JP5146006B2 - 連続鋳造における二次冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造設備の二次冷却帯における鋳片の冷却方法及び連続鋳造設備の二次冷却装置に関し、詳しくは、高速鋳造時に鋳片を均一に冷却するための二次冷却方法及び二次冷却装置に関するものである。
鋼の連続鋳造では、取鍋内の溶鋼を一旦タンディッシュに注入し、タンディッシュ内に所定量の溶鋼が滞在した状態で、タンディッシュ内の溶鋼を、タンディッシュ底部に設置した浸漬ノズルを介して鋳型に注入している。鋳型内に注入された溶鋼は冷却されて鋳型との接触面に凝固シェルを形成し、この凝固シェルを外殻とし、内部に未凝固溶鋼を有する鋳片は、鋳型下方に設けられた二次冷却帯において冷却水(「二次冷却水」という)によって冷却されながら鋳型下方に連続的に引抜かれ、やがて中心部までの凝固が完了する。中心部までの凝固の完了した鋳片を所定の長さに切断して、圧延用素材である鋳片が製造されている。
二次冷却帯において、不均一な冷却が発生すると、鋳片の表面や内部に割れが生じたり、鋳片中心部の中心偏析が悪化したりするので、鋳片の鋳造方向及び幅方向で均一な冷却を行うことが提案され、実施されてきた。この場合、スラブ鋳片は幅が広く、複数個のスプレーノズルを幅方向に配置する必要があることから、幅方向で不均一冷却になりやすく、特に、鋳片幅方向に均一な冷却を行うことが重要となる。
例えば、特許文献1には、二次冷却帯の鋳片幅方向中央部に配置したスプレーノズルから供給される鋳片単位面積あたりの平均スプレー水量を、幅方向両端部に配置したスプレーノズルから供給される鋳片単位面積あたりの平均スプレー水量に対し30〜70%範囲として、鋳片を幅方向で調整冷却することを開示している。特許文献1によれば、鋳片幅方向中央部の凝固が抑制されるので、鋳型内で生じていた不均一な凝固シェル分布が解消され、均一な厚みの凝固シェルが得られるとしている。
特許文献2には、スプレーノズルの先端に複数の噴射孔を設け、隣り合うロール間において、前記噴射孔から噴射される互いに平行な、複数条のフラットスプレー水で鋳片表面を冷却することが開示されている。特許文献2によれば、複数条のスプレー水で冷却するので、冷却−復熱の温度差が小さくなり、それに応じて繰り返しの熱応力が軽減され、鋳片の表面割れが軽減されるとしている。
また、特許文献3には、スプレーノズルから噴射される冷却水の、鋳片引き抜き方向の水量分布で、水量分布における最大部の20%となる点をA及びBとしたとき、AとBとの間では最大部の20%以上の水量分布が連続し、且つ、スプレーノズルの噴射孔中心をCとしたとき、角ACBが30°以上であるスプレーノズルを用いて鋳片を冷却することが開示されている。特許文献3によれば、鋳片に対する冷却能を効率良く高めることができるとしている。
特開平10−263778号公報 特開昭50−103426号公報 特開2003−136205号公報
ところで、本発明者らのこれまでの研究結果から、連続鋳造機内の鋳片表面における温度ムラの発生と鋳造後の鋳片表面割れの発生とには、相関があることが分かっている。この温度ムラは、特に高速鋳造時のスプレー冷却時に発生する現象であり、鋳造中の鋳片表面が二次冷却帯における過冷却によって黒くなる現象で、図1に、スラブ鋳片における温度ムラの発生状況(図1(A))と、冷却後のスラブ鋳片の表面割れの発生状況(図1(B))との関係を示すように、鋳造後の鋳片を観察すると、温度ムラの発生部位に表面割れが集中する。
この温度ムラを防止する観点から上記従来技術を検証すれば、上記従来技術は何れも温度ムラの防止には効果がない。即ち、特許文献1は、凝固シェルを均一にするために、スプレーノズルから供給されるスプレー水量を鋳片幅方向で変更しているが、温度ムラの発生原因はスプレーノズルを用いた二次冷却で発生することが多く、通常のスプレーノズルを使用する限り、高速鋳造下での温度ムラの発生を防ぐことはできない。
