JP4233382B2 - 免疫測定方法、免疫測定装置、及び免疫測定用試薬 - Google Patents

免疫測定方法、免疫測定装置、及び免疫測定用試薬 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は血液、尿、腹水などの検体に含まれる物質に対する抗原又は抗体を感作した担体粒子の粒子凝集を用いた免疫測定方法、免疫測定装置、及び免疫測定用試薬に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
抗原抗体反応を利用して、血液等の検体から特定の物質を検出する免疫測定方法が、臨床検査の分野で広く用いられている。そのような方法としては、ラジオイムノアッセイ(RIA)、エンザイムイムノアッセイ(EIA)、フルオロイムノアッセイ(FIA)、粒子凝集法、等の様々な方法が知られている。粒子凝集法では、測定対象物を含むと思われる検体と、測定対象物に対応する抗体又は抗原を感作した担体粒子とを混和する。検体中に測定対象物が存在すると、抗原抗体反応により担体粒子が凝集するので、その凝集を光学的に検出する。
【0003】
免疫検査の検体は、全血から血球を除去した血清又は血漿が一般的に用いられているが、除去されなかった赤血球、脂肪粒子、細菌などの粒子が含まれていると、担体粒子凝集の光学的検出に影響を与える。また全血には大量の赤血球が含まれており、全血を検体として用いると、担体粒子凝集の光学的検出に影響を与える。しかし、緊急検査等では血球除去の工程が不要な、全血を検体として用いる測定が望まれている。
【0004】
全血を用いることが可能な、粒子凝集法による免疫測定方法としては、赤血球と大きさの異なる担体粒子を用いたカウンティングイムノアッセイによる免疫測定方法がある(例えば、特許文献1を参照)。但しこの方法を用いる場合は、担体粒子を選択する際に、赤血球と大きさが重ならないものを選択する必要がある。
【0005】
一方、免疫検査の測定項目として感染症、腫瘍関連物質、ホルモン等多様な項目が測定されている。免疫検査に用いられる自動分析装置は、検体を測定項目数に応じて複数の反応容器に分取して、各測定項目に応じた試薬をそれぞれ分注し、所定の反応処理をそれぞれ施し、各反応試料をそれぞれ測定するような多項目自動分析装置が一般的となっている。このような多項目自動分析装置は、多くの測定試薬のセット部や反応容器を備えなければならず、機器の大型化、複雑化が伴っていた。そして、検査に用いられる検体量も測定項目が増えるに応じて必要量が多くなり、患者負担の一因となっていた。そこで一つの試料から複数の項目を同時に測定するための免疫測定方法が望まれている。そのような免疫測定方法としては、複数種類の抗体のそれぞれを粒径の異なるラテックス等の担体に感作した試薬と、標識物質で標識した標識抗体と、検体とを、抗体感作担体−測定対象の抗原−標識抗体の免疫複合体となるように反応させ、粒子の粒径と標識物質の情報を求めて、標識情報のある粒子を粒径によって測定項目別に分析する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかし、上記方法の反応過程で、各担体が一つずつ免疫複合体を形成するわけではなく、測定対象の抗原が複数の担体の抗体と反応して担体の凝集が起こる。またラテックス粒子は、その表面荷電の影響などにより凝集を起こす。いずれの原因であれ担体が凝集すると、その担体の見かけ上の粒径は大きくなり、粒径による測定項目の弁別ができなくなってしまう。また抗原を検出するための試薬として、抗原に対応する抗体を感作した担体粒子の他に、標識物質で標識した抗体が必要となる。
【0007】
【特許文献1】
国際公開第01/96868号パンフレット
【特許文献2】
特公平5−88423号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、粒子凝集法を用いた免疫測定において、検体中に測定対象物質以外の粒子が含まれていてもその影響を受けることなく、また使用する担体粒子を選択する際に、大きさの観点で自由度が高い免疫測定方法、装置、及び試薬を提供することである。
【0009】
また本発明の解決課題は、一つの試料から複数の項目を同時に測定することができ、また標識抗体を必要とせずに測定できる免疫測定方法、装置、及び試薬を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み本発明は、測定対象物質及び測定対象物質以外の粒子を含む検体と、測定対象物質に対する抗体又は抗原が感作された担体粒子と、を混和して試料を調製する工程と、前記工程にて調製された試料中の粒子から第一の光学的情報及び第一の光学的情報とは異なる第二の光学的情報を検出する工程と、前記工程にて検出された第一の光学的情報に基づき、担体粒子と、検体中の測定対象物質以外の粒子と、を弁別し、第二の光学的情報に基づき、担体粒子の凝集度を求める工程と、前記工程にて求められた担体粒子の凝集度に基づき、測定対象物質を検出する工程と、を有する免疫測定方法を提供する。
【0012】
また本発明は、測定対象物質及び測定対象物質以外の粒子を含む検体と、測定対象物質に対する抗体又は抗原が感作された担体粒子と、を混和して調製された試料中の粒子から、第一の光学的情報及び第一の光学的情報とは異なる第二の光学的情報を検出する光検出部と、光検出部が検出した光学的情報を解析する解析部と、を有する免疫測定装置であり、解析部は、光検出部が検出した第一の光学的情報に基づき担体粒子と検体中の測定対象物以外の粒子とを弁別し、光検出部が検出した第二の光学的情報に基づき担体粒子の凝集度を求めることを特徴とする、免疫測定装置を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明における免疫測定方法はいわゆる粒子凝集法を用いるものである。担体粒子には、粒子凝集法で一般的に用いられているもの、例えばラテックス粒子、ポリスチレン粒子、磁性粒子、ガラス粒子、デンドリマーなどを用いることができる。
【0020】
担体粒子に感作する抗原又は抗体には、測定対象物質が抗体であれば該抗体と特異的に抗原抗体反応する抗原が用いられ、測定対象物質が抗原であれば該抗原と特異的に抗原抗体反応する抗体が用いられる。例えば測定項目がCEA抗原(癌胎児性抗原)であれば抗CEA抗体が感作さる。測定項目が抗HBs抗体であればHBs抗原が感作される。
【0021】
本発明では、担体粒子から物理的特性を検出する。検出した物理特性に基づき、担体粒子と、検体中に含まれる測定対象物質以外の粒子とを弁別する。複数の測定対象物質を検出するために担体粒子を複数種類用いる場合、担体粒子から検出した物理特性により、各種類の担体粒子同士も弁別される。上記物理的特性としては、前方散乱光、側方散乱光、蛍光、吸光度、燐光、化学発光、生物発光などの光学的情報がある。このような光学的情報を検出する装置としては、いわゆるフローサイトメータを利用できる。この装置はフローセルに担体粒子を含む試料を流し、そこへレーザ光を照射して、担体粒子がレーザ光を横切る際に生じる蛍光や前方散乱光を、光電変換素子によって受光・光電変換し、各粒子から検出される蛍光強度や前方散乱光強度や側方散乱光強度といった光学的情報を検出する。また電圧を印加した細孔に粒子を通過させ、粒子が細孔を通過する際に生じる電圧の変化を、物理的特性として利用できる。本発明では、上記のような物理的特性を各粒子から複数検出し、それらを組み合わせて粒子の弁別や、凝集度の検出を行う。
【0022】
複数の物理的特性として、複数の光学的情報を用いる場合、第一の光学的情報に基づき、担体粒子と検体中の他の粒子とを弁別する。担体粒子には、蛍光色素、色素、発光基質等が適宜含有される。そのため、第一の光学的情報として蛍光、吸光度、燐光、化学発光、生物発光等を用いることにより、担体粒子からは高い信号強度が生じる。検体中の赤血球、血小板、カイロミクロン等、測定対象物質以外の粒子は、蛍光、吸光度、燐光、化学発光、生物発光等の強度が低いので、第一の光学的情報によって担体粒子と弁別される。このように本発明では、粒子の大きさを反映した物理特性を用いずに、粒子の弁別を行うため、担体粒子の大きさを選択する際、制限が少ないというメリットがある。例えば、血小板を含む検体を用いて免疫測定する際に、血小板と同程度の大きさの担体粒子を用いても、担体粒子から検出される蛍光等の物理特性により担体粒子と血小板を弁別することができる。このとき、担体粒子自体の物理的特性を検出するため、別途標識抗体等を用いる必要がない。
【0023】
第二の光学的情報は、担体粒子の凝集度検出に用いる。担体粒子の凝集度とは、抗原抗体反応に基づく粒子凝集の度合いをいう。第二の光学的情報として、担体粒子の見かけ上の大きさを反映するような情報、例えば前方散乱光を用いれば、未凝集の担体粒子や凝集した担体粒子の識別ができ、担体粒子の凝集度を求められる。なお、担体粒子としてラテックス粒子のような均一な球形粒子を用いれば、側方散乱光も同様に担体粒子の大きさを反映する情報として用いることができる。この凝集度としては、以下の方法で求めた凝集率を用いることができる。フローサイトメータで粒子それぞれの散乱光強度を求める。
それぞれの粒子の散乱光強度によって、未凝集の単独粒子と、複数の担体粒子が凝集して生じた凝集粒子とを弁別して、単独粒子数(M)と凝集粒子数(P)を計数する。
MとPの合計である総粒子数(T)を得、P/Tを凝集率として算出する。
【0024】
この方法では2個の担体粒子が凝集した段階で反応を捉えることができるため、非常に高感度な免疫測定が可能となる。この凝集度測定は測定対象物質の測定濃度範囲に応じて、各種の方法、例えば一定数以上凝集した粒子の度合いを測定する方法などを用いることができる。
【0025】
本発明の測定例であるスキャッタグラムの一例を図1に示す。担体粒子として蛍光色素を含有させたラテックス粒子を血液検体に混和して試料液とした。フローサイトメータを用い、試料液から蛍光強度と前方散乱光強度を光学的情報として検出した。検出した光学的情報のうち、蛍光強度を縦軸に、前方散乱光強度を横軸にとって図1のスキャッタグラムを作成した。担体粒子は、未凝集の単独粒子11、二個の担体粒子が凝集して生じた二個凝集粒子12、三個の担体粒子が凝集して生じた三個凝集粒子13というように、凝集の仕方によって前方散乱光強度が異なり、それぞれの集団に分離してスキャッタグラムに出現する。検体中の測定対象物質以外の粒子として、カイロミクロン14、赤血球15が出現するが、いずれも蛍光強度が低く、担体粒子と弁別することができる。
【0026】
各担体粒子を囲むようにスキャッタグラム上で領域を設定し、設定した領域G1内に出現している担体粒子の粒度分布の例を、図2のヒストグラムに示す。縦軸に粒子の個数(度数)を、横軸に前方散乱光強度をとっている。前方散乱光強度について閾値を設定することにより、凝集粒子と単独粒子を弁別することができる。
