JP5137646B2 - Pcdドリル - Google Patents

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Description

本発明はPCDドリルに係り、特に、ドリル本体にろう付けされた切れ刃チップに設けられている多結晶ダイヤモンドの超高圧焼結体の強度を向上させる技術に関するものである。
多結晶ダイヤモンド(PCD;polycrystalline diamond)を超高圧で焼結した超高圧焼結体を有する切れ刃チップが、ドリル本体の先端に一体的にろう付けされ、その超高圧焼結体の角部の稜線が切れ刃として機能するPCDドリルが知られている。特許文献1および2に記載されているドリルはその一例で、超硬合金の台座に多結晶ダイヤモンドの超高圧焼結体を所定の厚さで一体に焼結したチップ素材を厚さ方向にスライスした薄板形状を成しているとともに、ドリルの先端形状に対応する尖り先端部を有する多角形の第1斜辺が前記超高圧焼結体にて構成されている同一形状の一対の切れ刃チップが、その尖り先端部が一致するように互いに反対向きに重ね合わされた状態でドリル本体の先端の取付座に一体的にろう付けされることにより、各切れ刃チップの前記超高圧焼結体の稜線部分によってドリル軸心に対して対称的な一対の切れ刃が構成されている。このようなPCDドリルは耐摩耗性に優れていることから、SiC入りアルミニウム合金等のMMC(金属基複合材料)、或いはCFRP(炭素繊維強化樹脂)などの難削材の穴明け加工に好適に用いられる。
図7は、このような従来のPCDドリルの一例を説明する図で、(a) はPCDドリル100を軸心Oと直角方向から見た正面図、(b) は(a) の右側面図であり、ドリル本体102の先端部には、取付座として軸心Oと直角に交差する取付溝104が設けられており、一対の切れ刃チップ106a、106bが反対向きに重ね合わされた状態でその取付溝104内に挿入され、ろう付けにより一体的に固設されている。切れ刃チップ106a、106bは、(c) に示す切れ刃チップ106をドリル本体102に固設して所定の研削加工等を施したもので、この切れ刃チップ106は、ドリル先端形状に対応する尖り先端部108を有するとともに、その尖り先端部108を通る中心線Sに対して対称的な五角形を成しており、その中心線Sとドリル本体102の軸心Oとが略一致する姿勢((b) の状態ではS=Oとなる)でドリル本体102に固設されている。
上記切れ刃チップ106は、例えば(d) に示すように超硬合金の台座110に多結晶ダイヤモンドの超高圧焼結体112を所定の厚さで一体に焼結したチップ素材を厚さ方向にスライスした薄板114から、一点鎖線で示すように切り出すことによって得られたもので、尖り先端部108の両側の一対の辺の一方の第1斜辺L1は超高圧焼結体112によって構成されている。そして、同一形状の一対の切れ刃チップ106が、中心線Sに対して互いに反対向きに重ね合わされた状態でドリル本体102の取付溝104に一体的にろう付けされることにより、各切れ刃チップ106の第1斜辺L1の稜線部分によってドリル軸心Oに対して対称的な一対の切れ刃116が構成される。ドリル本体102には、予め切りくず排出溝118が設けられており、切れ刃チップ106は、スライス面の一方がすくい面として機能するように、その切りくず排出溝118に露出するように固設されている。また、ドリル本体102に固設された後、逃げ面等の研削加工が施されることにより、目的とするドリル先端形状とされる。なお、図7の各図の斜線部分は、超高圧焼結体112を表している。
特開2001−150216号公報 特開2007−301652号公報
