JP5137620B2 - アルカリホスファターゼ標識検出用試薬キット、免疫測定用試薬キット及び免疫測定方法 - Google Patents
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Description
このような内因性ALPの影響を抑えるのに有用なものとして、内因性ALPに対する阻害剤(以下、内因性ALP阻害剤とも称する)がある。内因性ALPの影響を抑えるために内因性ALP阻害剤を使用した方法としては以下が挙げられる。
特許文献2(特開平5−223816号公報)には、CD4などの細胞表面マーカーに結合する抗体にALPを標識し、このALP標識抗体を用いてリンパ球の亜型を分類する方法が記載されている。ここでは、基質を含む約pH9.5の緩衝剤/基質溶液と、レバミゾールを含むpH7.4の細胞洗浄液が使用されている。
本明細書において「ALP標識検出用試薬キット」とは、ALP標識を検出するために用いられる試薬キットであって、目的物質に結合可能なALP標識化物質と、ALPに対する基質と、内因性ALPを阻害するための阻害剤を含み、前記目的物質に結合したALP標識化物質のALPと基質とを反応させる際に添加される補助試薬液とを含み、ALP標識を検出するために用いられる試薬キットである。
また、本明細書においてALP標識検出用試薬キットに含まれる「補助試薬液」とは、ALP標識と基質とを反応させる際に添加される試薬である。ALP標識検出用試薬キットにおいて、補助試薬液は基質液とは異なる試薬として設けられている。なお、補助試薬液は、ALP標識と基質とを反応させる際に添加されるものであればよく、例えばALP標識を有する粒子を液相にて分散させた状態で基質と接触させるための粒子分散液として使用されうる。
なお、本明細書における「接触」とは、混合することを含む。
上記のALP標識検出用試薬キットは、固相を用いた免疫測定法において使用される免疫測定用試薬キットとしてもよい。
本実施形態の免疫測定用試薬キットは、固相免疫測定法において使用される、ALP標識を検出するための試薬キットである。上記の固相免疫測定法は、サンドイッチ法を利用したものと競合法を利用したものを含む。ここで、これらの測定法を簡単に説明する。
なお、本明細書における「第1結合物質」は、サンドイッチ法の場合であれば、検体中の測定対象物質と抗原抗体反応により結合可能であり、且つ、固相と結合可能な物質である。また、競合法の場合であれば、「第1結合物質」は、検体中の測定対象物質及びALP標識化物質と抗原抗体反応により結合可能であり、且つ固相と結合可能な物質である。
また、本明細書における「フリーの第1結合物質」とは、検体と、第1結合物質とが混合されて得られた第1結合物質のうち、測定対象物質を含む複合体を形成しなかった、つまり検体中の測定対象物質と結合しなかった第1結合物質を意味する。
サンドイッチ法では、上記の固相上に担持された物質(複合体とフリーの第1結合物質)のうち、複合体を標識し、この標識の検出結果に基づいて測定対象物質を測定する。
一方、競合法では、固相上に担持された物質(複合体とフリーの第1結合物質)のうち、フリーの第1結合物質を標識し、この標識の検出結果に基づいて測定対象物質を測定する。
一方、測定対象物質が抗原であれば、第1結合物質として、該抗原に特異的に結合する抗体が挙げられる。なお、第1結合物質としての抗体は、測定対象物質である抗原に特異的に結合する抗体であれば特に限定されず、抗体のフラグメント及びその誘導体も含む。
具体例としては、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、F(ab)2フラグメント、及びsFvフラグメントなどが挙げられる。抗体のクラスはIgG、IgMなどを用いることができるが、これに限定されない。
ここで「目的物質」とは、ALP標識を行う対象となる物質であって、サンドイッチ法であれば、測定対象物質と第1結合物質とによって形成される複合体中の測定対象物質であり、競合法であれば、フリーの第1結合物質である。
よって、サンドイッチ法の場合、ALP標識化物質は、上記の工程で得られた固相上の複合体又はフリーの第1結合物質のうち、複合体に結合可能な第2結合物質をALPで標識したものを使用することができる。競合法の場合、ALP標識化物質は、上記の工程で得られた固相上の複合体又はフリーの第1結合物質のうち、フリーの第1結合物質に結合可能な第2結合物質をALPで標識したものを使用することができる。
