JP5144526B2 - ガラス・金属フィードスルー、その製造方法、および、それを含む電気的点火起動装置 - Google Patents

Description

本発明は、電気信号をひとつの面からこれと反対側にある別の面へ電気信号を伝達する、ガラス・金属フィードスルー、それを含む電気的点火起動装置、および、その製造方法に関する。

本発明の適用分野のひとつは、たとえば、エアバッグ、あるいは、安全ベルトの事前張力発生器のような、自動車の搭乗者を保護する装置を駆動する、ガス発生器を起動するのに使用する、電気的点火起動装置に関する。

電気的点火起動装置において、従来、フィードスルーは、金属部で取り囲まれたガラス・プラグ、および、プラグによって互いに絶縁された、外部から信号を取り込む２つのピンを備えていた。電気信号は、プラグによって閉じられる、起動装置の仕切りの中にある、点火チャージ（装薬、火薬、爆薬など）と接触して加熱部材に供給されて、加熱部材がチャージを点火する。フィードスルーは、密閉された点火チャージを含む、仕切りを閉じるとともに、作動圧力と環境的な負荷（たとえば、気象条件、および／あるいは、機械的負荷）に耐えなければならない。加えて、静電放電に耐えるように貢献するために、２つのピンのうち１つのピンは、プラグを取り囲む金属部に接続されることによって、電気的なグランドに接続される（接地される）。それ故、このピンは、同軸ピンとして参照され、ガラス・フィードスルーは、絶縁、密閉封止、および、同軸ガラス・フィードスルーとして参照される。

特許文献１は、１つのピンは、ガラス・プラグを通過して、もう一方のピンは、直接、金属部に接着されている、ガラス・フィードスルーを記載している。このガラス・フィードスルーの欠点は、２つのピンが同一のものではないことである。加えて、その製造において、複数の工程を必要とする。すなわち、最初に、プラグと金属部に通しピンを取付けて、引き続いて、同軸ピンを金属部の下に溶接する。このフィードスルーでは、ピンは、非対称に作製される必要があり、その結果、同軸ピンの設計を複雑にする。

特許文献２は、半田を塗布した被覆部材は、２つのピンと共にガラス・ストッパー内に封止される、フィードスルーを記載している。半田を塗布した被覆部材によって、その被覆部材が囲む、ピンと、ガラス・ストッパーを囲む、金属スリーブとの間の伝導接続が得られる。しかしながら、このフィードスルーは、ガラス・ストッパーとの組立が複雑になる、欠点を持つ。加えて、このフィードスルーでは、被覆部材がそれに付加されるために、特別な形状のガラス・ストッパーを使用する必要がある。

この発明は、単純で安価に実施することによって、従来技術の欠点を軽減する、ガラス・金属フィードスルー、電気的点火起動装置、および、フィードスルーを製造する方法を提供しようとしている。
米国特許第６，２７４，２５２Ｂ号明細書 米国特許第６，７５５，６７０Ｂ号明細書

この目的のために、第一の側面として、本発明は、ひとつの面からこれと反対側のもうひとつの別の面へ電気信号を伝達する、ガラス・金属フィードスルーを提供する。このガラス・金属フィードスルーは、ガラス・プラグ、信号を伝播し、ガラス・プラグを貫通してこのガラス・プラグに固定され、プラグの互いに反対側にある２つの面から突出する、２つの電気伝導性を持つ金属ピン、プラグの互いに反対側にある２つの面の間でガラス・プラグを取り囲む、電気伝導性を持つ金属部、を備えており、さらに、プラグの底にある第一の面に配置され、２つの金属ピンの１つ（第一のピン）と金属部との間に電気伝導性を持つ連結手段を備え、および、この電気伝導性を持つ連結手段は、第一のピンと金属部に固定して、第一のピンと金属部との間の電気伝導に適した、ロウ付けされた予備成形物で形成されている、ことを特徴とする。

本発明は、特に、第一の同軸ピンが直接金属部にロウ付けされることによって、より再現性が良いという利点を提供する。本発明は、前述の特許文献２で要求されているような、ガラス・プラグに正確で相補的な形状を有する、コーティングされた中間被覆部品の必要性を排除して、第一の同軸ピンと金属部との間の接続を簡略に提供する。