ところで、上記一対の切れ刃チップ106は、例えば図8に示すように、銀ろうの薄板材等からなるろう材120を挟んで互いに反対向きに重ね合わされた状態で、大気中で所定のろう付け温度まで加熱されることにより、一体的に貼り合わされて接合チップ122とされ、その後、前記取付溝104内に差し込まれてドリル本体102に一体的にろう付けされていた。図8の(a) は正面図で、ろう板材120は切れ刃チップ106と略同一形状を成しており、超高圧焼結体112を含めて一対の切れ刃チップ106の全面を互いにろう付けするようになっているが、その超高圧焼結体112と他方の切れ刃チップ106の超硬合金の台座110との接合強度が十分に得られず、切削条件によっては切削抵抗などで超高圧焼結体112が他方の切れ刃チップ106から剥離し、切れ刃の剛性が低下して振動等によりチッピングや欠けを生じたり加工精度が損なわれたりすることがあった。これは、大気中でろう付け処理が行なわれていたため、多結晶ダイヤモンドが超硬合金と接合されなかったり、黒鉛化して接合強度が低下したりするためと考えられる。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、多結晶ダイヤモンドの超高圧焼結体を有する一対の切れ刃チップが重ね合わされてドリル本体に一体的に固設されるPCDドリルにおいて、超高圧焼結体についても十分な接合強度が得られ、チッピングや欠けの発生が抑制されるとともに優れた加工精度が安定して得られるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、多結晶ダイヤモンドを超高圧で焼結した超高圧焼結体を超硬合金の台座に所定の厚さで一体に焼結したもので、ドリルの先端形状に対応する尖り先端部を有する薄板形状を成しているとともに、その尖り先端部の両側の一対の辺の一方の第1斜辺が前記超高圧焼結体にて構成されている同一形状の一対の切れ刃チップが、その尖り先端部が一致するように互いに反対向きに重ね合わされた状態でドリル本体の先端の取付座に一体的にろう付けされることにより、各切れ刃チップの前記超高圧焼結体の稜線部分によってドリル軸心に対して対称的な一対の切れ刃が構成されているPCDドリルの製造方法であって、(a) 前記一対の切れ刃チップを互いに反対向きとし、ろう材を介在させて重ね合わせ、真空または非酸化性雰囲気中において所定のろう付け温度まで加熱することにより、前記超高圧焼結体の部分を含めて一体的に貼り合わせる第1ろう付け工程と、(b) その第1ろう付け工程で前記一対の切れ刃チップが一体的に貼り合わされた接合チップを、更にろう付けにより前記ドリル本体の取付座に一体的に固設する第2ろう付け工程と、を有することを特徴とする。
第2発明は、第1発明のPCDドリルの製造方法において、(a) 前記切れ刃チップは、前記尖り先端部を通るとともに前記ドリル本体にろう付けされた状態においてドリル軸心と平行になる中心線Sに対して非対称形状を成していて、その尖り先端部と反対側の底辺がその中心線Sに対して直角な方向から傾斜しており、(b) 前記接合チップは、前記底辺の傾斜により前記尖り先端部と反対方向へ互い違いに突き出す一対の突出部を有する一方、(c) 前記ドリル本体の取付座には、前記一対の突出部に対応して、ドリル軸心に対して直角な方向から互いに逆向きに傾斜する一対の傾斜座面が設けられており、(d) 前記第2ろう付け工程では、前記一対の突出部を含めて前記接合チップを前記ドリル本体の取付座にろう付けすることを特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明のPCDドリルにおいて、前記第2ろう付け工程は、大気中において前記接合チップを前記ドリル本体の取付座にろう付けすることを特徴とする。
