JP5141154B2 - [1]ベンゾカルコゲノ[3,2−b][1]ベンゾカルコゲノフェン骨格を有する化合物およびこれを用いた有機トランジスタ - Google Patents

[1]ベンゾカルコゲノ[3,2−b][1]ベンゾカルコゲノフェン骨格を有する化合物およびこれを用いた有機トランジスタ Download PDF

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本発明は、[1]ベンゾカルコゲノ[3,2−b][1]ベンゾカルコゲノフェン骨格を有する化合物に関する。さらに本発明は、前記化合物を用いた薄膜、有機半導体および有機トランジスタに関する。
従来より、半導体デバイスに用いられてきた無機半導体材料のシリコンは、その薄膜形成において、高温プロセスと高真空プロセスが必須である。高温プロセスを要することから、シリコンをプラスチック基板上等に薄膜形成することができないため、半導体デバイスを組み込んだ製品に対して、可とう性を付与したり、軽量化を達成することができない。また、高真空プロセスを要することから半導体デバイスを組み込んだ製品の大面積化と低コスト化が困難である。そこで、近年、有機半導体材料を用いた有機半導体デバイスに関する研究が活発に行われている。有機半導体デバイスとしては、具体的には、有機薄膜トランジスタ、有機薄膜光電変換デバイス、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス等が挙げられる。これら有機半導体材料は、無機半導体材料と比べて、作製プロセス温度を著しく低減できるため、プラスチック基板上等に形成することが可能となる。さらに、溶媒への溶解性が大きく、かつ、良好な成膜性を有する有機半導体材料に対しては、高真空プロセスを要さない、塗布法、例えば、インクジェット装置等を用いて薄膜形成することができるため、大面積化と低コスト化とが可能となる。
このように、有機半導体材料は、無機半導体材料と比べて、大面積化、可とう性、軽量化、低コスト化等の点で有利であるため、これらの特性を生かした有機半導体製品への応用が盛んに行われている。例えば、情報タグ、電子人工皮膚シートやシート型スキャナー等の大面積センサー、液晶ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ(電子ペーパー)および有機ELパネル等のディスプレイなどへの応用である。
有機半導体材料を用いた有機薄膜トランジスタに要求される主な素子特性は、以下の通りである。
(1)オンオフ比が大きく、オフ電流が小さい。
(2)閾値電圧が低い。
(3)遮断周波数が高い。
(4)有機薄膜トランジスタの特性のバラツキが小さい。
(5)大気下で安定に動作し経時的劣化が小さい。
これらの素子特性を満足するために、有機半導体材料に要求される特性は、以下の通りである。
(i)電界効果移動度(μ)が高い。
(ii)薄膜形成プロセスが容易であり、かつ、成膜性が優れている。
(iii)酸素および水分に対して耐性があり大気下で安定である。
特に、(i)の電界効果移動度(μ)が高いことが大前提となる。この観点から、近年、アモルファスシリコンに匹敵する電界効果移動度を有する有機半導体材料が次々に報告されている。(ii)に関しては、薄膜形成プロセスとして、真空蒸着法と塗布法がある。薄膜形成プロセスの容易さという観点から、真空蒸着法を用いた場合は、高温より室温で蒸着できる方が好ましい。また、塗布法を利用できる場合は、真空蒸着法より、さらに好ましい。成膜性に優れているということは、前記薄膜形成プロセスにおいて、ソース・ドレイン電極およびゲート絶縁膜との密着性が良好であり、均一かつ連続的な薄膜を形成できることを意味している。
報告されている有機半導体材料は、低分子系(オリゴマーも含む)と高分子系に大別される。低分子系有機半導体材料としては、例えば、ペンタセンを用いた有機FET(Field Effect Transistor:電界効果型トランジスタ)が作製されており、高い移動度が報告されている(非特許文献1参照)。しかしながら、有機半導体層のペンタセンは、酸素に対する親和性が高いため、大気中で安定に動作できないという問題がある。また、ペンタセン薄膜の形成方法は、塗布を利用した形成方法も提案されているが、FET素子特性においてバラツキの少ない安定した素子を得るためには、高真空プロセスである真空蒸着を利用した方法が必須である。塗布を利用した形成方法は、例えば、トリクロロベンゼンの希薄溶液中でペンタセン結晶を形成させる方法(特許文献1参照)があるが、製造方法が難しいことに加えて、バラツキの少ない安定な素子を得るのは困難である。FET素子特性の低下およびバラツキは結晶粒界に起因している。
そこで、この結晶粒界の影響がなく、かつ有機溶媒に可溶な低分系有機半導体材料として、液晶性を利用した液晶有機半導体が提案されている(非特許文献2参照)。液晶有機半導体は、公知の方法を利用した配向制御によって移動度を高くすることができる。しかしながら、その移動度の値は低く、不十分である。また、一般的に、液晶有機半導体は液晶相を示す温度範囲が室温より高いため、室温下では結晶状態となる。そのため、液晶相を示す温度範囲では安定なキャリア輸送性を示すものの、室温では結晶粒界の影響で安定なキャリア輸送性を示さない(非特許文献3参照)。高分子系有機半導体材料を利用した有機トランジスタとしては、例えば、ポリチオフェンを用いた有機FETが開示されている(特許文献2参照)。前記有機FETは、溶液塗布で容易に薄膜形成できるという点で成膜性に優れているものの、移動度およびオンオフ比が低く、かつ、大気中での素子の劣化が大きく、十分なFET特性を得るには至っていない。
FET素子特性の高移動度という観点からは、一般的に、低分子系の有機半導体材料の方が、高分子系の有機半導体材料より、分子間のパッキングが密であり、分子軌道間の重なりを大きくすることができるため有利である。一方、FET素子の作製プロセスの成膜性という観点からは、一般的に、高分子系の有機半導体材料の方が、低分子系の有機半導体材料より、溶媒への溶解性が良好であり、結晶粒界に起因するFET素子のバラツキの影響を受けないため有利となる。このように、有機半導体材料は低分子系と高分子系を含めて多くの開発がなされているものの、未だ種々の特性を十分に満足する有機半導体材料の開発には至っていない。
Yen−Yi Lin.,IEEE Transaction on Electron Device,Vol.44,No8 p.1325(1997) M.Funahashi and J.Hanna,Jpn.J.Appl.Phys.,(1999)38,L132−135 M.Funahashi,Appl.Phys.Lett.,Vol.73,No.25(1998)3733 特開2005−281180号公報 特開昭63−076378号公報
本発明は、ボトムコンタクト型とトップコンタクト型の両方のFET素子構成において、高い移動度と低い閾値電圧とを有し、大気中で安定に動作する有機半導体化合物および有機FET素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、[1]ベンゾカルコゲノ[3,2−b][1]ベンゾカルコゲノフェン骨格に、カルコゲノフェン環を導入することによって、ソースおよびドレイン電極と良好な密着性を有する薄膜を容易に形成できるようになり、キャリアの注入を改善することによって、上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成である。
[1] 下記式(I)で表される化合物。
Figure 0005141154
(式(I)中、XおよびXは、ぞれぞれ独立に、カルコゲン原子であり;
〜Rは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、シアノ、または炭素数1〜30のアルキルであり、該炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−C
