JP5136346B2 - X線装置用電極 - Google Patents

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Description

本発明はX線発生に用いる電極に関し、特にX線光電子分光計に用いる電極に関する。また、本発明は、電極を含むX線光電子分光装置のみならず、電極を使用したX線発生方法や、電極と装置を使用してX線光電子分光法を実施する方法に関する。
X線光電子分光法(XPS)の実験に用いられるX線は、典型的には電子源(例えばフィラメント)から、電子源に対して正電位に保たれたアノードに向けて電子を加速することによって発生する。アノードは標的物質(典型的にはアルミニウムやマグネシウム)を含み、この標的物質に電子が衝突するとX線が発生する。
アノードは、典型的には金属製の筐体(例えば、アノードで発生する高温に耐えうる耐熱性の金属)を備え、その筐体に標的物質を通常は薄層として貼り付ける。
従来の装置では、電子ビームが標的物質に入射する際にアノードがかなりの高温になるため、かかるアノードから発生しうるX線の量に上限があることが知られている。実際、温度上昇が著しいため、標的物質や筐体の素材でさえ電子ビームの強いパワーで融解をはじめる可能性もある。
かかる問題は、アノード筐体内部に開口や管を設け、その中を冷却水が通過できるようにすることで、ある程度対処されてきた。
さらに、ダイヤモンドメンバーをアノード筐体の中の標的物質の後部に組み込むことによって、ターゲット物質から筐体のバルク、及び/又は冷却液に熱エネルギーを移送する効率を上げることができるということも提唱されてきた。
かかる進展の中で、本発明の発明者はX線発生装置、特にXPS装置内のアノードの性能がX線発生量の点で制限され、結果としてXPSの試料から得られるデータの質が制限されることに注目した。実際問題、低い光量を補償するためにはより長い測定時間が必要となり、個々の装置で少ない数の試料しか処理できないという明らかな不都合が生じている。
本発明の発明者は、ダイヤモンドメンバーを利用する際にも、電子ビームの衝突による熱産生がアノードに構造的な問題を引き起こす可能性があることに特に注目した。本発明の発明者は、特にダイヤモンドメンバーを筐体に確実に接着させるのが困難であることに気付いた。電子ビームがアノード衝突時に発生する温度上昇の間に、ダイヤモンドメンバーが筐体から剥がれることもあり得る。温度の上下が繰り返されるため、アノードには極めて厳しい環境がもたらされる。本発明の発明者はダイヤモンドメンバーを筐体に取り付ける既知の方法は充分な頑強さを欠き、かかる厳しい環境に対処することができないことを見付けた。その結果、完全な構造を保持するためには、電子ビームのパワーを著しく低いものに抑制しなければならない。このように、ダイヤモンドメンバーを利用することによる潜在的な利点は、実際には少なくともある程度しか達成できない。
本発明の発明者は、最も全般的には、低溶融温度(特に、溶融開始温度の極小点−「固相線」−が低温、又は溶融点が低温)の合金を含む接着層を用い、ダイヤモンドメンバーを筐体に接着することができると提案する。合金は低温で溶融するろう付け用の合金が適切である。本発明の発明者は、溶融温度の低い合金によってダイヤモンドメンバーと筐体の間の結合を強固にできることに気付いた。合金の溶融温度が低ければ(例えば、固相線が低温のものや溶融点の低いものでは)、ダイヤモンドとろうの間の熱膨張率の差もそれに応じて低くなることを示していると考えられており、本発明の発明者は実験を通して、このことがダイヤモンドメンバーを電極(アノード)筐体に接着する際に望ましいものであることに気が付いた。
ここで言及している合金の組成は合金の総重量に対する重量パーセントで示されている。
本発明の第1の実施形態は、電子源を有するX線発生装置で用いられる電極を供給し、その電極は
筐体と、
筐体に取り付けられたダイヤモンドメンバーと、
ダイヤモンドメンバーの上に設けられたターゲットとを有し
このターゲットはX線を発生させるため、使用時に電子源由来の電子が衝突するものであり、接着層が筐体とダイヤモンドメンバーの間に設けられ、前記接着層は固相線又は溶融点が900℃未満である合金を含むものである。
合金、例えばろう付け用合金の溶融範囲は、合金が溶融し始める極小温度(固相線)と合金が100%液状となる温度(「液相線」)とで定義される。
共晶合金は純金属のような振る舞いをし、溶融点を有する。
非常に多くの合金の固相線、及び液相線(及び共晶合金の溶融点)の数値はよく記録されている。典型的には、固相線と液相線は「溶融範囲」として報告されている。同様に、固相線、液相線、及び溶融点の測定はかなり確立された技術である。
このように、本発明でダイヤモンドメンバーを銅電極本体の端にしっかり接着することにより、ダイヤモンドの温度的特性を効果的に利用することが可能になる。次に、ダイヤモンドメンバーをアルミニウムのようなターゲット物質で被膜することによって、筐体、ダイヤモンド、及びターゲットの間をしっかりと接着することができる。さらに、接着層は超高真空(UHV)密閉性を有し、接着層は電極使用時に生じる高温(例えば200〜650℃)下で使用可能である。
本発明の発明者は、900℃未満の固相線又は溶融点をもつ金属合金を含む接着層を提供することで、ダイヤモンドメンバーと電極筐体の間の接着状態の信頼性が著しく上昇しうることをみつけた。これは、ダイヤモンドメンバー利用による利点、即ちターゲットからの熱移動の改善を達成できることを意味する。
典型的には、電極はX線光電子分光計においてアノードとして利用される。
900℃未満の固相線、又は溶融点を持つ接着層によって、ダイヤモンドと筐体の間の接着の信頼性が生じるが、800℃未満の固相線又は溶融点を持つ金属の場合には、耐久性及び接着の信頼性の点で(従って、規定の動作温度で接着部に不具合を生じることなく耐えることの可能な電子ビームのパワーの点で)、さらに優れた性能が得られるため、これが望ましい。
接着層の合金について、固相線や溶融点の低温側の制限は特にないが、典型的な低温側の制限温度は約500℃である。
合金は550℃〜800℃の範囲内の固相線又は溶融点を有することが望ましい。より望ましい範囲は600℃〜750℃、更に望ましい範囲は650〜750℃、最も望ましい範囲は675℃〜695℃である。
液相線は約1000℃未満で生じるのが適切であり、900℃未満が望ましく、800℃未満がより望ましく、750℃未満が最も望ましい。
合金の溶融範囲(即ち固相線と液相線)は550〜800℃にあることが適切であり、600〜750℃がより望ましく、650〜750℃が最も望ましい。
接着層はろう付けにより形成するのが適切であるが、例えば摩擦溶接のような、他の技術もダイヤモンドメンバーを筐体に合金接着層で接着させるために使用可能である。