第二の側面として、本発明は、点火チャージを含んだキャップ、チャージに覆われて、点火チャージを加熱する抵抗加熱部材を面上に持つ、第一の面、および、第一の面と反対側にある、第二の面、を持つ絶縁印刷回路基板を備え、さらに、絶縁印刷回路基板の第二の面をプラグの（プラグの第一の面と反対側にある）第二の面に支持して、キャップを閉じる、上述のガラス・金属フィードスルー、抵抗加熱部材に電気的に接属された、２つの金属ピン、を備えた、ことを特徴とする、電気的点火起動装置を提供する。

第三の側面として、本発明は、前記ロウ付けされた予備成形物は、第一ピンが通過する穴を持ち、第一ピンを取り囲んで配置され、ガラス・プラグは、金属部で封止されて、前記ロウ付けされた予備成形物は、オーブンを通過する単一工程で、金属部と第一のピンにロウ付けされる、ことを特徴とする、上述のガラス・金属フィードスルーを製造する方法を提供する。

図１−３において、絶縁され、密閉封止された、同軸ガラスフィード１は、真空気密を保ってガラス・プラグ３を取り囲む、外部金属部２を備えている。例として、金属部２は、円形チューブの部分の形状をなし、通常、鳩目金として呼ばれている。ガラス・プラグ３は、底面である第一の面３１と、第一の面から離れている、上面である第二の面３２を備えている。金属部２は、プラグ３の側面３３を取り囲み、すなわち、側面は、第一の面３１と第二の面３２を相互接続している。例として、金属部２とガラス・プラグ３は、双方とも、同じ、面３１と面３２との間で規定される、高さｈを持っている。

プラグ３は、２つの穴３４、３５を持っており、それぞれ、第一の面３１から第二の面３２に通過している。２つのピン、すなわち、第一のピン４、第二のピン５は、それぞれ、穴３４、３５に沿って、密封封止を保って通過して、底面３１から突出した底の長さを持っている。この底の長さは、上面３２から突出している長さよりも長い。図に示された実施態様では、２つのピン４、５は、完全に丸い円柱形であり、厳密に同一である。

図４に示されるように、組立てられたフィードスルー１が電気点火起動装置１００に取付けられたとき、上面である、第二の面３２は、起動装置を点火する、点火チャージ２２、２３に向かって対面する面である。一方、底面である、第二の面３１は、その面が外側に向かっている面であるべきである。点火チャージ２２、２３は、上面である、第二の面３２と、金属部２の外側の面２５の周りにクランプされている、金属キャップ６との間に囲まれている。このように、フィードスルー１は、キャップ６の開放端を閉じて、キャップに固定されている。フィードスルー１の底面である、第二の面３１とキャップ６の底部は、モールド（たとえば、プラスチック材料）で覆って囲むことを選択することができる。このようにモールドで覆うことによって、点火装置を発電機に合わせることができる。

上面である、第二の面３２上で、プラグ３は、ピン４、５の２つの上端４ａ、５ａを持つ、電気絶縁基板１５を備えている。ピン４、５は、電気絶縁基板１５を貫通している。基板１５の上面である、第一の面１８は、面１８を超えて突出した、ピン４、５の２つの端４ａ、５ａに印刷伝導体配線で接続された、抵抗加熱部材２１を備えた、印刷回路を持っている。抵抗加熱部材２１の上面２４は、点火チャージ２２に接触して、点火チャージ２２で覆われている。点火チャージ２２は、それ自身、点火チャージ２３によって覆われている。上面である、第一の面１８と対面する反対側には、電気絶縁基板１５の底面である、第二の面１９が、フィードスルー１の上面である、第二の面３２に対面している。

点火チャージ２２、２３に向かって対面する、ピン４、５の２つの第一の端４ａ、５ａから離れた、ピン４、５の２つの底の端４ｂ、５ｂは、外部と電気的に接続されて、電気信号が部材２１を熱するように送られて、点火チャージ２２、２３を点火する。

本発明によれば、金属部２を第一のピン４に電気的に接続し、電気伝導性を持つ、ロウ付けされた予備成形物７は、プラグ３の底面である、第一の面３１に配置される。一方、第二のピン５は、第一のピン４と電気的に絶縁を保ったままである。