H=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の炭素は、Siに置き換えられてもよく;
mは0または1であり;
およびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1〜30のアルキル、式(A)で表される基、または式(B)で表される基であり、該炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2
は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の炭素は、Siに置き換えられてもよく;
Figure 0005141154
Figure 0005141154
該式(A)で表される基または式(B)で表される基において、−Z1−および−Z2−は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−C≡C−であり;
〜R10は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、シアノ、または炭素数1〜30のアルキルであり、該炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−
CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の炭素は、Siに置き換えられてもよく;
はカルコゲン原子である。)。
[2] 前記式(I)で表される化合物において、X、XおよびXが硫黄であり、かつ、mが1である前記[1]項記載の化合物。
[3] 前記式(I)で表される化合物が、下記式(I−1)で表されることを特徴とする前記[2]項記載の化合物。
Figure 0005141154
(式(I−1)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、
−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい)。
[4] 前記式(I)で表される化合物が、下記式(I−2)で表されることを特徴とする前記[2]項記載の化合物。
Figure 0005141154
(式(I−2)中、R15〜R20は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、
−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;
−Z−および−Z−は、それぞれ独立に、単結合、−CO−、または−C≡C−である。)。
[5] 前記式(I−1)で表される化合物において、R11およびR13が、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−
C≡C−で置き換えられてもよく、R12およびR14が水素である、前記[3]項記載の化合物。
[6] 前記式(I−1)で表される化合物において、R11〜R14は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡
C−で置き換えられてもよい、前記[3]項記載の化合物。
[7] 前記式(I−2)で表される化合物において、−Z−および−Z−が−CO−であり、R15〜R20が、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、
−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい、前記[4]項記載の化合物。
[8] 前記[1]〜[7]のいずれか1項記載の化合物から形成される薄膜。
[9] 前記[8]項記載の薄膜からなる有機半導体。
[10] 前記[9]項記載の有機半導体を用いる有機トランジスタ。
本発明の、[1]ベンゾカルコゲノ[3,2−b][1]ベンゾカルコゲノフェン骨格にカルコゲノフェン環を導入した化合物は、国際公開WO2006/077888号パンフレッ
トで具体的に開示されている[1]ベンゾカルコゲノ[3,2−b][1]ベンゾカルコゲノフェン骨格と1,4−フェニレン環とを必須とする化合物に比べて、電極との密着性を改善できるため、ボトムコンタクト型とトップコンタクト型の両方のFET素子構成において、高い大気安定性を保持しながら、FET素子特性を更に改善することができる。
次に、本発明について具体的に説明する。
本発明の化合物は、[1]ベンゾカルコゲノ[3,2−b][1]ベンゾカルコゲノフェン骨格とカルコゲノフェン環を必須とする化合物であり、下記式(I)で表される構造を有する。
Figure 0005141154
式(I)中、XおよびXは、それぞれ独立に、カルコゲン原子であり;
〜Rは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、シアノ、または炭素数1〜30のアルキルであり、該炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−C
H=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。ただし、置き換えられることで、−O−O−、−O−S−、−S−O−、−S−S−S−、−COO−OOC−、−OCO−OCO−、−COOO−、−OOOC−となる場合には、化合物の安定性が損なわれるので、好ましくない。つまり炭素数2のアルキルについては、その−CH2−を上記−O−等で置き換えることができ、炭素数3以上のアルキルについては、任意の−CH2−を、その−CH2−に隣接する−CH2−が上記−O−等で置き換えられない限り、上記−O−等で置き換えることが好ましい。また任意の炭素は、Siに置き換えられてもよい。
およびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1〜30のアルキル、式(A)で表される基または式(B)で表される基であり、該炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は
、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく(ただし、置き換えられることで、−O−O−、−O−S−、−S−O−、−S−S−S−、−COO−OOC−、−OCO−OCO−、−COOO−、−OOOC−となる場合には、化合物の安定性が損なわれるので、好ましくない。)、任意の炭素は、Siに置き換えられてもよく;
Figure 0005141154
Figure 0005141154
該式(A)で表される基または式(B)で表される基において、−Z1−および−Z2−は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−C≡C−である。
〜R10は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1〜30のアルキルであり、該炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=
CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく(ただし、置き換えられることで、−O−O−、−O−S−、−S−O−、−S−S−S−、−COO−OOC−、−OCO−OCO−、−COOO−、−OOOC−となる場合には、化合物の安定性が損なわれるので、好ましくない。)、任意の炭素は、Siに置き換えられてもよい。
はカルコゲン原子である。mは0または1である。ここでいう、任意の炭素とは、炭素数1〜30のアルキル、該アルキル上の水素がハロゲンで置き換えられたアルキル、該アルキル上の隣接しない任意の−CH2−が、−O−、−S−、−COO−、−OCO
