JP2006346739A - 回転切削刃物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高硬度の超硬合金チップを母材金属にろう付しながら、ろう付するときの温度変化で超硬合金チップにクラックが発生するのを効果的に阻止し、超硬合金チップを自体の寿命を長くする。
【解決手段】回転切削刃物は、回転軸を中心に回転される母材金属1の外周に、所定のピッチで複数の超硬合金チップ2をろう材層3を介してろう付けしている。このろう材層3は、母材金属1と超硬合金チップ2に接合される接合ろう材4の中間に、緩衝プレート5を配設するサンドイッチ構造としている。接合ろう材4は銀ろうで、緩衝プレート5は超硬合金チップ2よりも薄く、かつ超硬合金チップ2よりも低硬度の超硬合金からなる薄板としている。回転切削刃物は、接合ろう材4と緩衝プレート5とのサンドイッチ構造からなるろう材層3を介して、超硬合金チップ2を母材金属1にろう付している。
【選択図】図3
【解決手段】回転切削刃物は、回転軸を中心に回転される母材金属1の外周に、所定のピッチで複数の超硬合金チップ2をろう材層3を介してろう付けしている。このろう材層3は、母材金属1と超硬合金チップ2に接合される接合ろう材4の中間に、緩衝プレート5を配設するサンドイッチ構造としている。接合ろう材4は銀ろうで、緩衝プレート5は超硬合金チップ2よりも薄く、かつ超硬合金チップ2よりも低硬度の超硬合金からなる薄板としている。回転切削刃物は、接合ろう材4と緩衝プレート5とのサンドイッチ構造からなるろう材層3を介して、超硬合金チップ2を母材金属1にろう付している。
【選択図】図3
Description
本発明は、鉄等の母材金属に超硬合金チップをろう付している回転切削刃物に関する。
回転切削刃物は、回転軸を中心に回転される母材金属の外周に、一定のピッチで超硬合金チップをろう付して固定している。超硬合金チップと母材金属の鉄は材質が異なるために溶接しては固定できない。超硬合金チップをろう付して母材金属に固定している回転切削刃物は、ろう付時やその後の研磨加工のときに、温度変化が原因で、ろう付部にクラックが発生する。超硬合金チップの熱膨張に比較して、母材金属の熱膨張が大きいからである。熱膨張の大きい母材金属は、ろう材を熱溶融して超硬合金チップをろう付する加熱状態において、超硬合金チップよりも大きく膨張する。この状態で母材金属と超硬合金チップが冷却されると、母材金属は超硬合金チップよりも収縮量が大きく、ろう付された超硬合金チップと母材金属との間に応力が作用する。この応力が超硬合金チップにクラックを発生させる。また、ろう付のときにクラックが発生しなくても、内部応力が存在する状態で母材金属にろう付されている超硬合金チップは、その後の研磨工程で加熱冷却されてクラックが発生する。クラックは、図1に示すように、超硬合金チップ2の刃縁に発生する。この回転切削刃物は、クラック6によって被切削物の切削面に傷を付ける。このため、刃面にクラック6の発生した回転切削刃物は使用できない。ろう付時や研磨時に発生する超硬合金チップ2のクラック6は、超硬合金チップ6に、より硬いものを使用するときに甚だしくなる。たとえばHRA92を越える硬度の超硬合金チップが鉄の母材金属にろう付けされた回転切削刃物は、ろう付時や研磨時の熱変化でクラックが発生して製品にできない。
ところで、超硬合金チップを母材金属にろう付している切削具の寿命を長くするために、複数の超硬合金チップを積層してろう付する技術は開発されている(特許文献1参照)。
特開平9−78986号公報
