JP5135978B2 - 高電圧ic - Google Patents

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Description

本発明は、インバータ駆動用等のレベルシフト回路部を有してなる高電圧ICに関する。
インバータ駆動用等の高電圧ICが、例えば、特許第3384399号公報(特許文献1)およびProc. of ISPSD’04(非特許文献1)に開示されている。また、特に高耐圧(1200V程度)が要求される電気自動車(EV)やハイブリッド(HEV)車等の自動車用モータ制御に好適で、耐圧150V〜1200Vを包括カバーできる高電圧ICが、特開2006−148058号公報(特許文献2)に開示されている。
図4(a)は、特許文献1に開示されている、モータ制御用インバータのパワー部分を中心とした回路構成図である。三相モータMoを駆動するために用いるパワーデバイス(IGBTであるQ1〜Q6とダイオードであるD1〜D6)は、ブリッジ回路を構成し、同一パッケージに収納されたパワーモジュールの構造をしている。主電源VCCは、通常、直流100〜400Vと高電圧である。特に、電気自動車(EV)やハイブリッド(HEV)車等の自動車用モータ制御においては、主電源VCCが、直流650Vもの高電圧となる。主電源VCCの高電位側をVCCH 、低電位側をVCCLと表した場合、VCCH に接続されるIGBTQ1〜Q3を駆動するためには、IGBTのゲート電極の電位はこれよりさらに高電位となる。このため、駆動回路には、フォトカプラー(PC:Photo Coupler)や高電圧IC(HVIC:High Voltage Integrated Circuit)90が用いられる。駆動回路の入出力端子(I/O:Input / Output)は、通常マイクロコンピュータへ接続され、そのマイクロコンピュータにより、インバータ全体の制御がなされる。
図4(b)は、図4(a)で用いられる高電圧IC(HVIC)の内部構成ユニットのブロック図である。
図4(b)に示す高電圧IC90は、制御回路(CU:Control Unit)、低電位のGND電位を基準とするゲート駆動回路GDU(Gate Drive Unit)4〜6、高電位の浮遊電位を基準とするゲート駆動回路GDU1〜3およびレベルシフト回路(LSU:Level Shift Unit)から構成されている。制御回路CUは、入出力端子I/Oを通してマイクロコンピュータと信号のやりとりを行い、図4(a)のどのIGBTをオンさせ、どれをオフさせるかの制御信号を発生させる。ゲート駆動回路GDU(Gate Drive Unit)4〜6は、図4(a)の主電源VCCの低電位側VCCL に接続するIGBTQ4〜Q6を駆動する。ゲート駆動回路GDU1〜3は、図4(a)の主電源VCCの高電位側VCCHに接続するIGBTQ1〜Q3を駆動する。レベルシフト回路LSUは、VCCL レベルの制御回路CUの信号と、VCCHレベルとVCCL レベルの間を行き来するGDU1〜3の信号(SIN1〜3、SOUT1〜3)との間を、媒介する働きをする。従って、高電圧IC90のレベルシフト回路LSUを構成する半導体装置は、上記したようにVCCH レベルとVCCLレベルの間(0〜650V)の信号を取り扱うため、特に高耐圧(1200V程度)が要求される。
図5〜図8は、特許文献2に開示された半導体装置を示す図である。
図5は、インバータ駆動回路の高電圧ICに用いられ、レベルシフト回路部として機能する半導体装置10の基本的な等価回路図である。
図5に示す半導体装置10では、互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のMOSトランジスタ素子Tr〜Trが、グランド(GND)電位と所定電位Vsとの間で、GND電位側を第1段、所定電位Vs側を第n段として、順次直列接続されている。第1段のMOSトランジスタ素子Trのゲート端子は、半導体装置10の入力端子となっている。半導体装置10の出力は、第n段のMOSトランジスタ素子Trにおける所定電位Vs側の端子から、所定の抵抗値を有する負荷抵抗(図示省略)を介して取り出される。尚、出力信号は、基準電位が入力信号のGND電位から所定電位Vsに変換(レベルシフト)され、入力信号に対して反転した状態で取り出される。