第4発明は、多結晶ダイヤモンドを超高圧で焼結した超高圧焼結体を超硬合金の台座に所定の厚さで一体に焼結したもので、ドリルの先端形状に対応する尖り先端部を有する薄板形状を成しているとともに、その尖り先端部の両側の一対の辺の一方の第1斜辺が前記超高圧焼結体にて構成されている同一形状の一対の切れ刃チップが、その尖り先端部が一致するように互いに反対向きに重ね合わされた状態でドリル本体の先端の取付座に一体的にろう付けされることにより、各切れ刃チップの前記超高圧焼結体の稜線部分によってドリル軸心に対して対称的な一対の切れ刃が構成されているPCDドリルであって、(a) 前記一対の切れ刃チップは、ろう材が介在させられた状態で互いに反対向きに重ね合わされ、真空または非酸化性雰囲気中において所定のろう付け温度まで加熱されることにより、前記超高圧焼結体の部分を含めて一体的に貼り合わされて接合チップとされ、(b) その接合チップの状態で前記ドリル本体の取付座に一体的にろう付けされていることを特徴とする。
第5発明は、第4発明のPCDドリルにおいて、(a) 前記切れ刃チップは、前記尖り先端部を通るとともに前記ドリル本体にろう付けされた状態においてドリル軸心と平行になる中心線Sに対して非対称形状を成していて、その尖り先端部と反対側の底辺がその中心線Sに対して直角な方向から傾斜しており、(b) 前記接合チップは、前記底辺の傾斜により前記尖り先端部と反対方向へ互い違いに突き出す一対の突出部を有する一方、(c) 前記ドリル本体の取付座には、前記一対の突出部に対応して、ドリル軸心に対して直角な方向から互いに逆向きに傾斜する一対の傾斜座面が設けられており、(d) 前記接合チップは、前記一対の突出部を含めて前記ドリル本体の取付座にろう付けされていることを特徴とする。
第1発明のPCDドリルの製造方法によれば、一対の切れ刃チップをろう付けする際に真空または非酸化性雰囲気中においてろう付け処理を行なうようにしたため、多結晶ダイヤモンドの黒鉛化が抑制されるなどして、その多結晶ダイヤモンドの超高圧焼結体についてもろうの拡散により他方の切れ刃チップの超硬合金の台座との接合強度が十分に且つ安定して得られるようになり、他方の切れ刃チップからの剥離に起因するチッピングや欠けの発生が抑制されるとともに切れ刃の剛性が向上し、種々の加工条件において安定した加工性能や工具寿命が得られるようになる。第4発明のPCDドリルにおいても、実質的に同様の効果が得られる。
第2発明では、切れ刃チップが中心線Sに対して非対称で、接合チップは尖り先端部と反対方向へ互い違いに突き出す一対の突出部を有し、ドリル本体の取付座にはドリル軸心に対して直角な方向から互いに逆向きに傾斜する一対の傾斜座面が設けられ、非重なり部分の一対の突出部を含めて接合チップがドリル本体の取付座にろう付けされるため、接合チップとドリル本体との接触面積が大きくなって接合強度が高くなるとともに応力が分散され、切れ刃の剛性が更に高くなって加工性能や工具寿命が一層向上する。第5発明のPCDドリルにおいても、実質的に同様の効果が得られる。
第3発明では、一対の切れ刃チップが貼り合わされた接合チップをドリル本体の取付座にろう付けする第2ろう付け工程が大気中で行なわれるため、そのろう付け処理を容易且つ迅速に行なうことが可能で製造コストが節減される。すなわち、この第2ろう付け工程では、多結晶ダイヤモンドの超高圧焼結体の稜線部分が切れ刃として用いられる関係から、接合チップの状態で外部に露出している超高圧焼結体の全部或いは大部分がドリル本体からも露出させられ、超硬合金から成る台座をドリル本体にろう付けできれば良いため、必ずしも真空または非酸化性雰囲気中でろう付け処理を行なう必要がなく、大気中であっても十分な接合強度が得られるのである。
