本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、いわゆる「セブン機」と総称されるパチンコ遊技機に関する例である。この内容について、図1〜図11を用いて説明する。
本例のパチンコ遊技機1は、図1〜図4に示すごとく、特定入賞口18を含めて複数の入賞口が配置された略円形状の遊技領域13と、遊技領域13の外縁に沿って設けられた外レール60、及び遊技玉が通過可能な隙間を維持しつつ外レール60の内側に沿って移動可能なスライドレール611により形成された発射玉通路62と、この発射玉通路62を経由して遊技領域13に向けて遊技玉を発射する発射装置421と、特定入賞口18への遊技玉の入賞経路Rを開放する開放位置(図4(B)に示す位置)、及び当該入賞経路Rを閉鎖する閉鎖位置(図4(A)に示す位置)の間でスライドレール611を移動させるレール駆動手段36と、を備えている。
以下、この内容について詳しく説明する。
まず、本例のパチンコ遊技機1の外観的な構成について、図1及び図2を用いて説明する。パチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉12と、開閉扉12の内側の遊技盤130に形成された略円形状の遊技領域13と、遊技領域13の両側に配設された左右一対のスピーカ14と、遊技領域13の下側に設けられた玉供給皿111と、右下に配置された発射ハンドル112とを備えている。
開閉扉12は、図1に示すごとく、ヒンジ(図示略)を介して回動可能な状態で台枠に固定された扉である。開閉扉12は、遊技領域13に対応する略円形状の透明窓120と、透明窓120の上部に配置された装飾ランプ126とを有している。さらに、開閉扉12は、スピーカ14の配設位置に対応して複数の貫通孔124を有している。
発射ハンドル112は、図1に示すごとく、遊技領域13への遊技玉の打ち出し強さを調整するための操作ハンドルである。発射ハンドル112は、図示しないスプリングにより左回転方向の初期位置に向けて付勢されている。初期位置に発射ハンドル112が位置する場合の打ち出し強さはゼロであり、この状態では遊技玉は発射されない。パチンコ遊技機1では、発射ハンドル112の右回転方向の操作に応じて遊技玉を発射できる。発射ハンドル112の操作量が大きくなるほど、遊技玉の打ち出し強さが強くなる。発射ハンドル112の操作に応じて発射された遊技玉は、発射玉通路62を経由して遊技領域13に打ち込まれる。さらに、発射ハンドル112は、遊技玉の発射を一時停止するための発射停止ボタン(図示略)を備えている。発射停止ボタンを操作すれば、遊技玉の発射を一時停止可能である。
遊技領域13は、図1及び図2に示すごとく、遊技媒体である遊技玉が流下する領域をなしている。遊技領域13には、液晶表示装置191を備えた表示装置19を中心とした左側のエリアに通過ゲート175及び特定入賞口18が配置され、下側のエリアに始動入賞口17及び大入賞装置16が配置されている。遊技領域13の最下部には、いずれの入賞口にも入賞することなく流下した全ての遊技玉を回収するための玉排出口15が開口している。
遊技盤130には、図1、図2及び図4に示すごとく、発射玉通路62に沿う略円弧形状を呈する貫通溝610が穿設されている。貫通溝610は、遊技盤130の表裏を貫通する細いスリット状の溝である。貫通溝610は、スライドレール611を移動可能な状態で収容できるよう、その曲率がスライドレール611の曲率と略一致している。この貫通溝610は、図4(A)に示す閉鎖位置のスライドレール611に相当する位置から同図(B)に示す開放位置のスライドレール611に相当する位置までの範囲に渡って延設されている。
遊技領域13の外縁には、図1、図2及び図4に示すごとく、下側から左側に回り込む略円弧状の発射玉通路62が形成されている。発射玉通路62は、遊技領域13を取り囲むように形成された外レール60と、この外レール60の内側に配設された内レール61との間隙により形成されている。発射玉通路62は、一方の端部が発射装置421に連通していると共に、他方の端部が遊技領域13に対する開口端621を形成している。発射玉通路62は、発射装置421により発射された遊技玉を遊技領域13に導くための通路である。
外レール60は、図1、図2、図4及び図5に示すごとく、遊技領域13を取り囲むように遊技盤130に配設された固定レールである。外レール60は、発射装置421との連通部分をなす図示しない下端部から左上方向に向けて立ち上がり、遊技領域13の外縁に沿って、時計盤に例えて言えば「2時」付近まで回り込んでいる。
内レール61は、遊技盤130に固定された固定レール612と、外レール60に沿って移動可能なスライドレール611とよりなる。固定レール612は、発射装置421との連通部分をなす図示しない下端部から遊技領域13における「9時」付近まで外レール60に沿って延設されている。スライドレール611は、固定レール612の内側に沿って移動する可動レールである。スライドレール611は、略円形状の遊技領域13の外周約45度に渡って形成された略円弧状のレールである。
外レール60及び固定レール612が遊技盤130に立設固定されているのに対して、スライドレール611は、図1、図2、図4及び図5に示すごとく、前記略円弧状の貫通溝610を貫通する状態で組み込まれている。略L字状の断面形状を呈するスライドレール611は、略L字状の下辺に当たるギア形成部611Bと、他方の辺に当たるレール部611Aとよりなる。スライドレール611は、ギア形成部611Bが遊技盤130の裏面に沿うと共に、レール部611Aが貫通溝610を貫通して遊技領域13に突出する状態で組み付けられている。ギア形成部611Bでは、内周縁部にギア歯611Gが形成されている。
