JP4975600B2 - Hcv抗体測定用試薬キット及びhcv抗体測定方法 - Google Patents

Hcv抗体測定用試薬キット及びhcv抗体測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4975600B2
JP4975600B2 JP2007324919A JP2007324919A JP4975600B2 JP 4975600 B2 JP4975600 B2 JP 4975600B2 JP 2007324919 A JP2007324919 A JP 2007324919A JP 2007324919 A JP2007324919 A JP 2007324919A JP 4975600 B2 JP4975600 B2 JP 4975600B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hcv
antigen
reagent
solid phase
synthetic peptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007324919A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008261840A (ja
Inventor
正城 一井
俊介 松原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sysmex Corp
Original Assignee
Sysmex Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sysmex Corp filed Critical Sysmex Corp
Priority to JP2007324919A priority Critical patent/JP4975600B2/ja
Priority to CN2008100847154A priority patent/CN101266249B/zh
Priority to US12/048,709 priority patent/US20080227111A1/en
Priority to AT08152793T priority patent/ATE479098T1/de
Priority to EP08152793A priority patent/EP1978365B1/en
Priority to DE200860002272 priority patent/DE602008002272D1/de
Publication of JP2008261840A publication Critical patent/JP2008261840A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4975600B2 publication Critical patent/JP4975600B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)抗体の測定用試薬キット及び測定方法に関する。
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)により引き起こされる伝染性の疾病である。
HCVは、全長約9.5kbの1本鎖(+鎖)RNAゲノムをもつウイルスであり、そのゲノム構造は、5'末端側の非翻訳領域、翻訳領域及び3’末端側の非翻訳領域からなる。
約3000アミノ酸残基からなる翻訳領域には、構造タンパク質としてのコアタンパク質、エンベロープタンパク質(E1、E2)に対応する領域があり、さらに非構造タンパク質としてのNS2、NS3、NS4、NS5に対応する領域が存在する。
HCVの検出方法として、検体中のHCV抗原に対する抗体(HCV抗体)を検出する免疫学的方法が知られている。この方法は、通常、試薬中のHCV抗原と検体中のHCV抗体とが結合して形成された抗原−抗体複合体を検出することにより行われる。HCV抗体の免疫学的検出には、異なる種類のHCVタンパク質を認識する複数種のHCV抗体を検出できるように、各種のHCVタンパク質に対応する配列を有するHCV抗原が用いられる。HCV抗原は、天然から単離したものや、遺伝子組み換え法や化学合成法などにより製造されるものが知られており、例えば、特表平5−508219号(特許文献1)、特許第2995216号(特許文献2)、特許第3219409号(特許文献3)などに開示されている。
HCV抗体を免疫学的に検出するための従来の試薬キットは、固相に固定化した複数種のHCV抗原を提供するものであり、これらの抗原を検体中のHCV抗体と反応させて該固相上で抗原−抗体複合体を形成させ、複合体を検出することによりHCV抗体の測定を行うものである(特許文献1〜3)。
特表平5−508219号公報 特許第2995216号公報 特許第3219409号公報
本発明者らは、HCV抗体の検出に用い得る種々のHCV合成ペプチド抗原及びHCV遺伝子組換え抗原を用いるHCV抗体測定用試薬について研究する過程において、これらの抗原を含む試薬の安定性や反応性について検討したところ、HCV合成ペプチド抗原とHCV遺伝子組換え抗原では、安定性や反応性が異なることを見出した。
そこで、本発明は、従来のHCV抗体測定用試薬に比べてより安定性が高く、高感度でHCV抗体を検出できるHCV抗原を含むHCV抗体測定用試薬キットを提供することを目的とする。
本発明は、固相結合部位を付加したC型肝炎ウイルス(HCV)合成ペプチド抗原を含む第1試薬と、
HCV遺伝子組換え抗原を固定化した第1固相及び前記固相結合部位に結合可能な結合物質を固定化した第2固相を含む第2試薬と
を含むHCV抗体測定用試薬キットである。
また、本発明は、検体と、固相結合部位を付加したHCV合成ペプチド抗原を含む第1試薬と、HCV遺伝子組換え抗原を固定化した第1固相及び前記固相結合部位に結合可能な第2の結合物質を固定化した第2固相を含む第2試薬とを接触させる工程、及び
前記第2固相上に形成された、HCV合成ペプチド抗原とHCV抗体との第1複合体及び/又は前記第1固相上に形成されたHCV遺伝子組換え抗原とHCV抗体との第2複合体を検出する工程
を含む、検体中に含まれるHCV抗体を測定する方法でもある。
本発明において、上記の第1試薬は、HCV合成ペプチド抗原を遊離の状態で含む。本明細書において「遊離の状態」とは、HCV合成ペプチド抗原がいずれの固相にも固定化されていないことを意味する。
本発明のHCV抗体測定用試薬キットは、測定に使用する各種HCV抗原が保存安定性に優れ、かつ抗体との良好な反応性を有するので、長期間にわたって良好な測定を行うことを可能にする。また、本発明のHCV抗体測定用試薬キットを用いることにより、HCV抗原の保存安定性の低下による測定感度の低下を防ぐことができるので、より高精度な測定を行うことができる。
C型肝炎ウイルス(HCV)は、約3000アミノ酸残基からなるタンパク質をコードするゲノムを有する。この約3000アミノ酸残基からなるタンパク質は、構造タンパク質ドメイン(コアタンパク質、エンベロープタンパク質(E1及びE2))と非構造タンパク質ドメイン(NS2、NS3、NS4及びNS5)とから構成され、これらの各ドメインは、少なくとも1つのエピトープを有する抗原であることが知られている。HCVのゲノムがコードするタンパク質及び該タンパク質に含まれる各ドメインの配列の例は、例えば特表平5−508219号に記載されている。
HCVは高度に変異するウイルスであるので、そのゲノムがコードするタンパク質の配列は、一義的に表すことができない。本明細書において、「抗原」とは、HCVのゲノムがコードする抗原性を有するタンパク質又はペプチド並びに抗原性を有するそれらの変異形の両方を含む。