特許文献2は、スプレー水の噴射される面積、つまり冷却面積を広げて過冷却を防止しているが、フラットスプレーノズルを使用しており、フラットスプレーノズルを使用する限り、冷却時の衝突圧力が強く、高速鋳造下での温度ムラの発生を防ぐことはできない。
特許文献3は、鋳造方向の噴射角度を広げたスプレーノズルであり、特許文献2のフラットスプレーノズルに比較すれば、冷却時の衝突圧力を弱くすることができるので、過冷却は発生しにくくなる。しかしながら、スプレーノズルを用いて冷却する限り、鋳片幅方向或いは鋳造方向に対してスプレー水の強弱が発生し、且つ鋳造速度が速いときにはその強弱が大きくなることから、それが過冷却つまり温度ムラの発生原因となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造設備の二次冷却帯にて鋳造中の鋳片を冷却するにあたり、鋳片表面に温度ムラを発生することなく、鋳片を均一に冷却することのできる、二次冷却方法及び二次冷却装置を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造における二次冷却方法は、連続鋳造機で鋳造されている鋳片の表面を、鋳型の下方に設けた二次冷却帯にて冷却水または冷却水と気体との混合体を用いて冷却する際に、鋳片表面温度をMHF点以上の膜沸騰の領域に保持して冷却することを特徴とするものである。
第2の発明に係る連続鋳造における二次冷却方法は、第1の発明において、前記冷却水または冷却水と気体との混合体の鋳片表面への衝突圧力を2kPa以下とすることを特徴とするものである。
第3の発明に係る連続鋳造における二次冷却方法は、連続鋳造機で鋳造されている鋳片の表面を、鋳型の下方に設けた二次冷却帯にて冷却水または冷却水と気体との混合体を用いて冷却する際に、前記冷却水または冷却水と気体との混合体の鋳片表面への衝突圧力を2kPa以下とすることを特徴とするものである。
第4の発明に係る連続鋳造における二次冷却方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記冷却水または冷却水と気体との混合体を、隣り合うロール間に配置した、鋳片と相対する面に多数の噴出孔を有する多孔板ノズルを用いて鋳片表面に供給することを特徴とするものである。
第5の発明に係る連続鋳造における二次冷却方法は、第4の発明において、前記噴出孔は、多孔板ノズルの鋳片と相対する面に千鳥配置されていることを特徴とするものである。
第6の発明に係る連続鋳造における二次冷却方法は、第4または第5の発明において、前記噴出孔は、直径が2mm以下であることを特徴とするものである。
第7の発明に係る連続鋳造における二次冷却装置は、連続鋳造機の隣り合うロール間に、鋳片と相対する面に多数の噴出孔を有し、該噴出孔から冷却水または冷却水と気体との混合体を鋳片表面に供給して鋳片表面を冷却する多孔板ノズルが配置されていることを特徴とするものである。
第8の発明に係る連続鋳造における二次冷却装置は、第7の発明において、前記噴出孔は、多孔板ノズルの鋳片と相対する面に千鳥配置されていることを特徴とするものである。
第9の発明に係る連続鋳造における二次冷却装置は、第7または第8の発明において、前記噴出孔は、直径が2mm以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、連続鋳造機の二次冷却帯にて冷却水または冷却水と気体との混合体を用いて鋳片表面を冷却する際に、鋳片表面温度をMHF点以上の膜沸騰の領域に保持して冷却するので、鋳片表面は過冷却とならず、鋳片表面に温度ムラを発生させることなく、鋳片を均一に冷却することが達成される。
