同様の参照番号は図全体を通して同様の構成要素を示す。
本発明の実施態様は、水平(または横)方向か、または垂直(または縦)方向で動作すし得るディスプレイに関連して記述される。このディスプレイは、ディスプレイの正(ディスプレイ)面に対して垂直である軸を、ほぼ実質90°の回転することで、一方向から他方向へ変換する。
図6(a)および図6(b)は、本発明の実施態様に従う画像ディスプレイ(表示)層10およびディスプレイの視差光学素子12を示している。本実施形態の画像ディスプレイ層10は行および列のマトリックスに配置されるピクセル11、11’、11”を含む。利便性のために、隣接するピクセル間の空間は図6(a)から省略されている。ピクセルはカラーピクセルであり、ピクセル11は赤ピクセル、ピクセル11’は緑ピクセル、ピクセル11”は青ピクセルである。
それぞれのカラーピクセル11、11’、11”のアスペクト比は1に等しくない。つまり、図6(a)の水平方向に沿うピクセルの幅は図6(a)の垂直方向のピクセルの高さに等しくない。本実施形態の画像ディスプレイ層10は、実質的に四角である白ピクセルを提供するように配置されている。「白ピクセル」は複合性ピクセルであり、3つのカラーピクセル、つまり1つの赤ピクセル、1つの青ピクセル、1つの緑ピクセルで構成されている。「白ピクセル」は図6(a)の右上の角に太線で縁取られている。「白ピクセル」14が実質的に四角であるためには、それぞれのカラーピクセル11、11’、11”が長方形で、一方向が長さが垂直方向の長さのおよそ3倍で、3つの隣接するカラーピクセルが実質的に四角である複合性の白ピクセル14を生成できるようにする。
方程式(3)で用いられるピクセルの効率的なピッチは複合性白ピクセルのピッチである。縦方向において効率的なピクセルピッチが3×P1であるのに対して、横方向において(効率的な)ピクセルピッチはP2である。P2=3P1という形およびピクセル配置を選択することで、横方向における効率的なピクセルピッチは縦方向における効率的なピクセルピッチと同じである。
方程式(3)について考察すると、パネルのピクセルバリアsおよび屈折率nはディスプレイの方向に依存しない。視差バリアが2つの方向において2つのビュー間で実質的に同じ角分離を提供して、意図する視距離における視覚分離がディスプレイの2方向間で著しく変わらない場合、ディスプレイが水平方向で図6(c)に示される縦方向の画像を提供する場合にディスプレイ10の視距離は、ディスプレイが垂直方向で図6(d)に示される横方向の画像を提供する場合のディスプレイ9の視距離に実質的に等しい。本発明の本実施形態はこのように複数表示の指向性ディスプレイを提供する。これは、水平方向または垂直方向のどちらでも実施可能で、両方向でも実質的に同じ視距離を有する。それゆえ、本ディスプレイのユーザーは、ディスプレイが横方向から縦方向、またはその逆に回転する際に、ディスプレイに相対して体位を変える必要がない。さらに、観察者の眼の平面における2つの視覚間の角分離(意図する視距離で測定される)は、1つの方向でも他方向と実質的に同じであって、観察者はディスプレイの備えられた3−D画像を見るのに正確に位置して(つまり、左目と右目を用いて、左目はビューウィンドウの画像をとらえ、右目もそれぞれべつべつにビューウィンドウの画像をとらえる)、たとえば、ディスプレイが横方向にある場合に縦方向が正確に位置して3−D画像を認知されるようにする。
このように、ディスプレイの方向は表示された画像に適するように変化し得る。ディスプレイを備える1つの画像は、たとえば図6(c)の横方向の画像のように表示される。図6(d)の横方向においてディスプレイを用いて最もよく表示される異なる画像を表示することが実質的に所望される場合、ディスプレイは縦方向に回転して新しい画像を表示し得る。
図6(b)は本ディスプレイの適切な垂直光学素子を示す。垂直光学素子は、実質的に四角である透過な開口を有する垂直バリア12として示される。水平方向におけるバリアピッチ(図6(b)に示されるようなバリア方向を有する)は、ディスプレイが横方向である場合のバリアピッチであるのでpLと示され、垂直方向におけるバリアピッチ(図6(b)に示されるようなバリア方向を有する)は、ディスプレイが縦方向である場合のバリアピッチであるのでpPと示される。本実施形態において、バリアピッチをp1よりおよそ6倍大きくすることでpLはpPとほぼ等しくされ、横方向のカラーサブピクセルのピッチはp2のおよそ2倍に等しい。開口の大きさと形およびピクセルピッチと視差バリアの関係は本発明の一般的な概念に関係しておらず、ここには記載されない(本ディスプレイのクロストークには関係し得るが)。