本実施形態のHCV抗体測定用試薬キットは、固相結合部位を付加したHCV合成ペプチド抗原を含む第1試薬と、HCV遺伝子組換え抗原を固定化した第1固相及び前記固相結合部位に結合可能な結合物質を固定化した第2固相を含む第2試薬とを含む。
HCV抗体測定用試薬キットの原理を、次に説明する。検体中に含まれ得るHCV抗体は、第1試薬中のHCV合成ペプチド抗原及び/又は第2試薬中のHCV遺伝子組換え抗原に結合できる。また、第1試薬中のHCV合成ペプチド抗原に付加した固相結合部位は、第2試薬中の第2固相に固定化された結合物質と結合することができる。ここで、検体、第1試薬及び第2試薬が接触すると、第1固相に固定化されたHCV遺伝子組み換え抗原には検体中のHCV抗体が結合でき、HCV合成ペプチド抗原には検体中のHCV抗体が結合でき、また、第2固相に固定化された結合物質には固相結合部位を付加したHCV合成ペプチド抗原(HCV抗体と結合しているか又はしていない)が結合できる。
よって、第1固相及び/又は第2固相上にHCV抗体が捕捉されることとなる。このようにして固相上に捕捉されたHCV抗体は、当該技術における公知の方法を用いて検出することができる。
上記のHCV合成ペプチド抗原は、天然のタンパク質から単離され切断されたか又は化学合成法により合成された、HCVのゲノムによりコードされるタンパク質の少なくとも1つのエピトープを含むアミノ酸配列を有するペプチドである。HCV合成ペプチド抗原は、少なくとも8個のHCVタンパク質のアミノ酸残基を含み、60個以下のHCVタンパク質のアミノ酸残基を含むのが好ましく、少なくとも10個のHCVタンパク質のアミノ酸残基を含み、50個以下のHCVタンパク質のアミノ酸残基を含むのがより好ましい。また、HCV合成ペプチド抗原は、分子量が900〜7500の範囲であるものが好ましく、1000〜6000の範囲であるものがより好ましい。
HCV合成ペプチド抗原は、例えば固相合成法、フラグメント縮合法、溶液合成法などの従来公知の化学合成法により得ることができる。より好ましくは、該合成ペプチド抗原は、Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85, p.2149, 1963に記載されるような固相合成法を用いて合成したものである。
上記のHCV合成ペプチド抗原は、好ましくは、合成ペプチドNS4抗原、合成ペプチドNS5抗原及び合成ペプチドコア抗原からなる群から選択される少なくとも1種である。これらの合成ペプチド抗原は、2種以上を用いることができる。これらの抗原の配列は、例えば特表平5−508219号に記載されるものであるが、抗原性を有する限りこれら特定の配列に限定されず、変異を含んでいてもよい。本明細書において、例えば「合成ペプチドコア抗原」という場合、HCVタンパク質のコアドメインのアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する合成ペプチド抗原を意味する。
上記のHCV遺伝子組換え抗原は、遺伝子組み換え法により作製された、HCVのゲノムによりコードされるタンパク質の少なくとも1つのエピトープを含むアミノ酸配列を有するタンパク質である。該HCV遺伝子組換え抗原は、好ましくは少なくとも80個のアミノ酸残基を有するものであり、より好ましくは少なくとも90個のアミノ酸残基を有するものである。また、HCV遺伝子組換え抗原は、分子量が9000以上であるものが好ましく、10000以上であることがより好ましい。
該HCV遺伝子組換え抗原は、従来公知の遺伝子組み換え法により作製することができる。例えば、所望の抗原のアミノ酸配列をコードするDNAを構築し、このDNAを適切な発現ベクターにクローニングし、適切な宿主細胞を該ベクターで形質転換してHCV遺伝子組換え抗原を作製することができる。該HCV遺伝子組換え抗原は、例えば特表平5−508219号に記載される遺伝子組み換え法を用いて作製することができる。
上記のHCV遺伝子組換え抗原は、好ましくは、遺伝子組換えNS3抗原、遺伝子組換えNS4抗原、遺伝子組換えNS5抗原及び遺伝子組換えコア抗原からなる群から選択される少なくとも1種である。これらの抗原の配列は、例えば特表平5−508219号に記載されるものであるが、抗原性を有する限りこれらの特定の配列に限定されず、変異を有していてもよい。本明細書において、例えば「遺伝子組み換えNS3抗原」という場合、HCVタンパク質のNS3ドメインのアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する遺伝子組換え抗原を意味する。
上記の固相結合部位と結合物質は、試薬キットを用いる条件下で接触させたときに特異的に結合できる物質の組み合わせであれば特に限定されない。これらの組み合わせは、例えばビオチンとアビジン類、ハプテンと抗ハプテン抗体、ニッケルとヒスチジンタグ、グルタチオンとグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどが挙げられる。ハプテンと抗ハプテン抗体としては、例えば、DNPと抗DNP抗体が挙げられる。好ましくは、ビオチンとアビジン類との組み合わせである。より好ましくは、固相結合部位がビオチンを含み、結合物質がアビジン類である。固相結合部位と結合物質との組み合わせの各々の物質は、どちらを第2固相に固定化してもよく、特に限定されない。なお、本明細書において「アビジン類」は、アビジン及びストレプトアビジンを含むことを意味する。
本明細書において、HCV合成ペプチド抗原に「固相結合部位を付加する」とは、HCV合成ペプチド抗原が固相結合部位を有することとなるように反応させたことを意味する。該反応は、上記の固相結合部位の種類により適宜選択されればよく、例えば、共有結合などの化学的結合が挙げられる。
固相結合部位をHCV合成ペプチド抗原に付加する方法は、公知である。例えば、固相結合部位がビオチンを含む場合、例えば、HCV合成ペプチド抗原中のアミノ基やチオール基などと反応性を有する基を介してビオチンを該抗原に結合させることができる。アミノ基と反応性を有する基としてはNHS基が挙げられ、チオール基と反応性を有する基としてはマレイミド基などが挙げられる。
上記の結合物質を第2固相に固定化する方法は、公知である。該固定化は、例えば物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、これらの組み合わせなどにより行うことができる。
結合物質がアビジン類である場合、例えば、物理的吸着によりアビジンを直接第2固相に固定化することができる。また、アビジン類と結合可能な物質、例えばビオチンが結合した第2固相にアビジン類を結合させる方法により、アビジン類を第2固相に固定化することができる。また、特開2006−226689号公報に記載の方法により、アビジン類を固相に固定化することも可能である。
また、アビジン類を結合させた固相は、例えばJSR株式会社やダイナルバイオテック社などから購入することもできる。
HCV遺伝子組換え抗原を第1固相に固定化する方法は、公知である。該固定化は、例えば物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、これらの組み合わせなどにより行うことができる。
また、ビオチンとアビジン類の結合を介して、HCV遺伝子組換え抗原を第1固相に固定化することもできる。なお、HCV遺伝子組換え抗原の固相への固定化を仲介する物質の組み合わせとしては、上記のビオチンとアビジン類以外に、ハプテンと抗ハプテン抗体、ニッケルとヒスチジンタグ、グルタチオンとグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどが挙げられる。ハプテンと抗ハプテン抗体としては、例えば、DNPと抗DNP抗体が挙げられる。
