JP5139105B2 - 気相成長装置 - Google Patents

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本発明は、気相成長装置に関し、詳しくは、基板を基板保持部材及び回転歯車部材を介してサセプタに回転可能に設けるとともに、サセプタ裏面側に設けた加熱手段により前記基板保持部材を介して前記基板を加熱する自公転型の気相成長装置に関する。
青色発光ダイオード、緑色発光ダイオード及び紫外レーザーダイオードの材料となる窒化ガリウム(GaN)系半導体デバイスに用いられる化合物半導体等の薄膜を製造するための気相成長装置では、有機金属及びアンモニアを原料として水素又は窒素をキャリアガスとした原料ガスを加熱した基板上に供給し、基板面にGaN薄膜を気相成長させている。このような気相成長装置として、基板面における原料ガスの状態等の処理条件を均一にするため、基板を公転させながら自転させる、いわゆる自公転型の気相成長装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。さらに、GaN薄膜は成膜温度によって大きな影響を受けるため、複数の基板を同時に処理する場合、基板とサセプタとの間に調整板を介在させ、調整板の厚さを調節することによって複数の基板温度の均一化を図ることも行われている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2007−243060号公報 特開2007−273660号公報
特許文献1に記載された自公転型の気相成長装置に、特許文献2に記載された調整板を採用することにより、複数の基板の温度条件を均一化することが可能であるが、サファイア等で形成される調整板を最適な厚さの円盤状に成形するのに多大な手間及びコストが掛かり、調整板の着脱性にも問題があった。
そこで本発明は、自公転型の気相成長装置において、簡単な構造で加熱手段と基板保持部材との距離を調整することができ、複数の基板の温度を均一化することができる気相成長装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、チャンバー内に回転可能に設けられた円盤状のサセプタと、該サセプタの外周部に回転可能に設けられた複数の円筒状の回転歯車部材と、該回転歯車部材に保持される円柱状の基板保持部材と、前記回転歯車部材の外周に設けられた外歯車に歯合する内歯車を有する固定歯車部材と、前記チャンバーのサセプタ表面側に設けられた原料ガス導入部と、前記チャンバーのサセプタ裏面側に設けられた不活性ガス導入部と、前記チャンバーの反原料ガス導入部側及び反不活性ガス導入部側にそれぞれ設けられた排気部と、前記チャンバーのサセプタ裏面側に設けられた加熱手段とを備えた自公転機構を有する気相成長装置において、前記基板保持部材は、上面に基板載置部を設けた大径部と、該大径部の下面から突出した小径部と、大径部と小径部との間の水平方向の下向き段部とを有し、前記回転歯車部材は、内周上部の前記基板保持部材の大径部を収納する大径収納部と、内周下部の前記基板保持部材の小径部を収納する小径収納部と、大径収納部と小径収納部との間で前記基板保持部材の下向き段部を載置する載置段部とを有し、前記基板保持部材の下向き段部と前記回転歯車部材の載置段部との間に、回転歯車部材に保持した基板保持部材の高さ調整を行うためのスペーサリングを介装したことを特徴とし、前記スペーサリングを、窒化ケイ素と窒化ホウ素との複合材料で形成すると好適である。
本発明の気相成長装置によれば、スペーサリングの厚さを変えることで加熱手段と基板保持部材との間の距離が調整可能となり、同時に成膜処理を行う複数の基板の温度を均一化することができる。また、スペーサリングを窒化ケイ素と窒化ホウ素との複合材料で形成することにより、加工性の向上と強度の向上とを図ることができる。
図1は本発明の気相成長装置の一形態例を示す断面図、図2は図1のII−II断面図、図3は図2のIII−III断面図である。
本形態例に示す気相成長装置11は、ステンレスで形成された偏平円筒状のチャンバー12内に円盤状のサセプタ13を回転可能に設けるとともに、該サセプタ13の外周部に複数の基板保持部材14を回転歯車部材15を介して回転可能に設けた自公転型気相成長装置であって、10枚の基板16を同時に処理することができるように形成されている。
