JP2016102087A - 有機結晶構造物、及びそれを与える有機化合物を含有する有機半導体材料 - Google Patents
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Abstract
Description
1.π共役平面を有する有機化合物により構成される結晶構造物であって、
該結晶構造物を、該有機化合物の分子長軸方向から俯瞰した場合に、
該有機化合物分子が隣接分子とπ共役平面が平行になるようにスタックすることで分子カラムを形成し、該カラムは隣接カラムに対して平行になるように配列しており、隣接カラム間において、隣接する有機化合物分子のπ共役平面は、平行である場合と非平行である場合が有り、
且つ以下(A)の要件を満たすことを特徴とする結晶構造物、
(A)平行に隣接する3本の該カラムのうち中央のカラムの有機化合物分子のπ共役平面は、一方の隣接カラムの有機化合物分子のπ共役平面と平行である場合、他方の隣接カラムの有機化合物分子のπ共役平面とは非平行である。
2.π共役平面を有する有機化合物により構成される結晶構造物であって、
該結晶構造物を、該有機化合物の分子長軸方向から俯瞰した場合に、
該有機化合物分子が隣接分子とπ共役平面が平行になるようにスタックすることで分子カラムを形成し、該カラムは隣接カラムに対して平行になるように配列しており、隣接カラム間において、隣接する有機化合物分子のπ共役平面は、平行である場合と非平行である場合が有り、且つ以下(B)の要件を満たす平行に隣接する3本の該カラムが組となり、この組が平行に、繰り返して配列していることを特徴とする結晶構造物、
(B)平行に隣接する3本の該カラムのうち中央のカラムの有機化合物分子のπ共役平面は、一方の隣接カラムの有機化合物分子のπ共役平面とは平行であり、他方の隣接カラムの有機化合物分子のπ共役平面とは非平行である。
3.1.又は2.に記載の結晶構造物を与えるπ共役平面を有する有機化合物を含む半導体材料、
4.前記有機化合物が下記一般式(1)で表される3.に記載の半導体材料、
Arは置換基を有してもよい二価の芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい二価の複素芳香族基であり、
R1は、置換基としてハロゲノ基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換基としてハロゲノ基を有してもよい炭素数3〜20の二価の脂環族基のいずれかを表し、
YはO、S、又はNHを表し、
R2は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の脂環族基、又は水素原子のいずれかを表し、
m及びnは、各々独立して、0又は1を表す。但し、nが0の場合、R1末端は、水素原子、又はハロゲン原子である。
又、R3は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい複素芳香族基、アルケニル基、アルキニル基、一般式(2)、又は一般式(3)で表される基である。
5.半導体層を有する電子素子において、半導体層が3.又は4.に記載の半導体材料を含む電子素子、
6.半導体層を有するトランジスタにおいて、半導体層が3.又は4.に記載の半導体材料を含むトランジスタ、
7.半導体層を有する光電変換素子において、半導体層が3.又は4.に記載の半導体材料を含む光電変換素子、
8.3.又は4.に記載の半導体材料を含有するインク、
を提供するものである。
本発明の半導体材料は特定の結晶構造(結晶構造物)を与える有機化合物よりなる半導体材料である。以下、当該結晶構造について説明する。ここで、本発明よりなる結晶構造は、矢筈構造(ヘリンボン構造)を改良したものであるから、矢筈構造と対比させて説明するために、先ず、矢筈構造について説明する。
・任意の分子が隣接分子とπ共役平面が平行になるようにスタックすることで分子カラムを形成しており(図2の破線は、該カラムを表している)、
・該カラムは隣接カラムに対して平行になるように配列しており(図3は、該カラム(破線)が隣接カラム(点線)と平行に配列していることを表している)、
・隣接カラム間において、隣接する有機化合物分子のπ共役平面は、非平行である(図3は、破線内の有機化合物分子のπ共役平面が、点線内の有機化合物分子のπ共役平面と非平行であることを表している)。
且つ、隣接カラム間において、隣接する有機化合物分子のπ共役平面が、平行である場合が有る(図6は、破線カラム内の有機化合物分子のπ共役平面が、一点鎖線カラム内の有機化合物分子のπ共役平面と平行であることを表している)。
