JP5137361B2 - セルスタック装置及び燃料電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、セルスタックが設けられるマニホールドに、ガスを供給するためのガス供給管を接続してなるセルスタック装置及び燃料電池モジュールに関する。
図19は、従来の固体酸化物形燃料電池モジュール100の典型例を示す概略断面図である(特許文献1、2等)。
発電室111を内包する略直方体の金属製ケーシング110の4側面ないしは2側面に、熱交換器120a、120bが配置されている。発電室111内には、例えば燃料電池セルを一列に配列したセルスタック80が4列と、それらの上方にそれぞれ配置された改質器71と、セルスタック80をそれぞれ装着したマニホールド72とが設けられている。マニホールド72は燃料ガスケースである。
発電室111の上には酸素含有ガス室140が配置され、酸素含有ガス室140から発電室111内に複数の酸素含有ガス導入管141が垂下し、それぞれセルスタック間に配置されている。マニホールド72と下壁との間、並びに発電室111と熱交換器120a、120bとの間には、断熱材61、62が配置される。図示しないが、ケーシング110の外側にも適宜断熱材が配置され、さらにこれら全体が適宜の筐体に収容されて燃料電池組立体を構成する。
図19において、酸素含有ガス(例えば、空気)は外部から取り入れられ、ケーシング110の下壁から熱交換器120a、120bの酸素含有ガス流路(外側流路)に入り、下方から上方へ通過して酸素含有ガス室140へと流入する(白矢印)。一方、図示しない被改質ガス供給管により外部から被改質ガス(例えば都市ガス等の炭化水素ガス)が改質器71に供給され、改質触媒により水素リッチな燃料ガスに改質されて、図19(b)に示すように、直方体状のマニホールド72の側面に接続されたガス供給管143を介してマニホールド72に供給される。そして、酸素含有ガス導入管141により供給される酸素含有ガスと、マニホールド72から供給される燃料ガスとを利用してセルスタック80において発電反応が生じ、図示しない出力手段により電流が出力される。
特開2005−123014号公報 特開2005−158526号公報
しかしながら、従来の燃料電池モジュールでは、図19(b)に示すように、直方体状のマニホールド72の上面にセルスタック80の下端部が装着され、マニホールド72の側面にガス供給管143が接続されており、改質器71にて改質された燃料ガスが、ガス供給管143を介してマニホールド72の側面から流入し、セルスタック80を構成する燃料電池セル内部のガス通路を上方に流れ、上端から放出していたため、ガス供給管143の近傍における燃料電池セルには、燃料ガス供給を十分に行うことができず、燃料ガス供給不足になる虞があった。
即ち、燃料電池セルのガス通路の形成方向と、マニホールド72への燃料ガスの供給方向が直角となっていたため、ガス供給管143による燃料ガスのマニホールド72内への供給速度が高い場合には、マニホールド72の燃料ガス供給管143の吐出口に近い部位に設置された燃料電池セルへのガス供給量が低下し、これにより高い燃料利用率、高い出力で燃料電池を駆動させる場合には、燃料ガス供給管143に近い部位の燃料電池セルの燃料利用率が他の燃料電池セルに比較して高くなり、燃料枯れが生じる虞があった。
本発明は、複数の燃料電池セルにほぼ均等にガスを供給できるセルスタック装置及び燃料電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明のセルスタック装置は、軸長方向にガス通路を有する複数の燃料電池セルを電気的に接続して配列してなるセルスタックの複数個と、それぞれの該セルスタックが、前記燃料電池セルの配列方向が平行となるように並置され、かつ前記燃料電池セル軸長方向側
上面側に接合されて前記複数の燃料電池セルの前記ガス通路と連通する中空状のマニホールドと、前記複数個のセルスタックの上方に配置された1つの改質器と、該改質器と前記マニホールドとを接続し、前記改質器を前記マニホールドに固定するとともに、前記改質器にて改質された燃料ガスを前記マニホールドに供給するためのガス供給管とを備え、前記ガス供給管が、前記マニホールドの前記セルスタックが接合された上面側であって、前記燃料電池セルの配列方向の一端側でかつ前記セルスタックの配列方向の一端側に接続されていることを特徴とする。
このようなセルスタック装置では、燃料ガスのマニホールドへの供給が、ガス供給管により、燃料電池セルのガス通路のガス流れ方向に対して、対向する方向に導入されるため、ガス供給管から供給された燃料ガスが一旦マニホールドの内側底面に当たり、それから燃料電池セルのガス通路を通過するようになるため、ガス供給管に近い部位に設置された燃料電池セルに対して燃料ガスの流速を遅くすることができ、しかも、ガス供給管近傍に配設された燃料電池セルのガス通路に対して、ガス供給管によるガス流れ方向が直角となることが殆どなくなり、複数の燃料電池セルに対してほぼ均等に燃料ガスを供給することができる。また、一つのマニホールドに複数のセルスタックが設けられるため、複数のマニホールドが不要であり、コストダウンが可能となるが、ガス供給管に近い燃料電池セルが複数存在することになるため、従来のように、マニホールドの側面にガス供給管を接続すると、複数の燃料電池セルに対してガスの流速が早くなるため、本発明を用いる意義が大きい。
また、本発明のセルスタック装置は、前記マニホールドが耐熱性合金板を扁平箱状に加工して形成されていることを特徴とする。このような形状のマニホールドは、セルに複数個の燃料供給用の貫通穴が開いている際の燃料の分配精度が高く、またセルスタックを接合する際に安定である点で望ましいが、底が浅いため、従来のようにマニホールドの側面にガス供給管を接続すると、ガス供給管に近い部分ではガスの流速が早くなり、しかも、燃料電池セルのガス通路形成方向と、ガス供給管によるガス流れ方向が直角となり、ガス供給管に近い位置に設けられた燃料電池セルのガス通路内にはガスが入りにくくなるため、本発明を用いる意義が大きい。