本発明は、切りくず排出溝がドリル軸心に対して捩じれているツイストドリルにも、切りくず排出溝がドリル軸心と平行な直刃ドリルにも適用され得る。切れ刃チップは、例えば超硬合金の台座に超高圧焼結体を所定の厚さで一体に焼結したチップ素材を厚さ方向にスライスした薄板から切り出すことができる。超高圧焼結体の厚さは、所望の耐摩耗性等の効果が得られる範囲でできるだけ薄くすることが望ましく、例えば0.3mm〜5.0mm程度の範囲内が適当で、好ましくは0.5mm〜2.0mm程度の範囲内が良い。
切れ刃チップの厚さ、すなわちスライス幅も、所定の強度や逃げ面の耐摩耗性等が得られる範囲でできるだけ薄くすることが望ましく、例えば0.3mm〜4.0mm程度の範囲内が適当で、好ましくは0.5mm〜2.0mm程度の範囲内が良い。一端面を傾斜させてすくい角を設ける場合は、傾斜加工後の最小板厚などを考慮してスライス幅を設定することが望ましい。チップ素材をスライスする際に一方の端面を傾斜させることも可能である。
切れ刃チップは、例えば五角形等の多角形で構成されるが、尖り先端部と反対側の底辺や側部の形状は直線でも曲線でも良く、種々の形状を採用できる。尖り先端部を通る中心線Sに対して対称形状とすることもできるが、第2発明、第5発明のように底辺を傾斜させて非対称形状とすることも可能である。尖り先端部については、第1斜辺と反対側の斜辺部分で他方の切れ刃チップの超高圧焼結体をバックアップする上で、中心線Sに対して対称形状とすることが望ましい。
ドリル本体の材質としては、超硬合金が好適に用いられるが、高速度工具鋼などの他の工具材料を採用することもできる。
第1ろう付け工程および第2ろう付け工程で使用するろう材としては、銀ろう(Agを主成分とするCu、Tiの合金)が好適に用いられる。また、ろう材は、ペースト状のものでも薄板状のものでも良く、種々の態様のものを利用できる。
第1ろう付け工程で真空中でろう付け処理を行なう場合の真空度は、例えば1×10-3Pa程度以下が望ましい。また、非酸化性雰囲気は、例えばアルゴン等の不活性ガスやN2 ガス、H2 ガス、 CO/CO2 の混合ガス等が好適に用いられる。
第2ろう付け工程は、第1ろう付け工程と同様に真空または非酸化性雰囲気中でろう付け処理を行なうこともできるが、大気中でろう付け処理を行なうことも可能である。ろう付け温度は、ろう材の種類によって異なるが、例えば銀ろうを用いる場合には700℃〜750℃程度の範囲内が適当である。
薄板形状の切れ刃チップは、一定の板厚で形成することもできるが、例えば所定のすくい角が得られるように、超高圧焼結体側すなわち第1斜辺から反対側へ向かうに従って、或いは尖り先端部から中心線Oと平行に底辺側へ向かうに従って、連続的に板厚が薄くなるようにすることもできる。また、超高圧焼結体の稜線部分に形成される切れ刃に沿って、断面が円弧形状等の凹溝を形成することにより所定のすくい角を設けることもできるなど、種々の態様を採用できる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例であるPCDドリル10の先端部分を示す図で、(a) は先端側から見た平面図、(b) は軸心Oと直角方向から見た正面図、(c) は(b) の右側面図であり、斜線部分はPCD(多結晶ダイヤモンド)の超高圧焼結体12を表している。図2〜図4、図6の斜線部分も、超高圧焼結体12を表している。このPCDドリル10は、超硬合金にて構成されているドリル本体14と、そのドリル本体14の先端部に銀ろうにてろう付けされた一対の切れ刃チップ16a、16bとから構成されている。
PCDドリル10は直刃ドリルで、ドリル本体14には軸心Oと平行に一対の切りくず排出溝18が設けられているとともに、先端部には、取付座20が軸心Oと交差するように設けられている。取付座20は、図1(c) から明らかなように、軸心Oに対して直角な方向から互いに逆向きに傾斜する一対の傾斜座面20a、20bを備えていて、その傾斜座面20a、20bからドリル先端側へ開口するように設けられており、一対の切れ刃チップ16a、16bは、軸心Oを中心として互いに反対向きに重ね合わされた状態で、ドリル軸方向においてそれ等の傾斜座面20a、20bにそれぞれ着座させられている。一対の切れ刃チップ16a、16bは同一形状を成しており、以下、特に区別しない場合は単に切れ刃チップ16という。
