JP5135801B2 - 電気二重層キャパシタ用電極材、その製造方法及び電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Description
[1]ノボラック型フェノール樹脂を硬化剤によって硬化処理した硬化物を熱処理して炭化物を得ることと、前記炭化物をアルカリ化合物共存下で加熱することと、さらに不活性雰囲気下で熱処理することとを有する製造方法で得られ、電気二重層キャパシタ用電極材の充電前後において、ラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)の変化率が5%以下である電気二重層キャパシタ用電極材。
[2]2.7V充電時の静電容量に対する3.0V充電時の静電容量の変化率が5%以下である[1]記載の電気二重層キャパシタ用電極材。
[3]充電前後での電極材層の厚さの変化率が5%以下である[1]又は[2]に記載の電気二重層キャパシタ用電極材。
[4]比表面積が1800〜2400m2/g、細孔容量0.7〜1.2ml/g、平均細孔径が1.60〜1.80nm、表面官能基濃度が0.4〜0.7mmol/g、平均粒径が1〜20μmであり、ラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)が、65〜80cm−1である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ用電極材。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ用電極材の製造方法であって、ノボラック型フェノール樹脂を硬化剤によって硬化処理した硬化物を熱処理して炭化物を得ることと、前記炭化物をアルカリ化合物共存下に加熱処理することと、さらに不活性雰囲気下で熱処理することと、を有する電気二重層キャパシタ用電極材の製造方法。
[6][1]〜[4]のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用電極材を電極材として用いてなる電気二重層キャパシタ。
本発明の電気二重層キャパシタ用電極材は、ラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)の充電前後の変化率が5%以下であることを特徴とする。ラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)は、炭素結晶子の結晶構造をあらわしており、充電前後でのこの値の変化率を見ることで、充電の前後で炭素の微細構造がどの程度変化しているのかを判断することが可能である。
[ラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)の充電前後の変化率の測定方法]
(a)電気二重層キャパシタ用電極材、CMC(カルボキシメチルセルロース)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を100:4:3の割合で混合し、電気二重層キャパシタ用電極材と等量の水を加えスラリを作製する。
(b)膜厚20μmのアルミエッチング箔にアプリケーターによってスラリを塗布し、塗布電極を作製する。
(c)この塗布電極を乾燥機にて50℃1時間、80℃1時間、100℃1時間で乾燥する。
(d)乾燥した塗布電極を直径15mmの大きさに打ち抜き測定用電極を作製する。
(e)測定用電極は正極用及び負極用2枚用意するが、正極及び負極とも同じ電極材を使用し、正極における電極材と負極における電極材の重量比(正極電極材/負極電極材)が1.4、正極の膜厚(乾燥後の塗布層の厚さ、アルミエッチング箔の厚みは含む)が100μm、負極の膜厚(乾燥後の塗布層の厚さ、アルミ箔の厚みは含む)が70μmになるようにする。また、作製する電極のプレス処理はしないものとする。
(f)正極、負極、紙セパレータ(例えば、宝泉製 TF4050(19φ))、コインセル上下蓋(例えば、宝泉製 2016型コインセル)、厚さ400μmアルミスペーサーを真空乾燥機にて120℃3時間の条件で真空乾燥する。
(g)乾燥後、アルゴン置換グローブボックス内で、上記(f)の材料を用いてコイン型電気二重層キャパシタを作製する。この際、乾燥した電極(正極、負極)及び紙セパレータはサイドボックス内で10torr以下の減圧度で10分間減圧脱気処理を行うものとする。電解液としては、テトラエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートの1.4Mプロピオンカーボネート溶液を1コイン当たり0.5ml使用する。このようにして作製した電気二重層キャパシタの電極を充電前の電極とする。