例えば、サンドイッチ法を利用した免疫測定法において測定対象物質が抗原の場合、第2結合物質は、測定対象物質である抗原に、直接的又は間接的に結合するものである。
抗原に直接的に結合する第2結合物質としては、抗原に特異的に結合する抗体を用いることができる。該抗体は、測定対象物質である抗原に特異的に結合する抗体であれば特に限定されず、抗体のフラグメント及びその誘導体も含む。具体例としては、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、F(ab)2フラグメント、及びsFvフラグメントなどが挙げられる。抗体のクラスはIgG、IgMなどを用いることができるが、これに限定されない。なお、この場合、第1結合物質としての抗体と第2結合物質としての抗体は、抗原の異なる部位(エピトープ)を認識することが好ましい。
また、測定対象物質である抗原に間接的に結合する第2結合物質としては、抗原に特異的に結合する一次抗体に結合可能な二次抗体を用いることができる。この場合、二次抗体は、一次抗体を介して測定対象物質に結合することができる。二次抗体としては、例えば、ヒトの抗体に対するIgG、IgM、IgYなどの抗体が挙げられる。さらに、上記の一次抗体にビオチンを付加する場合、上記の二次抗体の代わりにアビジン類を第2結合物質として使用することができる。
上記の一次抗体は、測定対象物質である抗原に特異的に結合する抗体であれば特に限定されず、抗体のフラグメント及びその誘導体も含む。なお、この場合、第1結合物質としての抗体と第2結合物質としての一次抗体は、抗原の異なる部位(エピトープ)を認識することが好ましい。上記の二次抗体は、一次抗体に結合する抗体であれば特に限定されず、抗体のフラグメント及びその誘導体も含む。
また、競合法を利用した免疫測定法において測定対象物質が抗体の場合、第2結合物質は、固相上に固定化された第1結合物質としての抗原に結合可能なものである。具体的には、第1結合物質としての抗原に結合可能な抗体である。なお、第2結合物質としての抗体は、第1結合物質としての抗原に特異的に結合する抗体であれば特に限定されず、抗体のフラグメント及びその誘導体も含む。
標識として使用されるALPの至適pHは、その種類により異なるが、腸由来ALPの至適pHであればpH9〜10程度であり、菌由来ALPであればpHは8〜9程度である。
また、補助試薬液は、競合法による固相免疫測定において使用されるものであり、内因性ALP阻害剤を含み、第1結合物質に結合したALP標識化物質のALPと基質とを反応させる際に添加される薬液である。
すなわち、補助試薬液は、内因性ALP阻害剤を含む試薬であり、固相免疫測定法において固相上のALP標識と基質とを反応させる際に添加される試薬である。なお、補助試薬液は、固相上のALP標識と基質とを反応させる際に添加されるものであればよく、例えば固相として粒子を用いる場合、ALP標識を有する粒子を液相にて分散させた状態で基質と接触させるための粒子分散液として使用することができる。
さらに、補助試薬液は、固相上のALP標識と基質とを反応させる際に添加される。すなわち、洗浄液とは異なり、固相と基質液とが混合される前に除かれることはないので、ALP標識と基質とを反応させる際に内因性ALPを十分に阻害することができる。
そして、このような補助試薬液を含む免疫測定用試薬キットを使用することにより、長期間にわたって正確な免疫測定を行うことが可能になる。
補助試薬液中の緩衝剤の濃度は、使用する緩衝剤の種類によって適宜選択される。補助試薬液の緩衝剤の濃度は、例えば、2mM〜100mMが好ましく、3mM〜50mMがより好ましく、5mM〜20mMが最も好ましい。
なお、ALP標識と基質液に含まれる基質との反応液には補助試薬液も含まれているが、ALPの至適pHがアルカリ性であることから、この反応液はアルカリ性となることが好ましい。ゆえに、免疫測定用試薬キットにおいて、反応液に含まれうる補助試薬及び後述する基質液のpH、緩衝剤の種類、緩衝剤の濃度等は、反応液がアルカリ性となるように設定されていることが好ましい。
ALP標識と上記の発光基質や発色基質とを接触させると、酵素反応が生じ、この反応により生じる反応産物の発光や発色を検出することにより、ALP標識を検出することができる。