遊技盤130の裏面には、図4及び図5に示すごとく、図示しないモータブラケットを介してレールモータ361が固定されている。レールモータ361は、出力軸361Sに外挿固定されたギア366を介してスライドレール611のギア歯611Gに係合している。本例のパチンコ遊技機1では、レールモータ361の出力軸361Sの回転に応じて、貫通溝610に沿ってスライドレール611を移動可能である。
本例の発射玉通路62は、貫通溝610に沿うスライドレール611の移動に応じて伸縮し得る。図4(A)に示すごとくスライドレール611が閉鎖位置に位置した場合の発射玉通路62の開口端621は、略円形状の遊技領域13における「10時」付近に位置している。図4(B)に示すごとくスライドレール611が開放位置に位置した場合の発射玉通路62の開口端621は、略円形状の遊技領域13における「9時」付近に位置している。このように本例のパチンコ遊技機1では、スライドレール611の位置に応じて発射玉通路62の開口端621の位置が変更される。
特定入賞口18は、図1、図2及び図4に示すごとく、大当たり抽選である特図抽選の契機となる入賞口である。本例では、遊技領域13側に向けて湾曲凹状を呈する発射玉通路62の内側に特定入賞口18を配置してある。この特定入賞口18への入賞経路Rは、発射玉通路62の開口端621の位置に応じて開閉される。スライドレール611が閉鎖位置(図4(A))に位置して開口端621が「10時」付近にある際には、入賞経路Rが閉鎖され特定入賞口18が入賞不可能になる。スライドレール611が開放位置(図4(B))に位置して発射玉通路62の開口端621が「9時」付近にある際には、入賞経路Rが開放され特定入賞口18が入賞可能になる。
始動入賞口17は、図1及び図2に示すごとく、前記特定入賞口18と同様、大当たり抽選である特図抽選の契機となる入賞口である。本例の始動入賞口17は、一対の可動羽根171を開口部170に設けた、いわゆる電動チューリップ(以下、電チューと略記する)である。通常時における一対の可動羽根171は、遊技玉を通過させ得る程度の隙間を空けて相互に対面するよう、立設された状態(図1、2中、実線で示す状態。)にある。始動入賞口17において相互に離隔するように回動した一対の可動羽根171(図1、2中、破線で示す状態。)は、開口部170への遊技玉の流入をガイドする受け皿のように作用する。始動入賞口17は、普図抽選での当選(本例では、1/1の当選確率を設定してある。)に応じて可動羽根171を開放する。可動羽根171の開放時間は、通常時及び大当たり中が0.2秒、時短中および確変中が1.5秒×3回となっている。
通過ゲート175は、図1及び図2に示すごとく、普通図柄の抽選(以下、普図抽選という。)の契機となるゲートである。通過ゲート175では、遊技玉を通過させるのみで賞球の払い出しが設定されていない。本例のパチンコ遊技機1では、特定入賞口18の下側に通過ゲート175が配置されている。この通過ゲート175については、発射玉通路62の開口端621の位置によらず常時、入賞可能である。
大入賞装置16は、図1及び図2に示すごとく、大当たりに応じて開口するアタッカーと呼ばれる可変入賞口である。大入賞装置16は、横長略矩形状を呈する開口部160と、該開口部160の下辺を中心として回動する蓋部材161とを有する。大入賞装置16では、遊技盤130の盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置した際に開口部160が閉鎖状態となる一方、蓋部材161が遊技者側に回動すると開口部160が開放状態となる。さらに、このように回動した蓋部材161は、遊技玉を開口部160に導くための受け皿となる。この大入賞装置16は、始動入賞口17の下側に配置されている。
表示装置19は、図1及び図2に示すごとく、略中央に配置された液晶表示装置191のほか、下枠部分に配設された特図保留表示部192を備えている。液晶表示装置191は、特別図柄の抽選(以下、特図抽選という。)の結果を表示する特図表示部としての機能のほか、大当たり状態の遊技を演出する大当たり表示を実施する機能を備えている。
特図表示部としての液晶表示部191では、複数種類の図柄を変動表示する図柄表示領域190L、C、Rが形成されている。液晶表示部191では、各図柄表示領域190L、C、Rに停止表示された3つの停止図柄の組合せにより特図抽選の抽選結果(以下、特図抽選結果という。)が表示される。液晶表示部191では、特図抽選結果を表示するに当たって各図柄表示領域190L、C、Rにおける図柄の変動表示が一斉に開始され、所定の特図変動時間の経過後、各図柄表示領域190L、C、Rに停止図柄が停止する。特図抽選に当選した際には、同じ図柄(いわゆるゾロ目)の組合せが液晶表示部191に停止表示される。
特図保留表示部192は、特図抽選結果の保留数を表示する表示部である。特図保留表示部192は、水平方向に略等間隔で配置された複数のLED(Light Emitting Diode)を有している。このLEDの配置数は、特図抽選結果の最大保留数と同数の4つである。特図保留表示部192は、LEDの点灯個数により特図抽選結果の保留数を表示する。
