JP5138470B2 - トランスファモールド装置とこれを用いたトランスファモールド方法 - Google Patents

トランスファモールド装置とこれを用いたトランスファモールド方法 Download PDF

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本発明はトランスファモールド装置とこれを用いたトランスファモールド方法に関し、より詳細には、低粘性の樹脂を用いて被成形品を減圧成形法によって樹脂モールドする際において用いて好適なトランスファモールド装置とこれを用いたトランスファモールド方法に関する。
樹脂モールド金型を用いて半導体装置部品等を樹脂封止する際において、キャビティ空間内を減圧した状態で樹脂モールド成形を行うことがある。キャビティ空間内を減圧した状態で樹脂モールド成形する際に、低粘性の樹脂モールド用樹脂を用いると、キャビティ空間を減圧するためのエアベント部分から樹脂が漏出してしまうことがあり、樹脂モールド成形品に不良が発生するという課題や、トランスファモールド金型に樹脂が付着してしまうため、成形作業を停止して金型の洗浄を行わなければならず、生産性が悪くなるといった課題があった。
このような課題を解決するための一例として、例えば、特許文献1に開示されているような樹脂封止装置が提案されている。
特開2002−184797号公報
特許文献1に開示されているような樹脂封止装置によれば、エアベントに、エアベントの開閉弁となる可動部材を配設し、樹脂封止成形を行う際において、エアベント内の可動部材を適宜動かしてエアベントの開閉状態を切り替えることにより、減圧成形法を採用した際に生じるモールド用樹脂からのボイドの発生や、エアベントからの低粘性樹脂の漏出に関する不具合を解消することができる。
しかしながら、引用文献1記載の樹脂封止装置を用いても成形品のモールド樹脂部分にボイドやジェッティングがしばしば見られることがあり、更なる歩留りの向上が望まれている。
本願発明は、減圧成形を行うことが可能なトランスファモールド装置とこれを用いたトランスファモールド方法において、成形品のモールド樹脂部分におけるボイドの発生およびジェッティングの発生を効果的に防止して、歩留りをさらに向上させることが可能なトランスファモールド装置とこれを用いたトランスファモールド方法の提供を目的としている。
本発明者は以上に示した課題を解決すべく検討を行ったところ、ポットに供給されるモールド用樹脂に含まれている水分が膨張し、その膨張量が従来のトランスファモールド金型の減圧能力を超えているために成形品のモールド樹脂にボイドが発生すること、および、モールド用樹脂がゲート部からキャビティ空間に入った際に大幅な減圧された状態になることでモールド用樹脂の内部の溶剤等がボイドとなってあらわれたり、ジェッティングが発生したりすることを見出し、本願発明の構成に想到した。
すなわち、ポット、前記ポット内を往復動して前記ポットに供給されたモールド用樹脂をカル、ランナおよびゲートを介してキャビティに圧送するプランジャ、前記キャビティに連通するように設けられたエアベント、および、前記エアベントの流路断面に進退出して前記エアベントの開閉状態を切り替える可動ピンを備えたトランスファモールド金型と、該エアベントを介してエアを吸引するエア吸引手段と、前記可動ピンの進退出動作と前記エア吸引手段の動作を制御する制御部と、を有するトランスファモールド装置において、前記制御部は、前記ポット内に前記モールド用樹脂が供給され前記トランスファモールド金型をクランプした後に、前記可動ピンが前記エアベントの流路から退避した状態において前記エア吸引手段を作動させ、前記キャビティ内と前記ポット内のエアと、前記モールド用樹脂内の水分との排出を開始させる開始処理と、前記プランジャにより押し出された前記モールド用樹脂の流頭が前記ゲートを通過する前に、前記エア吸引手段の動作を停止する停止処理と、前記モールド用樹脂の流頭が、前記キャビティ内に到達した際に、前記エア吸引手段の動作を再開させる再開処理と、前記モールド用樹脂の流頭が、前記エアベントの直前位置まで到達した際に、前記可動ピンを前記エアベントの流路内に進出させて前記エアベントを閉塞させる閉塞処理と、を含む切り替え制御処理を実行することを特徴とするトランスファモールド装置を第1発明とした。
また、前記エアベントを介して外部からのエアを供給するエア供給手段をさらに有し、前記制御部は、前記切り替え制御処理において、前記停止処理に合わせて前記キャビティ内を一旦大気圧に戻すための前記エア供給手段により前記キャビティ内にエアを供給させる供給処理を実行することを特徴とする。これにより、キャビティ内の気圧が低い場合にゲートで発生する樹脂のジェッティング現象を防ぐことができる。
また、前記制御部は、前記ポット内における前記プランジャの位置に基づいて特定される前記モールド用樹脂の到達位置に応じて前記切り替え制御処理を実行することを特徴とする。これにより、制御部が可動ピンの進退出状態やエア吸引手段の動作の切り替えを行う際の判断を容易にしかも正確に行うことができる。
