以下に、本願発明に係わる実施の形態について図面を基に説明する。
図1は、デジタルカラー複写機からなる画像形成装置の構成を示す概略図である。
図に示す画像形成装置(便宜上、画像形成装置本体という場合がある)は、装置本体上部に自動原稿送り装置1を有し、内部に画像読み取り部2、画像形成部3、ベルトユニット4のためのベルト設置部、給紙部5、定着装置T、反転排紙・再給紙部6、および、反転搬送手段であるADU7を有している。
前記自動原稿送り装置1は、原稿を1枚ずつ送り出して画像読み取り位置へと搬送し、画像読み取りが終わった原稿を所定の場所に排出する装置である。
前記自動原稿送り装置1は、原稿載置台101、原稿分離手段103、原稿搬送部105、原稿排紙手段107、原稿排紙台109、および、両面コピーモードにおいて、原稿の表裏面を反転させるためのローラ対からなる原稿反転手段111を有している。
処理プロセスがらみで述べるに、前記原稿載置台101上に載置された複数枚の原稿(不図示)は、原稿分離手段103によって1枚づつ分離され、前記原稿搬送部105を介して画像読み取り位置に向けて搬送される。
前記原稿読み取り位置は、前記原稿搬送部105の下方部に設けられており、そこで、画像読み取り部2を構成するスリット201を介して、原稿の画像が読み取られ、読み取られた原稿は原稿排紙手段107によって原稿排紙台109上に排出される。
なお、両面コピーモードにおいては、片面が読み取られて搬送されてくる原稿は前記原稿反転手段111により二点鎖線の矢印で示す方向に搬送される。
そして、進行方向における原稿の後端を咬んでいる状態で駆動停止された後の原稿反転手段111の逆方向回転により、前記原稿搬送部105を介して、再び画像読み取り位置に導かれた後、原稿排紙手段107によって原稿排紙台109上に排出される。
上記の工程は、原稿載置台101上に載置された原稿の枚数分繰り返される。
画像読み取り部2は、前記スリット201、原稿照射用のランプ213と原稿の反射光を反射させる第1ミラー215とを一体化した第1ミラーユニット205、第2ミラー217と第3ミラー219とを一体化した第2ミラーユニット207を有する。
また、前記第3ミラー219からの反射光を撮像素子上に結像させる結像レンズ209、および、結像レンズ209によって結像された光像を光電変換して画像情報を得るライン状の撮像素子(以下、CCDという)211を有している。
前記画像情報は、適宜の画像処理を施された後、一旦、後記する制御手段S内のメモリに蓄積されるようになっている。
前記自動原稿送り装置1によって送られている原稿を、画像読み取り部2で読み取る態様においては、第1ミラーユニット205及び第2ミラーユニット207は、図示の如き位置に固定されている。
前記画像読み取り部2によって読み取られた各色毎の画像情報は、前記メモリより順次取り出され、静電荷潜像形成手段である各色毎の露光光学系にそれぞれ電気信号として入力される。
前記画像形成部3は色分解画像に応じたトナー像を形成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の4組の画像形成手段30(30Y、30M、30C、30BK:以下、画像形成ユニットという)を有する。
各々の画像形成ユニット30は、感光層をドラム状の金属基体上に設けた像担持体としての感光体ドラム310、帯電器320、画像書き込み手段である露光光学系330、現像装置340、転写手段350、クリーニング手段360を主要構成要素とする。
なお、前記露光光学系330はレーザ光学系で構成される露光ユニットである。
図においては、イエローの画像形成ユニットを構成する部材にのみ参照符号を付し、他の画像形成ユニットも基本的に同じ構成を有するので、図面簡素化という観点から参照符号は省略してある。
前記現像装置340は、磁性キャリア(以下、単にキャリアという)と非磁性トナー(以下、単にトナーという)とを含む二成分現像剤を収納している。
また、前記現像装置340は、周方向に沿って複数の磁石(磁極)を位置固定で内蔵した、可回転、かつ、非磁性の円筒形状からなる現像剤担持体(以下、現像スリーブあるいは単にスリーブと呼称する)と、トナー濃度検知手段(不図示)を有している。