合金は、(1)銀と銅の共晶、(2)銀、及び/又は銅と少なくとも一つの金属を付加したものとで構成される合金のいずれかから選択するのが適切である。
従って、合金(2)は、(i)銀に少なくとも一つの金属を付加したもの、(ii)銅に少なくとも一つの金属を付加したもの、又は(iii)銀及び銅に少なくとも一つの金属を付加したもの、のいずれかを含むことが可能である。
合金は、銀及び/又は銅に、インジウム、錫、マンガン、ニッケル、チタン、及びアルミニウムから選択する少なくとも一つの金属を付加したものを含むのが望ましい。インジウム、マンガン、ニッケルが特に望ましい。特にインジウムが望ましい。
合金には活性ろう合金を用いることもできる。活性ろう合金は当業者には周知のものである。活性ろう合金はチタンを含むことが適切である。活性ろう合金を利用する場合の利点は中間層を用いることなく非常に優れた接着を得られる点にあり、この文書で論じた第1と第2の中間層において特に妥当する。活性ろう合金の望ましい具体例としては、Cusil−ABA(Ag63%、Cu35.25%、Ti1.75%)、Incusil−ABA(Ag59%、Cu27.25%、In12.5%、Ti1.25%)、銀−ABA(Ag92.75%、Cu5%、Al、1%、Ti1.25 %)、Ticusil−ABA(Ag68.8%、Cu26.7%、Ti4.5%)が挙げられるが、これらは全てWesgometalsで入手可能である。
特に望ましい合金は銀、銅、及びインジウムを含む。
市販の合金には不純物が含まれる可能性があるが、純度の高い合金が望ましい。合金に含まれる不純物は0.5重量%以下であることが望ましく、より望ましくは0.1重量%、最も望ましくは0.01重量%以下である。合金はこの文書で指定したものを不可欠に含むことが是非とも望ましい。合金の不純物レベルはEN1044:1999基準に従うことが望ましい。
望ましい電極の合金は、合金の総重量に対し、55〜70重量%の銀、20〜35重量%の銅、及び1〜15重量%の少なくとも一つの金属を付加したものを含む。
付加する金属としては、特にインジウムが望ましい。従って、望ましい電極の合金は、合金の総重量に対し、55〜70重量%の銀、20〜35重量%の銅、及び5〜15重量%のインジウムを含む。
合金は60〜65重量%の銀、25〜30重量%の銅、及び8〜12重量%のインジウムを含むのがより望ましく、約63重量%の銀、約27重量%の銅、及び10重量%のインジウムを含むのが最も望ましい。
接着層の厚みは、適切な強度を提供しつつ、ターゲットから筐体に熱を移動するのに不必要な障害を引き起こさないように選択する。
接着層は10μm〜200μmの範囲の厚みを有することが望ましい。20μm〜100μmの範囲がより望ましく、35μm〜65μmの範囲が更に望ましい。最も望ましいのは約50μmである。
合金の熱伝導率は50W/mK以上が適切であり、75W/mK以上が望ましく、80W/mK以上が最も望ましい。例えば、ここで挙げている望ましいIN10合金の熱伝導率は85W/mKである(IN10と同じ組成を持つ合金はincusil 10という名前でWesgometalから入手可能である)。
実施する際には、効果的な接着を維持しつつ熱伝導を許容できるものとするために接着層の厚みを調節することができる。
筐体は、銅、銀、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、レニウムから選択された金属から形成することが適切である。
筐体は銅で形成することが望ましい。
筐体はダイヤモンドメンバーを受け入れる収納部を有するのが望ましい。
電極の筐体は電極を機器に取り付けるために用いられる。従って、電極は機器に取り付けるための取り付け手段を有するのが適切であり、例えばX線光電子分光計のようなX線発生機器の真空室内に電極を取り付ける為の取り付け手段を有することが望ましい。取り付け手段によって超高真空(UHV)密閉性を提供するのが適切である。
望ましい構成は、筐体(銅の筐体が適切である)を冷却パイプ(典型的には水のパイプ)を内蔵するステンレス鋼のチューブにろう付けするものである。この組立部は次にセラミックのHV絶縁体を介して真空室に接着される。
筐体から、即ちターゲットから熱を取り除く助けとするため、筐体は冷却液を受けるための管を少なくとも一つ含むことが望ましい。
熱の移動を更に改善するため、筐体は内部に伸びる複数の放熱板の突出部を有し、各突出部は少なくとも一つの管内に伸びるものであることが望ましい。
ダイヤモンド基板と管との距離は、(筐体の)構造上の強度と熱移動のバランスをとって選択するのが望ましい。
ダイヤモンドメンバーは筐体の壁部によって管から離すのが望ましい。壁部は0.5mm〜5mmの厚みを有し、1mm〜2mmの厚みが望ましく、約1.5mmであるのが最も望ましい。
別の構成として、ダイヤモンドメンバーの一つ又は複数の表面が管壁の一部を形成したり、管の中に入り込んでいるものでもよい。このように、望ましい実施例では、ダイヤモンドメンバーが少なくとも一つの管と対応して筐体に取り付けられ、使用時に冷却液に触れられるようになっている。
ターゲットと筐体はダイヤモンドメンバーの反対側に配置することが適切である。
本発明の発明者は、ダイヤモンドメンバーと筐体との接着を信頼できるものにし、高温にも耐えうるものとするという課題は、接着層とダイヤモンドとの間に、接着性を改善するように構成された中間層を形成することによって改善される可能性があることを発見した。チタン及び/又はクロムを含む層によってダイヤモンドと筐体の間の接着が改善することが分かった。
従って、望ましい構成は、第1の中間層が接着層とダイヤモンドメンバーの間に設けられ、前記第1の中間層はチタン、クロム、またはチタン窒化物のうち少なくとも一つを含む。第1の中間層はチタンを含むのが望ましい。
もっとも、第1の中間層はチタンを不可欠に含むものが望ましい。
第1の中間層は接着層に比して薄いものが望ましい。実際には、熱の移動が妨げられないように、あまり厚みのないものがより優れている。
このように、第1の中間層の厚みは0.01〜0.2μmの範囲であることが望ましく、0.02〜0.1μmの範囲がより望ましく、0.05〜0.07μmの範囲が更に望ましく、約0.06μmであるのが最も望ましい。
第1の中間層に加え、本発明の発明者は実験を通じ、第2の中間層を第1の中間層と接着層の間に設けることを見付けた。このような層を付加し、第1の中間層及び/又は接着層と接着するように構成することによって、接着度と信頼性をさらに改善することができる。さらに、かかる第2の中間層は、隣接した物質の拡散(混合)を防止するための障壁として適切に作用する。
それに応じ、第2の中間層を接着層と第1の中間層の間に設けることが望ましく、この第2の中間層はプラチナ、タングステン、チタン、モリブデン、及びタンタルのうち少なくとも一つを含むことが望ましい。
第2の中間層はプラチナを不可欠に含むことが適切である。