また、第2の発明として、ポット、前記ポット内を往復動して前記ポットに供給されたモールド用樹脂をカル、ランナおよびゲートを介してキャビティに圧送するプランジャ、前記キャビティに連通するように設けられたエアベント、および、前記エアベントの流路断面に進退出して前記エアベントの開閉状態を切り替える可動ピンを備えたトランスファモールド金型と、該エアベントを介してエアを吸引するエア吸引手段と、を有するトランスファモールド装置を用いて前記可動ピンの進退出動作と前記エア吸引手段の動作を制御する切り替え制御処理を行いながら樹脂モールドするトランスファモールド方法において、前記切り替え制御処理には、前記ポット内に前記モールド用樹脂が供給され前記トランスファモールド金型をクランプした後に、前記可動ピンが前記エアベントの流路から退避した状態において前記エア吸引手段を作動させ、前記キャビティ内と前記ポット内のエアと、前記モールド用樹脂内の水分との排出を開始させる開始処理と、前記プランジャにより押し出された前記モールド用樹脂の流頭が前記ゲートを通過する前に、前記エア吸引手段の動作を停止させる停止処理と、前記モールド用樹脂の流頭が、前記キャビティ内に到達した際に、前記エア吸引手段の動作を再開させる再開処理と、前記モールド用樹脂の流頭が、前記エアベントの直前位置まで到達した際に、前記可動ピンを前記エアベントの流路内に進出させて前記エアベントを閉塞させる閉塞処理と、が含まれることを特徴とするトランスファモールド方法の発明がある。
また、前記切り替え制御処理には、前記キャビティ内を一旦大気圧に戻すために前記停止処理に合わせて前記エアベントを介して外部からのエアを供給する前記エア供給手段で前記キャビティ内にエアを供給させる供給処理が含まれることを特徴とする。これにより、キャビティ内の気圧が低い場合にゲートで発生する樹脂のジェッティング現象を防ぐことができる。
また、前記ポット内における前記プランジャの位置に基づいて特定される前記モールド用樹脂の到達位置に応じて前記切り替え制御処理が行われることを特徴とする。これにより、制御部が可動ピンの進退出状態やエア吸引手段の動作の切り替えを行う際の判断を容易にしかも正確に行うことができる。
本発明の構成を採用することにより、ポット内に供給された液体樹脂や顆粒樹脂、タブレット樹脂に含まれている水分と溶剤、気泡等を減圧作用と加熱によってモールド用樹脂がキャビティ内に圧送される前に予めトランスファ金型内から外部に排出しているので、その後にキャビティ内に注送される樹脂の中に含まれる気泡量を少なくすることができる。これに加えて、第2回目のキャビティ内減圧を行うことにより、樹脂がゲートから突入した際に巻き込まれた気泡と、その後のゲート通過に伴う渦巻きの中で微細な気泡どうしを合体させることにより大きな気泡に成長させ、樹脂のファウンテンフロ流頭からキャビティ内の減圧空間に効果的に脱泡させることができる。
また、樹脂の流頭がエアベントの直前に到達した時にエアベントを隙間なく閉止するので基板と金型をエアベント漏れ樹脂に因って汚染することがなく、エアベント周辺に残った未充てん空間は極めて小さいので低い樹脂圧力で潰すことができるので、粘度が低い樹脂による成型で必須条件となる低圧成型を行う際に、樹脂成型品に含まれるボイドを極めて小さくすることができると共に、ボイドの数も少ないパッケージを成型することができるので、歩留まりを大幅に向上させることができる。
さらには、LEDパッケージやレンズなどの光学部品の光学特性を従来よりも高めることもでき、加えて、量産時におけるトランスファモールド装置からの樹脂漏れトラブルを無くすことができる。
以下に、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるトランスファモールド装置のトランスファ動作前における断面図である。図2は、図1における上型の構成の説明図である。図3は、トランスファモールド装置のトランスファ動作の状態と、各状態においてプランジャが受ける圧力の関係およびエアベントの開閉状態、エア吸排手段のオンオフ状態を示す説明図である。図4は、トランスファモールド装置のトランスファ動作の状態と、各状態におけるキャビティ内における圧力状態、エアベントの開閉状態、キャビティ内の充てん率の変化を示す説明図である。図2におけるハッチング部分はトランスファモールド装置の金型によるクランプ部分を示すものである。
本実施形態におけるトランスファモールド装置100の金型は、図1に示すように、キャビティ12となる凹部14が形成された上型10と被成形品である半導体装置22がセットされるセット凹部24が形成された下型20とを主体に構成されている。上型10において、キャビティブロック15とクランパーブロック16との間、および、キャビティブロック15とセンターブロック17との間、には上型10の表面に沿ってリリースフィルム30を吸引するためのフィルム吸引部32が設けられている。クランパーブロック16とチェイスブロック18との間部分には気密用のシール部材34が配設されている。チェイスブロック18には、キャビティブロック15が直接固定されている。チェイスブロック18とこれが固定されたベースブロック13との間には、弾発材であるコイルスプリング16A,17Aが弾装された支持部材16B,17Bが設けられている。クランパーブロック16およびセンターブロック17は、支持部材16B,17Bに支持されてチェイスブロック18から離間した状態で取り付けられている。リリースフィルム30は、フィルム吸引部32に連通するフィルム吸引手段40により上型10のキャビティ12を覆うようにして表面に吸着保持される。フィルム吸引手段40としてはエア吸引手段が好適に用いられる。
クランパーブロック16には、キャビティ12内およびポット50およびカル部(本実施形態においては、カルとランナを含めたものをこのように称している)52内のエアを金型クランプ時にトランスファモールド装置100の外部(金型の外部)に排出するためのエアベント60が設けられている。エアベント60は、クランパーブロック16に貫通状態で設けられた可動ピン62を金型クランプ面側に前進(進出)させることによって閉塞されると共に金型クランプ面側から後退(退避)させることによって開放される。可動ピン62は、エアベント60を閉塞するために、エアベント60の幅寸法よりも大きな径寸法に形成され、金型クランプ面におけるエアベント60上にクランパーブロック16の支持方向(図1内の上下方向)に進退出可能に配設されている。また、可動ピン62はクランパーブロック16とチェイスブロック18を貫通させた状態で配設されている。また、可動ピン62は、チェイスブロック18の凹穴19に配設された弾発材のコイルスプリング64によりエアベント60との連通部から離反して金型クランプ面から離間する方向に付勢された状態で配設されている。このようにして配設された可動ピン62は、中継ピン66を介して可動ピン作動用アクチュエータ68により、エアの流路となるエアベント60への進退出動作が制御されている。