また、本発明のセルスタック装置は、前記燃料電池セルの軸長方向側端部が、前記マニホールドの内側側面又は内側底面に支持されていることを特徴とする。マニホールドはコストダウンという観点、またマニホールドとの熱膨張差があるセルの変形に、追従したマニホールドの変形による製品破損抑制という観点から、薄い合金板を用いて形成されることが望ましい。しかしながら、発電中に高温となるため、セルスタックの重量を確実に支持しなければならない。さらに、セルスタックは、マニホールドの天板にシール材にてガス封止した状態で接合固定されるが、発電中におけるシール材の安定性という点からも、マニホールドでセルスタックの重量を確実に支持しなければならない。
本発明のセルスタック装置では、燃料電池セルの軸長方向側端部が、マニホールドの内側側面又は内側底面に支持されているため、燃料電池セルの重量がマニホールドの天板に殆ど作用せず、セルスタックをマニホールドに確実に支持固定することができる。さらに、ガス供給管から吐出されたガスは、マニホールド底面に当たり底面から天板側に流れようとするため、ガス供給管近くの燃料電池セルにおけるガスの流速をさらに遅くすることができ、ガスを一層均等に供給することができる。尚、本発明におけるマニホールドの内側側面又は内側底面とは、マニホールドの天板以外の面を意味し、セルスタックの荷重がマニホールドの天板に作用するのではなく、内側側面又は内側底面に作用するようなマニホールドの内側面をいう。
本発明の燃料電池モジュールは、上記セルスタック装置を収納容器内に収納してなることを特徴とする。このような燃料電池モジュールでは、高い燃料利用率で駆動させた場合でも、燃料電池セルの燃料枯れを防止でき、安定した発電を行うことができる。
本発明のセルスタック装置では、ガスのマニホールドへの供給が、ガス供給管により、燃料電池セルのガス通路のガス流れ方向に対して、対向する方向に導入されるため、ガス供給管から吐出されたガスが一旦マニホールドの内側底面に当たり、それから燃料電池セルのガス通路を通過するようになるため、ガス供給管に近い部位に設置された燃料電池セルに対してガスの流速を遅くすることができ、しかも、ガス供給管近傍に配設された燃料電池セルのガス通路に対して、ガス供給管によるガス流れ方向が直角となることが殆どなくなり、複数の燃料電池セルに対してほぼ均等にガスを供給することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。本発明の固体酸化物形燃料電池モジュールは、分散型発電用、特に0.5〜1.5kWの負荷追従運転を行う家庭用燃料電池モジュールに好適に用いられるものである。
図1は、本発明による固体酸化物形燃料電池モジュールの一実施形態の外観斜視図である。燃料電池モジュール1は、略直方体のケーシング(収納容器)10を具備し、ケーシング10は発電室17を内包する。図1には示していないが、発電室17内には、複数の固体酸化物形燃料電池セルを一列に配列したセルスタックと共に、マニホールド(燃料ガスケース)及び/または改質器等からなる燃料電池セルスタック装置(この詳細については後述する)が配置される。以下、ケーシング10について、図中の両矢印で示す方向をそれぞれ前後方向、左右方向として説明する。
ケーシング10は、左側壁11、右側壁12、前側壁15及び後側壁16の4つの側壁と、上壁13及び下壁14の6つの壁部材から構成される。ケーシング10は、耐熱性合金製の板または箱を成形加工することにより作製できる。前側壁15以外の壁部材は一体成型または接合されており、前側壁15のみが開閉可能である。図1では、前側壁15を開いた状態を示している。尚、図1では、前側壁15のみが開閉可能とされているが、別の実施形態として、下壁14のみまたは後側壁16のみを開閉可能としてもよい。また、前後側壁の双方を開閉可能としてもよい。図1の例では、前側壁15を開いた状態で発電室17内の種々の構成要素の修理・交換等を行う。白抜き矢印はセルスタックの挿入方向を示している。前側壁15には配管用開口51が穿設されており、これを通して発電室17内に種々のガスを供給する管を設置することができる。ガスを供給する管は、例えば燃料ガスまたは被改質ガスを供給する管であり、必要に応じて水若しくは水蒸気供給管も設置される。
左右側壁11、12の下端には、発電室17内のセルスタック周囲に供給される反応ガスの入口流路ケース21が設けられる。反応ガス入口流路ケース21は、ケーシング10の前後方向全体に亘って延在する細長い形状であり後端部に反応ガス供給管22が接続されている。反応ガスは、例えば酸素含有ガスである。さらに、各反応ガス入口流路ケース21の内側に隣接して排ガス出口流路ケース32が設けられる。排ガス出口流路ケース32もまた、ケーシング10の前後方向全体に亘って延在する細長い形状であり前端部に排ガス排出管33が接続されている。排ガスは、主に、発電に使用されなかった酸素含有ガス、燃料ガス及びこれらを燃焼した燃焼ガスからなる。
図1では、発電室17の内部全体が明示されていないが、上壁13から垂下する反応ガス導入部材40の一部が現れている。また、右側壁12(左側壁11についても同様)の内側に設置される排ガス用内壁31も現れている。排ガス用内壁31の内部に形成される排ガス流通空間は排ガス出口流路ケース32と連通している。これらについては、後に詳述する。
本発明の燃料電池モジュールは基本的に左右対称構造とすることが、安定した発電出力を得る上で好適である。
尚、以下の説明では、反応ガス供給管22から酸素含有ガスを供給し、前側壁の配管用開口51に配置される管から燃料ガス(または燃料ガスに改質される被改質ガス)を供給する場合について説明するが、これは使用する燃料電池セルにおける酸素極と燃料極の構造に依存するものであり、別の種類の燃料電池セルでは、逆に反応ガス供給管22から燃料ガス(または被改質ガス)を供給し、配管用開口51の管から酸素含有ガスを供給する場合もある。本発明は、いずれの場合にも適用可能である。従って、反応ガスとしては、酸素含有ガスの場合も燃料ガス(または被改質ガス)の場合もある。