第1の中間層で述べたように、第2の中間層は接着層よりも薄いのが典型である。これは、接着の信頼性を改善するのに適切であることが分かった。更に、一般的には、第2の中間層は第1の中間層よりも厚い。これは、電極の高温での信頼性に寄与することが判明した構成である。
第2の中間層の厚みは0.05〜0.5μmの範囲であることが適切であり、0.08〜0.2μmの範囲がより望ましく、0.1〜0.15μmの範囲が更に望ましく、0.12μm程度が最も望ましい。
更なるテストと実験の結果、本発明の発明者は、ダイヤモンドと筐体の接着の信頼性は第3の中間層を第2の中間層と接着層の間に形成することで更に改善することを見付けた。このように、第3の中間層を接着層及び/又は第2の中間層に接着するように構成するのが適切である。
以上のように、第3の中間層は接着層と第2の中間層の間に設けることが望ましく、金、銀、インジウム、アルミニウム、及びマグネシウムのうち少なくとも一つを含むことが望ましい。
第3の中間層は金を不可欠に含むことが適切である。
第1と第2の中間層でも同様だが、第3の中間層は接着層よりかなり薄いことが望ましい。しかし、第1の中間層よりは厚いことが一般的である。典型的には第2の中間層よりも厚い。
従って、第3の中間層の厚みは0.2〜5μmの範囲が望ましく、0.5〜2μmの範囲がより望ましく、0.8〜1.2μmの範囲が更に望ましく、1μm程度が最も望ましい。
ダイヤモンドメンバーは合成ダイヤモンドから形成するのが適切であるが、天然のダイヤモンドを使用することも可能である。
ダイヤモンドの基板は放熱板として作用する。異なるグレードの天然のダイヤモンド又は合成ダイヤモンドが市販されており、これらの熱伝導は異なるため、ダイヤモンドの放熱板としての効率に影響する。ダイヤモンドの熱伝導が高いほど今回の用途により適している。ダイヤモンドの厚みもまた、放熱板としての性能に影響を及ぼす。ダイヤモンドの厚みを調整して、機器で用いられる電子ビームのスポットの大きさの範囲に適するようにすることが可能である。アノード上のダイヤモンドの形状もまた、それぞれの要求に応じて変化させることが可能である。例えば、半円状のものを2つ用いて、2つのターゲットを有する形状のアノードや、例えばアルミニウムかマグネシウムX線を産生するために設計された電極に使用することができる。(図2参照、以下に述べる。)
ダイヤモンドの特性は、最適な熱移動、及び/又は接着層や存在しうるいずれかの中間層との適合性に優れたものを提供するために選択するのが適切である。従って、ダイヤモンドメンバーは、300Kの下で少なくとも1200W/mkの熱伝導率を有するダイヤモンドを含むのが適切である。少なくとも1500W/mKのものが望ましく、少なくとも1700W/mKのものがより望ましく、少なくとも1800W/mKのものが最も望ましい。少なくとも、天然ダイヤモンドの2aタイプと同程度の熱伝導率のものが望ましい。
ダイヤモンドの熱拡散率は、300Kの下で10cm/sより大きなものが適切である。
ダイヤモンドメンバーは単結晶であることが適切である。
ダイヤモンドメンバーは接着層より厚いことが望ましい。
典型的には、ダイヤモンドメンバーは50μm〜1000μmの範囲の厚みを有し、150μm〜800μmの範囲の厚みを有するのが望ましく、300μm〜500μmの範囲の厚みを有するのがより望ましく、400μm程度の厚みを有するのが最も望ましい。
所望の特性X線を発生させるためにターゲット層の選択を行う。ダイヤモンドとターゲット層の外側表面との間の熱伝導の障壁を削減するため、一般的に、ターゲット層はできる限り薄くするべきである。もっとも、アノード使用時に層が減耗することを考慮して、被膜の寿命を充分長くするために、ターゲット層にはある程度の厚みが必要である。
ターゲットはアルミニウム及びマグネシウムの少なくとも一つを含むことが適切である。特にアルミニウムが望ましい。ターゲットはアルミニウムを不可欠的に含むことが適切である。
異なる特性、異なる波長のX線を発生させるため、アルミニウムやマグネシウムに加えて、又はその代わりに、他の物質を被膜として使用してもよい。かかる物質は、典型的には銀、ジルコニウム、及びタングステンの中から選ばれる。これらの被膜の一つ又は複数はアノード上に同時に存在してもよいが、離れたターゲット(例えば離れた領域)とするのが望ましい。複数のターゲットを有する構成として適切なものを図2a、2bに示す。
所望の電圧をターゲットに印加しうる確実な一つの方法は、ターゲット物質を利用して、筐体に通じる導電路を供給することである。従って、ターゲットをダイヤモンドメンバーの上部面に設け、上部面から、ダイヤモンドメンバーの少なくとも一つの側面を通って、筐体まで伸び、ターゲットと筐体の間に電気的接触を形成することが望ましい。
ターゲットは10μm〜200μmの範囲の厚みを有することが適切であり、20μm〜100μmの範囲の厚みが望ましく、35μm〜65μmの範囲の厚みがより望ましく、50μm程度の厚みが最も望ましい。
ダイヤモンドメンバーと筐体の接着を改善すると同様に、本発明の発明者は、ターゲットとダイヤモンドの間に中間層を提供することによって、信頼性、及び/又は熱の移動が改善されることを見付けた。このような中間層を接着層とダイヤモンド層の間の中間層とは別に提供することもできるが、かかる層をダイヤモンドメンバーの両方の側に提供することが望ましい。
このように、第4の中間層はターゲットとダイヤモンドメンバーの間に設けるのが適切である。第4の中間層は、上述の第1の中間層として定義されたものである。
第4の中間層の厚みは0.1μm程度であることが望ましい。
第4の中間層は第1の中間層より厚いことが適切である。(第1の中間層が存在する場合には。−第4の中間層を設けるためには必ずしも必要でない。)
第4の中間層とターゲットとの間に第5の中間層を設けることによって、信頼性と高温下での性能を更に改善できることがわかった。
このように、第5の中間層はターゲットと第4の中間層の間に設けることが望ましい。第5の中間層は上述の第2の中間層として定義されたものである。
第5の中間層の厚みは0.1μm程度であることが望ましい。
第5の中間層は第2の中間層より薄いことが適切である。
本発明の他の実施形態は、電子源と電極を有するX線発生装置において利用する電極における利用法を提供する。この電極は、
筐体と、
筐体上に取り付けられたダイヤモンドメンバーと、
ダイヤモンドメンバー上に取り付けられたターゲットと、
この文書内で定義される第1の中間層、第2の中間層、第3の中間層、第4の中間層、及び第5の中間層のいずれか一つ又は複数の接着層を有する。
かかる利用法は、かかる電極の製造方法における利用法を含むのが適切である。
本発明の他の実施形態は、電子源を有するX線発生装置において用いる電極を提供する。この電極は、
筐体と、
筐体上に取り付けられたダイヤモンドメンバーと、
ダイヤモンドメンバー上に取り付けられたターゲットと、