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明に至った経緯を説明する。
本発明者らは、実機連続鋳造機の操業結果から、前述した図1に示すように、鋳造速度が速くなると、温度ムラの原因である鋳片の過冷却が多発し、それに応じて鋳片の表面割れが多発することを確認した。そこで、鋳造速度が速くなると温度ムラが起こりやすくなる原因を追求した。
連続鋳造機の設備長は限られており、従って、鋳造速度が速くなると、限られた設備長の範囲内で鋳片の凝固を完了させなければならず、そのために、二次冷却帯における冷却能力を強くする。通常、二次冷却帯の水スプレーノズルやエアーミストスプレーノズル(以下、まとめて「スプレーノズル」とも記す)から噴射される冷却水量或いはミスト量を増加させて、二次冷却帯における冷却能力を強くしている。
しかしながら、本発明者らは、図2に示すように、水スプレーノズルやエアーミストスプレーノズルを用いて鋳片を冷却する場合に、冷却能力を強くすると、膜沸騰冷却から遷移沸騰冷却へと変わる点であるMHF(Minmum Heat Flux)点が高くなるとの知見を得た。これは、冷却能力を強くするべく、水スプレーノズルやエアーミストスプレーノズルからの冷却水量或いはミスト量を増加すると、スプレーノズルから噴射される冷却水或いはミストの鋳片表面への衝突圧力が高くなり、鋳片表面と冷却水との間に蒸気膜が存在する膜沸騰状態が保持できず、スプレーノズルからの冷却水或いはミストが、蒸気膜を破って鋳片表面へ直接接触し始める遷移沸騰へと移行するためである。
尚、図2は、鋳片の単位質量あたりの二次冷却水量を一定として、つまり鋳造速度に比例させて二次冷却水量を調整して、エアーミストスプレーノズルを用いて鋳片を冷却したときの鋳片表面温度と熱伝達率との関係を鋳造速度別に示す図であり、低速鋳造(鋳造速度:約0.8〜1.0m/min)の場合には、MHF点はおよそ620℃程度であるが、中速鋳造(鋳造速度:約1.4〜1.6m/min)の場合には、MHF点はおよそ730℃程度となり、高速鋳造(鋳造速度:約1.8〜2.0m/min)の場合には、MHF点は800℃以上になることが分かる。
また、二次冷却中に、一旦遷移沸騰領域に突入すると、図3に示すように、熱流束(熱伝達率)が鋳片表面温度の低下に伴って急激に上昇するため、過冷却が継続される。これが温度ムラの発生原因であり、特に、鋳造速度が2.0m/min以上の高速鋳造時には温度ムラが増大し、それに伴って表面割れが多発することが知見された。つまり、鋳造速度が2.0m/min以上の高速鋳造時であっても、鋳片表面温度がMHF点以下にならないように冷却することで、温度ムラが防止できるとの知見を得た。尚、図3は、高温の鋳片表面をスプレー水で冷却したときの冷却形態及びそのときの熱流束を模式的に示す図である。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、連続鋳造機において高速鋳造速度で鋳造されている鋳片の表面を、鋳型の下方に設けた二次冷却帯にて冷却水または冷却水と気体との混合体を用いて冷却する際に、鋳片表面温度をMHF点以上の膜沸騰の領域に保持して冷却することを特徴としている。
鋳片表面温度をMHF点以上に保持することにより、温度ムラは防止できるが、MHF点は低ければ低いほど、連続鋳造操業に余裕が生まれる。現状の冷却水によるスプレー冷却、或いは気体と冷却水との混合体によるミストスプレー冷却では、スプレー水或いはミストの鋳片表面に衝突する際の衝突圧力が高いことから、MHF点が高くなりやすく、MHF点が高い場合には容易に遷移沸騰に移行するので、温度ムラを防止しつつ、安定して鋳造速度を増加させるためには、MHF点を450℃以下にすることが望ましい。MHF点を450℃以下にすれば、高速鋳造であっても、鋳片表面温度をMHF点以上に容易に維持することができる。
