JP5137540B2 - 内視鏡システム - Google Patents
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Description
しかし、腸管内で内視鏡先端を目標の位置に移動、目標とするライン(例えば、腸管の中心線)を通過させることは経験の浅いドクタ(術者)にとって難しい操作であるため、内視鏡画像から内視鏡先端を向ける方向を検出(例えば、暗部を検出)し、検出した方向から内視鏡先端を向ける目標位置を求め、現在の内視鏡先端位置を内視鏡先端目標位置に一致させるように、湾曲制御動作を電気的に行う内視鏡システムがある。
そこで、従来例では、エンコーダ出力で湾曲駆動制御を行うモータ制御系の他に、内視鏡の(挿入)形状を検出するためのコイル位置/方向検出装置としてのUPD装置を設け、UPD装置により検出されるコイル位置/方向により、挿入部の先端側の3次元座標を推定した結果をフィードバックして目標モータ回転角(目標モータ角と略記)を決定することにより、挿入部の位置/方向の精度を向上して湾曲制御を行うようにしている。
従来例では、目標モータ角Dと、UPD装置11によるコイル位置/方向から、さらにモータ回転角(モータ角と略記)推定部73を経て算出される現在のモータ推定角Sとの差分値がモータ制御系71のモータ電圧設定部(電圧設定部と略記)74に入力される。 この電圧設定部74には、モータ43に付加されたエンコーダによるエンコーダ出力による現在のモータ角が入力され、この現在のモータ角から上記差分値に対応するずれのモータ角分だけモータ43を回転させるモータ電圧(電圧と略記)を、このモータ43に出力する。
この場合、モータの駆動位置の検出情報としてのエンコーダ出力を用いてモータを駆動する電圧を設定するモータ制御(湾曲制御)を行う時間周期(以下、単に周期)は、図20に示すようにT1である。
これに対して、UPD装置11によるコイル位置/方向の検出(或いは取得)は、その検出の周期がT2となる。従って、その情報をモータ制御系71で現在のモータ推定角Sとして湾曲制御の情報として利用する場合、その情報が取得される周期はT2になる。よって、前記目標モータ角Dは、周期T2で決定されることになる。
そのため、前述のとおり、モータ43を実際に駆動する電圧の決定は、周期T1より過去の周期T2のコイル位置/方向に基づくモータ推定角Sによって決定されてしまうこととなる。
その結果、従来例においては、円滑な内視鏡湾曲動作を行わせることができず、例えば湾曲動作が振動および発散したり、コマ送り的なぎこちないステップ動作になる。
一方、例えば特開2006−116289号公報には、モード切替により内視鏡画像に対応した湾曲制御と、UPD装置を用いて得たUPD画像に対応した湾曲制御を行うことができる湾曲制御装置が開示されている。
このように従来例では、湾曲駆動手段の駆動位置を検出する第1の情報の検出(取得)の周期と、内視鏡の形状検出手段による第2の情報の取得の周期とが異なるため、或いは第2の情報の取得に時間遅延があるため円滑な湾曲制御を行うことが困難になる。
このため、湾曲制御のための情報の取得の周期が異なる場合、或いは形状検出による情報の取得のために時間遅延が発生する場合にも円滑な湾曲制御を実現することができる、換言すると第1の周期と第2の周期との相違に基づく影響を軽減して円滑な湾曲制御を実現することができる内視鏡システムが望まれる。
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、湾曲制御のための情報の取得の周期が異なる場合、或いは形状検出による情報の取得のために時間遅延が発生する場合にも円滑な湾曲制御を実現することができる内視鏡システムを提供することを目的とする。
前記湾曲部を電気的に湾曲駆動する湾曲駆動部と、
前記湾曲駆動手段の時間的な駆動位置情報を、第1の情報として第1の時間周期で取得する第1の情報取得部と、