たとえば、ロウ付けされた予備成形物７は、ガラス・プラグ３の第一の面３１上でピン４を取り囲む、ワッシャーの形状をなしている。

ロウ付けされた予備成形物７の寸法は、第一の同軸ピン４と金属部２の内側の面との間の距離の関数、および、ピン４、５の直径の関数として選択される。ロウ付けされた予備成形物７の外側の直径は、ロウ付けされた予備成形物７と金属部２との初期接触を提供する。ロウ付けされた予備成形物７の内側の直径によって、簡単に組立てることができるように、スルー・ホール７１を通して、ロウ付けされた予備成形物７を第一のピン４にねじ込んで、第一のピン４に沿って滑らせることができる。

例として、底面３１に垂直な垂直方向に測定された、ロウ付けされた予備成形物７の厚さは、良好な品質のロウ付け接続を得るため、０．３ｍｍ以上、および、０．５ｍｍ以下である。

ロウ付けされた予備成形物７をその面上に持つ、ガラス・プラグ２の第一の面３１は、平面として形成される。これにより、ピン４と金属部２との電気的な接続を得るために調整するために、ガラス・プラグ３の特定の形状に合わせる、一切の必要性を回避することが可能になる。

ロウ付けされた予備成形物７は、第一の面３１上のピン４を取り囲む、スポット面を形成する。

ロウ付けされた予備成形物７は、金属、あるいは、金属合金からなる。ロウ付けされた予備成形物７の材料は、その液相線温度、すなわち、その温度でその材料の固化（凝固）が始まる温度の関数として、あるいは、その固相線温度、すなわち、その温度でその材料の溶け始める温度の関数として、選択される。ロウ付けされた予備成形物７は、金属部２のガラス・プラグを封止する最高温度と、それぞれ、プラグ３のガラスの液相線温度、および、固相線温度との間の液相線温度、および、固相線温度を持つ、金属、あるいは、金属合金からなる。ロウ付けされた予備成形物７の材料は、ピン４の金属と金属部２の金属に対する、その濡れ性の関数として選択される。例として、ロウ付けされた予備成形物は、銅銀合金、および、銅銀ニッケル合金から選択される、ロウ付け金属合金、からなる。

このように、上述のガラス・金属フィードスルーを製造する方法は、実質上、簡便で、工程時間が短く、そして、安価なものになっている。フィードスルー１の部品２、３、４、５、および、７は、グラファイトからなる通常の冶具の中で、当初、組み上げられている。グラファイトからなる冶具は、第一のピン４を同軸上に囲んだ、ロウ付けされた予備成形物７を受けるように調整してある。スポット面の深さは、組立工程中のガラス・プラグ３のすべてのアンバランスを避けるように製造してある。

金属部２に対してガラス・プラグ３を封止する方法は、圧縮タイプのものである。２つのピン４、５は、ガラス・プラグ３に封止されている。ロウ付けされた予備成形物７は、選択した封止材料のタイプに適合させた温度プロファイルを使用して、オーブンをただ一回通過して、同軸ピン４と金属部２にロウ付けされている。

同一の円柱形のピンと共に使用する、起動装置１００の点火チャージ２２、２３に向かって対面する面である、上面３２と対面して反対側にある、内側の面３１上に、ロウ付けされた予備成形物７を配置することによって、フィードスルー１の製造中に部品が混合するすべての危険を避ける。

本発明のフィードスルーの、展開斜視図である。 組立てた状態の、図１に示したフィードスルーの斜視図である。 組立てた状態の、図１に示したフィードスルーを下から見た斜視図である。 図１−３に示したフィードスルーをその中に備えた、電気的点火起動装置の縦方向断面図である。

Claims (8)

