JP5140868B2 - 進行波管 - Google Patents

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Description

本発明は外部から入力された高周波信号と電子ビームとを相互作用させるヘリックスを備えた進行波管に関する。
図5は特許文献1で開示されている進行波管の概略構成を示す縦断面図である。
図5に示すように、進行波管1は、電子ビームを放出する電子銃10と、高周波信号(マイクロ波)を増幅する高周波回路部20と、電子ビームを捕捉するコレクタ電極30と、電子銃10から電子を引き出すと共に電子銃10から放出された電子ビームを高周波回路部20へ導くアノード電極40とを有する構成である。
電子銃10は、熱電子を放出するカソード電極11と、カソード電極11に熱電子を放出させるための熱エネルギーを与えるヒータ12と、カソード電極11から放出された電子を集束するウェネルト電極13とを備えている。
高周波回路部20は、電子銃10から放出された電子ビームと高周波信号(マイクロ波)とを相互作用させるヘリックス21と、外部から入力される高周波信号をヘリックス21に供給するための入力回路22と、ヘリックス21から出力された高周波信号を外部へ出力するための出力回路23とを備えている。入力回路22及び出力回路23には高周波信号を伝送するための導波管あるいは同軸線路が接続される。図5は入力回路22及び出力回路23にそれぞれ導波管50が接続された構成例を示している。
入力回路22及び出力回路23は、ヘリックス21に対して高周波信号を入出力するための同軸内導体24を備え、ヘリックス21には入力回路22が備える同軸内導体24を通して高周波信号が入力され、ヘリックス21から出力された高周波信号は出力回路23が備える同軸内導体24から出力回路23に接続された導波管50内に放射される。
ヘリックス21は、誘電体等から成る支柱25(通常、3本)によって筒状の外囲器26内で支持、固定されている。同軸内導体24は、外囲器26内を真空封止するために設けられたセラミック窓により導波管50の封止端側の所定位置で固定される。
図6は特許文献2で開示された同軸内導体とヘリックスの接続状態を示す図であり、同図(a)は高周波回路部の要部を拡大した様子を示す縦断面図、同図(b)は図6(a)に示した同軸内導体のA−A’線で切断した様子を示す断面図である。
通常、へリックス21及び同軸内導体24には、モリブデンやタングステン等の高融点金属が使用されているため、これらを直接溶接することは困難である。そのため、図6(a)に示すように、ヘリックス21と同軸内導体24とをニッケル、白金、あるいはこれらを含む合金等で溶接可能な金属テープ27を介して接続する。へリックス21の端部には予め金属テープ27の一端が接合され、金属テープ27の他端は同軸内導体24の端部にレーザ溶接される。
同軸内導体24は、一般に円柱状であるため、特許文献2では、例えば図6(b)に示すように同軸内導体24の端部を平面状に面取りし、金属テープ27と同軸内導体24とを平面どうしで接触させて接触面積を大きくした構成を提案している。
特開2005−339892号公報 特開平5−41175号公報
図7は同軸内導体とヘリックスの従来の接続状態を示す図であり、同図(a)は高周波回路部の要部を拡大した様子を示す縦断面図、同図(b)は図7(a)に示した高周波回路部をA方向から見た様子を示す側面図である。なお、図7(a)、(b)は、図6(a)、(b)で示した従来の金属テープ27と同軸内導体24の溶接部位の様子を示すための図面である。
上述したように、外囲器26内にはヘリックス21が支柱25によって支持、固定されているため、同軸内導体24に金属テープ27を溶接するには、外囲器26の開口側(図7(a)のA方向)から作業することになる。
