JP2006004997A - 電気二重層キャパシタ電極用炭素、その製造方法および電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ電極用炭素、その製造方法および電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】 通電によるガス発生が抑制され長期信頼性に優れる電気二重層キャパシタ用の活性炭を提供する。
【解決手段】 (b1)少なくとも活性炭を含む炭素材料をメカノケミカル処理して得られ、(a)黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上である電気二重層キャパシタ電極用炭素。
【選択図】 なし

Description

本発明は電気二重層キャパシタに関し、詳しくは電気二重層キャパシタの電極に用いられる炭素材料に関する。
電気二重層キャパシタの電極として、炭素材料を主要な構成要素とする炭素電極が用いられており、この炭素材料としては活性炭が知られている。活性炭は、コークスやピッチなどの石炭・石油系原料由来の炭素源、フェノール樹脂などの合成高分子系炭素源、あるいは植物由来の炭素源を炭素化し、賦活処理して得ることができる。
容積当たりの静電容量を大きくするために、炭素の結晶性を上げる提案がなされている。例えば、特許文献1(特開平11−243265号公報)では、炭素質材料の面間隔d002を0.36nm以下とすること、特許文献2(特開平11−297677号公報)では、d002を0.363nm以下として結晶粒子のc軸方向サイズLcを2nm以上とすることが記載されている。さらに、特許文献3(特開平11−317333号公報)では、d002が0.365nm〜0.385nmの黒鉛類似の微結晶炭素結晶子を有する炭素質材料を使用することが記載されている。
一方、従来の電気二重層キャパシタでは、通電を行うと内部にガスが発生し、発生したガスによって電気二重層キャパシタ内の圧力が上昇し、構造が歪む場合があることが知られている。特許文献4(特開2003−243265号公報)には、キャパシタ素子内部に発生するガス量を抑え、長期信頼性の優れた電気二重層キャパシタを得ることを課題として、活性炭粉末、導電材粉末及びバインダを含む分極性電極層と、金属箔からなる集電体箔が一体化されたシート状分極性電極と電解液の接触面で形成された電気二重層キャパシタにおいて、活性炭粉末表面に存在するカルボキシル基、キノン基、水酸基及びラクトン基の表面官能基量を1000μmol/g以下とする電気二重層キャパシタが開示されている。
特開平11−243265号公報 特開平11−297677号公報 特開平11−317333号公報 特開2003−243265号公報
本発明者らの検討によると、電気二重層キャパシタの炭素電極に用いる活性炭として石油コークス由来の活性炭を用いた場合、例えばフェノール樹脂由来の活性炭を用いた場合に比べて通電によるガス発生が多い。即ち、石油コークス由来の活性炭は、比較的結晶化が進みやすく、その結果、導電性が高く大きな静電容量が得られやすい反面、通電によるガス発生が多い問題があった。
そこで、本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、大きな静電容量を有すると共に、通電によるガス発生を大きく抑制した電気二重層キャパシタ電極用の活性炭を主成分とする炭素を提供することを目的とする。
また本発明は、そのような性能の優れた電気二重層キャパシタ電極用の活性炭を主成分とする炭素の製造方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、大きな静電容量を有すると共に、通電によるガス発生が大きく抑制され長期信頼性に優れる電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
本発明は以下の事項に関する。
1. (b1)少なくとも活性炭を含む炭素材料をメカノケミカル処理して得られ、
(a)黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上である
電気二重層キャパシタ電極用炭素。
2. メカノケミカル処理される前記炭素材料は、活性炭、または活性炭とカーボンブラックの混合物である上記1記載の電極用炭素。
3. メカノケミカル処理前の前記活性炭が、(a)黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上である上記1または2記載の電極用炭素。
4. (a2)X線回折法により求められる前記微結晶炭素の(002)面のピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面のピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)とで算出される値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)が0.1以上である上記1〜3のいずれかに記載の電極用炭素。
5. メカノケミカル処理前の前記活性炭が、(a2)X線回折法により求められる前記微結晶炭素の(002)面のピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面のピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)とで算出される値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)が0.1以上である上記1〜4のいずれかに記載の電極用炭素。