(h)作製した電気二重層キャパシタを、負極電極材基準で40mA/gの充電電流、3.0Vの印加電圧を充電条件CC/CV(定電流/定電圧)で24時間充電する。この状態の電気二重層キャパシタの電極を充電後の電極とする。
(i)上記に従い作製した充電前の電極及び充電後の電極(ここで測定する電極は負極)をコインセル(キャパシタ)から取り出し、電解液を充分に洗い流し洗浄し、室温で乾燥させる。ここで、洗浄はプロピレンカーボネートで2回、アセトンで1回行う。
(j)レーザーラマン分光光度計(励起光:アルゴンレーザ514.5nm)によって電極材のラマンスペクトルを波長範囲830cm−1〜1940cm−1で測定する。電極材はアルミエッチング箔からははずさず、電極のまま測定する。
(k)得られたスペクトルについて解析ソフト(例えばspectra manager(日本分光製))でフィッティングを行い、成分(a)(ピーク:1595cm−1 半値幅75cm−1)、成分(b)(ピーク:1510cm−1 半値幅:65cm−1)、成分(c)(ピーク:1355cm−1 半値幅:175cm−1)、成分(d)(ピーク:1200cm−1 半値幅:200cm−1)の4成分を仮設定し、4成分フィッティングを行い、1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)を算出する。
(l)同様の測定を3回繰り返しその平均値を本発明におけるラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)とし、充電前後での半値幅(Δν1)の変化率を下記式より算出し、発明におけるラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)の充電前後の変化率とする。
[2.7V充電時の静電容量に対する3.0V充電時の静電容量の変化率の測定方法]
(a)電気二重層キャパシタ用電極材、導電助剤(カーボンブラック)、CMC(カルボキシメチルセルロース)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を100:10:4:3の割合で混合し、電気二重層キャパシタ用電極材と等量の水を加えスラリを作製する。
(b)膜厚20μmのアルミエッチング箔にアプリケーターによってスラリを塗布し、塗布電極を作製する。
(c)この塗布電極を乾燥機にて50℃1時間、80℃1時間、100℃1時間で乾燥する。
(d)乾燥した塗布電極を直径15mmの大きさに打ち抜き測定用電極を作製する。
(e)測定用電極は正極用及び負極用2枚用意するが、正極及び負極とも同じ電極材を使用し、正極における電極材と負極における電極材の重量比(正極電極材/負極電極材)が1.4、正極の膜厚(乾燥後の塗布層の厚さ、アルミ箔の厚みは含む)が100μm、負極の膜厚(乾燥後の塗布層の厚さ、アルミ箔の厚みは含む)が70μmになるようにする。また、作製する電極のプレス処理はしないものとする。
(f)正極、負極、紙セパレータ(例えば、宝泉製 TF4050(19φ))、コインセル上下蓋(例えば、宝泉製 2016型コインセル)、厚さ400μmアルミスペーサーを真空乾燥機にて120℃3時間の条件で真空乾燥する。
(g)乾燥後、アルゴン置換グローブボックス内で、上記(f)の材料を用いてコイン型電気二重層キャパシタを作製する。この際、乾燥した電極(正極、負極)及び紙セパレータはサイドボックス内で10torr以下の減圧度で10分間減圧脱気処理を行うものとする。電解液としては、テトラエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートの1.4Mプロピオンカーボネート溶液を1コイン当たり0.5ml使用する。
(h)作製した電気二重層キャパシタを、負極電極材基準で40mA/gの充電電流、2.7V又は3.0Vの印加電圧を充電条件CC/CV(定電流/定電圧)で24時間充電する。
(i)その後、負極電極材基準で40mA/gの放電電流、放電条件CC(定電流)で放電する。
(j)静電容量は、前記記載の充放電試験で得られた放電曲線の2.3V(電圧:V1、時間:T1(秒))から1.7V(電圧:V2、時間:T2(秒))の傾きから下記式に従い算出する。
[充電前後での電極材層の厚さの変化率の測定方法]
(a)電気二重層キャパシタ用電極材、CMC(カルボキシメチルセルロース)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を100:4:3の割合で混合し、電気二重層キャパシタ用電極材と等量の水を加えスラリを作製する。
(b)膜厚20μmのアルミエッチング箔にアプリケーターによってスラリを塗布し、塗布電極を作製する。
(c)この塗布電極を乾燥機にて50℃1時間、80℃1時間、100℃1時間で乾燥する。
(d)乾燥した塗布電極を直径15mmの大きさに打ち抜き測定用電極を作製する。