本実施形態は、ディスプレイの視差光学素子としての視差バリアに規定されない。たとえば、四角底レンズまたは半球レンズを有するレンズ状バリアを用いることで代わりに達成されることがあり得る。そのような視差バリアにおいて、レンズは行および列に、図6(b)の視差バリア12の透過開口13と同じ様式に配置される。
レンズ状の視差光学素子を用いて本実施形態が実施される場合、それぞれのレンズが焦点特性において対照的であること、つまり、図6(b)に示される垂直方向における焦点力が図6(b)に示される水平方向における焦点力に実質的に等しいことが好まれる。レンズが焦点特性に非対称で、水平方向におけるディスプレイの視距離が垂直方向におけるディスプレイの視距離に等しい場合、ビューウインドウ間の分離はディスプレイの水平方向とディスプレイの垂直方向間とは異なる。デュアルビューディスプレイの場合、ビューアに影響を及ぼすであろう。ビューアは、ディスプレイが回転している場合、特定の画像のビューウインドウに残るためにディスプレイの平面に平行になるように移動する必要がある。自動立体視3−Dディスプレイの場合、左目ビューウインドウと右目視覚間の分離が変わる結果になり、ディスプレイが回転する際に3−D効果が消えることがあり得る。任意の3−D効果でも残っている場合、観察者の目は、左目右目のビューウインドウに正しく位置されておらず、任意の3−D効果も心地よくないことがあり得る。
図6(c)および図6(d)は横方向および縦方向それぞれにおけるディスプレイ10の動作を図示し、図6(e)は観察者の方向を示す。横方向では2つの画像がピクセルの代わりの列に組み合わされている。たとえば、自動立体視3−Dディスプレイの場合は、右目画像はピクセル列C1、C3などに表示され、左目画像はピクセル列C2、C4などに表示される。縦方向では、画像は、白ピクセルのそれぞれの列はカラーピクセルの3列に対応している白ピクセル14の交互の列に表示される。このように、右目画像はカラーピクセル列CR1、CG1、CB1(白ピクセルの第1の列を構成する)に表示され、左目画像はカラーピクセル列CR2、CG2、CB2(白ピクセルの列C2を構成する)に表示されるというようになる。
図6(a)〜図6(d)へ参照する上記のディスプレイは周知の方法で変化し得る。たとえば、同時係属の英国特許出願第0315171.9号に開示される技術に従って、画像ディスプレイ層はそれぞれの白ピクセルに4つ以上のカラーサブピクセルを含み得る。左目画像と右目画像の組み合わせは、同時係属の英国特許出願第0315170.1号に提示されているように、1つの行から次の行へと1つのピクセルに置換されてより大きな視野角を提供し得る。左目画像と右目画像のカラーサブピクセルは、英国特許出願第0228644.1号に提示されるようにピクセルの2つの行にわたって分割し得る。視差光学素子のピッチは、英国特許出願第0306516.6号に開示されているように、画像ディスプレイ層のカラーピクセルのピッチよりわずかに大きい可能性がある。これらの出願内容は参考文献としてここに援用される。
上記ディスプレイの視差光学素子が視差バリアとして具体化される場合、視差バリアはたとえば透過開口を規定するために写真乳剤材料を選択的に露出することによって固定視差バリアとして具体化され得る。そのような視差バリアは主に3次元モードまたはデュアルビューディスプレイモードで動作するように設計されたディスプレイに適している。なぜなら、視差バリアは従来の2−Dディスプレイを提供するためにスイッチを切ることができないからである。従来の2−Dモードで固定した視差バリアまたは他の固定した視差光学素子を有するディスプレイを動作することを所望する場合、画像ディスプレイ層は2つの同一の画像を表示するように促進され得て、ディスプレイから提供される両視覚が同じになるようにする。固定した視差バリアを有する2−Dディスプレイモードを獲得する代わりの方法は、ポリマー分布された液晶材料のような切替可能な散乱体を、視差光学素子から観察者への光の光学パスに提供することである。視差光学素子の効果は、散乱体のスイッチがONされて2−Dディスプレイモードが獲得されると除去される。散乱体のスイッチがOFFされると、指向性のディスプレイモードは獲得される。