HCV遺伝子組換え抗原を第1固相に固定化する手段は、結合物質を第2固相に固定化する手段と同じであってもよいし、異なってもよい。
上記の第1固相及び第2固相の材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、試薬キットの製造の簡便性の点から、同じ材料であることが好ましい。該材料としては、免疫測定に用いられる通常の固相の材料であれば特に限定されず、例えば、ラテックス、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、シリコーンなどのポリマー材料;アガロース;ゼラチン;赤血球;シリカゲル、ガラス、不活性アルミナ、磁性体などの無機材料などが挙げられる。これらの1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
また、固相の形状としては、免疫測定に用いられる通常の固相の形状であれば特に限定されず、マイクロタイタープレート、試験管、ビーズ、粒子、ナノ粒子などが挙げられる。粒子としては、磁性粒子、ポリスチレンラテックスのような疎水性粒子、粒子表面にアミノ基、カルボキシル基などの親水基を有する共重合ラテックス粒子、赤血球、ゼラチン粒子などが挙げられる。
より好ましくは、第1固相及び第2固相は、磁性粒子、ラテックス粒子又はマイクロタイタープレートのウェルである。HCV抗体測定用試薬キットにおいて、第1固相及び第2固相は、それぞれ独立した粒子又は独立したウェルを意味することを意図する。
磁性粒子は、磁性を有する材料を基材として含む粒子である。このような磁性粒子は当該技術において公知であり、基材として例えばFe23及び/又はFe34、コバルト、ニッケル、フェライト、マグネタイトなどを用いたものが知られている。磁性粒子の表面へのタンパク質などの結合を目的として、基材の表面をポリマーなどで被覆したものなどがより好ましい。
マイクロタイタープレートは、通常、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)において用いられるものを好適に用いることができ、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの材料からなるものが好ましい。
上述したように、上記の第1試薬は、HCV合成ペプチド抗原を遊離の状態で含む。第1試薬は、HCV合成ペプチド抗原の安定性及びHCV抗体との反応性に影響を与えない緩衝液中にHCV合成ペプチド抗原が溶解した液体の形態、又は用時に水などの液体を加えて用いるための、HCV合成ペプチド抗原を凍結乾燥することなどにより得られる固体の形態であり得る。試薬キットの使用操作の簡便性の点から、好ましくは、第1試薬は、緩衝液中にHCV合成ペプチド抗原が溶解した溶液の形態である。
第1試薬が溶液の形態であり、かつ複数種のHCV合成ペプチド抗原を含む場合、該第1試薬は、同じ緩衝液中に複数種のHCV合成ペプチド抗原を含んでもよいし、1種のHCV合成ペプチド抗原を含む緩衝液を複数含んでもよい。好ましくは、第1試薬は、同じ緩衝液中に複数種のHCV合成ペプチド抗原を含む。
第1試薬が溶液の形態である場合、HCV合成ペプチド抗原の濃度は、HCV合成ペプチド抗原の種類、その数などに応じて適宜選択することができる。
上記の緩衝液は、pH6.5〜8.0程度が好ましく、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリエタノールアミン塩酸塩緩衝液(TEA)、トリス塩酸緩衝液(Tris−HCl)などを用いることができる。該緩衝液は、界面活性剤、保存剤、血清タンパク質などの公知の添加剤を含んでいてもよい。
上記の第2試薬は、複数種のHCV遺伝子組換え抗原を含む場合、複数種のHCV遺伝子組換え抗原を固定化した1つの第1固相を含んでもよいし、1種のHCV遺伝子組換え抗原を固定化した複数の第1固相を含んでもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
上記の第2試薬は、好ましくは、第1固相及び第2固相を適切な緩衝液に懸濁又は接触した形態で提供される。第1固相と第2固相は、同じ緩衝液に懸濁又は接触してもよいし、別々の緩衝液に懸濁又は接触してもよいが、試薬キットの使用操作の簡便性の点で、同じ緩衝液に懸濁することが好ましい。なお、固相が緩衝液に懸濁した形態とは、例えば、固相としての磁性粒子やラテックス粒子などの粒子が緩衝液に懸濁された形態が挙げられる。また、固相が緩衝液に接触した形態とは、例えば、固相としてのマイクロタイタープレートのウェルに緩衝液が添加された形態が挙げられる。
第2試薬に含まれる第1固相と第2固相との量比は、第1試薬中のHCV合成ペプチド抗原の種類及び量、第1固相に固定化されたHCV遺伝子組換え抗原の種類及び量、第2固相に固定化された結合物質の種類及び量などに応じて適宜選択できる。例えば第1固相と第2固相とがともに磁性粒子である場合、第2試薬中に含まれる磁性粒子の数は、第1固相:第2固相=1〜10:10〜1の範囲であり得る。
上記の緩衝液としては、第1試薬に用いることができるものと同様のものを用いることができる。
上記のHCV抗体測定用試薬キットは、標識物質により標識されたHCV抗体に結合可能な物質を含む第3試薬をさらに含むことが好ましい。
HCV抗体に結合可能な物質は、ヒトのHCV抗体に対する抗体、HCV抗原などを含む。なお、ここで例示した抗体とは、抗体のフラグメント及びその誘導体も含む。具体例としては、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab)2フラグメント、及びsFvフラグメント等が挙げられる。抗体のクラスはIgG、IgMなどを含み得るが、これらに限定されない。
上記の標識物質は、通常の免疫測定法において用い得る標識物質であれば特に限定されず、酵素、蛍光物質、放射性同位元素などが挙げられる。酵素としては、例えば、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェリンなどが挙げられる。放射性同位元素としては、125I、14C、32Pなどが挙げられる。
上記の標識物質が酵素である場合、上記のHCV抗体測定用試薬キットは、該酵素に対する基質を含む第4試薬をさらに含むことが好ましい。
上記の基質は、上記の酵素に対する当該技術において公知の基質を用いることができる。上記の酵素としてアルカリホスファターゼを用いる場合、当該技術において公知の発光基質、発色基質などを用いることができ、例えばCDP−star(登録商標)(4−クロロ−3−(メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2'−(5'−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、CSPD(登録商標)(3−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキセタン−3,2−(5'−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)などの化学発光基質;p−ニトロフェニルホスフェート、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸(BCIP)、4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)などの発色基質が挙げられる。