下型20には、ポット50とポット50の内部空間を図1において上下方向に往復駆動するプランジャ70とが配設されている。プランジャ70は後述するプランジャ駆動ユニット80により駆動する。
トランスファモールド装置100は、ポット50内に収容されたプランジャ70の上面に供給されたモールド用樹脂をプランジャ70により圧送してキャビティ12に充てんすることにより被成形品を樹脂モールドする。
トランスファモールド装置100においてエアベント60の平面位置よりもさらに外方側位置には、上型10と下型20とを型合わせした際に、金型のパーティング面を気密にシールするためのパーティング面シール部材69が配設されている。エアベント60とパーティング面シール部材69との間において下型20の金型パーティング面には、エアベント60からキャビティ12およびカル部52からエアを流通させるためのエア流通路92が設けられている。このエア流通路92は、本発明におけるエア吸引手段として機能するエア給排装置90に連通している。
エアベント60の周辺構造について図2に基づいて説明する。
同図において、エアベント60は、上型10の2箇所に配設されている。上型10のクランパーブロック16側からエアベント60の流路内に進退出可能な可動ピン62の径寸法Dは、図2に示すように、エアベント60の幅寸法Wよりも大きく形成されている。このように可動ピン62の径寸法Dをエアベント60の幅寸法Wよりも径大寸法とすることによりエアベント60の流路内に可動ピン62を進出させるだけでエアベント60を確実に閉止することができる。
図2に示すように、エアベント60を2箇所に配設しているが、エアベント60の配設数は2箇所に限定されるものではなく、単数であっても3箇所以上の複数箇所に配設する形態或いは、ゲートに対向する辺全体にわたって進退出可能な形態としても良いのはもちろんである。
ポット50内におけるプランジャ70の駆動を制御する駆動ユニット80は、プランジャ70の軸に配設されて、プランジャ70の軸にかかる圧力を検出する圧力センサ82と、圧力センサ82を介してプランジャ70の軸に連結されたボールネジ84と、ボールネジ84を回転させるサーボモータ86と、ポット50内におけるプランジャ70の駆動量(移動量)に相当するサーボモータ86の回転量を検出するエンコーダ88とにより構成されている。圧力センサ82により検出されるプランジャ70に加わった圧力を示す圧力情報、および、エンコーダ88により検出されたプランジャ70の駆動量を示す駆動量情報(位置座標信号)は、図示しない制御部に送信される。制御部はエンコーダ88から送信されたプランジャ70の駆動量情報、および、圧力センサ82から送信された圧力情報に基づいて、可動ピン62の可動ピン作動用アクチュエータ68の動作と、エア吸引手段およびエア排出手段であるエア給排装置90の動作を制御する。
このような制御部は、後述するような処理を実行させるための制御プログラムが組み込まれたマイクロコンピュータ、または、記憶手段に制御プログラムが組み込まれた一般的なパーソナルコンピュータにより構成することができる。例えば、この記憶手段には、プランジャ70の駆動量から、金型クランプ状態のトランスファモールド装置100におけるランナやキャビティ12内でのモールド用樹脂の到達位置を特定可能な位置特定情報が記憶されている。この位置特定情報は、ランナおよびキャビティ12内の容積および樹脂タブレット110の体積といったモールドの各条件下で樹脂供給時点から所定の時点までのプランジャ70を移動距離(プランジャ70の高さ位置)に応じたモールド用樹脂の到達位置を数値解析により算出することで実際のモールド成形の前に予め生成されている。制御部は、この位置特定情報を用いることでプランジャ70の位置に基づいて特定される樹脂の到達位置に応じて後述する切り替え制御処理を実行することが可能となっている。
図3に示すグラフは、エンコーダ88により検出された駆動量情報の一例としてのポット50内におけるプランジャ70の高さ位置と、圧力センサ82に検出された圧力情報を示すプランジャ70が受ける圧力との関係を示すと共に、エアベント60の開閉状態、エア給排装置90のオンオフ状態も示している。また、図4は、エンコーダ88により検出されたポット50内におけるプランジャ70の高さ位置と、キャビティ12内における圧力状態、エアベントの開閉状態、キャビティ12内の充てん率の変化を示すグラフである。以下に、本実施形態におけるトランスファモールド装置100を用いて被成形品である半導体装置22を樹脂モールドする樹脂モールド成形の工程について説明する。
なお、本実施形態においては、モールド用樹脂として樹脂タブレット110を用いた形態を想定して説明を行うものとするが、モールド用樹脂には樹脂タブレット110の他に液状樹脂を用いる形態とすることもできる。
図5〜図8は図3および図4内におけるA〜Dのそれぞれにおける状態を示す断面図である。まず、ポット50内のプランジャ70の位置を樹脂タブレット110の供給位置にセットする。ポット50内におけるプランジャ70の高さ位置は、駆動ユニット80のエンコーダ88により検出された駆動量情報に基づいて制御部が算出することができる。型開きされたトランスファモールド装置100において、ポット50内で樹脂タブレット110の供給位置で待機しているプランジャ70の上面に樹脂タブレット110が供給されると共に、セット凹部24に半導体装置22がセットされる。プランジャ70の上面に樹脂タブレット110が供給された後、制御部は可動ピン62の作動アクチュエータ68を駆動させ、可動ピン62をエアベント60の流路内から退避させる。本実施形態においては、樹脂タブレット110の供給前における所定の時点で可動ピン62をエアベント60の流路内から退避させておいてもよいのはもちろんである。