具体的には、L字状に成形した金属テープ27を、外囲器26の開口側から金属テープ27の起立面が見えるように、ヘリックス21の端部に予め接合しておく。そして、金属テープ27を接合したヘリックス21を外囲器26内に支持、固定した後、図7(b)に示すように外囲器26の開口側から金属テープ27の先端部を同軸内導体24に対してレーザ溶接する。なお、レーザ光を熱源として金属どうしを接合するレーザ溶接では、レーザ光の照射部位とその周辺に「ナゲット」と呼ばれる金属が溶融・凝固した部位が形成される。図7(a)、(b)の金属テープ27の先端部に記載した複数の黒丸形状は、この金属テープ27と同軸内導体24の溶接部位(ナゲット)の様子を示している。
図7(a)、(b)に示すように、従来の高周波回路部の構成では、溶接部位が外囲器26の開口側から視認できる金属テープ27と同軸内導体24の境界である金属テープ27の先端部に限られてしまうため、金属テープ27と同軸内導体24の接触面積が小さいという問題がある。
金属テープと同軸内導体の接触面積が小さいと、該接触部位における熱伝導度が低下するため、ヘリックス21で発生した熱の放熱容量が低下し、ヘリックス21の温度上昇を招いて進行波管の電気的特性の劣化や動作が不安定になるおそれがある。特に、へリックス21における発熱量が大きくなる高出力用の進行波管では、最悪の場合、金属テープ27が溶断する等の破損に至る可能性もある。
上記特許文献2では、同軸内導体24の端部を平面状に面取りし、金属テープ27と同軸内導体24とを平面どうしで接触させることで、金属テープ27と同軸内導体24の接触面積を大きくしている。しかしながらそのような構成でも、溶接部位は外囲器26の開口側から視認できる金属テープ27と同軸内導体24の境界である金属テープ27の先端部に限られてしまう。そのような構成は、溶接部位以外では金属テープ27と同軸内導体24とが接触しているとは限らないため、特許文献2に開示された構成でも接触面積を十分に大きくできない可能性があった。
本発明は上記したような従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、金属テープと同軸内導体の接触部位における熱伝導度の低下を抑制してヘリックスで発生した熱の放熱容量の低下を抑制できる進行波管を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明の進行波管は、外部から入力された高周波信号と電子ビームとを相互作用させるヘリックスと、前記ヘリックスの端部に底部が取り付けられたU形状の金属テープと、前記金属テープの起立面に端部が挟まれる位置で固定される、前記ヘリックスに対して前記高周波信号を入出力するための同軸内導体とを有し、
前記ヘリックスを内部で支持、固定する筒状の外囲器を備え、
前記金属テープが、前記外囲器の開口からU形状に見える向きで前記ヘリックスの端部に接合された構成である。
本発明によれば、従来の高周波回路部と比べて金属テープと同軸内導体の接触部位における熱伝導度の低下を抑制することが可能であり、ヘリックスで発生した熱の放熱容量の低下が抑制される。したがって、ヘリックスの温度上昇が抑制されて、進行波管の電気的特性の劣化や動作が不安定になるのが防止される。
次に本発明について図面を参照して説明する。
(第1実施例)
図1は第1実施例の同軸内導体とヘリックスの接続状態を示す図であり、同図(a)は高周波回路部の要部を拡大した様子を示す縦断面図、同図(b)は図1(a)に示した高周波回路部をA方向から見た様子を示す側面図である。
図1(a)、(b)に示すように、第1実施例の高周波回路部では、金属テープ27をU形状に成形し、その底部をヘリックス21の端部に取り付けておき、外囲器26の側面から挿入された同軸内導体24の端部を金属テープ27の2つの起立面で挟み込むようにして固定する。金属テープ27は、同軸内導体24の端部を挟み込むことができるように2箇所で折り曲げることで成形する。
また、金属テープ27は、図1(a)のA方向からU形状に見える向き、すなわち外囲器26の開口側からU形状に見える向きでヘリックス21の端部に接合する。さらに、図1(b)に示すように、第1実施例の高周波回路部では、同軸内導体24の両側面に金属テープ27をレーザ溶接することで同軸内導体24と金属テープ27とを接合する。このとき、金属テープ27は、図1(a)に示すA方向から溶接作業が可能な部位、すなわち同軸内導体24を挟む金属テープ27の2つの起立面の側端部のうち、円筒状の外囲器26の開口から最も近い2つの側端部で同軸内導体24に溶接する。