図4は、スプレー水で冷却した場合に、スプレー水の衝突圧力とMHF点との関係を調査した結果である。図4に示すように、MHF点を450℃以下とするためには、衝突圧力を2kPa以下とする必要があることが分かる。即ち、スプレー水の衝突圧力を2kPa以下として、且つ、鋳片表面温度を、450℃を超える範囲に維持すれば、高速鋳造であっても過冷却が未然に防止され、鋳片表面の温度ムラの発生を防止することができる。
しかしながら、スプレー冷却で衝突圧力を2kPa以下とするためには、水量密度を30L/min・m2以下とする必要があり、これでは冷却能力が低すぎ、二次冷却用媒体として使用するためには、連続鋳造機の設備長が長くなり、建設費や運転費が高くなる。
そこで、本発明者らは、従来のスプレーノズルには全く頼らない、新しい冷却方法を検討した。スプレーノズルでは、流体を拡散させるために流体の圧力を高める必要があり、それが衝突圧力を下げられない原因となっているからである。
検討の結果、図5に示すように、側面が台形或いは三角形の形状であるノズルヘッド4と、このノズルヘッド4に接合する冷却媒体供給管5とからなり、鋳片2と相対するノズルヘッド4の部位には複数の噴出孔6を有する多孔板ノズル1を、隣り合うロール3とロール3との間に設置し、冷却水供給管9から多孔板ノズル1に冷却水を供給し、ノズルヘッド4の内部で減圧及び均一化した後、この冷却水をノズルヘッド4に設置した噴出孔6から鋳片2の表面に向けて噴出することで、衝突圧力を2kPa以下に抑えて鋳片2を効率的に冷却できることが分かった。尚、図5は、本発明を適用する上で好適な多孔板ノズルの概略図であり、(A)は多孔板ノズルの斜視図、(B)は多孔板ノズルをロール間に配置した状態を示す概略図である。
この多孔板ノズル1を用いて冷却することで、ノズルヘッド4の底面の面積が鋳片2の冷却面積と一致するため、冷却水を拡散させる必要がなく、従って、噴出する冷却水の圧力を高める必要がない。噴出孔6の個数を調整することにより、高冷却能力が必要な鋳型直下の二次冷却帯にも対応することができる。また、噴出孔6の直径を2mm以下とすることによって、ターンダウン比も良好である。噴出孔6の直径が大きいと、低水量では噴出孔6からの噴出がまばらとなり、均一冷却ができなくなるので、2mm以下とすることが好ましい。噴出孔6は、ノズルヘッド4の底面の鋳片幅方向に並べて設置するとともに、鋳造方向にも並べて配置するが、より均一な冷却を得るために、鋳造方向において交互に配置すること、つまり所謂「千鳥配置」することが好ましい。
また、この多孔板ノズル1に、図6に示すように、ミスト予混合器7を設置し、このミスト予混合器7に、冷却水供給管9から冷却水を供給し、空気供給管10から空気を供給して、ミスト予混合器7で冷却水と空気とを混合することで、ミスト冷却も可能であり、ノズルヘッド4の内部に緩衝板8を設けることにより、噴出圧を下げてミストを噴出させることが可能となる。緩衝板8には、例えば貫通孔が設けられていて、ミストが通過する際の障害物として機能する。この冷却方法では、更に、空気、ミスト、水のハイブリットでの冷却が可能で、熱伝達率が50〜700W/m2・Kの幅広い冷却特性を持たせることが可能となる。尚、図6は、冷却媒体としてミストを噴出する多孔板ノズル1の例を示す概略図であり、(A)は多孔板ノズルの斜視図、(B)は多孔板ノズルをロール間に配置した状態を示す概略図である。