この公報には、超硬合金チップを台金にろう付けしているトンネル掘削機用カッタービットを記載している。カッタービットの超硬合金チップは、複数層のチップ片を、チップ片の間に銅板を挿入してろう付けして多層チップとしている。各超硬合金製チップ片は、硬さ、靱性等の材質が異なるものとして、チップ片の同時欠損を阻止している。このカッタービットは、トンネル掘削作業中に、外層(最先端層)のカッタービットチップ片が欠損摩耗しても、内層側のチップ片が掘削機能を果たすようにして、各々のチップ片で掘削できるようにしている。このカッタービットは、最外層のチップ片が欠損しても、次のチップ片で掘削できるようにして寿命を長くする。さらに外層のチップ片に亀裂が生じても、チップ片の間に挿入している銅板が亀裂を制止して、他のチップ片の亀裂を防止する。
この構造のカッタービットは、各々のチップ片をそれぞれ掘削に使用して寿命を長くできる。しかしながら、この構造のカッタービットは、超硬合金チップの硬度を高くすると、ろう付や研磨時の温度変化で超硬合金チップにクラックが発生するのを防止できない。このため、母材金属の外周に、高硬度の超硬合金チップをクラックが発生しないようにろう付し、しかも、高硬度の超硬合金チップを複数個、母材金属の外周に固定して、全ての超硬合金チップにクラックが発生しないようにするのはさらに難しい。このため、母材金属の外周に固定される超硬合金チップの硬度に制限を受け、回転切削刃物の寿命を長くするのが難しい。また、回転切削刃物は、母材金属に多層チップ片の超硬合金チップをろう付しても寿命を長くはできない。それは、最外層のチップ片が破損すると、このチップ片の回転半径が小さくなって、実質的に切削には使用されなくなるからである。母材金属に多数の超硬合金チップをろう付する回転切削刃物は、超硬合金チップ自体の寿命を長くする必要がある。
本発明は、回転軸を中心に回転される母材金属の外周にろう付している超硬合金チップ自体の寿命を延長することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、高硬度の超硬合金チップを母材金属にろう付しながら、ろう付するときの温度変化で超硬合金チップにクラックが発生するのを効果的に阻止し、超硬合金チップを自体の寿命を長くできる回転切削刃物を提供することにある。
本発明の回転切削刃物は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
回転切削刃物は、回転軸を中心に回転される母材金属1の外周に、所定のピッチで複数の超硬合金チップ2をろう材層3を介してろう付けしている。このろう材層3は、母材金属1と超硬合金チップ2に接合される接合ろう材4の中間に、緩衝プレート5を配設するサンドイッチ構造としている。
回転切削刃物は、回転軸を中心に回転される母材金属1の外周に、所定のピッチで複数の超硬合金チップ2をろう材層3を介してろう付けしている。このろう材層3は、母材金属1と超硬合金チップ2に接合される接合ろう材4の中間に、緩衝プレート5を配設するサンドイッチ構造としている。
さらに、本発明の請求項1の回転切削刃物は、接合ろう材4を銀ろうとすると共に、緩衝プレート5を超硬合金チップ2よりも薄く、かつ超硬合金チップ2よりも低硬度の超硬合金からなる薄板としており、接合ろう材4と緩衝プレート5とのサンドイッチ構造からなるろう材層3を介して、超硬合金チップ2を母材金属1にろう付している。
さらに、本発明の請求項2の回転切削刃物は、接合ろう材4を、両面に設けている銀層の中間に銅層を積層してなる積層構造とすると共に、緩衝プレート5を超硬合金チップ2よりも薄く、かつ超硬合金チップ2よりも低硬度の超硬合金からなる薄板としており、接合ろう材4と緩衝プレート5とのサンドイッチ構造からなるろう材層3を介して、超硬合金チップ2を母材金属1にろう付している。
本発明の回転切削刃物は、超硬合金チップ2の背面を、接合ろう材4と緩衝プレート5とのサンドイッチ構造からなるろう材層3で母材金属1にろう付し、超硬合金チップ2の端面を、緩衝プレートを配設しない接合ろう材4で母材金属1にろう付することができる。