−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられたアルキルの炭素をいう。
本発明の薄膜は、上記化合物を用いることを特徴としており、本発明の有機半導体は、該薄膜を用いることを特徴とし、さらに本発明の有機トランジスタは、該有機半導体を用いることを特徴としている。
式(I)中、X、XおよびXは、それぞれ独立に、カルコゲン原子である。高い移動度および合成のし易さの観点から、好ましいX、XおよびXは硫黄またはセレンである。特に好ましいX、XおよびXは硫黄である。
好ましいR〜Rは、有機半導体薄膜の形成プロセスによって異なる。
有機半導体薄膜の形成プロセスとして、塗布法を選択した場合、溶媒への高い溶解性の観点から、好ましいR〜Rの組み合わせは、R〜Rの少なくとも一つが、炭素数1〜30のアルキルであり、その他は水素である。前記アルキルにおいて、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=
CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。更に好ましいR〜Rの組み合わせは、RおよびRが、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキルであり、RおよびRが水素であるか、または、RおよびRが、水素であり、RおよびRが、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキルである。前記アルキルにおいて、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=
CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。特に好ましいR〜Rの組み合わせは、RおよびRが、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキルであり、RおよびRが水素である。前記アルキルにおいて、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2
−は、−O−で置き換えられてもよい。一方、有機半導体薄膜の形成プロセスとして、真空蒸着法を選択した場合、高い移動度の観点から、好ましいR〜Rは水素である。ただし、YおよびYが、上記式(A)または上記式(B)で表される基である場合は、上記両有機半導体薄膜の形成プロセスにおいて、好ましいR〜Rは水素である。
好ましいYおよびYは、高い移動度、高い大気安定性および良好な成膜性の観点から、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル、前記式(A)で表される構造を有する基、または前記式(B)で表される構造を有する基である。前記炭素数1〜30のアルキ
ルにおいて、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO
−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。更に好ましいYおよびYは、炭素数1〜30のアルキル、または前記式(A)で表される構造を有する基である。前記炭素数1〜30のアルキルにおいて、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2−は、−O−で置き換えられてもよい。
〜R、YおよびYが炭素数1〜30のアルキルである場合は、高い移動度の観点から、炭素数1〜20のアルキルが好ましい。炭素数1〜16がさらに好ましい。
好ましい-Z1-および-Z2-は、高い移動度、高い安定性および良好な成膜性の観点から、単結合または−CO−である。更に好ましい-Z1-および-Z2-は、−CO−である。
好ましいR〜Rは、良好な成膜性および高い移動度の観点から、R〜Rのうちの少なくとも1つが、炭素数1〜30のアルキルであり、その他は水素である。この炭素数1〜30のアルキルにおいて、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2−は、−O−
、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。更に好ましいR〜Rは、炭素数1〜30のアルキルである。この炭素数1〜30のアルキルにおいて、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2−は、−O−で置
き換えられてもよい。
好ましいR〜R10の組み合わせは、良好な成膜性および高い移動度の観点から、Rが炭素数1〜30のアルキルであり、RおよびR10が、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜30のアルキルである。この炭素数1〜30のアルキルにおいて、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−
CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。更に好ましいR〜R10の組み合わせは、Rが炭素数1〜30のアルキルであり、RおよびR10が、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜30のアルキルである。これら炭素数1〜30のアルキルにおいて、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2−は、−O−で置き換えられても
よい。
〜R10が炭素数1〜30のアルキルである場合は、高い移動度の観点から、炭素数1〜20のアルキルが好ましい。炭素数1〜16がさらに好ましい。また、好ましいmは、高い移動度および合成の容易さの観点から、m=1である。
薄膜形成プロセスに重点を置いた場合、つまり、塗布成膜が可能であるためには、溶媒への溶解性が良好であることが必須となる。また、この溶媒への良好な溶解性に加えて、伝導チャネルにおける分子の配向性および結晶粒界の影響の低減を考慮すると、液晶相を有する方がさらに好ましい。
前記式(I)として、より具体的には、例えば、式(I−a)〜(I−r)、式(I−1−1)、式(I−1−2)、式(I−2−1)、式(I−2−2)、式(I−2−3)、および式(I−2−4)が挙げられる。これらの中でも、高い移動度、良好な成膜性、および合成の容易さの観点から、式(I−1−1)、式(I−1−2)、式(I−2−1)、式(I−2−2)、式(I−2−3)、式(I−2−4)が好ましい。特に好ましい化合物は、式(I−1−1)である。
Figure 0005141154
Figure 0005141154
Figure 0005141154
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Figure 0005141154
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Figure 0005141154
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Figure 0005141154
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Figure 0005141154
Figure 0005141154
Figure 0005141154
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ここで、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜30のアルキルである。この炭素数1〜30において、上記と同様に、隣接しない任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、また