従って、連続鋳造機の二次冷却帯に上記構成の多孔板ノズル1を配置して連続鋳造中の鋳片を二次冷却することで、鋳造速度が2.0m/min以上の速い場合でも、鋳片の表面温度をMHF点以下とせずに、しかも、鋳片を効率的に冷却することが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、連続鋳造機の二次冷却帯にて冷却水または冷却水と気体との混合体を用いて鋳片表面を冷却する際に、鋳片表面温度をMHF点以上の膜沸騰の領域に保持して冷却するので、鋳片表面は過冷却とならず、鋳片表面に温度ムラを発生させることなく、鋳片を均一に冷却することが可能となる。
尚、ノズルヘッド4の側面形状は、台形或いは三角形の形状に限るものではなく、ノズルヘッド4の鋳片と相対する側が、冷却媒体供給管5と接続する側よりも広くなる形状である限り、台形或いは三角形以外の多角形であっても構わない。ノズルヘッド4の側面は長方形或いは正方形であっても構わないが、側面が長方形或いは正方形の場合には、ノズルヘッド4による鋳造方向の冷却範囲が隣り合うロール間の間隙で決められてしまうので、ノズルヘッド4による鋳造方向の冷却範囲を拡大する観点から、上記に説明した側面形状とすることが好ましい。
幅800mm、長さ400mm、厚み30mmの鋼材を1000℃以上に加熱し、この鋼材を、前述した図5及び図6に示す多孔板ノズル、並びに、エアーミストスプレーノズルを用いて、表層から2mmの位置に差し込んだ熱電対が500℃以下となるまで冷却し、その結果を比較した。
エアーミストスプレーによる冷却では、鋼材表面での噴霧面が重ならず且つ噴霧面されない箇所が発生しないように、エアーミストスプレーノズルを400mmの間隔で鋼材の幅方向に2本配置し、エアーミストスプレーノズル1本あたり、冷却水を25L/min、空気を180NL/min吹き付け、鋳片に模擬した鋼材を往復させながら冷却した。これは高速鋳造時の冷却条件である。
一方、使用した多孔板ノズルは、ノズルヘッドの底面(冷却面)が、幅800mm、長さ300mmであり、ノズルヘッドの底面に、直径1mmの噴出孔を、幅方向に25mm間隔、長さ方向に50mm間隔で、千鳥状に配置した。そして、この多孔板ノズルから、冷却水を50L/min、空気を360NL/min吹き付け、鋳片に模擬した鋼材を往復させながら冷却した。冷却水及び空気の供給量はエアーミストスプレーノズルの2本分と同一である。
所定時間冷却後、冷却を停止し、冷却した側の鋼材の表面温度を二次元放射温度計によって測温した。この二次元放射温度計による測温結果の1例を図7に及び図8に示す。図7は、エアーミストスプレーノズルで冷却したときの温度分布、図8は、多孔板ノズルで冷却したときの温度分布である。
その結果、図7に示すように、従来のエアーミストスプレーノズルでは、鋼材表面を700℃程度まで冷却すると、過冷却部分が生じることが確認できた。一方、多孔板ノズルでは、図8に示すように、700℃、600℃、500℃付近まで冷却しても、全く過冷却が生じないことが確認できた。これは、多孔板ノズルではMHF点が低温下しているためであり、このことより、高速鋳造を行って表面温度が低くなっても、過冷却せずに鋳造が可能であるとの知見を得た。
尚、上記条件下での鋼材表面温度と熱伝達率との関係の調査結果を図9に示す。図9に示すように、エアーミストスプレーノズルでは、約720℃にMHF点が存在し、そのために、表面温度が720℃を下回ると過冷却が発生しやすくなる。これに対して、冷却媒体として水と空気とを使用した多孔板ノズルでは、MHF点は約420℃に存在し、これによって表面温度が500℃まで冷却しても過冷却現象を生じなかったと考えられる。また、多孔板ノズルにおいて、噴出孔の直径を0.8mmとし、空気を停止して、水のみ(50L/min)で冷却をした結果もMHF点が約420℃に存在し、冷却媒体として水のみを使用した場合でも、多孔板ノズルの使用が可能であることを確認した。