図示しない普図表示部は、普図抽選の抽選結果(以下、普図抽選結果という。)を表示する表示部である。普図表示部は、表示部の点滅により変動動作を表示する。普図表示部は、普図抽選結果が当たりのとき表示部を点灯させ、ハズレのとき表示部を消灯させる。なお、普図変動時間については、通常時および大当たり中が30秒、時短中および確変中が1秒となっている。図示しない普図保留表示部は、普図抽選結果の保留数を表示する表示部である。普図保留表示部は、例えば、点灯中のLEDの個数により普図抽選結果の保留数(最大普図保留数4)を表示する。
次に、パチンコ遊技機1のシステム的な構成について、図1及び図3を用いて説明する。パチンコ遊技機1は、主回路20を中心として構成されている。主回路20に対しては、遊技玉の払出を制御する払出制御回路41、レールモータ361を含む駆動部362等を制御する副制御回路43、各種の遊技データを表示するLED460、入賞玉あるいは通過玉の検出器51〜54、始動入賞口17を駆動する電チューソレノイド55、大入賞装置16を開口させる大入賞ソレノイド56、及び電源供給のための電源回路45等が電気的に接続されている。
払出制御回路41は、図1及び図3に示すごとく、入賞に応じた遊技玉の払出、及び遊技玉の打込を制御する回路である。払出制御回路41に対しては、払出装置410及び発射制御回路42が電気的に接続されている。払出装置410は、各入賞口への遊技玉の入賞に応じて主回路20により指示される所定数の賞球を払い出す装置である。発射制御回路42は、ハンドル装置422を構成する発射ハンドル112の操作量に応じて、発射装置421による遊技玉の打ち出し強さを制御する。
副制御回路43は、図1及び図3に示すごとく、各種遊技演出を制御するほか、スライドレール611の位置を制御するための制御回路である。副制御回路43に対しては、スピーカ14を含むアンプ/スピーカ431、装飾ランプ126等の装飾ランプ類432、レールモータ361を回転制御する駆動部362、及び液晶表示装置(特図表示部)191を制御する表示制御回路44等が電気的に接続されている。
副制御回路43は、図1〜図5に示すごとく、前記レールモータ361及びレールモータ361を回転制御する駆動部362と共に、前記レール駆動手段36を構成している。レール駆動手段36としての副制御回路43は、主回路20から入力された制御信号に応じてレールモータ361を回転させ、貫通溝610に沿ってスライドレール611を移動させる。なお、本例では、図4(A)のごとく閉鎖位置に位置するスライドレール611を同図(B)のごとく開放位置に移動させる下降条件として、後述する変動パターン選択手段33により特定の変動パターンが選択されたことが設定されている。また、開放位置に位置するスライドレール611を閉鎖位置に移動させる上昇条件としては、特定入賞口18への入賞玉が5玉に達したこと、及び下降状態が30秒経過したことのうち、いずれかが満たされたことが設定されている。
表示制御回路44は、図1及び図3に示すごとく、液晶表示部191と共に、特図抽選結果を表示するための表示手段35を構成している。表示制御回路44は、主回路20から副制御回路43を介して入力される変動開始指示信号に応じて図柄変動を開始し、同様の変動停止指示信号に応じて図柄変動を停止させる。本例の表示手段35は、後述する変動パターン選択手段33により選択された変動パターンに従って図柄の変動表示を実行する。
表示制御回路44は、前記表示手段35としての機能のほか、大当たり状態の遊技を演出する演出画面を液晶表示装置191に表示させる機能を備えている。表示制御回路44が液晶表示装置191に表示させる大当たり状態の演出画面としては、大当たり状態のスタートを表す大当たり開始表示、大当たり状態の継続中に表示される大当たり中表示、及び大当たり状態の終了を表す大当たり終了表示等がある。なお、本例の説明では、各演出画面の図示を省略している。
前記検出器としては、図1及び図3に示すごとく、通過ゲート175の通過玉を検出するゲート通過検出器51と、始動入賞口17及び特定入賞口18への入賞玉を検出する始動入賞検出器52及び53と、大入賞装置16への入賞玉を検出する大入賞検出器54とがある。
電チューソレノイド55は、始動入賞口17の可動羽根171を開閉するためのソレノイドである。
大入賞ソレノイド56は、大入賞装置16の蓋部材161を回動駆動して大入賞装置16を入賞可能な状態とするソレノイドである。
主回路20は、図3に示すごとく、CPU(Central Processing Unit)21、記憶素子であるROM(Read Only Memory)22・RAM(Random Access Memory)23、特図抽選あるいは普図抽選用の乱数を抽出する乱数抽出部25、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)24等を備えている。本例の主回路20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、特図抽選及び普図抽選を実行する抽選手段31、大当たりを発生させる特典付与手段34、及び特図表示部としての液晶表示部191による変動パターンを選択する変動パターン選択手段33としての機能を実現する。
ROM22は、図3に示すごとく、CPU21に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、特図抽選あるいは普図抽選に利用される数種類の抽選テーブル、及び変動パターン選択手段33が利用する変動パターン選択テーブルを記憶している。特図抽選用の特図抽選テーブルは、ハズレに対応する乱数範囲、確変大当たりに対応する乱数範囲、及び非確変大当たりに対応する乱数範囲が規定されたデータテーブルである。普図抽選用の普図抽選テーブルは、ハズレに対応する乱数範囲、及び普図当選に対応する乱数範囲が規定されたデータテーブルである。変動パターン選択テーブルは、変動パターン選択手段33が選択可能な各変動パターンに対応する乱数範囲がそれぞれ規定されたデータテーブルである。