前記内視鏡先端側を目標とする方向に湾曲させるために前記内視鏡先端側の形状情報を第2の情報として第2の時間周期で取得する第2の情報取得部と、
前記第1の時間周期に対して前記第2の時間周期が長くなる時間周期の相違の場合における前記第2の情報を第1の時間周期に相当する情報への補正と、前記第1の情報の検出に対して、前記第2の情報の取得までに発生する時間遅延に起因する前記第2の情報の補正との少なくとも一方の補正を行う補正部と、
前記第1の情報と前記補正部により補正された第2の情報とを用いて前記湾曲駆動部の湾曲制御を行う湾曲制御部と、
を具備することを特徴とする。
図1から図12は本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1の内視鏡システムの構成を使用例の状態で示し、図2は内視鏡装置の外観例を示し、図3は内視鏡の内部構成を示し、図4は挿入部の先端側のコイルの配置例を示し、図5は検出される挿入形状を示し、図6A〜図6Cは挿入形状データ、フレームデータ、コイル座標データの例を示す。
図7はPC本体の機能的なブロック構成を示し、図8はメイン処理部の機能的なブロック構成を示し、図9は内視鏡先端の向きと湾曲させたい方向との湾曲角を形成する角θ及びφを示し、図10は湾曲量制御処理部による湾曲角からモータ電圧を生成する処理機能を示し、図11は内視鏡湾曲駆動制御装置の制御機能的構成を示し、図12は本実施例における補正手段により目標モータ角に向けての制御特性例を示す。
図1に示すように内視鏡2は、ベッド12に横たわる被検体としての患者13の体腔内(管腔内)に挿入される細長の挿入部9と、その後端に設けられた操作部14とを有する。この操作部14から延出されたユニバーサルケーブル15の端部のコネクタは、照明光を発生する光源装置3と、信号処理を行う信号処理装置としてのプロセッサ4とに接続される。
操作部14には、術者20が所望とする方向に湾曲部18を湾曲指示操作を行う湾曲指示操作手段としての例えばジョイスティック21が設けてある。そして、術者20は、このジョイスティック21を操作することにより、この操作部14内部に設けられた電気的な湾曲駆動手段を形成するモータユニット22を介して、湾曲部18を電気的に湾曲することができる。
また、術者20が後述する自動湾曲制御モードを選択した場合においては、PC本体7によるモータ制御により、挿入部9の先端側を挿入部9が挿通される管腔の走行方向に向くようにモータユニット22を介して湾曲部18の湾曲制御を電気的に行う。
なお、図1における内視鏡装置6としては、例えば図2に示すような外観である。この図2では、PC本体7は内視鏡2内のモータユニット22の制御ユニットとして内視鏡装置6を構成している。
また、図1では内視鏡2にジョイスティック21が用いられているが、図2に示すようにジョイパッドで湾曲指示操作手段を形成しても良い。
図3に示すように、挿入部9内には照明光を伝送するライトガイド31が挿通され、このライトガイド31は、図1或いは図2に示す操作部14,ユニバーサルケーブル15を経てその後端が光源装置3に接続される。
そして、照明窓からこの挿入部9の長手軸の前方側に出射される照明光により、挿入部9が挿入される体腔内における長手軸の前方側を照明する。図3に示すように照明窓に隣接して設けられた観察窓には、光学像を結ぶ対物レンズ32が取り付けられており、その観察視野或いは撮像範囲は照明光で照明される。
この光学像を結ぶ対物レンズ32と、その結像位置に配置された固体撮像素子としての例えばCCD33とにより撮像装置34が形成されている。
なお、この内視鏡画像信号は、画像処理及びモータ制御(或いは湾曲制御)を行う画像処理/モータ制御装置としてのPC本体7にも入力され、挿入部9の先端を体腔内の走行方向に挿入させるための位置情報の検出の画像処理に利用される。