6. (b2)ラマンスペクトルにおいて、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が0.5以上であり、1580cm-1バンドの半価幅が30cm-1以上であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の電極用炭素。
7. 前記メカノケミカル処理が、(b3)ラマンスペクトルにおいて、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が処理後に処理前と比較して大きくなり、1580cm-1バンドの半価幅が処理後に処理前と比較して大きくなるような処理である上記1〜6のいずれかに記載の電極用炭素。
8. (b4)電極用炭素80質量%、ケッチェンブラック10質量%およびポリテトラフルオロエチレン10質量%からなる直径16mm、厚さ0.5mmの円形状の電極に、電解液である1mol/Lのトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを含むプロピレンカーボネ−トを含浸させた電極一対と、この2枚の電極間に厚さ50μmのセルロース製セパレータとを、直径20mm、板厚0.25mmのSUS316製コインセルに密閉したコイン型電気二重層キャパシタセルを形成し、2.7Vの電圧を印加しながら60℃の恒温槽にて200時間放置した場合のキャパシタの膨れ具合をキャパシタセルに接着した歪みゲージにより測定し、下式(1)によって計算したSの値が2.5με/mg以下となる上記1〜7のいずれかに記載の電極用炭素。
S=(Smax−S0 max)/M 式(1)
(但し、Smax:電気二重層キャパシタセルの最大歪み量
0 max:ブランクセルの最大歪み量
M:電気二重層キャパシタに使用した活性炭重量である。)
9. 黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上である活性炭を用意する工程と、
用意した活性炭単独、またはこの活性炭とカーボンブラックの混合物をメカノケミカル処理する工程と
を有する電気二重層キャパシタ電極用炭素の製造方法。
10. 前記メカノケミカル処理が、(b3)ラマンスペクトルにおいて、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が処理後に処理前と比較して大きくなり、1580cm-1バンドの半価幅が処理後に処理前と比較して大きくなるような処理である上記9記載の方法。
11. 前記(b3)の処理工程後に、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が0.5以上であり、1580cm-1バンドの半価幅が30cm-1以上となることを特徴とする上記10記載の方法。
12. 前記活性炭が、X線回折法により求められる前記微結晶炭素の(002)面のピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面のピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)とで算出される値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)が0.1以上である上記9〜11のいずれかに記載の方法。
13. 製造される電気二重層キャパシタ電極用炭素が、(a)黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上であり、(a2)X線回折法により求められる前記微結晶炭素の(002)面のピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面のピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)とで算出される値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)が0.1以上である上記9〜12のいずれかに記載の方法。
14. 前記活性炭を用意する工程が、
易黒鉛化性炭素にアルカリ金属化合物を混合し、不活性ガス雰囲気下に500℃を超え800℃未満に加熱して活性炭を得る賦活工程と、
この活性炭からアルカリ金属元素を除去するアルカリ除去工程と、
このアルカリ除去工程を経た活性炭を不活性ガス雰囲気下に400℃を超え前記賦活工程の温度未満に加熱する熱処理工程と
を有することを特徴とする上記9〜13のいずれかに記載の方法。
15. 前記易黒鉛化性炭素が石油コークスである上記14記載の方法。
16. 一対の電極と電解液とを有する電気二重層キャパシタにおいて、
該一対の電極の少なくとも一方が上記1〜8のいずれかに記載の電極用炭素を含むことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
従来、黒鉛化度を上げた炭素材料、または黒鉛類似の微結晶炭素結晶子を有する活性炭では、導電性が高く、大きな静電容量が得られやすい反面、通電によるガス発生が多い問題があった。そこで本発明者は、黒鉛結晶子または黒鉛類似の微結晶炭素結晶子のエッジが電解液の分解に寄与していると推定し、結晶子内部の結晶性はなるべく変化させずに、結晶子表面の結晶性を低下させて表面のエッジを減少させた黒鉛類似の微結晶炭素結晶子を有する活性炭により、静電容量とガス発生低減の問題を同時に解決したものである。
即ち本発明によれば、例えば石油コークスなどの易黒鉛化性炭素を原料として結晶性を高めた活性炭であっても、通電によるガス発生が大きく抑制された電気二重層キャパシタ電極用炭素を提供することができる。