前記複数の磁石は、前記現像剤を前記スリーブ上に磁気的に吸着して担持せしめ、当該スリーブの回転によって現像領域に搬送させ、次いで、現像処理後の前記現像剤を前記スリーブ上から反発磁界を利用して自動的に除去しうるように配列されている。
また、前記現像装置340における前記現像スリーブには、画像形成動作に所定極性(ここではマイナス極性の直流電圧と交流電圧の重畳)のバイアス電圧が印加されるようになっているが、これらの構成自体はよく知られているので、詳細な説明は割愛する。
更に、各現像装置340に関連してトナー補給装置が準備されており、当該トナー補給装置は、色毎の補給トナーが充填されたトナーボトルを可回転に装着するトナーボトル装着部と、トナーボトルから排出されたトナーを貯留できるトナー貯留室とを有する。
また、前記転写手段350は、後述する中間転写転ベルト401を介して前記感光体ドラム310の周面一部に対向しているローラからなるが、放電ワイヤからなる電極を含む通常の転写電極と呼称される態様の構成とすることもできる。
前記クリーニング手段360は転写後の前記感光体ドラム310上に残留するトナーを除去し、除去されたトナーは適宜のパイプ(不図示)を介して下降され、用紙トレイの側部に設置されている廃トナーボックスDTに収納されるようになっている。
各々の画像形成ユニット30は、縦方向に長く配設された、ベルトユニット4を構成するループ状の中間転写ベルト401の一平面(張設面)Aの進行方向に沿って、上から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の順に配列されている。
前記中間転写ベルト401と、当該中間転写ベルトを回転可能に懸架する支持ローラ405、406、407、および、バックアップローラ410等がベルトユニット4を構成する。
また、前記バックアップローラ410は、中間転写ベルト401を挟んで当該バックアップローラと押圧しながら回転するように対向配置した転写ローラ510とで二次転写手段を構成している。
上記の画像形成ユニット30とベルトユニット4の構成とによる画像形成は次のようになされる。
画像形成プロセスの開始に伴って、反時計方向に回転する感光体ドラム310の表面は帯電器320により所定の極性(ここではマイナス極性)に帯電される。
次いで、露光光学系330による第1の色信号、即ち、イエロー(Y)の画像信号に対応する露光が施され、当該イエロー(Y)の画像に対応する潜像が前記感光体ドラム310上に形成される。
前記潜像は、現像装置340の現像剤による接触または非接触現像処理により、反転現像されてイエロー(Y)のトナー像に変換された後、転写手段350の作用によって中間転写ベルト401上に転写される。
第1の色信号による画像形成開始から所定の時間後に順次開始される他の色信号による画像形成は、上記と同様のプロセスにより、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の各画像形成ユニット30によってなされる。
それぞれの画像形成ユニットで形成された感光体ドラム上の各トナー像は、前記イエロー(Y)のトナー像のある画像領域と重畳するように順次転写され、前記中間転写ベルト401上に重ね合わせのカラートナー像が形成される。
一方、転写処理終了後の前記感光体ドラム310の表面はクリーニング手段360で清掃され、新たな画像形成のための準備が整えられる。
なお、前記感光体ドラム310、あるいは、中間転写ベルト401に対する個々の画像形成プロセスの開始タイミングは次のように行う。
即ち、前記中間転写ベルト401の外側であって、前記中間転写ベルトの回転方向に見て、前記転写ローラ510のある位置から1組目(イエロー)の画像形成ユニットが設けてある位置までの区間にレジストセンサ413を付設しておく。
そして、前記中間転写ベルト401に設けた基準マークを前記レジストセンサ413が検知したときを起点として計時を行い、所定時間経過毎に、順次、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)に係わるプロセスを開始させる。
なお、参照符号Sはコンピュータを含む制御手段(以下、制御部ともいう)で、機械作動のプログラムを内蔵し、一連の画像形成プロセスに係わる制御、給紙制御、トナー濃度制御等、全ての制御を行う。