図2は、図1の燃料電池モジュールの前側壁15を除いたケーシング10の一部切り欠き斜視図である。ケーシングの左側壁11、右側壁12及び上壁13は、互いに所定間隔を空けて並設された外殻部材11a、12a、13aと内殻部材11b、12b、13bとにより連続的な反応ガス流通空間20を形成する中空壁である。なお、外郭部材11a、12a、13aは、1枚の板を折り曲げ成形して一体的なものとしてもよく、あるいは、3枚の板を接合して形成してもよい。内殻部材11b、12b、13bについても同様である。
図2では、外殻部材11a、12a、13aの一部を切り欠いて内殻部材11b及び13bを露出させて示している。外殻部材11a、12a、13a、内殻部材11b、12b、13bは、それぞれ左右上下方向に平行な断面形状がコ字状であり、すなわちドーム状に形成されている。よって、中空壁全体が断面コ字状すなわちドーム状となる。
さらに、左側壁11(右側壁12についても同様)における反応ガス流通空間内には、外殻部材11aと内殻部材11bとの間に横架される複数の部分的仕切り板24が上下方向に所定間隔を空けて互い違いに設けられており、これにより蛇行流路が形成されている。蛇行流路の下端は、反応ガス入口流路ケース21の上面上に位置する。この部分において、反応ガス入口流路ケース21の上壁には複数の流入スリット23が適宜穿設されている。
またさらに、上壁13の内殻部材13bには、発電室17内に垂下する反応ガス導入部材40と連通する連通孔43が穿設されている。図2には現れていないが、上壁13の中央に対して左右対称に一対の反応ガス導入部材40が設けられており、各々につき2つの連通孔43を具備するので、連通孔43は合計4つある。
図2のケーシング10について、反応ガス供給管22から供給された反応ガスの流れを説明する(白矢印)。反応ガスは、反応ガス入口流路ケース21内に入り、流入スリット23を通って反応ガス流通空間の蛇行流路に入る。そして蛇行流路を蛇行しつつ下方から上方へ上昇していく。蛇行流路の上端に達すると上壁13の反応ガス流通空間に入り、上壁13の内殻部材13bの連通孔43を通って反応ガス導入部材40内に流入し、反応ガス導入部材40の下部に設けられた導入開口42から発電室17内に放出される。
図3は、図1のX断面を概略的に示す図である。外殻部材11a、12a、13aと内殻部材11b、12b、13bとにより形成された中空壁である反応ガス流通空間20については、図2で説明した通りである(但し、反応ガス流通空間20の幅については誇張して示している。以下同様の断面図において同じ)。反応ガス導入部材40は、互いに所定間隔を空けて並設された一対の板部材41a、41bにより反応ガス導入空間44を形成しており、反応ガス導入空間44の下部において一方の板部材41aに導入開口42を設けている。図示の例では、反応ガス導入部材40が上壁中央に対して左右対称に両側にそれぞれ設けられているため、導入開口42は、一対の板部材のうち中央側の板部材41aに穿設され、発電室17の中央に向かって反応ガスを放出するようにしている。図3中、白矢印は反応ガスの流れを、黒矢印は排ガスの流れを概略的に示している。
図3に示すように、左右側壁の内殻部材11b、12bの各々の発電室17側には、所定間隔を空けて排ガス用内壁31がそれぞれ並設されている。これにより、排ガス流通空間30が形成される(但し、排ガス流通空間30の幅については誇張して示している。以下同様の断面図において同じ)。排ガス流通空間30の上部は、発電室17と連通している。排ガス流通空間30内にも、反応ガス流通空間20と同様に蛇行流路が設けられている。すなわち、左右側壁の内殻部材11b、12bの各々と排ガス用内壁31との間に横架される複数の部分的仕切り板34を上下方向に所定間隔を空けて互い違いに設けることにより蛇行流路を形成している。これについては、後述する図5において詳細に示す。
左側壁の貫通孔52は、反応ガス流通空間20及び排ガス流通空間30の双方を密閉状態に保持したまま貫通している。貫通孔52にはヒーターや温度センサを挿通し、発電室17内まで到達させることができる。貫通孔52は、左右側壁の少なくとも一方に1または複数設ければよい。例えば、必要に応じて一方の側壁に2つ設けてもよく、両側に1つずつ設けてもよい。
図3では、発電室17内に配置される構成要素の一例を概略的に点線で示している。中央には2つのセルスタック80が並置され、それらの上方に改質器71が適宜の支持手段により配置されている。各セルスタック80はマニホールド72の上面に装着され、マニホールド72の上面を通して燃料ガスがセルスタック80の各燃料電池セルの燃料極に供給される。反応ガス導入部材40と排ガス用内壁31との間及びマニホールド72と下壁14との間には適宜断熱材61、62が充填されている。
ここで、燃料電池モジュール1における発電時のガスの流れを概略説明する。例えば、管により被改質ガスを改質器71に供給し、改質触媒により改質された水素リッチな燃料ガスがマニホールド72に送られ、さらにマニホールド72からセルスタック80の燃料電池セルの燃料極に対して供給される。一方、反応ガス供給管から酸素含有ガスが供給され、反応ガス流通空間及び反応ガス導入部材を通って発電室17内に供給され(すなわち燃料電池セルの酸素極に対して供給され)、燃料電池反応により発電が行われる。燃料電池セル及び発電反応の詳細については、後に図12において詳述する。
発電に使用されなかった燃料ガス及び酸素含有ガスは、発電室17の上方に流動し、燃焼装置のある場合は点火されて燃焼され、排ガスとなる。セルスタック80における発電に起因して、そしてまた燃料ガスと酸素含有ガスとの燃焼に起因して発電室17内は例えば700〜1000℃程度の高温になる。そして、高温の排ガスは、排ガス流通空間30へその上端から入り、蛇行流路を下降し、排出スリット35から排ガス出口流路ケース32に入り、排ガス排出管から排出される。高温の排ガスが蛇行流路を下降する一方で、隣接する反応ガス流通空間20の蛇行流路を上昇する低温の反応ガスは排ガスの熱により予熱され、熱交換が行われる。