なお、標識のALPの至適pHがアルカリ性であることから、基質液はアルカリ性であることが好ましい。基質液のpHとしては、ALP標識と基質とが接触する反応液がアルカリ性になるようなpHであれば特に限定されない。基質液のpHとしては、pH8〜12が好ましく、pH9〜11がより好ましい。
また、上記の補助試薬液に含まれる緩衝剤をアルカリ性付近に緩衝能を有さない緩衝剤とすることにより、基質液の緩衝能を補助試薬液よりも大きくすることができる。
基質液に含まれる緩衝剤としては、アルカリ性で使用可能なものが好ましい。具体的には、グリシン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノエタン(TRIS)、エチルアミノエタノール(EAE)、ジエタノールアミン(DEA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)が挙げられる。この中でも、ALPの至適pHに緩衝能を有するDEAやAMPが好ましい。
また、固相としては、通常の免疫測定法において用いられる固相であれば特に限定されない。該固相の材料としては、例えば、ラテックス、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、シリコーンなどのポリマー材料;アガロース;ゼラチン;赤血球;シリカゲル、ガラス、不活性アルミナ、磁性体などの無機材料などが挙げられる。これらの1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
また、固相の形状としては、免疫測定に用いられる通常の固相の形状であれば特に限定されず、マイクロタイタープレート、試験管、ビーズ、粒子、ナノ粒子などが挙げられる。粒子としては、磁性粒子、ポリスチレンラテックスのような疎水性粒子、粒子表面にアミノ基、カルボキシル基などの親水基を有する共重合ラテックス粒子、赤血球、ゼラチン粒子などが挙げられる。測定の自動化の観点から、固相としては磁性粒子、ラテックス粒子などが好ましく、この中でも磁性粒子がより好ましい。
具体的には、免疫測定用試薬キットは、測定対象物質に抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質と、測定対象物質及び第1結合物質を含む複合体を担持するための固相と、複合体中の測定対象物質と結合可能なALP標識化物質と、ALPに対する基質を含む基質液と、内因性ALPを阻害するための阻害剤を含み、複合体中の測定対象物質に結合したALP標識化物質のALPと基質とを反応させる際に添加される補助試薬液と、を含む。
また、免疫測定用試薬キットは、競合法による免疫測定に用いられる免疫測定用試薬キットであって、ALP標識化物質と、測定対象物質及びALP標識化物質に抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質と、第1結合物質を担持するための固相と、ALPに対する基質を含む基質液と、内因性ALPを阻害するための阻害剤を含み、第1結合物質に結合したALP標識化物質のALPと基質とを反応させる際に添加される補助試薬液と、を含む。
試薬キットの使用操作の簡便性の観点から、第1結合物質は溶媒中に溶解した液体の形態であることが好ましい。緩衝液は、免疫測定に通常用いられる緩衝液を用いることができ、例えばPIPES、TEA、トリス、MES、リン酸緩衝液などを含む。
第1結合物質が固相上に固定化されている場合、免疫測定用試薬キットは、例えば、第1結合物質が固定化した固相を含む試薬と、ALP標識化物質と、基質液と、補助試薬液とを含む。この免疫測定用試薬キットを用いて免疫測定を行う場合には、検体と、第1結合物質が固定化した固相を含む試薬と、ALP標識化物質とを混合する順序は、特に限定されない。
この試薬キットを用いた免疫測定の一例を以下に説明する。まず、検体と固相を含む試薬とが混合されて、測定対象物質と第1結合物質とを含む複合体が固相上に形成される。次に、複合体を担持する固相とALP標識化物質とが混合されて、固相上の複合体にALP標識化物質が結合する。そして、ALP標識化物質が結合した複合体を担持する固相に補助試薬液及び基質液が添加され、固相上のALP標識と基質液に含まれる基質とを、内因性ALP阻害剤を含む補助試薬液の存在下で反応させる。これにより、ALP標識と基質が接触する溶液中で、検体由来の内因性ALPを効果的に阻害しつつ、ALP標識と基質による酵素反応を生じさせることができる。そして、ALP標識と基質による酵素反応により生じた反応産物の発光や発色を検出することにより、測定対象物質を正確に測定することができる。