【0027】
また本発明では、第一の光学的情報に基づき、第一の担体粒子と第二の担体粒子とを弁別する。第一の担体粒子と第二の担体粒子とには蛍光色素、色素、発光基質等を含有させるが、その種類や含有濃度を適宜選択し、第一の担体粒子と第二の担体粒子が区別されるようにする。第一の光学的情報として蛍光、吸光度、燐光、化学発光、生物発光等を用いることにより、第一の担体粒子と第二の担体粒子とが弁別される。
【0028】
本発明の測定例であるスキャッタグラムの一例を図3に示す。蛍光色素を異なる濃度含有させた二種類のラテックス粒子を用い、それぞれ第一の担体粒子、第二の担体粒子とした。第一の担体粒子と第二の担体粒子とを検体に同時に反応させて試料液とし、フローサイトメータで蛍光強度と前方散乱光強度を光学的情報として検出した。検出した光学的情報のうち、蛍光強度を縦軸に、前方散乱光強度を横軸にとって図3のスキャッタグラムを作成した。
【0029】
第一の担体粒子(31、32、33)と第二の担体粒子(34、35、36)は、含有する蛍光色素濃度の違いにより異なる蛍光強度を示し、スキャッタグラム上で異なる位置に出現する。このため、第一の担体粒子と第二の担体粒子をスキャッタグラム上で弁別することが可能である。また各担体粒子においては、未凝集の単独粒子、二個の担体粒子が凝集して生じた二個凝集粒子、三個の担体粒子が凝集して生じた三個凝集粒子が、前方散乱光強度の違いによりスキャッタグラム上の異なる位置にそれぞれ集団となって出現する。図中、第一の担体粒子の単独粒子31、第一の担体粒子の二個凝集粒子32、第一の担体粒子の三個凝集粒子33は、前方散乱光強度の違いからそれぞれの集団に分離して出現する。同様に、第二の担体粒子の単独粒子34、第二の担体粒子の二個凝集粒子35、第二の担体粒子の三個凝集粒子36も、前方散乱光強度の違いからそれぞれの集団に分離して出現する。
【0030】
ここで第一・第二の担体粒子それぞれを囲むようにスキャッタグラム上で領域を設定し、各領域内に出現した担体粒子の粒度分布を表わすヒストグラムを作成する。図4は、第一の担体粒子の領域G31内に出現した担体粒子の前方散乱光強度をもとに作成したヒストグラムの一例であり、縦軸に度数(粒子の個数)を、横軸に前方散乱光強度をとったものである。前方散乱光強度について閾値を設定することにより、凝集粒子と単独粒子を弁別することができる。
【0031】
以下、本発明の実施例につき説明する。しかし本発明がこの実施例に限定されるわけではない。
【0032】
担体粒子としては、レーザ光で励起可能な蛍光色素を所定濃度含有させたラテックス粒子(以下、「蛍光ラテックス粒子」という)を用いた。そして、担体粒子に、検出対象物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)を感作して、蛍光ラテックス試薬とした。測定対象物質である抗原(又は抗体)を含有する検体と、蛍光ラテックス試薬と、反応緩衝液を混合して測定用の試料液を調製し、試料液から前方散乱光及び蛍光を検出した。そして検出した前方散乱光信号及び蛍光信号をパラメータとした二次元スキャッタグラムを作成し、解析することで検体中の測定対象物質を検出した。
【0033】
1.装置
本実施例では、市販のフローサイトメータであるFACSCalibur(ベクトン・ディッキンソン社製)と、本発明者が作製した自動免疫測定装置を使用した。FACSCaliburを使用する際は、予め手作業で検体と試薬を混合・インキュベートして試料液を調製する必要がある。調製した試料液をセットして測定動作を実行すると、試料液から前方散乱光及び蛍光の検出、二次元スキャッタグラムの作成を行う。一方、本発明者が作製した自動免疫測定装置は、自動的に試料液を調製する機能を有しており、試料液の調製から前方散乱光及び蛍光の検出、二次元スキャッタグラムの作成、解析に至る工程を自動的に行う。
【0034】
本発明者が作製した自動免疫測定装置について説明する。この装置は一つの検体に対し4項目の免疫測定を同時に行うものであり、装置上で用いられる蛍光ラテックス試薬は、測定項目に応じた4種類の蛍光ラテックス粒子を含んでいる。4種類の蛍光ラテックス粒子は、種類毎に互いに異なった濃度の蛍光色素を含有し、また種類毎に測定項目に応じた抗体(又は抗原)が感作してある。この蛍光ラテックス試薬の詳細は後述する。図5は自動免疫測定装置100の外観を示したものである。装置の前面には、各種設定入力を行ったり、また測定結果を表示出力するための液晶タッチパネル101、後述する試料調製部200を覆うカバー102、スタートスイッチ103を備えている。図6は自動免疫測定装置100の内部構成を示したものである。装置の右側のスペースには、装置の動作や解析処理を司る制御部400が備えられている。装置の左下のスペースには、試料液から信号を検出するための光検出部300が備えられている。また残りのスペースに、試料液を調製するための試料調製部200が備えられている。
【0035】
以下、試料調製部200、光検出部300、制御部400の各部について説明する。
試料調製部200の構成
図7は試料調製部200を示す説明図である。試料調製部200は、手前右側に検体セット部221、手前左側に試薬セット部222、奥側にインキュベータ223、を備えている。また上下左右に移動可能な分注装置224を備えている。前記図6のカバー102を開けることにより、図7に示した試料調製部200が現れ、操作者は以下に説明する各種容器をセットするよう構成されている。検体セット部221には、検体の入った検体容器225を、インキュベータ223に反応容器226をセットするよう構成されている。また試薬セット部222には、蛍光ラテックス試薬の入った試薬容器227、反応緩衝液が入った試薬容器231をセットするよう構成されている。インキュベータ223は、セットされた反応容器226の中の液体を、所定の温度に保ちながら振盪撹拌するよう構成されている。分注装置224は、その先端から所定量の液体を吸引・吐出するようになっており、また図示しない駆動装置によって上下左右に移動可能に構成されている。試料容器233は、後述する光検出部300のフローセル301と接続されている。
【0036】
光検出部300の構成
図8は光検出部300の構成を示す説明図である。光検出部300は、試料液を流すためのフローセル301を有する。フローセル301は、レーザ光が照射される部分であり内部流路が細く絞られているオリフィス部302、試料液をオリフィス部に向かって上方へ噴射するノズル303、シース液供給口304、排液口305を有する。また光検出部300は、レーザ光を照射するためのレーザ光源306(波長635nmのレーザ光を出射する赤色半導体レーザ光源である)、レーザ光源から照射されたレーザ光をシースフローセルへ集光するコンデンサレンズ307、粒子が発する前方散乱光を受光して電気信号に変換するフォトダイオード308、フォトダイオードへ前方散乱光を集光するためのコレクタレンズ309とピンホール310、蛍光を受光して電気信号に変換するフォトマルチプライヤチューブ311、フォトマルチプライヤチューブへ蛍光を集光するためのコレクタレンズ312、フィルタ313、ピンホール314、フォトダイオード308やフォトマルチプライヤチューブ311から出力された電気信号を増幅して制御部400へ出力するアンプ315、316を有する。
【0037】
制御部400の構成
図9は制御部400の構成、及び制御部400と装置各部との関係を示すブロック図である。制御部400は、中央演算装置(CPU)やROM・RAM等の記憶装置を有するマイクロコンピュータ、光検出部300から送られた信号を処理する回路などを有する。制御部400は、格納部441、解析部442、動作制御部443としての機能を果たす。格納部441は、試料中の粒子から得た信号の解析に関する解析プログラムや、装置各部の動作を制御する制御プログラムを格納している。また光検出部300で検出された信号のデータや、解析プログラムによる処理結果を記憶する。解析部442は、試料液を測定して光検出部300で検出された信号を処理し、処理後の信号を解析する。解析部442での解析結果は、液晶タッチパネル101に出力される。動作制御部443は、格納部441に格納されている制御プログラムに基づき、装置各部の動作を制御する。
【0038】
装置の動作
図10は、制御プログラムによる自動免疫測定装置100の全体制御を示すフローチャートである。操作者がスタートスイッチ103を押すと、制御プログラムが起動し、ステップS1(試料調製部制御)、ステップS2(光検出部制御)、ステップS3(解析部制御)が順次実行される。これにより、試料調製部200、光検出部300、解析部442が制御され、自動免疫測定装置100の一連の動作が自動的に行われる。上記ステップS1、S2、S3による装置各部の動作を以下に説明する。
【0039】
ステップS1(試料調製部制御)
試料調製部制御による試料調製部200の動作を、図7を用いて説明する。まず分注装置224が、試薬セット部222の試薬容器231から反応緩衝液を80μL吸引し、次に検体セット部221にセットされている検体容器225から検体を10μL吸引する。そして吸引した反応緩衝液と検体を、インキュベータ223にセットされている反応容器226に分注する。次に分注装置224は、試薬セット部222の試薬容器227から蛍光ラテックス試薬を10μL吸引し、反応容器226に分注する。この後インキュベータ223が、検体・蛍光ラテックス試薬・反応緩衝液が入った反応容器226を、温度45℃に保ちながら15分間振盪撹拌することでインキュベートし、試料液を調製する。インキュベート後の試料液を分注装置224が吸引し、試料容器233に分注する。ここで試料容器233には予め希釈液が入っており、分注された試料液が51倍に希釈される。試料容器233中で希釈された試料液は、光検出部300のフローセル301に流される。
【0040】
ステップS2(光検出部制御)
光検出部制御による光検出部300の動作を、図8を用いて説明する。前記の通り試料容器233に試料液が供給されると、図示しないポンプやバルブの動作により試料液がノズル303へ導かれる。そして試料液がノズル303からフローセル301に吐出される。それと同時にシース液が、図示しないシース液容器からシース液供給口304を介してフローセル301に供給される。これによって試料液は、フローセル301内でシース液に包まれ、更にオリフィス部302で細く絞られて流れる。試料液の流れを、粒子径と同程度まで絞り込むことにより、試料液に含まれた粒子を一列に整列させてオリフィス部302に流すことができる。オリフィス部302を流れる試料液に対し、レーザ光源306から出射されたレーザ光がコンデンサレンズ307で絞られて照射される。レーザ光を受けた試料液中の粒子から発せられた前方散乱光はコレクタレンズ309により集光される。そしてピンホール310を通過した前方散乱光は、フォトダイオード308で受光、光電変換されて前方散乱光信号となる。レーザ光を受けた試料液中の粒子から発せられた蛍光は、コレクタレンズ312により集光される。そしてフィルタ313、ピンホール314を通過した蛍光は、フォトマルチプライヤチューブ311で受光、光電変換されて蛍光信号となる。前方散乱光信号及び蛍光信号は、それぞれアンプ315・316で増幅された後に制御部400へ送られ、粒子毎のデータとして格納部441に記憶される。