図4(a)は、図1〜図3に示した反応ガス導入部材40を発電室外側から観た斜視図であり、図4(b)は、同じく発電室中央側から観た斜視図である。反応ガス導入部材40は一対の板部材41a、41bで挟まれた中空空間をもつ平たい箱を立てた形状であり、発電室内ではその長手方向がセルスタックの燃料電池セルの配列方向に沿うように設置される。上端には、反応ガス流通空間との連通孔43が開口している。上端中央部の凹部45は、図3を参照すると明らかな通り、排ガスが発電室中央部から排ガス流通空間へと通り抜けるための通路となるために設けられている。発電室中央側に向く面41aの下部には、反応ガスを放出するための導入開口42が適宜穿設される。従来の反応ガス導入管は一般にセラミック製であったが、反応ガス導入部材40は金属材料から作製できる。
図5(a)は、排ガス用内壁31、排ガス出口流路ケース32及び排ガス排出管33の部分について、発電室外側から観た斜視図であり、図5(b)は、同じく発電室中央側から観た斜視図である。排ガス用内壁31は平板であり、その両端には、排ガス流通空間の幅を規定する折り曲げ部31aが形成されている。これらの折り曲げ部31aの縁部は、左側壁または右側壁の内殻部材へ接合される。排ガス流通空間内には、複数の部分的仕切り板34を上下方向に所定間隔を空けて互い違いに設けることにより蛇行流路が形成されている。蛇行流路の下端は、排ガス出口流路ケース32の上面上にあり、この部分において排ガス出口流路ケース32の上壁には複数の排出スリット35が適宜穿設されている。これらの部品はいずれも金属材料から作製できる。
図5(a)中の黒矢印は、排ガスの流れを示す。排ガス流通空間の上端から流入し、蛇行流路を下降して排出スリット35を通り、排ガス出口流路ケース32内に入り、排ガス排出管33から排出される。
図6は、本発明の燃料電池モジュールの別の実施形態における、図3に相当する断面図である。本実施形態では、上壁の内殻部材13bから垂下する反応ガス導入部材40’が上壁中央位置に1つだけ設けられている。図6の反応ガス導入部材40’は、反応ガス導入空間を形成する一対の板部41a、41bの下部の双方に導入開口42a、42bが穿設されている。これにより、発電室中央から両側へ向かって反応ガスが放出される(白矢印)。尚、別の実施形態として、反応ガス導入部材40’は、その長さ方向に直線状に延びる複数の管部材を、適宜の間隔を空けて配置して設けることもできる。
図6の実施形態における反応ガス導入部材40’は発電室中央に設けられるので、図4の実施形態とは異なり、上端に排ガス通路となる凹部を設ける必要がない。従って、反応ガス流通空間との連通孔43も1つであり、長手方向に連続的に延在する。導入開口42は片側のみならず、反対側にも同様に設けられている。導入開口42a、42bは、セルスタックのセル配列方向中央部に多く反応ガスを供給できるように、導入開口42a間、導入開口42b間の形成距離が中央部が短くなっている。これにより、より高温となりやすいセルスタック中央部を冷却することができる。
図7は、本発明の燃料電池モジュールのさらに別の実施形態の外観斜視図である。図8は、図7のY断面を概略的に示す図である。図1に示した実施形態との相違点は、ケーシング10の下壁部分に排ガス出口貯留室36と、反応ガス入口貯留室26とを設けたことである。排ガス出口貯留室36は発電室17の直下に設けられ、その左右両側において左右側壁に設けられた排ガス流通空間30とそれぞれ連通する。また、前端部に排ガス排出管33が接続されている。
反応ガス入口貯留室26は、排ガス出口貯留室36の直下に設けられ、その左右両側において左右側壁の設けられた反応ガス流通空間20とそれぞれ連通する。また、その後端部に反応ガス供給管22が接続されている。白矢印で反応ガスの流れを示すように、反応ガス供給管22から供給された反応ガスは、一旦、反応ガス入口貯留室26の大空間に入った後、左右側壁の狭い反応ガス流通空間20へと入る。圧損の低い大空間から圧損の高い小空間へ流れ込むことにより均一な流れが確保される。この効果により、本実施形態では蛇行流路を省くことが可能となる(もちろん、任意に設けてもよい)。また、反応ガス入口貯留室26は排ガス出口貯留室36の大空間の直下に設けられるため反応ガスが高温の排ガスから熱を与えられ、予熱された状態で左右側壁の反応ガス流通空間20を上昇することとなり両側壁における熱損失が低減される。
その他の点については、図1〜図5に示した実施形態と同様である。左右側壁の反応ガス流通空間20を上昇した反応ガスは、上壁の内殻部材13bに穿設された連通孔から反応ガス導入部材40に流入し、その下部の導入開口42から発電室17内に放出される。
図9は、本発明による燃料電池モジュールのさらに別の実施形態の外観斜視図である。前後方向及び左右方向については図1と同様とする。図9では、ケーシング10の前側壁(図示せず)を開け、内部に収容されている燃料電池セルスタック装置2を前方に取り出した状態を示している。
図10は、図9の燃料電池モジュールについての図8に相当する断面図である(ただし、燃料電池セルスタック装置を収容した状態で示している)。
図10に示すケーシング10は、図8に示した実施形態の変形形態であり、下壁部分に、中央で分離された2つの排ガス出口貯留室36a、36bと、2つの反応ガス入口貯留室26a、26bとがそれぞれ設けられている。
左側の排ガス出口貯留室36aは、左側壁の排ガス流通空間30と連通し、右側の排ガス出口貯留室36bは、右側壁の排ガス流通空間30と連通する。各排ガス出口貯留室36a、36bの後端部に排ガス排出管33がそれぞれ接続されている。
また、左側の反応ガス入口貯留室26aは、左側壁の反応ガス流通空間20と連通し、右側の反応ガス入口貯留室26bは、右側壁の反応ガス流通空間20と連通する。各反応ガス出口貯留室26a、26bの前端部に反応ガス供給管22がそれぞれ接続されている。