そして、これらのコイル36a、36b、36c、…の各コイル位置を検出することにより、挿入部9の挿入形状を算出することができる。特に、挿入部9の先端側の複数のコイル、例えば36a、36b、36cの各位置を検出することにより、挿入部9の先端位置の他に、その長手軸の方向(向き)を、先端側の挿入形状として検出する。
なお、図4においては、コイル36cに対して、コイル36a″が同様の配置関係とあんるようにコイル36c、36a″が配置されている。
このように、コイル位置検出手段により、内視鏡先端側の挿入形状をその湾曲方向の情報を含めて検出することにより、その状態における湾曲部18の湾曲状態を推定できる。そして、暗部など目標位置の方向に、先端側が向くように湾曲部18を湾曲制御することを行い易くする。
コイル36a、36b、36c…は、その後端側のケーブルがUPD装置11に接続される。
また、このUPD装置11は、複数のセンスコイルによる検出信号から各コイル36a、36b、36c、…の位置を検出(算出)する位置検出部と、各コイル36a、36b、36c、…の位置情報から挿入部9(内視鏡2)の挿入形状の算出処理と、算出された挿入形状の表示処理を行う挿入形状算出・表示処理回路と、その挿入形状を表示する図示しない形状表示モニタとを備えている。
なお、UPD装置11における少なくともセンスコイルユニットは、図1のベッド12の近傍に配置され、ベッド12に横たわる患者13における挿入部9が挿入される3次元領域をカバーする座標系(ワールド座標系という)で、コイル36a、36b、36c、…の位置、つまりワールド座標系における3次元の座標位置を検出する。
図5は、UPD装置11により生成される挿入形状の1例を示す。この図5に示すように3次元の座標系で例えばjフレーム(ただし、j=0、1、2…)におけるコイル36a、36b、36c、…の位置(Xji,Yji,Zji)(ここで、i=a,b…,m)が算出され、それらを結ぶことにより、挿入形状が生成される。
UPD装置11により検出されたコイル36a、36b、36c、…の位置を含む挿入形状データは、図6Aに示すように、各フレームに関するフレームデータ(つまり、第0フレームデータ、第1フレームデータ、…)として構成されており、PC本体7に順次送信される。
また、コイル座標データは、図6Cに示すように、挿入部9の先端側から基端側(操作部14側)に順次配置されたコイル36a、36b、36c、…の3次元座標をそれぞれ示すデータである。
なお、ここでのフレームの時間周期(以下、周期)T2は、例えば100ms程度であり、後述するモータの回転角を検出するエンコーダ出力(値)の周期T1よりも長くなる。
このため、内視鏡画像から検出される管腔内の暗部(管腔暗部ともいう)の位置情報は、ワールド座標系に変換される。なお、この暗部の位置情報は、管腔の走行方向に対応するため、その位置情報が挿入部先端を管腔の深部側に挿入(導入)すべき目標位置若しくは湾曲すべき湾曲方向の目標位置となる。
なお、先端部10に設けられた撮像装置34による観察方向(撮像方向)は、この内視鏡2においては挿入部9の長手軸と平行であり、上記挿入方向或いは湾曲方向は、撮像装置34による観察方向と同じ方向となる。
UPD装置11内部のコイル位置検出部11aにより検出されたコイル36a、36b、36c、…のコイル座標位置及び方向の情報は、PC本体7にも入力される(後述する図7参照)。
操作部14内には上下方向の湾曲ワイヤ41u、41dの両端が連結されたワイヤが巻装されたプーリ42aと、左右方向の各湾曲ワイヤ41l、41rの両端が連結されたワイヤが巻装されたプーリ42bが設置されている。
各プーリ42a,42bは、それぞれ上下湾曲(駆動)用のUDモータ43a,左右湾曲用のRLモータ43b(単にモータ43a、43bとも略記)の回転軸に連結され、正転及び逆転が自在のモータ43a,43bの回転方向に応じて回転される。
そして、モータ43a,43bによりプーリ42a,42bを回転することによって、湾曲ワイヤ41u、41d、41l、41rを牽引/弛緩(押し引き)して湾曲部18を電気的に湾曲駆動する電気的湾曲駆動手段が構成されている。
