れて付与する記録方法で説明した。しかし、より耐擦性に優れているインクが存在する場合には、このインクの信号値を上記イエローデータのように変換すれば同様の効果を得ることが出来る。また、他色に比べて特に耐擦性に劣るインクが存在する場合には、これを特定インクとしながらも、上述した記録方法を応用して、当該特定インクを他のインクよりも早めて付与するような記録方法とすることも出来る。
例えば、通常のインクよりも色材濃度の低いライト系のインクを用意し、このインク中にワックス等の耐擦性を向上させるような成分を含有させ、イエローの代わりにライト系のインクのインク付与順序を制御する形態も本発明の範疇である。この場合、ライト系のインクが「特定インク」に該当する。
また、色材を含まないクリアインクを用いる形態において、このクリアインクが最も耐擦過性に優れているインクである場合、クリアインクが「特定インク」に該当する。このように「特定インク」は透明インクであってもよい。従って、特定インクが透明インクで、非特定インクが非透明インク(色材を含む有色インク)である形態も本発明の範疇である。
また、「特定インク」は1種類に限らず、複数種類であってもよい。例えば、上記実施形態のようにCMYKの4種類のインクを用いる形態において、CYの2種類のインクを「特定インク」とし、MKの2種類のインクを「非特定インク」としてもよい。この場合、インクの種類ごとにマスク選択パラメータの算出方法を異ならせてもよいし、同じパラメータを共有してもよい。算出方法についても様々な形態を採用することが出来る。例えば、特定の2色の組み合わせによってマスクパターンを切り替えたい場合には、図10の演算処理1103に示したように、全色の濃度データを考慮するのではなく、該当する2色のデータのみを用いて算出するようにしてもよい。
また、以上では、インクの付与タイミングを積極的に制御したい特定インクに対してのみ複数のマスクパターンを用意し、他色は全て等しいマスクパターンを用意したが、無論インク色ごとに異なるマスクパターンを予め用意しても構わない。
また、上記実施形態では、特定インク(Y)の各走査での記録許容率を定めるためのパラメータ(マスクパターン)を選択するにあたり、単位画素に付与される全ての非特定インク(CMK)に関する情報を考慮しているが、一部の非特定インク(例えば、MKだけ、あるいはCのみ)に関する情報だけを考慮する形態であってもよい。つまり、特定インク(Y)の記録許容率決定に関与する非特定インク(例えば、MK)だけでなく、特定インク(Y)の付与走査記録許容率決定に関与しない非特定インク(例えば、C)を設けるようにしてもよい。このように本発明では、単位画素に付与される特定インクと特定インク以外の少なくとも1つのインクに関する情報に応じて、単位画素に対する特定インクの記録許容率を走査後に決定しさえすればよい。
また、上記実施形態では、イエローの耐擦性が優れていることからこのような制御を行ったが、耐擦性の程度は、記録する記録媒体の種類などによっても変動する。よって、例えば複数の記録モードを予め用意しておき、耐擦性を重視するモードにおいてのみ上記方法を採用するようにすれば、ノズル使用の偏りをより一層緩和することもできる。
以上説明したように、本発明によれば、個々のノズルの使用頻度に定常的な偏りを持たせることなく、必要な単位画素に対して選択的にインクの付与順序をコントロールすることが出来る。これにより、マルチパス記録の効果が十分発揮され、且つ耐擦性にも優れた、一様で高品位な画像を出力することが可能となる。
但し、特定インクと非特定インクの分類基準は、このような耐擦過性を基準に定められるものでなくともよい。非特定インクに比べて遅れて(あるいは早めて)特定インクを付与することによって、何らかの効果が画像上現れる状況であれば、上述したような本発明の構成は効果的に機能する。例えば、より積極的に色域を拡大することを目的としてカラーインクの付与順序を制御する場合にも、本発明を好適に用いることが出来る。
図25は、このような色域の拡大を図る際の具体的な例を説明するための色度図である。実線で囲った領域は、ホスト装置で表現される全ての色を、実際にキヤノン製の記録装置W8400によって記録し、その記録物を測定して得られた色域をa*b*平面に投影して得られた領域である。なお、このデータを得る際に使用した記録媒体は、キヤノン製のフォト光沢紙(薄口)であり、この色度図は、一般的な記録方法、すなわち全色の記録許容率が各記録走査で均等に分散されるようなマルチパス記録から得られたものである。図において、例えば14aは黄色味の強い赤色の位置を示す。これに対し、上述した実施形態と逆方向の制御、すなわちイエローインクを先行して付与するように制御することにより、14aのポイントを14bのポイントに移動させることが出来る。結果、更に黄色味の強い赤色を発色することが可能となり、再現可能な色域を拡大することが出来る。ここでは、黄色味の強い赤の色相を例に説明したが、このようなインク付与順序の制御を色域の外郭ないしはすべての領域において適用すれば、色域をより広い範囲に拡大することができる。
更に、上記実施形態は、全てノズル列を8つ(N個)の領域に分割した、すなわち領域をN個配列した、8回(N回)のマルチパス記録を例に説明したが、Nの値はいくつに設定しても本発明を同様に実現することは出来る。また、記録ヘッドの記録走査は片方向で行われても、双方向で行われても、本実施形態の効果はほぼ同様に得ることが出来る。
更にまた、上記実施形態では図7で説明したブロック図の構成を用い、ホスト装置と記録装置から構成される一連のインクジェット記録システムとして説明してきたが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。また、様々なフローチャートで説明した一連の処理についても、それが実行される装置は、ホスト装置あるいは記録装置に限定されるものではない。全ての処理がホスト装置内部で実行され、記録あるいは非記録が定められた2値データが記録装置に入力される形態であってもよい。また、記録装置自体がRGBデータをそのまま受信し、一連の画像処理を装置内部で実行する構成を備えている形態であっても本発明は有効である。