本実施形態においては、クランパーブロック16の金型パーティング面側の表面位置よりもクランパーブロック16の内部側に可動ピン62の下端部が位置する状態まで可動ピン62をエアベント60から退避させている。続いて、金型クランプされた後に、制御部は、可動ピン62およびエア給排装置90の動作状態を切り替える切り替え制御処理を実行する。この処理において、まず、制御部はエアや水分等の排出を開始させる開始処理を実行する。具体的には、制御部は、開始処理として、エア吸引手段であるエア給排装置90を作動させ、ポット50とキャビティ12の間のエアを排出させると共に樹脂タブレット110に含まれている溶剤等の揮発成分と空気、水分等を予めトランスファモールド装置100の外部に排出させる。
このように、プランジャ70の上に樹脂タブレット110が供給された際に、樹脂タブレット110に含まれている溶剤等の揮発成分と空気、水分を予めトランスファモールド装置100の外部に排出することにより、キャビティ12内に注送される樹脂中に残存している他の気化成分をきわめて少なく抑制することができる。
樹脂タブレット110に含まれる水、溶剤、空気等の排出工程については、プランジャ70の上面に樹脂タブレット110が供給され、トランスファモールド装置100をクランプした後、所定の時間にわたって行うように制御部がエア吸引手段であるエア給排装置90の動作を時間により制御する形態を採用することができる。樹脂タブレット110が供給され、金型クランプした後、所定の時間が経過したら、制御部は、駆動ユニット80のサーボモータ86を駆動させ、プランジャ70をキャビティ12に向けて駆動(上昇)させる。この間、エア吸引手段であるエア給排装置90によるエアの吸引動作は継続されている。なお、この所定の時間として、樹脂タブレット110の芯まで熱伝導が進んで気化成分を気化させて外部に引き出すような必要以上に長い時間を設定すると、樹脂タブレット110は熱硬化が進んでしまうので、樹脂タブレット110の種類や寸法に対応した時間を設定する必要がある。
続いて、さらにプランジャ70を上昇させると、プランジャ70により加熱されたタブレット110が押し上げられて上端面がカル部112に衝突してカル空間に傘状に降りながら広がると同時に、プランジャ70の上面でも圧縮されてポット内に広がった溶融樹脂112が樹脂タブレット110とポット50との減圧隙間空間をカルまで吹き出てカル空間52を溶融樹脂112で満たす。
同時にプランジャ70の上面でも圧縮されてポット内に広がった溶融樹脂112が樹脂タブレット110とポット50との間の減圧隙間空間をカル内まで押し出してカル空間52を溶融樹脂112で満たしたプランジャ70の駆動量情報(位置座標信号)で、エアの吸引動作を停止する停止処理が実行される。この停止処理において、制御部は、エンコーダ88からの駆動量情報と記憶手段に組み込まれた位置特定情報とを比較することでカル空間52を溶融樹脂112で満たした状態であると判断したときにエアの吸引動作を停止させる。また、この停止処理は、溶融樹脂112の流頭がゲートを通過する前に実行すればよく、換言すれば、溶融樹脂112がゲートに達する前においてランナ入口からゲートに達するまでの適宜の位置で実行すればよい。さらには、後述するように急速に圧力を常圧に戻すことができる構成の場合には停止処理は溶融樹脂112がカルのゲートに達する直前に実行することも可能である。
停止処理の実行後において、可動ピン62はエアベント60の流路内から退避した状態であるため、減圧状態のキャビティ12は大気圧(常圧)の状態に近付いていくことになる。この際に、溶融樹脂112は、流頭がランナに突入し、次いで、ゲートからキャビティ12内に突入するが、この時にキャビティ12内空間の減圧レベルが低すぎるとゲートを通過する溶融樹脂112中の気泡が急激に膨張してキャビティ12内へジェッティング現象で飛びだして流動シミュレーションと大きく異なる流れとなって充てん不良が発生する、或いは、ジェッティング現象により溶融樹脂112がワイヤ群をなぎ倒し、エアベント60を塞ぐ等の事態も発生する。しかしながら、本実施形態では、溶融樹脂112の流頭のキャビティ12への突入時にエアの吸引動作が停止しているので、上記のような不具合の発生を効果的に回避することが可能となっている。
制御部は引き続き、サーボモータ86を駆動させて、プランジャ70を駆動(上昇)させる。溶融樹脂112がキャビティ12の直前位置であるゲート位置直前(図3,4内のAの位置、図5参照)に到達する頃には、キャビティ12の内部空間は大気圧(常圧)に復旧している。このようにキャビティ12の内部空間を大気圧にした状態でカル部52(ランナ)に対して流路面積の大きい(カル部52に比べて減圧された状態となる)キャビティ12内に溶融樹脂112を充てんすることにより、樹脂タブレット110内に含まれていた溶剤等が減圧に伴って発泡してボイドとなることを防ぐことができるため好都合である。
本実施形態においては、キャビティ12内への溶融樹脂112の充てん開始時からキャビティ12内の充てん率が25%になるまでの間(図3,4内のBの位置、図6参照)、キャビティ12内を大気圧(常圧)条件下にして溶融樹脂112をキャビティ12内に充てんしている。キャビティ12内への溶融樹脂112の充てん率が25%となる位置まで溶融樹脂112の流頭が到達したことを特定したときには、制御部は再びエア吸引手段であるエア給排装置90を作動させる再開処理を実行してキャビティ12内のエアをトランスファモールド装置100の外部に排出させると共に、サーボモータ86を駆動してプランジャ70をさらに駆動(上昇)させる処理を実行する。このようにしてキャビティ12内への溶融樹脂112の充てんを進めることにより、溶融樹脂112がキャビティ12内に充てんされる際における溶融樹脂112のジェッティング現象の発生を防ぐことができる。