特図抽選テーブルとしては、通常状態あるいは時短状態で適用される通常用の特図抽選テーブル、及び確変状態で適用される確変用の特図抽選テーブルがある。さらに本例では、各特図抽選テーブルとして、始動入賞口17への入賞に応じた一般特図抽選テーブルと、特定入賞口18への入賞に応じた特定特図抽選テーブルとが用意されている。一般特図抽選テーブルと、特定特図抽選テーブルとでは、通常状態あるいは時短状態における遊技者側の有利度合いが異なっている。通常用の一般特図抽選テーブルにおける当選確率が1/300であるのに対して、通常用の特定特図抽選テーブルにおける当選確率は1/30となっている。一方、確変用の一般特図抽選テーブル、及び確変用の特定特図抽選テーブルにおける当選確率はいずれも1/30となっている。さらに、本例の各特図抽選テーブルでは、確変大当たりに対応する乱数の個数と、非確変大当たりに対応する乱数の個数とが同じであるため、特図抽選に当選した際の確変割合が50%となっている。
また、普図抽選テーブルとしては、通常状態で適用される通常用の普図抽選テーブル、及び確変状態あるいは時短状態で適用される確変用の普図抽選テーブルがある。なお、本例の普図抽選テーブルでは、ハズレに対応する乱数範囲が設定されていない。それ故、本例の普図抽選では、100%の確率で普図当選が発生し得る。
RAM23は、図3に示すごとく、CPU21のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM23の記憶エリアには、特図保留エリア及び普図保留エリアが4データ分ずつ割り当てられている。特図保留エリアは、特図抽選結果、すなわち特図抽選に応じて抽出された乱数を記憶(保留)する記憶エリアである。普図保留エリアは、普図抽選結果、すなわち普図抽選に応じて抽出された乱数を記憶(保留)する記憶エリアである。
乱数抽出部25は、図3に示すごとく、特図抽選及び普図抽選用の乱数を抽出する手段である。乱数抽出部25は、乱数カウンタ250が発生する整数の中から乱数を抽出する。乱数抽出部25は、前記ゲート通過検出器51による通過玉の検出に応じて普図抽選用の乱数を抽出する一方、前記始動入賞検出器52及び53による入賞玉の検出に応じて特図抽選用の乱数を抽出する。
前記抽選手段31は、図3に示すごとく、特図抽選あるいは普図抽選を実行する手段である。抽選手段31は、特図抽選あるいは普図抽選を実行する際、乱数抽出部25が抽出する乱数を取り込む。抽選手段31は、特図保留エリア(普図保留エリア)における特図抽選結果(普図抽選結果)の保留数が3つ以下である場合に乱数抽出部25を介して特図抽選用(普図抽選用)の乱数を抽出し、4つである場合には特図抽選用(普図抽選用)の乱数の抽出をキャンセルする。抽選手段31は、乱数抽出部25が抽出した特図抽選用(普図抽選用)の乱数を特図抽選結果(普図抽選結果)として、特図保留エリア(普図保留エリア)の空きエリアに順次、格納する。
抽選手段31は、図3に示すごとく、特図(普図)の変動表示を開始可能であるとき、すなわち特図(普図)の変動中でなく、かつ、大当たり中(電チュー作動中)でもないとき、特図保留エリア(普図保留エリア)に記憶、すなわち保留された特図抽選結果(普図抽選結果)の有無を確認する。抽選手段31は、特図保留エリア(普図保留エリア)に記憶された特図抽選結果(普図抽選結果)のうち最も古いものを読み出し、特図抽選テーブル(普図抽選テーブル)と照合する。
抽選手段31は、前述したように入賞口及び遊技状態に応じた複数種類の抽選テーブルを選択して利用する。特図抽選の抽選結果としては、確変大当たり、非確変大当たり及びハズレがある。本例では、普図抽選の抽選結果は全て当たりである。なお、本例では、前記のごとく、始動入賞口17への入賞による特図抽選における大当たりの確率が、通常状態及び時短状態では300分の1、確変状態では30分の1となっている。一方、特定入賞口18への入賞による大当たりの確率は、通常状態、時短状態及び確変状態の全ての遊技状態において30分の1となっている。すなわち、通常状態及び時短状態では、特定入賞口18へ入賞した場合の方が、始動入賞口17へ入賞した場合と比べて遊技者側の有利度合いが10倍となっている。
変動パターン選択手段33は、図1及び図3に示すごとく、特図表示部としての液晶表示部191に特図抽選結果を表示する際の変動パターンを選択する手段である。ここで、変動パターンとは、特図抽選結果の表示に費やす特図変動時間、一時的に図柄が停止したように見せかける疑似停止の回数、及び特図抽選結果を表示する際の演出内容のほか、前記各図柄表示領域190L、C、Rに停止表示させる停止図柄等が規定されたパターンである。変動パターン選択手段33は、特図抽選結果である特図抽選用の乱数を前記変動パターン選択テーブルと照合して変動パターンを選択する。なお、本例のパチンコ遊技機1では、変動パターン選択手段33により特定の変動パターンが選択されたことが前記下降条件として設定されている。この下降条件が満たされたとき、主回路20から副制御回路43に向けて、スライドレール611を開放位置(図4(B))へ移動させる旨の制御信号が出力される。
