JP5140051B2 - 熱交換器および熱交換器用フィンとその製造方法 - Google Patents
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そして、帯板状フィンの間を流動する空気などの熱交換流体と、扁平形状の伝熱管内を流動する水や冷媒などの被熱交換流体との間で熱を交換するようになっている。
しかしながら、上記のように最後の工程でカラーを成形して突起部を成形すると、フィンの加工位置のばらつき、例えば上記(ロ)の工程における突起部の長さや、上記(ハ)の工程における突起部の先端折り曲げ寸法にばらつきが生じると、突起部の高さがばらつくため、フィンピッチが不揃いになるという問題があった。
しかしながら、上記のようなフィンカラーでは、立ち上げ高さの高いカラーの先端を折り曲げ成形する際に、立ち上げたカラーの全体を折り曲げ成形しているため、高さの高い側のフィンカラーは、折り曲げ成形の影響で変形してしまい、伝熱管に対して十分な密着面積を得ることができないという問題があった。また立ち上げ高さの高いカラー以外のカラー(立上げ高さの低いカラー)の高さは、立ち上げ高さの高いカラーの半分ぐらいの高さしかなく、また長方形の貫通穴の短辺側のようにカラーが全く設けられていない箇所があるため、フィンと扁平形状の伝熱管との密着面積は少なく、熱交換性能はあまり良好とは言えないという問題があった。
以下、この発明の実施形態1における熱交換器とそれに用いられる熱交換器用フィンについて図1〜図10に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施形態1のフィンアンドチューブ型の熱交換器の概観斜視図であり、図2はその断面図、図3は熱交換器に使用される伝熱管の断面図の例である。
図1および図2において、熱交換器は、適当な間隔(フィンピッチ)FPで互いに平行に積層されるとともに、その間を空気などの気体の熱交換流体が流れる複数の帯板状フィン1と、帯板状フィン1の略直角方向に適当な間隔DPで複数本挿入されるとともにフィン1と密着され、内部を冷媒などの被熱交換流体が流れる略楕円形状あるいは略長円形状の断面を有する扁平形状の伝熱管2と、伝熱管2の両端がそれぞれ接続され、内部を複数の区画部31に分けることで伝熱管2とともに冷媒の流通流路を形成する分配管あるいはヘッダー3とから構成されている。ヘッダー3の区画部31を適切な形状に成形することにより、区画部内で冷媒の気液が混合され熱交換効率が良くなる。
また、伝熱管2と伝熱管保持部12の後述するフィンカラー内面とは接着剤により接合されている。
上記構成の熱交換器において、ヘッダー3を通じて伝熱管2の内部に流通される冷媒などの被熱交換流体は図2の矢印で示すように流れ、紙面の下側から複数積層された帯板状フィン1間を流れる空気などの熱交換流体と熱交換される。
図4および図5において、帯板状フィン1の材料は、主としてアルミニウムあるいはアルミニウム合金を原料とする厚さ0.09〜0.18mmの薄板であり、表面に防食や防汚を目的としたコーティングが施されていることが望ましい。帯板状フィン1のベース面10には、前述したように空気の主流方向に開口したスリット11が長手方向に沿って所定間隔で設けられ、またスリット11の間には伝熱管2を挿通して保持するための伝熱管保持部12がフィンの長手方向に沿って適切な間隔DPで成形されている。フィンベース面10とスリット11のなす高さはフィンピッチ間隔FPの概略半分であることが望ましい。
フィンカラー14の先端部の少なくとも一部分に、伝熱管2と接する側とは反対側(伝熱管保持部12の外側)に折り曲げ成形されたリフレア部15が成形されている。このリフレア部15の上面とフィンベース面10とのなす高さは、積層されるフィンのピッチ間隔FPと概略等しい高さで成形されている。またこの実施形態1ではリフレア部15は扁平状の伝熱管2の長辺と接する両面に対照に複数個(図示では各2個)設けられている。