本発明の回転切削刃物は、母材金属1にろう付している超硬合金チップ2の硬度をHRA92以上とし、緩衝プレート5の超硬合金層の硬度を、超硬合金チップ2のHRAよりも2以上小さくすることができる。
本発明の回転切削刃物は、母材金属1を鉄又は鉄合金とすることができる。さらに、本発明の回転切削刃物は、緩衝プレート5の厚さを、超硬合金チップ2の3/4〜1/10とすることができる。さらにまた、本発明の回転切削刃物は、接合ろう材4の厚さを0.1mm以上とし、さらに1.5mm以下とすることができる。
本発明の回転切削刃物は、高硬度の超硬合金チップを母材金属にろう付しながら、ろう付するときの温度変化で超硬合金チップにクラックが発生するのを有効に防止できる特徴がある。それは、本発明の回転切削刃物が、超硬合金チップを母材金属にろう付するろう材層を、接合ろう材の間に緩衝プレートを配設しているサンドイッチ構造とし、中間の緩衝プレートには超硬合金チップよりも薄くて低硬度の超硬合金からなる薄板を使用し、接合ろう材として銀又は銀と銅の積層構造のろう材を使用するからである。とくに、本発明の回転切削刃物は、ろう材層の中間に、超硬合金チップよりも薄くて低硬度の超硬合金からなる独得の緩衝プレートを配設している。この緩衝プレートは、ろう付や研磨時に発生する超硬合金チップと母材金属との内部応力の緩衝層として作用する。とくに、この緩衝プレートは、超硬合金チップよりも薄くて低硬度な超硬合金であるために、母材金属と超硬合金チップとの中間の物性を有し、これが母材金属の熱変形による応力を吸収しながら、母材金属によって超硬合金チップが変形されるのを防止する。
ちなみに、本発明者は、緩衝プレートとして、超硬合金よりも変形しやすい厚さを1mmとする銅板のろう材層を使用し、このろう材層で、HRA95の超硬合金チップを母材金属にろう付した。しかしながら、この構造の回転切削刃物は、ろう付や研磨時に超硬合金チップにクラックが発生した。本発明者は、銅板が超硬合金よりも変形しやすいので、超硬合金チップと母材金属の熱変形による内部応力をより効果的に吸収できる考え、超硬合金と同じ厚さの銅板を緩衝プレートに使用した。しかしながら、この構造によっては、ろう付時に発生する超硬合金チップのクラックを防止できなかった。
これに対して、本発明の回転切削刃物は、銅板よりも変形し難くて硬い超硬合金を緩衝プレートを使用して、ろう付時に発生する超硬合金チップのクラックを確実に阻止することができた。たとえば、緩衝プレートに厚さが1mmでHRAを92とする超硬合金を使用して、HRA95の超硬合金チップを鉄の母材金属にろう付、研磨してクラックの発生を防止することに成功した。本発明は、このように、従来はろう付して固定できなかった、極めて高硬度の超硬合金チップを母材金属にろう付、研磨できるものであるが、この特徴を実現するには、緩衝プレートの超硬合金として、超硬合金チップよりも薄く、しかも低硬度の超硬合金を使用することが必須である。この超硬合金からなる緩衝プレートは、超硬合金チップよりも変形しやすいが、銅のようには変形せず、変形のしやすさが、母材金属と超硬合金チップとの中間の物性を示すことから、それ自体がわずかに変形して、母材金属と超硬合金チップとの内部応力を吸収するが、銅のようには変形しないために、超硬合金チップが母材金属に変形されるのを阻止する防護層の作用をして、超硬合金チップのクラックを有効に防止する。この状態で超硬合金チップのクラックを防止する緩衝プレートは、超硬合金チップと同じように超硬合金を使用するものではあるが、超硬合金チップよりも薄く、しかも低硬度のものを使用することが必須の要件であり、この何れの要件を満足しなくとも、超硬合金チップのクラックを有効には阻止できない。