(B)平行に隣接する3本のカラム(点線、破線、一点鎖線)のうち中央のカラム(破線)の有機化合物分子のπ共役平面は、一方の隣接カラム(一点鎖線)の有機化合物分子のπ共役平面とは平行であり、他方の隣接カラム(点線)の有機化合物分子のπ共役平面とは非平行である。
Arは置換基を有してもよい二価の芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい二価の複素芳香族基であり、
R1は、置換基としてハロゲノ基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換基としてハロゲノ基を有してもよい炭素数3〜20の二価の脂環族基のいずれかを表し、
YはO、S、又はNHを表し、
R2は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の脂環族基、又は水素原子のいずれかを表し、
m及びnは、各々独立して、0又は1を表す。但し、nが0の場合、R1末端は、水素原子、又はハロゲン原子である。
又、R3は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい複素芳香族基、アルケニル基、アルキニル基、一般式(2)、又は一般式(3)で表される基である。
上記の置換基の中でも、(I)炭素数1〜20のアルキル基、(III)末端にハロゲン原子を有する炭素数1〜20のアルキル基、又は(IV)炭素数2〜20のアルコキシアルキル基が、屈曲性が高いため溶解性を確保する上で好ましく、(I)炭素数1〜20のアルキル基、(III)末端にハロゲン原子を有する炭素数1〜20のアルキル基が、環境安定性の点からも特に好ましい。
メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、4−(2−エトキシエチル)フェニル基、4−(2−n−ヘキシルオキシエチル)フェニル基、4−(2−n−ヘプチルオキシエチル)フェニル基、4−(2−n−テトラデシルオキシエチル)フェニル基、4−(2−シクロヘキシルオキシエチル)フェニル基、4−(12−エトキシドデシル)フェニル基、4−(シクロヘキシルオキシエチル)フェニル基、エトキシナフチル基、5−(2−エトキシエチル)チエニル基、5−(2−n−テトラデシルオキシエチル)チエニル基、5−(2−シクロヘキシルオキシエチル)チエニル基、5−(12−エトキシドデシル)チエニル基などのアルコキシアリール基又はアルコキシアルキルアリール基;
4−(メチルスルファニルプロピル)フェニル基、4−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)フェニル基、4−(3−n−デシルスルファニルプロピル)フェニル基、4−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)フェニル基、5−(メチルスルファニルプロピル)チエニル基、5−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)チエニル基、5−(3−n−デシルスルファニルプロピル)チエニル基、5−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)チエニル基などのアルキルスルファニルアリール基又はアルキルスルファニルアルキルアリール基;
エチルアミノフェニル基、4−(3−オクチルアミノプロピル)フェニル基、4−(3−ドデシルアミノプロピル)フェニル基、4−(ジエチルアミノエチル)フェニル基、5−(3−オクチルアミノプロピル)チエニル基、5−(3−ドデシルアミノプロピル)チエニル基、5−(ジエチルアミノエチル)チエニル基などのアルキルアミノ又はアルキルアミノアルキルアリール基などが挙げられる。
o−トリルエチニル基、m−トリルエチニル基、p−トリルエチニル基、2,4−キシリルエチニル基、2,6−キシリルエチニル基、メシチルエチニル基、ジュリルエチニル基、4−エチルフェニルエチニル基、4−(n−プロピル)フェニルエチニル基、4−イソプロピルフェニルエチニル基、4−(n−ブチル)フェニルエチニル基、4−(n−ペンチル)フェニルエチニル基、4−(n−ヘキシル)フェニルエチニル基、4−(n−ヘプチル)フェニルエチニル基、4−(n−オクチル)フェニルエチニル基、4−(n−ノニル)フェニルエチニル基、4−(n−デシル)フェニルエチニル基、4−(n−ウンデシル)フェニルエチニル基、4−(n−ドデシル)フェニルエチニル基、4−(n−トリデシル)フェニルエチニル基、4−(n−テトラデシル)フェニルエチニル基、4−(n−デカ)フェニルエチニル基、4−ステアリルフェニルエチニル基、9,9’−ジヘキシルフルオレニルエチニル基、