また、上記実施形態では、マスクパターンの選択により記録許容率を決定しているが、記録許容率の決定の仕方はこの方式に限定されるものではない。例えば、全ての単位画素にデフォルトの記録許容率を予め定めておき、単位画素に付与されるインクの情報に応じて記録許容率を変更する単位画素を特定し、その画素についてだけ記録許容率を変更する形態であってもよい。従って、記録許容率を決定するための決定手段は、記録許容率を選択する選択手段であってもよいし、記録許容率を変更する変更手段であってもよい。
さらに、本発明は、上述した特徴的な処理(特定インクの付与走査を決定する処理)の機能を実現するプログラムコード、または、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体によっても実現される。この場合、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が上記プログラムコードを読出し実行することによって上述した処理が実現されることになる。このように、上述した特徴的な処理をコンピュータに実行させるプログラム、あるいは、そのプログラムを記憶した記憶媒体も本発明に含まれる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSが実際の処理の一部または全部を行うものであってもよい。
4Y イエローインクノズル列
4M マゼンタインクノズル列
4C シアンインクノズル列
4K ブラックインクノズル列
11 キャリッジ
12 キャリッジモータ
13 フレキシブルケーブル
14 回復手段
15 給紙トレイ
16 エンコーダ
17 記録ヘッド
141 キャップ
142 吐出受け
143 吐出受け
144 ワイパーブレード
301 システムコントローラ
302 ドライバ
303 ドライバ
305 搬送モータ
306 ホスト装置
307 受信バッファ
308 フレームメモリ
309 バッファ
310 記録制御部
311 ドライバ

Claims (16)

  1. 所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって、前記複数回の走査それぞれについて前記単位領域内の記録を許容する画素と記録を許容しない画素とを定めたマスクパターンに従って前記単位領域に記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前記単位領域に前記複数回の走査で付与される前記所定のインクの総量と前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に関する付与量情報を取得する取得手段と、
    前記付与量情報に応じて前記複数回の各走査における前記所定のインクの付与量を前記マスクパターンにより決定する決定手段と、
    を有し、
    前記決定手段は、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に対する前記所定のインクの総量の比が所定の比より小さい場合における前記所定のインクの前記複数回の走査で付与される総量に対する前記複数回の走査のうち後半の走査で付与される量の割合が、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に対する前記所定のインクの総量の比が前記所定の比より大きい場合における前記割合よりも大きくなるように、前記所定のインクの付与量を決定することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記単位領域に対する前記所定のインクの記録に対応した前記マスクパターンを複数種類記憶した記憶手段を更に備え、
    前記複数種類のマスクパターンは、前記複数回の走査のうちの前半の走査および最初の走査の少なくとも一方における前記所定のインクの記録許容率が互いに異なるマスクパターンを含み、
    前記決定手段は、前記付与量情報に応じて前記複数種類のマスクパターンから1つを選択する選択手段を含み、当該選択手段によるマスクパターンの選択に従って前記記録許容率が決定されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記選択手段は、前記付与量情報に基づき定められる、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの付与量に対する前記所定のインクの付与量の比が小さいほど、前記前半の走査あるいは前記最初の走査の少なくとも一方における前記所定のインクの記録許容率が高いマスクパターンを選択することを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  4. 所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
    前記単位領域に対する前記複数回の走査のうちの前半の走査および最初の走査の少なくとも一方における前記所定のインクの記録許容率を前記所定のインク以外のインクの記録許容率よりも高くするための処理を、前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび当該所定のインク以外のインクに関する情報に基づいて実行可能な処理手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 前記所定のインクは第1の色のインクであり、
    前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクは、前記第1の色とは異なる第2の色のインクであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記所定のインクは色材を含有しないインクであり、