は−C≡C−で置き換えられてもよい。
<本発明の化合物の合成法>
例えば、既知の方法で2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノフェノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェンを合成し、窒素雰囲気下、2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノフェノ[3,
2−b][1]ベンゾチオフェン、アルキル−チオフェンボロン酸、リン酸三カリウム水和
物をジメチルホルムアミドに加え、この混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムを加え、攪拌することによって、本発明の化合物を合成できる。
<移動度について>
有機半導体材料の移動度には、TOF(Time of Flight)法による移動度(μTOF:単位cm2/V・s)、および有機FET素子により求められる移動度(μFET:単位cm2/V・s)があり、μTOFが高いほど、μFETを高くすることができる。
移動度(μTOF)は、TOF測定用セルの電極間の電圧を(V)、電極間距離をd、光
電流の波形から算出した膜厚中を横切る時間をTrとし、下記式(i)により求められる。また、移動度(μFET)は、ドレイン電圧(VD)を固定し、ゲート電圧(VG)を変化
させることによって得られる伝達特性の曲線を用いて、下記式(ii)により求められる。
Figure 0005141154
Figure 0005141154
式(ii)中、Cinは、ゲート絶縁膜の単位面積当たりの電気容量、IDはドレイン電流
、Lはチャネル長、Wはチャネル幅、VTHは閾値電圧である。
有機半導体材料に要求される移動度としては一般に、移動度(μTOF)が10−4cm2/V・s以上であり、移動度(μFET)が10−4cm2/V・s以上である。本発明の化合物が示す移動度(μTOF)は、通常10-3cm2/V・s以上、好ましくは10-2cm2/V・s以上であり、特に好ましくは10-1cm2/V・s以上である。上限値は特に限定されないが、通常10cm2/V・s以下である。本発明の化合物が示す移動度(μFET)は、通常10−3cm2/V・s以上、好ましくは10−2cm2/V・s以上であり、特に好ましくは10−1cm2/V・s以上である。上限値は特に限定されないが、通常
10cm2/V・s以下である。化合物のμTOFおよびμFETとが上記範囲を示す場合、そ
の化合物は、有機半導体材料として有効に利用できる。
<薄膜>
本発明の薄膜は、本発明の上記化合物から形成される。薄膜の厚みは、目的に応じて適宜決定することができる。薄膜の形成方法には、公知の種々の成膜方法を適用することができる。例えば、以下の有機半導体において詳述する真空蒸着法および塗布法を挙げることができる。
<有機半導体>
本発明の有機半導体は、本発明の上記薄膜からなる。よって本発明の薄膜と同様の方法で形成することができる。有機半導体層の形成方法には、公知の種々の成膜方法を利用することができる。成膜方法は、(1)真空蒸着法、と(2)塗布法に大別される。(1)の真空蒸着法を用いる場合は、真空槽内部に、蒸着基板をセットし、例えば、タングステンやタンタル等を蒸着ボードとして、有機半導体材料をこの中に封入し、真空下において、これらの蒸着ボードに電流を流し加熱することによって、有機半導体材料を蒸着することができる。有機半導体層の蒸着速度および膜厚は、基板にある水晶振動子を用いて確認し、適宜、コントロールすることができる。また、基板ホルダーにはヒーターが取り付けてあり、基板温度(25℃〜250℃)を制御して蒸着することもできる。一般的に、基板温度を高くすると、グレインサイズを大きくすることができるため、より高い移動度を有する良好な有機半導体膜を形成することができる。(2)の塗布法を用いる場合は、具体的には、例えば、本発明の化合物を溶媒に溶解した溶液を用いることによって、スピンコート法、インクジェット法、キャスティング法、ディッピング法等のいずれの方法を採用してもよい。溶媒としては、極性溶媒および無極性溶媒のいずれを用いてもよい。
具体的な溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメタン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシルベンゼンまたはトリクロロベンゼン等が挙げられる。また、溶媒に溶解せず、本発明の化合物を直接加熱して溶融することによって、有機半導体層を形成することもできる。上記方法のいずれかを用いて有機半導体薄層を形成後、真空下または窒素雰囲気下において、適切な熱処理を行って、分子の配向性およびグレインサイズを大きくし、FET特性を改善することができる。これらの効果については、例えば、TOF用セルの場合、クロスニコルの偏光板にセルを挟持し、組織およびそのサイズの観察結果、およびX線回折の結果により確認することができる。また、有機FET素子の場合、AFM(原子間力顕微鏡)またはSEM(走査型電子顕微鏡)による観察結果、およびX線回折の結果により確認することができる。
<有機トランジスタ>
本発明の化合物を用いることにより得られる有機半導体層を用いて、有機FET素子等の有機トランジスタを構成することができる。有機FET素子は、一般的に、ガラスやプラスチック等の支持基板、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜および有機半導体層からなり、ゲート電極に印加する電圧を制御することによって、ゲート絶縁膜上の有機半導体界面にキャリアを誘起し、ソース電極とドレイン電極に流れる電流を制御し、スイッチング動作を行う。有機FET素子には、ボトムゲート−ボトムコンタクト型、ボトムゲート−トップコンタクト型およびトップゲート型等があり、いずれを採用してもよい。また、縦型のFET素子を採用してもよい。電極と有機半導体間のキャリアの注入の観点からは、トップコンタクト型の方が、ボトムコンタクト型よりも容易である。
図1(a)および(b)に、それぞれボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機FET素子およびボトムゲート−トップコンタクト型の有機FET素子の断面形状を示す。これらの有機FET素子は、それぞれソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3、有機半導体膜4およびゲート絶縁膜5から構成される。
ゲート電極の材料としては、例えば、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、P
t、In、Ni、Nd、Cr、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ハイドープのシリコン、錫酸化物、酸化インジウムまたはインジウム錫化合物(Indium Tin Oxide:ITO)等の無機材料、またはドープされた導電性高分子等の有機材料が挙げられ、いずれを用いてもよい。また、ゲート絶縁膜の材料としては、SiO、SiN、AlまたはTa等の無機材料、ポリイミドまたはポリカーボネート等の高分子材料を採用することができる。
ゲート絶縁膜の表面は、公知の表面処理、例えば、HMDS処理(ヘキサメチルジシラザン処理)またはOTS処理(オクタデシルトリクロロシラン処理)等を行って、分子配向をコントロールすることができる。ソース電極およびドレイン電極の材料としては、ゲート電極と同種の材料を用いることができ、ゲート電極の材料と同じであっても異なっていてもよく、異種材料を積層してもよい。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極に表面処理を施してもよい。例えば、硫黄化合物を用いた表面処理がある。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明はこれら実施例によってなんら限定されない。