上記の第4試薬は、適切な緩衝液中に基質を溶解した溶液の形態が好ましい。基質の濃度は、基質の種類により適宜選択できる。第4試薬に用い得る緩衝液は、基質の種類により適宜選択でき、当該技術において公知のものを用いることができる。
HCV抗体測定用試薬キットは、固相結合部位を付加したHCV合成ペプチド抗原を含む第1試薬と、HCV遺伝子組換え抗原を固定化した第1固相及び該固相結合部位に結合可能な結合物質を固定化した第2固相を含む第2試薬とを備える。HCV抗体測定用試薬キットにおいて、第1試薬と第2試薬は別々にパッケージされている。図1は、第1試薬が溶液の形態であり第2試薬が固相を緩衝液に懸濁した形態である場合の試薬キットの一例である。図1では、第1試薬は第1の試薬容器1に収容されており、第2試薬は第2の試薬容器2に収容されている。なお、HCV抗体測定用試薬キットは、所望により、別の試薬(例えば上述した第3試薬や第4試薬)を別の試薬容器に収容したものを備えてもよい。さらに、HCV抗体測定用試薬キットは、所望により、試薬の1つ又は複数を希釈するための1種又は複数の緩衝液、使用説明書、反応に用い得る容器などを備えてもよい。
本実施形態のHCV抗体を測定する方法は、検体と、固相結合部位を付加したHCV合成ペプチド抗原を含む第1試薬と、HCV遺伝子組換え抗原を固定化した第1固相及び前記固相結合部位に結合可能な結合物質を固定化した第2固相を含む第2試薬とを接触させる工程(接触工程)と、
前記第2固相上に形成された、HCV合成ペプチド抗原とHCV抗体との第1複合体及び/又は前記第1固相上に形成されたHCV遺伝子組換え抗原とHCV抗体との第2複合体を検出する工程(検出工程)とを含む。
上記の検体は、ヒトを含む哺乳動物から採取された生体試料であり、血液、血清、血漿、を含む。
上記の接触工程では、検体と第1試薬とを先に接触させた後に第2試薬を接触させてもよいし、検体と第2試薬とを先に接触させた後に第1試薬を接触させてもよく、第1試薬と第2試薬とを先に接触させた後に検体を接触させてもよい。検体中の遊離のHCV抗体と試薬中の遊離のHCV抗原との結合が進行しやすいという点で、検体と第1試薬とを先に接触させ、その後に第2試薬を接触させることがより好ましい。なお、ここで「接触」とは、検体と第1試薬と第2試薬とを混合することを含む。例えば、第1試薬が溶液の形態であり第2試薬が固相を緩衝液に懸濁した形態である場合、上記の接触工程では、検体と第1試薬とを先に混合させた後に第2試薬を混合させてもよいし、検体と第2試薬とを先に混合させた後に第1試薬を混合させてもよく、第1試薬と第2試薬とを先に混合させた後に検体を混合させてもよい。
上記の接触工程において、第1試薬と第2試薬の量の比は、第1試薬中のHCV合成ペプチド抗原に対して充分な量の第2固相が存在するようなものであれば特に限定されず、適切に選択することができる。
また、検体と第1試薬及び第2試薬との量の比は、検体に含まれうるHCV抗体を検出するのに充分な量の各HCV抗原が存在するようなものであれば特に限定されない。
上記の接触工程は、検体中のHCV抗体と第1試薬及び第2試薬中のHCV抗原との反応が良好に行われる温度で行われることが好ましく、30〜45℃程度の温度がより好ましい。
接触させる時間は、用いるHCV合成ペプチド抗原、HCV遺伝子組換え抗原、固相結合部位、結合物質の種類などにより適宜選択できる。
上記の検出工程は、当該技術において公知の免疫学的検出方法に従って行うことができ、上記の標識物質で標識されたHCV抗体に結合可能な物質を用いて行うことが好ましい。
上記の検出工程は、好ましくは、上記の標識物質で標識されたHCV抗体に結合可能な物質を、上記の第1複合体及び/又は第2複合体と接触させ、上記の標識物質を検出することにより行われる。
標識物質の検出は、該標識物質が酵素である場合、上記のような該酵素に対する基質を反応させることにより発生する光、色などを適切な装置を用いて測定することにより行うことができる。該装置としては、分光光度計、ルミノメータなどが挙げられる。
実施例で使用した各HCV抗原の調製方法を説明する。
(1)遺伝子組換えNS3抗原の調製
HCV遺伝子組換え抗原として、特表平5−508219号の図1に記載されるアミノ酸配列の1192〜1457の領域のアミノ酸配列を有する遺伝子組み換えNS3抗原を、特表平5−508219号の実施例1に記載されるようにして作製した。
(2)合成ペプチドNS4抗原の調製
合成ペプチド抗原として、特許第2995216号の図1に記載されるアミノ酸配列の1688〜1707番目のアミノ酸配列を有する合成ペプチドNS4抗原(特許第2995216号のペプチドVIII)を、特許第2995216号の実施例に記載されるペプチド合成法に従って作製した。そして、Biotinylation Kit (Sulfo-OSu)((株)同仁化学研究所)を用いて合成ペプチドNS4抗原をビオチン化した。
(3)合成ペプチドコア抗原の調製
合成ペプチド抗原として、特許第2995216号の図1に記載されるアミノ酸配列の7〜26番目のアミノ酸配列を有する合成ペプチドコア抗原(特許第2995216号のペプチドII)、13〜32番目のアミノ酸配列を有する合成ペプチドコア抗原(特許第2995216号のペプチドIII)、及び49〜68番目のアミノ酸配列を有する合成ペプチドコア抗原(特許第2995216号のペプチドV)を、特許第2995216号の実施例に記載されるペプチド合成法に従って作製した。そして、Biotinylation Kit (Sulfo-OSu)((株)同仁化学研究所)を用いて合成ペプチドコア抗原をビオチン化した。
(4)遺伝子組換えNS3抗原固定化磁性粒子の調製
市販の磁性粒子(平均粒径2μm)を約5mg/mLとなるように20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に懸濁して、磁性粒子懸濁液を調製した。上記(1)で調製した遺伝子組換えNS3抗原を、1mg/mLとなるように20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に溶解して、NS3抗原溶液を調製した。磁性粒子懸濁液10mLとNS3抗原溶液0.1mLを混合し、37℃で30分間インキュベートすることにより磁性粒子に遺伝子組換えNS3抗原を固定化した。次に、NS3抗原が固定化された磁性粒子とブロッキング溶液(1%BSA、20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5)を混合し、37℃で30分間インキュベートすることによりブロッキング処理を行った。こうして得られた磁性粒子を、以降はNS3抗原磁性粒子と省略する。
(5)合成ペプチドNS4抗原固定化磁性粒子の調製
市販のストレプトアビジン被覆磁性粒子(以下、「ST磁性粒子」という)を、約5mg/mLとなるように20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に懸濁して、ST磁性粒子懸濁液を調製した。上記(2)で調製した合成ペプチドNS4抗原を、1mg/mLとなるように20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に溶解してNS4抗原溶液を調製した。ST磁性粒子懸濁液10mLとNS4抗原溶液0.01mLを混合し、37℃で30分間インキュベートすることによりST磁性粒子に合成ペプチドNS4抗原を固定化した。次に、NS4抗原が固定化された磁性粒子と上記ブロッキング溶液(1%BSA、20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5)を混合し、37℃で30分間インキュベートすることによりブロッキング処理を行った。こうして得られた磁性粒子を、以降はNS4抗原磁性粒子と省略する。