特典付与手段34は、図1及び図3に示すごとく、特図表示部としての液晶表示部191に停止表示された停止図柄の組合せに応じて大当たり(特典)を発生させる手段である。特典付与手段34では、大当たり状態、確変状態あるいは時短状態に対応する状態フラグが規定されている。特典付与手段34は、停止図柄の組み合わせが大当たり図柄(いわゆるゾロ目)であるとき、状態フラグのフラグ値として1をセットし、大当たり状態を発生させる。大当たり状態は、入賞玉が10個に達するか、あるいは開放時間が25秒に達するまで大入賞装置(アタッカー)16が開放されるラウンドが繰り返し実行される遊技者側に有利な遊技状態である。
特典付与手段34は、前記のラウンドを15回、繰り返し実行してから大当たりフラグをオフ状態にリセットし、大当たり状態を終了させる。特典付与手段34は、大当たり状態に対応する大当開始指示信号、ラウンド開始指示信号、大当終了指示信号等を表示制御回路44に向けて送信する。大当開始指示信号は、大当たり状態の開始を指示する信号である。ラウンド開始指示信号は、各ラウンドの開始を指示する信号である。大当終了指示信号は、大当たり状態の終了を指示する信号である。
特典付与手段34は、停止図柄の組合せが奇数図柄のゾロ目である場合には、確変大当たりを発生させ、確変大当たりの終了後には、状態フラグのフラグ値として3をセットし、新たな大当たりが発生するまで継続する確変状態を発生させる。確変状態は、確変用の特図抽選テーブルにより特図抽選が実施される状態である。一方、停止図柄の組合せが偶数図柄のゾロ目である場合には、非確変大当たりを発生させ、非確変大当たりの終了後には状態フラグのフラグ値として2をセットし、時短状態を発生させる。時短状態は、通常用の特図抽選テーブルにより特図抽選が実施される状態であり、100回の図柄変動、あるいは新たな大当たりの発生のうち、いずれかの成立に応じて終了する。確変状態あるいは時短状態が終了すると状態フラグがゼロリセットされ、通常状態に復帰する。
特典付与手段34は、大当たり状態におけるラウンドの実行回数を計数するためのラウンドカウンタ(図示略)、及び時短状態における特図変動回数を計数するための時短回数カウンタ(図示略)を備えている。特典付与手段34は、ラウンドカウンタにより計数されたラウンド数により大当たり状態の発生期間を制御すると共に、時短回数カウンタにより計数された特図変動回数により時短状態の発生期間を制御している。なお、確変状態及び時短状態では、普図当選時の始動入賞口(電チュー)17の開放時間が長くなるため、遊技者の持玉の減少度合いが抑制される。
次に、以上のように構成された本例のパチンコ遊技機1の動作について説明する。まず、パチンコ遊技機1における遊技中のスライドレール611の動作について説明する。本例のパチンコ遊技機1では、スライドレール611の初期位置が図4(A)に示す閉鎖位置となっている。スライドレール611が閉鎖位置に位置する場合は、発射玉通路62の開口端621が「10時」付近に位置し、特定入賞口18への入賞経路Rが閉鎖されている。変動パターン選択手段33が前記特定の変動パターンを選択し前記下降条件が成立した場合には、主回路20から副制御回路43に向けて制御信号が出力され、それに応じてスライドレール611が図4(B)に示す開放位置に向けて移動する。その後、30秒経過するか、あるいは特定入賞口18に5玉入賞するかのいずれかである上昇条件が成立するまでの間、開放位置が維持された後、スライドレール611が初期位置である閉鎖位置に復帰する。
このようなパチンコ遊技機1の動作について、図6〜図11に示すフロー図に沿って説明する。図6は、パチンコ遊技機1によるゲームの大まかな流れを示している。同図に示すごとく、本例のパチンコ遊技機1では、一般始動入賞処理P1、特定始動入賞処理P2、特図保留読出処理P3、特図変動処理P4及び大当たり処理P5がこの順番で処理されることによりゲームが実行される。
図7は、始動入賞口17への入賞に応じた入賞処理である一般始動入賞処理P1の流れを示している。図8は、特定入賞口18への入賞に応じた入賞処理である特定始動入賞処理P2の流れを示している。図9は、特図保留エリアから特図抽選結果を読み出す特図保留読出処理P3の流れを示している。図10は、液晶表示部191において図柄を変動表示させるための主回路20による特図変動処理P4の流れを示している。図11は、大当たり状態を発生させる大当たり処理P5の流れを示している。
図7に示す一般始動入賞処理P1では、主回路20は、まず、始動入賞口17への入賞である一般始動入賞が検出されたか否かを判断する(S101)。一般始動入賞が検出された場合(S101:YES)には、特図保留エリアにおける特図抽選結果の保留数を判断する(S102)。保留数が3つ以下である場合(S102:YES)には、乱数カウンタ250が発生する乱数のうちのいずれか1つ(そのタイミングでの乱数値)を抽出し(S103)、特図保留エリアに最新の特図抽選結果として保留(記憶)する(S104)。一方、一般始動入賞が検出されなかった場合(S101:NO)、又は特図保留エリアにおける特図抽選結果の保留数が4つの場合(S102:NO)には、乱数抽出部25による乱数の抽出を実行せず、一般始動入賞処理P1を終了する。
図8に示す特定始動入賞処理P2では、主回路20は、まず、特定入賞口18への入賞である特定始動入賞が検出されたか否かを判断する(S201)。特定始動入賞が検出された場合(S201:YES)には、特図保留エリアにおける特図抽選結果の保留数を判断する(S202)。保留数が3つ以下である場合(S202:YES)には、乱数カウンタ250が発生する乱数のうちのいずれか1つ(そのタイミングでの乱数値)を抽出し(S203)、特図保留エリアに最新の特図抽選結果として保留(記憶)する(S204)。一方、特定始動入賞が検出されなかった場合(S201:NO)、又は特図保留エリアにおける特図抽選結果の保留数が4つの場合(S202:NO)には、乱数抽出部25による乱数の抽出を実行しない。
