JP5141223B2 - 複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法 - Google Patents

複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法 Download PDF

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本発明は、複リンク式内燃機関の組立て方法に関し、特に、各気筒間の圧縮比のバラツキを低減するための組立て方法に関する。
内燃機関のピストンの往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換する主運動システムとして、例えば、ピストンとピストンピンを介して揺動可能に連結されたアッパリンクと、クランクシャフトのクランクピンに回転可能に支持され、一端がアッパリンクの下端と連結されたロアリンクと、上端がロアリンクの他端と連結ピンを介して連結されたコントロールリンクと、シリンダブロックにクランクシャフトと略平行に支持され、コントロールリンクの下端が連結されたコントロールシャフトと、を備える複リンク機構が知られている。
上記のような複リンク機構では、部品点数が多く、構造が複雑であるため、各リンクの寸法が製造公差内に収まっていても、組立て後に気筒間で機関圧縮比がばらつくおそれがある。多気筒内燃機関において、気筒間でこのようなバラツキがあると、燃焼圧力が不均一になりスムーズな運転ができなくなる。また、機関ごとに性能のばらつきが生じて、品質の安定が損なわれる。
そこで、リンクの一部に軸間距離の調整機構を設けて、組立て後に気筒間の機関圧縮比のばらつきを抑制するよう調整可能にした構成が特許文献1に開示されている。
特開2005−69027号公報
しかしながら、特許文献1のように調整機構を設けると、各リンクを組立ててからピストン上死点位置を測定し、測定結果に応じて調整機構を操作するという工程が必要となり、また、リンク機構の構成部品が複雑化するという問題がある。
そこで、本発明では、組立ての工数の増加や構成部品の複雑化を招かずに、気筒間の圧縮比のバラツキを低減することを目的とする。
本発明の複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法は、ピストンのピストンピンに連結されるアッパリンクと、このアッパリンクとクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアリンクと、一端が機関本体側へ揺動可能に支持され、他端が前記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、クランクシャフトと平行に配置されコントロールリンクを内燃機関本体に揺動可能に支持するコントロールシャフトと、を備える複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法において、各気筒ごとに使用する前記アッパリンク及び前記ロアリンクの組み合わせを気筒数分だけ選別する第1工程と、予め機関本体側の支持部中心から前記ロアリンクとの連結部中心までの軸間距離に応じて複数の等級に選別しておいた前記コントロールリンクの中から、全気筒の機関圧縮比が略同一となるように、前記選別されたアッパリンク及びロアリンクと組み合わせる前記コントロールリンクを各気筒ごとに決定する第2工程と、を有する。そして、第2工程では、ロアリンクのクランクピン軸受からコントロールピン軸受までの距離、クランクピン軸受からアッパピン軸受までの距離及びコントロールピン軸受からアッパピン軸受までの距離と、アッパリンクのアッパピン軸受からピストンピン軸受までの距離と、を計測し、これらの距離に基づいて、全気筒の機関圧縮比またはピストン上死点位置を略同一にするためのコントロールリンクの長さを演算し、使用するコントロールリンクを決定する。
本発明によれば、使用するコントロールリンクの長さによって圧縮比のバラツキを低減するので、アッパリンク、ロアリンク、コントロールリンクのそれぞれの寸法を揃えたり、調整機構を設ける場合に比べて、容易に、かつ調整のための工程を設けることなく、気筒間の圧縮比のバラツキを低減することができる。また、調整機構を必要としないので、構成部品が複雑化することもない。