モータ43a,43bを介してプーリ42a,42bを回転させる回転量に応じて湾曲部18の湾曲量が対応するため、プーリ42a,42bの回転量をプーリアングル或いはプーリ角という。
これらのUDエンコーダ44a,RLエンコーダ44bによるエンコーダ出力は、図7に示すようにPC本体7に入力される。
なお、UDエンコーダ44a,RLエンコーダ44bは、上述した周期T2よりも十分に短い周期T1でエンコーダ出力をPC本体7側に出力する。
そして自動湾曲制御モードの場合においては、モータユニット22内のモータ43a、43bは、PC本体7側からのUPD装置11による目標位置の推定結果と、現在の(内視鏡)先端部10側の位置及び方向等の湾曲制御情報(又は湾曲情報)により湾曲制御される湾曲状態が決定される。つまり、PC本体7は、湾曲状態決定部の機能を持つ。
そして、本実施例では、以下に説明するようにPC本体7側において、長い周期T2で得られる情報を短い周期T1に相当する情報に補正する補正手段を設けることにより、円滑な湾曲制御を行うことを可能にする。
換言すると、周期T2で推定された情報と、周期T1とT2とに基づく情報(具体的には周期比の情報)とを用いて、周期T1で湾曲制御する湾曲状態(湾曲制御状態)を補正して、補正された湾曲状態を決定する湾曲状態決定部による湾曲補正を行う。
このため、ジョイスティック21には、例えば上下方向と左右方向への傾動操作量を検出する図示しないエンコーダ或いはポテンショメータ等が設けてあり、湾曲指示値、方向の指示情報を出す。この場合には、PC本体7は、単に湾曲指示値にエンコーダ出力が一致するように湾曲制御する(この場合のように手動湾曲する場合には、周期T2は影響しない)。
また、UPD装置11によるコイル座標と方向の情報は、コイル情報取得スレッド53を介してメモリ52内に、内視鏡形状パラメタ、具体的には、コイル座標位置、コイル方向、先端Up方向のデータとして格納される。
そして、内視鏡画像のデータと内視鏡形状パラメタのデータは、CPUにより形成されるメイン処理部55に出力される。
また、内視鏡2のモータユニット22のエンコーダ出力は、湾曲量制御処理部56に入力され、この湾曲量制御処理部56には、メイン処理部55による処理で生成され、メモリ52内に格納された湾曲量パラメタのデータが入力される。
そして、この湾曲量制御処理部56は、図10にて説明するようにモータ制御値(より具体的には、UDモータ電圧、RLモータ電圧)をモータユニット22のUDモータ43a,RLモータ43bに出力する。
本実施例では、この湾曲量制御処理部56が異なる周期T1,T2でモータ制御(湾曲制御)を行う情報による欠点を改善する補正を行う、或いは周期T1,T2で算出される情報に基づいて補正した湾曲状態決定を行うことになる。
なお、図7において点線で示すように、捻り量検出ユニット23が用いられた場合には、捻り量検出ユニット23により検出される相対捻り量が、捻り量取得スレッド57を介してメモリ52内における例えば内視鏡形状パラメタのデータの1つとして相対捻り量のデータとして格納される。
図8に示すようにメイン処理部55は、内視鏡画像における管腔情報から特定位置としての目標位置を検出する特定位置検出部としての画像内目標位置検出部55aの機能と、コイル座標から内視鏡各部の位置、方向、速度を検出する内視鏡形状処理部55bと、相対捻り量から絶対捻り量を算出する捻り量算出部55cの機能を有する。なお、点線で示すように捻り量算出部55cは、相対捻り量が入力された場合にこの処理を行う。
画像内目標位置検出部55aは、内視鏡画像から内視鏡画像内における管腔の走行方向に相当する暗部の中心の位置(或いは重心の位置)を2次元の位置情報として検出する。 この暗部の位置は、CCD33の画素サイズ、焦点距離等の値を考慮して検出される。そして、その時刻における挿入部9の先端位置に対する暗部の位置の情報から、その方向が挿入部先端(内視鏡先端)の挿入方向として検出される。