(6)合成ペプチドコア抗原固定化磁性粒子の調製
市販のST磁性粒子を約1mg/mLとなるように20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に懸濁して、ST磁性粒子懸濁液を調製した。上記(3)で調製した各合成ペプチドコア抗原を混合し、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)に溶解してコア抗原溶液を調製した。なお、コア抗原溶液は、含まれる各合成ペプチドコア抗原の濃度が約1mg/mLとなるように調製した。ST磁性粒子懸濁液10mLとコア抗原溶液0.01mLを混合し、37℃で30分間インキュベートすることによりST磁性粒子に合成ペプチドコア抗原を固定化した。次に、コア抗原が固定化された磁性粒子とブロッキング溶液(1%BSA、20mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.5)を混合し、37℃で30分間インキュベートすることによりブロッキング処理を行った。こうして得られた磁性粒子を、以降はコア抗原磁性粒子と省略する。
参考例1
まず、遺伝子組換えNS3抗原について、磁性粒子に固定化した場合と固定化せずに溶液中で遊離した場合とでの反応性の違いを調べた。
ここでは、上記(1)で調製したNS3抗原にビオチン化処理して得られたビオチン化遺伝子組換えNS3抗原を用いた。NS3抗原に対するビオチン化処理は、Biotinylation Kit (Sulfo-OSu)((株)同仁化学研究所)を用いた。
また、ビオチン化NS3抗原をST磁性粒子に固定化する方法は、HCV抗原としてビオチン化NS3抗原を用い、磁性粒子としてST磁性粒子を用いた以外は上記(4)と同様である。
本例で使用した試薬の組成は以下の通りである。
(7)第1試薬(A)
20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)
(8)第1試薬(B−1)
20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)
2.5μg/mL ビオチン化NS3抗原
(9)第1試薬(B−2)
上記第1試薬(B−1)を20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)で10倍希釈したものを、第1試薬(B−2)とする。
(10)第1試薬(B−3)
上記第1試薬(B−1)を20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)で50倍希釈したものを、第1試薬(B−3)とする。
(11)第2試薬(A)
20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)
3mg/mL ビオチン化NS3抗原結合ST磁性粒子
2mg/mL ST磁性粒子
(12)第2試薬(B)
20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)
5mg/mL ST磁性粒子
(13)第3試薬
20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)
0.1U/mL アルカリホスファターゼ標識マウス抗ヒトIgG抗体(ALKALINE PHOSPHATASE−MOUSE、Zymed Laboratories)
(14)第4試薬
CDP−star(登録商標)with Sapphire II(商標)(Applied Biosystems)
測定方法は以下の通りである。
(15)磁性粒子に固定化した場合の遺伝子組換えNS3抗原の反応性
まず、HCV陽性血清10μLと上記第1試薬(A)120μLを混合して、42℃にて約2分間インキュベートした。続いて、この混合液に上記第2試薬(A)30μLを添加して45℃にて約1分間インキュベートし、血清中のHCV抗体と第2試薬(A)中の磁性粒子上のNS3抗原とを反応させた。この磁性粒子を洗浄液(0.1%Tween20、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5))で洗浄した後、上記第3試薬100μLを加え、室温にて5分間インキュベートした。磁性粒子を上記の洗浄液で洗浄した後に、上記第4試薬100μLを加え、LUMI−COUNTER 700((株)マイクロテック・ニチオン)を用いて発光強度を測定した。
検体としては、2種類のHCV陽性血清(陽性血清1及び陽性血清2)を用いた。さらに、ネガティブコントロールとしてHCV陽性血清の代わりに20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いて測定をおこなった。同一の検体についてそれぞれ3回測定を行い、その平均発光強度を求めた。結果を、図2に示す。
(16)溶液中に遊離させた場合の遺伝子組換えNS3抗原の反応性
第1試薬として上記第1試薬(B−1)、(B−2)又は(B−3)を用い、第2試薬として上記第2試薬(B)を用いた以外は、上記(15)と同様の方法で測定を行った。なお、第1試薬(B−1)は、第2試薬A中の固定化NS3抗原と同じ濃度になるように、遊離NS3抗原を含んでいる。結果を、図2に示す。
図2において、1は遺伝子組換えNS3抗原を磁性粒子に固定化した場合の結果を示し、2〜4は遺伝子組換えNS3抗原を溶液中に遊離させた場合の結果を示す。また、縦軸には、測定により得られた発光強度を示した。Nは、ネガティブコントロールの結果である。
図2より、いずれのHCV陽性血清においても、遺伝子組換えNS3抗原を磁性粒子に固定化した場合の方が、遺伝子組換えNS3抗原を溶液中に遊離させた場合よりも、高い発光強度が得られることがわかった。以上のことから、HCV遺伝子組換え抗原については、溶液中に遊離させるよりも、磁性粒子に固定化した方がHCV抗体との反応性が高いということがわかった。
参考例2
次に、遺伝子組換えNS3抗原について、磁性粒子に固定化した場合と固定化せずに溶液中で遊離した場合とでの保存安定性の違いを調べた。
本例では、参考例1で使用した第2試薬(A)(固定化NS3抗原を含む)及び第1試薬(B−2)(遊離NS3抗原を含む)を用いて加速試験を実施し、試薬の保存安定性を調べた。加速試験では、第2試薬(A)及び第1試薬(B−2)を、暗所にて37℃で0、1又は5日間保存した。加速試験を実施した各試薬を用いてHCV抗体を測定した。
測定方法は以下の通りである。
(17)磁性粒子に固定化した場合の遺伝子組換えNS3抗原の安定性
第2試薬として加速試験を実施した第2試薬(A)を用いた以外は、参考例1に記載の(15)と同様の方法で測定を行った。検体は、参考例1で使用した2種類のHCV陽性血清(陽性血清1及び陽性血清2)を用いた。結果を、図3及び図4に示す。
(18)溶液中に遊離させた場合の遺伝子組換えNS3抗原の安定性
第1試薬として加速試験を実施した第1試薬(B−2)を用いた以外は、参考例1に記載の(16)と同様の方法で測定を行った。検体は、参考例1で使用した2種類のHCV陽性血清(陽性血清1及び陽性血清2)を用いた。結果を、図3及び図4に示す。
図3は検体として陽性血清1を用いた場合の結果であり、図4は検体として陽性血清2を用いた場合の結果である。図3及び図4において、1は遺伝子組換えNS3抗原を磁性粒子に固定化した場合の結果を示し、2は遺伝子組換えNS3抗原を溶液中に遊離させた場合の結果を示す。また、縦軸は加速試験前(0日目)の試薬を用いて得られた平均発光強度を100%として、各保存日数での平均発光強度のパーセンテージを示したものであり、横軸は加速試験の保存日数を示している。