各特性値の測定・算出および化合物の同定は下記の方法に従った。
(1)相転移系列の評価:
相転移系列は、DSC(Differential scanning calorimetry:示差走査熱量測定)、およびホットステージ付き偏光顕微鏡を用いた光学組織観察の双方の結果により決定する。評価開始温度を−40℃とし、温度上昇および温度下降速度を10℃/minとする。また、分子配向等の高次の構造解析にはX線回折を利
用することができる。相転移系列の評価によって、有機半導体薄膜の成膜条件を決めることができる。例えば、液晶相を有する有機半導体化合物に対しては、配向機能を付与したゲート絶縁膜上において、等方相まで温度を上げ、液晶相を経由し室温に戻すことによって、分子配向を制御し、より移動度の高い有機半導体薄膜を形成することができる。
(2)TOF(Time of Flight)法による移動度(μTOF)の測定:
本発明の化合物をクロロホルムに1質量%の濃度で溶解し、スピンコート法を用いて成膜し、有機半導体層を得た。TOF測定用のセルは、20μmの厚みを有する前記有機半導体層を、ITO(Indium Tin Oxide)電極を有するガラス基板で挟んだ構成とした。
なお、これらの電極はキャリア種と有機半導体膜の仕事関数によって適宜、別種の電極材料を選択することができる。このTOF測定用セルの電極間に、電圧(V)を印加した状態でパルス光を照射し、光キャリアを生成し、キャリア輸送による電流値の変化を電圧に変換することによって、光電流をオシロスコープで計測した。パルス光には窒素レーザー(波長が337nm、パルス幅が5ns)を用いた。温度を変えてμTOFを測定する場合は、メトラーにTOF測定用セルを挟持することによって測定した。μTOFは上記式(i)により算出した。
(3)有機FET素子の作製と素子パラメーターの測定:
絶縁膜としてSiO(膜厚は500nm)、ゲート電極としてハイドープのn型Siウエハ(株式会社セミテック製)を利用し、ソース電極およびドレイン電極は、メタルマスクを利用して真空蒸着法により形成した。ソース電極およびドレイン電極は、ボトムコンタクト型の場合は、Cr(5nm)上にAu(50nm)を積層し、トップコンタクト型の場合は、Au(50nm)とした。本発明の有機半導体層となる化合物の薄膜形成方法は、(a)真空蒸着法を利用する場合、基板温度を25℃、蒸着速度を0.2Å(オングストローム)/s(秒)の条件下で膜厚が50nmになるように蒸着し、(b)塗布法を利
用する場合、本発明の化合物をクロロホルムに0.1〜1質量%の濃度で溶解し、スピン
コート法により有機半導体膜を形成した。いずれの場合も、ボトムコンタクト型とトップコンタクト型の有機FET素子を作製した。
チャネル長(L)は、240μm、チャネル幅(W)は1.5mmとした。測定温度は室温(25℃)であり、測定環境は大気下である。
《移動度(μFET)と閾値電圧(VTH)の測定》
半導体パラメーターアナライザー(B1500A:アジレントテクノロジー)を用いて、ドレイン電圧(VD=−100V)を固定し、ゲート電圧(VG)を+20V〜−100Vまで0.2V刻みで変化させることによって、伝達特性の評価を行った。この伝達特性の曲線から上記式(ii)により、移動度(μFET)および閾値電圧(VTH)を算出した。
《オンオフ比の算出》
上述の条件にて測定された伝達特性から、IDの絶対値|ID |の最大値(|ID max
)と最小値(|ID min|)を計測し、その比である|ID max|/|ID min|をオンオフ比として算出した。有機半導体材料に要求されるオンオフ比は一般に、10以上である。
(4)合成化合物の同定
合成化合物の同定は、核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)(使用機器:FT−NMR JMN−EX270(JEOL(株)製)、溶媒:CDCl3)の測定および元素分
析によって行った。
[実施例1]
<化合物(A)の合成>
Figure 0005141154
(I)2,7−ジヨード[1]ベンゾチエノフェノ[3,2−b] [1]ベンゾチオフェン(
6)の合成
Figure 0005141154
文献、S.Y. Zherdeva et al., Zh. Organi. Khimi., 1980, 16, 430-438に従い、市販
の化合物(東京化成工業製、50g,0.1mol)である化合物(1)をクロロスルホン酸(関
東化学製、200g, 1.7mol)中で加熱することで化合物(2)へと定量的に変換した。続いて化合物(2)を酢酸中に懸濁し、市販の55%よう化水素酸(関東化学製、500ml)を
加えて加熱し、生成した沈殿(3)を一旦濾取後、再度沈殿物(3)を酢酸中に過臭化ピリジニウム(東京化成製50g,0.2mol)とともに、加熱・混合して化合物(4)を黄色の沈殿物として得た。再結晶は、ジクロロベンゼンを用いて行い、黄色針状結晶として得た(25g,収率57%)。さらに、化合物(4)とスズ粉末(関東化学製)を酢酸中に加え加熱し、濃塩酸を徐々に加えることで2,7−ジアミノ[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(5)を白色の沈殿として得た。こうして合成した化合物(5)(1g, 3.7mmol)、水(30ml)、および硫酸(2ml)を混合し5℃以下に冷却した混合物に、別途、亜硫酸ナトリウム(関東化学製、630mg, 9.1mmol)と水(10ml)とで調整した溶液を、5℃以下に保ちながら滴下した。滴下終了後30分攪拌したのち、ヨウ化カリウム(3g, 18mmol)水溶液(40ml)を加え、三時間還流した。室温まで冷却後、亜硫酸水素ナトリウムを加え、沈殿した固体をろ過によって回収した。固体を乾燥させ、化合物(6)の粗精製品(1g, 57%)を得た。また、溶媒としてクロロベンゼンを用いた再結晶また昇華精製により橙色固体の結晶(6)として得ることができた。
(II)化合物(A)の合成
Figure 0005141154
窒素雰囲気下、化合物(6)(680mg, 1.38mmol)、5−メチル−2−チオフェンボロ
ン酸(7)(東京化成工業製、1g, 7.04mmol)、およびリン酸三カリウム水和物(和光
純薬製、4g)をジメチルホルムアミド40mlに加え、脱気を30分行った。この混合物に、テトラキス(トリフェニルフォスフィン) パラジウム(東京化成工業製、130mg, 0.11mmol)を加え、85℃で9時間攪拌した。室温に戻した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(150ml)に注いだ。沈殿物をろ過後、真空下で乾燥させた。クロロベンゼンで抽出し、再結晶をクロロホルムで行うと薄茶色の固体として目的物の化合物(A)を得た(330mg,55%)。
得られた化合物の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
1HNMR(400MHz,CDCl3)
δ8.05 (d,J=4Hz,2H), 7.82(d, J=4Hz,2H), 7.66(d, J=4Hz,2H), 7.27(d, J=4Hz,2H), 6.79(d, J=4Hz,2H), 2.41 (s, 6H, CH3)
《有機FET素子の作製と素子パラメーターの測定》
本発明の化合物(A)を有機半導体層として、室温で蒸着速度が0.2Å/secの条件で真空蒸着法を用いて、上述の方法に従って、絶縁膜界面にHMDS処理を行ったボトムコンタクト型の有機FET素子を作製し、室温下・大気下でμFETを評価した結果、μFET=3.5×10-3cm2/V・s、オンオフ比>1×10、VTH=−36Vと良好なFE
T特性を示した。また、トップコンタクト型の有機FET素子に対しても、μFET=8.