また、ビオチンとアビジン類の結合を介して、第1結合物質を固相に固定化することもできる。なお、第1結合物質の固相への固定化を仲介する物質の組み合わせとしては、上記のビオチンとアビジン類以外に、ハプテンと抗ハプテン抗体、ニッケルとヒスチジンタグ、グルタチオンとグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどが挙げられる。ハプテンと抗ハプテン抗体としては、例えば、DNPと抗DNP抗体が挙げられる。
なお、本明細書において「アビジン類」は、アビジン及びストレプトアビジンを含むことを意味する。
この試薬キットを用いた免疫測定の一例を以下説明する。まず、検体と第1結合物質を含む試薬とが混合されて、測定対象物質と第1結合物質とを含む複合体が形成される。次に、この複合体と固相を含む試薬とが混合されて、複合体が固相上に担持される。次に、複合体を担持する固相とALP標識化物質とが混合されて、複合体にALP標識化物質が結合する。そして、ALP標識化物質が結合した複合体を担持する固相に補助試薬液及び基質液が添加され、固相上のALP標識と基質液に含まれる基質とを、内因性ALP阻害剤を含む補助試薬液の存在下で反応させる。これにより、ALP標識と基質が接触する溶液中で、検体由来の内因性ALPを効果的に阻害しつつ、ALP標識と基質による酵素反応を生じさせることができる。そして、ALP標識と基質による酵素反応により生じた反応産物の発光や発色を検出することにより、測定対象物質を正確に測定することができる。
なお、この免疫測定用試薬キットを用いて競合法による免疫測定を行う場合には、検体と、第1結合物質を含む試薬と、固相を含む試薬とを混合したのち、ALP標識化物質を混合させる場合と、検体と、第1結合物質を含む試薬と、ALP標識化物質とを混合したのち、固相を含む試薬を混合させる場合とがありうる。
固相結合部位と第3結合物質は、試薬キットを用いる条件下で接触させたときに特異的に結合できる物質の組み合わせであれば特に限定されない。これらの組み合わせは、例えばビオチンとアビジン類、ハプテンと抗ハプテン抗体、ニッケルとヒスチジンタグ、グルタチオンとグルタチオンン−S−トランスフェラーゼなどが挙げられる。ハプテンと抗ハプテン抗体としては、例えば、DNPと抗DNP抗体が挙げられる。好ましくは、ビオチンとアビジン類との組み合わせである。より好ましくは、固相結合部位がビオチンを含み、第3結合物質がアビジン類である。固相結合部位と第3結合物質との組み合わせの各々の物質は、どちらを粒子に固定化してもよく、特に限定されない。
また、第3結合物質がアビジン類である場合、アビジン類と結合可能な物質、例えばビオチンが結合した固相にアビジン類を結合させる方法により、アビジン類を固相に固定化することができる。また、特開2006−226689号公報に記載の方法により、アビジン類を固相に固定化することも可能である。
また、アビジン類を結合させた固相は、例えばJSR株式会社やダイナルバイオテック社などから購入することもできる。
また、例えば、固相が粒子であり補助試薬液として粒子分散液を使用する場合、ALP標識化物質が結合した複合体を担持する粒子が粒子分散液中に分散され、そこに基質液が添加される。
上記の免疫測定用試薬キットは、免疫測定方法に利用することができる。このような免疫測定方法は、検体中の測定対象物質と、測定対象物質に結合可能なALP標識化物質と、測定対象物質に抗原抗体反応により結合可能であり、且つ固相に結合可能な第1結合物質と、を含む複合体を固相上に形成する工程、前記複合体中の測定対象物質と結合したALP標識化物質のALPと、基質液に含まれるALPに対する基質とを、内因性ALPを阻害するための阻害剤を含む補助試薬液の存在下で反応させる工程、及びALPと基質の反応により産生された反応産物を検出する工程、を含む。