図10のケーシング10は、その他の点については図6に示した実施形態と同様である。左右側壁の反応ガス流通空間20を上昇した反応ガスは、上壁の内殻部材13bに穿設された連通孔から反応ガス導入部材40に流入し、その下部から発電室17内に放出される。
次に、本発明の燃料電池モジュールにおける燃料電池セルスタック装置について説明する。
再び図9を参照すると、ケーシング10内に収容される燃料電池セルスタック装置2は、複数の燃料電池セル81を一列に配列したセルスタック80a、80bを有する。これら2つのセルスタック80a、80bは、セル配列方向を平行として並置され、マニホールド72上に固定されている。マニホールド72は、その内部空間に燃料ガスを収容する燃料ガスケースである。セルスタック80a、80bのセル配列方向の端部には電流取り出し部材91aが設けられ、前方に延びている。
改質器71は、セルスタック80a、80bの上方に配置され、被改質ガス供給管71a及び水供給管71bが後端部に連結されている。また、改質器71の後端部近傍からは、マニホールド71へ向かってガス供給管71cが延び、マニホールド71の上面に接続されている。改質器71の前端部からは温度センサ71dが挿入されている。
図11は、図9に示した一対のセルスタックのうちの一方のセルスタック80aを示す図である。図11(a)は平面図、図11(b)は右側面図、図11(c)は前側面図、図11(d)は(b)のA部拡大図である。
セルスタック80aは、複数の燃料電池セル81を一列に配列させ形成される。隣り合う2つの燃料電池セル81の間には集電部材97が挿入配置され、これらの燃料電池セル81を電気的に接続している。さらに、セルスタック80aの両端部には電流取り出し部材90a、90bがそれぞれ設けられている。
図12は、燃料電池セル81の断面を含む部分斜視図である。燃料電池セル81は全体形状が平板柱状であり、ガス透過性のある導電性支持体81aの内部に軸方向に沿って複数の燃料ガス通路81bが穿設されている。導電性支持体81aの外周面における一方の平面上に燃料極81c、固体電解質81d及び酸素極81eが順次積層されている。酸素極81eに対向する他方の平面上には接合層81gを介してインターコネクタ81fが設けられ、その上に接触抵抗低減用のP型半導体層81hを設けている。
斯かる燃料電池セル81では、燃料ガス通路81bに燃料ガス(水素リッチなガス)を流すことにより燃料極81cに水素を供給し、一方、燃料電池セル81の周囲に酸素含有ガス(例えば、空気)を供給することにより酸素極81eに酸素を供給する。これにより、酸素極81e及び燃料極81cで次の電極反応がそれぞれ生じることによって発電する。発電反応は600〜1000℃で行われる。
酸素極:1/2O+2e→O2−(固体電解質)
燃料極:O2−(固体電解質)+H→HO+2e
再び図11を参照すると、上記の発電反応により生じた電流は、集電部材97を介して直列接続された各燃料電池セル81を流れ、セルスタック80aの両端部にそれぞれ設けた電流取り出し部材90a、90bにより外部の電力変換装置へ出力される。
図13(a)は、一方の電流取り出し部材90aの外観斜視図であり、図13(b)は、他方の電流取り出し部材90bの外観斜視図である。以下、図11及び図13を参照して、セルスタック端部における電流取り出し構造について説明する。
セルスタック80aの前方側の最端に位置する燃料電池セル81の端部側には、端部集電部材(中間の集電部材97と同じでもよい)を介して電流取り出し部材90aが配置される。電流取り出し部材90aと端部集電部材の間には、電流の局所集中を防止するために導電性セラミック材料または導電性接着剤を介在させてもよい。電流取り出し部材90aは、コスト的に有利な耐熱性合金で形成される。電流取り出し部材90aは、平板部92aとその両縁から屈曲して平板部92aに対してほぼ垂直に前方に延びる一対の側板部94aを具備する形状である。この形状は、電流取り出し部材90aの剛性を大きくし安定に立設するために好適である。また、電流取り出し部材90aは、広い面積をもつ平板部92aの全面で端部集電部材と接触でき、かつその厚みを十分厚くすることができるため、抵抗を小さくして電力損を低減することができる。
さらに、平板部92aの下端中央近傍から平板部92aに対して垂直に帯状の電流取り出し片91aが前方に延びている。電流取り出し片91aの中間部には階段状の屈曲部93aが設けられているが、これは、後に図15でも説明するが、マニホールドの形状に適合させるためである。電流取り出し片91aの先端は、適宜の電気配線を介して外部に接続される。このように電流取り出し片91aは、剛性のある電流取り出し部材90aの一部であり一体化されているため、振動や衝撃により脱離するおそれがない。電流取り出し部材90aの下端には屈曲した脚部95aが設けられ、これにより立設可能である。
一方、セルスタック80aの後方側には、同様にして電流取り出し部材90bが配置される。電流取り出し部材90bは、電流取り出し部材90aとほぼ同じ形状であるが、図11(d)に示す通り、電流取り出し片91bの長さと、その中間部における屈曲部93bの形状が相違する。これも、後に図15で説明するが、マニホールドの形状に適合させるためである。
なお、燃料電池セル81間に挿入配置される集電部材97は、セル配列方向に伸縮可能な弾性を具備している。従って、セルスタック80aを設置するときは、その両端部から押圧力を付加して集電部材97を弾性変形させることにより、燃料電池セル81との良好な電気的接続を確保する。従って、セルスタック80aの両端部に配置される電流取り出し部材90aと90bは、セルスタック80aを押圧状態に保持するための押さえ板の役割も果たしている。よって、一対の電流取り出し部材90a、90bがセルスタック80aをセル配列方向の両側から押圧し、その状態でセルスタックが固定されることになる。固定方法の詳細については後述する。