図5の半導体装置10の動作においては、GND電位と所定電位Vsの間の電圧がn個のMOSトランジスタ素子Tr〜Trにより分割され、第1段から第n段の各MOSトランジスタ素子Tr〜Trが、それぞれの電圧範囲を分担している。従って、GND電位と所定電位Vsの間の電圧を1個のMOSトランジスタ素子で分担する場合に較べて、各MOSトランジスタ素子Tr〜Trに要求される耐圧は、略n分の1となる。従って、一般的な製造方法を用いて安価に製造できる通常の耐圧を有するMOSトランジスタ素子であっても、図5の半導体装置10においてMOSトランジスタ素子の個数nを適宜設定することにより、全体として必要とされる高い耐圧を確保した半導体装置とすることができる。
図6は、図5の等価回路図で示した半導体装置10を適用した、高電圧IC100の模式的な平面図である。
図6の高電圧IC100は、図4で説明した高電圧IC90と同様のインバータ駆動用の高電圧ICで、GND電位を基準とするGND基準ゲート駆動回路部、浮遊電位を基準とする浮遊基準ゲート駆動回路部、GND基準ゲート駆動回路部と浮遊基準ゲート駆動回路部を制御するための制御回路部、および制御回路部と浮遊基準ゲート駆動回路部の間に介在し、制御回路の入出力信号をGND電位と浮遊電位の間でレベルシフトさせるレベルシフト回路部で構成されている。図5で示した半導体装置10は、図6の高電圧IC100におけるレベルシフト回路部に適用される。この場合には、図5の所定電位Vsは、約1200Vの正の浮遊電位としている。
図7は、図6の高電圧IC100におけるレベルシフト回路部と浮遊基準ゲート駆動回路部を詳細に示す図で、高電圧IC100のレベルシフト回路部に適用された図5の等価回路図で示した半導体装置10の各回路素子の配置を示した図である。また、図8は、図7の一点鎖線A−Aにおける断面図で、各MOSトランジスタ素子の構造を示す図である。
図8の断面図に示すように、高電圧IC100では、レベルシフト回路部に適用された図5の半導体装置10におけるn個のMOSトランジスタ素子Tr〜Trが、埋め込み酸化膜3を有するSOI構造半導体基板1のn導電型SOI層1aに形成されている。尚、埋め込み酸化膜3の下はシリコン(Si)からなる厚い支持基板2となっており、SOI基板1は、基板の貼り合わせによって形成されたものである。
n個のMOSトランジスタ素子Tr〜Trは、横型MOS(LDMOS,Lateral Diffused Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ素子で、埋め込み酸化膜3に達する絶縁分離トレンチ4により、互いに絶縁分離されている。尚、図8に示す半導体装置10においては、浮遊基準ゲート駆動回路部でのスイッチングに伴う高周波電位干渉をシールドするために、SOI層1aにおける埋め込み酸化膜3上に高濃度不純物層1bが形成されている。
図7に示すように、高電圧IC100の半導体装置10においては、n重の絶縁分離トレンチT〜Tが形成され、互いに絶縁分離されたn個のMOSトランジスタ素子Tr〜Trが、n重の絶縁分離トレンチT〜Tにより囲まれた各フィールド領域に、高段のMOSトランジスタ素子を内に含むようにして、一個ずつ順次配置されている。
特許第3384399号公報 Proc. of ISPSD’04,p385,H.Akiyama, etal(三菱電機) 特開2006−148058号公報
図5〜図8に示したレベルシフト回路部として機能する半導体装置10においては、図7に示すように、GND電位と所定電位Vsの間の電圧を分担するn個のMOSトランジスタ素子Tr〜Trが、ストレート配置されて、順次結線されている。これによって、各MOSトランジスタ素子Tr〜Trの結線が容易になると共に、配線距離を短くして寄生容量を低減して、急激な電圧変化(dV/dt)に対する耐量の低下を抑制することができる。