このような熱交換器用フィンのフィンカラー14とリフレア部15の成形における寸法関係を図6に示す。
フィンベース面10より立ち上げ成形されたフィンカラー14の高さCHは、リフレア部15とその周囲の切り欠き部16を除いて、複数積層されたフィン1のピッチ間隔FPを超えない範囲でFPとほぼ等しい高さであることが望ましい。リフレア部15を除くフィンカラー14の高さを、フィン1のピッチ間隔FPを超えない範囲で十分高くすることによって、フィン1と伝熱管2との密着面積を広くでき、伝熱性能を良好にすることができる。
下穴17は、図8(b)に示すように、後工程でリフレア部15を成形するためのリフレア成形しろ18とリフレア部15を成形しない部分19の間、特にリフレア付け根部の周囲にはフィンカラー14の立ち上げ方向に沿う方向に長さLで幅Bの切り欠き部16が設けられている。
さらにその後で、図10に示すようにカラー先端の一部であるリフレア成形しろ18を伝熱管2と接する側とは反対側(伝熱管保持部12の外側)に折り曲げ成形してリフレア部15を形成する。この折り曲げ成形の時、このリフレア部15の上面とフィンベース面10とのなす高さが、積層されるフィンのピッチ間隔FPと概略等しい高さで成形されるよう、下治具の高さはフィン1の板厚tとフィンのピッチ間隔FPを考慮して決められ、上治具によりリフレア成形しろ18を押圧成形して折り曲げ、リフレア部15を成形する。
また、フィンカラー14の立上げ成形後にリフレア部15を折り曲げ成形することにより、リフレア部15とフィンベース面10とのなす高さがフィンカラー14の成形ばらつきに影響されなくなり、フィンピッチFPのばらつきの少ない熱交換器を得ることができる。
従来、扁平形状伝熱管2と帯板状フィン1とはろう付によって固着されていた。フィン1には一般に耐食や汚染防止を目的とした樹脂コーティングを施すが、通常の樹脂コーティング剤は熱に弱いため、樹脂コーティング工程はフィンが高温に曝されるフィン1と伝熱管2のろう付け固着工程の後に行う必要があった。そのため複数積層組み立てられたフィン1にコーティング剤を塗布しようとすると、フィン間にコーティング剤が残るという問題があった。
また、リフレア部以外のフィンカラーの高さをフィンピッチとほぼ同じ高さまで高くすることができるため、フィンカラーと伝熱管の密着面積を増大させることができ、それによって熱交換器の性能を向上できるという効果がある。
次にこの発明の実施形態2における熱交換器用フィンについて図11に基づいて説明する。図11はこの発明の実施形態2の熱交換器用フィンの伝熱管保持部12を示す部分拡大図である。
図5に示す実施の形態1の熱交換器用フィンの伝熱管保持部12では、リフレア部15とフィンカラー14のリフレア部15が成形されていない部分との間、特にフィンカラー14のリフレア部15の付け根部周囲にはカラー先端部より四角形状の切り欠き部16を設けていたが、この図11に示す伝熱管保持部12においては、切り欠き部16の形状を円弧形状にしたものである。その他の構成は図5とほぼ同じ構成に付き、説明を省略する。
次にこの発明の実施形態3における熱交換器用フィンについて図12に基づいて説明する。図12はこの発明の実施形態3の熱交換器用フィンの伝熱管保持部12を示す部分拡大図である。
図5に示す実施の形態1の熱交換器用フィンの伝熱管保持部12では、フィンカラー14に設けられるリフレア部15は扁平状の伝熱管2の長辺と接する両面に対照に複数個(図示では各2個の合計4個)設けられていたが、この図12に示す伝熱管保持部12においては、フィンカラー14に設けられるリフレア部15の数を少なくすることで、フィンカラー14と伝熱管2との密着面積を増加することができ、熱交換性能に優れた熱交換器を得ることができるようにしたものである。