なお、画像内目標位置検出部55aで検出された目標位置は、画像内目標位置検出部55a内の座標系変換部によりワールド座標系の目標位置に変換される。
そして、変換された目標位置は、湾曲量算出部55dに出力される。
この湾曲量算出部55dには、内視鏡形状処理部55bにより、周期T2で(特に先端コイル座標を含む)内視鏡各部の位置、方向、速度の情報が入力される。なお、本実施例では速度の情報は必要不可欠でない。後述する実施例で利用する。
算出されたこの湾曲角(φ、θ)の情報は、湾曲制御における補正手段或いは湾曲状態決定手段としての機能を持つ図7に示した湾曲量制御処理部56に出力される。なお、図7にて説明したようにこの湾曲量制御処理部56には、周期T1でエンコーダ出力(具体的にはUDエンコーダ44aの出力、RLエンコーダ44bの出力)も入力される。
また、図10は、湾曲量制御処理部56の機能的な構成を示す。周期T2で算出或いは推定される湾曲角(φ、θ)の情報は、絶対プーリ角変換部56aに入力される。絶対プーリ角変換部56aは、湾曲角(φ、θ)の情報をUD方向の絶対目標プーリ角(プーリアングル)と、これに直交する方向となるRL方向の絶対目標プーリ角との情報に変換する。
そして、生成されたUD方向の絶対目標プーリ角と、RL方向の絶対目標プーリ角とは、周期相違に対するプ−リ角補正部(単にプーリ角補正部という)56bを経て、モータ電圧設定部56cに入力される。
そして、モータ電圧設定部56cは、周期T2で生成されたままのUD方向の絶対目標プーリ角及びRL方向の絶対目標プーリ角の情報と、周期T1で生成されるUDエンコーダによる現在のプーリ角及びRLエンコーダによる現在のプーリ角の情報とからPID制御によりモータ電圧をそれぞれ生成していた。
これに対して本実施例では、上述したように長い方の周期T2で推定或いは取得されるUD方向の絶対目標プーリ角と、RL方向の絶対目標プーリ角とは、プーリ角補正部56bに入力される。
このモータ電圧設定部56cを構成するUD用PID制御によるモータ電圧設定部とRL用PID制御によるモータ電圧設定部とには、周期T1で生成されるUDエンコーダ44aによる現在プーリ角、RLエンコーダ44bによる現在プーリ角が入力される。
そして、このモータ電圧設定部56cは、補正された情報と、エンコーダ44a,44bによる情報とからモータ43a,43bを湾曲制御する湾曲制御部を形成すると見なすことができる。
本実施例におけるプーリ角補正部56bは、以下のようにしてUD方向の補正目標プーリ角及びRL方向の補正目標プーリ角を生成する。
UD方向の補正目標プーリ角及びRL方向の補正目標プーリ角は、周期T2で生成(取得)されたUD方向の絶対目標プーリ角及びRL方向の絶対目標プーリ角の情報を、その周期T2を周期T1であったとした場合に推定されるUD方向の絶対目標プーリ角及びRL方向の絶対目標プーリ角の情報に補正する。
具体的には、以下のように補正する。
例えば周期T2で算出されたUD方向の絶対目標プーリ角及びRL方向の絶対目標プーリ角を、それぞれA、Bとすると、プーリ角補正部56bは、A×(T1/T2)、B×(T1/T2)をUD方向の補正目標プーリ角及びRL方向の補正目標プーリ角として出力する。
図10においては、湾曲角(φ、θ)からモータ電圧(具体的にはUDモータ電圧、RLモータ電圧)を生成する機能を説明した。
図11は本内視鏡システム1における(図19の従来例と同じ構成要素を有する)モータ制御系71と位置フィードバック制御系72を用いた制御装置としての内視鏡湾曲駆動制御装置61部分の構成を図11に示す。
また、位置フィードバック制御系72は、コイル36a、36b、36c…の位置を検出するUPD装置11と、このUPD装置11によるコイル位置/方向から現在のモータ回転角を推定するメイン処理部55による湾曲角(φ、θ)の推定手段としてのモータ角推定部73とから構成される。