本発明の電気二重層キャパシタ電極用炭素は、少なくとも活性炭を含む炭素材料をメカノケミカル処理して得られ、且つ条件(a)、即ち、(a)黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上であるという条件を満たす。
メカノケミカル処理される前記炭素材料は、活性炭、または活性炭とカーボンブラックの混合物である。即ち、本発明の電極用炭素は、活性炭を主成分とするものであって、処理される炭素材料に含まれる活性炭とカーボンブラックの比率は、100:0〜80:20の範囲が好ましい。カーボンブラックを混合するときは、99:1〜80:20の範囲が好ましい。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電性カーボンブラックが好ましい。
また、好ましくは、処理前の活性炭も上記条件(a)を満たす。本発明の好ましい態様には、条件(a)を満たす活性炭を単独でメカノケミカル処理して、条件(a)を満たす電極用炭素とする場合と、条件(a)を満たす活性炭とカーボンブラックの混合物をメカノケミカル処理して条件(a)を満たす電極用炭素とする場合がある。この電極用炭素は、さらに必要によりカーボンブラック等の後述する導電剤と混合して結着剤等と共に電極形成に使用する。
黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素とは、炭素六員環の縮合層が、黒鉛のような規則的積層と異なり、黒鉛に類似してはいるが不規則な積層をしているものを言う(例えば、[J.Biscoe and B.E.Warren,J.Appl. Phys.,13,364(1942)]を参照。)。
具体的には、X線回折による測定で、黒鉛では回折ピークが層間隔d002=0.335nmに鋭いピークとして観察されるが、本発明ではd002が0.340〜0.380nm、好ましくは0.350〜0.370nmに黒鉛に比べるとブロードなピークとして観察される。c軸方向{(002)面に垂直方向=面の積層方向}の結晶子の大きさLc002は0.7nm以上である。これは結晶子の大きさがある程度発達していることを示している。Lc002はさらに好ましくは、1.0nm以上である。一方、表面積を大きくする観点から結晶子をあまり大きく発達させる必要はなく通常4nm以下、好ましくは2nm未満である。これらの好ましい範囲は、得られた電極用炭素および処理前の活性炭の両方に共通する。尚、d002およびLc002はいずれも炭素の(002)面のピークを利用して学振法に基づき算出される。
前記電極用炭素は、さらに条件(a2)、即ち、X線回折法により求められる前記微結晶炭素の(002)面のピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面のピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)とで算出される値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)が0.1以上であるという条件を満たすことが好ましい。
値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)は、活性炭の結晶性、より詳しくは活性炭中に含まれる「黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素」の含有割合に関連する。即ち、この値Aが大きいほど黒鉛類似の微結晶炭素の割合が大きいことを示している。値Aが大きいほど導電性が高くなるので、さらに好ましくは0.2以上である。また、通常は3以下であり、さらに具体的には2以下であり、特に1以下である。
本発明の好ましい態様においては、メカノケミカル処理前の活性炭に関しても前記の条件(a2)(さらに好ましくは、前記の好ましい条件)を満たす。
X線回折法における測定条件は次のとおりである。
〈X線回折測定条件〉
・X線源:CuKα、50KV、200mA
・測定範囲:2θ=10から40deg
・走査速度:1deg/min
・スリット:DS=1/2deg、SS=1/2deg、RS=0.15mm
・サンプルホルダー:直径46mm厚さ3mmの円柱形ガラス板の中央に、直径26mm、深さ0.2mmのくぼみを掘ったもの(くぼみに、活性炭または電極用炭素サンプルを充填する)。
本発明の活性炭を主成分とする電極用炭素は、アモルファス成分も多く含んでいるため、アモルファス成分に基づくベースラインを差し引いて黒鉛類似の微結晶炭素の実質ピークを求める。
また、電極用炭素および好ましい態様における処理前の活性炭の比表面積は、少なくとも30m2/g以上であるが、電気二重層キャパシタの静電容量を高くするために好ましくは500m2/g以上であり、さらに好ましくは1,000m2/g以上あり、最も好ましくは1,500m2/g以上である。また、電極密度の向上、即ち体積当たりの静電容量向上の観点から、通常2300m2/g以下、特に2000m2/g以下が好ましい。尚、窒素ガス吸着法により求められる比表面積S[m2/g]とは、窒素ガスを吸着剤に用いたBET法により求めた表面積を、活性炭の単位質量あたりに換算した値である。
このような条件(a)、特に条件(a2)を満たす活性炭は、非晶質炭素中に黒鉛類似構造を有する結晶子が分散した構造を有し、結晶子のエッジは、尖った構造である。尖った構造は、電界が集中して放電が起きやすい部分であり、電気化学反応が起こりやすい部分であると言える。従って、露出している結晶子端部が多いほど電気化学反応によるガス発生が多くなる。つまり活性炭の結晶性が高く比表面積が大きいとガス発生が多くなる。
