以下、図面を参照して本発明の給紙装置、給紙装置を備えた給紙ユニット及び給紙ユニットが接続される画像形成装置の実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態の給紙装置の構成例>
図1は、第1の実施の形態の給紙装置の一例を示す側面図、図2は、第1の実施の形態の給紙装置の一例を示す吸着搬送機構を下側から見た平面図、図3は、第1の実施の形態の給紙装置の一例を示す用紙収納部の斜視図である。また、図4は、第1の実施の形態の給紙装置の動作例を示す正面図、図5は、第1の実施の形態の給紙装置の動作例を示す要部側面図である。
第1の実施の形態の給紙装置1Aは、用紙載置台2に積載された用紙Pを吸着して繰り出す吸着搬送機構3と、吸着搬送機構3で吸着された用紙Pに、矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に対する前方から分離エアA1を吹きつける分離エア送風機構4を備える。
また、給紙装置1Aは、吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された場合に、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2の間に、分離エア送風機構4から吹き出された分離エアA1が導入される分離エア導入空間Eを形成する分離突起5Aを備える。
分離突起5Aは、吸着搬送機構3に2枚以上の用紙Pが吸着されると、分離エアA1が吹きつけられる用紙Pの先端面を浮き上がらせて、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2の間に分離エア導入空間Eが形成される位置に突出する。
これにより、用紙Pの紙種によらずに分離性能を確保しつつ、分離突起5Aの突出高さを低くすることを可能とする。
以下に、第1の実施の形態の給紙装置1Aの詳細について説明する。給紙装置1Aは、所定枚数の用紙Pが積載された形態で収納可能な空間が形成される用紙収納部20に用紙載置台2を備える。
用紙載置台2は、図示しない昇降機構によって用紙Pの積載方向に沿って昇降する。用紙収納部20は、用紙載置台2に積載される用紙Pの先端位置を規制する用紙先端突き当て面21が、用紙載置台2の昇降方向に沿って形成される。
給紙装置1Aは、用紙載置台2に積載された最上位の用紙Pを検知する上限検知センサ22を備える。上限検知センサ22は、例えば一対の光学センサで構成され、用紙載置台2に積載された最上位の用紙Pが、吸着搬送機構3による吸着可能高さH1にあることを検知する位置に配置される。
給紙装置1Aは、用紙載置台2に積載された用紙Pが吸着搬送機構3で繰り出されることで、用紙載置台2上における用紙Pの積載高さが減少すると、最上位の用紙Pが上限検知センサ22で検知される位置に用紙載置台2を上昇させ、用紙載置台2に積載された最上位の用紙Pの位置が、吸着搬送機構3による吸着可能高さH1となるように制御される。
吸着搬送機構3は、用紙収納部20の上部に搬送ベルト30を備える。また、吸着搬送機構3は、搬送ベルト30が巻きつけられる駆動ローラ31と、第1の従動ローラ32と、2個の従動ローラを有した第2の従動ローラ群33を備える。
搬送ベルト30は無端状で、搬送ベルト30を貫通する吸気口30aが、搬送ベルト30の幅方向に並列され、搬送ベルト30の幅方向に並列される複数の吸気口30aが、搬送ベルト30の幅方向と直交する長さ方向の全体に形成される。
駆動ローラ31は、矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に対して直交する方向に軸を有し、図示しないモータにより回転駆動される。第1の従動ローラ32及び第2の従動ローラ群33は、駆動ローラ31の軸と平行な軸を有し、駆動ローラ31が回転駆動されることによる搬送ベルト30の回転に従動する回転自在な構成である。
吸着搬送機構3は、矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に対して、用紙先端突き当て面21より前側に第2の従動ローラ群33が配置される。また、用紙載置台2の上部に駆動ローラ31が配置される。更に、第2の従動ローラ群33と駆動ローラ31の間で用紙載置台2の上部に第1の従動ローラ32が配置される。
吸着搬送機構3は、駆動ローラ31と第2の従動ローラ群33との間で、搬送ベルト30が用紙Pの搬送方向に沿って張られる。これにより、吸着搬送機構3は、搬送ベルト30の駆動ローラ31に巻きつけられる後端側は、用紙載置台2に積載された用紙Pの上部に位置し、搬送ベルト30の第2の従動ローラ群33に巻きつけられる先端側は、用紙先端突き当て面21より前側に位置する。また、吸着搬送機構3は、2本の搬送ベルト30が、用紙Pの搬送方向に対して左右に並列する。
そして、駆動ローラ31が矢印で示す方向に回転駆動されることで各搬送ベルト30が回転し、搬送ベルト30の用紙載置台2に面した側が、矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に移動する。
吸着搬送機構3は、駆動ローラ31の円周面における下端位置と、第1の従動ローラ32の円周面における下端位置は、略同一の高さとなるように構成される。これに対して、第2の従動ローラ群33のうち、下側の従動ローラの円周面における下端位置は、第1の従動ローラ32の下端位置より所定量高い位置となるように構成される。
これにより、吸着搬送機構3は、搬送ベルト30の用紙載置台2に面した側で、駆動ローラ31と第1の従動ローラ32との間は、用紙載置台2に積載された用紙Pの面と略平行となる。これに対して、第1の従動ローラ32と第2の従動ローラ群33との間は、用紙Pの搬送方向に沿って上向きに傾斜しており、搬送ベルト30は、第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位では屈曲した形態となる。
吸着搬送機構3は、搬送ベルト30に用紙Pを吸着する空気が吸い込まれる吸着室34を備える。吸着室34は、図示しないファンにより空気が吸い込まれる空間が、搬送ベルト30の内側に形成され、用紙載置台2に面した側に位置する搬送ベルト30に対向する下側が開口し、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30の吸気口30aから空気が吸い込まれる。
吸着搬送機構3は、吸着室34の空気が図示しないファンにより吸い込まれると、吸着室34が負圧となることで、用紙載置台2に面した側に位置する搬送ベルト30の吸気口30aから空気が吸い込まれ、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に用紙Pを吸着する空気の流れが発生する。
これにより、吸着搬送機構3は、吸気口30aから吸着室34に空気が吸い込まれる用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30で、用紙Pを吸着する吸着面30bが構成される。
給紙装置1Aは、吸着搬送機構3で繰り出される用紙Pが搬送される用紙搬送路35を備える。用紙搬送路35は、吸着搬送機構3で吸着されて繰り出される用紙Pの搬送をガイドするガイド部材等を備え、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30と、用紙先端突き当て面21の上端との間に、用紙Pが進入する用紙進入口36が形成される。
給紙装置1Aは、用紙搬送路35に搬送ローラ37及び搬送ローラ37に対向する従動ローラ38を備える。搬送ローラ37は、図示しないモータにより回転駆動され、吸着搬送機構3で繰り出された用紙Pを従動ローラ38との間に挟持して搬送する。
給紙装置1Aは、用紙搬送路35に給紙検知センサ39を備える。給紙検知センサ39は、例えば一対の光学センサで構成され、吸着搬送機構3で繰り出された用紙Pを検知する。