図11に示す本実施例に係る内視鏡湾曲駆動制御装置61は、図19のモータ制御系71と位置フィードバック制御系72において、位置フィードバック制御系72により推定或いは取得される目標モータ角Dと現在のモータ推定角Sとから補正目標モータ角Δを算出(推定)するモータ絶対角補正部62の機能を備えている。
また、位置フィードバック制御系72は、UPD装置11により、周期T2で内視鏡形状を検出する内視鏡形状検出部と、モータ角推定部73によりその内視鏡形状からモータ制御系71により制御される湾曲状態に相当するモータ推定角Sを推定する湾曲状態推定部を形成する。
そして、モータ絶対角補正部62は、モータ角推定部73による推定結果と、周期T1及び周期T2から算出される情報に基づいて、モータ制御系71により制御される湾曲状態を補正して、その湾曲状態を決定する湾曲状態決定部を形成する。
上記モータ絶対角補正部62は、このモータ絶対角補正部62に入力される目標モータ角Dから現在のモータ推定角Sを差し引いた差分値D−Sを分割の係数N(=T2/T1)で除算して補正目標モータ角Δとして出力する。つまり、Δ=(D−S)/N。
より具体的な設計例としてT1=5msec、T2=100msecとすると、係数N=20となる。この場合には、内視鏡先端位置(つまり、目標モータ角及び現在のモータ推定角)の情報が1回更新される間に20回、モータ制御系71に、位置フィードバック制御系72から補正目標モータ角Δ、Δ=(D−S)/Nの情報がモータ相対角として与えられる。
このようなモータ相対角でなく、モータ絶対角でモータ制御系71に与えるようにしても良い。モータ絶対角で与える場合には、その補正目標モータ角をΔiとすると、Δi=S+i×(D−S)/Nとなる。
ここで、iは、周期T2における現在の時間を周期T1を単位で計測した値である。 図12は、補正目標モータ角Δiで湾曲制御を行った場合における現在のモータ推定角Sから目標モータ角Dに推移していく概略の動作特性例を示す。
これに対し、本実施例においては、周期T1の間隔で実線で示すように補正目標モータ角Δiがモータ制御系71に与えられ、それによって例えば実線で示すように現在のモータ推定角Sが短い周期T1で段階的に変化する特性の制御を実現できる。
この場合、目標モータ角Dと現在のモータ推定角Sとを終端に持つ2点鎖線で示す直線上の点は、補正目標モータ角Δiを外挿補正したものとなり、湾曲部18を湾曲駆動する湾曲駆動手段としてのモータ43を目標とする目標湾曲角に相当する目標モータ角Dに滑らか(より具体的には略直線的)に近づけるように制御できる。
本実施例によれば、このように補正することにより、湾曲制御のため異なる周期で制御情報を取得する場合にも、長い方の周期の情報を短い周期に整合させるような補正を行うことによって、滑らか(円滑)な湾曲制御の動作を行うようにできる。
また、本実施例によれば、簡単な補正で実現することができる。
図13は本発明の実施例2における湾曲駆動制御装置61Bの概略の構成を示す。本実施例は、図11に示す湾曲駆動制御装置61において、さらに電圧設定部74からモータ43に印加(出力)される電圧のタイミング(時刻)を監視するオブザーバとしての電圧監視部66を備えている。また、本実施例においては、周期T1は一定値から変動した値でも良い。
この電圧監視部66は、電圧設定部74からモータ43への電圧の印加を検出すると、その時刻(時間)tjをモータ絶対角補正部62に通知する。モータ絶対角補正部62は、電圧監視部66から時刻tjの通知を受けると、例えばその内部に設けられた通知計数カウンタのカウント値jを0から1つづつインクリメントする。
位置フィードバック制御系72の周期T2の間に、モータ制御系71は、平均的には周期T1で制御動作を行う。そして、カウント値jがN(=T2/T1)となる場合のみ、つまりtjがtNとなる時、カウント値jが0にリセットされる。0≦j≦Nとなる。 この場合、モータ絶対角補正部62は、出力する補正目標モータ角をΔjとすると、これをモータ絶対角で表すと、Δj=S+tj×(D−S)/T2となる。