しかし、本発明の活性炭を主成分とする電極用炭素では、条件(b1)、即ちメカノケミカル処理されていることにより、バルクの結晶性があまり損なわれずに、結晶子のエッジがとられて表面の結晶性が低下していると推定され、それによりガス発生が抑制される。
メカノケミカル処理とは、対象粒子に圧縮力と剪断力を同時にかける処理をいう。ここでかかる剪断力や圧縮力は通常一般の撹拌よりも大きいが、これら機械的応力は、活性炭粒子の表面にかけられることが好ましく、活性炭粒子のバルク構造は破壊しないことが望ましい。活性炭粒子のバルク構造が破壊されると、有効な細孔が減少し静電容量の低下を招く。本発明における好ましいメカノケミカル処理は、なるべく粉砕はしないで、表面状態のみ変化させるような条件である。
メカノケミカル処理は、被処理物に圧縮力と剪断力とを同時にかけることができる装置であればよく、装置構造は特に限定されない。このような装置として、たとえば加圧ニーダー、二本ロールなどの混練機、遊星ボールミル、ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)などを使用することができる。
上記のうちでも回転速度差を利用して剪断および圧縮力を同時に付与する装置が好ましく用いられ、具体的にはたとえば回転するドラム(回転ローター)と、該ドラムと回転速度の異なる内部部材(インナーピース)と、被処理物の循環機構(たとえば循環用ブレード)とを有する装置(たとえば図3(a)〜(b)に模式的機構を示すホソカワミクロン(株)製メカノフュージョンシステム)を用い、回転ドラムと内部部材との間に供給された被処理物に遠心力を付与しながら、内部部材により回転ドラムとの速度差に起因する圧縮力と剪断力とを同時に繰返し付与することによりメカノケミカル処理することができる。また固定ドラム(ステーター)と、高速回転する回転ローターの間に被処理物を通すことで固定ドラムと回転ローターとの速度差に起因する圧縮力と剪断力とを被処理物に付与する装置を用いてもよい(たとえば図2に模式的機構を示す(株)奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステム)。
上記のようなメカノケミカル処理条件は、使用する装置によっても異なり一概にはいえないが、処理による活性炭粒子の平均粒子径の低下率を10%以下に抑えるように設定することが好ましい。たとえば回転ドラムと内部部材を備えた装置を用いる場合には、回転ドラムと内部部材との周速度差:5〜50m/秒、両者間の距離1〜100mm、処理時間3分〜90分の条件下で行なうことが好ましい。また固定ドラム/高速回転ローターを備える装置の場合には、固定ドラムと回転ローターとの周速度差10〜100m/秒、処理時間30秒〜10分の条件下で行なうことが好ましい。
遊星ボールミルによる具体的な処理条件としては、回転数10〜500rpmにて10分〜3時間処理することが好ましい。例えばアルミナまたはジルコニア製容器に、容器の同一素材のボールを充填量が容器容積の1/3程度になるように入れ、容器容積の1/3程度の量の粉砕した活性炭を入れて処理を行う。ボールの大きさは直径5〜20mm(例えば直径10mm)程度が好ましく、容器の容積は例えば250mL程度であり、その場合にボールの充填量は80mL程度になる。活性炭の充填量は30mL程度になる。遊星ボールミルの処理条件は、さらに好ましくは回転数が10〜300rpmで処理時間が10分〜2時間であり、特に回転数が10〜100rpmで処理時間が10分〜1時間である。
活性炭とカーボンブラックの混合物を処理する場合の条件も同様である。活性炭粒子と共にカーボンブラックを添加して処理を行うことによって、活性炭粒子表面を改質すると共に導電剤を活性炭粒子表面に融合させることができるので、より高性能な電気二重層キャパシタ電極用炭素が得られる。
本発明では、メカノケミカル処理を行った後に、さらに条件(b2)、即ち、1360cm-1バンド(Dバンド)のピーク強度(ID)の1580cm-1バンド(Gバンド)のピーク強度(IG)に対する比R値が0.5以上であり、1580cm-1バンドの半価幅が30cm-1以上であることが好ましい。一般に活性炭等の炭素材料のラマンスペクトルにおいて、1580cm-1バンド(Gバンド)は炭素結晶の基底面(002)面に基づき、1360cm-1バンド(Dバンド)は炭素結晶の基底面に垂直方向の面に基づくことが知られている。そして、結晶性が低下し、アモルファス成分が多くなると、1360cm-1バンドのピーク強度が大きくなり、一方1580cm-1バンドのピークはブロードになる(半価幅が広くなる)ことが知られている。そこで、ID/IGの比R値およびGバンドの半価幅により、活性炭の結晶性の程度を見ていることになる。但し、ラマンスペクトルにより得られる情報は、表面の情報である。
即ち本発明では、条件(a)および(a2)、主として値AでX線によりバルクとしての結晶性が高いこと(黒鉛類似の微結晶炭素が多いこと)を示している一方、条件(b2)では黒鉛類似の微結晶炭素の表面の結晶性が低いことを示している。これは結晶子のエッジの尖鋭さが取れていると推定され、そのために電解液の分解が起こりにくく、ガス発生が抑制される。
R値としては、さらに好ましくは1.5以上である。但し、通常R値は5以下の範囲である。また1580cm-1バンドの半価幅はさらに好ましくは50cm-1以上である。また通常半価幅は、200cm-1以下である。
また本発明の1態様では、メカノケミカル処理を行った後に、さらに条件(b3)、即ち、ラマンスペクトルにおいて、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が処理後に処理前と比較して大きくなり、1580cm-1バンドの半価幅が処理後に処理前と比較して大きくなっていることが好ましい。即ち、この処理を経た活性炭は結晶子のエッジの尖鋭さが取れていると推定される。特に処理前後で、R値が30%以上、特に50%以上大きくなることが好ましく、また1580cm-1バンドの半価幅が10%以上、特に30以上大きくなることが好ましい。この場合、処理後に前述の条件(b2)を満たすことがさらに好ましい。