換言すれば、制御手段Sは、演算制御処理を行うCPUと、各種動作プログラムを記憶しているROM、演算結果データを記憶するRAM等を有する。
そして、インターフェースを介して各種センサの出力を前記CPUに取り込むとともに、その情報を基にモータ或いは表示手段等を駆動制御する構成を有する。
参照符号P1、P2、P3は、装置本体の下部に設置された3つの用紙トレイであり、図の手前方向に取り出し(引き出し)可能である。
DTは前述した如くの廃トナーボックスであり、前記用紙トレイP1乃至P3の側部にあり、前記用紙トレイの引き出し方向と同一方向に取り出し(引き出し)可能である。
前記廃トナーボックスDT、および、用紙トレイP1乃至P3を囲んでいる二点鎖線は、廃トナーボックスDTの収納部前面をカバーする外装扉80と、用紙トレイの前面をカバーする正面扉85を示す。
前記用紙トレイP1乃至P3の送り出し部には給紙ローラ503、513、523と、分離ローラ506、516、526、及び、搬送ローラR1、R2、R3が備えられ、これらローラで繰り出された用紙PはR4乃至R7が配設されている搬送路に沿って搬送される。
参照符号59はレジストローラで、前記搬送ローラR7よりも下流であって、前記二次転写部に近接した位置に設けられている。
搬送路上であって前記二次転写部(転写ローラ510のある位置)より下流に設置されているのは、加熱源を内蔵した第1定着ローラT1と、当該第1定着ローラと圧接しながら回転する第2定着ローラT2を主要素とする定着装置Tである。
参照符号600は排紙ローラを示し、650は排紙された用紙を積載収納する排紙トレイを示す。
反転排紙・再給紙部6とADU7に係わる用紙搬送路形態、および、搬送制御については公知であり、また、本願発明に直接関係しないので説明は割愛する。
次に、中間転写ベルト401上に形成されたカラートナー画像が用紙P上に転写され、装置外に排紙されるまでの工程を、今まで説明していなかった装置の構成を絡めながら簡単に説明する。
前記中間転写ベルト401上における画像形成に対応した適宜のタイミングで、用紙Pが給紙ローラ503(513、523)によって給紙される。
次いで、用紙Pは、分離ローラ506、および搬送経路上に設けた複数の搬送ローラR1〜R7により挟持搬送されて転写部(転写領域)の手前位置に設けられているレジストローラ59に向けて搬送される。
給紙される用紙Pは、記録枚数、記録開始釦、または、記録倍率や画像濃度等を設定することができる操作表示板150上で指定・選択されたサイズのシート材である。
前記用紙Pは、前記レジストローラ59にその先端が当接された後、当該レジストローラ59の回転再開により、前記中間転写ベルト401上のカラートナー像領域と重畳するタイミングで再給紙される。
次いで、前記用紙Pは二次転写部において前記バックアップローラ410と前記転写ローラ510とにより前記中間転写ベルトとともに押圧挟持され、この間に、前記中間転写ベルト401上のカラートナー画像が前記用紙P上に転写される。
転写の際、前記転写ローラ510に適宜の転写バイアス電圧を印加するように構成することが望ましい。
トナー像が転写された前記用紙Pは前記中間転写ベルト401から分離され、搬送ベルト(不図示)により定着装置Tに向けて搬送され、加熱・加圧処理を受けることによりトナーが溶融され、用紙P上に定着される。
定着装置Tによる定着処理終了後の用紙Pは、その下流に設けてある排紙ローラ600により搬送され、装置本体外に設けてある排紙トレイ650上に排出される。
一方、二次転写終了後の前記中間転写ベルト401の表面は、クリーニング手段40によってクリーニングされ、新たなトナー像を担持する準備がなされる。
また、図において、通路切替部材601の図示上の位置は、定着処理後に用紙Pを反転することなく排出する場合の位置である。
用紙の反転排出時には、前記通路切替部材601が所定量回動され、定着後の用紙Pは通路切替部材601の右辺に沿って下方に案内される。
次いで、ローラ602によって後端が挟持された状態とされた後の当該ローラ対602の逆回転により、用紙Pは前記通路切替部材601の左側の辺に沿って上昇せしめられ、前記排紙ローラ600を介して排出される。