5−メチルチエニルエチニル基、5−エチルチエニルエチニル基、5−(n−プロピル)チエニルエチニル基、5−(イソプロピル)チエニルエチニル基、5−(n−ブチル)チエニルエチニル基、5−(n−ペンチル)チエニルエチニル基、5−(n−ヘキシル)チエニルエチニル基、5−(n−ヘプチル)チエニルエチニル基、5−(n−オクチル)チエニルエチニル基、5−(n−ノニル)チエニルエチニル基、5−(n−デシル)チエニルエチニル基、5−(n−ウンデシル)チエニルエチニル基、5−(n−ドデシル)チエニルエチニル基、5−(n−トリデシル)チエニルエチニル基、5−(n−テトラデシル)チエニルエチニル基、などのアルキルアリーレンエチニル基;
メトキシフェニルエチニル基、エトキシフェニルエチニル基、ブトキシフェニルエチニル基、4−(2−エトキシエチル)フェニルエチニル基、4−(2−n−ヘキシルオキシエチル)フェニルエチニル基、4−(2−n−ヘプチルオキシエチル)フェニルエチニル基、4−(2−n−テトラデシルオキシエチル)フェニルエチニル基、4−(2−シクロヘキシルオキシエチル)フェニルエチニル基、4−(12−エトキシドデシル)フェニルエチニル基、4−(シクロヘキシルオキシエチル)フェニルエチニル基、5−(2−エトキシエチル)チエニルエチニル基、5−(2−n−テトラデシルオキシエチル)チエニルエチニル基、5−(2−シクロヘキシルオキシエチル)チエニルエチニル基、5−(12−エトキシドデシル)チエニルエチニル基などのアルコキシ又はアルコキシアルキルアリーレンエチニル基;
4−(メチルスルファニルプロピル)フェニルエチニル基、4−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)フェニルエチニル基、4−(3−n−デシルスルファニルプロピル)フェニルエチニル基、4−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)フェニルエチニル基、5−(メチルスルファニルプロピル)チエニル基、5−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)チエニルエチニル基、5−(3−n−デシルスルファニルプロピル)チエニルエチニル基、5−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)チエニルエチニル基などのアルキルスルファニル又はアルキルスルファニルアルキルアリーレンエチニル基;
エチルアミノフェニル基、4−(3−オクチルアミノプロピル)フェニル基、4−(3−ドデシルアミノプロピル)フェニル基、4−(ジエチルアミノエチル)フェニル基、5−(3−オクチルアミノプロピル)チエニル基、5−(3−ドデシルアミノプロピル)チエニル基、5−(ジエチルアミノエチル)チエニル基などのアルキルアミノ又はアルキルアミノアルキルアリーレンエチニル基などが挙げられる。
フェニル基、ナフチル基、アズレニル基、アセナフテニル基、アントラニル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、フルオレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ビフェニル基、p−ターフェニル基、クォーターフェニル基;o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、メシチル基、ジュリル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−n−ノニルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−デカフェニル基、4−ステアリルフェニル基、9,9‘−ジヘキシルフルオレニル基などのアルキル基を有する芳香族炭化水素基;4−フルオロフェニル基、2,6−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3,4,5,6−パーフルオロフェニル基など、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲンで置換された芳香族炭化水素基;ピリジニル基、ピロール基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサジアゾリル基、ジベンゾオキサゾリル基、ジベンゾチエニル基;2−メチルチエニル基、2−ブチルチエニル基、2−ヘキシルチエニル基などのアルキル基を有する複素芳香族基;
メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、4−(2−エトキシエチル)フェニル基、4−(2−n−ヘキシルオキシエチル)フェニル基、4−(2−n−ヘプチルオキシエチル)フェニル基、4−(2−n−テトラデシルオキシエチル)フェニル基、4−(2−シクロヘキシルオキシエチル)フェニル基、4−(12−エトキシドデシル)フェニル基、4−(シクロヘキシルオキシエチル)フェニル基、エトキシナフチル基、5−(2−エトキシエチル)チエニル基、5−(2−n−テトラデシルオキシエチル)チエニル基、5−(2−シクロヘキシルオキシエチル)チエニル基、5−(12−エトキシドデシル)チエニル基などのアルコキシアリール基又はアルコキシアルキルアリール基;
4−(メチルスルファニルプロピル)フェニル基、4−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)フェニル基、4−(3−n−デシルスルファニルプロピル)フェニル基、4−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)フェニル基、5−(メチルスルファニルプロピル)チエニル基、5−(2−n−ヘキシルスルファニルエチル)チエニル基、5−(3−n−デシルスルファニルプロピル)チエニル基、5−(シクロヘキシルスルファニルプロピル)チエニル基などのアルキルスルファニルアリール基又はアルキルスルファニルアルキルアリール基;
エチルアミノフェニル基、4−(3−オクチルアミノプロピル)フェニル基、4−(3−ドデシルアミノプロピル)フェニル基、4−(ジエチルアミノエチル)フェニル基、5−(3−オクチルアミノプロピル)チエニル基、5−(3−ドデシルアミノプロピル)チエニル基、5−(ジエチルアミノエチル)チエニル基;
で、アリール基の一つの水素原子を結合部位とした2価の置換基を挙げることが出来る。
上記の置換基の中でも、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい複素芳香族基、又は一般式(2)で表される基が好ましく(芳香環が、π共役面を、平行に配列せしめ、結果移動度が向上する)、中でも、エチニル基による屈曲効果で溶解性をも確保出来る点から、一般式(2)で表される基が特に好ましい。
本発明のインクは、本発明の半導体材料と有機溶媒とを必須成分として含有する。これらのインクは、ウエットプロセス(印刷法又は塗布法)により電子素子の半導体層を形成する前駆体材料として好適なものである。インクを調製するためには、本発明の半導体材料を溶媒に溶解し、半導体性能を損なわない範囲で、インク特性を付与するために、フッ素系やシリコン系などのレベリング剤、及びポリスチレンやアクリル樹脂などの高分子化合物を粘度調整剤として添加することも出来る。
使用する有機溶媒は1種類でもよいが、所望の均質性の高い薄膜を得るため、複数の種類の溶媒を混合して用いてもよい。
本発明の電子素子の具体例としては、ダイオード、トランジスタ、メモリ、フォトダイオード、光電変換素子、太陽電池、発光ダイオード、発光トランジスタ、RFID、半導体センサー(具体的には、ガスセンサー、バイオセンサー、血液センサー、免疫センサー、人工網膜、味覚センサーなど)等が挙げられる。
本発明の半導体材料を含有するトランジスタについて説明する。
トランジスタは、通常、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、ゲート絶縁層、及び半導体層を有して成るものであり、各電極や各層の配置によって種々のタイプのトランジスタがあるが、本発明の半導体材料はトランジスタの種類に限定されることなく、何れのトランジスタにも使用することが出来る。トランジスタの種類については、アルドリッチ社の材料科学の基礎第6号「有機トランジスタの基礎」などを参照することが出来る。
図8に示すボトムゲートボトムコンタクト型を一例に詳説すると、1はゲート電極、2はゲート絶縁層、3は半導体層、4はソース電極、5はドレイン電極である。
<合成>