【0041】
ステップS3(解析部制御)
解析部制御の詳細について、図11のフローチャートを用いて説明する。フローチャートの各ステップは以下の通りである。
【0042】
ステップS11:前方散乱光信号及び蛍光信号のデータを、格納部441から読み出す。続いてステップS12へ進む。
ステップS12:前方散乱光信号のピークレベルに基づき前方散乱光強度(Fsc)を、蛍光信号のピークレベルに基づき蛍光強度(Fl)を、各粒子毎に算出する。続いてステップS13へ進む。
ステップS13:ステップS12で算出した粒子毎のFsc・Flをパラメータとした二次元スキャッタグラムを作成する。このスキャッタグラムには、測定項目に応じた4種類の蛍光ラテックス粒子がそれぞれ出現すると目される領域が予め設定されている。
ステップS14:二次元スキャッタグラム上に予め設定されていた各領域内に出現した粒子のヒストグラムを作成し、粒度分布を得る。続いてステップS15へ進む。
ステップS15:粒度分布に基づき、各領域内の単独粒子数Mと凝集粒子数P及びその合計Tを得、各領域内に出現した粒子の凝集率P/Tを算出する。続いてステップS16へ進む。
ステップS16:前記作成された二次元スキャッタグラム、各領域のヒストグラム及び算出した凝集率P/Tを液晶タッチパネル101に出力して表示する。
【0043】
図12は、ステップS13で作成されたスキャッタグラム、ステップS14で作成されたヒストグラム、ステップS15で算出された凝集率P/Tを含む画面が、ステップS16で液晶タッチパネル101に出力された様子を示す図である。この画面では二次元スキャッタグラムSc1、Sc2が上下に2つ表示されている。これらは同じ検体から得た同じ測定結果を、表示方法を変えて出力したものである。いずれも横軸に前方散乱光強度(Fsc)を、縦軸に蛍光強度(Fl)をとっているが、二次元スキャッタグラムSc2は、二次元スキャッタグラムSc1の縦軸の値(蛍光強度(Fl))をlog変換して表示したものであるため、蛍光強度(Fl)の低値部分が高値部分と比べ相対的に拡大されて表示される。そこで蛍光ラテックス試薬に含まれる4種類の蛍光ラテックス粒子のうち、含有する蛍光色素の濃度が高い方の2種類の蛍光ラテックス粒子については、画面の上の方に表示した二次元スキャッタグラムSc1に、各粒子の出現する領域が設定され、表示されている(領域▲1▼・領域▲2▼)。また含有する蛍光色素の濃度が低い方の2種類の蛍光ラテックス粒子については、画面の下の方に表示した二次元スキャッタグラムSc2に、各粒子の出現する領域が設定され、表示されている(領域▲3▼・領域▲4▼)。領域▲1▼は4種類のうち最も蛍光色素の濃度が高い蛍光ラテックス粒子が出現する領域である。領域▲2▼は4種類のうち二番目に蛍光色素の濃度が高い蛍光ラテックス粒子が出現する領域である。領域▲3▼は4種類のうち三番目に蛍光色素の濃度が高い蛍光ラテックス粒子が出現する領域である。領域▲4▼は4種類のうち最も蛍光色素の濃度が低い蛍光ラテックス粒子が出現する領域である。また画面上には、▲1▼〜▲4▼の領域に対応するヒストグラム▲1▼〜▲4▼、及び算出された凝集率が表示されている。
【0044】
2.試薬の調製
以下、Facscalibur及び自動免疫測定装置100での免疫測定に用いた試薬として、蛍光ラテックス試薬、反応緩衝液、希釈液につき説明する。
【0045】
蛍光ラテックス試薬
粒子径0.78μmで粒子表面がスルフェートのラテックス粒子に、赤色蛍光色素(波長640nmのレーザ光で励起可能)を所定濃度含有させた蛍光ラテックス粒子を担体粒子として用いた。そして担体粒子に、検出対象物質である抗原(又は抗体)に対応する抗体(又は抗原)を感作した。ここでは抗HBs抗体、TP抗原、抗CEA抗体、抗AFP抗体、HCV抗原、HIV抗原、抗FRN抗体、抗PSA抗体を、それぞれ異なった蛍光ラテックス粒子に疎水結合によって感作し、そそれらを単独又は一液中に混合させて組み合わせて各種蛍光ラテックス試薬を調製した。各蛍光ラテックス試薬の調製は以下の(1)〜(8)の通りに行った。
【0046】
(1)HBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬の調製
HBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬は、抗HBs抗体を蛍光色素濃度1%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に感作して調製した。まず抗HBs抗体(マウスモノクローナル抗体、市販品)60μgを含むGTA緩衝液(0.53mg/mL 3,3-ジメチルグルタル酸、0.4mg/mL トリス、0.35mg/mL 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、pH4.6)950μlに、蛍光ラテックス粒子10%(w/v)懸濁液50μlを加え、20℃で2時間静置した。これを10000×g, 10分間遠心し、上清を捨て、沈殿に1%(w/v) 牛血清アルブミン(市販品)を含むGTA緩衝液を1mL加えて、超音波処理し、分散させた。この遠心から分散までの工程を数回繰り返し、最後に遠心して上清を捨て、沈殿に220mg/mL グリセリン、0.3%(w/v) 牛血清アルブミンを含むGTA緩衝液(pH6.2)1mLを加えて、超音波処理し、分散させた。これをHBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬とした。
【0047】
(2)抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬の調製
抗TP抗体を検出するための蛍光ラテックス試薬は、TP抗原を蛍光色素濃度0.1%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に感作して調製した。まずTP抗原(市販品)50μgを含む10mM PBS、pH4.0 950μlに、蛍光ラテックス粒子10%(w/v)懸濁液50μlを加え、4℃で24時間静置した。これを10000×g、10分間遠心し、上清を捨て、沈殿に1mg/mL 牛血清アルブミンを含む0.1M PBS緩衝液、pH7.0を1mL加えて、超音波処理し、分散させた。この遠心から分散までの工程を数回繰り返し、最後に遠心して上清を捨て、沈殿に1mg/mL 牛血清アルブミンを含む0.1M PBS緩衝液、pH7.0を1mL加えて、超音波処理し、分散させた。これを抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬とした。
【0048】
(3)AFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬の調製
AFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬は、蛍光色素濃度0.01%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に抗AFP抗体を感作して調製した。まず、抗AFP抗体(ヤギポリクローナル抗体、市販品)60μgを含むGTA緩衝液(0.53mg/mL 3,3-ジメチルグルタル酸、0.4mg/mL トリス、0.35mg/mL 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、 pH4.6)950μlに、蛍光ラテックス粒子10%(w/v)懸濁液50μlを加え、20℃で2時間静置した。これを10000×g, 10分間遠心し、上清を捨て、沈殿に1%(w/v) 牛血清アルブミン(市販品)を含むGTA緩衝液を1mL加えて、超音波処理し分散させた。この遠心から分散までの工程を数回繰り返し、最後に遠心して上清を捨て、沈殿に220mg/mL グリセリン、0.3%(w/v) 牛血清アルブミンを含むGTA緩衝液(pH6.2) 1mLを加えて、超音波処理し、分散させた。これをAFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬とした。
【0049】
(4)CEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬の調製
CEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬は、抗CEA抗体を蛍光色素濃度0.001%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に感作して調製した。抗CEA抗体(ウサギポリクローナル抗体、市販品)60μgを含むGTA緩衝液(0.53mg/mL 3,3-ジメチルグルタル酸、0.4mg/mL トリス、0.35mg/mL 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、 pH4.6)950μlに、蛍光ラテックス粒子10%(w/v)懸濁液50μlを加え、20℃で2時間静置した。これを10000×g, 10分間遠心し、上清を捨て、沈殿に1% 牛血清アルブミン(市販品)を含むGTA緩衝液を1mL加えて、超音波処理し、分散させた。この遠心から分散までの工程を数回繰り返し、最後に遠心して上清を捨て、沈殿に220mg/mL グリセリン、0.3%(w/v) 牛血清アルブミンを含むGTA緩衝液(pH6.2)1mLを加えて、超音波処理し、分散させた。これをCEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬とした。
【0050】
(5)感染症マーカー4項目同時測定用試薬の調製
HBs抗原検出用の蛍光ラテックス粒子、抗TP抗体検出用の蛍光ラテックス粒子、抗HCV抗体検出用の蛍光ラテックス粒子、抗HIV抗体検出用の蛍光ラテックス粒子を調製し、それらを一液中に混合してHBs抗原、抗TP抗体、抗HCV抗体、抗HIV抗体を同時に検出するための蛍光ラテックス試薬を調製した。
【0051】
HBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬、及び抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬は、前記(1)、及び(2)で調製したものを用いた。
【0052】