次にこの発明の実施形態4における熱交換器用フィンについて図14に基づいて説明する。図14はこの発明の実施形態4の熱交換器用フィンの斜視図である。
図14において、帯板状フィン1の材料は、実施の形態1と同様に、主としてアルミニウムあるいはアルミニウム合金を原料とする厚さ0.09〜0.18mmの薄板であり、表面に防食や防汚を目的としたコーティングが施されていることが望ましい。帯板状フィン1のベース面10には、空気の主流方向に開口したスリット11が長手方向に沿って所定間隔で設けられ、またスリット11の間には伝熱管2を挿通して保持するための伝熱管保持部12がフィンの長手方向に沿って適切な間隔DPで成形されている。フィンベース面10とスリット11のなす高さはフィンピッチ間隔FPの概略半分であることが望ましい。
フィンカラー14の先端部の少なくとも一部分に、伝熱管2と接する側とは反対側(伝熱管保持部12の外側)に折り曲げ成形されたリフレア部15が成形されている。このリフレア部15の上面とフィンベース面10とのなす高さは、積層されるフィンのピッチ間隔FPと概略等しい高さで成形されている。またこの実施形態4ではリフレア部15は扁平状の伝熱管2の長辺と接する両面に対照に複数個(図示では各2個)設けられているが、これに特に限定されるものでない。
このような熱交換器用フィンのフィンカラー14とリフレア部15の成形における寸法関係は、切り欠き部16の長さLが切り込み20の長さLに代わったのみで、図6と同様である。
また、従来はリフレア部以外のカラー高さは、成形の都合上フィンピッチよりも低くならざるを得なかったが、切り込みを設けることによりリフレア部以外のカラー高さをフィンピッチとほぼ同じ高さまで高くすることができるため、フィンカラーと伝熱管の密着面積を増大させることができ、それによって熱交換器の性能を向上できるという効果がある。
次にこの発明の実施形態5として、実施の形態2における熱交換器について図15に基づいて説明する。図15はこの発明の実施形態2のフィンアンドチューブ型熱交換器の概観斜視図である。
図15において、図1に示す実施形態1のフィンアンドチューブ型熱交換器と同様に、帯板状フィン1は適切な間隔FPで複数積層されており、帯板状フィン1のベース面10には、伝熱管2を挿通するための伝熱管保持部12がフィン1の長手方向に適切な間隔DPで設けられ、伝熱管保持部12は扁平形状断面を有する伝熱管2の長手方向に垂直な断面外周に概略沿う形状に成形されている。複数積層された帯板状フィン1に適切な間隔DPで複数挿通された伝熱管2の端部はヘッダ3に接続され、これらの伝熱管2の内部にはヘッダ3を通じて冷媒が流通される。
次にこの発明の実施形態6として、実施の形態3における熱交換器について図16に基づいて説明する。図16はこの発明の実施形態6のフィンアンドチューブ型熱交換器の概観斜視図である。 図16に示すフィン・チューブ型熱交換器は、実施の形態1および実施の形態2における熱交換器のヘッダ3の代わりに分配管4を用いることで、組み立て性に優れた熱交換器を得ることができるようにしたものである。その他の構成は図1に示す実施の形態1の熱交換器と同じに付き、説明を省略する。
なお、分配管4と伝熱管2は冷媒の漏洩を防止するためにろう付けによって接合され、伝熱管2と伝熱管保持部12のフィンカラー14の内面とは接着剤により接合されていることが望ましい。接着剤により接合した場合、伝熱管2とフィンカラー14とをろう付によって接合する場合よりも製造に必要なエネルギーを軽減することができ、環境負荷と製造コストを低減できる。
3:ヘッダ、 4:分配管、
10:フィンベース面、 11:スリット、
12:伝熱管保持部、 13:貫通穴、
14:フィンカラー、 15:リフレア部、
16:切り欠き部、 17:下穴、
18:リフレア成形しろ、 19:リフレアを成形しない部分
20:切り込み。