しかしながら、高電圧IC100における上記n個のMOSトランジスタ素子Tr〜Trがストレート配置されたレベルシフト回路部のレイアウトは、図6と図7に示されるように、レベルシフト回路部が浮遊基準ゲート駆動回路部から突き出たと凸形状となっている。このため、上記凸形状のレベルシフト回路部と浮遊基準ゲート駆動回路部と、制御回路部やGND基準ゲート駆動回路部等の周りの回路部との効率的なレイアウトが困難で、半導体基板の面積利用効率が低下してしまう。特に、最近では高電圧化の要請からMOSトランジスタ素子Tr〜Trの多段化(十数段)の傾向が増しており、上記ストレート配置されたレベルシフト回路部も長くなる傾向がある。また、上記凸形状のレベルシフト回路部と浮遊基準ゲート駆動回路部からなる組を半導体基板上に複数組レイアウトする場合も有り、半導体基板の面積利用効率が低いため、チップが大型化してしまう。
そこで本発明は、レベルシフト回路部を有してなる高電圧ICであって、該レベルシフト回路部を構成するトランジスタ素子の結線が容易で配線距離が短く、且つ該レベルシフト回路部と周辺回路部を合わせた全体の半導体基板の面積利用効率が高い高電圧ICを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、浮遊電位を基準とする浮遊基準ゲート駆動回路部と、制御回路部の入出力信号をグランド(GND)電位と前記浮遊電位の間でレベルシフトさせるレベルシフト回路部と、を有してなる高電圧ICであって、前記浮遊基準ゲート駆動回路部が、略方形にレイアウトされてなり、前記レベルシフト回路部において、互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のトランジスタ素子が、GND電位と前記浮遊電位との間で、GND電位側を第1段、浮遊電位側を第n段として、順次直列接続されてなり、前記第1段のトランジスタ素子におけるゲート端子を入力端子とし、前記第n段のトランジスタ素子における前記浮遊電位側の端子から、出力が取り出されてなる高電圧ICにおいて、前記n個のトランジスタ素子が、絶縁分離された前記浮遊基準ゲート駆動回路部の外周の一辺に沿って、GND電位と前記浮遊電位との間で順次直列接続される途中で折り返すようにして、隣接して配置され、前記浮遊基準ゲート駆動回路部と前記レベルシフト回路部の全体が、略方形にレイアウトされてなることを特徴としている。
上記高電圧ICにおいては、n個のトランジスタ素子が浮遊基準ゲート駆動回路部の外周に沿って隣接して配置され、順次直列接続される。従って、n個のトランジスタ素子をストレート配置する場合と同様に、各トランジスタ素子の結線は容易であり、配線距離を短くして寄生容量を低減し、急激な電圧変化(dV/dt)に対する耐量の低下を抑制することができる。また、上記高電圧ICでは、浮遊基準ゲート駆動回路部とn個のトランジスタ素子で構成されるレベルシフト回路部と浮遊基準ゲート駆動回路部の全体が、略方形にレイアウトされる構成となっている。従って、従来の高電圧ICのように、レベルシフト回路部が浮遊基準ゲート駆動回路部から突き出た凸形状となっていない。このため、制御回路部やGND基準ゲート駆動回路部等の周りの回路部との効率的なレイアウトが可能で、半導体基板の面積利用効率を高めることができる。
以上のようにして、上記高電圧ICは、レベルシフト回路部を有してなる高電圧ICであって、該レベルシフト回路部を構成するトランジスタ素子の結線が容易で配線距離が短く、且つ該レベルシフト回路部と周辺回路部を合わせた全体の半導体基板の面積利用効率が高い高電圧ICとすることができる。
また、上記高電圧ICにおいては、記浮遊基準ゲート駆動回路部も、略方形にレイアウトされている。これによって、例えば浮遊基準ゲート駆動回路部を凸形状にレイアウトする場合に較べて、レベルシフト回路部と浮遊基準ゲート駆動回路部の全体について、半導体基板の面積利用効率を高めることができ、これら回路部の全体を小型化することが可能である。