図10に示すスラブ連続鋳造機において、二次冷却帯に、前述した図5及び図6に示す多孔板ノズル、並びに、従来のエアーミストスプレーノズルを配置し、鋳造速度を種々変更して鋳片を冷却する試験鋳造を実施した。エアーミストスプレーノズルを用いた試験鋳造は、比較のための試験である。尚、図10において、符号11は、スラブ連続鋳造機、12は、取鍋から供給される溶鋼を鋳型に中継供給するためのタンディッシュ、13は、鋳型への溶鋼流量調整用のスライディングノズル、14は、溶鋼を鋳型内に注入するための浸漬ノズル、15は、溶鋼を冷却するための鋳型、16は、鋳片を支持・案内するためのロール、17は、鋳造された鋳片を搬送するための搬送ロール、18は、鋳造された鋳片を所定長さに切断するためのガス切断機、19は溶鋼、20は鋳造されつつある鋳片、20aは切断された鋳片、21は凝固シェル、22は未凝固相である。
使用したスラブ連続鋳造機1の設備長は45mであり、幅2000mmのスラブ鋳片の鋳造が可能な設備である。鋳型15の上端から鋳型15の下端までが1mであり、鋳型直下から機端までの44mの範囲が二次冷却帯であり、この二次冷却帯を11m毎に、鋳型直下側から機端側に向いて、第1ゾーン、第2ゾーン、第3ゾーン、第4ゾーンの4つのゾーンに分け、それぞれのゾーン毎に冷却条件を設定した。
水を鋳片表面に噴出して鋳片表面を冷却する、前述した図5(A)に示す多孔板ノズルを、図5(B)に示すように隣り合うロール16の間隙に配置した。この多孔板ノズルのノズルヘッドの底面(冷却面)の面積は、幅2200mm、長さ300mmであり、このノズルヘッドの底面に、直径0.8mmの噴出孔を幅方向に25mm間隔、長さ方向(鋳造方向)に50mm間隔で、千鳥状に配置した。
また、他の試験鋳造では、水と空気の混合体を鋳片表面に噴出して鋳片表面を冷却する、前述した図6(A)に示す多孔板ノズルを、図6(B)に示すように隣り合うロール16の間隙に配置した。この多孔板ノズルのノズルヘッドの底面(冷却面)の面積は、幅2200mm、長さ300mmであり、このノズルヘッドの底面に、直径1mmの噴出孔を幅方向に25mm間隔、長さ方向(鋳造方向)に50mm間隔で、千鳥状に配置した。
比較のための試験鋳造であるエアーミストスプレーノズルを用いた試験鋳造では、一般的なエアーミストスプレーノズルを鋳片幅方向に3本配置した。
各試験鋳造ともに、連続鋳造機出側での表面温度を測定するとともに、温度ムラの発生の有無を調査した。また、鋳造後の鋳片を冷却し、鋳片表面のひび割れ疵の発生の有無を浸透探傷法によって調査した。
表1に、図5(A)に示す、水を鋳片表面に噴出して鋳片表面を冷却する多孔板ノズルを用いて鋳造したときの二次冷却条件、鋳片表面温度、温度ムラの有無、ひび割れ疵の発生の有無を示し、表2に、図6(A)に示す、水と空気との混合体を鋳片表面に噴出して鋳片表面を冷却する多孔板ノズルを用いて鋳造したときの二次冷却条件、鋳片表面温度、温度ムラの有無、ひび割れ疵の発生の有無を示し、また、表3に、エアーミストスプレーノズルを用いて鋳造したときの二次冷却条件、鋳片表面温度、温度ムラの有無、ひび割れ疵の発生の有無を示す。
Figure 0005146006
Figure 0005146006
Figure 0005146006
表1に示すように、水を鋳片表面に噴出して鋳片表面を冷却する多孔板ノズルを用いた場合、温度ムラを発生させることなく、3.5m/minまで鋳造速度を高めることができた。しかしながら、4.0m/minで鋳造した場合には、表面温度が420℃以下となり、温度ムラ(過冷却)が局所的に発生して表面割れが生じたので、4.0m/minでの鋳造は中断した。鋳造速度が3.5m/min時の鋳片表面での平均衝突圧力は1.7kPaであり、当該多孔板ノズルのMHF点は約410℃であった。