を有し、この電極は、さらに、この文書内で定義した接着層、第1の中間層、第2の中間層、第3の中間層、第4の中間層、及び第5の中間層のいずれか一つ又は複数を有する。
特に、上述のように、本発明の発明者は、接着層とダイヤモンドメンバーの間の第1の中間層を利用することによって、XPSスペクトロメータ内の電極の信頼性と性能を著しく改善できることに気付いた。実際、本発明の発明者は、接着層が第1の実施形態によって定義されたものではない場合でも、かかる利点が得られることを発見した。従って、かかる中間層の利用はより広い適用性を有しており、金属を含むいかなる接着層とも同時に使用することができる。
従って、本発明の他の実施形態は、電子源を有するX線発生装置に用いられる電極を提供する。この電極は、
筐体と、
筐体上に取り付けられたダイヤモンドメンバーと、
ダイヤモンドメンバー上に取り付けられたターゲットとを有し、このターゲットは使用の際、X線を発生させるために電子源由来の電子に衝突されるものであり、金属を含む接着層が筐体とダイヤモンドメンバーとの間に設けられており、前記第1の中間層が接着層とダイヤモンドメンバーの間に設けられ、前記第1の中間層はチタンとクロミウムの少なくとも一つを有するものである。
かかる接着層はいずれも合金を含むのが適切である。接着層は第1の実施形態で定義したものが望ましい。
第1の中間層は第1の実施形態で定義したものが望ましい。
一つ又は複数の中間層を付加したものを用いることによる利点を本実施形態に適用することも可能である。従って、電極は、第1の実施形態における第2、第3、第4、及び第5の中間層のうち一つ又は複数を含むのが望ましい。
同様に、ダイヤモンドメンバー、ターゲット、及び筐体のいずれか一つは第1の実施形態において定義されたものが望ましい。
本発明の他の実施形態は電子源を有するX線発生装置で用いられる電極を提供する。この電極は、
筐体と、
筐体上に取り付けられたダイヤモンドメンバーと、
ダイヤモンドメンバーの上に設けられたターゲットとを有し、このターゲットはX線を発生させるため、使用時には電子源由来の電子が衝突するものであり、接着層が筐体とダイヤモンドメンバーの間に設けられ、この接着層は、銀と銅、及び少なくとも一つの他の金属を付加したものを含む合金から成る。
合金は銀、銅、及びインジウムを含むのが望ましい。また、銀−銅の共晶合金も望ましい。
合金は、合金総重量に対して、55〜70重量%の銀、20〜35重量%のインジウムを含むことが適切である。他の実施形態において選択可能で望ましい特徴を本実施形態に適用することも望ましい。
本発明の他の実施形態は、X線発生装置を供給し、前記装置は前記いずれかの実施形態で記載された電極と電子源を有し、使用時に電子が前記電子源から産生され、電極のターゲットに衝突しうるものである。
電子源はフィラメントを有するのが適切である。
装置は電子をターゲットに向けて加速する加速手段を有するのが望ましい。
装置は電子源に対して正の電位を電極に供給する電圧供給手段を有するのが適切である。典型的には、正の電位とは少なくとも10kVであり、15kV程度が望ましい。
電子源はアースされていることが望ましい。その代わりにアノードをアースすることもでき、その場合には電子源(典型的にはフィラメント)を負の電位にしておく。アノードは電子源に対して10〜15kVの正の電位にされることが適切である。
電極上の電子ビームの大きさ(「スポットサイズ」)は、直径1μmないしはそれ未満のサイズから、大きい場合は、電極面(適切にはターゲット面)のサイズ(直径がほぼ10mmのオーダーのものが標準的である)になりうる。しかし、電子ビームはアノード表面より著しく小さい方が都合がよい。従って、スポットサイズは約0.5mm x1mmが望ましい。
装置は電子をターゲット上に方向付ける電子光学素子を有することが適切である。電子をターゲットのターゲット領域に方向付けるように電子光学素子を含むことが望ましい。ターゲット領域は少なくとも0.15mmであり、少なくとも0.35mmがより望ましく、最も望ましいのは少なくとも0.45mmである。
スポットの大きさは固定でも可変でもよい。望ましい実施例は、スポットの大きさを変えて供給できるように構成された装置である。例えば、異なる大きさの試料を分析できるよう、装置はスポットの大きさを実験ごとに変更可能なスポットサイズ変更手段を有することが適切である。
スポットの大きさを固定することは、試料の光電子パラレルイメージを生成する際に望ましい。即ち、パラレルイメージの記録時にはスポットを固定するのが望ましい。実験ごとにスポットの大きさを変更可能だが、イメージ記録時には変更を行わない。同様に、スペクトル記録時にもスポットの大きさが固定されるのが望ましい。
スポットの大きさを変更できると、選択した領域から、より高品質のスペクトルを得ることができる。即ち、同一の測定時間内に得られる信号対雑音比が向上したスペクトルを得られる。それに加え、スポットが大きいと、パラレルイメージを記録するのに用いることができ、また、別の実験では、より小さなスポットを使用して試料上のより小さな特定の領域からより高品質なデータを得ることができる。
電子ビームの形状(断面)は、典型的には円形か長方形であるが、電子ビーム光学素子を調整することによっていかなる形状にすることも可能である。
電子ビームは電極の一定の固定した場所に衝突する。または、アノード上の一定の範囲の場所に方向付けるように制御することもできる(即ち、スポット位置を変更できる)。このように、一定の範囲の場所を通る様に電子ビームの走査を調整することもできる。ビームを制御できることによって、アノードの使用可能な耐用期間を延ばすことができるという利点も得られる。なぜなら、電子ビームが衝突する部分のアノード表面は時間とともに損傷を受けるからである。従って、望ましい実施例は、アノード上の電子ビームスポットの場所を制御することのできる電子ビーム制御器を有する。電子ビーム制御器は、電子ビームスポットをアノード上で走査するのに特に適するものである。
別の実施例では、アノードの位置を電子ビームに対応させて変化させるためアノードを移動する。アノード上に照射されるスポットはモノクロメータとの関係では、すなわち試料や分析器の分析物の位置との関係では移動しないため、かかる構成は有用である。これによって、アノードの使用可能期間が伸びる。装置にはアノードを移動させるアノード移動手段が含まれるのが適切である。
装置は球面鏡分析器を有するのが望ましく、半球形分析器も有することが望ましい。これらの用語は当業者には周知のものである。球面鏡分析器及び半球形分析器として適切なものは特許文献GB−A−2244369に記載されている。装置は特許文献GB−A−2244369に記載の電子分析器を有することが望ましい。
装置は遅延線検出器を有することが望ましい。適切な遅延線検出器は特許文献GB−A−2397940に記載されている。
電極からの熱の除去に役立たせるため、装置は冷却液を電極に供給する冷却液手段を有することが望ましい。
