JP5785065B2 - 気相成長装置の抵抗加熱ヒータのパージ方法、気相成長装置 - Google Patents
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Description
このような気相成長装置において、窒化ガリウムや窒化アルミニウム等の窒化物系化合物半導体膜を形成する場合、アンモニア等の腐食性を有する原料ガスを使用するため、抵抗加熱ヒータが原料ガスによって腐食されるのを防止する手段を講じる必要がある。このような抵抗加熱ヒータの腐食防止手段として、例えば抵抗加熱ヒータが設置されている空間を窒素などの不活性ガスによってパージすることが行われている(特許文献1参照)。
そのため、抵抗加熱ヒータに使用する材質の点からはアンモニアに対する耐腐食性を有し、かつ1400℃という高温でも使用可能であることが要求される。
このような抵抗加熱ヒータとしては、熱分解窒化ホウ素(PBN)や炭化珪素(SiC)をグラファイトに積層コーティングしたものが知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、PBNを用いた場合、プロセス条件によってはホウ素(B)が薄膜に取り込まれ、それが不純物として薄膜の性能を害することがあるため、抵抗加熱ヒータの材質としてホウ素(B)を含まないものが望まれる。
しかしながら、SiC材を抵抗加熱ヒータとして使用する場合、1200℃以上で水素と反応し、ケイ素の水素化物を発生し、さらに、1400℃以上では窒素と反応してケイ素の窒化物を生成する。
そのため、高温下でキャリヤガスとして水素や窒素さらに原料ガスとしてアンモニアのような腐食性ガスを用いて気相成長を行う場合には、抵抗加熱ヒータとしてSiCをコーティングしたものや、SiC材によって形成された抵抗加熱ヒータ(SiCヒータ)を用いることができなかった。
この場合、抵抗加熱ヒータをキャリヤガスから保護するために、抵抗加熱ヒータが設置される空間にパージガスを流すことが考えられるが、パージガスとして従来用いられている窒素を用いると、SiCがパージガス自体と反応してSiCヒータの窒化が起こる。
SiCヒータの窒化が起こると、窒化した部分の輻射率が変化してし、基板の温度分布が一様でなくなり、気相成長の再現性などに悪影響を与えるという問題がある。
また、SiCヒータの窒化が更に進行すると、該進行に伴ってSiCヒータが徐々にやせ細り、最終的には断線してしまうというという問題がある。
前記抵抗加熱ヒータの温度を1400℃以上にすると共に、前記抵抗加熱ヒータ周辺をパージするパージガスとして、アルゴン、キセノン、またはこれらの混合ガスのいずれかを用いることを特徴とするものである。
1400℃以上という高温であっても、キャリヤガスや原料ガスによってSiCヒータが窒化することがなく、またパージガス自体による窒化が生ずることもない。その結果、SiCヒータの窒化による輻射率の変化などの問題が生ずることがなく、組成均一性、膜厚均一性、温度再現性が向上し、高品質のGaN薄膜を得ることができる。
また、SiCヒータの窒化が防止されるので、SiCヒータの劣化が抑制され、ヒータ交換周期を延ばすことができる。
気相成長装置1は、偏平円筒状のチャンバー3内に円盤状のサセプタ5を回転可能に設けるとともに、該サセプタ5の外周部に複数の基板保持部材7を回転可能に設けた自公転型気相成長装置であって、サセプタ5は、チャンバー3の底面部分を貫通した回転軸9により支持されている。チャンバー3の下部にはSiCヒータ11や温度計13がそれぞれ設けられ、SiCヒータ11の周囲にはリフレクター15が設けられている。また、チャンバー3のサセプタ5表面側中央部には、原料ガス導入部17が設けられ、外周部には排気部19が設けられるとともに、回転軸9の周囲にはパージガス導入部21が設けられ、リフレクター15の外周には排気部19に連通するパージガス導出部23が設けられている。
パージガスとしてアルゴンを用いているので、キャリヤガスや原料ガスによってSiCヒータ11が窒化することがなく、またパージガス自体によって窒化することがない。
その結果、SiCヒータ11の窒化による輻射率の変化などの問題が生ずることがなく、組成均一性、膜厚均一性、温度再現性が向上し、高品質のGaN薄膜を得ることができる。