抗HCV抗体検出用の蛍光ラテックス粒子は、HCV抗原を蛍光色素濃度3%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に感作して調製した。まずHCV 非構造領域のNS3由来のウイルス蛋白に相当する2種のリコンビナント抗原、NS4を含む由来のウイルス蛋白に相当する2種の合成ペプチド抗原、及びNS5由来のウイルス蛋白に相当する1種の合成ペプチド抗原、並びに構造領域のcore由来のウイルス蛋白に相当する3種の合成ペプチド抗原、の8種類の複合抗原を含む10mMグリシン緩衝液(pH2.0)950μLに、蛍光ラテックス粒子10%(w/v)懸濁液50μlを加え、37℃で1時間静置した。これを10000×g, 10分間遠心し、上清を捨て、沈殿に2% 牛血清アルブミン(市販品)を含む1.2%(w/v)Tris緩衝液(pH8.0)を1mL加えて、超音波処理し、分散させ、45℃で2時間インキュベートしてブロッキング作業を行った。この遠心から分散までの工程を数回繰り返し、最後に遠心して上清を捨て、沈殿に220mg/mL グリセリン、0.3%(w/v) 牛血清アルブミンを含む1.2%(w/v)Tris緩衝液(pH8.0)1mLを加えて、超音波処理し、液中に抗HCV抗体検出用の蛍光ラテックス粒子を分散させた。
【0053】
抗HIV抗体検出用の蛍光ラテックス粒子は、HIV抗原を蛍光色素濃度5%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に感作して調製した。まずHIV-1 gag(group specific antigen)領域抗原、HIV-1 env(envelope)領域抗原、HIV-1 pol(polymerase)領域抗原及びHIV-2 env(env)領域抗原を含む10mMグリシン緩衝液(pH2.0)950μLに、蛍光ラテックス粒子10%(w/v)懸濁液50μlを加え、37℃で1時間静置した。これを10000×g, 10分間遠心し、上清を捨て、沈殿に2% 牛血清アルブミン(市販品)を含む1.2%(w/v)Tris緩衝液(pH8.0)を1mL加えて、超音波処理し、分散させ、45℃で2時間インキュベートしてブロッキング作業を行った。この遠心から分散までの工程を数回繰り返し、最後に遠心して上清を捨て、沈殿に220mg/mL グリセリン、0.3%(w/v) 牛血清アルブミンを含む1.2%(w/v)Tris緩衝液(pH8.0)1mLを加えて、超音波処理し、液中に抗HIV抗体検出用の蛍光ラテックス粒子を分散させた。
【0054】
上記調製した抗HCV抗体検出用の蛍光ラテックス粒子が分散した液、抗HIV抗体検出用の蛍光ラテックス試薬が分散した液、及び前記調製したHBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬と抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬を等量ずつ混合し、感染症マーカー4項目同時測定用蛍光ラテックス試薬とした。
【0055】
(6)腫瘍マーカー4項目同時測定用試薬の調製
FRN抗原検出用の蛍光ラテックス粒子、CEA抗原検出用の蛍光ラテックス粒子、AFP抗原検出用の蛍光ラテックス粒子、PSA抗原検出用の蛍光ラテックス粒子を調製し、それらを一液中に混合することにより、FRN抗原、CEA抗原、AFP抗原、PSA抗原を同時に検出するための蛍光ラテックス試薬を調製した。
【0056】
FRN抗原検出用の蛍光ラテックス粒子は、抗FRN抗体を蛍光色素濃度0.1%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に感作して調製した。まず、抗FRN抗体(ヤギポリクローナル抗体、市販品)50μgを含むGTA緩衝液(0.53mg/mL 3,3-ジメチルグルタル酸、0.4mg/mL トリス、0.35mg/mL 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、 pH4.6)950μlに、蛍光ラテックス粒子10%(w/v)懸濁液50μlを加え、20℃で2時間静置した。これを10000×g, 10分間遠心し、上清を捨て、沈殿に1%(w/v) 牛血清アルブミン(市販品)を含むGTA緩衝液を1mL加えて、超音波処理し分散させた。この遠心から分散までの工程を数回繰り返し、最後に遠心して上清を捨て、沈殿に220mg/mL グリセリン、0.3%(w/v) 牛血清アルブミンを含むGTA緩衝液(pH6.2) 1mLを加えて、超音波処理し、液中にFRN抗原検出用の蛍光ラテックス粒子を分散させた。
【0057】
CEA抗原検出用の蛍光ラテックス粒子は、蛍光色素濃度1%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に、抗CEA抗体を前記(4)のCEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬の調製と同様の手順にて感作し、調製した。
【0058】
AFP抗原検出用の蛍光ラテックス粒子は、蛍光色素濃度3%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に、抗AFP抗体を前記(3)のAFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬の調製と同様の手順にて感作し、調製した。
【0059】
PSA抗原検出用の蛍光ラテックス試薬は、抗PSA抗体を蛍光色素濃度5%(w/v)の蛍光ラテックス粒子に感作して調製した。まず、抗PSA抗体(ウサギポリクローナル抗体、市販品)60μgを含むGTA緩衝液(0.53mg/mL 3,3-ジメチルグルタル酸、0.4mg/mL トリス、0.35mg/mL 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、 pH4.6)950μlに、蛍光ラテックス粒子10%(w/v)懸濁液50μlを加え、20℃で2時間静置した。これを10000×g, 10分間遠心し、上清を捨て、沈殿に1% 牛血清アルブミン(市販品)を含むGTA緩衝液を1mL加えて、超音波処理し、分散させた。この遠心から分散までの工程を数回繰り返し、最後に遠心して上清を捨て、沈殿に220mg/mL グリセリン、0.3%(w/v) 牛血清アルブミンを含むGTA緩衝液(pH6.2)1mLを加えて、超音波処理し、液中にPSA抗原検出用の蛍光ラテックス粒子を分散させた。
【0060】
上記調製したFRN抗原検出用の蛍光ラテックス粒子、CEA抗原検出用の蛍光ラテックス粒子、AFP抗原検出用の蛍光ラテックス粒子、PSA抗原検出用の蛍光ラテックス粒子がそれぞれ分散した液を等量ずつ混合し、腫瘍マーカー4項目同時測定用蛍光ラテックス試薬とした。
【0061】
反応緩衝液
反応緩衝液は以下の通り調製した。1.6mg/mL 3,3-ジメチルグルタル酸、1.1mg/mL 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、18.18mg/mL トリス、5%(w/v) 牛血清アルブミン、0.6%(w/v) デキストラン(市販品)、15%(w/v)加熱処理牛血清アルブミン、40%(w/v)ペプシン処理牛血清アルブミン、0.4%(w/v)PVA(市販品) 0.15%(w/v)塩化ナトリウム、0.045%(w/v)アジ化ナトリウム、pH6.0を調製し、蛍光ラテックス試薬と共に測定対象となる検体へ添加するための反応緩衝液とした。
【0062】
希釈液
自動免疫測定装置100では、測定に先立ち試料容器233に希釈液を所定量入れておく。前記の通り検体を蛍光ラテックス試薬、反応緩衝液と混和・インキュベートして調製した試料液は、試料容器233に入れられることによって所定濃度に希釈される。この希釈液としてはクリンシース(シスメックス株式会社製)を用いた。
【0063】
3.単項目測定
一種類の測定項目に対応した蛍光ラテックス試薬を用い、Facscaliburにて測定した結果を示す。なお、測定対象とした検体は以下の通り調製した。
【0064】
検体
ヒト正常全血、及びヒト正常全血にHBs抗原を6段階の濃度別に添加したもの、を調製し、HBs抗原含有検体系列(HBs▲1▼〜HBs▲7▼)とした。HBs抗原含有検体系列における各検体中のHBs抗原濃度は以下の通りである。
HBs▲1▼:0U/mL、HBs▲2▼:1U/mL、HBs▲3▼:3U/mL、HBs▲4▼:9U/mL、HBs▲5▼:27U/mL、HBs▲6▼:81U/mL、HBs▲7▼:243U/mL。
【0065】
またヒト正常全血、及びヒト正常全血に抗TP抗体を6段階の濃度別に添加したもの、を調製し、抗TP抗体含有検体系列(TP▲1▼〜TP▲7▼)とした。抗TP抗体含有検体系列における各検体中の抗TP抗体濃度は以下の通りである。
TP▲1▼:0mIU、TP▲2▼:16.5 mIU、TP▲3▼:41.2mIU、TP▲4▼:103.1mIU、TP▲5▼:257.6mIU、TP▲6▼:644mIU、TP▲7▼:1610mIU。
【0066】
またヒト正常全血、及びヒト正常全血にAFP抗原を6段階の濃度別に添加したもの、を調製し、AFP抗原含有検体系列(AFP▲1▼〜AFP▲7▼)とした。AFP抗原含有検体系列における各検体中のAFP抗原濃度は以下の通りである。
AFP▲1▼:0ng/mL、AFP▲2▼:2ng/mL、AFP▲3▼:8ng/mL、AFP▲4▼:32ng/mL、AFP▲5▼:128ng/mL、AFP▲6▼:512ng/mL、AFP▲7▼:2048ng/mL。
【0067】
またヒト正常全血、及びヒト正常全血にCEA抗原を6段階の濃度別に添加したもの、を調製し、CEA抗原含有検体系列(CEA▲1▼〜CEA▲7▼)とした。CEA抗原含有検体系列における各検体中のCEA抗原濃度は以下の通りである。
CEA▲1▼:0ng/mL、CEA▲2▼:0.5ng/mL、CEA▲3▼:2ng/mL、CEA▲4▼:8ng/mL、CEA▲5▼:32ng/mL、CEA▲6▼:128ng/mL、CEA▲7▼:512ng/mL。
【0068】
またヒト正常全血に対し、HBs抗原、抗TP抗体、AFP抗原、CEA抗原の4種類の抗原又は抗体をいずれも前記各検体系列の▲4▼と同一濃度となるように調製した検体S1(つまり検体S1は、HBs抗原を9U/mL、抗TP抗体を103.1mIU、AFP抗原を32ng/mL、CEA抗原を8ng/mL含有している)と、▲7▼と同一濃度となるように調製した検体S2(つまり検体S2は、HBs抗原を243U/mL、抗TP抗体を1610mIU、AFP抗原を2048ng/mL、CEA抗原を512ng/mL含有している)を用意した。
【0069】
測定
上記調製した全28検体(それぞれ40μL)に、それぞれの検体系列に含まれる測定対象物質に対応する蛍光ラテックス試薬10μLと反応緩衝液350μLを45℃で15分間インキュベートした後、10mM PBS緩衝液で51倍に希釈して、測定用試料を全28試料調製した。調製した各試料液を、Facscaliburにセットし、測定した。