装置はX線モノクロメータを有することが望ましい。
さらに別の実施形態において、本発明は前記の実施形態のいずれか一つに記載された電極を有するX線光電子分光計を提供する。
さらに別の実施形態において、本発明は前記の実施形態のいずれか一つに記載された電極または装置を用いたX線発生方法を提供する。
さらに別の実施形態において、本発明は前記の実施形態のいずれか一つに記載された電極または装置を用いたX線光電子分光方法を提供する。
かかる方法では、電極を水で冷却し、電極内の水の温度を沸点より下に維持することが望ましい。
ここで開示した、接着方法に関する様々な改善例に基づく利点のみならず、本発明の発明者は、ターゲットと筐体の間にダイヤモンドメンバーを設けた電極が、球面鏡分析器と遅延線検出器を有するX線光電子分光計に用いられた場合、X線のカウント、信号対雑音比、及びイメージ産生の点で特に優れた結果が得られることを見いだした。実際問題としては、かかる装置では、ここで検討した接着層及び/又は中間層を欠く場合でも、驚くべき優れた結果が得られることを、本発明の発明者は発見した。このように、分光計のかかるナロークラスはダイヤモンドを含むアノードを用いることによって性能を改善するのに適している。
さらに別の実施形態において、本発明はX線源と、球面鏡分析器と、遅延線検出器とを有するX線光電子分光計を提供し、前記X線源は電子源と電極を有するものであり、前記電極は
筐体と、
筐体上に取り付けられたダイヤモンドメンバーと、
ダイヤモンドメンバー上に設けられたターゲットとを有し、
前記ターゲットは使用時にはX線を発生させるため電子源由来の電子の衝突を受ける電極である。
筐体、ターゲット、及びダイヤモンドメンバーのうちいずれかは前記の実施形態で定義されたものであることが適切である。
分光計はX線モノクロメータを有することが望ましい。
分光計を試料のイメージを得られるように構成、設定することが望ましい。
分光計は半球形分析器を有することが適切である。
前記の実施形態はそれぞれ、他の実施形態の一つ、又は複数、又は全てと組み合わせてもよく、それぞれの実施形態における特徴は他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。
本発明の実施例を以下の図を参照しつつ具体例のみを用いて以下に記載する。
図1の電極1は銅製の筐体3を有する。筐体は、筐体内を伸びる、水路又は内腔5を形成する管を有する。使用時には、冷却液(典型的には水)が、水路/内腔5の内部を流れ、筐体から熱を取り除く(矢印6として示されている)。筐体のターゲット端部7(使用時にはターゲット端部7には電子ビーム8が衝突してX線9を産生する)で、ダイヤモンドの薄い基板10が筐体に取り付けられている。
筐体の拡大図はダイヤモンド基板10の断面図を示している。この厚みは400μmだが、他の厚み、例えば50μmから1mmでも使用可能である。接着層11を介して筐体3に取り付けられている。
接着層11は50μmの厚みのろう付け用In10から成る。ろう付け用In10は、Ag(63%)、Cu(27%)、In(10%)を含むものであり、Johnson Mattheyで入手可能である。もっとも、Ag、Cu、Inは他の相対量でも使用可能である。In10の溶融温度の範囲は685〜730℃である(即ち、固相線が685℃、液相線が730℃である)。代わりに、同様の固相線や同様の溶融温度範囲を有する他の合金を使用してもよい。
これまで記載したように、金属とダイヤモンドの熱膨張係数の差は非常に大きいのが典型であり、かかる大きなストレスが接合部に生じれば接着部に不具合が生じるため、本発明の発明者は、金属とダイヤモンド、又は金属で被膜したダイヤモンド(金属の薄層で被膜されたダイヤモンド)との間に接着部を形成するのが困難であることに気付いた。しかし、本発明の発明者はろう付け用In10、または同様の特性を有するろう材は、ダイヤモンドとアノード本体の間を使用時の高温下においても、驚くほど強固で頑丈に接着することを見付けた。特に、本発明の発明者はろう付け用In10の固相線が比較的低い(685℃)という点が、かかる確実で高温に耐性ある接着を得るのに重要であることを明らかにした。
このように、ろう付け用In10の主要な役割は、ダイヤモンドをアノード本体に接着することである。しかし、驚くべきことに、ろう付け用In10には、高温でアノードを使用する際に銅製のアノード本体とダイヤモンドの熱膨張の差によって生じる応力を減少させる性質を有することが発見された。In10の合金は比較的溶融温度が低く、それに応じて熱膨張も低いと考えられている。このことは、ダイヤモンドの熱膨張(特性)を補完し、それによって応力を減じるため、特に有益であることが分かった。このように、ろう付け用In10は熱膨張率が低く、この点でダイヤモンドに類似するため、特に優れている。かかる特性によって、ろうが確実にダイヤモンドにしっかりと接着するようになるのみならず、いかなる応力がろうのなかで発生しても、確実に金属との接合部でもしっかりと接着するようになる。ここでの接着は、ダイヤモンドとの接合部におけるものよりずっと強固である。銀と銅のありふれた合金(インジウムを含まないもの)も同様の作用を奏するが、溶融点が高いため、わずかだか望ましくない。
実際、本発明の発明者は、ろうの溶融点が低いほど、熱膨張が小さくなって応力が小さくなるため、ダイヤモンドと金属筐体との接着が成功することが多くなることに気付いた。しかし、ダイヤモンド、合金(ろう)、金属筐体は全て使用時に高温になるため、合金(ろう)の溶融点をあまり低くすることはできない。さもないと、アノード使用時に合金が再溶融してしまう。
ターゲット13は、ダイヤモンド基板上の接着層11とは反対の面で、ターゲット層の形状でダイヤモンド基板に接着している。ターゲット層はAlから成り、厚み50μmである。
従って、ダイヤモンド基板の一表面は、使用の際に冷却される筐体3に接着される。電極はXPSを実施できる機器(この機器はこの分析手法のみを実施するものでも、他の分析手法も実施するものでもよい)の真空室の内部で用いる。望ましい実施例(図5、6で示されたようなもの)では、XPS機器は球面鏡分析器(SMA)を用いる。更に、XPS機器は球面鏡分析器及び遅延線検出器(DLD)を有することが望ましい。DLDの具体例は特許文献GB−A−2397940に記載された種類である(かかる構成を図5、6に示す)。
実際には、本発明の発明者は、図1に示すように、接着層11によって電極の筐体に接着させたダイヤモンドメンバーを有する電極を用いると、より高い感度を得ることができることに気付いた。特に、「通常の」電極を用いた場合と比較して信号対雑音に優れるため、更に有用な像やスペクトルを得ることができる。