また、SiCヒータ11の窒化の進行を抑制されるため、SiCヒータ11の部品交換周期を延ばすことができる。
パージガスとしてキセノンを使用する場合、下記の実施例2において実証されるように、アルゴンを使用する場合よりもガス流量を低減することができ、ヒータ発熱量を低減できヒータ寿命を長期化できると共にコスト低減もできるのでより好ましい。
実験は、サファイア基板25上にGaN系LED用のGaN薄膜を生成させる気相成長処理を、複数のパージガスを用いてそれぞれ複数回行い、各パージガスがSiCヒータ11の窒化の進行度合いに与える影響を比較するものである。
SiCヒータ11の窒化が進行すると、その進行に伴ってSiCヒータ11表面がまず白色に変色した後、黄白色の窒化物が堆積される。この変色及び堆積物の析出度合いを観察することで、SiCヒータ11の窒化の進行度合いを確認することができる。
パージガスには、窒素、キセノン、アルゴンをそれぞれ使用した。また、原料ガスにはアンモニアを用いた。チャンバー3内の圧力は大気圧とし、SiCヒータ11表面の温度は1400℃とした。
他方、アルゴン及びキセノンを用いて同流量・同回数で気相成長処理を行ったが、変色は観察されず、気相成長処理回数1000回以上でも断線しなかった。
また、アルゴンやキセノンは希少ガスで高価であるため、これらをパージガスとして使用する場合、使用量は少ない方が経済的に好ましい。
以上の理由から、パージガスにアルゴンやキセノンを使用する場合はパージガス流量が少ない方が好ましい。
実験の結果、アルゴンを用いた場合、気相成長処理回数30回目で変色が確認された。これはパージガスの流量を半分の量にしたため、原料ガスがSiCヒータ11が設置されている空間部Eに侵入し、原料ガスに使用したアンモニアによってSiCヒータ11が窒化したことが原因であると思われる。
一方、キセノンを用いた場合、気相成長処理回数50回を超えても変色が見られなかった。したがって、キセノンを用いる場合のパージガス流量は、窒素を用いる場合のパージガス流量の半分の流量(15SLM)で足りることが実証された。
1 気相成長装置
3 チャンバー
5 サセプタ
7 基板保持部材
9 回転軸
11 SiCヒータ
13 温度計
15 リフレクター
17 原料ガス導入部
19 排気部
21 パージガス導入部
23 パージガス導出部
25 基板
Claims (4)
- 基板の加熱手段としてSiC材からなる抵抗加熱ヒータを用い、該抵抗加熱ヒータによって前記基板の温度を1000℃以上に加熱して前記基板に窒化物系化合物半導体膜を形成する気相成長装置における前記抵抗加熱ヒータのパージ方法であって、
前記抵抗加熱ヒータの温度を1400℃以上にすると共に、前記抵抗加熱ヒータ周辺をパージするパージガスとして、アルゴン、キセノン、またはこれらの混合ガスのいずれかを用いることを特徴とする気相成長装置における抵抗加熱ヒータのパージ方法。 - 前記パージガスとしてキセノンを用いることを特徴とする請求項1記載の気相成長装置における抵抗加熱ヒータのパージ方法。
- チャンバー内に回転可能に設けられた円盤状のサセプタと、該サセプタの外周部に回転可能に設けられて基板を保持する複数の円盤状の基板保持部材と、該基板保持部材の外周に設けられた外歯車に歯合する内歯車を備えた固定歯車部材と、前記チャンバーのサセプタ表面側に設けられて窒化物系化合物半導体製造用の原料ガスを導入する原料ガス導入部と、前記チャンバーのサセプタ裏面側に設けられてアルゴン、キセノン、またはこれらの混合ガスのいずれかをパージガスとして導入するパージガス導入部と、前記チャンバーにおける原料ガス導入部及びパージガス導入部の反対側にそれぞれ設けられた排気部と、前記チャンバーにおけるサセプタ裏面側に設けられて前記基板保持部材に保持された基板を1000℃以上に加熱するために1400℃以上に発熱するSiC材からなる抵抗加熱ヒータとを備えたことを特徴とする気相成長装置。
- 前記パージガスとしてキセノンを用いることを特徴とする請求項3記載の気相成長装置。
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