分離エア送風機構4は、用紙進入口36に分離エアA1が吹き出される分離エア吹出口40を備える。分離エア吹出口40は、用紙先端突き当て面21より前方に位置する搬送ベルト30に対して、用紙収納部20に向けて斜めに分離エアA1が吹き出される向きに風路が形成される。
分離エア送風機構4は、送風ファン41で吸い込まれた空気が分離エア吹出口40から吹き出される。分離エア吹出口40から吹き出された分離エアA1は、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に沿うような向きとなり、吸着搬送機構3で用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に吸着された用紙Pの前方から、用紙Pに対して略水平な向きで吹きつけられる。
分離突起5Aは、矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に対して、用紙先端突き当て面21の手前で、用紙Pの搬送方向に対して左右に並列する2本の搬送ベルト30の間に配置され、吸着面30bから所定の高さで下方へ突出する。
分離突起5Aは、例えば板状の部材で構成され、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に対して、用紙先端突き当て面21に対向する部位と第1の従動ローラ32に巻きつけられる部位の間で、用紙Pの搬送方向に沿って吸着面30bから突出する。
分離突起5Aは、本例では第1の従動ローラ32の軸に支持され、吸着面30bからの突出量が、第1の従動ローラ32の側から、用紙Pの搬送方向に沿って徐々に増加する斜面が形成される。
用紙載置台2に積載される用紙Pの先端位置は、用紙先端突き当て面21で規制される。これにより、分離突起5Aは、吸着搬送機構3で吸着される用紙Pの先端近傍を、吸着面30bから離間させる位置に形成される。
給紙装置1Aは、用紙載置台2に積載された用紙Pに、側方から浮上エアA2を吹きつける浮上エア送風機構6を備える。浮上エア送風機構6は、用紙収納部20の側方に浮上エア吹出口60が形成される。浮上エア送風機構6は、送風ファン61で吸い込まれた空気を、浮上エア吹出口60から浮上エアA2として吹き出し、用紙載置台2に積載された用紙Pに側方から浮上エアA2を吹きつけて、用紙Pを浮上させる。
<第1の実施の形態の給紙装置の動作例>
次に、各図を参照して、第1の実施の形態の給紙装置1Aの動作例について説明する。給紙装置1Aは、上限検知センサ22の出力から、用紙載置台2に積載された最上位の用紙Pの位置が、吸着搬送機構3による吸着可能高さH1となるように制御される。
用紙Pの給紙動作では、吸着搬送機構3の図示しないファンが駆動されると共に、分離エア送風機構4の送風ファン41と、浮上エア送風機構6の送風ファン61が駆動され、まず、用紙Pの吸着動作が行われる。
吸着搬送機構3は、吸着室34の空気が図示しないファンにより吸い込まれると、吸着室34が負圧となることで、用紙載置台2に面した側に位置する搬送ベルト30の吸気口30aから空気が吸い込まれ、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に用紙Pを吸着する空気の流れが発生する。また、浮上エア送風機構6は、送風ファン61で吸い込まれた空気を浮上エア吹出口60から吹き出し、用紙載置台2に積載された用紙Pに側方から浮上エアA2を吹きつけて、用紙Pを浮上させる。
これにより、用紙載置台2に積載された最上位の用紙Pが、吸着搬送機構3で用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に吸着される。吸着搬送機構3の矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に対して、用紙先端突き当て面21の手前の吸着面30bから分離突起5Aが突出している。用紙載置台2に積載される用紙Pの先端位置は、用紙先端突き当て面21で規制される。
用紙載置台2に面した側に位置する搬送ベルト30は、第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位では屈曲した形態で、第1の従動ローラ32と第2の従動ローラ群33との間に位置する搬送ベルト30が、用紙Pの搬送方向に沿って上向きに傾斜している。これにより、搬送ベルト30に吸着された用紙Pは、搬送ベルト30が第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位で屈曲した形態となる。
これにより、吸着搬送機構3で吸着される用紙Pは、先端近傍の中央付近が分離突起5Aで押し下げられ、先端面の中央付近は吸着面30bから浮き上がった形態となる。
吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された場合、静電気力等で複数枚の用紙Pが貼り付いた状態となっており、吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着されると、2枚以上の用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Aで押し下げられる。
図4及び図5に示すように、吸着搬送機構3で吸着される最上位の1枚の用紙P1は、吸着エアによる吸着力が直接働くので、分離突起5Aで押し下げられる先端面の中央付近以外は、搬送ベルト30が第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位に倣って屈曲した形態で、吸着面30bに吸着された形態となる。
これに対して、最上位の用紙Pに貼り付いて吸着搬送機構3で吸着される2枚目以降の用紙P2は、吸着エアによる吸着力が直接働かない。これにより、2枚目以降の用紙P2は、第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位の搬送ベルト30の屈曲した形態に倣わず、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2が先端面から分離される。
そして、2枚以上の用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Aで押し下げられることで、2枚目以降の用紙P2は、先端面の中央付近が最上位の用紙P1から浮き上がり、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2との先端面の間に分離エア導入空間Eが形成される。
分離エア送風機構4は、送風ファン41が駆動されると、送風ファン41で吸い込まれた空気が分離エア吹出口40から吹き出される。分離エア吹出口40から吹き出された分離エアA1は、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に沿うような向きとなり、吸着搬送機構3で用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に吸着された用紙Pの前方から、用紙Pに対して略水平な向きで吹きつけられる。
吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された場合、上述したように、用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Aで押し下げられることで、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2が先端面から分離されて分離エア導入空間Eが形成される。これにより、分離エア送風機構4から、用紙Pに対して略水平な向きで吹き出された分離エアA1は、分離エア導入空間Eを通り、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2を分離する。
吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されたことが、図示しない吸着検知センサで検知されると、吸着搬送機構3の図示しないファンの駆動が継続されると共に、浮上エア送風機構6による浮上エアA2の吹き出しが停止される。例えば、浮上エア吹出口60に図示しないシャッタが備えられ、シャッタの開閉で浮上エアA2の吹き出しの有無が切り替えられる。なお、浮上エア送風機構6で吹き出される浮上エアA2の風量の強弱を切り換えられる構成にして、用紙Pの吸着を検知するまでは、強風量で浮上エアA2を吹き出し、用紙Pの吸着を検知すると、弱風量に切り換えて浮上エアA2を吹き出すようにしても良い。
用紙Pの分離動作では、吸着搬送機構3の図示しないファンが駆動され用紙Pの吸着動作が継続しているので、最上位の1枚の用紙P1は、吸着搬送機構3で吸着された状態に保持される。一方、浮上エア送風機構6による浮上エアA2の吹き出しは停止または風量が減少されるので、分離された2枚目以降の用紙P2は、用紙載置台2上に再度積載される。
吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されて所定の待機時間が経過すると、図示しないモータにより吸着搬送機構3の駆動ローラ31が回転駆動されると共に、搬送ローラ37が回転駆動され、用紙Pの給紙動作が行われる。
駆動ローラ31が矢印で示す方向に回転駆動されると、搬送ベルト30が回転し、搬送ベルト30の用紙載置台2に面した側が、矢印Fで示す方向に移動する。これにより、吸着搬送機構3で吸着された用紙Pは、矢印Fで示す搬送方向に繰り出される。分離突起5Aの位置は固定されているため、吸着搬送機構3で繰り出される用紙Pは、分離突起5Aを乗り越えて搬送される。なお、用紙Pの給紙動作では、分離エア送風機構4による分離エアA1の吹き出しが継続しているので、分離された2枚目以降の用紙Pを用紙収納部20方向に戻す力が生じている。これにより、1枚目の用紙Pにつられて2枚目の用紙Pが用紙進入口36へ搬送されることが防止される。
吸着搬送機構3で繰り出された用紙Pは、給紙検知センサ39を通過して搬送ローラ37と従動ローラ38で挟持される。すなわち、吸着搬送機構3で繰り出された用紙Pの先端が給紙検知センサ39で検知され、搬送ローラ37と従動ローラ38で用紙Pを挟持するまでの時間を考慮して設定された所定の待機時間が経過すると、駆動ローラ31の回転駆動が停止される。一方、搬送ローラ37の回転駆動は継続される。これにより、搬送ローラ37と従動ローラ38に挟持された用紙Pが搬送される。
なお、用紙Pの給紙動作では、吸着搬送機構3による用紙Pの吸着動作が継続しており、最上位の1枚の用紙P1を吸着する力が働いているが、搬送ローラ37と従動ローラ38の挟持による搬送力の方が吸着力より強く、搬送ベルト30を停止させた状態で用紙Pが引き抜かれる。そして、図示しない吸着検知センサと給紙検知センサ39の出力を利用して、浮上エア送風機構6による浮上エアの吹き出しの有無または風量の切り替えと、搬送ベルト30を回転させる駆動ローラ31及び搬送ローラ37の駆動の有無が制御される。
<第1の実施の形態の給紙装置の効果例>
上述したように、第1の実施の形態の給紙装置1Aでは、吸着搬送機構3で吸着される用紙Pの先端近傍の中央付近が押し下げられる位置に分離突起5Aを備えることで、吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された場合に、重なった用紙Pの先端面の間が開口して分離エア導入空間Eが形成される。この分離エア導入空間Eに分離エアA1を送風することで、少ない突出高さの分離突起5Aで、用紙Pの分離性能を確保できる。
分離突起を利用して用紙の分離を行う従来の構成では、普通紙を分離させるために、分離突起の突出高さは8mm程度必要であった。一方、搬送される用紙が分離突起を乗り越える際に、コート紙等の塗工紙に傷が付かないような突起の突出高さは、3mm未満であることが必要であった。
第1の実施の形態の給紙装置1Aの構成では、分離突起5Aの突出高さが2.5mm以上であれば、普通紙の分離が可能となった。すなわち、分離突起5Aの突出高さを2.5mm以上3mm未満とすることで、普通紙を給紙する場合の分離性能を確保しつつ、塗工紙を給紙する場合の傷の発生を防止して、普通紙と塗工紙の両方に対応可能となる。
<第2の実施の形態の給紙装置の構成例>
図6は、第2の実施の形態の給紙装置の一例を示す側面図、図7は、第2の実施の形態の給紙装置の動作例を示す正面図、図8は、第2の実施の形態の給紙装置の制御系の一例を示す機能ブロック図である。
第2の実施の形態の給紙装置1Bは、吸着搬送機構3で用紙Pを吸着する力で格納可能な構成の分離突起5Bを備える。また、分離突起5Bの格納動作で、用紙Pの吸着の有無を検知する吸着検知センサ7を備える。なお、第2の実施の形態の給紙装置1Bにおいて、用紙載置台2、吸着搬送機構3、分離エア送風機構4、浮上エア送風機構6、及びこれらを構成する各要素は、上述した第1の実施の形態の給紙装置1Aと同様の構成であるので、同じ番号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
分離突起5Bは、矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に対して、用紙先端突き当て面21の手前で、用紙Pの搬送方向に対して左右に並列する2本の搬送ベルト30の間に配置される。
分離突起5Bは、例えば板状の部材で構成され、第1の従動ローラ32と同軸の軸50に回転可能に支持される。分離突起5Bは、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に対して、用紙先端突き当て面21に対向する部位と第1の従動ローラ32に巻きつけられる部位の間で、用紙Pの搬送方向に沿って吸着面30bから突出する。
分離突起5Bは、吸着面30bからの突出量が、第1の従動ローラ32の側から、用紙Pの搬送方向に沿って徐々に増加する斜面が形成され、軸50を支点に回転することで、用紙先端突き当て面21に対向する部位の吸着面30bからの突出量が変化する。これにより、分離突起5Bは、吸着面30bに対して突出及び格納される方向に変位可能である。
給紙装置1Bは、吸着面30bから突出する方向に分離突起5Bを押圧する弾性部材51を備える。弾性部材51は、押圧力に対して弾性変形する例えばコイルバネ、ねじりコイルバネ、ゴムブロック等で構成される。分離突起5Bは、弾性部材51に押圧された状態で、吸着面30bから所定の高さで下方へ突出する分離位置となる。
給紙装置1Bは、吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されると、用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Bで押し下げられる。一方、用紙Pを吸着する力で、分離突起5Bが押し上げられる。
分離突起5Bを押し上げる力が加わると、弾性部材51が弾性変形して分離突起5Bは軸50を支点に回転し、吸着面30bに対して格納される方向に変位して給紙位置となる。分離突起5Bが吸着面30bに対して格納される方向に変位した給紙位置における吸着面30bからの突出高さは、分離突起5Bの位置を規制する図示しないストッパ、または、分離突起5Bを押し上げる力に抗する弾性部材51の弾性力等によって決められる。
分離突起5Bを押し上げる力が加わらなくなると、弾性部材51の弾性力で分離突起5Bは軸50を支点に回転し、吸着面30bに対して突出する方向に変位して分離位置となる。このように、吸着搬送機構3への用紙Pの吸着の有無で、分離突起5Bは回転動作を行う。
吸着検知センサ7は、分離突起5Bの回転動作を検知することで、吸着搬送機構3への用紙Pの吸着の有無を検知する。吸着検知センサ7は、例えば一対の光学センサで構成され、吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されることで押し上げられて給紙位置にある分離突起5Bの有無を検知する。