以上のように、超硬合金の緩衝プレートが超硬合金チップのクラックを防止するので、本発明の緩衝プレートは、従来のろう付では到底に製造できなかった、極めて高硬度の超硬合金チップ、たとえば硬度をHRA95とする超硬合金チップを使用して、クラックの発生を有効に阻止できるので、高硬度の超硬合金チップを使用して、回転切削刃物の寿命を飛躍的に長くできる特徴がある。
ちなみに、本発明者は、緩衝プレートとして、超硬合金よりも変形しやすい厚さを1mmとする銅板のろう材層を使用し、このろう材層で、HRA95の超硬合金チップを母材金属にろう付した。しかしながら、この構造の回転切削刃物は、ろう付や研磨時に超硬合金チップにクラックが発生した。本発明者は、銅板が超硬合金よりも変形しやすいので、超硬合金チップと母材金属の熱変形による内部応力をより効果的に吸収できる考え、超硬合金と同じ厚さの銅板を緩衝プレートに使用した。しかしながら、この構造によっては、ろう付時に発生する超硬合金チップのクラックを防止できなかった。
これに対して、本発明の回転切削刃物は、銅板よりも変形し難くて硬い超硬合金を緩衝プレートを使用して、ろう付時に発生する超硬合金チップのクラックを確実に阻止することができた。たとえば、緩衝プレートに厚さが1mmでHRAを92とする超硬合金を使用して、HRA95の超硬合金チップを鉄の母材金属にろう付、研磨してクラックの発生を防止することに成功した。本発明は、このように、従来はろう付して固定できなかった、極めて高硬度の超硬合金チップを母材金属にろう付、研磨できるものであるが、この特徴を実現するには、緩衝プレートの超硬合金として、超硬合金チップよりも薄く、しかも低硬度の超硬合金を使用することが必須である。この超硬合金からなる緩衝プレートは、超硬合金チップよりも変形しやすいが、銅のようには変形せず、変形のしやすさが、母材金属と超硬合金チップとの中間の物性を示すことから、それ自体がわずかに変形して、母材金属と超硬合金チップとの内部応力を吸収するが、銅のようには変形しないために、超硬合金チップが母材金属に変形されるのを阻止する防護層の作用をして、超硬合金チップのクラックを有効に防止する。この状態で超硬合金チップのクラックを防止する緩衝プレートは、超硬合金チップと同じように超硬合金を使用するものではあるが、超硬合金チップよりも薄く、しかも低硬度のものを使用することが必須の要件であり、この何れの要件を満足しなくとも、超硬合金チップのクラックを有効には阻止できない。
以上のように、超硬合金の緩衝プレートが超硬合金チップのクラックを防止するので、本発明の緩衝プレートは、従来のろう付では到底に製造できなかった、極めて高硬度の超硬合金チップ、たとえば硬度をHRA95とする超硬合金チップを使用して、クラックの発生を有効に阻止できるので、高硬度の超硬合金チップを使用して、回転切削刃物の寿命を飛躍的に長くできる特徴がある。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための回転切削刃物を例示するものであって、本発明は回転切削刃物を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
図2ないし図4に示す回転切削刃物は、回転軸を中心に回転される円盤状の母材金属1の外周に所定のピッチで超硬合金チップ2をろう付している。この回転切削刃物は、回転されて複数の超硬合金チップ2で被切削物を切断する。超硬合金チップ2は、図3と図4の拡大断面図に示すように、ろう材層3を介して母材金属1にろう付している。ろう材層3は、母材金属1と超硬合金チップ2に接合される接合ろう材4の中間に、緩衝プレート5を配設するサンドイッチ構造である。図3のろう材層3は、両面の接合ろう材4の中間に1層の緩衝プレート5を配設している。図4のろう材層3は、両面の接合ろう材4の間に複数の緩衝プレート5を配設している。複数の緩衝プレート5を配設するろう材層3は、緩衝プレート5の間を接合ろう材4で接合する。このように複数の緩衝プレート5を有するろう材層3は、極めて硬度の高い超硬合金チップ2を、クラックの発生をより有効に阻止しながら、母材金属1にろう付できる。