レーザ溶接としては、例えばパルス状のレーザ光を照射し、その熱エネルギーで金属どうしを溶融・凝固させて点接合する方法がある。第1実施例では、レーザ光の照射中心を金属テープ27の側端部と同軸内導体24との境界に沿って移動させつつ溶接を複数回繰り返すことで金属テープ27を同軸内導体24に接合すればよい。図1(a)、(b)の金属テープ27の側端部に記載した複数の黒丸形状は、金属テープ27と同軸内導体24の溶接部位(ナゲット)の様子を示している。
第1実施例の高周波回路部では、図6(a)、(b)や図7(a)、(b)に示した従来の高周波回路部と比べて金属テープ27と同軸内導体24の溶接部位を増やすことができるため、同軸内導体24と金属テープ27の接触面積が増大する。また、同軸内導体24の両側面に金属テープ27を接合するため、図6(a)、(b)や図7(a)、(b)に示した従来の高周波回路部と比べて同軸内導体24と金属テープ27との密着性が強固に保たれる。
したがって、図6(a)、(b)や図7(a)、(b)に示した従来の高周波回路部よりも金属テープと同軸内導体の接触部位における熱伝導度が向上し、ヘリックス21で発生した熱の放熱容量の低下が抑制される。そのため、ヘリックス21の温度上昇が抑制されて、進行波管1の電気的特性の劣化や動作が不安定になるのが防止される。特に本実施例の高周波回路部は、ヘリックス21における温度上昇が大きい、高出力用の進行波管に適用して大きな効果が得られる。
(第2実施例)
図2は第2実施例の同軸内導体とヘリックスの接続状態を示す図であり、同図(a)は高周波回路部の要部を拡大した様子を示す縦断面図、同図(b)は図2(a)に示した高周波回路部をA方向から見た様子を示す側面図である。
第2実施例の高周波回路部は、第1実施例の高周波回路部と同様に、予め金属テープ27をU形状に成形し、その底部をヘリックス21の端部に取り付けておき、外囲器26の側面から挿入された同軸内導体24の端部を金属テープ27の2つの起立面で挟み込むようにして固定する。金属テープ27は、図2(a)のA方向からU形状に見える向き、すなわち、外囲器26の開口からU形状に見える向きでヘリックス21の端部に取り付けられる。金属テープ27は、同軸内導体24の端部を挟み込むことができるように2箇所で折り曲げることで成形する。
さらに、第2実施例の高周波回路部では、図2(a)に示すようにU形状に成形された金属テープ27の頭頂部をテーパ状に形成し、該テーパ部位を同軸内導体24にレーザ溶接することで金属テープ27と同軸内導体24とを接合する。レーザ溶接としては、第1実施例と同様に、例えばパルス状のレーザ光を照射し、その熱エネルギーで金属どうしを溶融・凝固させて点接合する方法がある。第2実施例では、レーザ光の照射中心を金属テープ27のテーパ部位と同軸内導体24との境界に沿って移動させつつ溶接を複数回繰り返すことで金属テープ27を同軸内導体24に接合すればよい。図2(a)、(b)の金属テープ27の側端部に記載した複数の黒丸形状は、金属テープ27と同軸内導体24の溶接部位(ナゲット)の様子を示している。
テーパ状の頭頂部は、図2(a)に示すA方向から溶接作業ができるように、A方向から見て手前の部位が最も低く、奥の部位ほど高くなる形状とする。すなわち円筒状の外囲器26の開口に最も近い位置でU形状の起立面が最も低く、該開口から最も遠い位置でU形状の起立面が最も高くなる形状とする。