(e)測定用電極は正極用及び負極用2枚用意するが、正極及び負極とも同じ電極材を使用し、正極における電極材と負極における電極材の重量比(正極電極材/負極電極材)が1.4、正極の膜厚(乾燥後の塗布層の厚さ、アルミ箔の厚みは含む)が100μm、負極の膜厚(乾燥後の塗布層の厚さ、アルミ箔の厚みは含む)が70μmになるようにする。また、作製する電極のプレス処理はしないものとする。
(f)正極、負極、紙セパレータ(例えば、宝泉製 TF4050(19φ))、コインセル上下蓋(例えば、宝泉製 2016型コインセル)、厚さ400μmアルミスペーサーを真空乾燥機にて120℃3時間の条件で真空乾燥する。
(g)乾燥後、アルゴン置換グローブボックス内で、上記(f)の材料を用いてコイン型電気二重層キャパシタを作製する。この際、乾燥した電極(正極、負極)及び紙セパレータはサイドボックス内で10torr以下の減圧度で10分間減圧脱気処理を行うものとする。電解液としては、テトラエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートの1.4Mプロピオンカーボネート溶液を1コイン当たり0.5ml使用する。このようにして作製した電気二重層キャパシタの電極を充電前の電極とする。
(h)作製した電気二重層キャパシタを、負極電極材基準で40mA/gの充電電流、3.0Vの印加電圧を充電条件CC/CV(定電流/定電圧)で24時間充電する。この状態の電気二重層キャパシタの電極を充電後の電極とする。
(i)マイクロメータ(例えば、Mitutoyo製 CLM1−15QM)を用いて、充電前の電極及び充電後の電極の厚さを測定する。二回測定の平均値を用い下記式より電極厚さの変化率を算出する。
(実施例1)
攪拌装置、還流冷却器、及び温度系を備えた3Lの三口フラスコ中にフェノール282g、38%ホルムアルデヒド水溶液146g、1M塩酸30gを入れ、100℃まで加熱し、一時間保持した。その後150℃で4時間加熱還流し、180℃で系内の残存モノマと水を除去した。残存モノマは3%以下となることをGPCで確認した。得られたノボラック樹脂を100g秤量しヘキサミン10gとともに粉砕・混合した。混合物をホットプレート上のポリテトラフルオロエチレンバットで溶融混合し、フェノール樹脂の半硬化物を得た。得られたフェノール樹脂半硬化物を熱風乾燥機で180℃、4hアフターキュアを行い樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物をカッターミルで100μm程度に粉砕し、雰囲気焼成炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から700℃まで昇温した。700℃で2時間保持しフェノール樹脂炭化物を作製した。得られた炭化物は4μmまで粉砕し、これと炭化物の重量に対し2.5倍量の水酸化カリウムと混合し、ボックス炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温から800℃まで昇温し、2時間保持し賦活を行った。温度が室温(25℃)に戻ったらサンプルを取り出し、前述の方法で金属不純物を除去し、再び熱処理を800℃、1時間不活性雰囲気下で行い活性炭を得た。
攪拌装置、還流冷却器、及び温度系を備えた2Lの三口フラスコ中にフェノール198g、p−t−ブチルフェノール135g、38%ホルムアルデヒド水溶液146g、1M塩酸30gを入れ、100℃まで加熱し、一時間保持した。その後150℃で4時間加熱還流し、180℃で系内の残存モノマと水を除去した。残存モノマは3%以下となることをGPCで確認した。得られたノボラック樹脂を100g秤量しヘキサミン10gとともに粉砕・混合した。混合物をホットプレート上のポリテトラフルオロエチレンバットで溶融混合し、フェノール樹脂の半硬化物を得た。得られたフェノール樹脂半硬化物を熱風乾燥機で180℃、4hアフターキュアを行い樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物をカッターミルで100μm程度に粉砕し、雰囲気焼成炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から700℃まで昇温した。700℃で2時間保持しフェノール樹脂炭化物を作製した。得られた炭化物は4μmまで粉砕し、これと炭化物の重量に対し2.4倍量の水酸化カリウムと混合し、ボックス炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から800℃まで昇温し、2時間保持し賦活を行った。温度が室温(25℃)に戻ったらサンプルを取り出し金属不純物を除去し、再び熱処理を800℃、1時間不活性雰囲気下で行い活性炭を得た。