接合ろう材4は銀ろうの単層、又は、両面に設けている銀層の中間に銅層を積層している積層構造である。接合ろう材4の厚さは、0.1mm〜1.5mmである。銀層と銅層を積層している積層構造の接合ろう材は、たとえば、銀層と銅層の厚さを等しくし、あるいは銅層の厚さを銀層の1〜2倍としている。銅層の厚さを銀層の2倍とする接合ろう材は、銅層の厚さを0.15mm、0.2mm、0.3mmとして、全体の厚さを0.3mm、0.4mm、0.6mmとすることができる。ただし、本発明の回転切削刃物は、積層構造の接合ろう材における銀層と銅層を同じ厚さを特定しない。この接合ろう材は、銅層を銀層よりも厚く、あるいはまた銀層を銅層よりも厚くすることもできる。本明細書において、接合ろう材4に使用される銀や銅は、銀合金や銅合金を含む広い意味に使用す。銀合金のろう材は融点が低く、低い温度で超硬合金チップ2を母材金属1にろう付できる。銀ろうの単層からなる接合ろう材4は、ろう材層3を薄くできる。銀層の中間に銅層を積層している多層構造の接合ろう材4は、緩衝プレート5と超硬合金チップ2間の応力と歪、あるいは緩衝プレート5と母材金属1との間の応力と歪、あるいは又は緩衝プレート5間の応力と歪を銅層で吸収して、超硬合金チップ2を母材金属1にろう付できる。
緩衝プレート5は、超硬合金の薄板であるが、超硬合金チップ2よりも薄く、また、超硬合金チップ2よりも低硬度の超硬合金である。たとえば、緩衝プレート5は、好ましくは、超硬合金チップ2の厚さの3/4〜1/10、さらに好ましくは1/2〜1/8とする。超硬合金の緩衝プレート5は、厚くても薄くても、超硬合金チップ2のクラックを有効に阻止できない。緩衝プレート5が厚すぎても薄すぎても、超硬合金チップ2と母材金属1の中間の物性を示さなくなるからである。
さらに、緩衝プレート5の厚さは、たとえば、4mmの超硬合金チップ2を鉄や鉄合金の母材金属1にろう付する場合、緩衝プレート5の厚さは、0.4mm〜3mm、好ましくは0.5〜2mm、さらに好ましくは0.7mm〜1.2mm、最適には1mmとする。
緩衝プレート5の超硬合金は、超硬合金チップ2の硬度から最適硬度を特定する。緩衝プレート5の超硬合金のHRA硬度は、超硬合金チップ2のHRA硬度よりも2以上小さくする。たとえば、HRA95の超硬合金チップ2を鉄や鉄合金の母材金属1にろう付する場合、緩衝プレート5は、HRA93〜90の超硬合金を使用する。また、HRA94の超硬合金チップ2を鉄や鉄合金の母材金属1にろう付する場合、緩衝プレート5にはHRA92〜89の超硬合金を使用する。
さらに、図4に示すように、複数の緩衝プレート5を積層しているろう材層3は、緩衝プレート5の超硬合金の硬度を、母材金属1から超硬合金チップ2に向かって次第に高く、いいかえると超硬合金チップ2から母材金属1に向かって次第に低くする。たとえば、HRA95の超硬合金チップ2を鉄や鉄合金の母材金属1にろう付する回転切削刃物は、超硬合金チップ2に近い面に積層される緩衝プレート5にはHRA93〜92の超硬合金を使用し、母材金属1に近い面に積層される緩衝プレート5にはHRA91〜90の超硬合金を使用する。このように、複数層の超硬合金からなる緩衝プレート5を積層するろう材層3は、高硬度の超硬合金チップ2を母材金属1にろう付して、超硬合金チップ2のクラックを極めて効果的に阻止できる。