そして記n個のトランジスタ素子が、前記浮遊基準ゲート駆動回路部の一辺に沿って配置されてなる構成とする
そして、トランジスタ素子の個数が多い場合に適するように、前記n個のトランジスタ素子が、GND電位と前記浮遊電位との間で順次直列接続される途中で折り返すようにして配置されてなる構成とすることで、浮遊基準ゲート駆動回路部とレベルシフト回路部の全体を略方形にレイアウトすることが可能である。
また、請求項に記載のように、前記n個のトランジスタ素子が、前記浮遊基準ゲート駆動回路部の複数辺に沿って配置されてなる構成とすることによっても、浮遊基準ゲート駆動回路部とレベルシフト回路部の全体を略方形にレイアウトすることが可能である。
浮遊基準ゲート駆動回路部が略方形にレイアウトされている場合には、請求項に記載のように、前記第n段のトランジスタ素子が、前記浮遊基準ゲート駆動回路部の角部で、該浮遊基準ゲート駆動回路部と接続されてなることが好ましい。これによって、浮遊基準ゲート駆動回路部とレベルシフト回路部の全体を、容易に略方形にレイアウトすることができる。
上記高電圧ICは、例えば請求項に記載のように、前記n個のトランジスタ素子と前記浮遊基準ゲート駆動回路部が、埋め込み酸化膜を有するSOI構造半導体基板のSOI層に形成され、前記埋め込み酸化膜に達する絶縁分離トレンチにより、互いに絶縁分離されてなるようにして、構成することができる。
この場合、請求項に記載のように、前記埋め込み酸化膜に達するn重の絶縁分離トレンチが形成され、前記n個のトランジスタ素子が、前記n重の絶縁分離トレンチにより囲まれた各フィールド領域に、高段のトランジスタ素子を内に含むようにして、一個ずつ順次配置されてなる構成とすることが好ましい。
これにより、GND電位から浮遊電位までの電圧増加に応じて、n重の絶縁分離トレンチにより囲まれた各フィールド領域に加わる電圧を均等化し、n個のトランジスタ素子の担当電圧範囲をGND電位から浮遊電位に向かって順番に移行させることができる。尚、隣り合う絶縁分離されたトランジスタ素子同士の間には、n重の絶縁分離トレンチの一つが存在するだけであるため、n個のトランジスタ素子の接続配線が容易になると共に、占有面積を低減して、当該高電圧ICを小型化することができる。
上記高電圧ICにおいては、請求項に記載のように、前記レベルシフト回路部において、n個の抵抗素子、容量素子またはまたは並列接続された抵抗素子と容量素子が、GND電位と前記浮遊電位との間で、GND電位側を第1段、浮遊電位側を第n段として、順次直列接続されてなり、前記第1段のトランジスタ素子を除いた各段のトランジスタ素子におけるゲート端子が、前記直列接続された各段の抵抗素子、容量素子または並列接続された抵抗素子と容量素子の間の接続点に、それぞれ、順次接続されてなる構成とすることで、第1段のトランジスタ素子のゲート端子に入力信号を加えた際、上記第2段から第n段のトランジスタ素子の同時動作を、安定化させることができる。
上記高電圧ICは、特に請求項に記載のように、直列接続されるトランジスタ素子の個数および直列接続される抵抗素子、容量素子または並列接続された抵抗素子と容量素子の個数である前記nが、12以上である場合に好適で、この場合には小型化の効果も大きなものとなる。
上記高電圧ICは、請求項に記載のように、GND電位を基準とするGND基準ゲート駆動回路を有してなる構成とし、前記制御回路部が、前記浮遊基準ゲート駆動回路と前記GND基準ゲート駆動回路とを制御する回路であり、前記レベルシフト回路部が、前記制御回路部と前記浮遊基準ゲート駆動回路部の間に介在し、前記制御回路部の入出力信号をGND電位と前記浮遊電位の間でレベルシフトさせる回路であるように構成することで、該高電圧ICをインバータ駆動用として用いることが可能であり、インバータ駆動用の小型の高電圧ICとすることができる。
上記高電圧ICは、特に請求項10に記載のように、小型化が要求される車載モータや車載エアコンのインバータ駆動用として好適である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図に基づいて説明する。