すなわち、上述したように、吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されると、分離突起5Bを押し上げる力が加わり、弾性部材51が弾性変形して分離突起5Bは軸50を支点に回転して、吸着面30bに対して格納される方向に変位する。
給紙位置に変位した分離突起5Bが吸着検知センサ7で検知されると、吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されたと判断する。これにより、吸着検知センサ7のアクチュエータが、分離突起5Bで兼用される。
給紙装置1Bは、給紙制御を行う制御部S1を備える。制御部S1は、駆動ローラ31を回転駆動するモータM1と、搬送ローラ37を回転駆動するモータM2を、吸着検知センサ7により検知される吸着搬送機構3で吸着される用紙Pの有無と、給紙検知センサ39により検知される吸着搬送機構3で繰り出される用紙Pの有無に従い制御する。
また、制御部S1は、浮上エア送風機構6による浮上エアA2の吹き出しの有無等を切り替える図示しないシャッタを開閉するソレノイドS10を、吸着検知センサ7により検知される吸着搬送機構3で吸着される用紙Pの有無と、給紙検知センサ39により検知される吸着搬送機構3で繰り出される用紙Pの有無に従い制御する。なお、制御部S1は、各送風ファンを駆動する図示しないモータの制御も行う。
更に、制御部S1は、用紙載置台2を昇降させるモータM3を、上限検知センサ22で検知される用紙Pの有無に従い制御する。
<第2の実施の形態の給紙装置の動作例>
次に、各図を参照して、第2の実施の形態の給紙装置1Bの動作例について説明する。給紙装置1Bは、上限検知センサ22の出力から、用紙載置台2に積載された最上位の用紙Pの位置が、吸着搬送機構3による吸着可能高さH1となるように、用紙載置台2を昇降させるモータM3が制御される。
用紙Pの給紙動作では、吸着搬送機構3の図示しないファンが駆動されると共に、分離エア送風機構4の送風ファン41と、浮上エア送風機構6の送風ファン61が駆動され、まず、用紙Pの吸着動作が行われる。
吸着搬送機構3は、吸着室34の空気が図示しないファンにより吸い込まれると、吸着室34が負圧となることで、用紙載置台2に面した側に位置する搬送ベルト30の吸気口30aから空気が吸い込まれ、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に用紙Pを吸着する空気の流れが発生する。また、浮上エア送風機構6は、送風ファン61で吸い込まれた空気を浮上エア吹出口60から吹き出し、用紙載置台2に積載された用紙Pに側方から浮上エアA2を吹きつけて、用紙Pを浮上させる。
これにより、用紙載置台2に積載された最上位の用紙Pが、吸着搬送機構3で用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に吸着される。吸着搬送機構3は、矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に対して、用紙先端突き当て面21の手前の吸着面30bから分離突起5Bが突出している。用紙載置台2に積載される用紙Pの先端位置は、用紙先端突き当て面21で規制される。
用紙載置台2に面した側に位置する搬送ベルト30は、第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位では屈曲した形態で、第1の従動ローラ32と第2の従動ローラ群33との間に位置する搬送ベルト30が、用紙Pの搬送方向に沿って上向きに傾斜している。これにより、搬送ベルト30に吸着された用紙Pは、搬送ベルト30が第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位で屈曲した形態となる。
これにより、吸着搬送機構3で吸着される用紙Pは、先端近傍の中央付近が分離突起5Bで押し下げられ、先端面の中央付近は吸着面30bから浮き上がった形態となる。
吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された場合、静電気力等で複数枚の用紙Pが貼り付いた状態となっており、吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着されると、2枚以上の用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Bで押し下げられる。
図7(a)に示すように、吸着搬送機構3で吸着される最上位の1枚の用紙P1は、吸着エアによる吸着力が直接働くので、分離突起5Bで押し下げられる先端面の中央付近以外は、搬送ベルト30が第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位に倣って屈曲した形態で、吸着面30bに吸着された形態となる。
これに対して、最上位の用紙Pに貼り付いて吸着搬送機構3で吸着される2枚目以降の用紙P2は、吸着エアによる吸着力が直接働かない。これにより、2枚目以降の用紙P2は、第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位の搬送ベルト30の屈曲した形態に倣わず、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2が先端面から分離される。
そして、2枚以上の用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Bで押し下げられることで、2枚目以降の用紙P2は、先端面の中央付近が最上位の用紙P1から浮き上がり、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2との先端面の間に分離エア導入空間Eが形成される。
分離エア送風機構4は、送風ファン41が駆動されると、送風ファン41で吸い込まれた空気が分離エア吹出口40から吹き出される。分離エア吹出口40から吹き出された分離エアA1は、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に沿うような向きとなり、吸着搬送機構3で用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に吸着された用紙Pの前方から、用紙Pに対して略水平な向きで吹きつけられる。
吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された場合、上述したように、用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Bで押し下げられることで、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2が先端面から分離されて分離エア導入空間Eが形成される。これにより、分離エア送風機構4から、用紙Pに対して略水平な向きで吹き出された分離エアA1は、分離エア導入空間Eを通り、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2を分離する。
給紙装置1Bは、吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されると、用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Bで押し下げられる。一方、用紙Pを吸着する力で、分離突起5Bが押し上げられる。
分離突起5Bを押し上げる力が加わると、弾性部材51が弾性変形して分離突起5Bは軸50を支点に回転し、図7(b)に示すように、吸着面30bに対して格納される方向に変位する。給紙位置に変位した分離突起5Bが吸着検知センサ7で検知されると、吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されたと判断する。
吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されたことが、吸着検知センサ7で検知されると、吸着搬送機構3の図示しないファンの駆動が継続されると共に、浮上エア吹出口60を開閉する図示しないシャッタを駆動するソレノイドS10が制御され、浮上エア送風機構6による浮上エアA2の吹き出しが停止される。なお、浮上エア送風機構6で吹き出される浮上エアA2の風量の強弱を切り換えられる構成にして、吸着検知センサ7で用紙Pの吸着を検知するまでは、強風量で浮上エアA2を吹き出し、吸着検知センサ7で用紙Pの吸着を検知すると、弱風量に切り換えて浮上エアA2を吹き出すようにしても良い。
用紙Pの分離動作では、吸着搬送機構3の図示しないファンが駆動され用紙Pの吸着動作が継続しているので、最上位の1枚の用紙P1は、吸着搬送機構3で吸着された状態に保持される。一方、浮上エア送風機構6による浮上エアA2の吹き出しは停止または風量が減少されるので、分離された2枚目以降の用紙P2は、用紙載置台2上に再度積載される。
吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されて所定の待機時間が経過すると、モータM1により吸着搬送機構3の駆動ローラ31が回転駆動されると共に、モータM2により搬送ローラ37が回転駆動され、用紙Pの給紙動作が行われる。
駆動ローラ31が矢印で示す方向に回転駆動されると、搬送ベルト30が回転し、搬送ベルト30の用紙載置台2に面した側が、矢印Fで示す方向に移動する。これにより、吸着搬送機構3で吸着された用紙Pは、矢印Fで示す搬送方向に繰り出される。吸着搬送機構3で繰り出される用紙Pは、給紙位置にある分離突起5Bを乗り越えて搬送される。なお、用紙Pの給紙動作では、分離エア送風機構4による分離エアA1の吹き出しが継続しているので、分離された2枚目以降の用紙Pを用紙収納部20方向に戻す力が生じている。これにより、1枚目の用紙Pにつられて2枚目の用紙Pが用紙進入口36へ搬送されることが防止される。
吸着搬送機構3で繰り出された用紙Pは、給紙検知センサ39を通過して搬送ローラ37と従動ローラ38で挟持される。すなわち、吸着搬送機構3で繰り出された用紙Pの先端が給紙検知センサ39で検知され、搬送ローラ37と従動ローラ38で用紙Pを挟持するまでの時間を考慮して設定された所定の待機時間が経過すると、駆動ローラ31の回転駆動が停止される。一方、搬送ローラ37の回転駆動は継続される。これにより、搬送ローラ37と従動ローラ38に挟持された用紙Pが搬送される。なお、用紙Pの給紙動作では、吸着搬送機構3による用紙Pの吸着動作が継続しており、最上位の1枚の用紙P1を吸着する力が働いているが、搬送ローラ37と従動ローラ38の挟持による搬送力の方が吸着力より強く、搬送ベルト30を停止させた状態で用紙Pが引き抜かれる。
搬送ローラ37と従動ローラ38により搬送される用紙Pの後端が分離突起5Bを越えて、分離突起5Bを押し上げる力が加わらなくなると、弾性部材51の弾性力で分離突起5Bは軸50を支点に回転し、吸着面30bに対して突出する方向に変位する。
分離突起5Bが分離位置に変位すると、吸着検知センサ7で分離突起5Bを非検知となる。吸着検知センサ7で分離突起5Bを非検知となると、吸着搬送機構3で吸着している用紙が無いと判断され、浮上エア送風機構6による浮上エアA2の吹き出しが再開される。また、給紙検知センサ39の出力から、用紙Pが搬送ローラ37と従動ローラ38を抜けたと判断されると、搬送ローラ37の駆動が停止される。
ここで、用紙Pの給紙動作では、吸着搬送機構3による用紙Pの吸着動作が継続しており、1枚目の用紙Pが搬送される途中で露出する吸着面30bに、2枚目の用紙Pが吸着されることがある。但し、1枚目の用紙Pの先端が給紙検知センサ39で検知されると、搬送ベルト30の駆動が停止されるので、2枚目の用紙Pは搬送されない。そして、1枚目の用紙Pが搬送ベルト30を抜けた段階で、2枚目の用紙Pが継続して吸着されて、分離突起5Bは給紙位置のままとなり、吸着検知センサ7の出力が吸着有りの状態のまま変化しない場合がある。
このような場合を考慮して、吸着検知センサ7の出力と給紙検知センサ39の出力の双方を利用して、浮上エア送風機構6による浮上エアの吹き出しの有無または風量の切り替えと、搬送ベルト30及び搬送ローラ37の駆動の有無が制御される。
<第2の実施の形態の給紙装置の効果例>
上述したように、第2の実施の形態の給紙装置1Bでは、吸着搬送機構3で吸着される用紙Pの先端近傍の中央付近が押し下げられる位置に、弾性部材51で押圧されて突出すると共に、用紙Pが吸着される力で格納可能な分離突起5Bを備える。
給紙装置1Bは、吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された初期段階では、分離突起5Bが弾性部材51で押圧されることにより所定の高さで突出した分離位置にあり、用紙Pの紙種の影響を受けずに2枚以上の用紙Pの先端面が分離されて、分離エア導入空間Eが形成される。この分離エア導入空間Eに分離エアA1を送風することで、用紙Pの分離性能を確保できる。
給紙装置1Bは、用紙Pを吸着する力で弾性部材51に抗して分離突起5Bが押し上げられ、吸着面30bからの突出高さが分離位置より低い給紙位置となる。分離突起5Bが給紙位置となることで、用紙Pが搬送されて分離突起5Bを乗り越える際における、用紙Pの傷発生を防止できる。
このように、給紙装置1Bでは、分離突起5Bの突出高さを、用紙Pが吸着搬送機構3で吸着面30bに吸着された瞬間には、普通紙の分離性能に対して十分に余裕を持った突出高さに設定した場合でも、吸着面30bに用紙Pが吸着される力で用紙自体からの押圧によって分離突起5Bが格納される。これにより、用紙Pの吸着を開始してから一定時間経過後に搬送を開始する際には、分離突起5Bの突出高さが、コート紙の傷発生を防止する高さになる。従って、用紙の分離と傷防止を両立させるような分離突起の突出高さの範囲を、より広く設定することができる。
例えば、弾性部材51が金属バネで構成され、分離突起5Bがバネで押圧されて分離位置に突出しており、分離突起5Bが押圧されて給紙位置に格納されるときに、バネが変位することによって吸着面30bからの突出高さが2mm程度となるまで格納可能な構成となっている。これにより、分離位置における分離突起5Bの突出高さを3mm以上としても、搬送時の傷防止が可能となる。
給紙装置1Bでは、吸着検知センサ7のアクチュエータが分離突起5Bで兼用されることで、部品点数を減らして構成の簡素化が可能であると共に、低コスト化を図ることができる。
<第2の実施の形態の給紙装置の変形例>
上述した第2の実施の形態の給紙装置1Bでは、弾性部材51を、発泡ウレタン等の粘性抵抗を持った粘弾性部材で構成しても良い。発泡ウレタン等で構成した弾性部材51は、押圧する力が加わったときに、粘性抵抗によってしばらくは元の形状が保持され、押圧力に応じて徐々に形状が変化する。
給紙装置1Bは、吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されると、用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Bで押し下げられる。一方、用紙Pを吸着する力で、分離突起5Bが押し上げられる。弾性部材51が粘性抵抗を有するため、搬送ベルト30に用紙Pが吸着されると、粘性抵抗に応じた所定時間は、分離突起5Bの突出高さが略分離位置を保ち、その後、徐々に格納される。
これにより、用紙Pが搬送ベルト30に吸着されるときに、分離突起5Bが分離位置にある時間を長くすることができ、例えば普通紙の分離を行う際に十分な分離時間を確保することができるので、より確実な重送防止が可能となる。
<第3の実施の形態の給紙装置の構成例>
図9は、第3の実施の形態の給紙装置の一例を示す側面図である。第3の実施の形態の給紙装置1Cは、用紙Pの搬送に追従して回転可能なローラ部材52を有した分離突起5Cを備える。なお、第3の実施の形態の給紙装置1Cにおいて、用紙載置台2、吸着搬送機構3、分離エア送風機構4、浮上エア送風機構6、及びこれらを構成する各要素は、上述した第1の実施の形態の給紙装置1Aと同様の構成であるので、同じ番号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