まず、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(以下、BTBTと記す)(6g、25mmol)をジクロロメタン300mLに加え、窒素ガス雰囲気下で−10℃になるまで攪拌した。次に塩化アルミニウム(13.3g、0.1mol)を加え、−70℃まで降温した。−70℃到達後、ヘキサン酸クロライド(3.37g、25mmol)を20分かけて滴下し、3.5時間撹拌した。反応液を水600gに添加した後、ジクロロメタン200g加え、分液ロートへ移送した。下層を水300gで2回分液洗浄した後、有機層を濃縮した。析出物をトルエン250gに加熱溶解後、室温で再結晶して、2−(ヘキシル−1−オン)−BTBTの黄色結晶、7.4g得た(収率88%)。
FD−MS:[M]+=494.2
前記の如くして得られた式(11)で表される化合物0.4%のp−キシレン溶液(インク(1))を、サンプルチューブ中で自然濃縮(p-キシレンを蒸発)し、濃縮過程の溶液中に結晶片を析出させた。該結晶片を取り出し、偏光顕微鏡観察により、単結晶であることを確認した後、単結晶X線回折装置(RIGAKU製XtaLab、P200)に供し、式(11)で表される化合物の結晶構造が、図10に示すが如く、本発明の結晶構造であることを確認した。
n型のシリコン基板を用意して(図8の1に相当)、ここに、パリレン蒸着装置(ラボコーターPDS2010、日本パリレン製)を用いて、パリレンダイマーDPX−Cを原料にして、パリレン薄膜(厚さ500nm)を作製し(図8の2に相当)、さらに、真空蒸着製膜によって、金薄膜(厚さ40nm)からなるソース・ドレイン電極をパターン形成した(図8の4と5に相当。チャネル長L(ソース電極−ドレイン電極間隔)を75μm、チャネル幅Wを5.0mmとした)。次に、このようにして得られた基板を、ペンタフルオロチオフェノールの0.1%エタノール溶液に1時間浸漬したのち、窒素ブローで乾燥し、前記インク(1)の液滴を、前記ソース・ドレイン電極の間に滴下した後、自然濃縮により乾固させることで、式(11)で表される化合物よりなる半導体層(図8の3に相当)を形成した。
まず、BTBT(6g、25mmol)をジクロロメタン300mLに加え、窒素ガス雰囲気下で−10℃になるまで攪拌した。次に塩化アルミニウム(13.3g、0.1mol)を加え、−70℃まで降温した。−70℃到達後、オクタン酸クロライド(3.8g、25mmol)を20分かけて滴下し、3.5時間撹拌した。反応液を水600gに添加した後、ジクロロメタン200g加え、分液ロートへ移送した。下層を水300gで2回分液洗浄した後、有機層を濃縮した。析出物をトルエン250gに加熱溶解後、室温で再結晶して、2−(オクチル−1−オン)−BTBTの黄色結晶、7.9g得た(収率84%)。
更に、2−オクチル−BTBT(6.5g、18.5mmol)をクロロホルム200mLに溶解後0℃に冷却し、臭素3.7g(23.1mmol)を20分かけて滴下した。0℃で更に0.5時間撹拌した後、室温まで昇温し、3時間攪拌し反応を停止した。水加えを分液して下層を取り、濃縮乾固して粗製固体を得た。この固体をアセトンから再結晶して2−オクチル−7−ブロモBTBTの白色結晶、4.39g(収率、55%)を得た。
FD−MS:[M]+=522.2
前記の如くして得られた式(12)で表される化合物につき、実施例1と同様にして単結晶構造解析を実施した。その結果、結晶構造は、図9に示すが如くであり、本発明の結晶構造であることが確認された。
実施例1と同様にして、式(12)で表される化合物よりなる半導体材料の膜を半導体層として有するトランジスタを作製し、その特性を評価した。結果は、移動度が3.5、ON/OFF比が108であった。
<合成>
Liquid Crystals、31、137−1380(2004)に記載の方法で得た2−デシル−BTBT、4.96g(13mmol)を320mLのジクロロメタンに溶解後−50℃に冷却し、発煙硝酸の1.2Mジクロロメタン溶液24mLを30分かけて滴下した。−50℃で更に2時間撹拌した後、26mLの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え反応を停止した。分液して下層を取り、10%食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮乾固して粗製固体を得た。この固体を2‐ブタノンから再結晶し、2−デシル−7−ニトロBTBTの黄色結晶、3.72g(収率、67%)を得た。