以上のようなメカノケミカル処理を行って得た本発明の電極用炭素は、次の条件(b4)を満たし、極めてガス発生の少なく電気二重層キャパシタ電極用炭素として新規且つ優れた材料である。
条件(b4)を説明する。電極用炭素80質量%、ケッチェンブラック10質量%およびポリテトラフルオロエチレン10質量%により、直径16mm、厚さ0.5mmの円形状の電極を形成する。図1に示すように、この2枚の電極1、2に、電解液として1mol/Lのトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを含むプロピレンカーボネ−トを含浸させる。この2枚の電極間に厚さ50μmのセルロース製セパレータ3を挟み、直径20mm、板厚0.25mmのSUS316製コインセル4に密閉し、コイン型電気二重層キャパシタセルを作製する。作製したキャパシタの表面に、歪みゲージ5を貼り付ける。キャパシタセルに2.7Vの電圧を印加しながら60℃の恒温槽にて200時間放置して、キャパシタの膨れ具合をキャパシタセルに接着した歪みゲージにより測定し、下式(1):
S=(Smax−S0 max)/M 式(1)
(但し、Smax:電気二重層キャパシタセルの最大歪み量
0 max:ブランクセルの最大歪み量
M:電気二重層キャパシタに使用した活性炭重量である。)
によってSの値を計算する。
条件(b4)は、上記Sの値が2.5με/mg以下となる条件である。また、メカノケミカル処理前の炭素材料が、活性炭:カーボンブラック=80:10の割合よりカーボンブラックを多く含む場合には、必要な導電性が確保されているので導電剤としてのケッチェンブラックを別途添加しないで電極を形成して評価してもよい。尚、歪みゲージの単位〔ε〕は、歪みゲージ長さLが伸びて長さL+ΔLになったときの歪み量をΔL/Lで表し、単位をεとして表したものである。従って、μεは、10-6倍だけの伸長に相当する歪みである。
従来、結晶性の高い活性炭を用いて、即ち前記条件(a)、さらに条件(a1)を満たすような活性炭を主成分とする炭素材料を用いて、上記測定条件によりキャパシタの膨れ具合を測定しても、Sの値が2.5με/mg以下となるようなものは全く存在しなかった。従って、本発明の電極用炭素は、電気二重層キャパシタ用として新規で有用な材料である。
<電気二重層キャパシタ電極用炭素の製造方法>
次に本発明の製造方法を説明する。
本発明の製造方法では、まずステップ(a)として、黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上である活性炭を用意する。
ステップ(a)で用意する好ましい活性炭については、前述の条件(a)、条件(a2)で説明したものを挙げることができる(好ましい条件に関しても、前述のとおりである。)。尚、電気二重層キャパシタ電極用として最終的に製造される活性炭を主成分とする炭素も前述の条件(a)、条件(a2)を満たすことが好ましい(好ましい条件に関しても、前述のとおりである。)。
具体的には、易黒鉛化性炭素にアルカリ金属化合物を混合し、不活性ガス雰囲気下に600℃を超え800℃未満に加熱することにより活性炭を得る賦活工程を有する製造方法を挙げることができる。
一般に炭素材料は、3000℃程度の高温に加熱した場合に黒鉛構造となる易黒鉛化炭素と完全に黒鉛構造にならない難黒鉛化炭素に大別される。このうち易黒鉛化性炭素は本発明の活性炭の原料として好適であり、特に電気二重層キャパシタの内部抵抗の観点から好適である。
易黒鉛化性炭素は、例えば、塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリルなどの脂肪族系高分子化合物のほか、タール、メゾフェースピッチ、ポリイミドなどの芳香族系高分子化合物を、約800℃以下で焼成処理することによって得ることができる。また、石油系ピッチ、石炭系ピッチ等のピッチ材料を焼成処理して得られる石油コークスや石炭コークスも易黒鉛化性炭素として用いることができる。なかでも、コストの観点および電気二重層キャパシタにしたときの内部抵抗の観点から石油コークスが好ましい。
賦活工程における賦活反応に使用するアルカリ金属化合物としては、例えば、KOH、NaOH、RbOH、CsOH等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。なかでも賦活効果の観点からKOHが好ましい。
アルカリ金属化合物の使用量は、活性炭製造のためのアルカリ賦活において公知の範囲から適宜選ぶことができるが、賦活の進行度の観点から易黒鉛化性炭素に対して質量基準で1倍以上とすることが好ましく、経済性の観点から3倍未満とすることが好ましい。
本発明において、不活性ガスとしては、希ガスや窒素ガスを用いることができる。
賦活工程では、易黒鉛化性炭素にアルカリ金属化合物を混合し、500℃を超え800℃未満に加熱する。800℃未満とすることで、アルカリ金属化合物の蒸発を抑え、アルカリ金属化合物による汚染を効果的に防ぐことができる。また500℃を超える温度とすることで、電気二重層キャパシタ用の活性炭として望ましい表面積を得ることができる。
賦活工程に加え、さらに、前記賦活された易黒鉛化性炭素からアルカリ金属元素を除去するアルカリ除去工程を行うことが、活性炭中にアルカリ金属が不純物として残留することを防止する観点から好ましい。