図1は、本発明の基本とする高電圧IC101の模式的な上面図で、要部であるレベルシフト回路部11と浮遊基準ゲート駆動回路部20のレイアウトを示した図である。尚、図1の高電圧IC101において、図7の高電圧IC100と同様の部分については、同じ符号を付した。
図1に示す高電圧IC101は、浮遊電位Vssを基準とする浮遊基準ゲート駆動回路部20と、図示していない制御回路部の入出力信号をグランド(GND)電位と浮遊電位Vssの間でレベルシフトさせるレベルシフト回路部11とを有している。高電圧IC101には、図7および図8に示した高電圧IC100と同様に、埋め込み酸化膜を有するSOI基板が用いられており、該高電圧IC101は、埋め込み酸化膜上のSOI層に形成されている。
図1の高電圧IC101のレベルシフト回路部11には、6個の横型MOS(LDMOS)トランジスタ素子Trが形成されている。各トランジスタ素子Trは、ドレインD、ゲートGおよびソースSが図に示すように同心円状に配置されたパターンとなっている。また、各トランジスタ素子Trは、図中に細い実線の円で示した、埋め込み酸化膜に達する第1絶縁分離トレンチZ1により取り囲まれて、周りから絶縁分離されている。
図1の高電圧IC101では、同じく埋め込み酸化膜に達する図中に細い実線で示した第2絶縁分離トレンチT〜Tが、6重に形成されている。第1絶縁分離トレンチZ1により絶縁分離された各トランジスタ素子Trは、6重の第2絶縁分離トレンチT〜Tにより囲まれた各フィールド領域に、それぞれ一個ずつ配置されている。また、浮遊基準ゲート駆動回路部20も、第3絶縁分離トレンチZ2により取り囲まれて、周りから絶縁分離されている。
図1の高電圧IC101におけるレベルシフト回路部11では、上記のように絶縁分離トレンチZ1によって互いに絶縁分離された6個のトランジスタ素子Trが、GND電位と浮遊電位Vssとの間で、GND電位側を第1段、浮遊電位Vss側を第6段として、順次直列接続されている。レベルシフト回路部11では、図に示すように、第1段のトランジスタ素子TrにおけるゲートG端子が入力端子となっており、第6段のトランジスタ素子Trにおける浮遊電位側のドレインD端子から、出力が取り出される。
上記構成により、図1の高電圧IC101におけるレベルシフト回路部11では、GND電位から浮遊電位Vssまでの電圧増加に応じて、6重の絶縁分離トレンチT〜Tにより囲まれた各フィールド領域に加わる電圧を均等化し、6個のトランジスタ素子Trの担当電圧範囲をGND電位から浮遊電位Vssに向かって順番に移行させることができる。尚、上記機能を実現する上で、最外周の第2絶縁分離トレンチTと最内周の第3絶縁分離トレンチZ2は、形成を省略することが可能である。高電圧IC101において、隣り合う絶縁分離されたトランジスタ素子Tr同士の間には、6重の絶縁分離トレンチT〜Tの一つが存在するだけである。このため、6個のトランジスタ素子Trの接続配線が容易になると共に、占有面積を低減して、当該高電圧IC101を小型化することができる。
また、図1の高電圧IC101におけるレベルシフト回路部11では、6個の抵抗素子Rが、GND電位と浮遊電位Vssとの間で、GND電位側を第1段、浮遊電位Vss側を第6段として、順次直列接続されており、第1段のトランジスタ素子Trを除いた各段のトランジスタ素子Trにおけるゲート端子が、直列接続された各段の抵抗素子R間の接続点に、それぞれ、順次接続されている。これによって、第1段のトランジスタ素子TrのゲートG端子に入力信号を加えた際、第2段から第6段のトランジスタ素子Trの同時動作を、安定化させることができる。尚、上記抵抗素子Rは、容量素子に置き換えてもいいし、並列接続された抵抗素子と容量素子に置き換えることも可能である。