    前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクは色材を含有するインクであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記所定のインクは、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクに比して、耐擦過性に優れることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記付与量情報は、前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの付与量に関する2値あるいは多値の情報であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記付与量情報は、前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクに関連するRGB情報であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
    前記単位領域に対応するRGB情報に基づいて、前記単位領域に対する前記所定のインクの記録許容率を前記複数の走査毎に決定するための決定手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. 前記単位領域に対する前記所定のインクの記録許容率を前記複数回の走査毎に定めるためのマスクパターンを複数種類記憶した記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された複数種類のマスクパターンから1つ選択するための選択パラメータとRGB情報とが対応付けられたテーブルとを更に備え、
    前記決定手段は、前記単位領域に対応するRGB情報と前記テーブルに基づいて前記選択パラメータを取得し、取得した選択パラメータに従って前記複数種類のマスクパターンから1つを選択することを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
  12. 所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって、前記複数回の走査それぞれについて前記単位領域内の記録を許容する画素と記録を許容しない画素とを定めたマスクパターンに従って前記単位領域に記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記単位領域に前記複数回の走査で付与される前記所定のインクの総量と前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に関する付与量情報を取得する取得工程と、
    前記付与量情報に応じて前記複数回の各走査における前記少なくとも1つのインクの付与量を前記マスクパターンにより決定する決定工程と、
    を有し、
    前記決定工程は、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に対する前記所定のインクの総量の比が所定の比より小さい場合における前記所定のインクの前記複数回の走査で付与される総量に対する前記複数回の走査のうち後半の走査で付与される量の割合が、前記所定のインク以外の少なくとも1つのインクの総量に対する前記所定のインクの総量の比が前記所定の比より大きい場合における前記割合よりも大きくなるように、前記所定のインクの付与量を決定するインクジェット記録方法。
  13. 所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うためのインクジェット記録方法であって、
    前記単位領域に対する前記複数回の走査のうちの後半の走査および最終の走査の少なくとも一方における所定のインクの記録許容率を前記所定のインク以外のインクの記録許容率よりも高くするための処理を実行するか否かを、前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび当該所定のインク以外のインクに関する情報に基づいて判定する判定工程と、
    前記判定工程における判定結果に従って、前記単位領域に対する前記所定のインクおよび前記所定のインク以外のインクの付与を制御する制御工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  14. 所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うためのインクジェット記録方法であって、
    前記単位領域に対する前記複数回の走査のうちの前半の走査および最初の走査の少なくとも一方における所定のインクの記録許容率を前記所定のインク以外のインクの記録許容率よりも高くするための処理を実行するか否かを、前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび当該所定のインク以外のインクに関する情報に基づいて判定する判定工程と、
    前記判定工程における判定結果に従って、前記単位領域に対する前記所定のインクおよび前記所定のインク以外のインクの付与を制御する制御工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  15. 所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うためのインクジェット記録方法であって、
    前記単位領域に対応するRGB情報に基づいて、前記単位領域に対する前記所定のインクの記録許容率を前記複数の走査毎に決定するための決定工程と、
    前記決定工程において決定された記録許容率に基づいて、前記単位領域に対する前記所定のインクの付与を制御する制御工程と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録方法。
  16. 所定のインクを含む複数のインクを付与するためのインク付与手段の記録媒体の単位領域に対する複数回の走査によって前記単位領域に記録を行うことが可能なインクジェット記録装置であって、
    前記単位領域に付与される前記所定のインクおよび当該所定のインク以外のインクに関する情報に応じて、前記単位領域に対して前記所定のインク以外のインクよりも相対的に後の走査で付与される所定のインクの割合を変化させる処理を実行可能な処理手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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