その後、スライドレール611の上昇条件が達成されているか否かを判断する(S205)。上昇条件(30秒の経過、及び5玉入賞のうちのいずれかの成立。)が成立している場合(S205:YES)には、スライドレール611を閉鎖位置(図4(A))へ上昇移動させる(S206)。
図9に示す特図保留読出処理P3では、主回路20は、まず、特図保留記憶エリアに特図抽選結果が保留(記憶)されているか否かを判断する(S301)。特図抽選結果の保留がある場合(S301:YES)には、状態フラグのフラグ値を判断する(S302)。状態フラグのフラグ値が1(大当たり状態)以外の場合(S302:NO)には、液晶表示部191において特図の変動表示中であるか否かを判断する(S303)。特図の変動表示中ではない場合(S303:NO)には、特図保留記憶エリアに保留された特図抽選結果のうち最も古いものを読み出し(S304)、特図抽選テーブルと照合して当否判定を実行する(S305)。主回路20は、当否判定の結果に基づいて停止図柄及び変動パターンを決定し(S306)、特図表示部としての液晶表示部191において特図を変動表示させる特図変動処理P4を実行する。
一方、特図抽選結果が保留されていない場合(S301:NO)、大当たり遊技が発生中である場合(S302:YES)、あるいは特図(普図)が変動表示中である場合(S303:YES)には、前記特図変動処理P4等を迂回する。
図10に示す特図変動処理P4では、主回路20は、まず、変動パターン選択手段33により選択された変動パターンに応じた特図の変動表示を開始する(S401)。その後、選択された変動パターンに規定された特図変動時間の経過後(S402:YES)、特図の変動表示を停止(S403)する。その後、変動パターン選択手段33により選択された変動パターンが前記特定の変動パターンであるか否かを判断する(S404)。特定の変動パターンが選択された場合(S404:YES)、すなわち前記下降条件が成立した場合には、スライドレール611を図4(B)に示す開放位置へ移動させる(S405)。
その後、特図抽選結果が大当たりであるか否かを判断する(S406)。特図抽選結果が大当たりの場合(S406:YES)には、状態フラグのフラグ値を1(大当たり状態)にセットする(S407)。一方、特図抽選結果が大当たりではない場合(S406:NO)には、状態フラグのフラグ値を判断する(S410)。状態フラグのフラグ値が2(時短状態)である場合(S410:YES)には、時短カウンタによる特図変動回数を1回加算(S411)する。そして、時短カウンタによる特図変動回数が100回に到達した際(S412:YES)には、状態フラグのフラグ値をゼロ(通常状態)にリセットする(S413)。
次に、図11に示す大当たり処理P5では、主回路20は、まず、状態フラグのフラグ値を判断する(S501)。状態フラグのフラグ値が1(大当たり状態)である場合(S501:YES)には、ラウンドカウンタによるラウンド数を1回加算する(S502)。続いて、大入賞装置(アタッカー)16を開放し(S503)、その後、入賞玉が10個に達するか(S504)、あるいは開放時間が25秒に達した際に大入賞装置16を閉鎖する(S506)。
主回路20は、ラウンドカウンタによるラウンド数が15回に到達するまで、前記のごとく大入賞装置16を開放する処理を繰り返し実行する(S507)。ラウンド数が15回に到達した場合(S507:YES)には、ラウンド数をゼロリセットし(S508)、確変大当たりであるか否かを判断する(S509)。確変大当たりである場合(S509:YES)には、状態フラグのフラグ値を3(確変状態)にセットする(S510)。一方、確変大当たりではない場合(S509:NO)には、状態フラグのフラグ値を2(時短状態)にセットする(S520)。
ここまでの説明のように、本例のパチンコ遊技機1では、スライドレール611が開放位置にあるか閉鎖位置にあるかに応じて発射玉通路62の開口端621の位置が異なり、それに応じて特定入賞口18への入賞可能性の有無が決定される。すなわち、スライドレール611が閉鎖位置に位置して開口端621が「10時」付近に位置した際には、特定入賞口18への入賞経路Rが閉鎖され前記特定始動入賞処理P2の実行可能性がなくなる。一方、スライドレール611が開放位置に位置して開口端621が「9時」付近に位置した際には、特定入賞口18への入賞経路Rが確保され特定始動入賞処理P2の実行可能性が発生し得る。このように、本例のパチンコ遊技機1によれば、スライドレール611の位置に応じて異なる遊技性を提供することができる。
以上のように本例のパチンコ遊技機1は、多様な遊技性を実現することで遊技者が感じ得る遊技の興趣を高めた優れた特性の遊技機である。
なお、本例では、スライドレール611を開放位置へ移動させるための下降条件として、変動パターン選択手段33により特定の変動パターンが選択されたことを設定している。この下降条件としては、本例に代えて、特図抽選の回数が所定の回数に達したこと等、様々な条件を設定可能である。さらに、始動入賞口17への入賞時にスライドレール611を下降移動させるか否を決定する抽選を別途実行し、この抽選に当選したことを前記下降条件として設定することも良い。