更に、前記ADU7を用いる両面コピーモードの場合、片面に画像が形成された定着処理後の用紙Pは前記通路切替部材601の右側の辺に沿って下方に案内され、用紙Pの後端がローラ対605により挟持された状態で搬送停止される。
次いで、当該ローラ対605を逆回転せしめ、ガイド板(不図示)に沿って上昇させ、複数のローラ対701、702、703を有するADU7に導いて用紙Pの反転を達成する。
用紙Pの第2面に対する画像形成プロセスは前述と基本的に同じであり、また、前記定着装置Tから送り出された後の排出路については前述した何れかが選択される。
なお、上記の画像形成プロセスにおいて、現像剤中のトナー濃度は前記トナー濃度検知センサにより検知され、その出力情報は前記制御手段Sに取り込まれて演算され、設定されている閾値と比較される。
そして、トナー補給が必要であると前記制御手段Sが判断すると、当該制御手段Sの指令に基づいてトナー搬送手段が駆動され、必要なトナー量が現像装置340内に補給されることになる。
一方、感光体ドラム上からクリーニング手段360により除去されたトナーは廃トナーボックスDTに送られて収納される。
なお、参照符号9は、本願発明に係わる給紙装置を内蔵したオプション給紙装置を示し、当該オプション給紙装置9は、前記画像形成装置本体と一体的に結合されて使用に供せられる(オプション給紙装置の構成の詳細は後記する)。
前記オプション給紙装置9内の用紙収納手段から給紙手段により給紙された用紙は、適宜の搬送ローラにより搬送され、連通口を介して、画像形成装置内に送り込まれ、前述した用紙と同様に搬送制御されて、所定面に転写画像が形成された後、前記排紙トレイ650上に排出される。
なお、本願発明においては、給紙装置を内蔵する画像形成装置本体のみならず、上記のように外付けのオプション給紙装置9が結合された装置の態様も画像形成装置の範疇に属する。
図2は、本願発明に係わるオプション給紙装置9内の構成を説明するための概略図である。
図2において、オプション給紙装置9内には、箱状の用紙収納手段P20、P21、P22が上下方向に備えられている。
また、各々の用紙収納手段の上方であって、用紙先端部を含む前方寄りの位置には、給紙手段であるエンドレス状の吸着ベルトSB20、SB21、SB22を含む用紙吸引搬送手段VT20、VT21、VT22が設けられている。
前記用紙収納手段P20乃至P22は、大量の用紙Pを積載収納できる容量を有するとともに、上下方向に移動可能な昇降板960、961、962を備えており、また、当該昇降板を含んで図面の手前側に引き出し可能に設けられている。
また、前記昇降板960乃至962は、積載された用紙が画像形成プロセスにおいて使用され、順次減少するに従って上昇され、常に、最上位紙の位置が一定の位置を有するように規制されている。
高さ方向における用紙の位置規制は、用紙を検出するセンサや制御手段Sによって構成することができ、また、昇降板を昇降させる構成等については公知の技術が使用できる。
これらの位置規制や昇降板の昇降機構は直接に本願発明を特徴づけるものではないということから詳細な説明は略すが、例えば、特開2006−027797号公報を参考とすることができる。
前記吸着ベルトの最下面(平行平面の内の下側の面の位置の意で、用紙搬送面であり、かつ、収納されている用紙の最上位紙と対向する面)と積載された用紙Pの最上位紙との間には間隙が形成されている。
本実施の形態においては、前記間隙を約10mmとしたが、この数値は各種の条件によって変更できるものであり、本願発明を拘束するものではない。
用紙Pの搬送経路を辿ると次のようになる。
前記吸着ベルトSB20乃至SB22による用紙Pの給紙方向は、前記用紙収納手段P20の引き出し方向と直交する方向(図における左側方向)である。
前記吸着ベルトSB20により用紙収納手段P20から給紙される用紙Pは、図の左側において、前記吸着ベルトSB20の最下面と略同じ高さ位置にニップ部を有する搬送ローラR20に挟持される。
その後、前記搬送ローラR20により搬送されるとともに、ガイド板(参照符号無し)の作用を受けて下方向に向きを変えられる。
次に、垂直方向に設けた搬送ローラR23乃至R27により下方に搬送され、ガイド板(参照符号無し)で図の左側にガイドされた後、回転停止状態にある搬送ローラR28に先端を当接して停止される。