ローラ部材52は回転体の一例で、矢印Fで示す用紙Pの搬送方向に対して直交する軸を有した円板状の部材が、分離突起5Cの下部先端に取り付けられる。ローラ部材52は、接触する用紙Pに跡が付かないような例えば樹脂材料で構成され、用紙Pと接する外周面のエッジとなる部分が丸められている。なお、ローラ部材52の大きさは、本例ではφ8(mm)程度の小径である。
分離突起5Cは、上述した第1の実施の形態の給紙装置1Aで説明した固定された分離突起5Aと同様の構成でも良いし、第2の実施の形態の給紙装置1Bで説明した分離位置と給紙位置との間で変位できる分離突起5Bと同様の構成でも良い。
<第3の実施の形態の給紙装置の動作例>
次に、各図を参照して、第3の実施の形態の給紙装置1Cの動作例について説明する。なお、以下の例では、給紙装置1Cは、分離突起5Cが第1の実施の形態の給紙装置1Aの分離突起5Aと同様の構成で、送風及び搬送を切り換えるタイミングは、第1の実施の形態の給紙装置1Aと同様である。
給紙装置1Cは、吸着搬送機構3で吸着室34の空気が図示しないファンにより吸い込まれると、用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に用紙Pを吸着する空気の流れが発生する。また、浮上エア送風機構6は、送風ファン61で吸い込まれた空気を浮上エア吹出口60から吹き出し、用紙載置台2に積載された用紙Pに側方から浮上エアA2を吹きつけて、用紙Pを浮上させる。
これにより、用紙載置台2に積載された最上位の用紙Pが、吸着搬送機構3で用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に吸着される。用紙載置台2に面した側に位置する搬送ベルト30は、第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位では屈曲した形態で、搬送ベルト30に吸着された用紙Pは、搬送ベルト30が第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位で屈曲した形態となる。
これにより、吸着搬送機構3で吸着される用紙Pは、先端近傍の中央付近が分離突起5Cで押し下げられ、先端面の中央付近は吸着面30bから浮き上がった形態となる。
吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された場合、静電気力等で複数枚の用紙Pが貼り付いた状態となっており、吸着搬送機構3で吸着される最上位の1枚の用紙P1は、吸着エアによる吸着力が直接働く。これにより、最上位の1枚の用紙P1は、分離突起5Cで押し下げられる先端面の中央付近以外は、搬送ベルト30が第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位に倣って屈曲した形態で、吸着面30bに吸着された形態となる。
これに対して、最上位の用紙Pに貼り付いて吸着搬送機構3で吸着される2枚目以降の用紙P2は、吸着エアによる吸着力が直接働かない。これにより、2枚目以降の用紙P2は、第1の従動ローラ32に巻きつけられた部位の搬送ベルト30の屈曲した形態に倣わず、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2が先端面から分離される。
そして、2枚以上の用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Cで押し下げられることで、2枚目以降の用紙P2は、先端面の中央付近が最上位の用紙P1から浮き上がり、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2との先端面の間に分離エア導入空間Eが形成される。
分離エア吹出口40から吹き出された分離エアA1は、吸着搬送機構3で用紙載置台2に面した側の搬送ベルト30に吸着された用紙Pの前方から、用紙Pに対して略水平な向きで吹きつけられる。
吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された場合、上述したように、用紙Pの先端近傍の中央付近が分離突起5Cで押し下げられることで、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2が先端面から分離されて分離エア導入空間Eが形成される。これにより、分離エア送風機構4から、用紙Pに対して略水平な向きで吹き出された分離エアA1は、分離エア導入空間Eを通り、最上位の1枚の用紙P1と2枚目以降の用紙P2を分離する。
吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されたことが、図示しない吸着検知センサで検知されると、吸着搬送機構3の図示しないファンが駆動され用紙Pの吸着動作が継続されるので、最上位の1枚の用紙P1は、吸着搬送機構3で吸着された状態に保持される。一方、浮上エア送風機構6による浮上エアA2の吹き出しは停止または風量が減少されるので、分離された2枚目以降の用紙P2は、用紙載置台2上に再度積載される。
駆動ローラ31が矢印で示す方向に回転駆動されると、搬送ベルト30が回転し、搬送ベルト30の用紙載置台2に面した側が、矢印Fで示す方向に移動する。これにより、吸着搬送機構3で吸着された用紙Pは、矢印Fで示す搬送方向に繰り出される。分離突起5Cの位置は固定されているため、吸着搬送機構3で繰り出される用紙Pは、分離突起5Cを乗り越えて搬送される。
分離突起5Cは、下部先端に回転可能なローラ部材52が取り付けられ、吸着搬送機構3で搬送ベルト30により搬送される用紙Pは、分離突起5Cのローラ部材52と接する。ローラ部材52は、用紙Pの搬送方向に対して直交する軸を有して回転自在な構成で、搬送ベルト30による用紙Pの搬送に追従して回転する。
<第3の実施の形態の給紙装置の効果例>
第3の実施の形態の給紙装置1Cでは、吸着搬送機構3で搬送ベルト30に吸着されると共に、分離突起5Cで押し下げられた用紙Pが搬送される際に、分離突起5Cはローラ部材52で用紙Pと接しており、搬送ベルト30による用紙Pの搬送に追従してローラ部材52が回転する。
これにより、用紙Pと分離突起5Cとの摩擦抵抗を低減させることができ、分離突起5Cの突出高さを、普通紙の分離性能に対して十分に余裕を持った突出高さに設定した場合でも、分離突起の突出高さを変位させる構成を備えることなく、コート紙の傷発生を防止することができる。
<第3の実施の形態の給紙装置の変形例>
図10は、第3の実施の形態の給紙装置の変形例を示す側面図である。上述した第3の実施の形態の給紙装置1Cでは、吸着搬送機構3で用紙Pを吸着する力により、ローラ部材52の突出高さを変位させる構成を備えると共に、ローラ部材52の変位を検知して、用紙Pの吸着の有無を検知する吸着検知センサ7を備えても良い。
例えば、ローラ部材52は、分離突起5Cが第1の従動ローラ32と同軸の軸50に回転可能に支持され、軸50を支点に分離突起5Cが回転することで、ローラ部材52の吸着面30bからの突出量が変化する。これにより、ローラ部材52は、吸着面30bに対して突出及び格納される方向に変位可能である。
分離突起5Cは、ローラ部材52が吸着面30bから突出する方向に弾性部材51により押圧される。変形例の給紙装置1Cは、吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されると、用紙Pの先端近傍の中央付近がローラ部材52で押し下げられる。一方、用紙Pを吸着する力で、ローラ部材52が押し上げられる。
ローラ部材52を押し上げる力が加わると、弾性部材51が弾性変形して分離突起5Cは軸50を支点に回転し、ローラ部材52が吸着面30bに対して格納される方向に変位する。ローラ部材52を押し上げる力が加わらなくなると、弾性部材51の弾性力で分離突起5Cは軸50を支点に回転し、ローラ部材52が吸着面30bに対して突出する方向に変位する。