また、遊技玉の発射状態を検知する発射検知手段と、直近の入賞後の経過時間である非入賞時間を始動入賞口17について計測する計測手段とを設けることも良い。この場合には、例えば、この非入賞時間が所定時間に到達したことを前記下降条件として設定できる。
またなお、本例では、所定条件である下降条件の成立に応じて、閉鎖位置から開放位置までスライドレール611を一時に下降させた例であるが、これに代えて、所定の下降条件が成立するごとに少しずつスライドレール611を下降させることも良い。例えば、下降条件の成立毎に3分の1ずつスライドレール611を下降させれば、下降条件が3回成立したときにスライドレール611が開放位置に位置するようになる。
さらに、例えば、前記非入賞時間が10秒に達するごとに3分の1ずつスライドレール611を下降移動させることも良い。この場合、スライドレール611が開放位置に到達する前に始動入賞口17に入賞したとき、スライドレール611の下降を中止して上昇させることも良い。
またなお、本例では、特図抽選の契機入賞口として、スライドレール611の位置に応じて入賞の可否が切り換えられる特定入賞口18の他に始動入賞口17を設けたが、特図抽選の契機入賞口が特定入賞口18のみであっても良い。この場合には、例えば、遊技領域13に設けた通過検知センサによる通過玉の検知に応じてスライドレール611を下降させることも良く、さらに、通過玉の検知に応じてスライドレール611を下降させるか否かの抽選を実行することも良い。
(実施例2)
本例は、実施例1のパチンコ遊技機に基づき、スライドレール611の駆動方法を変更した例である。この内容について、図12〜図15を用いて説明する。
実施例1のパチンコ遊技機では、電気的な制御によりスライドレール611を駆動したが、本例では、力学的なバランスによってスライドレール611が駆動される。
本例のスライドレール611は、図12に示すごとく、実施例1のスライドレール611に対して下方に向けて延長された延設部611Eを有している。さらに、この延設部611Eの先端には、小型モータを内蔵した回動軸611Pを中心として回動可能な状態で可動片611Dが取り付けられている。延設部611Eと可動片611Dとは、遊技領域13を流下する遊技玉を保持し得る玉保持可能部360を形成している。延設部611Eに対してエルボー状をなすように可動片611Dが回動した第2状態(図12(A)中、実線で示す状態。)の場合には、玉保持可能部360が20個程度の遊技玉を貯留可能な状態となる。一方、延設部611Eに対して略一直線状に可動片611Dが位置した第1状態(図12(A)中、破線で示す状態。)の場合には、玉保持可能部360は遊技玉を貯留しない状態となる。
本例では、電力を駆動源とした実施例1のレールモータ(図2中、符号361)に代えて、図13に示すごとく渦巻きバネ361Bによる付勢力を駆動源としたレールモータ361を採用している。スライドレール611が下降するに従って渦巻きバネ361Bが巻き上げられ、スライドレール611を閉鎖位置に上昇させようとする付勢力が生じ得る。つまり、本例では、レールモータ361が、スライドレール611を閉鎖位置に向けて付勢する付勢手段となっている。
本例のパチンコ遊技機では、図12及び図13に示すごとく、玉保持可能部360に貯留された遊技玉の重量と、レールモータ361の渦巻きバネ361Bの付勢力との釣り合いに応じてスライドレール611の位置が決定され得る。玉保持可能部360に遊技玉が貯留されていない場合には、レールモータ361の付勢力に応じてスライドレール611が閉鎖位置に位置し得る。一方、玉保持可能部360に貯留された遊技玉が7個以上になった場合には、その遊技玉の重量に応じた駆動力によってスライドレール611が開放位置に位置し得る。
さらに、本例のパチンコ遊技機は、遊技玉の発射状態を検知する図示しない発射検知手段と、最後に特図が変動停止した後の経過時間である非入賞時間を始動入賞口(図1中、符号17)について計測する計測手段である非入賞時間タイマと、を備えている。本例の発射検知手段は、発射ハンドルの操作量を検知するためのハンドルセンサを備えている。ハンドルセンサによれば、遊技玉の発射状態を検知可能である。
なお、遊技領域13においては、打ち込まれた遊技玉が必ず始動入賞口付近に流下するように釘や表示装置19等が配置されている。それ故、本例のパチンコ遊技機における発射状態とは、始動入賞口を狙って遊技玉が打ち込まれている状態を意味している。これに代えて、発射ハンドルの操作量(遊技玉の打ち出し強さ)が所定範囲にあるときにのみ始動入賞口を狙えるよう、釘あるいは表示装置19を配置すると共に、当該所定範囲内に発射ハンドルが操作されている状態を狭義の前記発射状態と規定し、当該狭義の発射状態において非入賞時間タイマを作動させることも良い。
また、発射状態の検知方法は、本例のハンドルセンサによる検知結果を利用した方法には限定されない。発射玉通路62や始動入賞口周辺等にセンサを設置すると共に、このセンサによる検知結果により発射状態を検知することも良い。特に、前記狭義の発射状態を採用する場合には、始動入賞口周辺にセンサを配置する構成が有効になり得る。
計測手段である非入賞時間タイマは、発射検知手段による発射状態の検知中に非入賞時間を計測する。パチンコ遊技機では、非入賞時間が5秒を経過したことが、遊技玉を貯留可能な第2状態に可動片611Dを回動させるための作動条件として設定されている。また、始動入賞口への入賞が、遊技玉を貯留可能な第2状態に回動した可動片611Dを、貯留不可能な第1状態に向けて回動させるための復帰条件として設定されている。