【0070】
FACSCaliburは赤色半導体レーザ光源から波長635nmのレーザを照射し、蛍光ラテックス試薬を含む試料から前方散乱光信号及び側方蛍光信号を検出する機能を有するフローサイトメータである。図13は、FACSCaliburの検出系を示す模式図である。担体粒子51を含む試料はフローセル52に導びかれ、試料流53を形成する。赤色半導体レーザ光源54から発せられたレーザ光はフローセル52中の試料流53を照射する。そして担体粒子51がレーザ光の照射領域を横切る際に生じる蛍光はフォトマルチプライヤチューブ55に、前方散乱光はフォトダイオード56によってそれぞれ受光・光電変換されて電気信号となり、処理・解析される。このようにして各粒子から蛍光信号や前方散乱光信号が検出され、電気信号処理が行われる。
【0071】
解析
各試料から検出した前方散乱光信号及び蛍光信号をパラメータとする二次元スキャッタグラムを作成した。図14は、HBs抗原含有検体であるHBs▲4▼にHBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬を添加した試料を測定して得られた二次元スキャッタグラムであり、縦軸は蛍光強度を、横軸は前方散乱光強度を表わす。前方散乱光強度の違いから、未凝集の単独粒子、二個凝集粒子、三個凝集粒子がそれぞれスキャッタグラム上で集団に分かれて出現している。検体に含まれる血小板は、蛍光強度をほとんど有さないため、出現位置が横軸と重なるほど蛍光強度が低値な位置となり、図14のスキャッタグラムにおいては明確な集団として表示されなかった。検体中の赤血球も蛍光強度をほとんど有さない。また赤血球は担体粒子の三個凝集粒子より大きい。そのため、図14のスキャッタグラムにおいては表示範囲からスケールアウトしている。
【0072】
スキャッタグラム上に出現した担体粒子の各集団を囲むように領域G6を設定し、領域G6内の粒子の粒度分布を得た。図15は、図14の領域G6に対応するヒストグラムであり、縦軸は度数(粒子数)を、横軸は前方散乱光強度すなわち粒子の大きさを表わす。このヒストグラムに基づき、単独粒子数Mと凝集粒子数P及びその合計Tを得、領域G6内に出現した粒子の凝集率P/Tを算出した。同様に、HBs抗原含有検体系列の他の濃度の検体を用いて調製した試料、及び他の種類の検体系列の各検体を用いて調製した各試料についても凝集率を得た。
【0073】
HBs抗原含有検体系列(HBs▲1▼〜▲7▼)の各検体を用いて調製した試料を測定して得たHBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率(P/T)を以下の表1に示す。
【0074】
【表1】
Figure 0004233382
【0075】
また抗TP抗体含有検体系列(TP▲1▼〜▲7▼)の各検体を用いて調製した試料を測定して得た抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率(P/T)を以下の表2に示す。
【0076】
【表2】
Figure 0004233382
【0077】
またAFP抗原含有検体系列(AFP▲1▼〜▲7▼)の各検体を用いて調製した試料を測定して得たAFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率(P/T)を以下の表3に示す。
【0078】
【表3】
Figure 0004233382
【0079】
またCEA抗原含有検体系列(CEA▲1▼〜▲7▼)の各検体を用いて調製した試料を測定して得たCEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率(P/T)を以下の表4に示す。
【0080】
【表4】
Figure 0004233382
【0081】
上記測定結果よりわかるように、各測定項目において蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率は、試料に含まれる抗原(抗体)の濃度に依存して上昇している。また各測定項目においても、抗原(抗体)が含まれていない検体と抗原(抗体)が含まれている検体とで凝集率の差が得られた。これらのことより、各測定項目において凝集率より検量線を作成し、その検量線に基づき濃度換算することで、各免疫項目の抗原(抗体)濃度を得ることができるといえる。
【0082】
4.多項目同時測定
一つの検体に対し複数種類の蛍光ラテックス試薬を用い、Facscaliburにて測定した結果を示す。なお、測定対象とした検体は以下の通り調製した。
【0083】
検体
検体には、前記単項目測定と同様、HBs抗原含有検体HBs▲1▼〜HBs▲7▼、抗TP抗体含有検体TP▲1▼〜TP▲7▼、AFP抗原含有検体AFP▲1▼〜AFP▲7▼、CEA抗原含有検体CEA▲1▼〜CEA▲7▼、の全28検体を用いた。また、ヒト正常全血に対し、HBs抗原、抗TP抗体、AFP抗原、CEA抗原の4種類の抗原又は抗体をいずれも前記各検体系列の▲4▼と同一濃度となるように調製した検体S1(つまり検体S1は、HBs抗原を9U/mL、抗TP抗体を103.1mIU、AFP抗原を32ng/mL、CEA抗原を8ng/mL含有している)と、▲7▼と同一濃度となるように調製した検体S2(つまり検体S2は、HBs抗原を243U/mL、抗TP抗体を1610mIU、AFP抗原を2048ng/mL、CEA抗原を512ng/mL含有している)を用いた。
【0084】
測定
各検体40μLに対し、HBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬・抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬・AFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬・CEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬をそれぞれ10μLずつ(計40μLの蛍光ラテックス試薬)と反応緩衝液320μLを45℃で15分間インキュベーションした後、10mM PBS緩衝液で51倍に希釈して測定用試料とした。測定用試料から、前記同様、Facscaliburを用いて、蛍光強度・前方散乱光強度を得、スキャッタグラムを作成した。
【0085】
解析
図16は、HBs抗原含有検体であるHBs▲4▼に、HBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬・抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬・AFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬・CEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬の4種類の蛍光ラテックス試薬を添加して調製した試料を測定して得られた二次元スキャッタグラムであり、縦軸は蛍光強度を、横軸は前方散乱光強度を表わす。蛍光強度の違いから、HBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬・抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬・AFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬・CEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬の4種類の蛍光ラテックス試薬の粒子が縦軸方向に分離して現れている。ここでHBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬の単独粒子、二個凝集粒子、三個凝集粒子の集団を含むように領域G81を設定し、領域G81内の粒子の粒度分布を得る。同様に抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬・AFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬・CEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬の各蛍光ラテックス試薬に関しても、それぞれ領域G82・G83・G84を設定し、各領域内の粒子のヒストグラムを作成して粒度分布を得た。そこから単独粒子数Mと凝集粒子数P及びその合計Tを得、各領域内に出現した粒子の凝集率P/Tを算出した。
【0086】
図17は検体S1に蛍光ラテックス試薬4種類を添加して調製した試料を測定して得られた二次元スキャッタグラムであり、縦軸は蛍光強度を、横軸は前方散乱光強度を表わす。蛍光強度の違いから、HBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬・抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬・AFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬・CEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬の4種類の蛍光ラテックス試薬の粒子が縦軸方向に分離して現れ、また各蛍光ラテックス試薬においては前方散乱光強度の違いから未凝集の単独粒子、二個凝集粒子、三個凝集粒子が分離して集団を作り、スキャッタグラム上に出現している。ここでHBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬の単独粒子、二個凝集粒子、三個凝集粒子の集団を含むように領域G91を設定し、領域G91内の粒子の粒度分布を得る。同様に抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬・AFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬・CEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬の各蛍光ラテックス試薬に関しても、それぞれ領域G92・G93・G94を設定し、各領域内の粒子のヒストグラムを作成した。
【0087】
図18、図19、図20、図21はそれぞれ、領域G91・G92・G93・G94に対応するヒストグラムであり、縦軸は度数(粒子数)を、横軸は前方散乱光強度すなわち粒子の大きさを表わす。これらのヒストグラムに基づき各領域内の粒度分布を得た。そこから単独粒子数Mと凝集粒子数P及びその合計Tを得、各領域内に出現した粒子の凝集率P/Tを算出した。