この場合も、補正目標モータ角Δjは、図12に示した補正目標モータ角Δiの値を外挿補正した直線上に乗る。但し、この場合には、図12における一定の周期T1が変動した場合にも対応できるものとなる。
このため、管腔の暗部等、術者が進ませたいと望む目標方向に内視鏡先端方向を円滑に指向させることができるので、術者にとって、挿入作業が容易となる。従って、内視鏡検査、処置を円滑に行うことができる。なお、挿入部9を、その長手軸方向に送り出す送り機構を設けることにより、円滑に自動挿入を行うことも可能になる。
次に図14を参照して本発明の実施例3を説明する。図14は本発明の実施例3における内視鏡湾曲駆動制御装置61Cの制御機能的な構成を示す。
実施例1及び2においては、モータ制御系71の制御情報と位置フィードバック制御系72の情報と、湾曲駆動手段としてのモータ43の回転位置の検出情報で湾曲制御する場合の周期とが相違することによる影響を長い周期側の情報を補正により改善した。
これに対して本実施例は、コイル位置/方向の情報を実際にモータ制御(湾曲制御)を行う部分(具体的には図7における湾曲量制御処理部56或いは図10におけるモータ電圧設定部56c或いは図11,図13の電圧設定部74)が用いる或いは取得するまでに所定時間Lの遅延するため、この影響を軽減したモータ制御(湾曲制御)を行うものである。
挿入部9内に配置されたコイル36a、36b、36c…の位置/方向は、コイル36a、36b、36c…にドライブ信号を印加してそれぞれ磁場を発生させ、それをベッド12の周囲に配置されるセンスコイル等を備えたUPD装置11により検出する。
このため、仮にモータ制御系71側の情報と位置フィードバック制御系72側の情報を、例えば電圧設定部74が等しい周期で取得できるようにした場合(つまりT1=T2)においても、実際には位置フィードバック制御系72側の情報の発生時刻(具体的には磁場の発生をセンスコイルで受信した時刻)は、モータ制御系71側の情報から例えば所定時間Lだけ遅延した過去の情報となっている。
図15は、この様子を示す。図15においては、簡単化のため周期T1とT2とが等しい場合(T1=T2)で示している。この図15に示すようにPC本体7は、UPD装置11から所定時間L遅れたコイル位置/方向の情報を取得する。
図14に示す内視鏡湾曲駆動制御装置61Cは、図11に示した内視鏡湾曲駆動制御装置61においてモータ絶対角補正部62の代わりにモータ角予測部67を設けている。このモータ角予測部67には位置フィードバック制御系72から現在のモータ推定角Sが入力される。
そして、このモータ角予測部67は、位置フィードバック制御系72から所定の周期、この場合にはT1で入力される現在のモータ推定角S(より具体的にはこのモータ推定角及び1つ前のステップのモータ角予測部のシステム状態)から、モデル化した条件を設定して時間遅れLのない現在のモータ推定角S′をモータ角予測値として出力する。
この場合、モータ角と、そのモータ回転速度をパラメータとして、湾曲動作(モータ回転動作)がモータ回転座標系上において等速運動と見なす仮定を行うことにより、カルマンフィルタを利用する。
カルマンフィルタとは、誤差を含む観測値を用いて、ある動的システムの状態を推定或いは制御するための無限インパルス応答フィルタの一種である。
また、このカルマンフィルタは、時間ステップを1つ進めるために予測と更新の2つの手続きを行う。予測の手続きでは、前の時刻の推定状態から、その次の(現在)の時刻の推定状態を計算する。更新では、今の時刻の観測を用いて、推定値を補正してより正確な状態を推定する。
以下では、時間遅れLのある現在のモータ推定角Sに基づきカルマンフィルタによって補正したモータ推定角をS0、さらにカルマンフィルタにより1ステップ先を予測したモータ推定角をS1、とすることにより、時間遅れLのない現在のモータ推定角S′に相当するSpを推定して出力する。