図14及び図15は、図9に示した一対のセルスタック80a、80bと、これらを支持固定するマニホールド72とを示す図である。なお、セルスタック80bは、図11〜図13において説明したセルスタック80aと同じ構成である。図14(a)は平面図、図14(b)は右側面図、図14(c)は(b)のB断面図、図14(d)は後側面図である。さらに、図15(a)は、図14(b)のC部拡大断面図、図15(b)は同じくD部拡大断面図、図15(c)は図14(c)のE部拡大断面図である。
図14に示す通り、一対のセルスタック80a、80bは、1つのマニホールド72の上面に支持固定される。マニホールド72は、上下に分離された上部ケース72aと下部ケース72bとの組み合わせからなる。ただし、上部ケース72aは、各セルスタック80a、80bを支持固定するために2つ設けられている。下部ケース72bは1つである。
図16は、下部ケース72bを示す図であり、図16(a)は平面図、図16(b)は右側面図、図16(c)は(a)のH断面図、図16(d)は(a)のI断面図である。
図17は、上部ケース72aを示す図であり、図17(a)は平面図、図17(b)は右側面図、図17(c)は(a)のG断面図、図17(d)は(a)のF断面図である。
以下、図14〜図17を参照してマニホールド72の構成を説明する。
図16に示す通り、下部ケース72bは、皿状の底部材72b2と、底部材72b2の上端開口を覆う蓋部材72b1とを接合して形成される。下部ケース72bの蓋部材72b1の上面には、一対の開口部72b3が設けられており、各開口部72b3の内周縁には、開口面内に張り出した支持部72b4が設けられている。これらの開口部72b3の支持部72b4上に、図17に示す上部ケース72aが1つずつ載置される。さらに、蓋部材72b1の上面には、図9に示した改質器71からの燃料ガス供給管71cが接続されるガス導入孔72cも設けられる。
図15(c)の拡大図に示す通り、マニホールド72の内部空間は、上部ケース72aと下部ケース72bとを接合した状態で一室となっており、ガス導入孔72cから流入した燃料ガスが収容される。このガス導入孔72cには、改質器71に接続されたガス供給管71cの下端部が接続されている。
図14、15を用いて説明すると、軸長方向に燃料ガス通路81bを有する複数の燃料電池セル81が集電部材97により電気的に接続され、セルスタック80a、80bが構成されており、該セルスタックの燃料電池セル軸長方向側(下端部)がマニホールド72に接合され、この扁平箱状のマニホールド72の上面には、図15(d)に模式的に示すように、燃料電池セル81の軸長方向側(下端部)が接合されるとともに、燃料ガス供給管71cの下端部が接続されている。ガス供給管71cによりマニホールド72内にガスを供給し、マニホールド72内のガスが、複数の燃料電池セル81の燃料ガス通路81b内にそれぞれ供給され、燃料電池セル81の上端から余剰の燃料ガスが放出されるようになっている。
そして、ガス供給管71cは、マニホールド72のセルスタックが接合された側、即ちマニホールド72の上面、さらに言い換えれば、マニホールド72の天板に接続されている。これにより、燃料ガスは、燃料ガス供給管71cによりマニホールド72の内側底面に向けて供給される。
このようなセルスタック装置では、ガスのマニホールド72内への供給が、ガス供給管71cにより、燃料電池セル81の燃料ガス通路81bのガス流れ方向に対して、対向方向に導入されるため、燃料ガス供給管71cから吐出された燃料ガスが一旦マニホールド72の内側底面に当たり、それから燃料電池セル81の燃料ガス通路81bを通過するようになるため、燃料ガス供給管71cに近い部位に設置された燃料電池セル81に対してガスの流速を遅くすることができ、複数の燃料電池セル81に対してほぼ均等にガスを供給することができる。
また、上記したように、マニホールド72が耐熱性合金板を扁平箱状に加工して形成されているため、セルスタック80を安定して燃料の分配精度良くマニホールド72に接合することができる。このような底が浅いマニホールド72では、図19(b)に示すように、従来のようにマニホールド72の側面にガス供給管143を接続すると、ガス供給管143に近い部分ではガスの流速が早くなり、ガス供給管143に近い位置に設けられた燃料電池セルの燃料ガス通路内にはガスが入りにくくなるため、本発明を用いる意義が大きい。
また、図15に示すように、一つのマニホールド72に複数のセルスタックが設けられているため、一つのマニホールド72だけでよく、コストダウンが可能となる。
さらに、図9に示すように、セルスタック80の上方に改質器71が配置されており、改質器71に燃料ガス供給管71cの上端部が接続され、改質器71が支持固定されている。このようなセルスタック装置では、改質器71をガス供給管71cによりマニホールド72に支持固定することができる。
上部ケース72aは、図17に示す通り、開口部72a3の周囲を囲む環状部72a1から形成される。開口部72a3内には、セルスタックの各燃料電池セルの下端部が配設される。環状部72a1は、断面U字状に内方に折り曲げられた折り返し部72a4を形成されている。この折り返し部72a4を形成した形状は、マニホールド72と、開口部72a3に配設される燃料電池セルと、燃料電池セルを固定するシール材との間の熱膨張係数の差により発生する応力を緩和するために好適である。この結果、これらの間の接合強度が向上し、安定した固定状態が確保される。また、環状部72a1の下端72a2は、上述の下部ケース72bの開口部72b3の支持部72b4上に、電気的に絶縁された状態で載置される。
ここで、図15(a)及び(b)を参照すると、下部ケースの支持部72b4上には絶縁性のセラミック板73が置かれ、その上に上部ケース72aの下端が載置されている。セラミック板73は、例えばマイカ板またはフォルステライトである。さらに、上部ケースと下部ケースとは、その間にガラス等の絶縁性のシール材74が充填されることにより接合されている。これらのセラミック板73及びシール材74により、上部ケースと下部ケースとの絶縁性が確保される。なお、絶縁性の薄膜または薄板であればセラミック板に限られない。通常、マニホールド72はコスト的に有利な耐熱性合金から形成されることが好適である。従って、このように上部ケースと下部ケースとの電気的絶縁を確保することにより、仮に上部ケース72aが燃料電池セル81と導通した場合にも、下部ケースを絶縁状態に保持することができ、燃料電池モジュールの他の構成部材への漏電を防止することができる。