図1の高電圧IC101においては、6個のトランジスタ素子Trが、略方形にレイアウトされた浮遊基準ゲート駆動回路部20の外周の一辺に沿って隣接して配置され、上記したように順次直列接続されている。従って、図7に示した従来の高電圧IC100におけるn個のトランジスタ素子Tr〜Trをストレート配置する場合と同様に、各トランジスタ素子Trの結線は容易であり、配線距離を短くして寄生容量を低減し、急激な電圧変化(dV/dt)に対する耐量の低下を抑制することができる。
一方、図1の高電圧IC101は、図7に示した従来の高電圧IC100と異なり、6個のトランジスタ素子Trが、絶縁分離された浮遊基準ゲート駆動回路部20の外周に沿って、隣接して配置されている。そして、浮遊基準ゲート駆動回路部20と6個のトランジスタ素子Trで構成されるレベルシフト回路部11の全体が、略方形にレイアウトされている。従って、図7に示した従来の高電圧IC100のように、レベルシフト回路部が浮遊基準ゲート駆動回路部から突き出た凸形状となっていない。このため、図6に例示されている制御回路部やGND基準ゲート駆動回路部等の周りの回路部との効率的なレイアウトが可能で、半導体基板の面積利用効率を高めることができる。
尚、図1の高電圧IC101では、浮遊基準ゲート駆動回路部20も、略方形にレイアウトされている。これによって、例えば浮遊基準ゲート駆動回路部を凸形状にレイアウトする場合に較べて、レベルシフト回路部11と浮遊基準ゲート駆動回路部20の全体について、半導体基板の面積利用効率を高めることができ、これら回路部の全体を小型化することが可能である。
以上のようにして、図1に示す高電圧IC101は、レベルシフト回路部11を有してなる高電圧ICであって、該レベルシフト回路部11を構成するトランジスタ素子Trの結線が容易で配線距離が短く、且つ該レベルシフト回路部11と周辺回路部を合わせた全体の半導体基板の面積利用効率が高い高電圧ICとすることができる。
図2と図3は、本発明に係る高電圧ICの例で、それぞれ、高電圧IC102,103の模式的な上面図である。尚、図2と図3の高電圧IC102,103において、図1の高電圧IC101と同様の部分については、同じ符号を付した。
図2と図3に示す高電圧IC102,103においては、いずれも、図1に示した高電圧IC101と同様に、浮遊基準ゲート駆動回路部21,22とレベルシフト回路部12,13の全体が、略方形にレイアウトされている。
一方、図1の高電圧IC101と異なり、図2の高電圧IC102においては、9個のトランジスタ素子Trが、略方形にレイアウトされた浮遊基準ゲート駆動回路部21の二辺に沿って配置された構成となっている。直列接続されるトランジスタ素子Trの個数が多い場合には、さらに三辺や四辺に沿って配置して、浮遊基準ゲート駆動回路部21とレベルシフト回路部の全体が略方形にレイアウトされるようにしてもよい。
また、図3の高電圧IC103においては、略方形にレイアウトされた浮遊基準ゲート駆動回路部22の一辺に沿って、12個のトランジスタ素子Trが、GND電位と浮遊電位Vssとの間で順次直列接続される途中で折り返すようにして二列に配置された構成となっている。直列接続されるトランジスタ素子Trの個数が多い場合には、さらに三列以上に折り返して、浮遊基準ゲート駆動回路部22とレベルシフト回路部の全体が略方形にレイアウトされるようにしてもよい。
図2と図3の高電圧IC102,103についても、図1の高電圧IC101と同様にして、レベルシフト回路部12,13を構成するトランジスタ素子Trの結線が容易で配線距離が短く、且つ該レベルシフト回路部12,13と周辺回路部を合わせた全体の半導体基板の面積利用効率が高い高電圧ICとすることができることは言うまでもない。図2と図3に示した高電圧IC102,103の構成は、浮遊基準ゲート駆動回路部21,22とレベルシフト回路部12,13の全体を略方形にレイアウトするにあたって、特に、直列接続されるトランジスタ素子Trの個数が多い場合に適用できる。