図3及び図4の結果から、遺伝子組換えNS3抗原を溶液中に遊離させた状態で保存すると、安定性が悪く、加速試験で1日経過した後であっても反応性が急激に低下することがわかった。また、遺伝子組換えNS3抗原を磁性粒子に固定化した状態で保存すると、安定性が良く、加速試験で5日経過した後であっても高い反応性を維持することがわかった。以上のことから、HCV遺伝子組換え抗原については、溶液中に遊離させるよりも、磁性粒子に固定化した方が保存安定性が高いということがわかった。
実施例1
次に、合成ペプチドNS4抗原及び合成ペプチドコア抗原について、磁性粒子に固定化した場合と固定化せずに溶液中で遊離した場合とでの保存安定性の違いを調べた。
ここでは、遊離のHCV抗原として、上記(2)で調製した合成ペプチドNS4抗原、及び上記(3)で調製した合成ペプチドコア抗原を用いた。また、固定化したHCV抗原として、上記(4)で調製したNS3抗原磁性粒子、上記(5)で調製したNS4抗原磁性粒子、及び上記(6)で調製したコア抗原磁性粒子を用いた。
本例で使用した試薬の組成は以下の通りである。なお、第3試薬及び第4試薬は、参考例1で使用したものを用いた。
(19)第1試薬(C)
20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)
1μg/mL 合成ペプチドNS4抗原
10μg/mL 各合成ペプチドコア抗原
(20)第1試薬(D)
20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)
(21)第2試薬(C)
20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)
3mg/mL NS3抗原磁性粒子
2mg/mL ST磁性粒子
(22)第2試薬(D)
20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)
3mg/mL NS3抗原磁性粒子
1mg/mL NS4抗原磁性粒子
1mg/mL コア抗原磁性粒子
本例では、第1試薬(C)(遊離NS4抗原と遊離コア抗原を含む)及び第2試薬(D)(固定化NS4抗原と固定化コア抗原を含む)を用いて加速試験を実施し、試薬の保存安定性を調べた。加速試験では、第1試薬(C)及び第2試薬(D)を、暗所にて45℃で0又は1日間保存した。加速試験を実施した各試薬を用いてHCV抗体を測定した。
測定方法は以下の通りである。
(23)溶液中に遊離させた場合の合成ペプチドNS抗原及び合成ペプチドコア抗原の安定性
第1試薬として加速試験を実施した第1試薬(C)を用い、第2試薬として上記第2試薬(C)を用いた以外は、参考例1に記載の(15)と同様の方法で測定を行った。検体は、1種類のHCV陰性血清(陰性血清1)及び4種類のHCV陽性血清(陽性血清3〜6)を用いた。結果を、表1に示す。
(24)磁性粒子に固定化させた場合の合成ペプチドNS抗原及び合成ペプチドコア抗原の安定性
第1試薬として上記第1試薬(D)を用い、第2試薬として加速試験を実施した第2試薬(D)を用いた以外は、参考例1に記載の(15)と同様の方法で測定を行った。検体は、1種類のHCV陰性血清(陰性血清1)及び4種類のHCV陽性血清(陽性血清3〜6)を用いた。結果を、表1に示す。
Figure 0004975600
表1において、加速試験前(0日目)及び加速試験1日目の試薬を用いて得られた平均発光強度を示した。さらに、0日目の試薬を用いて得られた平均発光強度を100%として、1日目の試薬を用いて得られた平均発光強度のパーセンテージを示した。
表1より、合成ペプチドNS4抗原及び合成ペプチドコア抗原を磁性粒子に固定化した状態で保存すると、安定性が悪く、加速試験で1日経過した後であっても全ての陽性血清(陽性血清3〜6)の反応性が急激に低下することがわかった。また、合成ペプチドNS4抗原及び合成ペプチドコア抗原を溶液中に遊離させた状態で保存すると、安定性が良く、加速試験で5日経過した後であっても全ての陽性血清において高い反応性を維持することがわかった。以上のことから、HCV合成ペプチド抗原については、固相に固定化するよりも、溶液中に遊離させた方が保存安定性が高いということがわかった。
実施例2
合成ペプチドNS4抗原及び合成ペプチドコア抗原を遊離した状態で含む第1試薬、及び遺伝子組換えNS3抗原を磁性粒子に固定化した状態で含む第2試薬を用いて加速試験を実施し、試薬の保存安定性を調べた。加速試験では、第1試薬及び第2試薬を、暗所にて37℃で0、2又は7日間保存した。加速試験を実施した各試薬を用いてHCV抗体を測定した。なお、本例では、第1試薬として実施例1で使用した第1試薬(C)を用い、第2試薬として実施例で使用した第2試薬(C)を用いた。
測定方法は以下の通りである。
第1試薬として加速試験を実施した第1試薬(C)を用い、第2試薬として加速試験を実施した第2試薬(C)を用いた以外は、参考例1に記載の(15)と同様の方法で測定を行った。検体は、4種類のHCV陽性血清(陽性血清7〜10)を用いた。陽性血清7は、NS3抗原に対するHCV抗体、NS4抗原に対するHCV抗体及びコア抗原に対するHCV抗体を含んだ血清である。陽性血清8はNS3抗原に対するHCV抗体を含んだ血清であり、陽性血清9はコア抗原に対するHCV抗体を含んだ血清であり、陽性血清10は、NS3抗原に対するHCV抗体及びNS4抗原に対するHCV抗体を含んだ血清である。また、ネガティブコントロールとしてHCV陽性血清の代わりに20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)を用いて測定をおこなった。結果を、表2に示す。
Figure 0004975600
表2において、加速試験前(0日目)、加速試験2日目及び7日目の試薬を用いて得られた平均発光強度を示した。さらに、陽性血清7〜10について、0日目の試薬を用いて得られた平均発光強度を100%として、2日目及び7日目の試薬を用いて得られた平均発光強度のパーセンテージを図5〜8に示した。図5は、陽性血清7を測定した場合の結果を示し、図6は陽性血清8を測定した場合の結果を示し、図7は陽性血清9を測定した場合の結果を示し、図8は陽性血清10を測定した場合の結果を示す。図5〜8において、縦軸は加速試験前(0日目)の試薬を用いて測定して得られた発光強度を100%として、各保存日数での平均発光強度のパーセンテージを示したものであり、横軸は加速試験の保存日数を示している。
表2及び図5〜8の結果から、HCV合成ペプチド抗原を遊離した状態で含む第1試薬、及びHCV遺伝子組換え抗原を磁性粒子に固定化した状態で含む第2試薬を含む試薬キットを用いることにより、HCVタンパク質の種々の部位に反応する抗体を含む種々の検体を良好に検出できることがわかった。また、該試薬キット中の抗原の保存安定性が非常に優れていることもわかった。
以上のことから、HCV遺伝子組換え抗原は緩衝液中の固相に固定化させた状態の方が保存安定性及び反応性が優れているのに対し、HCV合成ペプチド抗原は緩衝液中の固相に固定化しない状態(遊離の状態)の方が保存安定性が優れていることがわかった。
本発明のHCV抗体測定用試薬キットの一実施形態を示す模式図である。 参考例1の結果を示すグラフである。 参考例2において陽性血清1を測定して得られた結果を示すグラフである。 参考例2において陽性血清2を測定して得られた結果を示すグラフである。 実施例2において陽性血清7を測定して得られた結果を示すグラフである。 実施例2において陽性血清8を測定して得られた結果を示すグラフである。 実施例2において陽性血清9を測定して得られた結果を示すグラフである。 実施例2において陽性血清10を測定して得られた結果を示すグラフである。
符号の説明
1 第1の試薬容器
2 第2の試薬容器

