JP5136683B2 - 回転電機の冷却構造 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の分割コアの外周に締結部材を装着してそれら複数の分割コアを一体化させたステータを有する回転電機を冷却する冷却構造に関する。
内部にロータ及びステータを収納するハウジングを備え、そのハウジングのうちステータの径方向外側に位置する部分に冷却水が流通するウォータジャケットが設けられた電動機が知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
特開2008−206213号公報 特開平06−099745号公報
特許文献1の電動機では、ハウジングの壁面内にウォータジャケットを加工する必要がある。そのため、加工に手間が掛かり、製造コストが高くなるおそれがある。
そこで、本発明は、従来よりも簡素な構成で冷却液が供給される冷却ジャケットを形成することが可能な回転電機の冷却構造を提供することを目的とする。
本発明の回転電機の冷却構造は、環状に組み合わせた複数の分割コアの外周に締結部材を装着して前記複数の分割コアを一体化させたステータを有する回転電機と、前記回転電機が内部に収容されるケースと、を備えた冷却構造であって、前記締結部材は、円筒状の円筒部と、前記円筒部の軸線方向の一端に全周に亘って設けられて前記円筒部から径方向外側に延びるフランジ部と、を備え、前記ケースには、内径が前記円筒部の外径より大きく、かつ前記フランジ部の外径より小さい内周壁を有し、前記内周壁と前記円筒部の外周面とが対向するように内部に前記ステータが収容される収容部と、前記フランジ部が配置される側の前記内周壁の端部から径方向外側に延びて前記フランジ部が取り付けられる第1壁面と、前記円筒部の軸線方向の他端が配置される側の前記内周壁の端部から径方向内側に延びて前記円筒部の前記他端が当接する第2壁面と、が設けられ、前記ケースと前記ステータとの間に、前記収容部の前記内周壁、前記円筒部の前記外周面、前記フランジ部、及び前記第2壁面にて形成されて冷却液が供給される冷却ジャケットが設けられる。
本発明の冷却構造では、収容部の内周壁、円筒部の外周面、フランジ部、及び第2壁面にて冷却ジャケットを形成するので、ケースの外周壁内に空間を加工する必要がない。また、この冷却構造では、収容部の内周壁とステータとが接触しないので、内周壁を高い加工精度で加工する必要がない。このように本発明の冷却構造によれば、構造を簡略化して加工の手間を軽減できる。そのため、製造コストを低減できる。また、この冷却構造では、オイルが締結部材と直接接するので、ステータからオイルに熱が伝達し易い。そのため、ステータの冷却効率を向上させることができる。
本発明の冷却構造の一形態において、前記冷却液は、オイルであり、前記冷却ジャケットには、その内部のオイルを前記ステータの分割コアのコイルエンドに供給する供給通路が設けられていてもよい。この場合、オイルを分割コアのコイルエンドに供給できるので、冷却効率をさらに向上させることができる。
この形態において、前記供給通路は、前記フランジ部のうちオイルを供給すべき供給対象のコイルエンドの上方に位置する部分の一部が切り取られることによって設けられていてもよい。この場合、回転電機をケース内に組み付ける前に加工することができるので、加工作業の手間を軽減できる。
本発明の一形態に係る冷却構造が適用された回転電機を示す図。 ステータを図1の矢印II方向からから見た図。 ステータを図2の矢印III方向から見た図。
図1は、本発明の一形態に係る冷却構造が適用された回転電機を示している。この回転電機1は、電動機及び発電機として機能するモータジェネレータであり、車両に走行用動力源として搭載される。回転電機1は、ロータ2及びステータ3を備えている。図2は、ステータ3を図1の矢印II方向からから見た図である。また、図3はステータ3を図2の矢印III方向から見た図である。図2に示すようにステータ3は、複数の分割コア4と、それら分割コア4を一体化させる締結部材としての焼嵌めリング5とを備えている。複数の分割コア4は環状に組み合わされており、焼嵌めリング5はそれら分割コア4の外周に装着されている。焼嵌めリング5は、複数の分割コア4を外周側から締め付けて一体化させている。図3に示すように焼嵌めリング5の軸線Ax方向の長さは、各分割コア4のコイルエンド4aが焼嵌めリング5から突出するように設定されている。焼嵌めリング5は、円筒状の円筒部6と、その円筒部6から径方向外側に延びるフランジ部7とを備えている。フランジ部7は、円筒部6の軸線Ax方向の一端に全周に亘って設けられている。この図に示すようにフランジ部7には、その一部が切り取られて切り欠き部8が設けられている。また、円筒部6の軸線Ax方向の他端6aにもその一部が切り取られて切り欠き部9が設けられている。この切り欠き部9は、フランジ部7の切り欠き部8と軸線Ax方向に並ぶように設けられている。なお、ロータ2は、車両に搭載される周知のモータジェネレータのものと同じであるため詳細な説明は省略する。
図1に示すように回転電機1は、ケース10内に収容されている。ケース10には、内部に回転電機1を収容する収容部11が設けられている。収容部11の内周壁11aは、その内径がステータ3の円筒部6の外径より大きく、かつフランジ部7の外径より小さくなるように形成されている。また、内周壁11aは、フランジ部7が配置される側から円筒部6の軸線Ax方向の他端6aが配置される側に向かって、すなわち図1の左側から右側に向かって内径が漸次小さくなるように形成されている。一般にケース10は鋳造される鋳物又はダイキャスト品である。周知のように鋳造品には、鋳型から取り出し易くするための抜き勾配が設けられている。この内周壁11aの傾斜はその抜き勾配である。また、ケース10は、フランジ部7が配置される側の内周壁11aの端部11bから径方向外側に延びる第1壁面12と、円筒部6の他端6aが配置される側の内周壁11aの端部11cから径方向内側に延びる第2壁面13とを備えている。この図に示したように第1壁面12は、収容部11に回転電機1が収容された場合にステータ3のフランジ部7が当接するようにケース10に設けられている。そして、この第1壁面12にはフランジ部7が回転不能に固定される。これによりステータ3がケース10に固定される。第2壁面13は、収容部11に収容されたステータ3の円筒部6の他端6aが当接するようにケース10に設けられている。