図5は、切れ刃チップ16を取り付ける前の状態のドリル本体14を示す図で、傾斜座面20a、20bは、切りくず排出溝18と交差するように設けられており、切れ刃チップ16のうち切れ刃22およびすくい面として機能する端面が切りくず排出溝18に露出させられるようになっている。切りくず排出溝18や傾斜座面20a、20bは、ダイヤモンド砥石による研削加工、或いはワイヤカット放電加工などにより形成される。図5の(a) 、(b) は、それぞれ図1の(b) 、(c) に対応する図である。
切れ刃チップ16は、図2に単独で示すように、ドリル先端形状に対応する尖り先端部30を有するとともに、その尖り先端部30を通るとともにドリル本体14に配設された状態においてドリル軸心Oと平行になる中心線Sに対して非対称の五角形の薄板形状を成している。尖り先端部30の両側の一対の辺の一方の第1斜辺L1が前記超高圧焼結体12にて構成されており、その超高圧焼結体12の稜線が切れ刃22として用いられる。尖り先端部30の両側の一対の辺の他方の第2斜辺L2は、中心線Sを挟んで第1斜辺L1と対称形状を成すように形成されている。また、第1斜辺L1および第2斜辺L2に連続する側辺L3、L4は、何れも中心線Sと平行であるが、側辺L4は側辺L3よりも短く、底辺L5は中心線Sと直角な方向から傾斜させられ、本実施例では超高圧焼結体12を有して切削加工を行なう第1斜辺L1側の側辺L3と底辺L5との内角αが鋭角とされている。この底辺L5が着座させられる前記傾斜座面20a、20bは、内角αと同じ角度(±α)で軸心Oに対して傾斜するように設けられている。図2の(b) は正面図で、(a) は(b) の左側面図、(c) は(b) の右側面図である。
上記切れ刃チップ16は、例えば図3の(a) に示すように超硬合金の台座24にPCDを載せてプレス加工により超高圧で一体に焼結することにより、台座24の上に所定の厚さのPCDの超高圧焼結体12を一体に有する円柱形状のチップ素材26を作製した後、一点鎖線で示すように一定のスライス幅(切れ刃チップ16の板厚)tで厚さ方向に垂直にスライスすることにより、多数の薄板28を取り出し、各薄板28について、それぞれ図3(b) に示すように前記第1斜辺L1が超高圧焼結体12の表面12fと平行となる姿勢で切り出したものである。超高圧焼結体12の厚さは、例えば0.8mm程度で、切れ刃チップ16の板厚(スライス幅)tは1.0mm程度であり、超硬合金の台座24の厚さは五角形の切れ刃チップ16を取り出すことができるように適宜定められる。チップ素材26および薄板28の切断は、ワイヤカット放電加工が好適に用いられる。
そして、このようにして製作された切れ刃チップ16を2枚用いて、図4の(a) →(b) →(c) に示すように尖り先端部30が一致する状態で互いに反対向きとし、ろう材32を介在させて重ね合わせ、例えば1×10-3Pa程度の真空中にて所定のろう付け温度まで加熱することにより一体的に貼り合わせる。本実施例ではろう材32として銀ろうの薄板材が用いられるとともに、一対の切れ刃チップ16の重なり部分すなわち貼合せ部分と同一形状を成しており、そのろう材32を挟んで一対の切れ刃チップ16を重ね合わせて700℃〜750℃の範囲内のろう付け温度まで加熱してろう付け処理が行なわれることにより、超高圧焼結体12の部分を含めて一体的に接合される。