また、このような免疫測定方法は、競合法による免疫測定方法であって、検体と、ALP標識化物質と、ALP標識化物質及び検体中の測定対象物質に抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質と、第1結合物質を担持するための固相とを混合させる工程、固相に担持された第1結合物質に結合したALP標識化物質のALPと、基質液に含まれるALPに対する基質とを、内因性ALPを阻害するための阻害剤を含む補助試薬液の存在下で反応させる工程、及びALPと基質の反応により産生された反応産物を検出する工程、を含む。
上記の競合法による免疫測定方法において、検体と、ALP標識化物質と、ALP標識化物質及び検体中の測定対象物質に抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質と、第1結合物質を担持するための固相とを混合させる工程は、上記の競合法による免疫測定用試薬キットで記載したような方法を用いることができる。
また、上記の免疫測定用試薬キットで記載したように、第1結合物質は、固相上に固定化されていてもよいし、固定化されていなくてもよい。
また、上記の競合法による免疫測定方法において、固相に担持された第1結合物質に結合したALP標識化物質のALPと、基質液に含まれるALPに対する基質とを、内因性ALPを阻害するための阻害剤を含む補助試薬液の存在下で反応させる工程は、上記の免疫測定用試薬キットにおいて記載した方法によって行うことができる。
この工程により、ALP標識と基質が接触する溶液中で、検体由来の内因性ALPを効果的に阻害しつつ、ALP標識と基質による酵素反応を生じさせることができる。そして、ALP標識と基質による酵素反応により生じた反応産物の発光や発色を検出することにより、測定対象物質を正確に測定することができる。
(1)HBs抗体試薬の調製
特開2006−321746号公報に記載のハイブリドーマHBs−1053が産生する1053抗体を、HBs抗体として用いた。そして、このHBs抗体をBiotinylation Kit (Sulfo-OSu)((株)同仁化学研究所)を用いてHBs抗体をビオチン化した。得られたビオチン化HBs抗体を、1.0μg/mLとなるように0.1M MES緩衝液(pH6.5)に溶解し、これをHBs抗体試薬とした。
なお、ハイブリドーマHBs−1053は、シスメックス株式会社により国際寄託されたものであり、国際受託番号FERM BP−10582が付与されている。
(2)磁性粒子試薬の調製
市販のストレプトアビジン磁性粒子(以下、ST磁性粒子とも称する)(平均粒径2μm)を、1%となるように20mM MES緩衝液(pH6.5)に溶解し、これを磁性粒子試薬とした。
(3)ALP標識化HBs抗体試薬の調製
特開2006−321746号公報に記載のハイブリドーマHBs−149が産生する149抗体を、HBs抗体として用いた。そして、このHBs抗体をEMCS((株)同仁化学研究所)を用いてHBs抗体をALP標識した。得られたALP標識化HBs抗体を、0.3U/mLとなるように0.1M MES緩衝液(pH6.5)に溶解し、これをALP標識化HBs抗体試薬とした。
なお、ハイブリドーマHBs−149は、シスメックス株式会社により国際寄託されたものであり、国際受託番号FERM BP−10583が付与されている。
(4)粒子分散液の調製
内因性ALP阻害剤としてレバミゾールを含む粒子分散液を調製した。粒子分散液の組成は以下の通りである。
粒子分散液の組成
10mM MES緩衝液(pH6.5)
1mM又は2mM レバミゾール塩酸塩(東京化成工業(株))
(5)基質液
CDP−star(登録商標)(Applied Biosystems)
本例では、上記(4)で調製された粒子分散液中に含まれる内因性ALP阻害剤の保存安定性を調べた。なお、本例で使用した粒子分散液のレバミゾールの濃度は1mMであった。
具体的には、まず上記の粒子分散液を用いて以下の加速試験を実施した。加速試験では粒子分散液を50mL容器(材質:ポリプロピレン)に入れ、暗所にて55℃で6日間静置した。静置後、容器ごと室温に戻し、粒子分散液を容器から分光光度計用セルに移して析出の有無を確認した。
比較試薬1の組成は以下の通りである。実験方法は、粒子分散液を比較試薬1に変えた以外は、上記と同様である。
比較試薬1の組成
0.1M AMP緩衝液(pH9.6)
1mM レバミゾール塩酸塩(東京化成工業(株))
一方、図2の(b)の結果より、粒子分散液では全く析出が確認されなかった。以上のことから、粒子分散液は、内因性ALP阻害剤の保存安定性に優れているということがわかった。