0×10-2cm2/V・s、オンオフ比>1×10、VTH=−30Vと良好なFET特
性を示した。更に、両素子に対して、大気下に30日間放置し、上記特性を再度測定した結果、初期値とほぼ同等であり、大気下で安定であることを確認した。
[比較例1]
本発明と同等の骨格を有する国際公開WO2006/077888パンフレットに記載の下記化合物を合成し、実施例1と同条件にて真空蒸着法を用いて、同条件のボトムコンタクト型の有機FET素子を作製し、室温下・大気下でμFETを評価した結果、電極界面
と有機半導体層の密着性が悪いため、FET特性を発現しなかった。一方、トップコンタクト型の有機FET素子に対しては、μFET=2.0×10−1cm2/V・s、オンオフ
比>1×10、VTH=−67Vとなった。トップコンタクト型の素子に対して、大気下に30日間放置し、上記特性を再度測定した結果、初期値とほぼ同等であり、大気下で安定であることを確認した。
Figure 0005141154
これより、本発明の化合物(A)を用いて作製したFET素子は、国際公開WO2006/077888パンフレットに開示されている上記化合物を用いた素子と比べて、電極界面との密着性の優れた有機半導体膜を容易に形成することができるため、ボトムコンタクト型とトップコンタクト型の両素子構成において、高い移動度、低い閾値電圧を有し、大気中で安定に動作する有機半導体化合物および有機FET素子を提供できた。なお、電極界面の密着性の評価には、SEMを用いた。
表1に、実施例1と比較例1の評価結果を示した。
Figure 0005141154
[実施例2]
<化合物(B)の合成>
Figure 0005141154
Figure 0005141154
2−メチルチオフェン(Lancaster社製、0.7g、3.57mmol)を窒素雰囲気下、無水ジエチルエーテル10mlに溶かす。その溶液をドライアイス/アセトンによって、−78℃に
まで冷却した。そこに1.6Mノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(関東化学社製、2.5m
l、4mmol)を滴下した。滴下後、15分間その温度で攪拌した後、さらに室温で2時間攪拌した。再び、−78℃に冷却し、ホウ酸トリメチル(和光純薬製、0.37g、3.56mmol)を加えた。室温に戻した後、減圧乾固し、化合物(8)の粗製物を得た。この化合物は精製することなしに、次の反応に用いた。
化合物(8)の粗製物に、ジメチルホルムアミド25ml、化合物(6)(560mg, 1.13mmol)、リン酸三カリウム水和物(和光純薬製、4g)を加え、30分間、窒素気流下で攪拌した。そこにテトラキス(トリフェニルフォスフィン) パラジウム(東京化成工業製、108mg, 0.09mmol)を加え、85℃で5時間攪拌した。室温に戻した反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(150ml)に注いだ。沈殿物をろ過後、真空下で乾燥させた。再結晶をクロロホルムで行うと、まず、化合物(6)の未反応物が析出し、それを濾別後、目的物の化合物(B)が薄茶色の固体として沈殿してくる(180mg,25%)。
得られた化合物の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
1HNMR(400MHz,CDCl3)
δ8.05 (d,J=4Hz,2H), 7.82(d, J=4Hz,2H), 7.66(d, J=4Hz,2H), 7.27(d, J=4Hz,2H), 6.79(d, J=4Hz,2H), 2.84 (m, 4H, CH3), 1.58 (s, 20H, CH3), 0.88 (m, 6H, CH3)
《有機FET素子の作製と素子パラメーターの測定》
本発明の化合物(B)を有機半導体層として、室温で蒸着速度が0.2Å/secの条件で真空蒸着法を用いて、上述の方法に従って、絶縁膜界面にHMDS処理を行ったボトムコンタクト型の有機FET素子を作製し、室温下・大気下でμFETを評価した結果、μFET=1.0×10-2cm2/V・s、オンオフ比>1×10、VTH=−30Vと良好なFE
T特性を示した。また、トップコンタクト型の有機FET素子に対しては、μFET=1.
8×10−1cm2/V・s、オンオフ比>1×10、VTH=−32Vとなった。更に、両素子に対して、大気下に30日間放置し、上記特性を再度測定した結果、初期値とほぼ同等であり、大気下で安定であることを確認した。
[実施例3]
<化合物(C)の合成>
Figure 0005141154
(I)化合物(9)の合成
5−メチル−2−チオフェンボロン酸(7)の代わりに、2−チオフェンボロン酸を用いて、実施例1と同様の反応を行い、化合物名(9)を得た。
得られた化合物の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
Figure 0005141154
1HNMR(400MHz,CDCl3)
δ8.09 (d, J=1.5Hz,2H), 7.91(d, J=8.1Hz,2H), 7.69(d, J=1.5Hz,2H), δ: 0.18 (s, 9 H, CH3)
(II)化合物(11)の合成
Figure 0005141154
化合物(9)(2.1g, 5.2mmol)をジクロロメタン(200ml)に加え、アセトン/ドライアイ
スバスを用いて−20℃まで冷却した。そこに、塩化アルミニウム(和光純薬製、1.5g, 11.2mmol)を加え、一時間攪拌した。さらに、−78℃まで冷却し、そこに化合物(10) (東京化成製、2.5g, 10.8mmol)を加え、その温度で四時間攪拌した。四時間後、室温に戻し、水を加え、反応を完全に終了させた。有機物をクロロホルムで抽出した。抽出した溶液は、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧乾固した。得られた固体をクロロベンゼンで再結晶し、化合物(11)を黄色固体として得た(2.8g,68%)。
得られた化合物の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
1HNMR(400MHz,CDCl3)
δ8.09 (d, J=1.5Hz,2H), 7.91(d, J=8.1Hz,2H), 7.69(d, J=1.5Hz,2H), δ: 0.18 (s, 9 H, CH3)
(III)化合物(12)の合成
Figure 0005141154
化合物(11)(2.8g, 3.53mmol)を脱水ジクロロメタンに加え、窒素雰囲気下で0℃ま
で冷却した。そこに、1mol/lボロントリブロマイド(東京化成製、23ml, 23mmol)を滴下した。滴下後室温に戻し、四時間攪拌した。その後、メタノールを加え、反応を完全に終了させた。減圧乾固後、析出した固体に水を加えろ過し、メタノール、クロロホルム、ヘキサンで洗浄し、乾燥させた(1.54g,62%)。得られた粗生成物(12)は精製することな
しに次の反応に用いた。
(IV)化合物(C)の合成
Figure 0005141154
化合物(12) (1.54g,)、ドデシルブロマイド(関東化学製、4.62g, 19mmol)、炭酸カリウム(関東化学製、9g, 65mmol)の脱水DMF250ml混合物中に、窒素雰囲気下、80℃で20時間攪拌した。室温に冷却後、5%塩酸に注ぐ。有機層を三回クロロホルムで抽
出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別後、減圧乾固し、クロロホルム/ヘキサンによってカラム精製を行った。再結晶は
クロロホルム/アセトンの混合溶媒によって行った。黄色粉末(C)を得た(2.2g,59%)。
得られた化合物の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
1HNMR(400MHz,CDCl3)
δ8.23 (d, 2H), 7.93(d, 2H), 7.80(d, 2H), 7.70(d, 2H), 7.47(d, 2H), 7.13(s,
4H), 4.07-4.04(m, 12H), 1.86-1.81(m, 12H), 1.56-1.25(m, 108H),0.88 (t, 18 H)
MS(MALDI-TOF) m/z = 1718(M+)
《相転移系列の評価》
評価開始温度を−40℃とし、得られた化合物(C)の相転移系列を評価した。