キャビティ12内への溶融樹脂112の充てん率が80%に到達(図3,4内のCの位置、図7参照)して溶融樹脂112の流頭がエアベント60の直前位置まで到達したことを特定したときには、制御部は可動ピン作動用アクチュエータ68を作動し、可動ピン62をエアベント60の流路内に進出させて、エアベント60を閉じた(閉塞)状態にさせる閉塞処理を実行して切り替え制御処理を終了する。この際に、可動ピン62はリリースフィルム30を半導体装置22に押し付ける。このため、リリースフィルム30が半導体装置22の上面に接した状態となり、リリースフィルム30によってエアベント60が確実に閉塞されると共に可動ピン62の溶融樹脂112による汚染が防止される。これ以降から樹脂硬化完了の間のいつでもエア吸引手段であるエア給排装置90の動作を停止しても良い。キャビティ12内はすでに減圧された状態になっているので、キャビティ12内への溶融樹脂112の充てん率が100%に到達する前にエアベント60を閉じたとしても、溶融樹脂112のガスの巻きこみやボイドが発生することなくキャビティ12内への充てんを進めることができる。
キャビティ12内への溶融樹脂112の充てんが100%になった後も、制御部はサーボモータ86をさらに駆動させて、キャビティ12内の圧力を所定の成形圧力まで高める(図3,4内のDの位置、図8参照)。また、図3,4内のEの位置においては、第2保圧制御を実施することにより、より好適な樹脂モールド成形が可能になる。
上記第2保圧制御について具体的に説明する。
先述のとおり、キャビティ12内への溶融樹脂112の充てんは、サーボモータ86を駆動してプランジャ70を駆動(上昇)させることにより行っている。本実施形態においては、エアベント60を閉塞することによってキャビティ12内を気密にすることができるため、例えばLEDパッケージに用いられる樹脂等の流動性の高い溶融樹脂112をキャビティ12内に充てんした後、プランジャ70により当初の充てん圧力よりも高圧で加圧する制御(これを第2保圧制御という)をしたとしても、キャビティ12内から溶融樹脂112が漏出してしまうことがない。したがってキャビティ12内に充てんされた溶融樹脂112に第2保圧制御を適切に行うことができる。
プランジャ70による加圧力を制御する場合には、実際にキャビティ12内の溶融樹脂112の充てん圧力を直接的に検知しながら制御することはできないから、プランジャ70の基部に設置した圧力センサの出力値(キャビティ12内における溶融樹脂112の充てん圧力)をモニタしながら制御部によりプランジャ70による加圧力を制御するため、予め設定した所定の加圧力に基づいてサーボモータ86の動作を制御する。
この際、プランジャ70による溶融樹脂112の加圧力は、キャビティ12内に溶融樹脂112が充てんされるまでの加圧力(第1保圧力)が従来技術における加圧力よりも低い加圧力(6MPa程度)とし、キャビティ12内に溶融樹脂112が充てんされた後におけるプランジャ70の加圧力(第2保圧力)を従来技術における加圧力よりも高い加圧力(11MPa程度)に設定することが好ましい。上記の加圧力をサーボモータ86により実現することが困難な場合には、サーボモータ86に替えて、流体圧シリンダ等の他の駆動手段によりプランジャ70の動作を制御してもよいのはもちろんである。
このようにプランジャ70による溶融樹脂112のキャビティ12内への加圧力制御を加圧力の異なる第1の加圧工程と第2の加圧工程に区分して設定することにより、キャビティ12内に溶融樹脂112を適切な充てん圧力で充てんすることが可能となるから、キャビティ12に緻密に樹脂を充てんさせることができる。これにより、キャビティ12内にボイドが残ったり、被成形品と樹脂との間に空隙が生じて、被成形品とモールド樹脂との密着性が不十分になったりするという問題を解消することが可能である。
本実施形態におけるトランスファモールド装置100およびこれを用いたトランスファモールド方法を採用することにより、低粘性樹脂を用いた場合であっても、成形品の樹脂モールド部分におけるボイドの発生をなくすことが可能になり、製品の歩留まりを大幅に向上させることができるのである。
(第2実施形態)
第1実施形態においては、カル部52への溶融樹脂112の充てんが完了した際(プランジャ70により加熱された樹脂タブレット110が押し上げられて上端面がカル部52に衝突してカル空間に傘状に降りながら広がると同時に、プランジャ70の上面でも圧縮されてポット内に広がった溶融樹脂112が、樹脂タブレット110とポット50との減圧隙間空間をカルまで吹き出てカル空間52を溶融樹脂112で満たす。同時にプランジャ70の上面でも圧縮されてポット50内に広がった溶融樹脂112が樹脂タブレット110とポットとの間の減圧隙間空間をカル内まで押し出してカル空間52を溶融樹脂112で満たしたプランジャ70の位置情報に基づいて、エア吸排装置90の吸引動作を停止する。)に制御部がエア吸引手段であるエア給排装置90の動作を停止させ、大気圧に対して減圧された状態のキャビティ12内に金型の外部からエアを自然流入させているが、本実施形態においては、カル部52への溶融樹脂112の充てんが完了した際に、制御部が上記の停止処理に合わせて本発明におけるエア供給手段として機能するエア給排装置90によってキャビティ12内にエアを強制的に供給させる供給処理を実行し、キャビティ12内の減圧状態を迅速に大気圧(常圧)に復旧させる制御を実行することが特徴的である。