また、表2に示すように、水と空気との混合体を鋳片表面に噴出して鋳片表面を冷却する多孔板ノズルを用いた場合、温度ムラを発生させることなく、3.5m/minまで鋳造速度を高めることができた。しかしながら、4.0m/minで鋳造した場合には、表面温度が420℃以下となり、温度ムラ(過冷却)が局所的に発生して表面割れが生じたので、4.0m/minでの鋳造は中断した。鋳造速度が3.5m/min時の鋳片表面での平均衝突圧力は1.8kPaであり、当該多孔板ノズルのMHF点は約420℃であった。
これに対して、エアーミストスプレーノズルを用いた場合には、鋳造速度が2.0m/minの段階で温度ムラ(過冷却)が鋳片表面全体的に発生し、表面割れが生じたので、2.0m/minでの鋳造は中断した。鋳造速度が2.0m/min時の鋳片表面での平均衝突圧力は60kPaであり、エアーミストスプレーノズルのMHF点は約710℃であった。尚、多孔板ノズルに比較してエアーミストスプレーノズルでの水量が多い理由は、エアーミストスプレーノズルでの冷却面積が多孔板ノズルの冷却面積に比べて小さいためである。
以上のことから、本発明を適用することにより、鋳造速度の増加を図ることができ、且つ、過冷却を防止することによって表面割れを防ぐことができ、これらの相乗効果により、鋳片の増産が可能であることが確認できた。
スラブ鋳片における温度ムラの発生状況と、冷却後のスラブ鋳片の表面割れの発生状況との関係を示す図である。 エアーミストスプレーノズルで冷却した場合の鋳片表面温度と熱伝達率との関係を示す図である。 鋳片表面をスプレー水で冷却したときの冷却形態及びそのときの熱流束を模式的に示す図である。 スプレー水冷却におけるスプレー水の衝突圧力とMHF点との関係を示す図である。 本発明を適用する上で好適な多孔板ノズルの概略図である。 本発明を適用する上で好適な多孔板ノズルの他の例の概略図である。 エアーミストスプレーノズルで冷却したときの鋳片温度分布を示す図である。 多孔板ノズルで冷却したときの鋳片温度分布を示す図である。 鋳片表面温度と熱伝達率との関係をノズル別に比較して示す図である。 本発明を適用したスラブ連続鋳造機の概略図である。
符号の説明
1 多孔板ノズル
2 鋳片
3 ロール
4 ノズルヘッド
5 冷却媒体供給管
6 噴出孔
7 ミスト予混合器
8 緩衝板
9 冷却水供給管
10 空気供給管
11 スラブ連続鋳造機
12 タンディッシュ
13 スライディングノズル
14 浸漬ノズル
15 鋳型
16 ロール
17 搬送ロール
18 ガス切断機
19 溶鋼
20 鋳片
21 凝固シェル
22 未凝固相

Claims (4)

  1. 連続鋳造機で鋳造されている鋳片の表面を、鋳型の下方に設けた二次冷却帯にて冷却水または冷却水と気体との混合体を用いて冷却する際に、前記冷却水または冷却水と気体との混合体の鋳片表面への衝突圧力を2kPa以下とし、MHF点を450℃以下にして、
    鋳片表面温度を前記MHF点以上の膜沸騰の領域に保持して冷却することを特徴とする、連続鋳造における二次冷却方法。
  2. 前記冷却水または冷却水と気体との混合体を、隣り合うロール間に配置した、鋳片と相対する面に多数の噴出孔を有する多孔板ノズルを用いて鋳片表面に供給することを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造における二次冷却方法。
  3. 前記噴出孔は、多孔板ノズルの鋳片と相対する面に千鳥配置されていることを特徴とする、請求項に記載の連続鋳造における二次冷却方法。
  4. 前記噴出孔は、直径が2mm以下であることを特徴とする、請求項または請求項に記載の連続鋳造における二次冷却方法。
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