この固体をクロロホルム約100mLに分散し、濃アンモニア水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮乾固し粗製固体を得た。この固体をシリカゲルカラム(クロロホルム/シクロヘキサン=1/1、1%トリエチルアミンを添加)で分離精製し、石油ベンジンから再結晶して微灰色の2−アミノ−7−デシルBTBT 1.72g(収率、72%)を得た。
FD−MS:[M]+=550.3
前記の如くして得られた式(13)で表される化合物につき、実施例1と同様にして単結晶構造解析を実施した。その結果、結晶構造は、図4に示すが如くであり、本発明の結晶構造であることが確認された。
実施例1と同様にして、式(13)で表される化合物よりなる半導体材料の膜を半導体層として有するトランジスタを作製し、その特性を評価した。結果は、移動度が4.0、ON/OFF比が108であった。
<結晶構造>
非特許文献1に開示されている、式(14)で表される化合物につき、実施例1と同様にして単結晶構造解析を実施した。その結果、結晶構造中の分子配列は、非特許文献1に開示されている構造と同様、図11に示すが如く、矢筈構造であった。
実施例1と同様にして、式(14)で表される化合物よりなる半導体材料の膜を半導体層として有するトランジスタを作製し、その特性を評価した。結果は、移動度が0.8、ON/OFF比が108であった。
以上の結果を表1にまとめる。
Claims (8)
- π共役平面を有する有機化合物により構成される結晶構造物であって、
該結晶構造物を、該有機化合物の分子長軸方向から俯瞰した場合に、
該有機化合物分子が隣接分子とπ共役平面が平行になるようにスタックすることで分子カラムを形成し、該カラムは隣接カラムに対して平行になるように配列しており、隣接カラム間において、隣接する有機化合物分子のπ共役平面は、平行である場合と非平行である場合が有り、
且つ以下(A)の要件を満たすことを特徴とする結晶構造物。
(A)平行に隣接する3本の該カラムのうち中央のカラムの有機化合物分子のπ共役平面は、一方の隣接カラムの有機化合物分子のπ共役平面と平行である場合、他方の隣接カラムの有機化合物分子のπ共役平面とは非平行である。 - π共役平面を有する有機化合物により構成される結晶構造物であって、
該結晶構造物を、該有機化合物の分子長軸方向から俯瞰した場合に、
該有機化合物分子が隣接分子とπ共役平面が平行になるようにスタックすることで分子カラムを形成し、該カラムは隣接カラムに対して平行になるように配列しており、隣接カラム間において、隣接する有機化合物分子のπ共役平面は、平行である場合と非平行である場合が有り、且つ以下(B)の要件を満たす平行に隣接する3本の該カラムが組となり、この組が平行に、繰り返して配列していることを特徴とする結晶構造物。
(B)平行に隣接する3本の該カラムのうち中央のカラムの有機化合物分子のπ共役平面は、一方の隣接カラムの有機化合物分子のπ共役平面とは平行であり、他方の隣接カラムの有機化合物分子のπ共役平面とは非平行である。 - 請求項1又は2に記載の結晶構造物を与えるπ共役平面を有する有機化合物を含む半導体材料。
- 前記有機化合物が下記一般式(1)で表される請求項3に記載の半導体材料。
Arは置換基を有してもよい二価の芳香族炭化水素基又は置換基を有してもよい二価の複素芳香族基であり、
R1は、置換基としてハロゲノ基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換基としてハロゲノ基を有してもよい炭素数3〜20の二価の脂環族基のいずれかを表し、
YはO、S、又はNHを表し、
R2は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の脂環族基、又は水素原子のいずれかを表し、
m及びnは、各々独立して、0又は1を表す。但し、nが0の場合、R1末端は、水素原子、又はハロゲン原子である。
又、R3は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい複素芳香族基、アルケニル基、アルキニル基、一般式(2)、又は一般式(3)で表される基である。
- 半導体層を有する電子素子において、半導体層が請求項3又は4に記載の半導体材料を含む電子素子。
- 半導体層を有するトランジスタにおいて、半導体層が請求項3又は4に記載の半導体材料を含むトランジスタ。
- 半導体層を有する光電変換素子において、半導体層が請求項3又は4に記載の半導体材料を含む光電変換素子。
- 請求項3又は4に記載の半導体材料を含有するインク。
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