アルカリ金属元素の除去は、活性炭の製造方法において公知の方法で行うことができ、例えばアルカリ賦活で得られた活性炭を二酸化炭素中で300℃程度に加熱したり、水洗したりしてアルカリ金属化合物を失活させた後、酸洗や水洗することによって行うことができる。
さらに、アルカリ金属元素が除去された易黒鉛化性炭素を不活性ガス雰囲気下に400℃を超え、賦活工程の温度未満に加熱する熱処理工程とを行うことが、表面官能基量、特には表面カルボキシル基量を低減する観点から好ましい。400℃を超える温度とすることで表面官能基、特にはカルボキシル基を除去する効果が高くなる。また、賦活工程の温度未満とすることで、賦活反応で生成した細孔を維持できる。この観点から、賦活温度より低い温度とすることが好ましく、賦活温度より50℃以上低い温度とすることがより好ましい。
このようにして、条件(a)を満たす活性炭を用意することができるので、その後、前述のメカノケミカル処理を行う。この処理は、前述の条件(b1)に対応するので、そこで説明した条件を満たすように処理を行うことが好ましい。好ましい条件も同様である。その際、前述のとおり、所定量のカーボンブラックと混合してメカノケミカル処理を行ってもよい。
このメカノケミカル処理は、好ましくはステップ(b3)、即ち、ラマンスペクトルにおいて、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が処理後に処理前と比較して大きくなり、1580cm-1バンドの半価幅が処理後に処理前と比較して大きくなるような処理であることが好ましい。ステップ(b3)は前述の条件(b3)に対応するので、そこで説明した条件を満たすように処理を行うことが好ましい。好ましい条件も同様である。その結果、前述の条件(b2)、即ち、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が0.5以上であり、1580cm-1バンドの半価幅が30cm-1以上となることが好ましく、さらに好ましい条件は前述のとおりである。
このようにして、前述の条件(b4)を満たすようなガス発生の少ない活性炭を主成分とする電極用炭素が得られる。
<電気二重層キャパシタ>
一対の電極と電解液とを有する電気二重層キャパシタにおいて、一対の電極の少なくとも一方が上記本発明の活性炭を含む構成によって、ガス発生が抑えられ長期信頼性に優れる電気二重層キャパシタを得ることができるが、ガス発生抑制と長期信頼性を一層優れたものにする観点から、一対の電極の両方が上記本発明の活性炭を含むことが好ましい。
電気二重層キャパシタ用電極は、上記活性炭を用い、公知の電気二重層キャパシタ用電極の製造方法によって製造することができる。例えば、上記活性炭に結合材、導電材を加えて構成することができる。結合材としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルローズ、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等が使用されるが、なかでもポリテトラフルオロエチレンは混練時に繊維状となって活性炭と導電材を強固に結合するとともに、活性炭の細孔を閉塞することが無いことから好ましい。
導電材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラックの導電性カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、炭素繊維、アルミニウム、ニッケル等の金属繊維を用いることができるが、少量で効果的に導電性が向上するアセチレンブラック、ケッチェンブラックが好ましい。電極は上記活性炭、導電材、結合材を公知の方法により成型することで製造される。例えば、活性炭とカーボンブラックの混合物にポリテトラフルオロエチレンを添加・混合した後、プレス成型、ロール成型しれ得られる。また、上記混合物をスラリー状にしてからコーティングすることで薄い塗布膜とする方法、シート状または板状の成型体の何れであっても良い。
また、本発明の電気二重層キャパシタに用いる電解液には、公知の電気二重層キャパシタに用られている電解液を使用することができる。ただし、水系のものは電気化学的に分解電圧が低いことにより、キャパシタの耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒系(非水系)電解液であることが好ましい。
電解液の種類は特に限定されないが、一般的には溶質の溶解度、解離度、液の粘性を考慮して選択され、高導電率でかつ高電位窓(分解開始電圧が高い)の電解液であることが望ましい。例えば、代表的な例としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレイトのような4級アンモニウム塩を、プロピレンカーボネイト、ジエチルカーボネイト、アセトニトリルなどの有機溶媒に溶解したものが使用される。
本発明の電気二重層キャパシタの構造については公知の電気二重層キャパシタの構造を適宜採用することができる。
<実施例1>
〔活性炭の製造〕
活性炭の原料として石油コークス粒子(粒径0.2mm以下)を用いた。この石油コークス粒子1質量部と、水酸化カリウム(KOH)ペレットを2.5質量部とを混合し、ニッケル製反応容器に入れ、窒素気流下750℃で1時間加熱し、賦活を行った。
賦活工程の後、反応容器内部の反応混合物を300℃まで冷却し、窒素に替えて二酸化炭素を流し、金属カリウムを失活させた。次いで、反応混合物を水に入れることによって金属カリウムをさらに失活させた。この後、反応混合物を塩酸で洗浄し、洗液が中性になるまで水洗を繰り返した。水洗した賦活物を、窒素気流下に700℃まで加熱して熱処理した。
その後、得られた活性炭をボールミルにて中心粒径10μmに粉砕した。