サセプタ13は、チャンバー12の底面部分を貫通した回転軸17により支持されている。チャンバー12の下部にはヒーター18や温度計19がそれぞれ設けられ、ヒーター18の周囲にはリフレクター20が設けられている。また、チャンバー12のサセプタ表面側中央部には原料ガス導入部21が設けられ、外周部には排気部22が設けられるとともに、回転軸17の周囲には不活性ガス導入部23が設けられ、リフレクター20の外周には前記排気部22に連通する不活性ガス導出部24が設けられている。
サセプタ13の外周部には、前記回転歯車部材15を収納する平面視円形の収容部13aが周方向に等間隔で設けられている。収容部13aのサセプタ13外周側には開口部13bが設けられ、回転歯車部材15の外歯車15aがサセプタ13外周に突出するように形成されている。
基板保持部材14は、上面に基板16を載置する基板載置部14aを設けた大径部14bと、該大径部14bの下面から突出した小径部14cと、大径部14bと小径部14cとの間の水平方向の下向き段部14dとを有する円柱状に形成されている。
回転歯車部材15は、内周上部の前記基板保持部材14の大径部14bを収納する大径収納部15bと、内周下部の前記基板保持部材14の小径部14cを収納する小径収納部15cと、大径収納部15bと小径収納部15cとの間で前記基板保持部材14の下向き段部14dを載置する載置段部15dとを有する円筒状に形成され、上部外周には前記外歯車15aが形成されている。この回転歯車部材15は、前記収容部13a内に、カーボンやセラミックで形成された多数のボール25を介して回転可能に収容されている。
基板保持部材14は、下向き段部14dと載置段部15dとの間に、スペーサリング26を介装させた状態で回転歯車部材15の内部に収納されて保持され、回転歯車部材15と一体的に回転する。スペーサリング26は、回転歯車部材15に保持した基板保持部材14の高さ調整を行うものであって、厚さ寸法の異なるものが複数用意されている。このスペーサリング26は、サファイアやカーボン等の各種材料で形成することができるが、窒化ケイ素と窒化ホウ素の複合材料で形成することにより、加工性の向上と強度の向上を図ることができる。
また、サセプタ13の外周位置には、前記開口部13bから突出する回転歯車部材15の外歯車15aに歯合する内歯車27aを備えたリング状の固定歯車部材27が設けられている。
上述の気相成長装置11で基板16の上面に薄膜を気相成長させる際に、回転軸17を所定速度で回転させてサセプタ13を回転させると、このサセプタ13の回転により、サセプタ13の軸線を中心として公転する回転歯車部材15の外歯車15aが固定歯車部材27の内歯車27aと歯合することにより、回転歯車部材15及びこれに保持された基板保持部材14がその軸線を中心として自転し、これによって基板16が自公転する状態となる。
一方、ヒーター18を作動させてサセプタ13及び基板保持部材14を介して基板16を所定温度、例えば1100℃に加熱した状態で、原料ガス導入部21から所定の原料ガス、例えばトリメチルガリウムとアンモニアとをチャンバー12内のサセプタ上面側に導入し、外周の排気部22から排出することにより、複数の基板16の上面に所定の薄膜を堆積させることができる。これと同時に、不活性ガス導入部23から所定の不活性ガス、例えば窒素ガスをサセプタ13の下方の空間部Eに導入して排気部22から排出することにより前記空間部Eをパージする。
このようにして基板16の上面に薄膜を形成する際に、基板保持部材14の製作誤差等によって各基板保持部材14に載置した基板16の温度が異なることがあるが、各基板の温度差に応じて前記スペーサリング26の厚さ寸法を変えて基板保持部材14の高さを調節し、基板保持部材14の底面とヒーター18との距離を調節することにより、各基板の温度差を最小とすることができ、均一な温度条件で薄膜を気相成長させることができる。
前記形態例に示した気相成長装置11を用いて10個の基板保持部材14の表面温度を均一化する実験を行った。スペーサリングは、厚さ1mmを基準とし、0.1mm刻みで0.7〜1.3mmの厚さのスペーサリングをそれぞれ10枚ずつ作成した。
まず、基準として厚さ1mmのスペーサリングを各下向き段部14dと載置段部15dとの間にそれぞれ介装し、ヒーター温度(測定値):850℃,ガス種:窒素ガス,ガス流量:300SLM,リアクタ圧力:大気圧、の測定条件で、放射温度計によって各基板保持部材14の表面温度をそれぞれ測定した。その結果を図4に示す。この測定結果から、各基板保持部材の表面温度の最高温度と最低温度とに2.6℃の温度差があり、各基板保持部材の表面温度は、この範囲でばらついていることがわかった。