以上のように構成された本例のパチンコ遊技機の動作について、図14及び図15のフローチャートを用いて説明する。図14は、始動入賞口への入賞に応じた入賞処理である一般始動入賞処理P1の流れを示している。図15は、特図表示部としての液晶表示部191において図柄を変動表示させるための特図変動処理P4の流れを示している。
図14に示す一般始動入賞処理P1では、主回路20は、まず、始動入賞口への入賞である一般始動入賞が検出されたか否かを判断する(S111)。一般始動入賞が検出された場合(S111:YES)には、非入賞時間タイマが作動しているか否かを判断する(S112)。非入賞時間タイマが作動中の場合(S112:YES)には、計測時間(タイマ値)をゼロリセット(S113)した後、可動片611Dの回動状態を判断する(S114)。可動片611Dが第2状態(遊技玉を貯留可能な状態)にある場合(S114:YES)には、遊技玉を貯留不可能な第1状態に可動片611Dを回動駆動する(S115)。その後、特図保留エリアにおける特図抽選結果の保留数を判断する(S116)。保留数が3つ以下である場合(S116:YES)には、乱数カウンタ(図3中、符号250)が発生する乱数のうちのいずれか1つ(そのタイミングでの乱数値)を抽出し(S117)、特図保留エリアに最新の特図抽選結果として保留(記憶)する(S118)。
一方、一般始動入賞が検出されなかった場合(S111:NO)には、発射ハンドルの操作状態、すなわち遊技玉の発射状態を判断する(S120)。発射状態ではない場合にのみ(S120:NO)、非入賞時間タイマの計測時間をゼロリセットする(S121)。その後、非入賞時間タイマによる計測時間を判断し(S122)、非入賞時間タイマによる計測時間が5秒を経過している場合(S122:YES)には、遊技玉を貯留可能な第2状態に可動片611Dを回動駆動する(S123)。なお、非入賞時間タイマの計測時間が5秒経過していない場合(S122:NO)、あるいは一般始動入賞が検出されたものの特図抽選結果の保留数が4つである場合(S116:NO)には、乱数カウンタが発生する乱数の抽出を実行せず、一般始動入賞処理P1を終了する。
図15に示す特図変動処理P4では、主回路20は、まず、変動パターン選択手段(図3中、符号33)が選択した変動パターンに応じて特図の変動表示を開始する(S421)。その後、変動パターンに規定された特図変動時間の経過後(S422:YES)、特図の変動表示を停止(S423)させる。続いて特図抽選結果の保留の有無を判断し(S424)、特図抽選結果の保留がない場合(S424:YES)には、発射ハンドルが操作されているか否かに応じて遊技玉の発射状態であるか否かを判断する(S425)。発射ハンドルが操作中である場合(S425:YES)には、非入賞時間タイマによる計時を開始させる(S426)。一方、特図抽選結果の保留がある場合(S424:NO)、及び発射ハンドルが操作されておらず遊技玉の発射状態ではない場合(S425:NO)には、非入賞時間タイマによる計時開始処理(S426)を迂回する。
その後、特図抽選結果が大当たりであるか否かを判断する(S427)。特図抽選結果が大当たりの場合(S427:YES)には、状態フラグのフラグ値を1(大当たり状態)にセットする(S428)。一方、特図抽選結果が大当たりではない場合(S427:NO)には、状態フラグのフラグ値を判断する(S438)。状態フラグのフラグ値が2(時短状態)である場合(S438:YES)には、時短カウンタによる特図変動回数を1回加算(S439)する。時短カウンタによる特図変動回数が100回に到達した場合(S440:YES)には、状態フラグのフラグ値をゼロ(通常状態)にリセットする(S441)。
以上のように本例のパチンコ遊技機では、始動入賞口への入賞が5秒以上、途切れたとき、玉保持可能部360に遊技玉を貯留可能なように可動片611Dが回動し得る(第2状態)。そして、玉保持可能部360に貯留された遊技玉の重量に応じてスライドレール611が開放位置(図12(B))に向けて下降し得る。スライドレール611が開放位置まで下降すれば、特定入賞口18への入賞経路Rが開放され、特定入賞口18への入賞に応じた抽選処理に対する期待度が高くなる。
一方、可動片611Dが第2状態にあるときに始動入賞口18への入賞が発生すれば、可動片611Dが第1状態に復帰して玉保持可能部360が遊技玉を貯留できない状態となり、貯留された遊技玉が排出される。この状態では、付勢手段であるレールモータ361の付勢力に応じてスライドレール611が閉鎖位置(図12(A))まで移動する。この状態では、特定入賞口18への入賞経路Rが閉鎖され、入賞可能性がなくなる。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
またなお、渦巻きバネ361Bを収容したレールモータ361よりなる付勢手段に代えて、スライドレール611に係合する弦巻バネよりなる付勢手段を採用することもできる。例えば、鉛直方向に配置された弦巻バネの下端部をスライドレール611の上端付近に係合させると共に、上端部をパチンコ遊技機本体側に係合させれば、弦巻バネの付勢力によりスライドレール611を閉鎖位置に向けて吊り上げることが可能になる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、この具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。