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は第1実施形態による複リンク式内燃機関の一例を示す図である(シリンダヘッド部分は省略している)。
1はシリンダブロック、2はピストン、3はアッパリンク、4はロアリンク、5はコントロールリンク、6はクランクシャフト、7はコントロールシャフト、9、10、12は連結ピン、11はクランクピンである。
ピストン2は、アッパリンク3およびロアリンク4を介してクランクシャフト6に連結される。アッパリンク3はピストン2のピストンピン2aに一端が連結され、他端はアッパピン9を介してロアリンク4と連結されている。ロアリンク4は、中央をクランクシャフト6のクランクピン11に回転可能に締結され、クランクシャフト6とともに回転する。また、ロアリンク4のクランクピン11に対してアッパリンク3と反対側には、コントロールリンク5が連結ピン10を介して回転可能に締結され、コントロールリンク5は下方端部(大端部)でコントロールシャフト7に揺動自由に連結される。コントロールシャフト7の中心軸8とコントロールリンク5の大端部の中心とは偏心しており、コントロールシャフト7が回転することにより、大端部の中心が移動し、ロアリンク4の傾きが変わることによりアッパリンク3およびピストン2の上死点位置が変わる。コントロールシャフト7は、図示しないモータ付きアクチュエータにより回転させられる。
コントロールシャフト7を回転させることにより、コントロールリンク5の大端部中心がコントロールシャフト7の中心軸8に対して相対的に低くなる方向に移動すると、連結ピン10の位置も下がり、ロアリンク4はクランクピン11を中心としてアッパピン9の位置が相対的に上昇する方向に傾き、ピストン2が上昇して圧縮比が高まる。
逆に、コントロールリンク5の大端部中心がコントロールシャフト7の中心軸8に対して相対的に高くなる方向に移動すると、連結ピン10の位置も上がり、ロアリンク4はクランクピン11を中心としてアッパピン9の位置が相対的に低くなる方向に傾き、ピストン2が下降して機関圧縮比が低くなる。
上記のような構成の複リンク式内燃機関において、例えばエンジンが高負荷運転領域では、エンジン回転数によらずノッキング防止のために低圧縮比状態に設定し、ノッキング発生のおそれが低い低中負荷運転領域では、出力の向上を図るために高圧縮比状態に設定することとすれば、機関運転状態に応じて圧縮比を可変に制御し得る可変圧縮比機構となる。
次に、上記のような構成の複リンク機構の組立て工程について説明する。図2は、複リンク機構を模式的に示した図であり、L1はクランクシャフト6の回転軸(メインジャーナルの中心)からクランクピン軸受部22の中心22aまでの距離(いわゆるクランクスロー)、L2はロアリンク4のクランクピン軸受部22の中心22aとコントロールピン軸受部23の中心23aとの軸間距離、L3はコントロールリンク5のコントロールピン軸受部23の中心23aと大端部24の中心24aとの距離(コントロールリンク5の軸間距離)、L4はロアリンク4のクランクピン軸受部22の中心22aとアッパピン軸受部21の中心21aとの軸間距離、L5はロアリンク4のアッパピン軸受部21の中心21aとコントロールピン軸受部23の中心23aとの軸間距離、L6はアッパリンク3のピストンピン軸受部20の中心20aとアッパピン軸受部21の中心21aとの距離(アッパリンク3の軸間距離)である。また、クランクシャフト6のメインジャーナルの中心を基準として、クランクピン軸受部22の中心22aの座標を(x1、y1)、コントロールピン軸受部23の中心23aの座標を(x2、y2)、アッパピン軸受部21の中心21aの座標を(x3、y3)、ピストンピン軸受部20の中心20aの座標を(x4、y4)、コントロールリンク5の大端部24の中心24aの座標を(xc、yc)、コントロールシャフト7のメインジャーナル中心25aの座標を(xcs、ycs)とする。
コントロールリンク5は、コントロールピン軸受部23及び大端部24の加工等の製造工程が終了したら、軸間距離L3を計測して、この計測値に応じて複数のグレードに選別し、グレード毎に管理しておく。グレードは、例えば基準寸法をLsとしたときに、Ls±0.25mmの範囲内のものはAグレード、Ls+0.5mm±0.25mmの範囲内のものはBグレード・・・というように、5段階程度に分ける。