上記の実施形態は、たとえばマイクロレンズアレイのようなレンズ状の視差バリアを用いて代わりに具体化され得る。マイクロレンズアレイは固定したマイクロレンズアレイであり得るかまたは、スイッチが切り替えられて動作の2−Dモードを提供するマイクロレンズアレイであり得る。WO03/015424に開示されるように、液晶材料のような極性感応性材料を用いて加工されたマイクロレンズアレイと連動で切り換え液晶層を用いて、切替可能なマイクロレンズアレイが提供され得る。
代わりに、上記ディスプレイは、視差光学素子としてのカラーフィルタバリアを用いて具体化され得る。カラーフィルタバリア15の例は図7(a)に示される。カラーフィルタバリアは複数の透過開口16a、16b、16cを含み、カラーフィルタバリアの残りは不透明である。開口13がすべての可視の光の波長に対して透過な上記の視差バリアと比較すると、図7(a)カラーフィルタバリアの開口16a、16b、16cは可視スペクトラムの狭い範囲のみに透過である。開口16aはスペクトラムの赤い部分に透過で、開口16bはスペクトラムの青の部分に透過で、開口16cはスペクトラムの緑の部分に透過であり、カラーフィルタバリア15の開口を示すために「r」、「b」、「g」という文字で示されている。開口16a、16b、16cは3つの開口のグループに配置されて、それぞれのグループは1つの「赤」開口16a、1つの「青」開口16b、1つの「緑」開口16cを含む。図7(a)のカラーフィルタバリア15は図6(a)に示される画像ディスプレイ層とともに用いるのに適している。
図7(a)のカラーフィルタバリア視差光学素子として有し、図6(a)に示される画像ディスプレイ層10を有するディスプレイ9が、図7(b)に横方向で示されている。図7(b)は自動立体視ディスプレイに適応された本実施形態を示し、図7(b)におけるカラーサブピクセルはRまたはLのラベルが貼られ、右目画像を表示しているのか左目画像を表示しているのかを示す。図7(b)の下方の文字はカラーフィルタバリアの開口の透過範囲を示す。
カラーフィルタバリアの使用によってより明るい3−Dディスプレイが提供され、クロストークはより低くなる。(「クロストーク」は観察者の左目が右目用に意図された画像を認知するとき、およびその逆の場合に発生する。)カラーフィルタバリアの使用の詳細は同時係属の英国特許出願第0320367.6号に記載され、ここに参考文献として援用される。
図7(b)に示されるディスプレイにおいて、右目画像および左目画像がピクセルの列に表示されていないことが注目される。画像は1つの列から次の列へと変わる1つの白ピクセルによって(つまり、カラーピクセルの3つの列によって)組み合わせがオフセットされるように表示される。カラーフィルタバリア15における開口はそれゆえ列に配置されていないが、1つの行における開口は、画像の組み合わせのオフセットに対応して、上下の列に関連して側方にオフセットする。しかし、カラーフィルタバリアは、たとえば図6(a)〜図6(d)の実施形態に示されているように、左目と右目の画像がピクセルの列に表示されるディスプレイ装置に適用される。
カラーフィルタバリアは一般的に固定バリアとして具体化され、重に指向性ディスプレイモードでの動作を必要とされるディスプレイでの使用に適している。2−Dディスプレイモードで視差光学素子としてカラーフィルタバリアを有するディスプレイを動作することが所望される場合、ポリマー分布された液晶セルのような切替可能な散乱体が、ディスプレイから観察者への光学パスに配置され得て、視差バリアの効果を取り除く。代わりに、ディスプレイの画像ディスプレイ層上に表示された2つの画像は同じであり得て、同じ画像が両目に表示されて装置が2−Dモードで動作されるようにする。