Claims (10)

  1. 固相結合部位を付加したC型肝炎ウイルス(HCV)合成ペプチド抗原を含む第1試薬と、
    HCV遺伝子組換え抗原を固定化した第1固相及び前記固相結合部位に結合可能な結合物質を固定化した第2固相を含む第2試薬と
    を含むHCV抗体測定用試薬キット。
  2. 前記HCV遺伝子組換え抗原が、遺伝子組換えNS3抗原、遺伝子組換えNS4抗原、遺伝子組換えNS5抗原及び遺伝子組換えコア抗原からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のHCV抗体測定用試薬キット。
  3. 前記HCV合成ペプチド抗原が、合成ペプチドNS4抗原、合成ペプチドNS5抗原及び合成ペプチドコア抗原からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載のHCV抗体測定用試薬キット。
  4. 前記第1固相及び第2固相が、磁性粒子、ラテックス粒子又はマイクロタイタープレートのウェルである請求項1〜3のいずれか1項に記載のHCV抗体測定用試薬キット。
  5. 前記固相結合部位がビオチンを含み、前記結合物質がアビジン類である請求項1〜4のいずれか1項に記載のHCV抗体測定用試薬キット。
  6. 標識物質により標識された、HCV抗体に結合可能な物質を含む第3試薬をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のHCV抗体測定用試薬キット。
  7. 前記HCV抗体に結合可能な物質が、HCV抗体に結合可能な抗体である請求項6に記載のHCV抗体測定用試薬キット。
  8. 前記標識が酵素であり、
    前記酵素に対する基質を含む第4試薬をさらに含む請求項6又は7に記載のHCV抗体測定用試薬キット。
  9. 検体と、固相結合部位を付加したHCV合成ペプチド抗原を含む第1試薬と、HCV遺伝子組換え抗原を固定化した第1固相及び前記固相結合部位に結合可能な結合物質を固定化した第2固相を含む第2試薬とを接触させる工程、及び
    前記第2固相上に形成されたHCV合成ペプチド抗原とHCV抗体との第1複合体及び/又は前記第1固相上に形成されたHCV遺伝子組換え抗原とHCV抗体との第2複合体を検出する工程
    を含む、検体中に含まれるHCV抗体を測定する方法。
  10. 前記接触させる工程が、前記検体と前記第1試薬とを接触させた後に、前記第2試薬を接触させることにより行われる請求項9に記載の方法。
JP2007324919A 2007-03-16 2007-12-17 Hcv抗体測定用試薬キット及びhcv抗体測定方法 Active JP4975600B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007324919A JP4975600B2 (ja) 2007-03-16 2007-12-17 Hcv抗体測定用試薬キット及びhcv抗体測定方法
CN2008100847154A CN101266249B (zh) 2007-03-16 2008-03-14 Hcv抗体测定用试剂盒及hcv抗体测定方法
US12/048,709 US20080227111A1 (en) 2007-03-16 2008-03-14 Reagent kit and method for measuring hcv antibody
AT08152793T ATE479098T1 (de) 2007-03-16 2008-03-14 Reagenzkit und verfahren zur messung von hcv- antikörpern
EP08152793A EP1978365B1 (en) 2007-03-16 2008-03-14 Reagent kit and method for measuring HCV antibody
DE200860002272 DE602008002272D1 (de) 2007-03-16 2008-03-14 Reagenzkit und Verfahren zur Messung von HCV-Antikörpern