組立てを開始する際には、まずエンジン一基に使用するシリンダブロック1、クランクシャフト6、コントロールシャフト7を決定する。ここでは、各部品の生産工程から完成品として出荷されてきたものを、特別な検査や選別をすることなく組み合わせて1セットとする。
また、特別な検査や選別をすることなくアッパリンク3とロアリンク4とを選んで1セットとし、当該セットをいずれのエンジンのいずれの気筒に使用するかを決定する(第1工程)。
すなわち、第1工程が終了した段階では、当該エンジン個体に使用するシリンダブロック1、クランクシャフト6、コントロールシャフト7及び各気筒に使用するアッパリンク3とロアリンク4のセットが決まっている。
そして、これらのセットを決定したら、上記L1、L2、L4、L5、L6、(xc、yc)及び座標(x4、y4)のx4を計測する。
次に、各気筒のアッパリンク3とロアリンク4のセットに組み合わせるコントロールリンク5を、以下の手順に従って各気筒ごとに決定する(第2工程)。
(第1段階)ピストン2が上死点に位置するときのクランク角度は設計段階で既知であるため、計測した軸間距離L1から座標(x1、y1)を算出する。
(第2段階)コントロールリンク5の軸間距離L3をいずれかのグレードの中心値に仮定する。そして、算出した座標(x1、y1)、計測した座標(xc、yc)、軸間距離L2、及び仮定した軸間距離L3から、座標(x2、y2)を算出する。具体的には、座標(xc、yc)を中心とする半径L3の円と座標(x1、y1)を中心とする半径L2の円との交点を求めることができる。
(第3段階)算出された座標(x1、y1)、(x2、y2)と、計測した軸間距離L4、L5から、座標(x3、y3)を算出する。具体的には、座標(x2、y2)を中心とする半径L5の円と、座標(x1、y1)を中心とする半径L4の円との交点として求めることができる。
(第4段階)算出された座標(x3、y3)と、計測したx4、軸間距離L6から、座標(x4、y4)のy4、つまり上死点時のピストンピン2aの高さを算出する。具体的には、座標(x3、y3)を中心とする半径L6の円と直線x=x4との交点として求めることができる。
上記(第1段階)〜(第4段階)を、予め設定したコントロールリンク5のグレードの数だけ繰り返し行うことにより、グレードごとの上死点時におけるピストンピン2aの高さが求まる。
(第5段階)第4段階での算出結果に基づいて、各気筒ごとに上死点時におけるピストンピン2aの高さy4を設計値に最も近づけるのに必要なコントロールリンク5の長さを算出し、これに該当するグレードを求める。そして、当該グレードに選別されているコントロールリンク5の一群の中から、一本のコントロールリンク5を抜き出して、当該エンジン個体の当該気筒用のコントロールリンク5として決定する。
このようにして各セットに使用するコントロールリンク5を決定したら、以後の工程ではコントロールリンク5を含めて1セットとして管理し、組立てを行う。
このようにして各気筒ごとに使用するコントロールリンク5を決定することにより、各気筒のピストンピン2aの上死点位置のバラツキが低減されので、結果として各気筒の機関圧縮比のバラツキを低減することができる。
このように、使用するコントロールリンク5の寸法を適切に決定することにより気筒間の圧縮比のバラツキを低減する方法によれば、圧縮比のバラツキを低減するためにアッパリンク3、ロアリンク4、コントロールリンク5のそれぞれの寸法を揃える方法に比べて、容易に気筒間の圧縮比のバラツキを低減することができ、また、部品管理も容易になる。
また、複リンク機構は、その構成上、ロアリンク4の3つの軸間距離L2、L4、L5及びアッパリンク3の軸間距離L6のバラツキが、コントロールリンク5の軸間距離L3のバラツキに比べて、機関圧縮比のバラツキに大きく寄与する。換言すると、コントロールリンク5の軸間距離L3を変化させた場合、軸間距離L3の変化量に対して機関圧縮比の変化量は小さくなる。したがって、気筒間の高さy4のバラツキが小さい場合でも、各気筒に使用すべきコントロールリンク5の長さのバラツキは大きくなる。そのため、使用するコントロールリンク5の決定が容易になる。
特に、図2に示すように軸間距離L2と軸間距離L4がL2>L4という関係にある場合には、L2≦L4の場合と比べて、ピストン上死点位置の変化量の、軸間距離L3の変化量に対する感度がより低くなるので、使用するコントロールリンク5の決定がより容易になる。