【0088】
検体HBs▲1▼〜HBs▲7▼から調製した試料を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率(P/T)を以下の表5に示す。
【0089】
【表5】
Figure 0004233382
【0090】
上記測定結果より、HBs抗原検出用蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率は検体に含まれるHBs抗原の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率は、検体に含まれるHBs抗原の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0091】
検体TP▲1▼〜TP▲7▼から調製した試料を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率(P/T)を、以下の表6に示す。
【0092】
【表6】
Figure 0004233382
【0093】
上記測定結果より、抗TP抗体検出用蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率は検体に含まれる抗TP抗体の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率は、検体に含まれる抗TP抗体の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0094】
検体AFP▲1▼〜▲7▼を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率(P/T)を、以下の表7に示す。
【0095】
【表7】
Figure 0004233382
【0096】
上記測定結果より、AFP抗原検出用蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率は検体に含まれるAFP抗原の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率は、検体に含まれるAFP抗原の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0097】
検体CEA▲1▼〜▲7▼を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率(P/T)を、以下の表8に示す。
【0098】
【表8】
Figure 0004233382
【0099】
上記測定結果より、CEA抗原検出用蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率は検体に含まれるCEA抗原の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率は、検体に含まれるCEA抗原の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0100】
S1、S2を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス試薬の粒子の凝集率(P/T)を、以下の表9に示す。
【0101】
【表9】
Figure 0004233382
【0102】
上記測定結果に示す通り、全血を検体として用い、4項目を一つの反応系で同時に反応させて、各項目の凝集率が得られた。
【0103】
5.感染症マーカー4項目同時測定
自動免疫測定装置100を用い、感染症マーカーである4項目(抗TP抗体、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV抗体)の免疫測定を行った。検体は以下の通り調製した。
【0104】
検体
ランリームTP測定試薬キット(シスメックス株式会社製)に含まれる検量線作成用キャリブレータ(検体希釈液、及び検体希釈液に抗TP抗体を6段階の濃度別に添加したもの)を用い、抗TP抗体含有検体系列(TP▲1▼〜TP▲7▼)とした。抗TP抗体含有検体系列における各検体中の抗TP抗体濃度は以下の通りである。
TP▲1▼:0mIU、TP▲2▼:16.5 mIU、TP▲3▼:41.2mIU、TP▲4▼:103.1mIU、TP▲5▼:257.6mIU、TP▲6▼:644mIU、TP▲7▼:1610mIU。
【0105】
ランリームHBsAg測定試薬キット(シスメックス株式会社製)に含まれる検量線作成用キャリブレータ(検体希釈液、及び検体希釈液にHBs抗原を6段階の濃度別に添加したもの)を用い、HBs抗原含有検体系列(HBs▲1▼〜HBs▲7▼)とした。HBs抗原含有検体系列における各検体中のHBs抗原濃度は以下の通りである。
HBs▲1▼:0U/mL、HBs▲2▼:1U/mL、HBs▲3▼:3U/mL、HBs▲4▼:9U/mL、HBs▲5▼:27U/mL、HBs▲6▼:81U/mL、HBs▲7▼:243U/mL。
【0106】
ランリームHCV II ex測定試薬キット(シスメックス株式会社製)に含まれる検量線作成用キャリブレータ(陰性コントロール、カットオフコントロール、陽性コントロールからなり、計3検体である。)を用い、抗HCV抗体含有検体系列(HCV▲1▼〜HCV▲3▼)とした。この抗HCV抗体含有検体系列(HCV▲1▼〜▲3▼)においては、HCV▲3▼が、最も高濃度の抗HCV抗体を含有する。HCV▲1▼は、抗HCV抗体の濃度が0U/mLである。
【0107】
三段階の濃度で抗HIV抗体を含有した検体系列として、HIV▲1▼〜HIV▲3▼を以下の通り調製した。まず、5.0%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBS緩衝液(pH7.2)を調製した。これをHIV▲1▼とした。次に、抗HIVウサギ抗血清を前記調製したPBS緩衝液(=HIV▲1▼)で希釈し、これをHIV▲3▼とした。またHIV▲3▼をHIV▲1▼で100倍に希釈したものをHIV▲2▼とした。この抗HIV抗体含有検体系列(HIV▲1▼〜▲3▼)においては、HIV▲3▼が、最も高濃度の抗HIV抗体を含有する。HIV▲1▼は、抗HIV抗体の濃度が0U/mLである。
【0108】
測定
前記調製した感染症マーカー4項目同時測定用蛍光ラテックス試薬の入った試薬容器227と、反応緩衝液の入った試薬容器231を、自動免疫測定装置100の試料調製部200にある試薬セット部222にセットした。さらに、検体の入った検体容器225を検体セット部221にセットし、前記の通り自動免疫測定装置100を動作させ、各検体を測定した。
【0109】
解析結果
図22、図23は、HBs抗原含有検体であるHBs▲7▼を測定して得られた二次元スキャッタグラムであり、横軸は前方散乱光強度(Fsc)を、縦軸は蛍光強度(Fl)を表わす。図22・図23の各スキャッタグラムは、同じ検体から測定した結果を、縦軸の表示方法を変えて出力したものであり、それぞれ前記図12に示した自動免疫測定装置100の表示画面例における二次元スキャッタグラムSc1・Sc2に相当する。蛍光強度の違いから、抗TP抗体検出用蛍光ラテックス粒子・HBs抗原検出用蛍光ラテックス粒子・抗HCV抗体検出用蛍光ラテックス粒子・抗HIV抗体検出用蛍光ラテックス粒子、の4種類の蛍光ラテックス粒子が縦軸方向に分離し、それぞれ予め設定された領域内に出現している。抗TP抗体検出用蛍光ラテックス粒子は領域G101に、HBs抗原検出用蛍光ラテックス粒子は領域G102に、抗HCV抗体検出用蛍光ラテックス粒子は領域G103に、抗HIV抗体検出用蛍光ラテックス粒子は領域G104に、それぞれ出現している。
【0110】
図24、図25、図26、図27はそれぞれ、図22、図23の二次元スキャッタグラム中の領域G101・G102・G103・G104に対応するヒストグラムであり、縦軸は度数(粒子数)を、横軸は前方散乱光強度すなわち粒子の大きさを表わす。
【0111】
検体TP▲1▼〜TP▲7▼から調製した試料を測定して得た各測定項目の
蛍光ラテックス粒子の凝集率(P/T)を以下の表10に示す。
【0112】
【表10】
Figure 0004233382
【0113】
上記測定結果より、抗TP抗体検出用蛍光ラテックス粒子の凝集率は検体に含まれる抗TP抗体の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス粒子の凝集率は、検体に含まれる抗TP抗体の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0114】
検体HBs▲1▼〜HBs▲7▼から調製した試料を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス粒子の凝集率(P/T)を、以下の表11に示す。
【0115】
【表11】
Figure 0004233382
【0116】
上記測定結果より、HBs抗原検出用蛍光ラテックス粒子の凝集率は検体に含まれるHBs抗原の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス粒子の凝集率は、検体に含まれるHBs抗原の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0117】
検体HCV▲1▼〜HCV▲3▼を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス粒子の凝集率(P/T)を、以下の表12に示す。
【0118】
【表12】
Figure 0004233382
【0119】
上記測定結果より、抗HCV抗体検出用蛍光ラテックス粒子の凝集率は検体に含まれる抗HCV抗体の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス粒子の凝集率は、検体に含まれる抗HCV抗体の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0120】
検体HIV▲1▼〜HIV▲3▼を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス粒子の凝集率(P/T)を、以下の表13に示す。
【0121】
【表13】
Figure 0004233382
【0122】
上記測定結果より、抗HIV抗体検出用蛍光ラテックス粒子の凝集率は検体に含まれる抗HIV抗体の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス粒子の凝集率は、検体に含まれる抗HIV抗体の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0123】
6.腫瘍マーカー4項目同時測定