使用の際には、電極に電子発生に用いるフィラメントに対して正の電圧を印加すると、電子ビームが電極のターゲット13(例えば外側の金属被膜)に衝突することによってX線が発生する。以上のように、本実施例では電極はアノードとなっている。本実施例ではスポットの大きさは0.5mmx1mm程度であるが、他のサイズ及び形状も用いることができる。
上で言及したように、X線産生の効率はかなり悪く、従って電子ビームが有するエネルギーの大部分はアノードにおいて熱として消費されてしまう。アノード表面で発生する熱が累積すると、最終的には外部の金属被膜の溶融及び/又は昇華が引き起こされる。
しかし、図1におけるダイヤモンド基板10のようなダイヤモンドメンバーを上記のAg・Cu・Inから成るろうのような接着層でアノード本体(筐体)に取り付けることによって、アノードの構造上の完全性を保持しつつ、アノード表面で発生する熱をより効率的に消失させることができる。従って、このような設計によって、アノードにおけるパワー密度が上昇するという結果が生じる。これは、このような設計を用いることによって、アノードから発生するX線の光量をより高めることが可能になることを意味する。
合成ダイヤモンドの基板10は直径10mmの円形である。このため、大きな静止スポット(stationary spot)を利用することが可能になる。これは、例えば光電子のイメージ、望ましくは試料の光電子のリアルタイムイメージを産生する為に、アノードを球面鏡分析器と共に用いる場合に利点となることが分かってきた。
外側の金属被膜(ターゲット13)はダイヤモンド基板(図示なし)のサイドに伸びており、そこでアノード筐体3と電気的な接触を形成する。
ダイヤモンド基板の真下にある銅のアノード本体の厚みは約1.5mmである。ダイヤモンドの下にある銅の内部表面は冷却液(水)に接する表面を有する。このように、銅の内部表面は水によって冷却されている。
アノード1の製造過程を以下に記す。最初に、ダイヤモンド基板10をIn10のろう付け層11を介して銅のアノード筐体3にろう付けする。次に、ダイヤモンドの上部表面をアルミニウムで被膜し、ターゲット13を形成する。
最初にダイヤモンド(筐体に接着することになっている面)をTiで被膜し、次にPtとAuで被膜する。各層の被膜化の工程はイオンめっきによる。次に、In10を用いてダイヤモンドをアノード本体にろう付けする。ろう付けの作業中ダイヤモンドの場所がずれないよう、アノード本体はダイヤモンドを設置する収納部を有する。さらに、ろう付けの作業中ダイヤモンドの場所がずれないように、ダイヤモンドに穏やかな圧をかける(例えばダイヤモンドを定まった場所に固定する)。このような加圧(固定)は、ダイヤモンドの表面全体に、均一かつ完全にろう付けを行う助けにもなる。
In10のろうを用いたろう付けの工程は、アノードの制限された部分のみを確実にろう付け温度まで加熱させるため、RF発生ろう付け機を用いて真空で行われる。他のろう付け過程や機械を用いることも可能である。素材及び/又はろうが異なる場合は尚更である。
ダイヤモンドを一旦アノード本体にろう付けすると、ダイヤモンドの上部表面及び側面はTi、Pt、Alの各金属の層で被膜される。各層で用いられる被膜の工程はイオンプレーティングによる。
図2a、2bにおいて、電極20は2つのターゲット表面を有しており、各表面は管26を流れる水で冷却される。図2bにおいて、第1のターゲット表面22は、アルミニウムで形成された半円状のターゲット層28を含む。第2のターゲット表面24は、マグネシウムで形成された半円状のターゲット層30を含む。いずれのターゲット層も対応する形のダイヤモンドメンバー(図示なし)と接着している。
上で述べたように、アノード本体/筐体3は冷却液用の水路を有するため、冷却液水路と、中にアノードを有する真空室の間は超高真空によって密閉されている。
アノード筐体には、アルミニウムのターゲット層の冷却を最大にするため、熱伝導率の高いマテリアルが用いられるのが適切である。望ましい実施例(例えば、図1、2a、3参照)では、アノードは銅製であり、水で冷却されている。他の冷却液を用いることも可能である。ダイヤモンドの下の銅の厚み及び液の水路の設計は、それぞれのアノードの設計及びアノードに衝突する電子ビームスポットのサイズに合わせて最適化することができる。アノード本体を形成する素材は他のものを使用してもよい。代替する最適な素材は、銀、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、レニウムのような、高い熱伝導率を有するものである。
ダイヤモンド基板は放熱板として作用する。天然又は合成の様々なグレードのダイヤモンドが市販されており、これらは熱伝導率が異なるため、放熱板としての効率に影響する。一般的に、ダイヤモンドの熱伝導率が高いほど今回の用途には適している。ダイヤモンドの厚みも熱放板としての性能に影響する。ダイヤモンドの厚みは、機器で用いられる電子ビームのスポットの大きさの範囲に適合するように調整することができる。アノード上のダイヤモンドの形状も、それぞれの機器に適合するように変更することができる。例えば、アルミニウム、又はマグネシウムのいずれかのX線を産生するように設計された、形状の異なるアノードには、半円状のものを2つ使用することができる(図2参照)。
アノードの設計は大きく変更することが可能であり、他の設計としては、冷却液がダイヤモンドの一つの表面の大部分と接触するように、アノードの銅製の本体の端部にある穴を覆うようにダイヤモンドを固定するものがある。図3はかかる変更例を示している。電極40は、使用時に水(又は他の液体)の流れる管44を含む筐体42を有している。ダイヤモンドメンバー46は筐体の開口48の上に取り付けられており、使用時にはダイヤモンドメンバーが直接冷却液に接触できるようになっている。ダイヤモンドメンバー46はフランジ50の部分で筐体に接着している。ダイヤモンドとアノード本体の間は、超高真空基準で真空密閉されている。ダイヤモンドとアノード筐体のフランジとの間でも上記と同様の接着が行われている。
この構成におけるダイヤモンドの最適な厚みは、その正確な設計によって変わる。
本発明の取り組むもう一つの重要な課題は、ダイヤモンド上の被膜を高品質に(すなわち、ターゲットを高品質に)形成することである。
以上のように、本発明の発明者は、例えば適切なろう(接着層)がダイヤモンドの表面に対して直接ではなく、中間層に対して塗布された場合に、より強固な領域が形成されることを観察した。同様に、本発明の発明者は、ダイヤモンドとターゲット(例えばアルミニウム)の間に中間体となる被膜を形成すれば、接着がより強固になり、ターゲットの耐久性もより増加することを見付けた(このようにしなければ、アノード使用時にターゲットが剥がれやすくなる)。このように、中間層を提供する(ダイヤモンドを金属で被膜する)ことによって、アノードを機器に取り付ける際にターゲットの被膜に損傷が生じる危険性が減少する。
