JP5263250B2 - 化合物、有機半導体材料、及び半導体デバイス - Google Patents

化合物、有機半導体材料、及び半導体デバイス Download PDF

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Description

本発明は、化合物、有機半導体材料、及び半導体デバイスに関する。
従来より、半導体デバイスに用いられてきた無機半導体材料のシリコンは、その薄膜形成において、高温プロセスと高真空プロセスが必須である。高温プロセスを要することから、シリコンをプラスチック基板上等に薄膜形成することができないため、半導体デバイスを組み込んだ製品に対して、可撓性を付与したり、軽量化を達成することができない。また、高真空プロセスを要することから半導体デバイスを組み込んだ製品の大面積化と低コスト化が困難である。
そこで、近年、有機半導体材料を用いた有機半導体デバイスに関する研究が活発に行われている。有機半導体デバイスとしては、具体的には、有機薄膜トランジスタ、有機薄膜光電変換デバイス、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス等が挙げられる。
有機半導体材料は、無機半導体材料と比べて、作製プロセス温度を著しく低減できるため、プラスチック基板上等に形成することが可能となる。さらに、溶媒への溶解性が大きく、かつ、良好な成膜性を有する有機半導体材料に対しては、高真空プロセスを要さない塗布法、例えば、インクジェット装置による塗布法等を用いて薄膜形成することができるため、大面積化と低コスト化とが可能となる(特許文献1参照)。
報告されている有機半導体材料は、低分子系(オリゴマーも含む)と高分子系に大別される。低分子系有機半導体材料としては、例えば、ペンタセンを用いた有機FET(Field Effect Transistor:電界効果型トランジスタ)が作製されており、高い移動度が報告されている(非特許文献1参照)。
特開2009−73780号公報
Yen−Yi Lin.,IEEE Transaction on Electron Device,Vol.44,No8 p.1325(1997))
しかしながら、有機半導体層を構成するペンタセンは、酸素に対する親和性が高いため、大気中で保管すると特性が劣化し、その結果、有機半導体デバイスが安定に動作できなくなってしまうという課題がある。また、その劣化速度は高温になるほど高いことから、同時に耐熱性も課題となっている。
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、大気中、高温で保管しても電気特性が劣化しにくい化合物、有機半導体材料、及び半導体デバイスを提供することを目的とする。
本発明の化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 0005263250
(式中、Xは硫黄であり、Zはベンゼン環である。このベンゼン環は置換基を付与できる。nは1あり、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基である。)
本発明の化合物は、電気特性(例えば、トランジスタにおける移動度、閾値電圧、及びOn/Off比)において優れ、大気中で保管してもそれらの特性が劣化しにくい。本発明の化合物は、例えば、有機半導体材料として用いることができる。
発明の化合物は、式(4)に示すものとなる
Figure 0005263250
本発明の化合物としては、例えば、式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005263250
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基である。
(1)、(2)、(4)において、R1〜R6は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは炭素数4〜20の置換または未置換のアリール基を表し、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは炭素数6〜20のアリール基を表す。
なお、本明細書において、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を表す。アリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは炭素数4〜20の前記ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよいアリール基などが挙げられる。
式(1)、(2)、(4)におけるR1〜R6の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
水素原子;
例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの直鎖、分岐または環状のアルキル基;
例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などの直鎖、分岐または環状のアルコキシ基;
例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−n−ノニルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ウンデシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、5−インダニル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−n−ヘプチルオキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−ノニルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ウンデシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メトキシ−5−メチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−4−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−フルオロフェニル基、3−メトキシ−4−クロロフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−(4'−メチルフェニル)フェニル基、4−(4'−メトキシフェニル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−エトキシ−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、7−エトキシ−2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−テトラセニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル基、2−フリル基、2−チエニル基、5−n−プロピル−2−チエニル基、5−n−ブチル−2−チエニル基、5−n−ヘキシル−2−チエニル基、5−n−オクチル−チエニル基、5−n−デシル−2−チエニル基、5−n−トリデシル−2−チエニル基、5−フェニル−2−チエニル基、5−(2'−チエニル)−2−チエニル基、5−(5'−n−ブチル−2'−チエニル)−2−チエニル基、5−(5'−n−ヘキシル−2'−チエニル)−2−チエニル基、5−(5'−n−デシル−2'−チエニル)−2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基などの置換または未置換のアリール基。
式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、式(6)〜(17)で表されるものがある。
Figure 0005263250
本発明の有機半導体材料は、上述した化合物のいずれかを含むものである。本発明の有機半導体材料は、上述した化合物のみから成ってもよいし、その他に任意の添加成分を含んでいてもよい。本発明の有機半導体材料は、電気特性(例えば、トランジスタにおける移動度、閾値電圧、及びOn/Off比)において優れ、大気中で保管してもそれらの特性が劣化しにくい。本発明の有機半導体材料は、半導体デバイスを形成するために用いることができる。半導体デバイスとしては、例えば、薄膜トランジスタ、薄膜光電変換デバイス、エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス等が挙げられ、その場合、本発明の有機半導体材料により、有機半導体膜を形成することができる。
本発明の半導体デバイスは、上述した有機半導体材料から成る薄膜を備えることを特徴とする。本発明の半導体デバイスにおいて、有機半導体材料から成る薄膜は、電気特性(例えば、トランジスタにおける移動度、閾値電圧、及びOn/Off比)において優れ、大気中で保管してもそれらの特性が劣化しにくい。半導体デバイスとしては、例えば、薄膜トランジスタ、薄膜光電変換デバイス、エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス等が挙げられる。
2−ブロモ−1−メルカプトナフタレンを合成する方法を表す説明図である。 ジナフトチエノチオフェンを合成する方法を表す説明図である。 薄膜トランジスタを構成する基板1及びその周辺を表す説明図であって、(a)は側断面図であり、(b)は上面図である。 薄膜トランジスタを表す説明図であって、(a)は側断面図であり、(b)は上面図である。
本発明の実施形態を説明する。
1. 2−ブロモ−1−メルカプトナフタレンの合成
図1に示す方法で、2−ブロモ−1−メルカプトナフタレンを合成した。なお、この合成は、Roczniki Chemii(1965),39(3),391-403.に記載されている方法である。
まず、市販の2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸(東京化成工業製、50g)(図1におけるS1)を、2.5%に調整した水酸化ナトリウム水溶液400mlに溶解させ、0℃に冷却し、50mlの精製水に溶解させた亜硝酸ナトリウム(東京化成工業製、15.4g)を加え、続いて濃塩酸(和光純薬工業製、112ml)を加えて30分攪拌し、ろ過した。析出物は250mlの精製水で洗浄した。このろ液を、臭化銅(和光純薬工業製、50g)を懸濁させた48%臭化水素酸(東京化成工業製、100ml)に加え、95℃に加熱し、ろ過した。ろ液に塩化カリウム(和光純薬工業製、50g)を加え、析出物をろ別し、65mlの沸騰水で溶解させ、50%水酸化カリウム水溶液で中和、再結晶を行い、2−ブロモ−1−ナフタレンスルホン酸カリウム(図1におけるS2)25gを得た。
続いて、S2に5塩化リン(東京化成工業製、30g)を加えて100℃に加熱し、30分攪拌し、室温に戻して4時間攪拌した。反応物を氷にあけて反応を終了させ、再結晶を行い2−ブロモ−1−ナフタレンスルホニルクロリド(図1におけるS3)20gを得た。
次に、塩化錫2水和物(和光純薬工業製、120g)を溶解させた酢酸(和光純薬工業製、420ml)に室温下、S3を加えて5時間攪拌し、反応液を濃塩酸(420ml)にいれて2時間放置し、抽出、再結晶を行い、2−ブロモ−1−メルカプトナフタレン(図1におけるS4)を10g得た。
2.ジナフトチエノチオフェンの合成
上記のように合成した2−ブロモ−1−メルカプトナフタレン(図1におけるS4)を用い、図2に示す方法で、ジナフトチエノチオフェン(有機半導体材料)を合成した。
Ar雰囲気下、S4の9.6gをテトラヒドロフラン(和光純薬工業製、1000ml)に溶解させ-78℃とし、t−ブチルリチウム16%ペンタン溶液(東京化成工業製、60ml)を加え1時間攪拌し、続いてジブロモメタン(東京化成工業製、3.6g)を加えて50℃に昇温し、5時間攪拌を続け、精製を行い、図2におけるS5を6g得た。