エア給排装置90によるキャビティ12内へのエア強制供給制御以外のトランスファモールド装置100の動作制御については、第1実施形態と同様の制御を行うためここでの詳細な説明は省略する。
本実施形態におけるキャビティ12内へのエア強制供給の構成を採用することにより、カル空間52から流路面積の小さいゲートを通過させた後に大空間であるキャビティ12内に溶融樹脂112を充てんする際に、溶融樹脂112に対する急激な減圧による発泡(ボイドの発生)をさらに効果的に防止することができるため好都合である。
(第3実施形態)
次に、保圧制御の他例について図8,9を参照して説明する。本実施形態ではプランジャ70によって第1保圧を加えた後に、キャビティブロック15によって第2保圧を加える点が先の実施形態とは異なる。この保圧制御の際には、まずプランジャ70により比較的低い圧力(第1保圧)で加圧した状態において、下型20を上型10に対して接近させるように上動させる。この際に、クランパーブロック16およびセンターブロック17は、下型20によって上動させられるため、支持部材16B,17Bを介してコイルスプリング16A,17Aを押し縮めながらチェイスブロック18に接近することとなる。これにより、チェイスブロック18に固定されたキャビティブロック15を押し出してキャビティ12内の厚みを狭め、キャビティ12内に充てんされた溶融樹脂112をポット50側に押し戻す。
この際に、プランジャ70をポット50内へ下動(後退)させて余剰分の溶融樹脂112を吸収する。続いて、図9に示すように、プランジャ70を再度上動させて第1保圧よりも高圧の第2保圧で加圧した状態で溶融樹脂112を硬化させる。これにより、溶融樹脂112に混入するボイドをつぶして成形できるので成形品質を向上させることができる。また、パッケージの厚さ寸法が極めて薄い成形品であってもワイヤスイープな未充てん等の不具合を生じさせることなく確実にモールドすることができる。
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態におけるトランスファモールド装置の状態を示す断面図である。
本実施形態においては、LED素子を搭載したLEDパッケージやレンズ等の光学用部品にLED素子のレンズ部となる液状樹脂により封止するため、下型20にキャビティ12Zを形成したトランスファモールド装置100について説明する。先の実施形態と同様の構成については先の実施形態と同一の番号を付すことによりここでの詳細な説明は省略する。
本実施形態のように、LED素子を搭載したLEDパッケージ等の樹脂封止の際に用いられる封止用樹脂には、きわめて粘性の低い(流動性がよい)液状樹脂が用いられることに加え、封止用樹脂がモールド成形品として最も重要なレンズ部を形成することになる。このようなレンズ部に異物やボイドの混入は絶対に避けなければならないので、本願発明が好適に適用されることになる。特に本実施形態においては、レンズ部を形成するキャビティであるレンズキャビティ12Zを下型20に形成し、成形品であるLEDパッケージを構成するための半導体装置22Zを上型10に保持させた状態で供給する形態が採用されている。
このようにレンズキャビティ12Zを下型20に形成することでレンズキャビティ12Zに供給された液状樹脂から発生するボイドや異物をレンズキャビティ12Z内で浮上させることができ、少なくともレンズ部の表面にボイドや異物の混入がないように半導体装置22Zを樹脂封止することができる。エア給排出装置90およびエア排出路92によるレンズキャビティ12Z内のエア圧の圧力制御処理については、先に説明した実施形態と同様にして行うことができるのはもちろんである。
本実施形態においては、エアベント60の可動ピン62の駆動装置として流体圧駆動装置94,96を用いている。流体圧駆動装置94は可動ピン62を図中の上方向に移動させ、エアベント60を閉塞させるためのものであり、流体圧駆動装置96は、エアベント60を閉塞している可動ピン62を図中の下方向に移動させ、エアベント60の閉塞を解除するためのものである。また、本実施形態は、リリースフィルムを用いない構成が採用されているが、半導体装置22Zが上型10に保持されているため、カル以外が汚染されることはない。この場合、エアベント60の外側において下型20に溝部が形成されているため、半導体装置22Zと下型20との間が離間している。これにより、たとえ封止樹脂がエアベント60を通過して溝部側に漏出してしまったとしても、半導体装置22Zに沿って封止樹脂が流れて上型10が汚染されるような事態を確実に防止可能となっている。
本実施形態におけるプランジャ70は、図10に示すように、その先端部に熱硬化性のシール部形成用樹脂を硬化させて、プランジャのヘッド部の樹脂押圧面を覆うと共に外周面を周回するキャップ形状のシール部を形成して用いるのが好ましい。これにより、摺動用のクリアランスをなくすことができ、プランジャ70先端にかけられた圧力が高いときにはポアソン変形によって一層気密にシールすることができるようになっている。一例として、シール部は、ポット50内に待機させたプランジャ70上にシール部形成用樹脂を供給してポット50内で硬化させることにより上記形状に形成することが可能である。この際に、プランジャ70の先端部はシール部の脱落防止のために小径部やアンダーカットや凹部を形成することが好ましい。なお、本実施形態におけるプランジャ70は他の実施形態においても樹脂漏れを効果的に防止することができる。
(第5実施形態)
また、トランスファモールド装置100の金型(上型10または下型20)に複数のキャビティ12が形成されていて、プランジャ70の配設位置に対する各キャビティ12位置までのランナの距離が大幅に異なるようないわゆる直列式のトランスファモールド装置において説明する。本実施形態については特に図示しないが、上記実施形態と同じ構成については同一の番号を付すことで詳細な説明を省略している。