本例では、上記(4)で調製された粒子分散液中に含まれる内因性ALP阻害剤による、内因性ALPの影響を低減する効果を調べた。なお、本例で使用した粒子分散液のレバミゾールの濃度は2mMであった。
まず、検体25μLと上記のHBs抗体試薬30μLを混合し、42℃にて約3分間インキュベートし、検体中のHBs抗原とHBs抗体試薬中のビオチン化HBs抗体とを反応させた。続いて、この混合液に上記の磁性粒子試薬30μLを添加し、約2分間インキュベートし、HBs抗原とビオチン化HBs抗体からなる複合体をST磁性粒子上に固定化した。このST磁性粒子を洗浄液(0.1% Tween20、20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5))約150μLで3回洗浄した後、洗浄液が除かれたST磁性粒子に上記のALP標識化HBs抗体試薬100μLを加え、42℃にて約3分間インキュベートし、ST磁性粒子上の複合体にALP標識化HBs抗体を結合させた。このST磁性粒子を上記の洗浄液約150μLで3回洗浄した。洗浄液が除かれたST磁性粒子に上記の粒子分散液50μLを加えて、ST磁性粒子を粒子分散液中に分散させた後、ここに上記の基質液100μLを添加し、LUMI−COUNTER 700((株)マイクロテック・ニチオン)を用いて発光強度を測定した。
また、例えば、内因性ALP阻害剤を含む補助試薬液を使用する方が、ALP標識と基質による酵素反応の反応液中に必要な量の内因性ALP阻害剤を存在させることができるという点で、内因性ALP阻害剤を含む洗浄液を使用するよりも有利である。さらに、粒子を固相として用い、補助試薬液を粒子分散液として用いた免疫測定では、1測定における粒子分散液の使用量よりも洗浄液の使用量が多くなる場合がある。例えば、上記の実施例では、1回の測定において粒子分散液が50μLであるのに対し、洗浄液は約900μLとなる。このように、内因性ALP阻害剤を含む補助試薬液(粒子分散液)を使用する方が、内因性ALP阻害剤を含む洗浄液を使用するよりも内因性ALP阻害剤に係るコストを低減させることが可能である。
2 第2の試薬容器
3 第3の試薬容器
Claims (16)
- 目的物質に結合可能なアルカリホスファターゼ(ALP)標識化物質と、
ALPに対する基質及び緩衝剤を含むアルカリ性の基質液と、
内因性ALPを阻害するための阻害剤を含み、前記目的物質に結合したALP標識化物質のALPと基質とを反応させる際に添加される中性又は酸性の補助試薬液と、を含み、
前記基質液が、前記補助試薬液よりも強い緩衝能を有し、前記補助試薬液および前記基質液を含むALPと基質との反応液がアルカリ性である、ALP標識検出用試薬キット。 - 前記目的物質は、測定対象物質及びこれに抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質を含む複合体中の測定対象物質である請求項1に記載のALP標識検出用試薬キット。
- 競合法による免疫測定に用いられ、
前記目的物質は、測定対象物質に抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質であり、前記測定対象物質及び前記ALP標識化物質は、前記第1結合物質に競合して結合可能である請求項1に記載のALP標識検出用試薬キット。 - 前記ALP標識化物質は、目的物質に結合可能な第2結合物質と、ALPとを含む請求項1〜3の何れか1項に記載のALP標識検出用試薬キット。
- 前記補助試薬が、前記目的物質に結合したALP標識化物質のALPに添加され、次いで前記基質液が添加されて、前記目的物質に結合したALP標識化物質のALPと基質とを反応させる請求項1〜4の何れか1項に記載のALP標識検出用試薬キット。
- 前記阻害剤が、レバミゾールである請求項1〜5の何れか1項に記載のALP標識検出用試薬キット。
- 前記ALPが、菌由来ALP又は腸由来ALPである請求項1〜6の何れか1項に記載のALP標識検出用試薬キット。
- 前記基質は、4−クロロ−3−(メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2'−(5'−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム又は3−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2−(5'−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウムである請求項1〜7の何れか1項に記載のALP標識検出用試薬キット。