ところで、(第5段階)で使用する上死点時におけるピストンピン2aの高さの設計値を、ピストン2の寸法に応じて補正することで、より精密に気筒間の圧縮比のバラツキを低減することができる。例えば、各気筒ごとのアッパリンク3及びロアリンク4のセットにピストン2も含めることとし、ピストン2のコンプレッションハイト及び冠面容積を測定する。そして、ピストン2の設計基準値に対してコンプレッションハイトが長い場合や冠面容積が大きい場合、つまりピストン2の寸法が圧縮比が高くなる方向にずれている場合には、上死点時におけるピストンピン2aの高さの設計値を低くするように補正する。
これにより、軸間距離L3が長いコントロールリンク5が選ばれることとなり、上死点時におけるピストンピン2aの位置は低くなるが、結果として圧縮比は設計値に近づく。
また、圧縮比が設計値からずれる要因としては、コンプレッションハイトや冠面容積の他に、シリンダヘッド側の燃焼室形状・容積誤差、使用するヘッドガスケットの厚さの誤差、吸排気バルブの形状・容積誤差、点火プラグの突き出し量・容積誤差等がある。そこで、使用するコントロールリンク5を決定する際に、これらの誤差に応じて上記と同様に補正を行ってもよい。なお、コンプレッションハイトとは、ピストンピン2aの中心からピストン冠面の所定の基準平面までの高さのことをいう。また、冠面容積とは、ピストン冠面に設けた基準平面に対してへこんでいる部分の容積と突出している部分の容積との差のことをいう。
以上により本実施形態では、次のような効果を得ることができる。
(1)複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法において、各気筒ごとに使用するアッパリンク3及びロアリンク4の組み合わせを気筒数分だけ選別する工程と、予め大端部24の中心からコントロールピン軸受部23の中心までの軸間距離L3に応じて複数の等級に選別しておいたコントロールリンク5の中から、全気筒の機関圧縮比が略同一となるように、先に選別されたアッパリンク3及びロアリンク4と組み合わせるコントロールリンク5を各気筒ごとに決定する工程、を有するので、アッパリンク3及びロアリンク4等の各部品の寸法を管理するよりも、容易に気筒間の圧縮比のバラツキを低減することができる。
(2)ロアリンク4のクランクピン軸受部22からコントロールピン軸受部23までの軸間距離L2、クランクピン軸受部22からアッパピン軸受部21までの軸間距離L4及びコントロールピン軸受部23からアッパピン軸受部21までの軸間距離L5と、アッパリンク3のアッパピン軸受部21からピストンピン軸受部20までの軸間距離L6と、を計測し、これらの距離に基づいて、全気筒の機関圧縮比またはピストン上死点位置を略同一にするためのコントロールリンク5の長さを演算し、使用するコントロールリンク5を決定するので、機関に組み込む前に各気筒ごとの部品の選別が完了する。そのため、機関に各リンク3、4、5を組み込んだ後に上死点時におけるピストン位置を計測し、計測結果に応じて部品交換等により調整を行う、という工程を設ける場合に比べて、工数が減少し、生産性が向上する。
(3)各気筒ごとに使用するピストン2のコンプレッションハイト及び冠面容積を計測し、この計測結果に基づいて、使用するコントロールリンク5の長さを補正するので、ピストン2の製造誤差に起因する圧縮比のバラツキも低減することができる。
(4)軸間距離L2と軸間距離L4との間に、L2>L4という関係が成立するので、気筒間の圧縮比のバラツキに対してコントロールリンク5の軸間距離L3のバラツキがおおきくなり、その結果、使用するコントロールリンク5の決定が容易になる。
第2実施形態について説明する。
本実施形態を適用する複リンク機構は第1実施形態と同様であるが、コントロールリンク5の決定方法が異なる。
図3は本実施形態で使用する検査治具30の概略図である。検査治具30は、定盤31と、この定盤31から突出する2本のロケートピン32、33からなる。ロケートピン32は、アッパリンク3のピストンピン軸受部20の内径と略同一径であり、ロケートピン33は、ロアリンク4のクランクピン軸受部22の内径と略同一径である。そして、ロケートピン32とロケートピン33の位置関係は、ピストンピン2aとクランクピン11の、設計上の上死点時における位置関係と略同一である。
