JP2005193334A - チップソー - Google Patents
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Abstract
【課題】丸鋸外周の各歯体にチップを接合したチップソーに関して、該チップの切刃となるチップ細片の寸法を充分に小さく設定することで、全体としてチップソーの製造コストを大幅に低減させることができ、またPCD焼結体等の耐久性の高いチップを使用しながらも、1回限りで使い切るスローアゥエイタイプになし得るチップソーを提供する。
【解決手段】円板状台金10の外周に複数の歯体14を形成し、夫々の歯体に切刃となるチップ12を対応的に接合してなるチップソーにおいて、前記チップは、超硬合金を基材22とし、その切刃部分に前記超硬合金より硬い硬質層24を形成したチップ細片18と、前記チップ細片を接合する超硬合金製のチップ台20とからなり、すくい面側の高さ方向における前記チップ細片の寸法と前記チップ台の寸法との比が、少なくとも1:10〜1:4になるよう設定した。
【選択図】図1
【解決手段】円板状台金10の外周に複数の歯体14を形成し、夫々の歯体に切刃となるチップ12を対応的に接合してなるチップソーにおいて、前記チップは、超硬合金を基材22とし、その切刃部分に前記超硬合金より硬い硬質層24を形成したチップ細片18と、前記チップ細片を接合する超硬合金製のチップ台20とからなり、すくい面側の高さ方向における前記チップ細片の寸法と前記チップ台の寸法との比が、少なくとも1:10〜1:4になるよう設定した。
【選択図】図1
Description
この発明は、丸鋸外周の各歯体にチップを接合したチップソーに関し、更に詳細には、前記チップの切刃となるチップ細片の寸法を小さく設定することで、製造コストの大幅な削減を実現したチップソーに関するものである。
丸鋸台金の外周に形成した多数の歯体に、超硬合金を材質とするチップを接合したチップソーが広く知られている。例えば図6は、チップソーの円板状台金10にチップ12を接合した状態を示す概略図であって、(1)はチップ12を、チップソーの回転方向に対し逆らう方向から見た正面図である。また図6の(2)はチップ12の平面図であり、図6の(3)は該チップ12の左側面図である。前記チップ12は、台金10の外周に設けた各歯体14のチップ座16にロー付けされている。なお、図示例のチップ12は所謂ホローフェイス型のもので、図6の(2)に示すように、該チップ12のすくい面12aに円弧状をなす窪みが設けられている。ここで「すくい面」とは、チップ12をチップソーの回転方向に対し逆らう方向から見た面であって、図6の(1)に示す如く該チップ12の正面となる部分を指称する。
前記チップ12の材質としては一般に超硬合金が使用されるが、該チップ12の耐久性(耐摩耗性)を向上させるために、この超硬合金より更に硬い超高圧焼結体、例えば多結晶ダイヤモンド(PCD)焼結体や立方晶窒化硼素(CBN)焼結体を材質とするチップが使用されている。
特開2001−79803号
前述したPCD焼結体等の超高圧焼結体からなるチップは、優れた耐摩耗性を有し、長時間の切削に供し得る利点を有している。またチップの切味が低下しても、該チップを再研磨することで切削性能を回復させることができる。ところで、この種の超高圧焼結体を使用したチップソーでは、図6に関して説明した如く、細片状のチップ12が台金10の各歯体14にロー付け接合される。この場合、ロー付け接合の強度を得るには、その接合面積を或る程度確保する必要があり、従って超高圧焼結体のチップの寸法も、或る程度以上の大きさにならざるを得ない。しかしPCD焼結体等のチップはコストが非常に嵩むために、或る程度以上の大きさを有するチップを使用するチップソーは、全体として初期価格が高額となる難点があった。またランニングコストを全体として低減させるために、前記ロー付け強度を維持し得る限界内で再研磨をなし得るように(例えば10回前後)、チップの寸法を大きめにするのが得策である、との背景も存在している。
その一方で、PCD焼結体等のチップの再研磨には、特別な装置や高い研磨技術を必要としている。しかし、ユーザーが所在する地域またはその近くに、その種の設備が常にあるとは限らず、また再研磨の費用も嵩む等の難点も指摘される。従って、コスト的に見合えば、PCD焼結体等のチップを使用したチップソーであっても、再研磨することなく使い捨てにするスローアゥエイタイプの需要があると思われる。