図8は本発明のさらなる実施形態に従うディスプレイ9の基本構想図である。ディスプレイ9は画像ディスプレイ層10および、画像ディスプレイ層10を経由した光学パスに配置された視差光学素子12を有する。画像ディスプレイ層は、図9に示されているように、第1および第2の線形偏光板17、19間に配置された従来の液晶層18で形成され得る。さらなる線形偏光板22が視差光学素子12の前に配置されている(使用においては、ディスプレイ9は、バックライトおよび画像ディスプレイ層が視差光学素子の反対側になるように設置されるバックライトによって照らされている、つまりバックライトからの光は偏光板を経由してディスプレイに入る)。たとえば、液晶層18に対処するための対処電極、液晶材料を配向する配向層、カラーディスプレイの場合のカラーフィルタのような他の構成成分は本発明の一部を形成せず、示されない。
本実施形態において、視差光学素子12は切り換え可能な視差光学素子で、実質的に視差光学素子が規定されないOFF状態とON状態の間で切り換えられる。図は、そのような切り換え可能な視差光学素子が規定され得る1つの方法を示す。本実施形態において、切り換え可能な視差光学素子が、切り換え可能な液晶層と共にパターン化されたリターダ20によって形成される。パターン化されたリターダは、1つ以上の第1の部分23が視差バリアの望ましい透過開口に対応し、1つ以上の第2の部分24が視差バリアの望ましい不透明部分に対応するようにパターン化され得る。液晶層21は第1の状態間で切り換え可能である。第1の状態において、パターン化されたリターダの両部分23、24は光に対して同じ光学効果を有し、画像ディスプレイ層10を、視差バリアが規定されないようにする。液晶層の別の状態では、第1の部分23視差バリアの透過部分を規定し、第2の部分は視差バリアの不透明な部分を規定する。
視差バリア12のパターン化されたリターダ20はパターン化された光軸を有する半波長のリターダ板である。パターン化されたリターダの1つの部分23にある光軸は、パターン化されたリターダの別の部分24における光軸に対して45°である。1つの入力(スイッチLCD21から)電極の光に対して、パターン化されたリターダの両部分23,24は透過する。パターン化されたリターダにおける視差バリアは規定されず、ディスプレイは2−Dモードで動作する。パターン化されたリターダ20における光入射の電極が45°で回転する場合、スイッチLCD21を切り換えることで、パターン化されたリターダの1つの部分は、画像ディスプレイ層10の入力偏光板19の透過軸に平行な偏光した光を透過する一方で、パターン化されたリターダの別の部分は、画像ディスプレイ層の入力偏光板19の透過軸に垂直な偏光した光を透過する。よって、パターン化されたリターダの1つの部分からの光は遮へいされる一方、パターン化されたリターダの他の部分からの光は透過される。視差バリアは規定され、ディスプレイは3−Dディスプレイモードのような指向性ディスプレイモードにおいて動作する。図8のパターン化されたリターダ20の一般的な原理は、英国特許出願第0215059.7に記載される。
図8の実施形態は任意の望ましい視差バリアをも提供するために用いられ得る。たとえば、パターン化されたリターダ20の第1の部分23および第2の部分24は、カラーピクセル11、11’、11”が1に等しくないアスペクト比を有するディスプレイにおいて用いられるために、図6(b)に示されるように視差バリアを提供するために配置され得る。それゆえ、本実施形態は、横方向または縦方向で用いられ、どちらの方向でも実質的に同じ視覚方向を有する複数表示指向性ディスプレイを提供するために用いられ得る。さらに、切り換え可能な視差光学素子を使用するということは、ディスプレイは2−Dモード動作と指向性モード動作との間で切り換え可能であるということである。
図9は本発明のさらなる実施形態に従うディスプレイ9の基本構想図である。本実施形態のディスプレイもやはり、画像ディスプレイ層10および画像ディスプレイ層10を経由した光学パスに配置される視差光学素子12から成る。本実施形態における視差光学素子は切り換え可能な視差バリアである。
画像ディスプレイ層10は第1基板23および第2基板25の間に配置される液晶層18を含む。赤、緑、青色フィルタ24R、24G、24Bは液晶層18と基板の1つの間に配置される。たとえば、液晶層18を処理するための処理電極、液晶材料を配向するための配向層、偏光板などのような他の構成成分は本発明の一部を形成しておらず示されていない。図9はアクティブマトリックス画像ディスプレイ層を示す。アクティブマトリックス画像ディスプレイ層において、処理電極の1つは複数のピクセル電極によって構成され、それぞれのピクセル電極は薄膜トランジスタ(TFT)のような関連するスイッチング要素によって制御され、それゆえ画像ディスプレイ層10は「TFTパネル」と呼ばれることがあり得る。使用時に、ディスプレイは(ディスプレイが図9に示されるように)画像ディスプレイ層の上から提供される光によって照らされる。偏光板(示されていない)は、画像ディスプレイ層への入力、画像ディスプレイ層からの出力(アクティブな視差バリアへの入力もまた形成する)、アクティブな視差バリアからの出力において提供される。