このように一対の切れ刃チップ16が一体的に接合された接合チップ34は、各切れ刃チップ16が非対称形状であることから、前記側辺L3と底辺L5との角部がそれぞれ尖り先端部30と反対方向へ互い違いに突き出して一対の突出部36を形成している。図4の(a) はろう付け前の各部材の正面図で、(b) は斜視図、(c) はろう付けした後の接合チップ34を示す斜視図であり、このように一対の切れ刃チップ16を反対向きに重ね合わせて一体的にろう付けし、接合チップ34とする工程が第1ろう付け工程である。なお、真空中でろう付けする代わりに、アルゴン等の不活性ガスやN2 ガス、H2 ガス、 CO/CO2 の混合ガス等の非酸化性雰囲気中でろう付け処理を行なうようにしても良い。
続いて、図6に示すように、上記接合チップ34を図5のドリル本体14の取付座20内に挿入し、そのドリル本体14に一体的にろう付けする。本実施例では、非重なり部分の一対の突出部36もそれぞれろう材を挟んで傾斜座面20a、20bに着座させられ、その突出部36の端面や側面を含めてドリル本体14に接合される。この場合も、前記ろう材32と同様な銀ろうの薄板材を介在させて接合チップ34をドリル本体14の取付座20に差し込み、所定のろう付け温度(例えば700℃〜750℃)まで加熱することにより、一体的に接合する。但し、一対の切れ刃チップ16a、16bの超高圧焼結体12は、何れもドリル本体14から露出しており、ドリル本体14に固設する必要がないため、ここでは大気中で加熱してろう付け処理が行なわれる。このように接合チップ34をドリル本体14の取付座20に一体的にろう付けする工程が第2ろう付け工程である。図6の(a) 、(b) は、それぞれ図1の(b) 、(c) に対応する図である。
その後、切れ刃チップ16a、16bを含めて先端二番面や三番面、シンニング等の研削加工がダイヤモンド砥石を用いて行われることにより、図1に示すような目的とするドリル先端形状とされ、各切れ刃チップ16a、16bの第1斜辺L1の稜線部分によってドリル軸心Oに対して対称的な一対の切れ刃22が構成される。また、一対の切れ刃チップ16a、16bの一方の端面すなわちスライス面は、それぞれ切りくず排出溝18に露出してすくい面として機能する。なお、ドリル本体14の先端に開口するように、一対のオイルホール38が設けられ、潤滑油剤や冷却エア等を切削加工部へ供給できるようになっている。
このように、本実施例では図4に示す第1ろう付け工程で一対の切れ刃チップ16をろう付けする際に真空中でろう付け処理を行なうようにしたため、PCDの黒鉛化が抑制されるなどして、そのPCDの超高圧焼結体12についてもろうの拡散により他方の切れ刃チップ16の超硬合金の台座24との接合強度が十分に且つ安定して得られるようになる。これにより、切削抵抗による振動等でその超高圧焼結体12が他方の切れ刃チップ16から剥離し、チッピングや欠けが発生することが抑制されるとともに、切れ刃22の剛性が向上し、種々の加工条件において安定した加工性能や工具寿命が得られるようになる。
また、本実施例では、切れ刃チップ16が中心線Sに対して非対称で、接合チップ34は尖り先端部30と反対方向へ互い違いに突き出す一対の突出部36を有し、ドリル本体14の取付座20にはドリル軸心Oに対して直角な方向から互いに逆向きに傾斜する一対の傾斜座面20a、20bが設けられ、非重なり部分の一対の突出部36を含めて接合チップ34がドリル本体14の取付座20にろう付けされるため、接合チップ34とドリル本体14との接触面積が大きくなって接合強度が高くなるとともに応力が分散され、切れ刃22の剛性が更に高くなって加工性能や工具寿命が一層向上する。