次に、ジエチルエーテル(和光純薬工業製、500ml)にS5を溶解させ-78℃とし、t−ブチルリチウム16%ペンタン溶液(36ml)を加え1時間攪拌し、続いてN,N−ジメチルカルバミン酸エチル(特開2010−53057号公報記載の方法で準備、1.5g)を加えて−40℃に昇温し、4時間攪拌後、精製を行い、図2におけるS6を3g得た。
最後に、ジエチルエーテル(400ml)とヘキサメチルリン酸トリアミド(東京化成工業製、100ml)との混合溶液にS6を溶解させ-78℃とし、t−ブチルリチウム16%ペンタン溶液(5.6ml)を加え攪拌し、徐々に室温まで昇温し、2時間攪拌した。0℃として精製水50mlを加え、減圧下ジエチルエーテルを除去後、150℃に昇温し、1時間攪拌後、精製を行い、ジナフトチエノチオフェン(図2におけるS7)を1g得た。
3.薄膜トランジスタの製造
上記のように合成したジナフトチエノチオフェンを用い、以下の工程1〜工程4により、薄膜トランジスタ(有機半導体デバイス)を製造した。
(工程1)
基板1としてN型シリコン(Si)ウェハを用い、熱酸化により200nmの酸化シリコン(SiO2)膜(ゲート絶縁膜2)を基板1の表面に形成し、その後、洗浄を施した。
続いて、抵抗加熱式真空蒸着法により、ゲート絶縁膜2上に5nm厚のチタン(Ti)膜、および50nm厚の金(Au)膜を連続製膜した。
(工程2)
工程1における製膜面にノボラック樹脂を主成分とするフォトレジストを塗布した。その後、所望のパターンが得られるようにフォトリマスクを用いた露光、現像によりフォトレジストのパターンを形成し、金(Au)膜をヨウ化カリウムとヨウ素を含む専用エッチング液を用いてエッチングし、同様にチタン(Ti)膜を、フッ酸水溶液(200倍希釈)を用いてエッチングした。その後、専用のレジスト剥離液を用いてレジスト膜を剥離した。
このように、チタン(Ti)膜と金(Au)膜との積層膜からなるソース電極3aとドレイン電極3bを形成した。
図3は、この状態における基板1の断面図および上面図である。図3(a)は基板1の側断面図であり、図3(b)のA−A断面である。また、図3(b)は基板1の上面図である。なお、図3(a)、(b)は基板1を模式的に示すものであり、厚さの比率など正確でない部分がある。
(工程3)
オゾン処理装置を用いて基板1の表面を洗浄した。続いてフェネチルシラン化合物(β-phen:C6H5(CH2)2SiCl3)をトルエン中に分散した溶液に基板1を浸漬し、前記ゲート絶縁膜2の表面にフェネチル基を有する自己組織化単分子膜を形成した。
(工程4)
図4に示すように、基板1の上面であって、ソース電極3a及びドレイン電極3bに跨る領域に、ジナフトチエノチオフェンから成る膜(有機半導体膜4)を形成し、薄膜トランジスタを完成した。有機半導体膜4の形成方法は、圧力3×10E−4Paの真空中での、シャドウマスクを用いた抵抗加熱法である。有機半導体膜4の膜厚は50nmであり、製膜レートは0.05nm/秒とした。
4.薄膜トランジスタの評価
上記のようにして製造した薄膜トランジスタ(以下、実施例1の薄膜トランジスタとする)において、N型シリコン(Si)ウェハ(基板1)をゲート電極とし、有機半導体膜4を活性層としたP型トランジスタとして動作させ、移動度、閾値電圧、及びOn/Off比を測定した。また、実施例1の薄膜トランジスタの製造後、室温の大気中で約1ヶ月間保管した後、再度同様の測定を行った。また、実施例1の薄膜トランジスタ(他の個体)について、その製造直後と、100℃の大気中で約1ヶ月間保管した後とで、それぞれ、上と同様の測定を行った。その結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005263250
Figure 0005263250
また、比較例として、工程3まで同様に作製し、工程4でジナフトチエノチオフェンの代わりにペンタセンを用いて薄膜トランジスタ(以下、比較例の薄膜トランジスタとする)を製造した。比較例の薄膜トランジスタについても、実施例1の薄膜トランジスタの場合と同様の測定を行った。その結果を上記表1及び表2に示す。
表1及び表2から明らかなように、実施例1の薄膜トランジスタの性能(移動度、閾値電圧、及びOn/Off比)は、室温の大気中で約1ヶ月間の保管後、又は100℃の大気中で約1ヶ月間の保管後でも、ほとんど劣化していなかった。それに対し、比較例の薄膜トランジスタの性能は、室温の大気中で約1ヶ月間の保管後、及び100℃の大気中で約1ヶ月間の保管後、大きく劣化していた。
なお、実施例1の薄膜トランジスタ、及び比較例の薄膜トランジスタのいずれにおいてもチャネル幅は1800μm、チャネル長は10μmであり、キャリア移動度は飽和領域でのゲート電圧とドレイン電流の関係式(数1)から見積もった。
Figure 0005263250
上記(数式1)において、IDはドレイン電流、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、μはキャリア移動度、εiはゲート絶縁膜2の誘電率、ε0は真空の誘電率、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧をあらわす。
1・・・基板、2・・・ゲート絶縁膜、3a・・・ソース電極、
3b・・・ドレイン電極、4・・・有機半導体膜

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 0005263250
    (式中、Xは硫黄であり、Zはベンゼン環である。このベンゼン環は置換基を付与できる。nは1あり、R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基である。)
  2. 下記式(2)で表されることを特徴とする請求項1載の化合物。
    Figure 0005263250
    (式中、R1〜R6は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基である。)
  3. 請求項1又は2に記載の化合物を含む有機半導体材料。
  4. 請求項記載の有機半導体材料から成る薄膜を備えた半導体デバイス。
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