図1〜図3で例示した高電圧IC101〜103において、直列接続されるトランジスタ素子Trの個数(および直列接続される抵抗素子Rの個数)は、任意の複数個であってよい。しかしながら、浮遊基準ゲート駆動回路部20〜22とレベルシフト回路部11〜13の全体を略方形にレイアウトして得られる小型化の効果は、直列接続されるトランジスタ素子Trの個数nを12以上とする場合に好適で特に大きな効果が得られる。
尚、図1〜図3で例示した高電圧IC101〜103のように、浮遊基準ゲート駆動回路部20〜22が略方形にレイアウトされている場合には、最高段のトランジスタ素子Trが、浮遊基準ゲート駆動回路部20〜22の角部で、該浮遊基準ゲート駆動回路部20〜22と接続されていることが好ましい。これによって、浮遊基準ゲート駆動回路部20〜22とレベルシフト回路部11〜13の全体を、容易に略方形にレイアウトすることができる。
図1〜図3に例示した高電圧IC101〜103は、図4および図6で説明したように、GND電位を基準とするGND基準ゲート駆動回路を有してなる構成とし、前記制御回路部が、浮遊基準ゲート駆動回路部20〜22と前記GND基準ゲート駆動回路とを制御する回路であり、レベルシフト回路部11〜13が、前記制御回路部と前記浮遊基準ゲート駆動回路部20〜22の間に介在し、前記制御回路部の入出力信号をGND電位と浮遊電位Vssの間でレベルシフトさせる回路であるように構成することで、該高電圧IC101〜103をインバータ駆動用として用いることが可能であり、インバータ駆動用の小型の高電圧ICとすることができる。
従って、上記した高電圧IC101〜103は、特に小型化が要求される車載モータや車載エアコンのインバータ駆動用として好適である。
本発明の基本とする高電圧IC101の模式的な上面図で、要部であるレベルシフト回路部11と浮遊基準ゲート駆動回路部20のレイアウトを示した図である。 本発明に係る高電圧ICの例で、高電圧IC102の模式的な上面図である。 本発明に係る高電圧ICの例で、高電圧IC103の模式的な上面図である。 (a)は、特許文献1に開示されている、モータ制御用インバータのパワー部分を中心とした回路構成図であり、(b)は、(a)で用いられる高電圧IC(HVIC)の内部構成ユニットのブロック図である。 特許文献2に開示された半導体装置で、インバータ駆動回路の高電圧ICに用いられ、レベルシフト回路部として機能する半導体装置10の基本的な等価回路図である。 図5の等価回路図で示した半導体装置10を適用した、高電圧IC100の模式的な平面図である。 図6の高電圧IC100におけるレベルシフト回路部と浮遊基準ゲート駆動回路部を詳細に示す図で、高電圧IC100のレベルシフト回路部に適用された図5の等価回路図で示した半導体装置10の各回路素子の配置を示した図である。 図7の一点鎖線A−Aにおける断面図で、各MOSトランジスタ素子の構造を示す図である。
符号の説明
90,100〜103 高電圧IC
11〜13 レベルシフト回路部
20〜22 浮遊基準ゲート駆動回路部
Tr トランジスタ素子
D ドレイン
G ゲート
S ソース
Z1 (第1)絶縁分離トレンチ
〜T12 (第2)絶縁分離トレンチ
Z2 (第3)絶縁分離トレンチ
R 抵抗素子

Claims (10)

  1. 浮遊電位を基準とする浮遊基準ゲート駆動回路部と、制御回路部の入出力信号をグランド(GND)電位と前記浮遊電位の間でレベルシフトさせるレベルシフト回路部と、を有してなる高電圧ICであって、
    前記浮遊基準ゲート駆動回路部が、略方形にレイアウトされてなり、
    前記レベルシフト回路部において、
    互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のトランジスタ素子が、GND電位と前記浮遊電位との間で、GND電位側を第1段、浮遊電位側を第n段として、順次直列接続されてなり、
    前記第1段のトランジスタ素子におけるゲート端子を入力端子とし、
    前記第n段のトランジスタ素子における前記浮遊電位側の端子から、出力が取り出されてなる高電圧ICにおいて、
    前記n個のトランジスタ素子が、絶縁分離された前記浮遊基準ゲート駆動回路部の外周の一辺に沿って、GND電位と前記浮遊電位との間で順次直列接続される途中で折り返すようにして、隣接して配置され、