95℃で結晶相から中間相に相転移し、147℃で中間相から等方相に相転移した。
《有機FET素子の作製と素子パラメーターの測定》
本発明の化合物(C)を有機半導体層として、(a)の真空蒸着法を用いて、上述の方法に
従ってボトムコンタクト型の素子構成の有機FET素子を作製し、室温下・大気下でμFETを評価した結果、μFET=1×10−2cm2 / V・s、オンオフ比>10、VTH=−35Vであった。また、化合物(C)は、室温で溶媒への溶解性が高いため、塗布法を利用して良好な薄膜を作製することができた。塗布法を用いて形成した薄膜の温度を等方相まで上げ、中間相を経由し室温に戻すことによって分子の配向性を改善した良好な薄膜を作製した。そこで、(b)の塗布法を用いて、上述の方法に従って有機FET素子を作製し
、室温下・大気下でμFETを評価を実施した。結果、μFET=3×10−3cm2 / V・s、オンオフ比>10、VTH=−38Vであった。更に、大気下に30日間放置し、上記特性を再度測定した結果、いずれの場合も初期値とほぼ同等であり、大気下で安定であることを確認した。また、μTOF=2×10−2cm2 / V・sとなった。
[比較例2]
国際公開WO2006/077888パンフレットで開示されている上記化合物を、(b)の塗布法を用いて、有機半導体層を形成することを試みたが、室温で溶媒への溶解性が低いため、成膜性が悪くFET特性が発現しなかった。
[比較例3]
本発明と同様の主題の、塗布法で容易に成膜でき、かつ高い移動度を有する下記高分子化合物のレジオレギュラー型のポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)をアルドリッチ社から購入し、上述の方法に従って、有機FET素子を作製し、室温下・大気下でμFETを評価した結果、μFET=1×10-4cm2 / V・s、オンオフ比=6×10
、VTH=+30Vであった。
Figure 0005141154
これより、本発明の化合物(C)は、ボトムコンタクト型の素子構成において、真空蒸着法および塗布法のいずれを用いても良好なFET特性を得ることができた。
[実施例4]
<化合物(D)の合成>
Figure 0005141154
合成法を以下に記す。
(I)化合物(14)の合成
THF100mlに化合物(13)(東京化成工業製, 2.24g, 10mmol)を溶かした溶液に、0℃
でNBS(N-Bromosuccinimde)を滴下する。混合物は1時間攪拌し、水に注ぐ。有機相をヘキサンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧乾固後、カラムクロマトグラフィーで精製する。
Figure 0005141154
(II)化合物(15)の合成
10mlの無水ジエチルエーテル中に、金属マグネシウム(0.98 g, 41 mmol)と1,2-ジブロ
モエタンを数滴滴下した懸濁液に、ジエチルエーテル40ml中に1−ブロモドデカン(8.2g, 37 mmol)を溶かした溶液を加える。その反応混合物を15時間還流し、グリニヤール試薬を調整する。調整したグリニヤール試薬を0℃で、Ni(dppp)Cl2 ([1,2-Bis(diphenylphosphino)ethane]nickel(II) Dichloride)(28 mg, 0.05 mmol),化合物(14) (8.8 g, 29 mmol)のエーテル混合溶液に加える。その混合物を16時間還流する。室温に冷却後、1 N HCl (30 mL)を30 mLの氷水で加水分解後、有機物をジエチルエーテルで抽出する。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧乾固する。残った油状の粗製物を真空蒸留によって精製を行う。
Figure 0005141154
(III)化合物(16)の合成
化合物(15) (3.6 g, 10 mmol)の無水ジエチルエーテル35 mLに0℃で、ブチルリチウム(2.5 M, 5.2 mL)を滴下する。その溶液を0℃でさらに20分間攪拌した後、30分か
けて室温に戻す。その溶液を再び0℃に冷却し、塩化トリブチルスズ(4.89 g, 15 mmol)
を滴下する。その混合物を0℃でさらに10分間攪拌し、30分間かけて室温に戻す。混合物を水に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出する。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥、ろ過後、減圧乾固する。得られた粗製物は、精製なしに次の反応に用いることができる。
Figure 0005141154
(IV)化合物(D)の合成
化合物(6)(1.2 g, 2.5 mmol)を、化合物(16) (6.53 g, 10 mmol)無水DMF溶液(30ml)に滴下する。混合物を窒素ガスで30分間パージし、そこに ビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)ジクロリド(53 mg, 0.075 mmol) とトリフェニルフォスフィン(40 mg, 0.15 mmol)を加える。混合物は100℃で一晩攪拌する。反応終了後、減圧乾固し、残渣を酢酸エチルに溶かす。そこに10%フッ化カリウム水溶液を加え、沈殿物を濾別する。残った溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧乾固し、目的物の化合物(D)を得る。精製はカラムクロマトグラフィーで行う。
Figure 0005141154
[実施例5]
化合物(E)は下記方法に従って合成した。
Figure 0005141154
(I)化合物(18)の合成
Figure 0005141154
文献、P. Wilson et al., Mol.Cryst. and Liq. Cryst., 2001, 368, 279-292に従い、18) を合成した。2−ヘキシルチオフェン(17)(Lancaster社製、5g、29.7mmol)を脱水THF50mlに溶かす。その溶液をドライアイス/アセトンによって、−78℃にまで冷却した。そこに1.6Mノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(関東化学社製、19ml、30mmol)を滴下した。滴下後、15分間その温度で攪拌した後、さらに室温で1時間攪拌した。再び、−78℃に冷却し、塩化トリブチルスズ(東京化成社製、10g、30.7mmol)を加える。室温に戻した一晩攪拌した。その混合物に水を加え、有機物はジクロロメタンで抽出した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧乾固し、化合物(18)の粗製体を得た。精製は真空蒸留によって行った(210℃/2mmHg, 9g、66%)。
(II)化合物(E)の合成
Figure 0005141154
化合物(6)(0.67g、1.36mmol)、化合物(18)(2g、4.37mmol)の脱水ジメチ
ルホルムアミド混合物(20ml)を窒素気流に30分間にさらした。そこにビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II) ジクロライド(東京化成社製、20mg、0.03mmol)
、トリフェニルフォスフィン(和光純薬社製、26mg、0.1mmol)を加え、100℃で20時間攪拌した。室温に冷却後、水を加え、沈殿物をろ過した。真空乾燥後、再結晶をクロロホルムで行うと、まず、化合物(6)の未反応物が析出し、それを濾別後、目的物の化合物(E)が薄茶色の固体として沈殿してきた(260mg,26%)。
得られた化合物の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
1HNMR(500MHz,CDCl3)
δ8.07 (d,2H), 7.83(d,2H), 7.66(dd,2H), 7.23(d,2H), 6.79(d,2H), 2.85(d,4H,CH2),
1.73(d,4H,CH2), 2.85(m,4H,CH2) 1.55(s,12H,CH2),0.9(s,6H,CH3)
《有機FET素子の作製と素子パラメーターの測定》