また、本実施例では、切れ刃チップ16の第2斜辺L2が中心線Sを挟んで第1斜辺L1と対称形状を成すように形成されているため、反対向きに重ねて一体的に固設された接合チップ34の状態において、各切れ刃チップ16の超高圧焼結体12の裏側に他方の切れ刃チップ16の台座24が存在して一体的に固設されるため、全体として非対称形状とされてドリル本体14との接触面積が大きくされるのに加えて、超高圧焼結体12が他方の切れ刃チップ16の台座24により良好にバックアップされるようになり、剛性が向上して加工性能や工具寿命が更に向上する。
また、本実施例では、超高圧焼結体12を有して切削加工を行なう第1斜辺L1側の側辺L3と底辺L5との内角αが鋭角とされることにより、底辺L5が中心線Sに対して直角な方向から傾斜させられて非対称とされているため、その超高圧焼結体12が設けられた側辺L3の長さ寸法が他方の側辺L4よりも大きく、高い機械的強度が得られて過大な負荷が掛かった場合の破損が効果的に抑制される。
また、本実施例では、一対の切れ刃チップ16が貼り合わされた接合チップ34をドリル本体14の取付座20にろう付けする第2ろう付け工程が大気中で行なわれるため、そのろう付け処理を容易且つ迅速に行なうことが可能で製造コストが節減される。すなわち、この第2ろう付け工程では、PCDの超高圧焼結体12の稜線部分が切れ刃22として用いられる関係から、接合チップ34の状態で外部に露出している超高圧焼結体12の全部或いは大部分がドリル本体14からも露出させられ、本実施例では図6の(b) から明らかなように、超高圧焼結体12の全部がドリル本体14から露出しており、超硬合金から成る台座24をドリル本体14にろう付けできれば良いため、必ずしも真空または非酸化性雰囲気中でろう付け処理を行なう必要がなく、大気中であっても十分な接合強度が得られるのである。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用されたPCDドリルの先端部分を示す図で、(a) は先端側から見た平面図、(b) は軸心と直角な方向から見た正面図、(c) は(b) の右側面図である。 図1のPCDドリルで使用されている切れ刃チップを単独で示す図で、(b) は正面図、(a) は(b) の左側面図、(c) は(b) の右側面図である。 図2の切れ刃チップのチップ素材、およびそのチップ素材を板厚方向にスライスした薄板を説明する図である。 図2の切れ刃チップを2枚用いて反対向きに重ね合わせて一体的に接合する第1ろう付け工程を説明する図で、(a) はろう付け前の各部材の正面図、(b) は斜視図、(c) はろう付けした後の接合チップを示す斜視図である。 図1のPCDドリルのドリル本体を示す図で、(a) および(b) はそれぞれ図1の(b) および(c) に対応する図である。 図5のドリル本体に接合チップがろう付けされた状態を示す図で、(a) および(b) はそれぞれ図1の(b) および(c) に対応する図である。 従来のPCDドリルの一例を説明する図で、(a) は軸心と直角な方向から見た正面図、(b) は(a) の右側面図、(c) は切れ刃チップの正面図、(d) は切れ刃チップを切り出す薄板を示す図である。 図7のPCDドリルにおいて、一対の切れ刃チップを反対向きに重ね合わせて一体的に接合するろう付け処理を説明する図で、図4に対応する図である。
符号の説明
10:PCDドリル 12:超高圧焼結体 14:ドリル本体 16、16a、16b:切れ刃チップ 20:取付座 20a、20b:傾斜座面 24:台座 30:尖り先端部 32:ろう材 34:接合チップ 36:突出部 O:ドリル軸心 S:中心線 L1:第1斜辺 L5:底辺

Claims (5)

  1. 多結晶ダイヤモンドを超高圧で焼結した超高圧焼結体を超硬合金の台座に所定の厚さで一体に焼結したもので、ドリルの先端形状に対応する尖り先端部を有する薄板形状を成しているとともに、該尖り先端部の両側の一対の辺の一方の第1斜辺が前記超高圧焼結体にて構成されている同一形状の一対の切れ刃チップが、該尖り先端部が一致するように互いに反対向きに重ね合わされた状態でドリル本体の先端の取付座に一体的にろう付けされることにより、各切れ刃チップの前記超高圧焼結体の稜線部分によってドリル軸心に対して対称的な一対の切れ刃が構成されているPCDドリルの製造方法であって、