さらに、図15(a)及び図15(b)を参照すると、セルスタックの各燃料電池セル81の下端部と電流取り出し部材90a、90bの下端部とは、上部ケース72aの開口部内において、ガラス等の絶縁性のシール材76に埋設されるように支持固定されている。この結果、セルスタックがその両端部の電流取り出し部材90a、90bにより押圧された状態で固定される。なお、支持固定された燃料電池セル81の燃料ガス通路81bは、マニホールド72の内部空間と連通している。これにより、マニホールド72に収容された燃料ガスが、燃料電池セル81の燃料ガス通路81b内へ供給される。
このように、セルスタックがマニホールド72に固定されているため、一部の燃料電池セル81が破損した場合にはマニホールド72とともにセルスタックを取り出して交換することができる。この形態は、燃料電池セルが直接ケーシングに固定された形態に比べてメンテナンスが容易である。
さらに、図15(a)を参照すると、電流取り出し部材90aから外方へ延びる電流取り出し片91aは、その下面の一部がガラス等の絶縁性のシール材75によりマニホールド72に固定されている。これにより、電流取り出し片91aはマニホールド72との電気的絶縁を確保すると同時に、振動や衝撃に対して安定となる。また、電流取り出し片91aに設けられた階段状の屈曲部93aは、マニホールド72の外郭形状に沿った形状となっている。これによっても、電流取り出し片91aとマニホールド72との接触が避けられる。
さらに、図15(b)を参照すると、電流取り出し部材90bから外方へ延びる電流取り出し片91bもまた、その下面の一部が絶縁性のシール材75によりマニホールド72に固定されている。これにより、電流取り出し片91bはマニホールド72との電気的絶縁を確保すると同時に、振動や衝撃に対して安定となる。また、電流取り出し片91bに設けられた屈曲部93bもまた、マニホールド72の外郭形状に沿っており、マニホールド72との接触を避けることができる。
図14(a)を再び参照すると、セルスタック80aと80bの各々の後方端部の電流取り出し部材90b、90b同士が、導電性の連結部材99aにより電気的に接続されている。各電流取り出し部材90bと連結部材99aとは、固定具99bにより接続固定されている。これにより、セルスタック80a及び80bに含まれる全ての燃料電池セル81が直列に接続されるため、前方端部の一対の電流取り出し部材90a、90aにより外部へ電流取り出しすることができる。
ここで図9を再び参照すると、改質器71は、前後方向に長く延びる略直方体形状の第1ケース71fと第2ケース71hとを互いに平行に配置させて形成される。さらに、双方のケースの前端部同士は、中空の連結部71gにより連結されており、内部空間は連通している。よって、改質器71の全体形状は略U字状である。
第1ケース71fはセルスタック80aの上方に、第2ケース71hはセルスタック80bの上方に位置しており、セルスタックからの排熱を改質器71の温度保持のために有効利用できる。また、ケーシング10の上壁から垂下する反応ガス導入部材40は、発電室17内において、第1ケース71fと第2ケース71hの間の空間を通るように配置される。なお、改質器71に接続または挿入されるガス供給管やセンサは、ケーシング10内部から外部へ延びている。ケーシング10にはこれらのガス供給管やセンサを挿通させるための孔が適宜設けられている。
尚、上記形態では、2つのセルスタック80a、80bをマニホールド72の上面に並列的に配置し、マニホールド72の隅に燃料ガス供給管71cを接続した状態について説明したが、本発明のセルスタック装置は、2つのセルスタック間に位置するマニホールドに燃料ガス供給管を接続しても良く、さらに、複数のセルスタック、例えば3つ以上のセルスタックをマニホールドに設け、3つ以上のセルスタックからなるセルスタック集合体の中央部に位置するマニホールドの上面に、燃料ガス供給管を接続しても良い。このようなセルスタック装置では、セルスタック集合体の中央部から、ガスを周囲のセルスタックの燃料電池セルにほぼ均等に供給することができる。
さらに、上記形態では、2つのセルスタック80a、80bをマニホールド72の天板に支持固定した形態について説明したが、本発明のセルスタック装置では、図18に示すように、燃料電池セル81の軸長方向側端部(下端部)が、マニホールド72の内側側面又は内側底面に支持されていても良い。
図18(a)は、マニホールドの内部空間の断面形状が三角形状とされ、その内側側面である傾斜面に燃料電池セルの平坦な下面の両端部が支持固定され、(b)は、マニホールドの内部空間の断面形状が円弧形状とされ、その内側側面である傾斜面に燃料電池セルの平坦な下面の両端部が支持固定され、(c)は、マニホールドの内部空間の断面形状が円弧形状とされ、その内側側面である傾斜面の一部に段差部が形成され、その段差部に燃料電池セルの平坦な下面の両端部が支持固定され、(d)は、マニホールドの内部空間の断面形状が矩形状とされ、その内側側面である垂直壁の一部に段差部が形成され、その段差部に燃料電池セルの平坦な下面の両端部が支持固定され、(e)は、燃料電池セルを片側から斜めに切り欠き、その先端部がマニホールドの内側底面に支持固定され、(f)は、燃料電池セルを両側から斜めに切り欠き、その中央先端部がマニホールドの内側底面に支持固定され、(g)は、燃料電池セルを両側から中央へ斜めに切り欠き、その両側先端部がマニホールドの内側底面に支持固定され、(h)は、燃料電池セルの先端部が円弧凸状とされ、その先端部がマニホールドの内側底面に支持固定され、(i)は、燃料電池セルの先端部が円弧凹状とされ、その両側先端部がマニホールドの内側底面に支持固定され、(j)は、燃料電池セルの平坦先端部が絶縁性支持部材121を介して、マニホールドの内側底面に支持固定された状態を示すもので、これらの図18(a)〜(j)では、燃料電池セルのガス通路が形成された下端面と、マニホールド内側側面又は内側底面との間に隙間があり、燃料電池セルのガス通路へガス供給可能に形成されている。