従って本発明は、丸鋸外周の各歯体にチップを接合したチップソーに関して、該チップの切刃となるチップ細片の寸法を充分に小さく設定することで、全体としてチップソーの製造コストを大幅に低減させることができ、またPCD焼結体等の耐久性の高いチップを使用しながらも、1回限りで使い切るスローアゥエイタイプになし得るチップソーを提供することを目的とする。
前記課題を克服するために本発明は、円板状台金の外周に複数の歯体を形成し、夫々の歯体に切刃となるチップを対応的に接合してなるチップソーにおいて、
前記チップは、
超硬合金を基材とし、その切刃部分に前記超硬合金より硬い硬質層を形成したチップ細片と、
前記チップ細片を接合する超硬合金製のチップ台とからなり、
すくい面側の高さ方向における前記チップ細片の寸法と前記チップ台の寸法との比が、少なくとも1:10〜1:4になるよう設定したことを特徴とする。
前記チップは、
超硬合金を基材とし、その切刃部分に前記超硬合金より硬い硬質層を形成したチップ細片と、
前記チップ細片を接合する超硬合金製のチップ台とからなり、
すくい面側の高さ方向における前記チップ細片の寸法と前記チップ台の寸法との比が、少なくとも1:10〜1:4になるよう設定したことを特徴とする。
本発明に係るチップソーによれば、高価なPCD焼結体等のチップを使用して耐久性(耐摩耗性)を維持しつつも、そのPCD焼結体等の使用量を、該チップの初期寿命が尽きた時点で使い捨てるに最小限必要な程度に設定することで、製造コストを低く抑えてスローアゥエイを実現し得る、という有益な効果が奏される。
次に、本発明に係るチップソーにつき、最良の実施形態を例示して、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、図6に関して説明した部材については、既出の符号と同じ符号を付するものとする。
図1は、実施例に係るチップソーにおいて、台金10に形成した歯体14にチップ12を接合した状態を示す部分拡大図であって、このチップ12は、超硬合金を基材とするチップ細片18と、超硬合金を材質とするチップ台20とから構成されている。すなわちチップ細片18は、超硬合金を基材22とすると共に、その切刃となる部分に前記超硬合金よりも硬い硬質層24が形成されている。この硬質層24としては、例えば多結晶ダイヤモンド(PCD)焼結体や、立方晶窒化硼素(CBN)焼結体や、化学蒸着ダイヤモンド(CVDD)等が挙げられ、チップソーの切削対象に応じて、また用途やコスト等の見地に鑑みて適宜の硬質層が選択される。またチップ台20は、前記チップ細片18を超硬合金の基材22の部分で接合して該チップ細片18を支持すると共に、前記夫々の歯体14に設けたチップ座16に接合される。
ここでチップ細片18とチップ台20との接合には、局所的に1000℃程度まで接合温度が上昇する接合手段、例えばバット溶接やスポット溶接等に代表される所謂抵抗溶接が好適に実施される。すなわちチップ細片18における基材22は超硬合金を材質としているから、その基材22を前記チップ台20に切欠き形成した受座26に着座させ、抵抗溶接を行なうことで、チップ細片18は基材22の部分でチップ台20に充分な接合強度をもって確実に接合される。この場合に、融点が高く超硬合金との親和性が良好なニッケルやニッケル合金等のニッケル系金属からなるフィラーを介在させて抵抗溶接を行なうのが好ましい。また、チップソーの台金10に設けた各歯体14へのチップ12の接合は、前述の如くチップ座16に該チップ12を着座させて、ロー付け、レーザ溶接、抵抗溶接等の公知の接合手段を実施することで両者の接合がなされる。
ところで本実施例に係るチップソーは、すくい面側の高さ方向(略半径方向)における前記チップ細片18の寸法とチップ台20の寸法との比が、次の特定化された範囲内に収まっていることを特徴としている。すなわち図2の正面図は、先に述べた如く、チップ12をチップソーの回転方向に対し逆らう方向から見た「すくい面」を示しており、該チップ12において前記チップ細片18が高さ方向に占める寸法と、同じくチップ台20が高さ方向に占める寸法との比は、少なくとも1:10〜1:4の範囲内に収まっている。また、チップ細片18の外部寸法は、図2の正面図において、例えば前記すくい面となる側の高さTが0.5mm以上で2mm以下に設定しておくのが好ましい。すなわち、チップソーの大きさや用途にもよるが、前記高さTが0.5mm未満では切刃を形成するには小さ過ぎるし、また2mmを超えてしまうとコスト的に不利になる。更に、被削材からの歯体14へのダメージを軽減するには、相応のチップ12の大きさが必要である。従って、これらを勘案すると、チップ細片18の寸法とチップ台20の寸法との比は前記した値になる。