ジルコニア製ボール(直径10mm)50個を入れた内容積250mLのジルコニア容器に、粉砕した活性炭30gをいれ、遊星型ボールミルにて回転数80rpm、処理時間30分間処理し、目的とする電極用炭素を得た。
〔層間隔d002、Lc002、(002)面ピーク面積比表面積、および比表面積の測定〕
X線回折法にて、(002)面のピーク位置から層間隔d002、半価幅からLcを求めた。また、ピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面ピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)から、A=(SC/SSi)×(MSi/MC)にて、A値を求めた。また、BET法により表面積を測定し、活性炭単位質量あたりに換算し、比表面積[m2/g]を求めた。
〔電気二重層キャパシタの作製と評価〕
<電極の作製>
活性炭0.8g、ケッチェンブラック0.1g、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.1gを乳鉢にて混合・混練して一体化させた。左記の混合物を0.1mm厚のトリアセテートフィルム2枚の間に挟み、幅160mm、上下ロール間隔0.7mm、加圧力235kgf/cm2(23.0MPa)としたニップロールの間に20回通して圧延した。圧延したシートから直径16mmの円形を2枚打ち抜き、炭素電極とした。炭素電極は真空乾燥機にて120℃、2時間乾燥した。
<電気二重層キャパシタの作製>
電解液(1M Et3MeNBF4/PC:プロピレンカーボネイト中にEt3MeNBF4を1mol/L溶解させたもの。Etはエチル基、Meはメチル基を示す。)を含浸させた2枚の炭素電極間に厚さ50μmセルロース製セパレータを挟み、直径20mmのSUS316製コインセル(SUS板厚0.25mm)の中に封入した。この際、厚さ20μmアルミ箔表面に集電体用カーボン塗料(日本黒鉛社製バニーハイト)を塗布したものを集電体として、炭素電極とセルとの間に、塗料側を炭素電極に面するように挟んだ。
上記のようにして作製した電気二重層キャパシタセル(セル厚3.3mm)に、2.7Vの電圧を印加しながら60℃の恒温槽にて200時間放置した。
このとき、試験開始前に電気二重層キャパシタの表面に、歪みゲージ(共和電業社製KFG−3−120−D16−11L1M2S)を接着し、ゲージの歪量から下式により電気二重層キャパシタの膨れ具合を評価した。
S=(Smax−S0 max)/M 式(1)
(但し、Smax:電気二重層キャパシタセルの最大歪み量
0 max:ブランクセルの最大歪み量
M:電気二重層キャパシタに使用した活性炭重量である。)。
<比較例1>
実施例1において、遊星ボールミル処理を行わなかった以外は実施例1と同様の操作を行って活性炭を得て、実施例1と同様に電気二重層キャパシタを作製し評価した。
<比較例2>
市販の活性炭(関西熱化学社製、MSP20)を使用して、実施例1と同様に電気二重層キャパシタを作製し評価した。
<実施例2>
実施例1の〔活性炭の製造〕において、遊星型ボールミル処理に先立ち、得られた活性炭30gと3.75gのケッチェンブラックをあらかじめ混合した後、混合物をジルコニア容器に入れて遊星ボールミルにて、実施例1と同条件にてメカノケミカル処理を行った以外は実施例1を繰り返して目的の電極用炭素を得た。その後、実施例1と同様にして各評価を行った。但し、電極の作製は、ケッチェンブラックを添加することなく、得られた電極用炭素を0.9g使用して、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.1gを乳鉢にて混合・混練して一体化させた。
実施例、比較例の結果を表1にまとめて示す。本発明によれば、体積あたりの静電容量が大きいと共に、ガス発生の少ない電極用炭素が得られている。
Figure 2006004997
膨れ具合を評価するコインセルを示す図である。 株)奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムの模式的機構を示す図である。 ホソカワミクロン(株)製メカノフュージョンシステム)の模式的機構を示す図である。
符号の説明
1 電極
2 電極
3 セパレータ
4 コインセル
5 歪みゲージ

Claims (16)

  1. (b1)少なくとも活性炭を含む炭素材料をメカノケミカル処理して得られ、
    (a)黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上である
    電気二重層キャパシタ電極用炭素。
  2. メカノケミカル処理される前記炭素材料は、活性炭、または活性炭とカーボンブラックの混合物である請求項1記載の電極用炭素。
  3. メカノケミカル処理前の前記活性炭が、(a)黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上である請求項1または2記載の電極用炭素。
  4. (a2)X線回折法により求められる前記微結晶炭素の(002)面のピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面のピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)とで算出される値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)が0.1以上である請求項1〜3のいずれかに記載の電極用炭素。