前記搬送ローラR28は、画像形成プロセスとのタイミングをとるためのレジストローラとしての機能を果たしている。
その後、前記搬送ローラ28等の回転開始に伴って、前記用紙Pは画像形成装置内に送り込まれる。これらの給紙制御は、前述した制御手段Sにより行うことができる。
同様に、吸着ベルトSB21により用紙収納手段P21から給紙される用紙Pは、図の左側において、前記吸着ベルトSB21の最下面と略同じ高さ位置にニップ部を有する搬送ローR21に挟持され、搬送される。
しかる後、ガイド板の作用を受けるとともに、搬送ローラR26、R27により下方に搬送され、前記搬送ローラR28に先端を当接した状態で停止され、搬送ローラR28の回転開始に伴って画像形成装置内に送り込まれる。
更に、吸着ベルトSB22により用紙収納手段P22から給紙される用紙Pは、図の左側において、前記吸着ベルトSB21の最下面と略同じ高さ位置にニップ部を有する搬送ローR21に挟持され、搬送される。
そして、ほぼ同じ高さ位置を有する搬送ローラR28に先端を当接した状態で停止され、当該搬送ローラR28の回転開始に従って画像形成装置内に送り込まれる。
上記から理解されるように、本願発明に係わる給紙装置は、用紙収納手段、吸着ベルトを一構成要素として含む用紙吸引搬送手段、および、複数の搬送ローラを主要素とする。
ここで、用紙吸引搬送手段の構成を具体的に説明する。
図3は、前記用紙吸引搬送手段VT20乃至VT22の基本的構成の主要部を示す図であり、下側からみた部分図である。
図において、ベルト保持体925は板材からなり、オプション給紙装置9の固定部にネジ止めされ、吸着ベルト保持枠933を介して吸着ベルトSB20(以下、吸着ベルトを特定する必要がない場合、単に吸着ベルトSBという)を懸架状態で保持する。
前記吸着ベルトSBは、多数の孔が形成された2本のベルトを並列配置した構成からなり、駆動ローラ930と従動ローラ931に掛け回されている。
前記吸着ベルトSBはセンター基準で設けられており、幅方向、および、給紙方向における吸着ベルトSBのサイズは、その仕様に応じて適宜に決定できる。
本実施の形態における吸着ベルトSBの幅方向サイズは、葉書サイズの短辺よりも若干大きなサイズとしてある。
なお、本実施の形態における使用可能な最小サイズは縦送り(長辺が給紙方向と平行な給紙態様)仕様の葉書サイズ(100mm×148mm)であり、また、使用可能な最大サイズは、縦送り仕様の定型サイズ(330mm×487mm)である。
前記吸着ベルトSBで形成される内側空間部には、前記吸着ベルト上に用紙を吸引保持させるための負圧源、例えば、シロッコファンF1(不図示:以下、負圧源F1という場合がある)内蔵のケーシングに接続したダクトボックス(図5参照)が配設されている。
また、前記吸着ベルト保持枠933上の4カ所には軸(ピン)Jが植設されており、アーム940、941の一端が前記軸J対して遊嵌状態で設けられている。
前記アーム940,941の他端部は、前記ベルト保持体925に形成した折曲部950上の軸Jに対して遊嵌状態で設けられている。
上記構成により、前記折曲部950上の軸Jは、吸着ベルトSB、あるいは、前記吸着ベルト保持枠が位置移動させられるときの揺動支点として機能することになる。
図2に戻って、前記用紙収納手段P20乃至P22は、用紙の給紙方向と直交する方向に設けられた、用紙の側面を規制するための側面規制部材920乃至922を有する。
前記側面規制部材920乃至922の各対は、図を上方向から見たとき、前記吸着ベルトSB20乃至SB22を挟んで対向配置されている。
また、前記側面規制部材920乃至922は、使用される各種サイズの用紙Pの全てに対応できるように給紙方向と直交する方向に移動・固定可能に構成されている。
参照符号923は前記側面規制部材920乃至922の左端位置を示し、この位置と直交する面上には用紙Pの先端を規制するガイド部材の前面壁(後記)が設けられている。
前記ガイド部材の前面壁の位置は、前記吸着ベルトSB20乃至SB22の吸着領域内であって、その一端部に近接した位置でもある。
参照符号986は、前記側面規制部材920の内側に形成された空気吹き出し口を示し、当該空気吹き出し口は、後述する空気吹きつけ手段と関連づけられている。