    前記浮遊基準ゲート駆動回路部と前記レベルシフト回路部の全体が、略方形にレイアウトされてなることを特徴とする高電圧IC。
  2. 浮遊電位を基準とする浮遊基準ゲート駆動回路部と、制御回路部の入出力信号をグランド(GND)電位と前記浮遊電位の間でレベルシフトさせるレベルシフト回路部と、を有してなる高電圧ICであって、
    前記浮遊基準ゲート駆動回路部が、略方形にレイアウトされてなり、
    前記レベルシフト回路部において、
    互いに絶縁分離されたn個(n≧2)のトランジスタ素子が、GND電位と前記浮遊電位との間で、GND電位側を第1段、浮遊電位側を第n段として、順次直列接続されてなり、
    前記第1段のトランジスタ素子におけるゲート端子を入力端子とし、
    前記第n段のトランジスタ素子における前記浮遊電位側の端子から、出力が取り出されてなる高電圧ICにおいて、
    前記n個のトランジスタ素子が、絶縁分離された前記浮遊基準ゲート駆動回路部の外周の複数辺に沿って隣接して配置され、
    前記浮遊基準ゲート駆動回路部と前記レベルシフト回路部の全体が、略方形にレイアウトされてなることを特徴とする電圧IC。
  3. 前記第n段のトランジスタ素子が、
    前記浮遊基準ゲート駆動回路部の角部で、該浮遊基準ゲート駆動回路部と接続されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の高電圧IC。
  4. 前記n個のトランジスタ素子と前記浮遊基準ゲート駆動回路部が、埋め込み酸化膜を有するSOI構造半導体基板のSOI層に形成され、
    前記埋め込み酸化膜に達する絶縁分離トレンチにより、互いに絶縁分離されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高電圧IC。
  5. 前記埋め込み酸化膜に達するn重の絶縁分離トレンチが形成され、
    前記n個のトランジスタ素子が、前記n重の絶縁分離トレンチにより囲まれた各フィールド領域に、高段のトランジスタ素子を内に含むようにして、一個ずつ順次配置されてなることを特徴とする請求項に記載の高電圧IC。
  6. 前記レベルシフト回路部において、
    n個の抵抗素子、容量素子または並列接続された抵抗素子と容量素子が、GND電位と前記浮遊電位との間で、GND電位側を第1段、浮遊電位側を第n段として、順次直列接続されてなり、
    前記第1段のトランジスタ素子を除いた各段のトランジスタ素子におけるゲート端子が、前記直列接続された各段の抵抗素子、容量素子または並列接続された抵抗素子と容量素子の間の接続点に、それぞれ、順次接続されてなることを特徴とする請求項乃至5のいずれか一項に記載の高電圧IC。
  7. 前記nが、12以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高電圧IC。
  8. 前記高電圧ICが、GND電位を基準とするGND基準ゲート駆動回路を有してなり、
    前記制御回路部が、前記浮遊基準ゲート駆動回路と前記GND基準ゲート駆動回路とを制御する回路であり、
    前記レベルシフト回路部が、前記制御回路部と前記浮遊基準ゲート駆動回路部の間に介在し、前記制御回路部の入出力信号をGND電位と前記浮遊電位の間でレベルシフトさせる回路であり、
    前記高電圧ICが、インバータ駆動用として用いられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の高電圧IC。
  9. 前記高電圧ICが、車載モータのインバータ駆動用として用いられることを特徴とする請求項に記載の高電圧IC。
  10. 前記高電圧ICが、車載エアコンのインバータ駆動用として用いられることを特徴とする請求項に記載の高電圧IC。
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