カルマンフィルタの更新手続きにおいて、カルマンフィルタに現在のモータ推定角Sを入力することにより、現在のフィルタ係数に基づいてモータ推定角Sを補正したところのモータ推定角S0を出力すると共に、カルマンフィルタのフィルタ係数を更新する。
湾曲動作がモータ回転角座標系の上で等速運動であると仮定すると、現在時間から、1ステップ先の時間までの角度の変化量は一定、すなわちF(t)は一次関数であるので、Sp=S0+t(S1−S0)となる。ただし、t=L/T1。
この予測値に基づきモータを制御することにより、位置フィードバック制御系72の時間遅れを補償した動作を実現する。
本実施例は、このように時間遅れの影響を低減した精度の高い湾曲制御を行うことができる。
なお、上記説明においては、簡単化のため、周期T1とT2とを等しいとして説明したが、T1<T2の周期の場合にも同様に適用できる。また、例えば、実施例1を適用して、モータ推定角SpをT2/T1で分割して周期T1と同期させるようにしても良い。
図17は、本発明の実施例4における内視鏡湾曲駆動制御装置61Dの構成を示す。本実施例は、実施例3において、さらにエンコーダ出力を監視するオブザーバとしてエンコ−ダ監視部68を設けた構成である。
実施例3においては周期T1=T2においてこの周期T1よりも時間遅れLの方が短いことを想定した場合で説明したが、周期T1よりも時間遅れLの方が長くなる場合もあり得る。図18は、このような関係の動作タイミング説明図を示す。
本実施例は、このような場合に対処することができる。エンコ−ダ監視部68は、実際のモータ回転量、つまりエンコーダ出力(エンコーダの変位量)dを観測し、モータ角予測部67に出力する。
モータ43が等速運動であると仮定すると、モータ43の回転速度はd/T1とみなせる。よって、時間遅れLの間に動くモータ回転量は、d×L/T1となる。
このように行うことにより、周期T1よりも時間遅れLの方が長い場合にも、高い精度で現在のモータ推定角S′を推定でき、従って高い精度で湾曲部18の湾曲(駆動)制御ができる。
なお、上述した各実施例などを部分的に組み合わせる等して構成される実施例等も本発明に属する。
Claims (3)
- 被検体を撮像する撮像手段及び湾曲自在の湾曲部を備えた内視鏡と、前記湾曲部を電気的に湾曲駆動する湾曲駆動部と、前記湾曲駆動手段の時間的な駆動位置情報を、第1の情報として第1の時間周期で取得する第1の情報取得部と、前記内視鏡先端側を目標とする方向に湾曲させるために前記内視鏡先端側の形状情報を第2の情報として第2の時間周期で取得する第2の情報取得部と、前記第1の時間周期に対して前記第2の時間周期が長くなる時間周期の相違の場合における前記第2の情報を第1の時間周期に相当する情報への補正と、前記第1の情報の取得に対して、前記第2の情報の取得までに発生する時間遅延に起因する前記第2の情報の補正との少なくとも一方の補正を行う補正部と、前記第1の情報と前記補正部により補正された第2の情報とを用いて前記湾曲駆動部の湾曲制御を行う湾曲制御部と、を具備することを特徴とする内視鏡システム。
- 前記内視鏡により撮像された画像内の特定部位を検出する特定部位検出部を具備し、前記湾曲制御部は、前記特定部位検出部で検出される前記特定部位に向かって前記湾曲部が湾曲するように湾曲制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
- 前記補正部は、前記第1の情報の取得に対して、前記第2の情報の取得までに発生する時間遅延に起因する前記第2の情報の補正を行う場合にカルマンフィルタを用いることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
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