図4に示す実施例において(詳細は以下で述べる)、まず初めにダイヤモンドをチタンの薄層で被膜する。チタンによってダイヤモンドへの接着を強固にすることができる。ダイヤモンドを一旦チタンで被膜すると、他の素材はチタン層によく接着するため、他の被膜を塗布することも可能である。このように、チタンはダイヤモンドに強力に接着するため、他の素材が構造に接着できるようにするために使用される。クロムのような、チタン以外の材質もこの目的のために使用できるかもしれない。ダイヤモンドと銅との熱伝導率の垣根を下げるために、チタンの層はできる限り薄くすることが望ましい。(ダイヤモンドとアルミニウムの間でも同様である)。チタンは、ダイヤモンドに被膜を提供し、他の素材が構造に接着できるよう、充分な厚みを有することが必要である。
第1の中間層(典型的にはチタン)にさらに中間層を塗布することで、信頼性と接着強度を更に改善することができる。従って、チタン層を覆うために厚いプラチナの層を塗布することが望ましい。プラチナ層がバリア層となって、次の層がチタン層に拡散(又は混合)したりその逆が生じたりすることを予防する。プラチナ層はバリア層として使用され、アノードが使用されてその結果温度上昇(200〜600℃)が生じる際に他の層がバリアを越えて拡散するのを防いでいる。種々の層の拡散、及びその結果生じる混合によって、その性能が低下するため、かかる事態を防がなければならない。ダイヤモンドとアルミニウムと銅の間の熱伝導率の垣根を抑えるため、プラチナ層はできる限り薄くするのが望ましい。プラチナ層は拡散を効率的に防ぐバリアとなるに充分な厚みを有することが望ましい。タングステンのような他の素材もバリア層として用いることができる。
接着の信頼性と強度をさらに改善するため、ダイヤモンドを第3の層で覆うことも可能である。筐体に接着しているダイヤモンドの表面上に形成する第3の層は金である。この金の層は、さらに、接着層(ろう)と被膜されたダイヤモンドとの間の接着を強固に形成することを目的としている。金の層は、ろう(例えば、In10)に対してダイヤモンドの被膜された構造がより強固に接着するように改善するために用いられる。ダイヤモンドとアノード本体との間の熱伝導率の垣根を抑えるため、この層はできる限り薄くするのが望ましい。この層はろうとダイヤモンド被膜された組立部との間の接着を優れたものとするのに充分な厚みを有することが望ましい。ろうへの接着を改善するために他の素材を被膜として用いてもよい。
かかる望ましい特徴を念頭に置き、図4は上述のような中間層を有する電極60を示している。このように、ダイヤモンド基板62(TM180合成ダイヤモンド、厚み400μm、Element Six B.Vから入手)はTi 層66(厚み0.06μm)、Pt層68(厚み0.12μm)、Au層70(厚み1μm)、及びIn10のろう層72(厚み50μm)を介して銅の筐体64に接着されている。
ダイヤモンド基板62の反対側の表面には、Ti層74(厚み0.1μm)とPt層76(厚み0.1μm)が、ダイヤモンドと、Alから成るターゲット層78(厚み50μm)との間に存在する。この構成では、ダイヤモンドとアノード筐体とAlのターゲット層との間の接着が特に頑丈になる。X線を発生する機器(例えば、XPS装置)で用いると、ダイヤモンドと接着層によって優れた熱放散がもたらされるため、より多くのX線を発生させることができる。
上述のように、様々な層、とくに接着層は、例えばエレクトロニクス産業におけるろうよりも遙かに高温(例えば200℃〜650℃)にさらされる。
図5はXPS機器100を示しており、その中ではアノード101がX線発生源102内部で使用されている。X線源は、アノード、及びアノードの方にに方向付けできる電子ビームを発生させる電子ビーム発生器(本実施例では加熱したフィラメント。図示なし。)を有する。アノード101にはフィラメントに対して正の電位が印加されており、例えば望ましい実施例では15000Vが印加されている。電子ビームの衝突するアノードの外側の被膜によって、発生するX線の特性が異なってくる。アノード上のスポットの大きさは電子ビーム発生器とアノードの間に設けられた電子光学素子(図示なし)の配置により制御できる。上述のように、アノード上の電子ビームのスポットの大きさは本実施例では固定されているが、変更することも可能である。アノード101は磁場レンズ103の近傍に配置するのが適切である。磁場レンズはX線源の一部をなすものではない。磁場レンズは分析器の電子光学素子を構成するレンズの一つである。磁場レンズによって電子は分析器の方向に導かれる。
X線源は、X線モノクロメータに組み込んで利用される。X線モノクロメータは、エネルギー範囲を狭くし、X線源から放出されたX線ビームをフォーカスさせる。このように、本実施例の機器はX線モノクロメータを有する(図示なし)。その代わり、X線ビームがXPS分析が行われる試料の方向に直接放出されるようにX線源を設計してもよい(図示あり)。かかる構成では、薄い金属箔(典型的には アルミニウム又はベリリウム)をアノードと試料の間に設置してX線源の一部としてもよい。実際、XPSの機器は両タイプのX線源の一つまたは複数を有していてもよい。このように、機器は、エネルギー分散を制限したフォーカスX線スポットを使用するために、X線モノクロメータを利用したアルミニウムX線源を装備してもよく、また、試料に、フォーカスしていないX線を直接照射する(試料を大量の光にさらす)ために、アルミニウムとマグネシウムのデュアルX線源を装備してもよい。
XPS機器100には、(一つ又は複数の)X線源の他、X線源で照射されることによって試料から放出された光電子を分析する装置が含まれる。この分析器104は、光電子のエネルギーを分析でき、球面鏡分析器105、及び半球形分析器の変形106を有している。半球形分析器106は、内半球108と外半球110を含む。分析器104は、光電子が放出された部分の試料の、エネルギー選別されたパラレルイメージを得るために、放出された電子のエネルギーと位置の双方の分析を行うことができるように調整される。イメージは球面鏡分析器を用いて得ることができる。適切な装置は特許文献GB−A−2244369に記載されている。
第1の操作モードでは、機器100は、試料のいわゆるパラレルイメージを産生するように、及び/または試料のリアルタイムイメージを産生するように設定されている(イメージモード)。試料から放出された電子は、スリットプレート116を通るように方向付けるため、静電レンズ114によってフォーカスされる。(電荷中和装置117をスキャンプレートの前に配置してもよい)。その後、電子は半球形分析器106内部を通過し、外半球110の中の開口を通過する。電子の軌跡は118で示されており、球面鏡分析器105内部で反射し、外半球110の中の第2の開口を経由して半球分析器106に戻る経路を含む。
電子は次に半球計分析器106から遅延線検出器(DLD)120に向かう。この段階における電子の空間的分布は試料から放出された地点におけるものと同一である。このようにして試料のイメージを産生することができる。さらに、磁場レンズと静電レンズの操作モードを変えることによって、イメージをX倍に拡大することができる。