  5. メカノケミカル処理前の前記活性炭が、(a2)X線回折法により求められる前記微結晶炭素の(002)面のピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面のピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)とで算出される値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)が0.1以上である請求項1〜4のいずれかに記載の電極用炭素。
  6. (b2)ラマンスペクトルにおいて、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が0.5以上であり、1580cm-1バンドの半価幅が30cm-1以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極用炭素。
  7. 前記メカノケミカル処理が、(b3)ラマンスペクトルにおいて、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が処理後に処理前と比較して大きくなり、1580cm-1バンドの半価幅が処理後に処理前と比較して大きくなるような処理である請求項1〜6のいずれかに記載の電極用炭素。
  8. (b4)電極用炭素80質量%、ケッチェンブラック10質量%およびポリテトラフルオロエチレン10質量%からなる直径16mm、厚さ0.5mmの円形状の電極に、電解液である1mol/Lのトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを含むプロピレンカーボネ−トを含浸させた電極一対と、この2枚の電極間に厚さ50μmのセルロース製セパレータとを、直径20mm、板厚0.25mmのSUS316製コインセルに密閉したコイン型電気二重層キャパシタセルを形成し、2.7Vの電圧を印加しながら60℃の恒温槽にて200時間放置した場合のキャパシタの膨れ具合をキャパシタセルに接着した歪みゲージにより測定し、下式(1)によって計算したSの値が2.5με/mg以下となる請求項1〜7のいずれかに記載の電極用炭素。
    S=(Smax−S0 max)/M 式(1)
    (但し、Smax:電気二重層キャパシタセルの最大歪み量
    0 max:ブランクセルの最大歪み量
    M:電気二重層キャパシタに使用した活性炭重量である。)
  9. 黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上である活性炭を用意する工程と、
    用意した活性炭単独、またはこの活性炭とカーボンブラックの混合物をメカノケミカル処理する工程と
    を有する電気二重層キャパシタ電極用炭素の製造方法。
  10. 前記メカノケミカル処理が、(b3)ラマンスペクトルにおいて、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が処理後に処理前と比較して大きくなり、1580cm-1バンドの半価幅が処理後に処理前と比較して大きくなるような処理である請求項9記載の方法。
  11. 前記(b3)の処理工程後に、1360cm-1バンドのピーク強度の1580cm-1バンドのピーク強度に対する比R値が0.5以上であり、1580cm-1バンドの半価幅が30cm-1以上となることを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 前記活性炭が、X線回折法により求められる前記微結晶炭素の(002)面のピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面のピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)とで算出される値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)が0.1以上である請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 製造される電気二重層キャパシタ電極用炭素が、(a)黒鉛類似の層状結晶構造を有する微結晶炭素を含み、前記微結晶炭素の層間隔d002が0.340〜0.380nm、c軸方向の結晶子の大きさLc002が0.7nm以上であり、窒素ガス吸着法により求められる比表面積が30m2/g以上であり、(a2)X線回折法により求められる前記微結晶炭素の(002)面のピーク積分強度SCと参照用に混合した標準シリコンの(111)面のピーク積分強度SSiと重量混合比(MSi/MC)とで算出される値A=(SC/SSi)×(MSi/MC)が0.1以上である請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記活性炭を用意する工程が、
    易黒鉛化性炭素にアルカリ金属化合物を混合し、不活性ガス雰囲気下に500℃を超え800℃未満に加熱して活性炭を得る賦活工程と、
    この活性炭からアルカリ金属元素を除去するアルカリ除去工程と、
    このアルカリ除去工程を経た活性炭を不活性ガス雰囲気下に400℃を超え前記賦活工程の温度未満に加熱する熱処理工程と
    を有することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記易黒鉛化性炭素が石油コークスである請求項14記載の方法。
  16. 一対の電極と電解液とを有する電気二重層キャパシタにおいて、
    該一対の電極の少なくとも一方が請求項1〜8のいずれかに記載の電極用炭素を含むことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
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