図3と図4の回転切削刃物は、超硬合金チップ2の背面を、接合ろう材4と緩衝プレート5とのサンドイッチ構造からなるろう材層3で母材金属1にろう付し、超硬合金チップ2の端面を、緩衝プレート5を配設しない接合ろう材4で母材金属1にろう付している。この回転切削刃物は、面積の大きい超硬合金チップ2の背面を、超硬合金の緩衝プレート5を積層するろう材層3で母材金属1にろう付して、超硬合金チップ2のクラックを防止できる。ただし、図示しないが、超硬合金チップの背面と端面の両方を、超硬合金の緩衝プレートを積層しているろう材層で母材金属にろう付することもできる。
以上の実施例は、母材金属を円盤状とするが、本発明は母材金属を円盤状には特定しない。図5の回転切削刃物は、回転軸7の先端部に複数のアーム状の母材金属を固定し、この母材金属1の先端に超硬合金チップ2を固定している。この図の回転切削刃物は、回転軸7に2本のアーム状母材金属1を固定して、母材金属1の先端に超硬合金チップ2を固定している。超硬合金チップ2は、回転軸7を中心に回転される母材金属1の外周に位置して固定され、各々の超硬合金チップ2が同じ軌跡を回転して移動する。図の回転切削刃物は2個の超硬合金チップを固定しているが、3個以上の超硬合金チップを母材金属に固定することもでき。超硬合金チップを固定する母材金属は、3個以上のアーム状の母材金属を設けて、母材金属の先端に超硬合金チップを固定する。
以下のようにして、超硬合金チップ2を、母材金属1の外周の4カ所にろう付する。超硬合金チップ2は、厚さを4mm、幅を50mm、長さを25mm、硬度をHRA95とする超硬合金である。母材金属1は、外径を255mm、厚さを48mmとする鉄製の円盤で、外周の4カ所に超硬合金チップ2をろう付している。ろう材層3は、接合ろう材4の中間に超硬合金の緩衝プレート5を配設する3層のサンドイッチ構造である。接合ろう材4は、銀層の中間に銅層を積層する3層構造である。銀層と銅層の厚さは0.1mm、接合ろう材4全体の厚さは0.3mmである。銀層は600〜760℃でろう付できる銀合金である。緩衝プレート5は、HRAを90、厚さを1mmとする超硬合金である。
以上の回転切削刃物は、725℃に加熱して超硬合金チップ2を母材金属1にろう付し、その後、超硬合金チップ2の刃縁を砥石で研磨して製造される。以上の状態で製造された回転切削刃物は、超硬合金チップ2に全くクラックが発生しない。
[比較例1]
[比較例1]
ろう材層の緩衝プレートを、実施例1の超硬合金から銅の薄板に変更する以外、同じようにして回転切削刃物を製作すると、全ての超硬合金チップの刃縁にクラックができた。
以下のようにして、超硬合金チップ2を、母材金属1の外周の4カ所にろう付する。超硬合金チップ2は、厚さを4mm、幅を60mm、長さを25mm、硬度をHRA93とする超硬合金である。母材金属1は、外径を255mm、厚さを58mmとする鉄製の円盤で、外周の4カ所に超硬合金チップ2をろう付している。ろう材層3は、接合ろう材4の中間に超硬合金の緩衝プレート5を配設する3層のサンドイッチ構造である。接合ろう材4は、厚さを0.3mmとする銀ろうの単層である。銀層は600〜760℃でろう付できる銀合金である。緩衝プレート5は、HRAを90、厚さを1mmとする超硬合金である。
以上の回転切削刃物は、725℃に加熱して超硬合金チップ2を母材金属1にろう付し、その後、超硬合金チップ2の刃縁を砥石で研磨して製造される。以上の状態で製造された回転切削刃物は、超硬合金チップ2に全くクラックが発生しない。
[比較例2]
[比較例2]
ろう材層の緩衝プレートを、実施例2の超硬合金から銅の薄板に変更する以外、同じようにして回転切削刃物を製作すると、全ての超硬合金チップの刃縁にクラックができた。