また、各厚さのスペーサリングをそれぞれ介装したときの各基板保持部材の表面温度を同じ測定条件で測定し、スペーサリングの厚さと基板保持部材の表面温度との関係を調べた。その結果を図5に示す。この結果から、スペーサリングの厚さが1mm増加すると基板保持部材の表面温度が6℃低下すること、すなわち、スペーサリングを0.1mm厚くすると、基板保持部材の表面温度が約0.6℃下がることがわかった。
次に、図4及び図5の結果に基づいて、表1に示すように、平均温度よりも表面温度が高い基板保持部材に1mmよりも厚いスペーサリングを介装すとともに、平均温度よりも表面温度が低い基板保持部材に1mmよりも薄いスペーサリングを介装し、各基板保持部材の表面温度を同じ測定条件で測定した。その結果を図6に示す。
Figure 0005139105
図6の測定結果に示すように、スペーサリングの厚さを変えることにより、すなわち、各基板保持部材の底面とヒーターとの距離を調整することにより、各基板保持部材の表面温度のばらつきを0.5℃の範囲内に改善できたことがわかる。
10個のスペーサリングの厚さを全て1mmとした状態で、周知の処理条件により、発光波長約450nm狙いでLED構造を基板面にそれぞれ気相成長させた。得られたLED構造について、PL測定により各基板の発光波長を測定した。その結果を図7に示す。この結果から、基板間の波長分布は、約6nm(max−min)であることがわかる。
次に、表1で示した各厚さのスペーサリングをそれぞれ使用し、同じ処理条件にて発光波長約450nm狙いでLED構造を基板面にそれぞれ気相成長させた。得られたLED構造について、前記同様にPL測定により各基板の発光波長を測定した。その結果を図8に示す。この結果から、基板間の波長分布は、約2.2nm(max−min)となっており、基板間の波長再現性を向上できることがわかる。
本発明の気相成長装置の一形態例を示す断面図である。 図1のII-II断面図である。 図2のIII-III断面図である。 実施例1における基板保持部材とその表面温度との関係を示す図である。 同じくスペーサリング厚さと基板保持部材の表面温度との関係を示す図である。 同じく基板保持部材とその表面温度との関係を示す図である。 実施例2における基板保持部材とRPMとの関係を示す図である。 同じく基板保持部材とRPMとの関係を示す図である。
符号の説明
11…気相成長装置、12…チャンバー、13…サセプタ、13a…収容部、13b…開口部、14…基板保持部材、14a…基板載置部、14b…大径部、14c…小径部、14d…下向き段部、15…回転歯車部材、15a…外歯車、15b…大径収納部、15c…小径収納部、15d…載置段部、16…基板、17…回転軸、18…ヒーター、19…温度計、20…リフレクター、21…原料ガス導入部、22…排気部、23…不活性ガス導入部、24…不活性ガス導出部、25…ボール、26…スペーサリング、27…固定歯車部材、27a…内歯車

Claims (2)

  1. チャンバー内に回転可能に設けられた円盤状のサセプタと、該サセプタの外周部に回転可能に設けられた複数の円筒状の回転歯車部材と、該回転歯車部材に保持される円柱状の基板保持部材と、前記回転歯車部材の外周に設けられた外歯車に歯合する内歯車を備えた固定歯車部材と、前記チャンバーのサセプタ表面側に設けられた原料ガス導入部と、前記チャンバーのサセプタ裏面側に設けられた不活性ガス導入部と、前記チャンバーの反原料ガス導入部側及び反不活性ガス導入部側にそれぞれ設けられた排気部と、前記チャンバーのサセプタ裏面側に設けられた加熱手段とを備えた自公転機構を有する気相成長装置において、前記基板保持部材は、上面に基板載置部を設けた大径部と、該大径部の下面から突出した小径部と、大径部と小径部との間の水平方向の下向き段部とを有し、前記回転歯車部材は、内周上部の前記基板保持部材の大径部を収納する大径収納部と、内周下部の前記基板保持部材の小径部を収納する小径収納部と、大径収納部と小径収納部との間で前記基板保持部材の下向き段部を載置する載置段部とを有し、前記基板保持部材の下向き段部と前記回転歯車部材の載置段部との間に、回転歯車部材に保持した基板保持部材の高さ調整を行うためのスペーサリングを介装したことを特徴とする気相成長装置。
  2. 前記スペーサリングは、窒化ケイ素と窒化ホウ素との複合材料で形成されることを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
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