直列式のトランスファモールド装置においては、プランジャ70の位置に最も近い位置に形成されたキャビティ12と、プランジャ70の位置に最も遠い位置にあるキャビティ12とにおけるそれぞれのランナの延長距離が大幅に異なる場合がある。このようなトランスファモールド装置により被成形品を樹脂封止すると、封止樹脂(溶融樹脂112)は、プランジャ70の位置に近い位置にあるキャビティ12が充てんされた後は、ランナのみを通過して次のキャビティ12を充てんし、徐々にトランスファモールド装置100内を進むわけではなく、キャビティ12内の特定部位とランナとが連通し、プランジャ70から押し出された溶融樹脂112がこの連通部分を常に流動することになる。このようなキャビティ12で成形された成形品は、常に溶融樹脂112が流動していた部位に模様がついてしまい、モールド成形品の外観形状に不具合を生じることがある。
そこで、本願発明にあるようにトランスファモールド装置内における溶融樹脂112の流頭位置に基づいて、エア給排出装置90によりキャビティ12内のエアを排出しながら、プランジャ70の位置に近い位置に形成されたキャビティ12から順次溶融樹脂112を充てんしていくことが考えられる。この構成によれば、エアが排出されたキャビティ12に溶融樹脂112が誘導されるので、溶融樹脂112はすでに充てんが完了したキャビティ12内を通過することなく、ランナのみを通過してそれぞれのキャビティ12に充てんされることになるため、モールド成形品の表面に先述の模様がついてしまうといった不具合の発生を防ぐことができる。
以上に本願発明にかかるトランスファモールド装置100およびこれを用いたトランスファモールド方法について詳細に説明してきたが、本願発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではない。例えば以上の実施形態においては、キャビティ12内への溶融樹脂112の充てん率が25%と80%に到達(ポット50内におけるプランジャ70の位置により算出)したタイミングにおいて、制御部がエア給排装置90および可動ピン作動用アクチュエータ68の動作を制御してキャビティ12内へのエア供給・排出状態およびエアベント60の流路に対する可動ピン62の進退出の切り替え処理を行っているが、これらの動作の切り替え制御処理を行うタイミングはキャビティ12内への溶融樹脂112の充てん率が25%および80%に限定されるものではなく、他の充てん率に基づいて制御部がエア給排装置90および可動ピン作動用アクチュエータ68の動作を制御し、キャビティ12内へのエア吸引状態およびエアベント60の流路に対する可動ピン62の進退出の切り替え制御処理をおこなっても良いのはもちろんである。
また、以上の実施形態においては制御部が駆動量情報と位置特定情報とを比較してモールド用樹脂の到達位置を特定し、その到達位置に応じて切り替え制御を行う構成例について説明したが本発明はこれに限定されない。例えば、上述の実施形態の切り替え制御において制御部が各処理を行ったときのプランジャ70の位置と同じ位置までプランジャ70が駆動したときに所定の信号を制御部に出力するとともに、この信号に応じて制御部が各処理を実行する構成を採用することもできる。また、上述の実施形態の切り替え制御において切り替え制御処理の開始時から各処理が行われた各時点までの経過時間をタイマに記憶させるとともに、切り替え制御処理の開始時から所定の記憶された時間が経過したときにタイマから所定の信号を制御部に出力させて各処理を実行させる構成を採用することもできる。
また、上記の実施形態ではプランジャ70の駆動量を測定するためにエンコーダ88を用いたがプランジャ70の駆動量を測定することができる構成であれば本発明はこれに限定されるものではない。例えば、リニアスケールおよび測定子を用いてプランジャ70の駆動量を測定することもできる。また、キャビティブロック15を可動とすることによってキャビティ12内の容積を可変とする構成について開示したが本発明はこれに限定されない。例えば、キャビティブロック15、クランパーブロック16およびセンターブロック17を一体的に構成してキャビティ12内の容積を変化させない構成を採用することもできる。
また、以上の実施形態においては、制御部がトランスファモールド装置100の動作制御を行う際に、プランジャ70を駆動させるサーボモータ86の駆動量に基づいてエンコーダ88がプランジャ70の位置を算出し、エンコーダ88から制御部に送信されるプランジャ70の位置情報に基づいているが、ポット50内のプランジャ70に封止用樹脂(樹脂タブレット110)が供給され、金型をクランプしたタイミングを基準として、基準時間からの経過時間に基づいて制御部がトランスファモールド装置100の動作を制御する形態であってもよい。
また、以上の実施形態においては、リリースフィルム30を吸着保持するためのフィルム吸引手段40としてはエア吸引手段を採用しているが、このフィルム吸引手段40とキャビティ12内のエアを供給・排出するためのエア給排装置90とを共通させることにより部品数を削減し、トランスファモールド装置100を安価に提供することができるのももちろん可能である。
これに対して、以上の実施形態においては、エア吸引手段とエア供給手段をエア給排装置90に集約した形態について説明しているが、エア吸引手段とエア供給手段とをそれぞれ独立させた形態を採用することもできる。