自動免疫測定装置100を用い、腫瘍マーカーである4項目(FRN抗原、CEA抗原、AFP抗原、PSA抗原)の免疫測定を行った。検体は以下の通り調製した。
【0124】
検体
ランリームFRN測定試薬キット(シスメックス株式会社製)に含まれる検量線作成用キャリブレータ(検体希釈液、及び検体希釈液にFRN抗原を6段階の濃度別に添加したもの)を用い、FRN抗原含有検体系列(FRN▲1▼〜FRN▲7▼)とした。このFRN抗原含有検体系列における各検体中のFRN抗原濃度は以下の通りである。
FRN▲1▼:0ng/mL、FRN▲2▼:1.25ng/mL、FRN▲3▼:5ng/mL、FRN▲4▼:20ng/mL、FRN▲5▼:80ng/mL、FRN▲6▼:320ng/mL、FRN▲7▼:1280ng/mL。
【0125】
ランリームCEA測定試薬キット(シスメックス株式会社製)に含まれる検量線作成用キャリブレータ(検体希釈液、及び検体希釈液にCEA抗原を6段階の濃度別に添加したもの)を用い、CEA抗原含有検体系列(CEA▲1▼〜CEA▲7▼)とした。このCEA抗原含有検体系列における各検体中のCEA抗原濃度は以下の通りである。
CEA▲1▼:0ng/mL、CEA▲2▼:0.5ng/mL、CEA▲3▼:2ng/mL、CEA▲4▼:8ng/mL、CEA▲5▼:32ng/mL、CEA▲6▼:128ng/mL、CEA▲7▼:512ng/mL。
【0126】
ランリームAFP測定試薬キット(シスメックス株式会社製)に含まれる検量線作成用キャリブレータ(検体希釈液、及び検体希釈液にAFP抗原を6段階の濃度別に添加したもの)を用い、AFP抗原含有検体系列(AFP▲1▼〜AFP▲7▼)とした。このAFP抗原含有検体系列における各検体中のAFP抗原濃度は以下の通りである。
AFP▲1▼:0ng/mL、AFP▲2▼:2ng/mL、AFP▲3▼:8ng/mL、AFP▲4▼:32ng/mL、AFP▲5▼:128ng/mL、AFP▲6▼:512ng/mL、AFP▲7▼:2048ng/mL。
【0127】
ランリームPSA測定試薬キット(シスメックス株式会社製)に含まれる検量線作成用キャリブレータ(検体希釈液、及び検体希釈液にPSA抗原を6段階の濃度別に添加したもの)を用い、PSA抗原含有検体系列(PSA▲1▼〜PSA▲7▼)とした。このPSA抗原含有検体系列における各検体中のPSA抗原濃度は以下の通りである。
PSA▲1▼:0ng/mL、PSA▲2▼:0.125ng/mL、PSA▲3▼:0.5ng/mL、PSA▲4▼:2ng/mL、PSA▲5▼:8ng/mL、PSA▲6▼:32ng/mL、PSA▲7▼:128ng/mL。
【0128】
測定
前記調製した腫瘍マーカー4項目同時測定用蛍光ラテックス試薬の入った試薬容器227と反応緩衝液の入った試薬容器231を、自動免疫測定装置100の試料調製部200にある試薬セット部222にセットした。さらに検体の入った検体容器225を検体セット部221にセットし、前記の通り自動免疫測定装置100を動作させ、各検体を測定した。
【0129】
解析結果
図28・図29は、AFP含有検体であるAFP▲7▼を測定して得られた二次元スキャッタグラムであり、横軸は前方散乱光強度(Fsc)を、縦軸は蛍光強度(Fl)を表わす。図28・図29の各二次元スキャッタグラムは、同じ検体から測定した結果を、縦軸の表示方法を変えて出力したものであり、それぞれ前記図12に示した自動免疫測定装置100の表示画面例における二次元スキャッタグラムSc1・Sc2に相当する。蛍光強度の違いから、FRN抗原検出用蛍光ラテックス粒子・CEA抗原検出用蛍光ラテックス粒子・AFP抗原検出用蛍光ラテックス粒子・PSA抗原検出用蛍光ラテックス粒子、の4種類の蛍光ラテックス粒子が縦軸方向に分離し、それぞれ予め設定された領域内に出現している。FRN抗原検出用蛍光ラテックス粒子は領域G201に、CEA抗原検出用蛍光ラテックス粒子は領域G202に、AFP抗原検出用蛍光ラテックス粒子は領域G203に、PSA抗原検出用蛍光ラテックス粒子は領域G204に、それぞれ出現している。
【0130】
図30、図31、図32、図33はそれぞれ、図26・図27の二次元スキャッタグラム中の領域G201・G202・G203・G204に対応するヒストグラムであり、縦軸は度数(粒子数)を、横軸は前方散乱光強度すなわち粒子の大きさを表わす。
【0131】
検体FRN▲1▼〜FRN▲7▼から調製した試料を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス粒子の凝集率(P/T)を以下の表14に示す。
【0132】
【表14】
Figure 0004233382
【0133】
上記測定結果より、FRN抗原検出用蛍光ラテックス粒子の凝集率は検体に含まれるFRN抗原の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス粒子の凝集率は、検体に含まれるFRN抗原の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0134】
検体CEA▲1▼〜CEA▲7▼から調製した試料を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス試薬の凝集率(P/T)を、以下の表15に示す。
【0135】
【表15】
Figure 0004233382
【0136】
上記測定結果より、CEA抗原検出用蛍光ラテックス粒子の凝集率は検体に含まれるCEA抗原の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス粒子の凝集率は、検体に含まれるCEA抗原の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0137】
検体AFP▲1▼〜AFP▲7▼を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス粒子の凝集率(P/T)を、以下の表16に示す。
【0138】
【表16】
Figure 0004233382
【0139】
上記測定結果より、AFP抗原検出用蛍光ラテックス粒子の凝集率は検体に含まれるAFP抗原の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス粒子の凝集率は、検体に含まれるAFP抗原の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0140】
検体PSA▲1▼〜PSA▲7▼を測定して得た各測定項目の蛍光ラテックス粒子の凝集率(P/T)を、以下の表17に示す。
【0141】
【表17】
Figure 0004233382
【0142】
上記測定結果より、PSA抗原検出用蛍光ラテックス粒子の凝集率は検体に含まれるPSA抗原の濃度に依存して上昇しているが、他の蛍光ラテックス試薬の凝集率は、検体に含まれるPSA抗原の濃度にかかわらず変化がないことがわかる。
【0143】
前記の感染症マーカー4項目同時測定では、TP抗原を感作した蛍光ラテックス粒子・抗HBs抗体を感作した蛍光ラテックス粒子・HCV抗原を感作した蛍光ラテックス粒子・抗HIV抗原を感作した蛍光ラテックス粒子を担体粒子として含む蛍光ラテックス試薬を用い、感染症に関連する複数の項目(抗TP抗体、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV抗体)の免疫測定を、一つの検体に対し同時に行った。このように感染症に関連する項目に対応した蛍光ラテックス粒子を複数種類組み合わせることで、感染症マーカーの複数項目同時測定用試薬とすることができる。
【0144】
また前記の腫瘍マーカー4項目同時測定では、抗FRN抗体を感作した蛍光ラテックス粒子・抗CEA抗体を感作した蛍光ラテックス粒子・抗AFP抗体を感作した蛍光ラテックス粒子・抗PSA抗体を感作した蛍光ラテックス粒子を担体粒子として含む蛍光ラテックス試薬を用い、腫瘍に関連する複数の項目(FRN抗原、CEA抗原、AFP抗原、PSA抗原)の免疫測定を、一つの検体に対し同時に行った。このように腫瘍に関連する項目に対応した蛍光ラテックス粒子を複数種類組み合わせることで、腫瘍マーカー関連の複数項目同時測定用試薬とすることができる。
【0145】
上記の各4項目同時測定用試薬は、それぞれ感染症、腫瘍に関し複数項目を短時間で測定したい場合に有用である。しかし複数項目の同時測定を行う場合、測定項目の組み合わせは上記に限られる必要は無い。例えば、いわゆる免疫血清検査項目(CRP、RF、ASO、IgG、IgA、IgM、IgEなど)から選択される複数の項目を組み合わせてもよいし、内分泌検査項目(TSH、T4、T3、FT4など)から選択される複数の項目を組み合わせてもよい。また血中薬物検査項目(PHT、PB、PRM、CBZ、VPAなど)から選択される複数の項目を組み合わせてもよい。もちろん、それら検査のカテゴリーに関わらず、同時測定を望む項目を適宜組み合わせてもよい。
【0146】
上記感染症マーカー4項目項目同時測定、及び腫瘍マーカー4項目同時測定では、蛍光ラテックス試薬として、複数項目に対応した複数種類の蛍光ラテックス粒子を予め一液中に懸濁させた状態のものを用いた。従来、4項目の測定を行う場合、各項目に応じた測定用試薬をそれぞれ要していたが、本発明の実施例では各項目測定用の蛍光ラテックス試薬を一液で構成している。また反応緩衝液についても、4項目の同時測定を行う際に一種類の反応緩衝液のみを用いている。複数の測定項目毎に蛍光ラテックス試薬や反応緩衝液をそれぞれ用意する必要がないので、自動免疫測定装置において試薬をセットするためのスペースをよりコンパクトにでき、ひいては装置全体の小型化につながる。
【0147】
試薬の他の構成としては、測定項目毎の蛍光ラテックス試薬がそれぞれ用意され、検査オーダーに応じて所望の測定項目に応じた蛍光ラテックス試薬を選択し、組み合わせて用いるように構成される。図34は、図7に示した自動免疫測定装置100の試料調製部の変形例を示す図である。図34の試料調製部200は、複数種類の蛍光ラテックス試薬を組み合わせて複数項目の同時測定を行うことができるよう構成されている。試薬セット部222は、第一、第二、第三、第四の蛍光ラテックス試薬がそれぞれ入った試薬容器27a・27b、27c、27dをセットできるようになっている。第一から第四の蛍光ラテックス試薬は、それぞれ異なった測定項目に対応するものであり、かつ含有する蛍光ラテックス粒子は互いに異なった濃度の蛍光色素を含んでいる。試薬セット部222以外の構成については、図7に説明した構成と同様である。
【0148】
この変形例においては、自動免疫測定装置100は二つの動作モードを選択できるようになっている。動作モードとしては、4項目同時測定モードと単項目測定モードがある。操作者は測定に先立ち、液晶タッチパネル101を用いていずれかの動作モードを選択する。4項目同時測定モードを選択した後、スタートスイッチ103を押すと、図34の試料調製部200は、装置の全体制御におけるステップS1(試料調製部制御)において、次のように動作する。