第1実施形態と同様に、気筒毎のセットとして決定したアッパリンク3とロアリンク4を、アッパピン9を介して連結し、ロケートピン32がピストンピン軸受部20に、ロケートピン33がクランクピン軸受部22に、それぞれ挿入されるようにして検査治具30にセットする。これで、アッパリンク3とロアリンク4の連結体の姿勢は、内燃機関の上死点時における姿勢と一致した状態で固定される。
この状態で、ロアリンク4のコントロールピン軸受部23の中心23aと仮想点26との距離Liを計測する。具体的には、連結体を検査治具30にセットした状態で、大端部24の中心位置24aを計測し、この中心位置24aと仮想点26との距離を算出する。なお、仮想点26は、各部品が設計基準値であると仮定した場合の、上死点時におけるコントロールリンク5の揺動軸中心、つまり大端部24の中心位置である。
このように計測または算出した距離Liに近い長さに該当するグレードを求め、予めグレード別に選別しておいたコントロールリンク5の一群の中から1本のコントロールリンク5を抜き出して、検査治具30にセットしたアッパリンク3とロアリンク4の連結体と1セットとする。このアッパリンク3、ロアリンク4、コントロールリンク5の1セットを、そのまま内燃機関の同一気筒に組み込む。なお、後に内燃機関を分解整備することがあっても、この1セットはそのまま維持する必要があるので、コントロールリンク5を決定した時点で、同一セットであることがわかるようにマーキングを施しておく。
各気筒のアッパリンク3とロアリンク4のセットについて、上記の方法によりコントロールリンク5を決定する。
ところで、上述した組立て方法では、クランクシャフト6のメインジャーナル中心とクランクピン11の中心軸との軸間距離を計測せずに、各気筒毎のアッパリンク3及びロアリンク4のセットを決定しているが、より精密に気筒間の圧縮比のバラツキを低減する場合には、当該軸間距離に応じた補正を行うようにしてもよい。例えば、予め当該軸間距離を計測しておき、設計基準値に対して軸間距離が長い場合には、計測した距離Liを長くするように補正したり、大端部24の中心位置24aを補正した上で仮想点26との距離Liを算出する等の方法がある。また、当該軸間距離を計測した上で、その気筒に使用するアッパリンク3とロアリンク4のセットを決定するように管理することによっても、気筒間の圧縮比のバラツキを低減することができる。
以上により本実施形態では、第1実施形態と同様の効果に加えて、次のような効果を得ることができる。
(1)ロアリンク4とアッパリンク3とをアッパピン9を介して連結し、このアッパリンク3とロアリンク4との連結体をピストンピン2aとクランクピン11の位置を規制する検査治具30に仮組みし、この状態でコントロールピン軸受部中心23aと、設計値に基づくコントロールシャフト7の揺動軸中心24aとの距離を計測し、この距離と略同一の長さを有するコントロールリンク5を使用するので、計測する軸間距離はL3のみとなり、計測のための工数を低減することができる。
(2)各気筒ごとにクランクシャフト6のメインジャーナル中心26aからクランクピン中心22aまでの距離を計測し、この計測結果に基づいて、使用するコントロールリンク5の長さを補正するので、クランクシャフト6の製造誤差に起因する圧縮比のバラツキも低減することができる。
(3)各気筒ごとにコントロールシャフト7のメインジャーナル中心25aからコントロールリンク5の揺動軸中心24aまでの距離を計測し、この計測結果に基づいて、使用するコントロールリンク5の長さを補正するので、コントロールシャフト7の製造誤差に起因する圧縮比のバラツキも低減することができる。
第3実施形態について説明する。
本実施形態は、複リンク機構の構成及び組立て方法は第1実施形態または第2実施形態と同様であるが、アッパリンク3、ロアリンク4及びコントロールリンク5の加工精度について規定する点が異なる。
前述したように、複リンク機構では、その構成上、ロアリンク4の3つの軸間距離L2、L4、L5及びアッパリンク3の軸間距離L6のバラツキが、コントロールリンク5の軸間距離L3のバラツキに比べて、機関圧縮比のバラツキに大きく寄与する。