Claims (9)
- 帯板状に成形されるとともに、長手方向に沿って所定の間隔で伝熱管の外周面に沿った貫通穴からなる伝熱管保持部が成形された熱交換器用フィンにおいて、前記伝熱管保持部にはフィンベース面に形成された貫通穴の周縁からほぼ垂直に立ち上げ成形されて前記伝熱管の外周部と密接するフィンカラーが設けられ、前記フィンカラーの先端部の少なくとも一部分に、前記伝熱管と接する側とは反対側に折り曲げ成形されたリフレア部を形成し、前記リフレア部の上面と前記フィンベース面とのなす高さは積層されるフィンのピッチ間隔と等しい高さにするとともに、前記リフレア部と前記フィンカラーのリフレア部が成形されていない部分との間にカラー先端部より切り込みまたは切り欠き部を設け、この切り込みまたはこの切り欠き部の長さ(深さ)Lは前記リフレア部の折り曲げ半径R以上の長さにしたことを特徴とする熱交換器用フィン。
- リフレア部は、扁平状の伝熱管の長辺と接する両面に対照に複数個設けられた請求項1に記載の熱交換器用フィン。
- リフレア部は、扁平状の伝熱管の長辺と接する両面で熱交換流体の流れの風下側と風上側とでずらした位置に配置した請求項1に記載の熱交換器用フィン。
- フィンカラーのリフレア部が成形されていない部分の高さは、積層されるフィンのピッチ間隔を超えない範囲でフィンのピッチ間隔とほぼ等しい高さにした請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱交換器用フィン。
- 伝熱管保持部の貫通穴は、帯板状フィンの長手方向の辺の一端側が開放されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の熱交換器用フィン。
- 帯板状フィンの長手方向に沿って所定の間隔で熱交換流体の主流方向に開口した複数のスリットを成形する工程、前記複数のスリット間に伝熱管保持部となる下穴を加工する工程、前記下穴の周縁を垂直に立ち上げてフィンカラーを成形する工程、前記フィンカラーの先端部の少なくとも一部分に、伝熱管と接する側とは反対側に折り曲げてリフレア部を成形する工程を備え、前記下穴加工工程時に、前記リフレア部と前記フィンカラーのリフレア部が成形されていない部分との間に切り込みまたは切り欠き部を設け、この切り込みまたはこの切り欠き部の長さ(深さ)Lは、前記リフレア部成形工程における折り曲げ半径R以上の長さにした熱交換器用フィンの製造方法。
- 帯板状に成形されるとともに、長手方向に沿って所定の間隔で伝熱管保持部が成形され、その伝熱管保持部の周縁に伝熱管と密接するフィンカラーが成形されたフィンと、所定の間隔で複数積層された前記フィンの前記伝熱管保持部に略直角に挿通されるとともに、内部を被熱交換流体が流れ、断面外周が扁平形状の伝熱管とから構成されるフィンアンドチューブ型の熱交換器において、前記フィンカラーはフィンベース面に形成された貫通穴の周縁からほぼ垂直に立ち上げ成形されて前記伝熱管の外周に沿う形状とし、前記フィンカラーの先端部の一部分に前記伝熱管と接する側とは反対側に折り曲げ成形されたリフレア部が、積層されるフィンのピッチ間隔と等しい高さで形成されるとともに、前記リフレア部と前記フィンカラーのリフレア部を成形しない部分との間に、切り込みまたは切り欠き部が設けられ、この切り込みまたはこの切り欠き部の長さ(深さ)Lは前記リフレア部の折り曲げ半径R以上の長さにしたことを特徴とする熱交換器。
- 伝熱管保持部の貫通穴は、帯板状フィンの長手方向の辺の一端側が開放されていることを特徴とする請求項7に記載の熱交換器。
- フィンカラーと伝熱管とが接着剤によって固着されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の熱交換器。
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