第2実施例の高周波回路部では、金属テープ27のテーパ部位を同軸内導体24に溶接することで、作業終了後の各溶接部位を斜め方向から視認することになる。そのため、作業終了後の各溶接部位を平面で視認する第1実施例に比べて、溶接部位が確実に溶接されているか否かを容易に判別できる。したがって、第2実施例の高周波回路部は、第1実施例と同様の効果に加えて、同軸内導体24に対する金属テープ27の溶接作業の信頼性が向上する。さらに、第1実施例よりも金属テープ27と同軸内導体24の接触部位における熱伝導度が向上し、ヘリックス21で発生した熱の放熱容量の低下が抑制される。そのため、ヘリックス21の温度上昇が抑制されて、進行波管1の電気的特性の劣化や動作が不安定になるのが防止される。特に本実施例の高周波回路部は、ヘリックス21における温度上昇が大きい、高出力用の進行波管に適用して大きな効果が得られる。
なお、図2(a)、(b)では、U形状に成形された金属テープ27の頭頂部をテーパ状に形成した例を示しているが、金属テープ27の頭頂部はテーパ状に限定されるものではなく、円筒状の外囲器26の開口に最も近い位置でU形状の起立面が最も低く、該開口から最も遠い位置でU形状の起立面が最も高くなる形状であればどのような形状でもよい。例えば金属テープ27の頭頂部は図3に示すような逆円弧状であっても本実施例と同様の効果を得ることができる。また、溶接作業の信頼性の向上は期待できないが、金属テープ27の頭頂部は図4に示すように階段状であっても第1実施例と同様の効果を得ることができる。
第1実施例の同軸内導体とヘリックスの接続状態を示す図であり、同図(a)は高周波回路部の要部を拡大した様子を示す縦断面図、同図(b)は図1(a)に示した高周波回路部をA方向から見た様子を示す側面図である。 第2実施例の同軸内導体とヘリックスの接続状態を示す図であり、同図(a)は高周波回路部の要部を拡大した様子を示す縦断面図、同図(b)は図2(a)に示した高周波回路部をA方向から見た様子を示す側面図である。 図2(a)に示した金属テープの頭頂部の他の形状例を示す高周波回路部の要部を拡大した縦断面図である。 図2(a)に示した金属テープの頭頂部の他の形状例を示す高周波回路部の要部を拡大した縦断面図である。 特許文献1で開示されている進行波管の概略構成を示す縦断面図である。 図6は特許文献2で開示された同軸内導体とヘリックスの接続状態を示す図であり、同図(a)は高周波回路部の要部を拡大した様子を示す縦断面図、同図(b)は図6(a)に示した同軸内導体のA−A’線で切断した様子を示す断面図である。 同軸内導体とヘリックスの従来の接続状態を示す図であり、同図(a)は高周波回路部の要部を拡大した様子を示す縦断面図、同図(b)は図7(a)に示した高周波回路部をA方向から見た様子を示す側面図である。
符号の説明
1 進行波管
10 電子銃
20 高周波回路
21 ヘリックス
22 入力回路
23 出力回路
24 同軸内導体
25 支柱
26 外囲器
27 金属テープ
30 コレクタ電極
40 アノード電極
50 導波管

Claims (6)

  1. 外部から入力された高周波信号と電子ビームとを相互作用させるヘリックスと、
    前記ヘリックスの端部に底部が取り付けられたU形状の金属テープと、
    前記金属テープの起立面に端部が挟まれる位置で固定される、前記ヘリックスに対して前記高周波信号を入出力するための同軸内導体と、
    を有し、
    前記ヘリックスを内部で支持、固定する筒状の外囲器を備え、
    前記金属テープが、前記外囲器の開口からU形状に見える向きで前記ヘリックスの端部に接合された進行波管。
  2. 前記金属テープが、前記同軸内導体を挟む2つの起立面のうち、前記外囲器の開口に最も近い2つの側端部で前記同軸内導体に溶接された請求項記載の進行波管。
  3. 前記金属テープの頭頂部は、前記外囲器の開口に最も近い位置で前記起立面が最も低く、該開口から最も遠い位置で前記起立面が最も高くなる形状であり、
    前記金属テープが、前記頭頂部で前記同軸内導体に溶接された請求項記載の進行波管。
  4. 前記金属テープの頭頂部がテーパ状である請求項記載の進行波管。
  5. 前記金属テープの頭頂部が逆円弧状である請求項記載の進行波管。
  6. 前記金属テープの頭頂部が階段状である請求項記載の進行波管。
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