回転電機1は、この収容部11内に同軸に収容される。この際、回転電機1は、切り欠き部8、9が最も高い位置に配置されるように収容される。このように回転電機1が収容されることにより、ケース10とステータ3との間に円筒部6の外周面6b、収容部11の内周壁11a、フランジ部7、及び第2壁面13にて冷却ジャケット14が形成される。ケース10には、この冷却ジャケット14に冷却液としてオイルを供給するオイル供給通路15が設けられている。なお、図示は省略したがこの冷却ジャケット14には、冷却ジャケット14からオイルを排出するためのオイル排出通路が接続されている。冷却ジャケット14にオイルが供給された場合は、各切り欠き部8、9からオイルが流出する。流出したオイルは分割コア4のコイルエンド4aに掛かり、コイルエンド4aを冷却する。そのため、これら切り欠き部8、9が本発明の供給通路に相当する。
また、ケース10内には、回転電機1から出力された動力を車輪に伝達するための動力伝達機構16が設けられている。動力伝達機構16は、軸線Ax回りに回転可能なようにケース10に支持された第1回転軸17と、その第1回転軸17及び一対のベアリング18にて軸線Ax回りに回転可能に支持された中空の第2回転軸19とを備えている。収容部11に収容された回転電機1のロータ2は、この第2回転軸19に取り付けられ、第2回転軸19と一体に軸線Ax回りに回転する。
以上に説明したように、この冷却構造では、収容部11の内周壁11a、第2壁面13、及び焼嵌めリング5にて冷却ジャケット14が形成されるので、ケース10の外周壁内に空間を加工する必要がない。また、この冷却構造では内周壁11aを焼嵌めリング5と接触させないので、内周壁11aを高い加工精度で加工する必要がない。さらに、回転電機1をケース10内に隙間無く収容する場合にはケース10の抜き勾配を除去するために鋳造後に内周壁11aを精度良く加工する必要があるが、本発明では収容時に回転電機1がケース10と接触しないので、ケース10の抜き勾配を残しておいても支障がない。そのため、本発明では内周面11aが鋳肌のままでもよい。このように本発明の冷却構造によれば、構造を簡略化して加工の手間を軽減できるので、製造コストを低減できる。また、内周壁11aと焼嵌めリング5とが接触しないので、ステータ3をケース10に容易に組み付けることができる。そのため、組立作業の手間も軽減できる。
この冷却構造では、オイルが焼嵌めリング5と直接接するので、ステータ3からオイルに熱が伝達し易い。また、冷却ジャケット14内のオイルを介してステータ3の熱がケース10の外表面にも伝達される。さらに、各切り欠き部8、9から流出したオイルは分割コア4のコイルエンド4aに掛かってコイルエンド4aを冷却する。そのため、この冷却構造によれば、ステータ3の冷却効率を向上させることができる。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、上述した形態では、焼嵌めリングの円筒部に切り欠き部を設けてオイルをコイルエンドに供給したが、円筒部には切り欠き部を設けず、第2壁面のうち最も高い位置にある部分に凹部を設けてオイルをコイルエンドに供給してもよい。
収容部の内周壁は、軸線方向の一端から他端に他方に向かって内径が漸次小さくなっていなくてもよい。例えば、内周壁は軸線方向に同じ内径で形成されていてもよい。
本発明の冷却構造が適用される回転電機は、車両に走行用動力源として搭載されるものに限定されない。複数の分割コアを焼嵌めリングで一体化させたステータを有し、ケース内に収容される種々の回転電気に本発明を適用してよい。

Claims (3)

  1. 環状に組み合わせた複数の分割コアの外周に締結部材を装着して前記複数の分割コアを一体化させたステータを有する回転電機と、前記回転電機が内部に収容されるケースと、を備えた冷却構造であって、
    前記締結部材は、円筒状の円筒部と、前記円筒部の軸線方向の一端に全周に亘って設けられて前記円筒部から径方向外側に延びるフランジ部と、を備え、
    前記ケースには、内径が前記円筒部の外径より大きく、かつ前記フランジ部の外径より小さい内周壁を有し、前記内周壁と前記円筒部の外周面とが対向するように内部に前記ステータが収容される収容部と、前記フランジ部が配置される側の前記内周壁の端部から径方向外側に延びて前記フランジ部が取り付けられる第1壁面と、前記円筒部の軸線方向の他端が配置される側の前記内周壁の端部から径方向内側に延びて前記円筒部の前記他端が当接する第2壁面と、が設けられ、
    前記ケースと前記ステータとの間に、前記収容部の前記内周壁、前記円筒部の前記外周面、前記フランジ部、及び前記第2壁面にて形成されて冷却液が供給される冷却ジャケットが設けられる回転電機の冷却構造。
  2. 前記冷却液は、オイルであり、
    前記冷却ジャケットには、その内部のオイルを前記ステータの分割コアのコイルエンドに供給する供給通路が設けられている請求項1に記載の回転電機の冷却構造。
  3. 前記供給通路は、前記フランジ部のうちオイルを供給すべき供給対象のコイルエンドの上方に位置する部分の一部が切り取られることによって設けられている請求項2に記載の回転電機の冷却構造。
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