前記空気吹き出し口986の高さ方向における位置、あるいは、その向きは、用紙収納手段P20(P21、P22)に0収納されている用紙の内、上部に位置する用紙Pの側面に対応するように構成されている。
また、給紙方向においては、用紙の中央部よりも先端部寄りであり、かつ、前記吸着ベルトSBが配設されている給紙方向における領域a−b内にある。
ここで、前記側面規制部材の構成について詳細に説明する。図4は、側面規制部材の斜視図であり、左右の側面規制部材の構成が基本的に同じであるということから、便宜上、対の一方のみを示してある。
参照符号980は最小サイズの用紙(葉書サイズ)に対する第2の側面規制部材で、第1の側面規制部材920上の上下に植設したピン981,982を支点として、図に示す退避位置と反時計方向に90度回動した位置とを占めることができる。
前記側面規制部材980は、退避位置から90度回動した位置で、面983により最小サイズの用紙の側面を規制する。
但し、上記側面規制部材920が最小サイズの用紙の規制ができる移動量を有している場合は、当然のこととして省くことができる。
参照符号985は、側面規制部材920の前寄り上部に設けたフラップで、積載収納される用紙の上面(側)に突出する適宜の幅と長さを有している。
前記フラップ985の直下に位置する前記側面規制部材920(921,922)の内側壁面(側面壁面上の上方部の意)には、前述した空気吹き出し口986が設けられている。
前記空気吹き出し口986はダクト(参照符号無し)の一端に繋がっており、当該ダクトの他端は、ファンからなる空気吹きつけ手段F2を内蔵するケーシング987と繋がっている。
また、前記ケーシング987は、前記側面規制部材を構成する内・外壁で形成された内部空間に設置された構成となっている。
上記の構成において、前記空気吹きつけ手段F2が駆動されると、前記空気吹き出し口986から空気流が吹き出され、当該空気流は、積載状態にある用紙の最上位紙近辺の複数の用紙側面に向けられる。
そして、上部の用紙P間に流れ込み、少なくとも、最上位紙Pを下位の用紙から分離させるとともに浮遊状態となして、用紙吸引搬送手段による容易な吸引搬送を助長しうるように作用する。
換言すれば、吸着ベルトSBの吸着領域が小さいと、最上位紙と吸着ベルトとのギャップが、例えば、1mmというように狭い場合であっても、A4サイズ(縦送り)以上の用紙を吸着ベルト上に吸引することが困難となることがある。
前記空気吹きつけ手段の採用は、このような不具合をなくすことが可能である。
しかしながら、用紙を吸着ベルトSB上に吸引させる負圧源の容量を大きくするとともに、吸着ベルトSBの吸着領域を大きくすることにより、前述のような不具合をなくすことができるので、この場合は、空気吹きつけ手段F2を除去することができる。
本願発明は、このような構成の給紙装置を排除するものではない。
なお、前記空気吹き付け手段F2の駆動制御は、基本的に、負圧源F1による負圧によって吸着ベルト上に確実に吸引・吸着させることができない種類の用紙を使用するときに行えばよく、必ずしも全種類の用紙に対して行う必要はない。
本実施の形態において、前記空気吹きつけ手段F2による空気流の強さ(風量)は、用紙のサイズ情報に応じて複数段階に切替使用されるように構成してある。
次に、図5を用いて用紙戻し手段について説明する。図5は、給紙装置の主要部を拡大して示す図である。
既出の部材(手段)については、他の図におけると同様に、同一の参照符号を付してある。
図において、参照符号DBはダクトボックスであり、当該ダクトボックスは負圧源に繋がっている。
前記吸着ベルトSBの配設領域内であって、端部近傍の下方にはガイド部材Gが位置付けられている。
前記ガイド部材Gは、用紙の先端を規制する前面壁990と、用紙の給紙方向に延設された水平のガイド面991とを有している。
換言すれば、前記ガイド面991は、用紙収納手段Pに近接した下流位置であって、用紙収納手段に収納される最上位の用紙よりも高い位置を有するように構成されている。
参照符号992は空気流発生源であるところのファンからなる加圧源Kに繋がっているダクトであり、一端部に空気吹き出し口993を有する。
前記空気吹き出し口993は、前記ガイド面991の近接下流位置であって、当該ガイド面991よりもやや低い位置を有するように構成されている。
また、前記ダクト992は途中から口細に形成され、所定の方向に曲げられている。