攪拌装置、還流冷却器、及び温度系を備えた2Lの三口フラスコ中にm−クレゾール324g、38%ホルムアルデヒド水溶液146g、1M塩酸30gを入れ、100℃まで加熱し、一時間保持した。その後150℃で4時間加熱還流し、180℃で系内の残存モノマと水を除去した。残存モノマは3%以下となることをGPCで確認した。得られたノボラック樹脂を100g秤量しヘキサミン10gとともに粉砕・混合した。混合物をホットプレート上のポリテトラフルオロエチレンバットで溶融混合し、フェノール樹脂の半硬化物を得た。得られたフェノール樹脂半硬化物を熱風乾燥機で180℃、4hアフターキュアを行い樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物をカッターミルで100μm程度に粉砕し、雰囲気焼成炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から700℃まで昇温した。700℃で2時間保持しフェノール樹脂炭化物を作製した。得られた炭化物は6μmまで粉砕し、これと炭化物の重量に対し2.8倍量の水酸化カリウムと混合し、ボックス炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から800℃まで昇温し、2時間保持し賦活を行った。温度が室温に戻ったらサンプルを取り出し金属不純物を除去し、再び熱処理を800℃1時間不活性雰囲気下で行い活性炭を得た。
フェノール樹脂(日立化成工業株式会社製ノボラック型フェノール樹脂J3)を100g秤量しヘキサミン10gとともに粉砕・混合した。混合物をホットプレート上のポリテトラフルオロエチレンバットで溶融混合し、フェノール樹脂の半硬化物を得た。得られたフェノール樹脂半硬化物を熱風乾燥機で180℃、4hアフターキュアを行い樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物をカッターミルで100μm程度に粉砕し、雰囲気焼成炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から700℃まで昇温した。700℃で2時間保持しフェノール樹脂炭化物を作製した。得られた炭化物は6μmまで粉砕し、これと炭化物の重量に対し2.5倍量の水酸化カリウムと混合し、ボックス炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から800℃まで昇温し、1時間保持し賦活を行った。温度が室温(25℃)に戻ったらサンプルを取り出し金属不純物を除去し再び熱処理を800℃、1時間不活性雰囲気下で行い活性炭を得た。
フェノール樹脂溶液(日立化成工業株式会社製レゾール型フェノール樹脂VP801)を熱風乾燥機で180℃、4hで硬化処理を行い樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物をカッターミルで100μm程度に粉砕し、雰囲気焼成炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から600℃まで昇温した。600℃で5時間保持しフェノール樹脂炭化物を作製した。得られた炭化物は5μmまで粉砕し、これと炭化物の重量に対し2.15倍量の水酸化カリウムと混合し、ボックス炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温から800℃まで昇温し、1時間保持し賦活を行った。温度が室温(25℃)に戻ったらサンプルを取り出し金属不純物を除去し再び熱処理を800℃1時間不活性雰囲気下で行い活性炭を得た。
攪拌装置、還流冷却器、及び温度系を備えた3Lの三口フラスコ中にフェノール282g、38%ホルムアルデヒド水溶液146g、1M塩酸30gを入れ、100℃まで加熱し、1時間保持した。その後150℃で4時間加熱還流し、180℃で系内の残存モノマと水を除去した。残存モノマは3%以下となることをGPCで確認した。得られたノボラック樹脂を100g秤量しヘキサミン10gとともに粉砕・混合した。混合物をホットプレート上のポリテトラフルオロエチレンバットで溶融混合し、フェノール樹脂の半硬化物を得た。得られたフェノール樹脂半硬化物を熱風乾燥機で180℃、4hアフターキュアを行い樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物をカッターミルで100μm程度に粉砕し、雰囲気焼成炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から600℃まで昇温した。600℃で5時間保持しフェノール樹脂炭化物を作製した。得られた炭化物は5μmまで粉砕し、これと炭化物の重量に対し2.15倍量の水酸化カリウムと混合し、ボックス炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から800℃まで昇温し、1時間保持し賦活を行った。温度が室温(25℃)に戻ったらサンプルを取り出し金属不純物を除去し再び熱処理を800℃、1時間不活性雰囲気下で行い活性炭を得た。