吸着検知センサ7は、分離突起5Cの回転動作を検知することで、吸着搬送機構3への用紙Pの吸着の有無を検知する。吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されると、ローラ部材52を押し上げる力が加わり、弾性部材51が弾性変形して分離突起5Cは軸50を支点に回転して、吸着面30bに対して格納される方向に変位する。
分離突起5Cが吸着検知センサ7で検知されると、吸着搬送機構3で用紙Pが吸着されたと判断する。これにより、吸着検知センサ7のアクチュエータが、ローラ部材52で兼用される。
<本実施の形態の給紙ユニットの構成例>
図11は、各実施の形態の給紙装置を備えた給紙ユニットの一例を示す構成図である。給紙ユニット90は、図1等に示す用紙収納部20を構成する複数の用紙トレイ、本例では3個の用紙トレイP220,P221,P222が上下方向に備えられる。また、各々の用紙トレイP220,P221,P222上には、図1等に示す搬送ベルト30及び分離突起5(5A〜5C)等を有した吸着搬送機構3が備えられる。
更に、吸着搬送機構3で2枚以上の用紙Pが吸着された場合に、最上位の1枚の用紙と2枚目以降の用紙の間に分離エアA1を吹きつける分離エア送風機構4が備えられる。また、各用紙トレイP220,P221,P222の側方に浮上エア吹出口60が形成され、用紙トレイP220,P221,P222に積載された用紙Pの側方から浮上エアを吹きつける浮上エア送風機構6が備えられる。
用紙トレイP220,P221,P222は、図面の手前側に設けられる図示しない正面扉を開けて、図の前後方向に引き出し可能に設けられている。なお、用紙トレイの前面を外装板として構成するとともに、外装板に手が掛けられる取手等を備え、取手等を利用して用紙トレイの引き出し及び押し込みを行うように構成することもできる。
吸着搬送機構3による用紙Pの給紙方向は、各用紙トレイP220,P221,P222の引き出し方向と直交する方向(図における左側方向)である。
吸着搬送機構3に吸着される用紙Pは、分離突起5と分離エア送風機構4の作用で1枚に分離される。吸着搬送機構3により用紙トレイP220から繰り出される用紙Pは、図1に示す第2の従動ローラ群33の下側の従動ローラに巻きつけられた搬送ベルト30の下面と略同じ高さにニップ部を有した一対の搬送ローラ37及び従動ローラ38に挟持される。
搬送ローラ37と従動ローラ38に挟持された用紙Pは、搬送ローラ37により搬送されるとともに、ガイド部材の作用で下向きに搬送方向が変えられる。次に、垂直方向の用紙搬送路を構成する搬送ローラR223〜R227により下方に搬送され、ガイド部材で図の左側略水平方向にガイドされた後、回転停止状態にある搬送ローラR228に先端を当接して停止される。
搬送ローラR228は、後述する画像形成装置10における画像形成プロセスとのタイミングをとるためのレジストローラとしての機能を果たしている。その後、搬送ローラ228等の回転開始に伴って、用紙Pは画像形成装置内に送り込まれる。
同様に、吸着搬送機構3により用紙トレイP221から繰り出される用紙Pは、図1に示す第2の従動ローラ群33の下側の従動ローラに巻きつけられた搬送ベルト30の下面と略同じ高さにニップ部を有した一対の搬送ローラ37及び従動ローラ38に挟持される。
搬送ローラ37と従動ローラ38に挟持された用紙Pは、搬送ローラ37により搬送されるとともに、ガイド部材の作用で下向きに搬送方向が変えられる。次に、搬送ローラR226,R227により下方に搬送され、ガイド部材で図の左側略水平方向にガイドされた後、回転停止状態にある搬送ローラR228に先端を当接して停止され、搬送ローラR228の回転開始に伴って画像形成装置内に送り込まれる。
更に、吸着搬送機構3により用紙トレイP222から繰り出される用紙Pは、図1に示す第2の従動ローラ群33の下側の従動ローラに巻きつけられた搬送ベルト30の下面と略同じ高さにニップ部を有した一対の搬送ローラ37及び従動ローラ38に挟持される。
搬送ローラ37と従動ローラ38に挟持された用紙Pは、搬送ローラ37により搬送されるとともに、回転停止状態にある搬送ローラR228に先端を当接した状態で停止され、搬送ローラR228の回転開始に従って画像形成装置内に送り込まれる。
<本実施の形態の画像形成装置の構成例>
図12は、各実施の形態の給紙装置を備えた給紙ユニットが接続される画像形成装置の一例を示す構成図である。画像形成装置10は、例えばデジタルカラー複写機で、装置本体上部に自動原稿搬送装置11を備えると共に、内部に画像読み取り部12、画像形成部13、ベルトユニット14、給紙部15、定着装置T、反転排紙部16、及び再給紙部17を備える。
自動原稿搬送装置11は、原稿を1枚ずつ送り出して画像読み取り位置へと搬送し、画像読み取りが終わった原稿を原稿排紙トレイに排紙する。
自動原稿搬送装置11は、原稿載置トレイ101、原稿分離部103、原稿搬送部105、原稿排紙部107、原稿排紙トレイ109、及び原稿の表裏面を反転するための原稿反転ローラ111を備える。
原稿載置トレイ101上に載置された複数枚の原稿は、原稿分離部103により1枚づつ分離され、原稿搬送部105を介して画像読み取り位置へ搬送される。
原稿読み取り位置は、原稿搬送部105の下流側に設けられており、画像読み取り部12のスリット201を介して、原稿の画像が読み取られ、読み取られた原稿は原稿排紙部107によって原稿排紙トレイ109上へ排紙される。なお、両面読み取りにおいては、片面が読み取られた原稿は、原稿反転ローラ111により二点鎖線の矢印で示す方向へ搬送される。
そして、進行方向における原稿の後端を挟持された状態で停止された後、原稿反転ローラ111の逆回転により、原稿搬送部105を介して再び画像読み取り位置へ搬送される。その後、原稿排紙部107によって原稿排紙トレイ109上へ排紙される。
上述した工程は、原稿載置トレイ101上に載置された複数枚の原稿について繰り返される。
画像読み取り部12は、上述したスリット201、原稿照射用のランプ213及び原稿の反射光を反射させる第1ミラー215を一体化した第1ミラーユニット205と、第2ミラー217及び第3ミラー219とを一体化した第2ミラーユニット207とを備える。
また、第3ミラー219からの反射光を撮像素子上に結像させる結像レンズ209、及び結像レンズ209によって結像された光像を光電変換して画像情報を得るライン状の撮像素子(以下、CCDという)211を備える。
自動原稿搬送装置11によって搬送される原稿を、画像読み取り部12で読み取る態様においては、第1ミラーユニット205及び第2ミラーユニット207は、図示の位置に固定されている。
画像読み取り部12によって読み取られた画像情報は、適宜の画像処理を施された後、一旦、制御部のメモリに記憶される。画像読み取り部12によって読み取られ、メモリに記憶された各色の画像情報は、メモリから順次読み出され、各色毎の画像形成部13にそれぞれ電気信号として送信される。
画像形成部13は、色分解画像に応じたトナー像を形成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の4組の画像形成ユニット130(130Y、130M、130C、130BK)を備える。
各々の画像形成ユニット130は、感光層をドラム状の金属基体上に設けた感光体310、帯電器320、画像書き込み手段である露光光学系330、現像装置340、一次転写部350、クリーニング部360を主要構成要素とする。なお、露光光学系330は、レーザ光学系で構成される露光ユニットである。
図においては、イエロー(Y)の画像形成ユニットを構成する部材にのみ参照符号を付し、他の画像形成ユニットは同様の構成を有するため参照符号を省略する。
現像装置340は、キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を収納する。また、現像装置340は、固定された複数の磁石を内蔵する円筒状の非磁性の現像スリーブと、現像剤収納部と、トナー濃度検知センサを備える。