【0149】
まず分注装置224が、試薬セット部222の試薬容器231から反応緩衝液を80μL吸引する。次に分注装置224は、検体セット部221にセットされている検体容器225から検体を10μL吸引し、前記吸引した反応緩衝液と検体を、インキュベータ223にセットされている反応容器226に分注する。次に分注装置224は試薬セット部222の試薬容器227aから第一の蛍光ラテックス試薬を2.5μL吸引して反応容器226に分注する。次に分注装置224は試薬セット部222の試薬容器227bから第二の蛍光ラテックス試薬を2.5μL吸引して反応容器226に分注する。分注装置224は、第三・第四の蛍光ラテックス試薬についても同様に2.5μLずつを吸引し、反応容器226に分注する。この後インキュベータ223が、検体・蛍光ラテックス試薬・反応緩衝液が入った反応容器226を、温度45℃に保ちながら15分間振盪撹拌することでインキュベートし、検体と試薬を反応させて試料液を調製する。分注装置224は、インキュベート後の試料液を吸引し、試料容器233に供給する。ここで試料容器233には予め希釈液が入っており、分注された試料液が51倍に希釈される。この後は、前記実施例に説明したのと同様に、光検出部・解析部の制御が行われる。
【0150】
測定に先立ち、単項目測定モードを選択した場合、試料調製部200は次のように制御される。まず分注装置224は、上記同様に反応緩衝液と検体を吸引し、反応容器226に分注した後、オーダーがあった測定項目の蛍光ラテックス試薬を10μL吸引し、反応容器226に分注する。その他の動作については、上記同様に制御される。
【0151】
【発明の効果】
本発明により、赤血球、血小板、カイロミクロン、細菌など担体粒子以外の粒子を含む検体や全血検体を用いても、検体中の抗原(又は抗体)を精度良く検出できる。本発明では、担体粒子として、検体中に含まれる担体粒子以外の粒子と大きさがオーバーラップするものを用いても、担体粒子のみを弁別して計数し、凝集度を求めることができ、担体粒子を選択する際、粒子の大きさ上の制限が減少する。本発明では、担体粒子と結合した測定対象物質を標識する標識抗体を用いないため、試薬の種類を少なくすることができる。
【0152】
また複数の測定対象物質についての粒子凝集反応をひとつの反応系で行い、それぞれの測定対象物質について同時に精度良く検出できる。そのため、緊急時などに複数の項目の免疫測定を短時間で行うことができる。
【0153】
また本発明により、感染症マーカー、腫瘍マーカーなどの複数項目につき、これら複数項目測定用の試薬を一つにすることで、自動免疫測定装置の小型化が可能となる。また測定項目毎の試薬を組み合わせて用いるように構成することで、単項目測定と複数項目同時測定の両方を実施できる。
【0154】
【図面の簡単な説明】
【図1】二次元スキャッタグラム上で、担体粒子と検体に含まれる担体粒子以外の粒子が異なる位置に出現した様子を説明する図である。
【図2】二次元スキャッタグラム中に設定された領域内に出現した粒子のヒストグラムを説明する図である。
【図3】二次元スキャッタグラム上で、第一の担体粒子と第二の担体粒子が異なる位置に出現した様子を説明する図である。
【図4】二次元スキャッタグラム中に設定された領域内に出現した粒子のヒストグラムを説明する図である。
【図5】本実施例の自動免疫測定装置の外観を説明する図である。
【図6】本実施例の自動免疫測定装置の内部構成を説明する図である。
【図7】本実施例の自動免疫測定装置の試料調製部を説明する図である。
【図8】本実施例の自動免疫測定装置の光検出部を説明する図である。
【図9】本実施例の自動免疫測定装置の制御部を説明する図である。
【図10】 本実施例の自動免疫測定装置の全体制御を説明する図である。
【図11】 本実施例の自動免疫測定装置の解析部の制御を説明する図である。
【図12】本実施例の自動免疫測定装置の液晶タッチパネルに表示された画面の一例を示す図である。
【図13】本実施例で用いたフローサイトメータの構成を示す模式図である。
【図14】本実施例の二次元スキャッタグラムを説明する図である。
【図15】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図16】本実施例の二次元スキャッタグラムを説明する図である。
【図17】本実施例の二次元スキャッタグラムを説明する図である。
【図18】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図19】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図20】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図21】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図22】本実施例の二次元スキャッタグラムを説明する図である。
【図23】本実施例の二次元スキャッタグラムを説明する図である。
【図24】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図25】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図26】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図27】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図28】本実施例の二次元スキャッタグラムを説明する図である。
【図29】本実施例の二次元スキャッタグラムを説明する図である。
【図30】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図31】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図32】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図33】本実施例のヒストグラムを説明する図である。
【図34】図7に示した試料調製部の変形例を説明する図である。
【符号の説明】
11 担体粒子の単独粒子
12 担体粒子の二個凝集粒子
13 担体粒子の三個凝集粒子
14 カイロミクロン
15 赤血球
31 第一の担体粒子の単独粒子
32 第一の担体粒子の二個凝集粒子
33 第一の担体粒子の三個凝集粒子
34 第二の担体粒子の単独粒子
35 第二の担体粒子の二個凝集粒子
36 第二の担体粒子の三個凝集粒子
G1 担体粒子が出現する領域
G31 第一の担体粒子が出現する領域
G32 第二の担体粒子が出現する領域
100 自動免疫測定装置
200 試料調製部
300 光検出部
400 制御部

Claims (12)

  1. 測定対象物質及び測定対象物質以外の粒子を含む検体と、測定対象物質に対する抗体又は抗原が感作された担体粒子と、を混和して試料を調製する工程と、
    前記工程にて調製された試料中の粒子から第一の光学的情報及び第一の光学的情報とは異なる第二の光学的情報を検出する工程と、
    前記工程にて検出された第一の光学的情報に基づき、担体粒子と、検体中の測定対象物質以外の粒子と、を弁別し、第二の光学的情報に基づき、担体粒子の凝集度を求める工程と、
    前記工程にて求められた担体粒子の凝集度に基づき、測定対象物質を検出する工程と、
    を有する免疫測定方法。
  2. 請求項1に記載の免疫測定方法において、前記検体は測定対象物質として第一及び第二の測定対象物質を含み、前記担体粒子は第一の測定対象物質に対する抗体又は抗原が感作された第一の担体粒子と、第二の測定対象物質に対する抗体又は抗原が感作された第二の担体粒子と、を含み、さらに、
    前記担体粒子の凝集度を求める工程は、前記第一の光学的情報に基づき第一の担体粒子と第二の担体粒子とを弁別し、第二の光学的情報に基づき第一の担体粒子の凝集度及び第二の担体粒子の凝集度を求める工程を含み、
    前記測定対象物質を検出する工程は、前記工程にて求められた第一の担体粒子の凝集度及び第二の担体粒子の凝集度に基づき、第一の測定対象物質及び第二の測定対象物質を検出する工程を含む、免疫測定方法。
  3. 前記検体が全血であり、前記検体中の測定対象物質以外の粒子が赤血球又は血小板である請求項1又は2記載の免疫測定方法。
  4. 前記第一の光学的情報が蛍光、化学発光又は吸光度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の免疫測定方法。
  5. 前記第二の光学的情報が散乱光であることを特徴とする請求項1又は2記載の免疫測定方法。
  6. 測定対象物質及び測定対象物質以外の粒子を含む検体と、測定対象物質に対する抗体又は抗原が感作された担体粒子と、を混和して調製された試料中の粒子から、第一の光学的情報及び第一の光学的情報とは異なる第二の光学的情報を検出する光検出部と、
    光検出部が検出した光学的情報を解析する解析部と、を有する免疫測定装置であり、
    解析部は、光検出部が検出した第一の光学的情報に基づき担体粒子と検体中の測定対象物以外の粒子とを弁別し、光検出部が検出した第二の光学的情報に基づき担体粒子の凝集度を求めることを特徴とする、免疫測定装置。
  7. 請求項6に記載の免疫測定装置において、前記検体は測定対象物質として第一及び第二の測定対象物質を含み、前記担体粒子は第一の測定対象物質に対する抗体又は抗原が感作された第一の担体粒子と、第二の測定対象物質に対する抗体又は抗原が感作された第二の担体粒子と、を含み、さらに、
    前記解析部は、前記第一の光学的情報に基づき第一の担体粒子と第二の担体粒子とを弁別し、第二の光学的情報に基づき第一の担体粒子の凝集度及び第二の担体粒子の凝集度を求める、免疫測定装置。
  8. 前記光検出部は、前記第一の光学的情報を検出するための第一の受光素子と、前記第二の光学的情報を検出するための第二の受光素子とを有する、請求項6又は7記載の免疫測定 装置。
  9. 前記第一の受光素子は蛍光を検出する、請求項8記載の免疫測定装置。
  10. 前記第二の受光素子は散乱光を受光する、請求項8又は9記載の免疫測定装置。
  11. 請求項1に記載の免疫測定方法に用いられる担体粒子を含むことを特徴とする、免疫測定用試薬。
  12. 請求項2に記載の免疫測定方法に用いられる第一の担体粒子及び第二の担体粒子を含むことを特徴とする、免疫測定用試薬。
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