フェノール樹脂(日立化成工業株式会社製ノボラック型フェノール樹脂HP190R)を100g秤量し、熱風乾燥機で180℃、4hアフターキュアを行い樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物をカッターミルで100μm程度に粉砕し、雰囲気焼成炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から600℃まで昇温した。600℃で5時間保持しフェノール樹脂炭化物を作製した。得られた炭化物は5μmまで粉砕し、これと炭化物の重量に対し2.15倍量の水酸化カリウムと混合し、ボックス炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から800℃まで昇温し、1時間保持し賦活を行った。温度が室温(25℃)に戻ったらサンプルを取り出し金属不純物を除去し再び熱処理を800℃、1時間不活性雰囲気下で行い活性炭を得た。
フェノール樹脂溶液(日立化成工業株式会社製レゾール型フェノール樹脂VP801)を熱風乾燥機で180℃4hで硬化処理を行い樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物をカッターミルで100μm程度に粉砕し、雰囲気焼成炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から700℃まで昇温した。700℃で2時間保持しフェノール樹脂炭化物を作製した。得られた炭化物は5μmまで粉砕し、これと炭化物の重量に対し2.2倍量の水酸化カリウムと混合し、ボックス炉にて窒素気流中、300ml/minの流量、室温(25℃)から800℃まで昇温し、1時間保持し賦活を行った。温度が室温(25℃)に戻ったらサンプルを取り出し金属不純物を水洗し再び加熱処理を800℃、1時間不活性雰囲気下で行い活性炭を得た。
活性炭の細孔特性は、ガス吸着測定装置(島津製作所製 ASAP2010)を用いて評価した。所定のサンプルチューブに電気二重層キャパシタ用電極材を0.1g秤量し、ガス吸着測定装置の乾燥ポートにセットし、200℃2時間減圧乾燥を行った。乾燥したサンプルチューブを測定ポートにセットし、窒素ガスを吸着質として用い、77Kにおいて相対圧0.00001〜1.0の範囲で窒素吸脱着測定を行う。測定プログラムの所定の場所に電気二重層キャパシタ用電極材秤量値を入力し、得られた吸着等温線から、相対圧0.001〜0.1の範囲でBET法を用いて解析し、得られた値を比表面積として算出した。
前述の比表面積測定で得られた吸着等温線において、相対圧が最も1.0に近い測定点の吸着量を細孔容積として算出した。
平均細孔径は、比表面積と細孔容量から算出した。関係式は以下の通りである。
平均粒子径はレーザー回折粒度測定装置(島津製作所製SALD−3000J)を用いて測定した。測定サンプルを0.1g秤量し、粒度測定装置のサンプル測定部に投入した。手順に従い測定を行い、得られた粒度分布の50%D値を平均粒子径とした。
レーザーラマン分光光度計(日本分光製NRS−1000型 励起光:アルゴンレーザ514.5nm)によって電気二重層キャパシタ用電極材のラマンスペクトルを波長範囲830cm−1〜1940cm−1で測定した。得られたスペクトルについて解析ソフト(日本分光製 spectra manager)でフィッティングを行い、成分(a)(ピーク:1595cm−1 半値幅75cm−1)、成分(b)(ピーク:1510cm−1 半値幅:65cm−1)、成分(c)(ピーク:1355cm−1 半値幅:175cm−1)、成分(d)(ピーク:1200cm−1 半値幅:200cm−1)の4成分を仮設定し、4成分フィッティングを行い、1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)を算出した。同様の測定を3回繰り返しその平均値を目的の値とした。
上述の、[ラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)の充電前後の変化率の測定方法]に記載の事項に従い測定を行った。その際、紙セパレータは宝泉製 TF4050(19φ)を、コインセル上下蓋は宝泉製 2016型コインセルを用いた。また、レーザーラマン分光光度計は日本分光製NRS−1000型を用い、得られたスペクトルの解析は日本分光製spectra managerで行った。