尚、図18では、一つのマニホールド72に一つのセルスタックを支持固定した場合について説明したが、一つのマニホールド72に複数のセルスタックを支持固定しても良い。この場合には、複数のセルスタックの重量がマニホールドに作用するため、図18のようにセルの下端部を天板以外の部分に支持固定することが望ましい。
このような燃料電池モジュールでは、マニホールド72を薄い耐熱性合金板を用いて形成したとしても、セルスタックがマニホールドの内側側面又は内側底面に支持固定され、天板の変形を抑制することができるとともに、セルスタックのマニホールドへのシール材においても大きな応力が発生することがない。さらに、ガス供給管から吐出されたガスは、マニホールド底面に当たり底面から天板側に流れようとするため、ガス供給管近くの燃料電池セルにおけるガスの流速をさらに遅くすることができ、ガスを一層均等に供給することができる。
図18の場合、マニホールドとの絶縁性を確保するために、導電性のあるインターコネクタや燃料極がマニホールドと接触することが無いように、必要に応じて絶縁性のシール材、マイカ板、断熱材等の絶縁部材を介してマニホールドの内側側面又は内側底面に支持固定されることが望ましい。尚、図18では、マニホールド、セルスタックを概念的に記載した。
本発明による燃料電池モジュールの一実施形態の外観斜視図である。 図1の燃料電池モジュールの前壁を除いたケーシングの一部切り欠き斜視図である。 図1のX断面を概略的に示す図である。 (a)は、反応ガス導入部材の一方の側から観た斜視図であり、(b)は、同じく他方の側から観た斜視図である。 (a)は、排ガス用内壁、排ガス出口流路ケース及び排ガス排出管の部分について、発電室の外側に向く側から観た斜視図であり、(b)は、同じく発電室の中央側から観た斜視図である。 本発明の燃料電池モジュールの別の実施形態における、図3に相当する断面図である。 本発明の燃料電池モジュールのさらに別の実施形態の外観斜視図である。 図7のY断面を概略的に示す図である。 本発明による燃料電池モジュールのさらに別の実施形態の外観斜視図である。 図9の燃料電池モジュールについての図8に相当する断面図である。 図9に示した一対のセルスタックのうちの一方のセルスタックを示す図である。(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は前側面図、(d)は(b)のA部拡大図である。 燃料電池セルの断面を含む部分斜視図である。 (a)は、一方の電流取り出し部材の外観斜視図であり、(b)は、他方の電流取り出し部材の外観斜視図である。 一対のセルスタックとマニホールドとを示す図であり、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は(b)のB断面図、(d)は後側面図である。 (a)は図14(b)のC部拡大断面図、(b)は図14(b)のD部拡大断面図、(c)は図14(c)のE部拡大断面図、(d)は燃料ガス供給管とセルスタックとの関係を示す模式図である。 マニホールドの下部ケースを示す図であり、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は(a)のH断面図、(d)は(a)のI断面図である。 マニホールドの上部ケースを示す図であり、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は(a)のG断面図、(d)は(a)のF断面図である。 セルスタックがマニホールドの内側側面又は内側底面に支持固定された模式図である。 従来の燃料電池モジュールの典型例を示すもので、(a)は概略断面図、(b)は燃料ガス供給管とセルスタックとの関係を示す模式図である。
符号の説明
10 ケーシング
71 改質器
71c ガス供給管
72 マニホールド
80 セルスタック
81 燃料電池セル
81b ガス通路

Claims (5)

  1. 軸長方向にガス通路を有する複数の燃料電池セルを電気的に接続して配列してなるセルスタックの複数個と、それぞれの該セルスタックが、前記燃料電池セルの配列方向が平行となるように並置され、かつ前記燃料電池セル軸長方向側が上面側に接合されて前記複数の燃料電池セルの前記ガス通路と連通する中空状のマニホールドと、前記複数個のセルスタックの上方に配置された1つの改質器と、該改質器と前記マニホールドとを接続し、前記改質器を前記マニホールドに固定するとともに、前記改質器にて改質された燃料ガスを前記マニホールドに供給するためのガス供給管とを備え、
    前記ガス供給管が、前記マニホールドの前記セルスタックが接合された上面側であって、前記燃料電池セルの配列方向の一端側でかつ前記セルスタックの配列方向の一端側に接続されていることを特徴とするセルスタック装置。
  2. 前記ガス供給管により供給される燃料ガスが、前記マニホールドの内側底面に向けて供給されることを特徴とする請求項1記載のセルスタック装置。
  3. 前記マニホールドが耐熱性合金板を扁平箱状に加工して形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のセルスタック装置。
  4. 前記複数の燃料電池セルの軸長方向側端部が、前記マニホールドの内側側面又は内側底面に支持されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載のセルスタック装置。
  5. 請求項1乃至4のうちいずれかに記載のセルスタック装置が収納容器内に収納されていることを特徴とする燃料電池モジュール。
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