現像剤は、複数の磁石の作用により現像スリーブ上に磁気的に担持され、当該現像スリーブの回転によって現像領域に搬送され、次いで、現像処理後の現像剤は、反発磁界の作用により現像スリーブ上から除去される。また、現像スリーブには、所定の極性(ここではマイナス極性)の直流電圧と交流電圧を重畳したバイアス電圧が印加される。
一次転写部350は、中間転写ベルト401を介して感光体310の周面に対向している一次転写ローラからなる。
クリーニング部360は、一次転写後の感光体310上に残留するトナーを除去し、除去されたトナーを、用紙トレイの側部に設置されている廃トナーボックスDTに収納する。
各色の画像形成ユニット130は、縦方向に配設された中間転写ベルト401の一平面Aの進行方向に沿って、上から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の順に配置されている。
ベルトユニット14は、上述した中間転写ベルト401と、当該中間転写ベルトを懸架する支持ローラ405、406、407、及びバックアップローラ410等により構成される。
また、転写ローラ510は、中間転写ベルト401を挟んで対向配置され、転写ローラ510を圧接して回転するバックアップローラ410とで二次転写部が構成される。
画像形成装置10における画像形成プロセスは次のように行われる。図中反時計方向に回転する感光体310の表面が、帯電器320により所定の極性(ここではマイナス極性)に帯電される。
次いで、露光光学系330による第1の色信号、即ち、イエロー(Y)の画像信号に対応する露光が施され、当該イエロー(Y)の画像に対応する潜像が感光体310上に形成される。
感光体310の潜像は、現像装置340の現像剤により接触または非接触にて反転現像され、感光体310上にイエロー(Y)のトナー像が形成された後、一次転写部350によって中間転写ベルト401上に一次転写される。
第1の色信号による画像形成開始から所定時間後に順次開始される他の色信号による画像形成プロセスは、イエローの場合と同様に、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(BK)の各色の画像形成ユニット130によって行われる。
各色の感光体310上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト401上に重ね合わせて二次転写され、中間転写ベルト401上にカラートナー像が形成される。一方、一次転写処理終了後の感光体310の表面はクリーニング部360で清掃される。
なお、感光体310、あるいは、中間転写ベルト401に対する個々の画像形成プロセスの開始タイミングは次のように行われる。すなわち、中間転写ベルト401の外側であって、中間転写ベルトの回転方向に見て、転写ローラ510のある位置からイエローの画像形成ユニットを設けている位置までの区間にレジストセンサ413を備える。
そして、中間転写ベルト401に設けた基準マークをレジストセンサ413が検知した時を起点として計時を行い、所定時間経過毎に、順次、(Y)、(M)、(C)、(BK)の画像形成プロセスを開始する。
制御部Sは、演算制御処理を行うCPUと、各種プログラムを記憶しているROM、各種データを記憶するRAM等を有し、一連の画像形成プロセスに係わる制御等の全ての制御を行う。
画像形成装置10は、装置本体の下部に3つの用紙トレイP11,P12,P13を備える。各用紙トレイP11,P12,P13は、図の手前方向に引き出し可能である。
用紙トレイP11,P12,P13は、給紙ローラ503,513,523、分離ローラ506,516,526、及び搬送ローラR1,R2,R3を備え、これらローラで送り出された用紙Pは、搬送ローラR4〜R7によって搬送される。
レジストローラ59は、搬送ローラR7よりも下流であって、二次転写部に近接した位置に設けられている。また、搬送路上の二次転写部より下流に、加熱源を内蔵した定着ローラT1と、定着ローラT1と圧接して回転する加圧ローラT2を有する定着装置Tが配置されている。
排紙ローラ600は、画像形成された用紙Pを排紙する。排紙トレイ650は、排紙ローラ600で排紙された用紙Pが積載される。
反転排紙部16は、排紙される用紙Pを反転搬送して排紙する。再給紙部17は、片面に画像形成された用紙を反転搬送し、レジストローラ59へ用紙を再給紙する。
次に、中間転写ベルト401上に形成されたカラートナー像が用紙上に転写され、装置外に排紙されるまでの工程と関連して、装置のその他の構成について簡単に説明する。
中間転写ベルト401上における画像形成に対応した適宜のタイミングで、用紙Pが給紙ローラ503(513、523)によって給紙される。給紙される用紙Pは、枚数、開始釦、倍率又は画像濃度等を設定することができる操作表示部150上で選択されたサイズの用紙であり、装置内の用紙トレイP11,P12,P13、または、給紙ユニット90の用紙トレイP220,P221,P222から給紙される。
次に、用紙Pは、分離ローラ506、及び搬送経路上に設けた複数の搬送ローラR1〜R7により挟持搬送されて、二次転写部の上流側に設けられているレジストローラ59へ搬送される。
用紙Pは、レジストローラ59に先端が当接された後、当該レジストローラ59の回転再開により、中間転写ベルト401上のカラートナー像領域と重畳するタイミングで給紙される。
次に、用紙Pは、二次転写部においてバックアップローラ410と転写ローラ510により中間転写ベルト401と共に押圧挟持され、この間に、中間転写ベルト401上のカラートナー像が用紙P上に二次転写される。二次転写の際、転写ローラ510に所定の転写バイアス電圧を印加することが望ましい。
カラートナー像が転写された用紙Pは、中間転写ベルト401から分離され、図示しない搬送ベルトにより定着装置Tへ搬送され、加熱及び加圧処理によりカラートナーが溶融され、用紙P上に定着される。
定着装置Tによる定着処理後の用紙Pは、下流に設けた排紙ローラ600により搬送され、装置本体外の排紙トレイ650上に排紙される。一方、二次転写後の中間転写ベルト401の表面は、クリーニング部360によりクリーニングされ、次のカラートナー像の転写工程が行われる。
図において、切替部材601の位置は、定着処理後に用紙Pを反転することなく排紙する場合の位置である。用紙Pを反転排紙する時は、切替部材601が所定量回動され、定着処理後の用紙Pは切替部材601の右辺に沿って下方に案内される。
次に、反転ローラ602によって後端が挟持された状態で停止された後、当該反転ローラ602の逆回転により、用紙Pは切替部材601の左側の辺に沿って上昇され、排紙ローラ600を介して排紙される。
更に、再給紙部17を用いる両面コピーモードの場合、片面に画像が形成された定着処理後の用紙Pは切替部材601の右側の辺に沿って下方に案内され、用紙Pの後端が反転ローラ605により挟持された状態で停止される。
次に、反転ローラ605を逆回転させ、図示しないガイド板に沿って上昇させ、複数のローラ701、702、703に搬送され用紙Pを反転搬送する。
用紙Pの第2面に対する画像形成プロセスは前述と同様であり、また、定着装置Tから送り出された後の排出路については前述した何れかが選択される。
一方、感光体上からクリーニング部360により除去されたトナーは、廃トナーボックスDTに送られて収納される。なお、以上はカラー画像を形成する画像形成装置であったが、モノクロ画像を形成する画像形成装置であっても良い。
1A〜1C・・・給紙装置、2・・・用紙載置台、20・・・用紙収納部、21・・・用紙先端突き当て面、22・・・上限検知センサ、3・・・吸着搬送機構、30・・・搬送ベルト、30a・・・吸気口、30b・・・吸着面、31・・・駆動ローラ、32・・・第1の従動ローラ、33・・・第2の従動ローラ群、34・・・吸着室、4・・・分離エア送風機構、5A〜5C・・・分離突起、50・・・軸、51・・・弾性部材、52・・・ローラ部材、6・・・浮上エア送風機構、60・・・浮上エア吹出口、61・・・送風ファン、7・・・吸着検知センサ