上述の、[2.7V充電時の静電容量に対する3.0V充電時の静電容量の変化率の測定方法]に記載の事項に従い測定を行った。その際、紙セパレータは宝泉製 TF4050(19φ)を、コインセル上下蓋は宝泉製 2016型コインセルを用いた。
上述の、[充電前後での電極材層の厚さの変化率の測定方法]に記載の事項に従い測定を行った。その際、紙セパレータは宝泉製 TF4050(19φ)を、コインセル上下蓋は宝泉製 2016型コインセルを用いた。
(a)電気二重層キャパシタ用電極材、導電助剤(カーボンブラック)、CMC(カルボキシメチルセルロース)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を100:10:4:3の割合で混合し、電気二重層キャパシタ用電極材と等量の水を加えスラリを作製した。
(b)膜厚20μmのアルミエッチング箔にアプリケーターによってスラリを塗布し、塗布電極を作製した。
(c)この塗布電極を乾燥機にて50℃1時間、80℃1時間、100℃1時間で乾燥した。
(d)乾燥した塗布電極を直径15mmの大きさに打ち抜き測定用電極を作製した。
(e)正極用及び負極用2枚用意したが、正極及び負極とも同じ電極材を使用し、正極における電極材と負極における電極材の重量比(正極電極材/負極電極材)が1、正極の膜厚(乾燥後の塗布層の厚さ、アルミ箔の厚みは含む)が70μm、負極の膜厚(乾燥後の塗布層の厚さ、アルミ箔の厚みは含む)が70μmになるようにした。また、作製する電極のプレス処理はしなかった。
(f)正極、負極、紙セパレータ(宝泉製 TF4050(19φ))、コインセル上下蓋(宝泉製 2016型コインセル)、厚さ400μmアルミスペーサーを真空乾燥機にて120℃3時間の条件で真空乾燥した。
(g)乾燥後、アルゴン置換グローブボックス内で、上記(f)の材料を用いてコイン型電気二重層キャパシタを作製した。この際、乾燥した電極(正極、負極)及び紙セパレータはサイドボックス内で10torr以下の減圧度で10分間減圧脱気処理を行った。電解液としては、テトラエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートの1.4Mプロピオンカーボネート溶液を1コインセル当たり0.5ml使用した。
上記で作製した電気二重層キャパシタを用いて、25℃、−30℃における出力特性を下記のように測定した。
(a)作製した電気二重層キャパシタを、負極電極材基準で40mA/gの充電電流、2.7Vの印加電圧を充電条件CC/CV(定電流/定電圧)で24時間充電した。
(b)その後、負極電極材基準で40mA/gの放電電流、放電条件CC(定電流)で放電した。
(c)放電開始後10〜40秒の放電カーブについて近似直線を引き、その切片値と満充電電圧の差分を直流抵抗による電圧降下として見積り、直流抵抗値を算出した。同サンプルにつき2回の測定を行い、平均値を目的の値とした。
Claims (6)
- ノボラック型フェノール樹脂を硬化剤によって硬化処理した硬化物を熱処理して炭化物を得ることと、前記炭化物をアルカリ化合物共存下で加熱することと、さらに不活性雰囲気下で熱処理することとを有する製造方法で得られ、
電気二重層キャパシタ用電極材の充電前後において、ラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)の変化率が5%以下である電気二重層キャパシタ用電極材。 - 2.7V充電時の静電容量に対する3.0V充電時の静電容量の変化率が5%以下である請求項1記載の電気二重層キャパシタ用電極材。
- 充電前後での電極材層の厚さの変化率が5%以下である請求項1又は2に記載の電気二重層キャパシタ用電極材。
- 比表面積が1800〜2600m2/g、細孔容量0.7〜1.5ml/g、平均細孔径が1.60〜2.00nm、表面官能基濃度が0.1〜1.0mmol/g、平均粒径が1〜20μmであり、ラマンスペクトルに観察される1580cm−1付近のピーク(G1)の半値幅(Δν1)が、65〜80cm−1である請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ用電極材。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ用電極材の製造方法であって、ノボラック型フェノール樹脂を硬化剤によって硬化処理した硬化物を熱処理して炭化物を得ることと、前記炭化物をアルカリ化合物共存下で加熱処理することと、さらに不活性雰囲気下で熱処理することと、を有する電気二重層キャパシタ用電極材の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気二重層キャパシタ用電極材を電極材として用いてなる電気二重層キャパシタ。
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