そこで、アッパリンク3の軸間距離L6、ロアリンク4の軸間距離L2、L4、L5のバラツキの分散と、コントロールリンク5の軸間距離L3のバラツキの分散を比較したときに、軸間距離L3のバラツキの分散の方が大きくなるようにアッパリンク3、ロアリンク4、及びコントロールリンク5を生産する。例えば、アッパリンク3及びロアリンク4の軸受部20〜23の穴あけ加工は、より高精度な工法や工作機械により行うことで加工精度を高め、コントロールリンク5の軸受部23及び大端部24の穴あけ加工は、それよりも精度の低い工法、工作機械により行う。
アッパリンク3及びロアリンク4の加工精度を高めても、それぞれ公差範囲内のずれがある。そして、第1または第2実施形態と同様の組立て方法では、無作為に選ばれたアッパリンク3及びロアリンク4をセットにするので、各リンク3、4それぞれのずれが無作為に組み合わされることとなる。そのため、気筒間の圧縮比のバラツキを低減するためには、第1または第2実施形態と同様にコントロールリンク5のグレードを数種類用意する必要がある。
したがって、コントロールリンク5の加工精度をアッパリンク3及びロアリンク4のそれよりも低くし、軸間距離L3のバラツキが大きくなってもかまわない。また、加工精度を低くすることでコントロールリンク5の加工費を低減することができる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
第1実施形態による複リンク機構の概略構成図である。 複リンク機構を模式的に表した図である。 検査治具の一例を示す図である。
符号の説明
1 シリンダブロック
2 ピストン
3 アッパリンク
4 ロアリンク
5 コントロールリンク
6 クランクシャフト
7 コントロールシャフト
20 ピストンピン軸受部
21 アッパピン軸受部
22 クランクピン軸受部
23 コントロールピン軸受部
24 大端部
30 検査治具
31 定盤
32 ロケートピン
33 ロケートピン

Claims (9)

  1. ピストンのピストンピンに連結されるアッパリンクと、
    このアッパリンクとクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアリンクと、
    一端が機関本体側へ揺動可能に支持され、他端が前記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、
    クランクシャフトと平行に配置されコントロールリンクを内燃機関本体に揺動可能に支持するコントロールシャフトと、を備える複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法において、
    各気筒ごとに使用する前記アッパリンク及び前記ロアリンクの組み合わせを気筒数分だけ選別する第1工程と、
    予め機関本体側の支持部中心から前記ロアリンクとの連結部中心までの軸間距離に応じて複数の等級に選別しておいた前記コントロールリンクの中から、全気筒の機関圧縮比が略同一となるように、前記選別されたアッパリンク及びロアリンクと組み合わせる前記コントロールリンクを各気筒ごとに決定する第2工程と、を有し、
    前記第2工程では、
    前記ロアリンクのクランクピン軸受からコントロールピン軸受までの距離、クランクピン軸受からアッパピン軸受までの距離及びコントロールピン軸受からアッパピン軸受までの距離と、
    前記アッパリンクのアッパピン軸受からピストンピン軸受までの距離と、
    を計測し、
    これらの距離に基づいて、全気筒の機関圧縮比またはピストン上死点位置を略同一にするための前記コントロールリンクの長さを演算し、使用する前記コントロールリンクを決定することを特徴とする複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法。
  2. ピストンのピストンピンに連結されるアッパリンクと、
    このアッパリンクとクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアリンクと、
    一端が機関本体側へ揺動可能に支持され、他端が前記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、
    クランクシャフトと平行に配置されコントロールリンクを内燃機関本体に揺動可能に支持するコントロールシャフトと、を備える複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法において、