このように本実施例では、チップ細片18の高さ寸法をチップ台20の高さ寸法に比して充分小さくなるよう設定することで、該チップ細片18に施される高価なPCD焼結体等の硬質層24の使用割合を少なく設定することができる。従ってチップソーの製造コストを、全体として極めて低廉に設定することが可能である。殊に、PCD焼結体等の硬質層24を切刃部分に使用しておりながら、チップ12の再研磨を行なうことなく、1回限りの使い切りとしたスローアゥエイタイプのチップソーを低価格で市場に投入することができる。
なお、実施例に係るチップ細片18は、例えば超硬合金からなる基材の表面にCBN焼結体やPCD焼結体の層を形成し、または該基材の表面にCVDDを化学蒸着させたブランク(素材)を準備し、このブランクを放電式ワイヤカット等の技法により所要形状に切り出すことで得られる。この場合にチップ細片18を横すくい角分だけ傾斜させた状態で切り出し、この斜めに切り出された2つのチップ細片18,18を、図3に示す如く、チップソーにおける歯体14の厚み方向に隣接させることで、そのすくい面に窪み(所謂ホローフェイス)を持たせることができる。但し、このようにチップ細片18,18を組合わせてホローフェイス型にすることは本発明の要件ではなく、図4に示す如く、チップ細片18を単一として、そのすくい面をフラットなものとしてもよいことは勿論である。
図1に係る実施例では、チップ台20の頂部に受座26を切欠き形成し、この受座26にチップ細片18の基材22を着座させて抵抗溶接するものであった。しかし図5に示すように、チップ台20に受座26を形成することなく、該チップ台20の頂部にチップ細片18の基材22を当接させ、該基材22とチップ台20とを抵抗溶接するようにしてもよい。この実施例2によれば、チップ細片18の寸法を小さく設定するのに合わせて、前記チップ台20の寸法も小さく設定し得るので、該チップ台20に使用される超硬合金の使用量が抑制され、従ってチップソーの更なる低コスト化を達成することができる。
10 台金
12 チップ
14 歯体
18 チップ細片
20 チップ台
22 基材
24 硬質層
26 受座
12 チップ
14 歯体
18 チップ細片
20 チップ台
22 基材
24 硬質層
26 受座
Claims (5)
- 円板状台金(10)の外周に複数の歯体(14)を形成し、夫々の歯体(14)に切刃となるチップ(12)を対応的に接合してなるチップソーにおいて、
前記チップ(12)は、
超硬合金を基材(22)とし、その切刃部分に前記超硬合金より硬い硬質層(24)を形成したチップ細片(18)と、
前記チップ細片(18)を接合する超硬合金製のチップ台(20)とからなり、
すくい面側の高さ方向における前記チップ細片(18)の寸法と前記チップ台(20)の寸法との比が、少なくとも1:10〜1:4になるよう設定した
ことを特徴とするチップソー。 - 前記チップ細片(18)に形成される硬質層(24)は、立方晶窒化硼素(CBN)焼結体、多結晶ダイヤモンド(PCD)焼結体、化学蒸着ダイヤモンド(CVDD)の何れかより選択される請求項1記載のチップソー。
- 前記チップ細片(18)とチップ台(20)との接合は、夫々の超硬合金の間にニッケル系金属等のフィラーを介在させて行なう抵抗溶接が選択され、前記夫々の歯体(14)へのチップ(12)の接合は、ロー付け、レーザ溶接、抵抗溶接等の手段から選択される請求項1または2に記載のチップソー。
- 前記チップ細片(18)は、超硬合金の基材(22)に前記硬質層(24)を形成したブランクをレーザ切断することで得られ、該チップ細片(18)の外部寸法は、前記すくい面となる側の高さTが0.5mm以上で2mm以下に設定されている請求項1〜3の何れかに記載のチップソー。
- 前記チップ台(20)に、2枚のチップ細片(18,18)が幅方向に並ぶように接合される請求項1〜4の何れかに記載のチップソー。
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