以下のようにして、超硬合金チップ2を、母材金属1の外周の4カ所にろう付する。超硬合金チップ2は、厚さは4mm、幅を60mm、長さを25mm、硬度をHRA95とする超硬合金である。母材金属1は、外径を255mm、厚さを58mmとする鉄製の円盤で、外周の4カ所に超硬合金チップ2をろう付している。ろう材層3は、接合ろう材4の間に2枚の超硬合金の緩衝プレート5を配設する5層のサンドイッチ構造である。接合ろう材4は、銀層の中間に銅層を積層する3層構造である。銀層と銅層の厚さは0.1mm、接合ろう材4全体の厚さは0.3mmである。銀層は600〜760℃でろう付できる銀合金である。緩衝プレート5は、超硬合金チップ2側の超硬合金が、HRA93、厚さ1mmであり、、母材金属1側の超硬合金が、HRA90、厚さ1mmである。
以上の回転切削刃物は、725℃に加熱して超硬合金チップ2を母材金属1にろう付し、その後、超硬合金チップ2の刃縁を砥石で研磨して製造される。以上の状態で製造された回転切削刃物は、超硬合金チップ2に全くクラックが発生しない。
[比較例3]
[比較例3]
ろう材層の緩衝プレートを、実施例3の超硬合金から銅の薄板に変更する以外、同じようにして回転切削刃物を製作すると、全ての超硬合金チップの刃縁にクラックができた。
1…母材金属
2…超硬合金チップ
3…ろう材層
4…接合ろう材
5…緩衝プレート
6…クラック
7…回転軸
2…超硬合金チップ
3…ろう材層
4…接合ろう材
5…緩衝プレート
6…クラック
7…回転軸
Claims (7)
- 回転軸を中心に回転される母材金属(1)の外周に、所定のピッチで複数の超硬合金チップ(2)をろう材層(3)を介してろう付けしてなる回転切削刃物において、
ろう材層(3)が、母材金属(1)と超硬合金チップ(2)に接合される接合ろう材(4)の中間に、緩衝プレート(5)を配設するサンドイッチ構造で、
接合ろう材(4)は銀ろうで、緩衝プレート(5)は超硬合金チップ(2)よりも薄く、かつ超硬合金チップ(2)よりも低硬度の超硬合金からなる薄板で、
接合ろう材(4)と緩衝プレート(5)とのサンドイッチ構造からなるろう材層(3)を介して、超硬合金チップ(2)を母材金属(1)にろう付してなることを特徴とする回転切削刃物。 - 回転軸を中心に回転される母材金属(1)の外周に、所定のピッチで複数の超硬合金チップ(2)をろう材層(3)を介してろう付けしてなる回転切削刃物において、
ろう材層(3)が、母材金属(1)と超硬合金チップ(2)に接合される接合ろう材(4)の中間に、緩衝プレート(5)を配設するサンドイッチ構造で、
接合ろう材(4)は、両面に設けている銀層の中間に銅層を積層してなる積層構造で、緩衝プレート(5)は超硬合金チップ(2)よりも薄く、かつ超硬合金チップ(2)よりも低硬度の超硬合金からなる薄板で、
接合ろう材(4)と緩衝プレート(5)とのサンドイッチ構造からなるろう材層(3)を介して、超硬合金チップ(2)を母材金属(1)にろう付してなることを特徴とする回転切削刃物。 - 超硬合金チップ(2)の背面を、接合ろう材(4)と緩衝プレート(5)とのサンドイッチ構造からなるろう材層(3)で母材金属(1)にろう付し、超硬合金チップ(2)の端面を、緩衝プレートを配設しない接合ろう材(4)で母材金属(1)にろう付している請求項1または2に記載される回転切削刃物。
- 母材金属(1)にろう付している超硬合金チップ(2)の硬度がHRA92以上で、緩衝プレート(5)の超硬合金層の硬度が、超硬合金チップ(2)のHRAよりも2以上小さい請求項1または2に記載される回転切削刃物。
- 母材金属(1)が鉄又は鉄合金である請求項1または2に記載される回転切削刃物。
- 緩衝プレート(5)の厚さが、超硬合金チップ(2)の3/4〜1/10である請求項1または2に記載される回転切削刃物。
- 接合ろう材(4)の厚さが0.1mm以上であり、かつ1.5mm以下である請求項1または2に記載される回転切削刃物。
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