本発明の化合物(E)を有機半導体層として、室温で蒸着速度が0.2Å/secの条件で真空蒸着法を用いて、上述の方法に従って、絶縁膜界面にHMDS処理を行ったボトムコンタクト型の有機FET素子を作製し、室温下・大気下でμFETを評価した結果、μFET=1.1×10-2cm2 / V・s、オンオフ比>1×10、VTH=−38Vと良好なF
ET特性を示した。また、トップコンタクト型の有機FET素子に対しては、μFET=2
.2×10−1cm2/V・s、オンオフ比>1×10、VTH=−29Vとなった。更に、大気下に30日間放置し、上記特性を再度測定した結果、初期値とほぼ同等であり、大気下で安定であることを確認した。
[実施例6]
化合物(F)は下記方法によって合成した。
Figure 0005141154
(I)化合物(19)の合成
Figure 0005141154
文献、P. Wilson et al., Mol.Cryst. and Liq. Cryst., 2001, 368, 279-292に従い、2−ドデシルチオフェン(19)を合成した。チオフェン8.41g(和光純薬製、0.1mol)を脱水THF100mlに溶かす。その溶液をドライアイス/アセトンによって、−78℃にまで
冷却する。そこに1.6Mノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(関東化学社製、63ml、0.1mmol)を滴下する。滴下後、15分間その温度で攪拌した後、さらに室温で2時間攪拌する。再び、−78℃に冷却し、1−ブロモドデカン(和光純薬製、25g、0.1mol)を加える。室温に戻した後、一晩攪拌した。その混合物に水を加え、有機物はエーテルで抽出した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧乾固し、目的物(19)の粗製体を得た。精製は真空蒸留によって行なった(148℃/5mmHg, 20.1g、79.6%)
2−ヘキシルチオフェン(17)の代わりに、2−ドデシルチオフェン(19)を用い、
実施例5と同様の方法によって、化合物(F)を得ることができた。
《有機FET素子の作製と素子パラメーターの測定》
本発明の化合物(F)を有機半導体層として、室温で蒸着速度が0.2Å/secの条件で真空蒸着法を用いて、上述の方法に従って、絶縁膜界面にHMDS処理を行ったボトムコンタクト型の有機FET素子を作製し、室温下・大気下でμFETを評価した結果、μFET=8.1×10-2cm2 / V・s、オンオフ比>1×10、VTH=−31Vと良好なF
ET特性を示した。また、トップコンタクト型の有機FET素子に対しては、μFET=1
.2×10−1cm2/V・s、オンオフ比>1×10、VTH=−27Vとなった。更に、大気下に30日間放置し、上記特性を再度測定した結果、初期値とほぼ同等であり、大気下で安定であることを確認した。
[実施例7]
化合物(G)は、1−ブロモドデカンの代わりに、1−ブロモデカンを用い、実施例6と全く同様の方法によって合成できる。
Figure 0005141154
図1(a)は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機FET素子の断面形状を示す模式図であり、図1(b)は、ボトムゲート−トップコンタクト型の有機FET素子の断面形状を示す模式図である。
符号の説明
1 ソース電極
2 ドレイン電極
3 ゲート電極
4 有機半導体膜
5 ゲート絶縁膜

Claims (10)

  1. 下記式(I)で表される化合物
    Figure 0005141154
    (式(I)中、XおよびXは、ぞれぞれ独立に、カルコゲン原子であり;
    〜Rは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、シアノ、または炭素数1〜30のアルキルであり、該炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−C
    H=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の炭素は、Siに置き換えられてもよく;
    mは0または1であり;
    およびYは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、シアノ、または炭素数1〜30のアルキル、式(A)で表される基、または式(B)で表される基であり、該炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C
    −で置き換えられてもよく、任意の炭素は、Siに置き換えられてもよく;
    Figure 0005141154
    Figure 0005141154
    該式(A)で表される基、または式(B)で表される基において、−Z1−および−Z2−は、それぞれ独立に、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−C≡C−であり;
    〜R10は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1〜30のアルキルであり、該炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素は、ハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=
    CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の炭素は、Siに置き換えられてもよく;
    はカルコゲン原子である。)。
  2. 前記式(I)で表される化合物において、X、XおよびXが硫黄であり、かつ、mが1である請求項1記載の化合物。
  3. 前記式(I)で表される化合物が、下記式(I−1)で表されることを特徴とする請求
    項2記載の化合物
    Figure 0005141154
    (式(I−1)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、
    −S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい)。
  4. 前記式(I)で表される化合物が、下記式(I−2)で表されることを特徴とする請求項2記載の化合物
    Figure 0005141154
    (式(I−2)中、R15〜R20は、それぞれ独立に、水素、または炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、
    −S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;
    −Z−および−Z−は、それぞれ独立に、単結合、−CO−、または−C≡C−である。)。
  5. 前記式(I−1)で表される化合物において、R11およびR13が、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C
    −で置き換えられてもよく、R12およびR14が水素である、請求項3記載の化合物。
  6. 前記式(I−1)で表される化合物において、R11〜R14は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2
    −は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい、請求項3記載の化合物。
  7. 前記式(I−2)で表される化合物において、−Z−および−Z−が−CO−であり、R15〜R20が、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキルであり、該炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−S−、−COO−、−OC
    O−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい、請求項4記載の化合物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物から形成される薄膜。
  9. 請求項8記載の薄膜からなる有機半導体。
  10. 請求項9記載の有機半導体を用いる有機トランジスタ。
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