    各気筒ごとに使用する前記アッパリンク及び前記ロアリンクの組み合わせを気筒数分だけ選別する第1工程と、
    予め機関本体側の支持部中心から前記ロアリンクとの連結部中心までの軸間距離に応じて複数の等級に選別しておいた前記コントロールリンクの中から、全気筒の機関圧縮比が略同一となるように、前記選別されたアッパリンク及びロアリンクと組み合わせる前記コントロールリンクを各気筒ごとに決定する第2工程と、を有し、
    前記第2工程では、
    前記ロアリンクと前記アッパリンクとをアッパピンを介して連結し、
    このアッパリンクとロアリンクとの連結体をピストンピンとクランクピンの位置を規制する治具に仮組みし、
    前記治具に仮組みした状態で前記ロアリンクのコントロールピン軸受部中心の位置を計測し、
    計測した前記コントロールピン軸受部中心の位置に応じて、使用する前記コントロールリンクを決定することを特徴とする複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法。
  3. 前記ロアリンクと前記アッパリンクとをアッパピンを介して連結し、
    このアッパリンクとロアリンクとの連結体をピストンピンとクランクピンの位置を規制する治具に仮組みし、
    前記治具に仮組みした前記連結体のコントロールピン軸受部中心と、設計値に基づく前記コントロールシャフトの揺動軸中心との距離を計測し、
    この距離と略同一の長さを有する前記コントロールリンクを使用する請求項1または2に記載の複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法。
  4. 各気筒ごとに使用するピストンのコンプレッションハイト及び冠面容積を計測し、前記第2工程では、この計測結果に基づいて、使用する前記コントロールリンクの長さを補正することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法。
  5. 各気筒ごとにクランクシャフトのメインジャーナル中心からクランクピン中心までの距離を計測し、第2工程では、この計測結果に基づいて、使用する前記コントロールリンクの長さを補正することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法。
  6. 各気筒ごとにコントロールシャフトのメインジャーナル中心から前記コントロールリンクの揺動軸中心までの距離を計測し、第2工程では、この計測結果に基づいて、使用する前記コントロールリンクの長さを補正することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法。
  7. 前記アッパリンク、前記ロアリンク及び前記コントロールリンクは、
    前記アッパリンクのピストンピン軸受部とアッパピン軸受部との軸間距離、前記ロアリンクのアッパピン軸受部とコントロールピン軸受部との軸間距離、前記ロアリンクのクランクピン軸受部とコントロールピン軸受部との軸間距離、及び前記ロアリンクのクランクピン軸受部とアッパピン軸受部との軸間距離のバラツキの分散と比較して、前記コントロールリンクのコントロールピン軸受部と前記コントロールシャフト側の軸受部との軸間距離のバラツキの分散の方が大きくなるように生産したものであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法。
  8. 前記コントロールリンクを、コントロールピン軸受部と前記コントロールシャフト側の軸受部との軸間距離に応じて複数のグレードに選別し、グレードごとに管理することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法。
  9. 前記ロアリンクのクランクピン軸受部とコントロールピン軸受部との軸間距離L2と、前記ロアリンクのクランクピン軸受部とアッパピン軸受部との軸間距離L4との間に、L2>L4という関係が成立することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の複リンク式多気筒内燃機関の組立て方法。
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