    前記一対の切れ刃チップを互いに反対向きとし、ろう材を介在させて重ね合わせ、真空または非酸化性雰囲気中において所定のろう付け温度まで加熱することにより、前記超高圧焼結体の部分を含めて一体的に貼り合わせる第1ろう付け工程と、
    該第1ろう付け工程で前記一対の切れ刃チップが一体的に貼り合わされた接合チップを、更にろう付けにより前記ドリル本体の取付座に一体的に固設する第2ろう付け工程と、
    を有することを特徴とするPCDドリルの製造方法。
  2. 前記切れ刃チップは、前記尖り先端部を通るとともに前記ドリル本体にろう付けされた状態においてドリル軸心と平行になる中心線Sに対して非対称形状を成していて、該尖り先端部と反対側の底辺が該中心線Sに対して直角な方向から傾斜しており、
    前記接合チップは、前記底辺の傾斜により前記尖り先端部と反対方向へ互い違いに突き出す一対の突出部を有する一方、
    前記ドリル本体の取付座には、前記一対の突出部に対応して、ドリル軸心に対して直角な方向から互いに逆向きに傾斜する一対の傾斜座面が設けられており、
    前記第2ろう付け工程では、前記一対の突出部を含めて前記接合チップを前記ドリル本体の取付座にろう付けする
    ことを特徴とする請求項1に記載のPCDドリルの製造方法。
  3. 前記第2ろう付け工程は、大気中において前記接合チップを前記ドリル本体の取付座にろう付けする
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のPCDドリルの製造方法。
  4. 多結晶ダイヤモンドを超高圧で焼結した超高圧焼結体を超硬合金の台座に所定の厚さで一体に焼結したもので、ドリルの先端形状に対応する尖り先端部を有する薄板形状を成しているとともに、該尖り先端部の両側の一対の辺の一方の第1斜辺が前記超高圧焼結体にて構成されている同一形状の一対の切れ刃チップが、該尖り先端部が一致するように互いに反対向きに重ね合わされた状態でドリル本体の先端の取付座に一体的にろう付けされることにより、各切れ刃チップの前記超高圧焼結体の稜線部分によってドリル軸心に対して対称的な一対の切れ刃が構成されているPCDドリルであって、
    前記一対の切れ刃チップは、ろう材が介在させられた状態で互いに反対向きに重ね合わされ、真空または非酸化性雰囲気中において所定のろう付け温度まで加熱されることにより、前記超高圧焼結体の部分を含めて一体的に貼り合わされて接合チップとされ、
    該接合チップの状態で前記ドリル本体の取付座に一体的にろう付けされている
    ことを特徴とするPCDドリル。
  5. 前記切れ刃チップは、前記尖り先端部を通るとともに前記ドリル本体にろう付けされた状態においてドリル軸心と平行になる中心線Sに対して非対称形状を成していて、該尖り先端部と反対側の底辺が該中心線Sに対して直角な方向から傾斜しており、
    前記接合チップは、前記底辺の傾斜により前記尖り先端部と反対方向へ互い違いに突き出す一対の突出部を有する一方、
    前記ドリル本体の取付座には、前記一対の突出部に対応して、ドリル軸心に対して直角な方向から互いに逆向きに傾斜する一対の傾斜座面が設けられており、
    前記接合チップは、前記一対の突出部を含めて前記ドリル本体の取付座にろう付けされている
    ことを特徴とする請求項4に記載のPCDドリル。
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