換言すれば、前記ダクト992は、空気吹き出し口から吹き出される空気流を、ガイド面991の下流側端部と、当該ガイド面と対向している用紙吸引搬送手段の用紙搬送面(実質的には、吸着ベルトの搬送面)に向けることができるように構成されている。
上述の如くの方向に強制的に向けられる空気流は、例えば、吸着ベルトSB上に吸着されて搬送されてくる用紙に対して、当該用紙を押し戻す方向に作用する。
このように、加圧源Kとダクト992とを主要素とする構成が用紙戻し手段999として機能する。
前記空気吹き出し口993は、用紙Pの給紙方向と直交する方向(以下、この方向を用紙の幅方向という)においてセンター基準で設けられている。
用紙の幅方向における前記空気吹き出し口993の大きさは適宜決定できるものであり、例えば、使用される最大用紙の幅と同じくらいに大きくする必要はない。
参照符号995は前記ガイド部材Gの下流に設けた水平ガイド板であり、前記空気吹き出し口993のある部分を避けて搬送ローラR20の手前まで延びている。
なお、図中、参照符号P−1(二点差線で示される)は、用紙収納手段内に収納されている最上位の用紙を含む複数枚の用紙からなる束(用紙束)を示す。
また、参照符号P−2(実線で示される)は、給紙時に最上位の用紙Pと一緒に送り出され、最上位紙を除いて、先端部が前記ガイド面上に残された複数枚の用紙からなる束(用紙束)を示す。
次に、上述の給紙装置を構成する各手段の動作を制御絡みで説明する。
画像形成プロセスに対応して制御手段Sから給紙指令が出されると、ドライバ回路(不図示)を介してシロッコファンF1、空気吹きつけ手段F2、および、加圧源Kが同時に駆動制御され、1秒程度の所定時間経過後、吸着ベルトSBの駆動が開始される。
その所定時間内において、前記空気吹きつけ手段F2のオン・オフが繰り返される。
これは、用紙収納手段に収納されている用紙のうち、特に、上部の用紙が湿度の影響を受けやすく、密着しやすいので、その影響をできる限り排除し、用紙の分離性能を安定化させるためである。
前述した所定時間経過後であって、1つの画像形成ジョブに必要な枚数の用紙の給紙が終わる迄の間、前記シロッコファンF1、空気吹きつけ手段F2、および、加圧源Kは作動状態に保たれる。
前記吸着ベルトSBが駆動されると、前記空気吹きつけ手段F2からの空気流により浮遊状態になった最上位の用紙Pが当該吸着ベルトSB上に吸着され、搬送される。
そして、用紙Pの先端が、ガイド面991の下流側端部近傍に対応する位置に至ると、空気吹き出し口993から吐出される空気流が当該用紙に当てられる。
但し、吸着ベルトSBを介しての用紙に対する吸引力の方が前記空気流の吹きつけ力よりも大きいので、用紙Pに対する搬送は正常に行われる。
そして、前記吸着ベルトSBが水平から垂直方向に方向変換される端部において前記用紙Pに対する吸引作用が働かなくなると、用紙Pの先端部は自動的に前記吸着ベルトSBから分離する。
而して、用紙の後端は前記吸着ベルトSBに吸着されているので、用紙Pは水平ガイド板995等に規制されながら搬送され、やがて用紙の先端部は搬送ローラR20に挟持されるようになる。
1枚の用紙Pの給紙が終了すると前記吸着ベルトSBの駆動は停止され、300ミリ秒経過後に駆動が再開される。この動作が必要な給紙枚数分繰り返される。
必要な枚数の給紙を終了したことが前記制御手段Sの判断手段により判断されると、ドライバ回路を介して、前記シロッコファンF1、空気吹きつけ手段F2、および、加圧源Kの駆動は停止される。
そして、次の給紙指令によって、前述した制御に基づく給紙動作が行われる。
ところで、給紙時の環境条件が高湿であるときに、例えば、密着しやすいコート紙のような用紙が使用された場合、最上位の用紙Pとともに、その下側の複数枚の用紙も一緒に送り出されることが稀にある。
最上位の用紙を含む用紙束P−1が用紙収納手段内から送り出された場合について述べるとつぎのようになる。
用紙束P−1の先端部が前記収納手段P20内からガイド部材Gの前面壁を乗り越えて搬送され、ガイド面991の下流側端部近傍に至ると、用紙戻し手段999による空気流の作用を受けるようになる。
如上の如く、最上位の用紙Pは前記吸着ベルトSB上に吸着保持されるが、2枚目以下の用紙は、前記用紙戻し手段の空気流によって捌き(分離)を促進され、搬送力を失って落下することになる。