視差バリア12は、たとえば樹脂といった固定された光学特性を有する材料のストリップ28から形成される。これらのストリップは図9の紙面上に延長する。ストリップ28は互いに平行になるように延長し、互いに空間を空ける。液晶材料のストリップ21は固定された光学特性材料の隣接するストリップ28の間に配置される。液晶材料のストリップ21および固定光学特性の材料のストリップ28は2つの光透過基板26,27の間に配置される。使用時に、液晶材料のストリップ21は適切な処理手段(示されていない)によって処理される。適切な処理手段は、たとえば樹脂28の層の1方に配置される第1の均一な電極(示されていない)および樹脂28の層の一方および液晶材料21に配置される液晶材料21および第2の均一電極(示されていない)から成る。2つの電極間に電圧を加えることによって、電圧は全液晶部分21にわたって同時に適用される。
ディスプレイ9を2−Dモードで動作するためには、液晶材料のストリップ21が切り換えられ、液晶材料の屈折率がストリップ28の屈折率と一致するようにする。液晶材料のストリップ21とストリップ28の間の光学特性に違いがなく、視差バリアは形成されない。指向性ディスプレイモードを獲得するために、液晶材料のストリップ21が切り換えられ、複屈折部分として作用し、視差バリアの光遮へい部分を形成するようにする。固定した光学特性の材料のストリップ28は透過なままである。
図9の実施形態は図6(a)〜6(d)を参照するいずれの上記のディスプレイにも適用し得る。本実施形態はそれゆえマルチ表示指向性ディスプレイを提供するために用いられ得る。マルチ表示指向性ディスプレイは横方向または縦方向で用いられ、どちらの方向でも実質的に同じビュー方向を有する。さらに、切り換え可能な視差光学素子を用いるということは、ディスプレイは動作の2−Dモードと動作の3−Dモード間で切り換え可能であるということである。
上記の実施形態において、正確な大きさおよび視差バリアの開口の形は本発明の原理に直接関わっていないため詳細が記載されていない。しかし、大きさおよび視差バリアの開口の形は異なる方向でのディスプレイの動作に影響しないが、ディスプレイのクロストークの程度などのディスプレイの特性に影響する。バリア開口幅などのパラメーターは調整され得て、ビューウインドウの中心部分などのディスプレイの特徴は方向間の回転において最も変化していないことを示す。
図6(b)に示される視差バリアが図2に示されているような従来の視差バリアと比較される場合、光透過であるこれらの視差バリアの部分の比率が光透過である従来の視差バリアの部分の比率より小さいことが見られる。効率的に、上記の発明のディスプレイは横方向視差バリアおよび縦方向視差バリアを有する。弱められた明るさは特に、ディスプレイにおいて顕著である。ディスプレイは指向性ディスプレイモードおよび2−Dディスプレイモード間で切り換え可能であるバリアを有する。
指向性ディスプレイモードにおいて弱められた明るさを補償するために、ディスプレイが指向性ディスプレイモードで動作するときにバックライトに供給される電力を増大させ、より大きな光強度を提供し、視差バリアの弱められた透過部分を補償することは可能である。それゆえ本実施形態では、2−Dディスプレイモードから指向性ディスプレイモードへの切り換えは視差バリアのスイッチをONにすること、また、ディスプレイのバックライトへ供給された電力を増大することを含む。代わりに、指向性ディスプレイモードにおける弱められた光は画像ディスプレイ層の駆動を調整し、装置が指向性ディスプレイモードで動作しているときにより明るいグレイレベルを提供することによって補償され得る。
指向性ディスプレイモードでのみ動作するディスプレイの場合、バックライトの強度は調整されて任意の望ましいディスプレイの明るさをも提供し得る。