第1実施形態におけるトランスファモールド装置のトランスファ動作前における断面図である。 図1における上型の構成の説明図である。 トランスファモールド装置のトランスファ動作の状態と、各状態においてプランジャが受ける圧力の関係およびエアベントの開閉状態、エア吸排手段のオンオフ状態を示す説明図である。 トランスファモールド装置のトランスファ動作の状態と、各状態におけるキャビティ内における圧力状態、エアベントの開閉状態、キャビティ内の充てん率の変化を示す説明図である。 図3,4内で示すA部分におけるトランスファモールド装置の状態を示す断面図である。 図3,4内で示すB部分におけるトランスファモールド装置の状態を示す断面図である。 図3,4内で示すC部分におけるトランスファモールド装置の状態を示す断面図である。 図3,4内で示すD部分におけるトランスファモールド装置の状態を示す断面図である。 第3実施形態におけるトランスファモールド装置の状態を示す断面図である。 第4実施形態におけるトランスファモールド装置の状態を示す断面図である。
符号の説明
10 上型
12 キャビティ
14 凹部
16 クランパーブロック
18 チェイスブロック
19 凹穴
20 下型
22,22Z 半導体装置
24 セット凹部
30 リリースフィルム
32 フィルム吸引部
34 シール部材
40 フィルム吸引手段
50 ポット
52 カル部
60 エアベント
62 可動ピン
64 コイルスプリング
66 中継ピン
68 可動ピン作動用アクチュエータ
69 パーティング面シール部材
70 プランジャ
80 プランジャ駆動ユニット
82 圧力センサ
84 ボールネジ
86 サーボモータ
88 エンコーダ
90 エア給排装置
92 エア流通路
94,96 流体圧駆動装置
100 トランスファモールド装置
110 樹脂タブレット
112 溶融樹脂

Claims (6)

  1. ポット、前記ポット内を往復動して前記ポットに供給されたモールド用樹脂をカル、ランナおよびゲートを介してキャビティに圧送するプランジャ、前記キャビティに連通するように設けられたエアベント、および、前記エアベントの流路断面に進退出して前記エアベントの開閉状態を切り替える可動ピンを備えたトランスファモールド金型と、該エアベントを介してエアを吸引するエア吸引手段と、
    前記可動ピンの進退出動作と前記エア吸引手段の動作を制御する制御部と、を有するトランスファモールド装置において、
    前記制御部は、
    前記ポット内に前記モールド用樹脂が供給され前記トランスファモールド金型をクランプした後に、前記可動ピンが前記エアベントの流路から退避した状態において前記エア吸引手段を作動させ、前記キャビティ内と前記ポット内のエアと、前記モールド用樹脂内の水分との排出を開始させる開始処理と、
    前記プランジャにより押し出された前記モールド用樹脂の流頭が前記ゲートを通過する前に、前記エア吸引手段の動作を停止する停止処理と、
    前記モールド用樹脂の流頭が、前記キャビティ内に到達した際に、前記エア吸引手段の動作を再開させる再開処理と、
    前記モールド用樹脂の流頭が、前記エアベントの直前位置まで到達した際に、前記可動ピンを前記エアベントの流路内に進出させて前記エアベントを閉塞させる閉塞処理と、を含む切り替え制御処理を実行することを特徴とするトランスファモールド装置。
  2. 前記エアベントを介して外部からのエアを供給するエア供給手段をさらに有し、
    前記制御部は、前記切り替え制御処理において、前記停止処理に合わせて前記キャビティ内を一旦大気圧に戻すための前記エア供給手段により前記キャビティ内にエアを供給させる供給処理を実行することを特徴とする請求項1記載のトランスファモールド装置。
  3. 前記制御部は、前記ポット内における前記プランジャの位置に基づいて特定される前記モールド用樹脂の到達位置に応じて前記切り替え制御処理を実行することを特徴とする請求項1または2記載のトランスファモールド装置。
  4. ポット、前記ポット内を往復動して前記ポットに供給されたモールド用樹脂をカル、ランナおよびゲートを介してキャビティに圧送するプランジャ、前記キャビティに連通するように設けられたエアベント、および、前記エアベントの流路断面に進退出して前記エアベントの開閉状態を切り替える可動ピンを備えたトランスファモールド金型と、該エアベントを介してエアを吸引するエア吸引手段と、
    を有するトランスファモールド装置を用いて前記可動ピンの進退出動作と前記エア吸引手段の動作を制御する切り替え制御処理を行いながら樹脂モールドするトランスファモールド方法において、
    前記切り替え制御処理には、前記ポット内に前記モールド用樹脂が供給され前記トランスファモールド金型をクランプした後に、前記可動ピンが前記エアベントの流路から退避した状態において前記エア吸引手段を作動させ、前記キャビティ内と前記ポット内のエアと、前記モールド用樹脂内の水分との排出を開始させる開始処理と、
    前記プランジャにより押し出された前記モールド用樹脂の流頭が前記ゲートを通過する前に、前記エア吸引手段の動作を停止させる停止処理と、
    前記モールド用樹脂の流頭が、前記キャビティ内に到達した際に、前記エア吸引手段の動作を再開させる再開処理と、
    前記モールド用樹脂の流頭が、前記エアベントの直前位置まで到達した際に、前記可動ピンを前記エアベントの流路内に進出させて前記エアベントを閉塞させる閉塞処理と、が含まれることを特徴とするトランスファモールド方法。
  5. 前記切り替え制御処理には、前記キャビティ内を一旦大気圧に戻すために前記停止処理に合わせて前記エアベントを介して外部からのエアを供給する前記エア供給手段で前記キャビティ内にエアを供給させる供給処理が含まれることを特徴とする請求項4記載のトランスファモールド方法。
  6. 前記ポット内における前記プランジャの位置に基づいて特定される前記モールド用樹脂の到達位置に応じて前記切り替え制御処理が行われることを特徴とする請求項4または5記載のトランスファモールド方法。
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