斯様に、ここでは、前記用紙戻し手段999は2枚目以下の用紙の重送を防止し、最上位にあった用紙Pのみを確実に給紙せしめるための捌き手段として機能する。
落下した用紙の先端部は用紙束P−2で示されるように、ガイド面991上に乗った状態となる。
1つの画像形成ジョブにおいて、連続して用紙Pが給紙されなければならない場合、2枚目以下の用紙(残存用紙)は、その先端部がガイド面に乗っている状態から給紙されることになる。
但し、用紙間の密着が強い場合、空気吹きつけ手段F2の空気流が残存用紙の最上位紙を浮遊させることができないので給紙不能になる。
仮に、何らかの加減で用紙が吸着ベルトSB上に吸着されたとしても、密着している用紙は束の状態で搬送され、給紙トラブルを引き起こしかねない。
このような不具合を解消し、安定した給紙を行えるように、本実施の形態においては、ガイド部材近辺の用紙搬送路上に残存用紙があるか否かを検知するセンサ(図が見にくくなるので省略してある)が設けられている。
前記センサが残存用紙を検知すると、その出力は制御手段S内に取込まれ、残存用紙がガイド部材の近辺にあると判断手段により判断されて、吸着ベルトSBとシロッコファンF1の駆動が停止され、結果、給紙動作が停止される。
換言すれば、例えば、残存用紙がないときと、有るときのセンサの出力を制御手段S中の判断手段により判断して、用紙戻し手段による用紙Pの戻し制御を行うか否かを決定することができる。
前記用紙戻し手段999の駆動は継続されており、空気吹き出し口993から吐出されている空気流は徐々に残存用紙の束を用紙収納手段に向けて押し戻す。
このとき、同様に稼働状態にある空気吹きつけ手段F2からの空気流は、残存用紙の後退移動を容易にするように作用する。
やがて、前記センサ出力が残存用紙のないときの出力に戻ると、若干の時間経過後、制御手段Sは停止していた画像形成ジョブを継続させるべく機能する。
上記から、用紙戻し手段は次のように定義できる。
即ち、最上位紙(1枚目の用紙)に対する給紙動作に伴って連れ送り(重送)され、用紙搬送路上に残存するに至った用紙に空気流を作用させることによって、当該用紙を用紙収納手段内に戻す機能を有する手段と定義できる。
なお、本実施の形態における用紙戻し手段999は、前述の如くの捌き手段としての機能と、残存用紙を処理するための本来の用紙戻し手段としての機能を兼ねているが、捌き手段と用紙戻し手段は別個に設けることができる。
例えば、1つの加圧源に対して、捌き手段としての空気吹き出し口と用紙戻し手段としての空気吹き出し口とを切り替えて使用できる構成とすることにより達成できる。
また、それぞれの空気吹き出し口と、それぞれに対応した加圧源とから構成することもできる。
如上の如く、専用の用紙戻し手段を設けた場合、当該用紙戻し手段は、前記センサが残存用紙を検知した場合にのみ駆動制御されるように構成される。
斯様に、捌き手段としての機能を兼用する態様においては、上述のように、残存用紙がセンサにより検知された場合、その駆動は継続されるが、専用の用紙戻し手段という単機能である場合には、残存用紙が検知された時点で初めて駆動されることになる。
但し、本願明細書においては、機能兼用の場合であっても、本来の用紙戻し手段としての機能を果たすための駆動制御に係わる表現については、「センサが残存用紙を検知した出力に応じて、前記用紙戻し手段を駆動する」と表現をとることとする。
なお、センサによる残存用紙検知により、一度、用紙戻し手段の機能を停止せしめた後、再度、駆動するように構成しても良く、仕様による設計の自由度は広い。
また、前記センサは適宜の場所に設置することができるが、制御の容易さ、かつ、残存用紙を確実に用紙収納手段内に戻すことができるという観点から、用紙収納手段の近傍、例えばガイド面が存在する領域内に配設することが好ましい。
なお、センサについては所期の目的を達成できるものであればよく、型式は問わない。
また、前記用紙戻し手段999における空気流の強さを用紙のサイズによって複数段階に切り替えるようにすれば省エネに寄与できる。
本願発明に係わる給紙装置は大量の用紙を収納できる用紙収納手段を有し、当該給紙装置を有する画像形成装置は、軽印刷機の代替機として使用することを可能とする。