図10(a)〜10(d)は本発明のディスプレイでの使用に適したさらなる切り換え可能な視差バリアを図示する。図10(b)および10(d)はそれぞれ指向性ディスプレイモード(この場合は3−Dモード)および2−Dディスプレイモードにおける視差バリアの概略断面図である。
図10(b)および10(d)に示されるように、視差バリア12は、均一電極(示されていない)が与えられている基板26,27間に配置される液晶層21を備える。液晶層21および基板26,27は第1の偏光板17および第2の偏光板19の間に設置される。液晶層に電圧が適用されていない場合、液晶層の1つ以上の第1の部分28は第1の配向を有し、1つ以上の第2の部分29は第2の配向を有する。図10(b)の実施形態において、第1の部分28は垂直配向を有し、1つの直線偏光板17がもう1つの直線偏光板19の透過軸に直交に配置されている場合、これらの部分は視差光学素子が後から照らされている場合に暗く見える。部分28はこのように視差バリアの不透明部分を規定する。
液晶材料の第1の部分28がストリップに伸びる場合の結果、3−Dモードにおける視差バリアの正面図である図10(a)に示されるように、透過ストリップ5によって分離される不透明ストリップ1を有する従来の視差バリアになる。しかし、液晶材料の第1の部分28に適した大きさ、形、位置を選択することで、本実施形態は図6(b)に示されるような視差バリアを生成することが可能である。
電圧が液晶層に適用される場合、第1の部分28における液晶配向は切り換わり、第2の液晶部分29における配向と同じ配向を適用する。その結果、図10(d)に示されるように、全液晶層が均一配向を有する。本実施形態において、全液晶層は平面液晶配向を有する。視差バリアが規定されておらず、視差バリアの全体部分は、本実施形態における視差バリアの正面図である図10(c)に示されるように透過である。
液晶層のパターン化された配向はいずれの便利な方法においても獲得され得て、パターン化され配向された液晶層を獲得する多くの方法は周知である。たとえば、パターン化された配向は適切な配向層(示されていない)に写真配向プロセスを適用することによって達成され得る。写真配向プロセスは結合破壊すること、結合形成すること、アゾ配向層などの配向層の再方向に関与することであり得る。代わりに、格子配向または適切な配向層のマルチラビングなどの方法が使用され得る。
さらなる代替として、スクリーン印刷技術が使用され得、基板26,27のうち1つの選択された部分に配向層が堆積する。選択された部分はスクリーンによって決定される
。基板の異なる部分をカバーする第2のスクリーンはそれから適応され得て、第2の配向層は基板の異なる部分に堆積される。配向層はそれからキュアおよびラビングされ、液晶層の望ましい配向を生成するパターン化された配向層を提供する。
さらなる例として、第1の配向層が基板26,27の1つに配置され得て、キュアおよびラビングされて配向方向を規定する。次に第2の写真想像可能な配向層が第1の配向層に配置され得る。第2の配向層はそれから、第1の配向層の配向方向と異なる配向方向に沿って摩擦され得る。写真描画可能な配向層はそれから、選択的に露光され、適切な現像条件を用いて現像され得、ある部分では、写真描画可能な配向層は維持されるが、他の部分では写真描画可能な配向層は取り除かれ、下位の第1の配向層を露出するようにする。これによって、異なる配向方向の部分を有する配向層が提供され、これは、望ましい液晶配向を生成するために用いられる。
上記のように、図6(b)に示されるタイプの視差バリアの使用は、視差バリアの低い透過部分のために装置中に光を弱める潜在的不利益性を有する。それゆえ本発明のさらなる好ましい実施形態は、第1のまたは第2のON状態において構成される視差光学素子を有するディスプレイを提供する。1つのON状態はディスプレイが1つの方向にあるときに適切な視差バリア提供し、第2のON状態はディスプレイがもう1つの方向にあるときに適切な視差バリア提供する。このように、装置が1つの方向にあるときに(たとえば横方向)、視差バリアは第1のON状態に入り、ディスプレイがもう1つの方向に(たとえば縦方向)回転されるときに、視差バリアは第2のON状態に切り換わり、縦方向に適切な視差バリアを提供する。本実施形態において、ディスプレイは、一度あたり、ディスプレイの方向に適切な横方向視差バリアまたは縦方向視差バリアを有するのみで、縦方向または横方向のどちらかにおける視差バリアの透過部分は図6(b)の視差バリアの透過部分より大きい。