- 前記ALP標識化物質が第1容器に収容され、前記補助試薬液が第1容器とは異なる第2容器に収容され、前記基質液が第1及び第2容器とは異なる第3容器に収容される請求項1〜8の何れか1項に記載のALP標識検出用試薬キット。
- 測定対象物質に抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質と、
測定対象物質及び第1結合物質を含む複合体を担持するための固相と、
複合体中の測定対象物質と結合可能なアルカリホスファターゼ(ALP)標識化物質と、
ALPに対する基質及び緩衝剤を含むアルカリ性の基質液と、
内因性ALPを阻害するための阻害剤を含み、複合体中の測定対象物質に結合したALP標識化物質のALPと基質とを反応させる際に添加される中性又は酸性の補助試薬液と、を含み、
前記基質液が、前記補助試薬液よりも強い緩衝能を有し、前記補助試薬液および前記基質液を含むALPと基質との反応液がアルカリ性である、免疫測定用試薬キット。 - 競合法による免疫測定に用いられる免疫測定用試薬キットであって、
アルカリホスファターゼ(ALP)標識化物質と、
測定対象物質及びALP標識化物質に抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質と、
第1結合物質を担持するための固相と、
ALPに対する基質及び緩衝剤を含むアルカリ性の基質液を含む基質液と、
内因性ALPを阻害するための阻害剤を含み、第1結合物質に結合したALP標識化物質のALPと基質とを反応させる際に添加される中性又は酸性の補助試薬液と、を含み、
前記基質液が、前記補助試薬液よりも強い緩衝能を有し、前記補助試薬液および前記基質液を含むALPと基質との反応液がアルカリ性である、免疫測定用試薬キット。 - 検体中の測定対象物質と、測定対象物質に結合可能なアルカリホスファターゼ(ALP)標識化物質と、測定対象物質に抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質と、を含む複合体を固相上に形成する工程、
前記複合体中の測定対象物質と結合したALP標識化物質のALPと、ALPに対する基質及び緩衝剤を含むアルカリ性の基質液に含まれるALPに対する基質とを、内因性ALPを阻害するための阻害剤を含む中性又は酸性の補助試薬液の存在下で反応させる工程、及び
ALPと基質の反応により産生された反応産物を検出する工程、からなり、
前記基質液が、前記補助試薬液よりも強い緩衝能を有し、前記補助試薬液および前記基質液を含むALPと基質との反応液がアルカリ性である、免疫測定方法。 - 前記反応工程は、前記複合体と前記補助試薬液とを混合したのち、この混合物に前記基質液を混合させることにより行われる請求項12に記載の免疫測定方法。
- 競合法による免疫測定方法であって、
検体と、アルカリホスファターゼ(ALP)標識化物質と、ALP標識化物質及び検体中の測定対象物質に抗原抗体反応により結合可能な第1結合物質と、第1結合物質を担持するための固相とを混合させる工程、
固相に担持された第1結合物質に結合したALP標識化物質のALPと、ALPに対する基質及び緩衝剤を含むアルカリ性の基質液に含まれるALPに対する基質とを、内因性ALPを阻害するための阻害剤を含む中性又は酸性の補助試薬液の存在下で反応させる工程、及び
ALPと基質の反応により産生された反応産物を検出する工程、からなり、
前記基質液が、前記補助試薬液よりも強い緩衝能を有し、前記補助試薬液および前記基質液を含むALPと基質との反応液がアルカリ性である、免疫測定方法。 - 前記混合工程は、検体と、第1結合物質と、固相とを混合したのち、この混合物にALP標識化物質を混合させることにより行われる請求項14に記載の免疫測定方法。
- 前記混合工程は、検体と、第1結合物質と、ALP標識化物質とを混合したのち、この混合物に固相を混合させることにより行われる請求項14に記載の免疫測定方法。
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