第2の操作モードでは、図6(対応する部分には同じ番号を付してある)に示したように、機器100はエネルギー分散スペクトルを産生するように設定されている(いわゆるスペクトルモード)。このモードでは、放出された電子は図5のイメージングモードとは異なる軌跡をとる(122で示す)。このように、内半球108及び外半球110の間に電子が残り、そのエネルギーに応じて検出器120の面(plane)全域に亘って分布する。これによって、スペクトル又はエネルギー分布が形成される。
動作電力
実験では、同一のアノード、電子ビーム形状を用いており、ダイヤモンドチップの有無によって確実な動作電力の約40%上昇を達成できることが示された。
試料電流
スタンダードなX線銃、及びダイヤモンドがついた本発明のアノードを有するX線銃の両者から発生したX線を,モノクロメータを用いて同一の条件で単色化し、そのX線によって発生する試料電流を上記と同様に比較すると、パワーに比例して増加することが分かった。これは、電子銃がハイパワーで正しく動作していることを示している。
DLDが取り付けられたSMAシステムで測定された銀のカウント
球面鏡分析器(SMA)(Nova SMA、クレイトスアナリティカルリミテッドにて入手可能)に取り付けられた遅延線検出器(DLD)を有するNova機器(Nova DLDはクレイトスアナリティカルリミテッドにて入手可能)をスペクトルモードで使用し、清浄な純銀箔を分析した時の感度は、パワーの増加に比例して増加することが示された。
重要なことは、これら全ての試験において、ダイヤモンドを先端に付けたアノードは、構造上の完全性及び筐体(銅)との間の接着(In10のろう付け)を保っていたということであり、ダイヤモンドメンバーはアノードにおける高温に曝されても弱くなることはなかったということである。
特に、本発明の発明者は、ダイヤモンドが先端に付いたアノードを球面鏡分析器システム及び遅延線検出器と組み合わせて利用すると、ダイヤモンドメンバーのない通常のアノードと比較して、特に高レベルのシグナル対雑音を提供することができ、より高品質な試料のイメージを得ることが可能になることを発見した。
電極の部分拡大図。 2つのターゲット表面を有する電極の概略図。 図2aの電極を真横からみた概略図。 内部で冷却液がダイヤモンドメンバーに直接当たっている電極の模式図。 ダイヤモンドメンバーと筐体との間に中間層を有する電極の部分図。 イメージングモードで操作するように設定されたXPS機器の模式図。 スペクトルモードで操作するように設定されたXPS機器の模式図。

Claims (11)

  1. 電子源を有するX線発生装置で用いる電極であって、
    筐体と、
    前記筐体に取り付けられたダイヤモンドメンバーと、
    前記ダイヤモンドメンバー上に設けられたターゲットと、
    を有し、
    前記ターゲットと前記筐体が前記ダイヤモンドメンバーを挟んで互いに反対の側に配置されており、
    前記ターゲットは、X線を発生させるため使用時に電子源由来の電子が衝突するものであり、
    前記筐体と前記ダイヤモンドメンバーとの間に接着層が設けられており、
    前記接着層は、重量比率で銀を55〜70重量%、銅を20〜35重量%、インジウムを5〜15重量%含む、500℃から750℃の範囲の固相線または溶融点を有する合金を含む
    ものである電極。
  2. 電子源を有するX線発生装置で用いる電極であって、前記電極は
    筐体と、
    前記筐体に取り付けられたダイヤモンドメンバーと、
    前記ダイヤモンドメンバー上に設けられたターゲットと、
    を有し、前記ターゲットと前記筐体が前記ダイヤモンドメンバーを挟んで互いに反対の側に配置されており、前記ターゲットは、X線を発生させるため使用時に電子源由来の電子が衝突するものであり、前記筐体と前記ダイヤモンドメンバーとの間に接着層が設けられており、前記接着層は10μm〜200μmの厚みを有し、500℃から750℃の範囲の固相線または溶融点を有する合金を含むものである電極。
  3. 電子源を有するX線発生装置で用いる電極であって、前記電極は
    筐体と、
    前記筐体に取り付けられたダイヤモンドメンバーと、
    前記ダイヤモンドメンバー上に設けられたターゲットと、
    を有し、前記ターゲットと前記筐体が前記ダイヤモンドメンバーを挟んで互いに反対の側に配置されており、前記ターゲットは、X線を発生させるため使用時に電子源由来の電子が衝突するものであり、
    前記筐体と前記ダイヤモンドメンバーとの間に接着層が設けられており、前記接着層は500℃から750℃の範囲の固相線または溶融点を有する合金を含み、
    前記接着層と前記ダイヤモンドメンバーとの間に、チタンとクロムのうち少なくとも一つを含む第1の中間層が設けられており、
    前記接着層と前記第1の中間層の間に、プラチナとタングステンの少なくとも一つを含む第2の中間層が設けられている、ことを特徴とする電極。
  4. 請求項3に記載の電極であって、第3の中間層が前記接着層と前記第2の中間層の間に設けられ、前記第3の中間層は金、銀、インジウム、アルミニウム、マグネシウムの少なくとも一つを含むものである電極。
  5. 請求項4に記載の電極であって、第4の中間層が前記ターゲットと前記ダイヤモンドメンバーとの間に設けられ、前記第4の中間層はチタンとクロムのうち少なくとも一つを含むものである電極。
  6. 請求項5に記載の電極であって、第5の中間層が前記ターゲットと前記第4の中間層の間に配置され、前記第5の中間層はプラチナとタングステンの少なくとも一つを含むものである電極。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極であって、前記合金は650℃から750℃の範囲の固相線または溶融点を有する合金である電極。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電極であって、前記ダイヤモンドメンバーは50〜1000μmの厚みを有するものである電極。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電極であって、前記接着層がろう付けにより形成されている電極。
  10. X線発生装置であって、前記装置は請求項1〜9のいずれか1項に記載の電極と電子源を有し、使用時には前記電子源から電子が産生されて電極のターゲットに衝突するものである装置。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電極又は請求項10に記載の装置を用いるX線発生方法。
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