JP5145622B2 - ポリカーボネート樹脂組成物およびシート状成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物、とくに押出成形によって得られる成形品に着色がなく、耐加水分解性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、押出成形されて得られた成形品が着色するという欠点があり、これを防止する目的で、ポリカーボネート樹脂に有機ホスファイト系安定剤が添加される。
【0003】
また、ポリカーボネート樹脂が押出成形される際には、製造工程で発生するスクラップが、粉砕された後で、樹脂原料に混入され再利用されているのが一般的である。このスクラップ混入原料を用いた押出成形においては、度重なる熱履歴の影響で、得られた成形品がより着色しやすくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、比較的多量の有機ホスファイト系安定剤を添加することにより、成形品の着色を防止することができる。しかし、このように比較的多くの有機ホスファイト系安定剤が添加されたポリカーボネート樹脂組成物により得られた成形品は、水分と接触すると加水分解を受けて分子量低下をきたし、機械的強度を著しく損なうという別の問題が発生する。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、押出成形によって得られた成形品に着色がなく、かつ耐加水分解性にも優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供するためのものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ペンタエリスリトールホスファイト化合物と、ビスフェノール類の有機環状ホスファイト化合物、または有機ホスファイト化合物とをポリカーボネート樹脂に添加することにより、着色がなく耐加水分解性に優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出したもの。
【0007】
即ち、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記一般式(I)
【化1】
(式中、R1,R2はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルキル基置換シクロアルキル基、アリルール基またはアルキル基置換アリール基を示す)で表されるペンタエリスリトールホスファイト化合物0.005〜0.04重量部と、下記一般式(II)
【化2】
(式中、R1は、炭素原子数1〜4のアルキル基、R2は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基、R3はフッ素原子または炭素原子数1〜30のアルコキシル基を示す)で表されるビスフェノール類の有機環状ホスファイト化合物、または下記一般式(III)
【化3】
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、nは1〜5の整数を示す)で表される有機ホスファイト化合物の少なくとも一種0.005〜0.2重量部と、を含有させてなるものを要旨としている。
【0008】
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、二価フェノール系化合物を原料として従来のホスゲン法、クロロホルメート法、ピリジン法等によって製造された周知のものが用いられる。ポリカーボネート樹脂の分子量としては粘度平均分子量が10,000〜100,000のものが適用される。
【0009】
上記一般式(I)で表されるペンタエリスリトールホスファイト化合物の具体例としては、下記構造式で示される化合物を例示することができる。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0010】
このペンタエリスリトールホスファイト化合物の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.005〜0.04重量部である。0.005重量部未満では、得られる成形品の着色を防止できず、0.04重量部を超えると、成形品の耐加水分解性が低下してしまう。
【0011】
上記一般式(II)で表されるビスフェノール類の有機環状ホスファイト化合物の具体例としては、下記構造式で示される化合物を例示することができる。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0012】
上記一般式(III)であらわされる有機ホスファイト化合物の具体例としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス−(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスフェイトなどを挙げることができる。
【0013】
このビスフェノール類の有機環状ホスファイト化合物あるいは、有機ホスファイト化合物の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.005〜0.2重量部である。0.005重量部未満であると、成形品の着色を防止できず、0.2重量部を越えると、成形品の耐加水分解性が低下してしまう。
【0014】
【実施例】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
【0015】
まず、実施例、比較例には次に示す原料を使用した。
(ポリカーボネート樹脂)
商品名「ユーピロン」、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製
(ペンタエリスリトールホスファイト化合物)
ビス(2,6−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(商品名「PEP−36」、旭電化工業株式会社製)
(ビスフェノール類の有機環状ホスファイト化合物)
2−2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(商品名「HP−10」、旭電化工業株式会社製)
(有機ホスファイト化合物)
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名「2112」、旭電化工業株式会社製)
【0016】
<実施例1〜7、及び比較例1〜9>
各原料を表1に示した配合割合で混合し、これを50mm径単軸押出機(L/D=30)によりそれぞれ押出成形して、厚み3mmのシート状成形品を得た。
【0017】
<耐加水分解性の評価>
上記押出成形により得られたシート状の成形品より、3mm×60mm×60mmサイズの試験片を採りだし、この試験片を80℃の温水中に1000時間浸漬した後で、この試験片の中心部に1/8インチの撃芯を置き、5kgの錘を落下させ、試験片が割れない最大高さを測定した。この結果を表1に併せて示す。
【0018】
<着色の評価>
上記押出成形により得られたシート状の成形品より、3mm×60mm×60mmサイズの試験片を採りだし、JIS K7105に準じて黄色度(YI0)を算出した。
さらに、上記押出成形により得られた成形品を粉砕機で粉砕し、この粉砕品を原料として押出成形を行い、シート状成形品を得た。さらに、もう一度同様の操作をおこないシート状の成形品を得た。ここで得られた成形品より、3mm×60mm×60mmサイズの試験片を採りだし、上記と同様にして、この試験片の黄色度(YI)を算出した。ここで、得られた黄色度の差(YI−YI0)を算出して黄変度(△YI)として表1に併せて示す。
【0019】
【表1】
【0020】
上記の結果から理解できるように、本発明に基づく実施例1〜7においては、成形品の着色も少なく、加水分解に基づく機械的強度の低下も小さい。これに対し、本発明の要件を充足しない比較例1〜9においては、成形品の着色が目立ち、機械的強度の低下も大きいことが判る。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のポリカーボネート樹脂組成物によれば、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、特定のペンタエリスリトールホスファイト化合物を0.005〜0.04重量部と、ビスフェノール類の有機環状ホスファイト化合物、または有機ホスファイト化合物の少なくとも1種0.005〜0.2重量部とを含有させてなるものであるため、押出成形によって得られる成形品の着色が少なく、加水分解による機械的強度の低下も小さいという効果がある。
Claims (2)
- ホスゲン法、クロロホルメート法、およびピリジン法のいずれかにより作製されたポリカーボネート樹脂100重量部に対し、下記一般式(I)
- 請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物を押出成形して作製したシート状成形品。
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