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007068818 2007-03-16
JP2007068818 2007-03-16
JP2007324919A JP4975600B2 (ja) 2007-03-16 2007-12-17 Hcv抗体測定用試薬キット及びhcv抗体測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008261840A JP2008261840A (ja) 2008-10-30
JP4975600B2 true JP4975600B2 (ja) 2012-07-11

Family

ID=39984411

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007324919A Active JP4975600B2 (ja) 2007-03-16 2007-12-17 Hcv抗体測定用試薬キット及びhcv抗体測定方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4975600B2 (ja)
CN (1) CN101266249B (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2011143788A (ru) * 2009-03-31 2013-05-10 Джапан Тобакко Инк. Способ детектирования анти-sith-1 антитела в биологическом образце

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03190898A (ja) * 1989-12-21 1991-08-20 Shima Kenkyusho:Kk 合成ポリペプチド及びそれを用いたhcv抗体測定試薬
DK0644202T3 (da) * 1990-12-14 1997-09-15 Innogenetics Nv Syntetiske antigener til påvisning af antistoffer imod hepatitis C virus
EP0591431B1 (en) * 1991-06-24 2002-12-11 Chiron Corporation Hepatitis c virus (hcv) polypeptides
AU2679492A (en) * 1991-09-16 1993-04-27 Abbott Laboratories Hepatitis c assay
WO1996003423A1 (de) * 1994-07-25 1996-02-08 Boehringer Mannheim Gmbh Hapten-markierte peptide
JP3715027B2 (ja) * 1996-05-07 2005-11-09 シスメックス株式会社 C型肝炎ウイルス感染症診断薬
WO2002004484A2 (en) * 2000-07-07 2002-01-17 Medmira Inc. Hcv mosaic antigen composition
DE60308259T2 (de) * 2002-05-22 2007-04-05 Sysmex Corp. Immunologische Verfahren, Vorrichtungen und Reagenzien
JP4233382B2 (ja) * 2002-05-22 2009-03-04 シスメックス株式会社 免疫測定方法、免疫測定装置、及び免疫測定用試薬
NZ538711A (en) * 2002-09-09 2007-01-26 Chiron Corp Antigen/antibody/antigen sandwich assays for detecting hepatitis C virus infections

Also Published As

Publication number Publication date
CN101266249B (zh) 2012-11-28
CN101266249A (zh) 2008-09-17
JP2008261840A (ja) 2008-10-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6026564B2 (ja) HBs抗原を検出するための試料の前処理方法およびその利用
CN101160413A (zh) 一种丙型肝炎病毒抗体检测试剂盒及其检测方法
CN105228649A (zh) Hcv抗原-抗体组合测定和方法以及用在其中的组合物
JP2009085753A (ja) サンドイッチイムノアッセイ法
JP2010107363A (ja) トロポニンiの測定方法及び測定用試薬キット
JPWO2017138497A1 (ja) 被検物質の検出方法および被検物質の検出用試薬キット
JP4975601B2 (ja) Hcv抗体測定用試薬キット及びhcv抗体測定方法
JP4124961B2 (ja) サンプル中の抗体を検出する方法
US20080227111A1 (en) Reagent kit and method for measuring hcv antibody
WO2009084369A1 (ja) Hiv-1抗原の検出用試薬及び検出方法
JP2007510165A (ja) 結合アッセイ成分
JP7389740B2 (ja) Hcv抗原のマルチエピトープ融合タンパク質およびその使用
JP2011520124A (ja) ウイルスを検出するための方法
US20040152070A1 (en) Method of detection of HCV antibodies in combination assay or sole antibody assay
JP4975600B2 (ja) Hcv抗体測定用試薬キット及びhcv抗体測定方法
CN101523216A (zh) 人类免疫缺陷病毒系列蛋白抗体测定方法
CN107110868A (zh) 采用ns3捕获肽的受试者抗hcv抗体检测测定
JP2021505906A (ja) HBsAgの定量検出のためのキット及び方法
TW201337268A (zh) 一種偵測c型肝炎病毒感染之方法
JP5618570B2 (ja) C型肝炎ウイルスの免疫測定方法及びそれに用いる試薬キット
JP2010122002A (ja) 抗体の検出方法及び該方法に用いられる試薬キット
CN109917124A (zh) 一种丙型肝炎病毒抗原抗体联合检测试剂盒
JP2003337134A (ja) 非特異反応抑制ペプチド、並びにこれを用いた非特異反応抑制方法及び抗体測定方法
JP2021099243A (ja) 免疫学的測定法
JPH09196922A (ja) 複数の亜型が存在する抗原の共通抗原決定基に特異的な抗体の測定方法及び測定試薬

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120313

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120315

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4975600

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150420

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250