1. ひとつの面（３１）から、前記ひとつの面（３１）の反対側にある別の面（３２）に電気信号を伝達するためのガラス・金属フィードスルーであって、
   ガラス・プラグ（３）と、
   ２つの電気伝導性を持つ金属ピン（４、５）であって、前記電気信号を伝達し、前記ガラス・プラグ（３）を貫通し、前記ガラス・プラグ（３）に固定され、前記プラグ（３）の前記互いに反対側の２つの面（３１、３２）から突出する、２つの電気伝導性を持つ金属ピン（４、５）と、
   電気伝導性を持つ金属部（２）であって、前記プラグ（３）の前記互いに反対側の２つの面（３１、３２）の間で、前記プラグ（３）を取り囲む、電気伝導性を持つ金属部（２）と、
   前記プラグの底の第一の面（３１）に配置されて、前記２つの金属ピン（４、５）のうちの第一の金属ピンと前記金属部（２）との間の電気伝導的連結手段と
   を備えるガラス・金属フィードスルーにおいて、
   前記電気伝導的連結手段は、前記第一のピン（４）を取り囲む内側の直径と、前記プラグの底の第一の面（３１）上において前記第一のピン（４）を前記金属部（２）に固定すべく前記金属ピン（２）との接触を提供する外側の直径とを有するワッシャーのロウ付けされた予備成形物（７）によって形成され、前記２つの金属ピンが同一であることを特徴とする、ガラス・金属フィードスルー。
2. 前記ワッシャーのロウ付けされた予備成形物（７）が配置される、前記プラグ（３）の第一の面（３１）は、平面で形成されていることを特徴とする、請求項１に記載のガラス・金属フィードスルー。
3. 前記ワッシャーのロウ付けされた予備成形物（７）は、前記第一の面（３１）上の前記第一のピン（４）を取り囲むスポット面を形成することを特徴とする、請求項１又は２に記載のガラス・金属フィードスルー。
4. 前記ワッシャーのロウ付けされた予備成形物（７）は、０．３ｍｍ以上で０．５ｍｍ以下の厚さを持つことを特徴とする、請求項１−３のいずれか１項に記載のガラス・金属フィードスルー。
5. 前記ワッシャーのロウ付けされた予備成形物（７）は、銅・銀合金、および、銅・銀・ニッケル合金から選択されたロウ付け金属合金からなることを特徴とする、請求項１−４のいずれか１項に記載のガラス・金属フィードスルー。
6. 前記ピン（４、５）は、前記ピン（４、５）の長さに沿って一定の断面積を持つことを特徴とする、請求項１−５のいずれか１項に記載のガラス・金属フィードスルー。
7. 電子点火起動装置であって、
   点火チャージ（２２、２３）を含むキャップ（６）と、
   絶縁印刷回路基板（１５）であって、第一の面（１８）を備え、前記第一の面（１８）上に、前記点火チャージ（２２、２３）を加熱するための加熱抵抗部材（２１）を備え、前記加熱抵抗部材は、前記チャージで覆われ、第二の面（１９）は、前記第一の面（１８）と反対側にある、絶縁印刷回路基板（１５）と、を備えた、電子点火起動装置において、
   請求項１−６のいずれか１項に記載されたガラス・金属フィードスルー（１）であって、前記プラグ（３）の前記第一の面（３１）の反対側の前記プラグ（３）の前記第二の面（３２）上の前記絶縁印刷回路基板（１５）の前記第二の面（１９）を支持し、前記キャップ（６）を閉じるガラス・金属フィードスルー（１）と、
   前記抵抗加熱部材（２１）に電気的に接続されている、前記２つの金属ピン（４、５）とを備えることを特徴とする、電子点火起動装置。
8. 請求項１−６のいずれか１項に記載の、ガラス・金属フィードスルーを製造する方法であって、
   前記ワッシャーのロウ付けされた予備成形物（７）は、その内側の直径において、前記第一のピン（４）を通すための貫通穴（７１）を備え、且つ、該ワッシャーのロウ付けされた予備成形物（７）の外側の直径が該ワッシャーのロウ付けされた予備成形物（７）と前記金属部（２）との間の初期接触を提供するように前記第一のピン（４）の周りに前記貫通穴（７１）を介してねじ込まれ、
   前記ガラスプラグ（３）は前記金属部（２）の中に封止され、前記ワッシャーのロウ付けされた予備成形物（７）は、単一のオーブン工程で前記第一のピン（４）を前記金属部（２）に直接ロウ付けするように溶かされることを特徴とする、ガラス・金属フィードスルーを製造する方法。

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