特定の好ましい実施形態において、視差バリアは第1のON状態と第2のON状態の間で再構成されるだけでなく、実質的に視差光学素子が規定されないOFF状態に切り換わる。これによって、ディスプレイは2−Dディスプレイモードに切り換わる。
図11(a)は本発明の本実施形態に従うディスプレイ9の基本構想図である。ディスプレイ9は画像ディスプレイ層10および2つの視差光学素子12、12’を備える。それぞれの視差光学素子12,12’は画像ディスプレイ層を経由して光学パスに提供される。画像ディスプレイ層は第1および第2基板23,25の間に配置される液晶層18を含む。本実施形態はフルカラーディスプレイで画像ディスプレイ層は従ってさらに赤、緑、青カラーフィルタ24R、24G、24Bを備える。たとえば、液晶層18をアドレスするアドレス電極、液晶材料を配向する配向層、偏光板などの他の構成部分は本発明の一部を形成せず、示されない。
本実施形態において、それぞれの視差光学素子12,12’は切り換え可能な視差バリアとして具体化されている。それぞれの視差光学素子12,12’はOFF状態の間で切り換え可能である。OFF状態において、全体部分に渡って不均一に透過であって、視差バリアが規定されず、ON状態でないようにする。
視差光学素子12,12’は、1つの視差バリア12は、装置が1つの方向にある(たとえば横方向)とき、ON状態において使用するために1つの視差バリアを提供する。もう1つの視差光学素子12’は、装置がもう1つの方向にある(たとえば縦方向)とき、ON状態において使用するのに適した1つの視差バリアを提供する。
図11(b)は図11(a)のディスプレイ9の概略組立て図で、2つの視差光学素子12,12’および画像ディスプレイ層10を示す。説明の明確さのために互いに分かれている。両視差光学素子12,12’は図11(b)にON状態で示されている。繰り返しになるが、それぞれの視差光学素子の不透明な部分と透過部分がどのように配置されているかを説明する明確さのための図である。図11(b)に示されるように、それぞれの視差光学素子12,12’は、それぞれのON状態において、ストリップ形で一般的に互いに視差になるように伸びていて、不透明部分1、1’によって分離されている光透過部分5,5’を有する。しかし、1つの視差光学素子12の不透明部分1および透過部分5は、もう1つの視差光学素子12’の不透明部分1’および透過部分5’に実質的に垂直である。
ディスプレイ9は縦方向の図11(b)に示されている。この方向において、第1の視差バリア12はOFFに切り換えられ、第2の視差バリア12’はONに切り換えられて垂直な不透明ストリップ1’を規定する。デバイスが横方向に回転する場合、第2の視差バリアはONに切り換わり、装置の回転のため、この視差バリアの不透明ストリップは垂直方向になる。第2の視差バリア12’は、デバイスが横方向に回転する場合、OFFに切り換わる。
両視差光学素子12,12’がOFFに切り換わる場合、ディスプレイ9は従来の2−Dディスプレイとして作用し、縦方向か横方向かに関係ない。
図11(b)において、両視差光学素子12,12’が、説明の明確さのために、それぞれのON状態において示されている。しかし、装置は両視差光学素子が同時にONに切り換わる状態で動作しないことが好まれる。両視差光学素子が同時にONに切り換わる状態は可能であるが、そうするとディスプレイはすでに説明されたように3−Dモードにおける低強度の問題に当たることになる。一度当たり、視差光学素子のどちから1つのみがONに切り換わることが好ましい。
図11(a)および11(b)のディスプレイにおいて、1つの視差光学素子12は画像ディスプレイ層10の後ろに設置され、もう1つの視差光学素子12’は画像ディスプレイ層10の前に設置されている。(「後ろ」および「前」という概念は観察者によって認知されるディスプレイに関連する。)本実施形態は本配置に規定していないが、両視差光学素子12、12’がディスプレイと同じ側に設置されることは可能である。たとえば、両視差光学素子12、12’は、図11(c)の基本構造図に示されるように画像ディスプレイ層の後ろに設置され得る。代わりに、両視差光学素子12、12’は画像ディスプレイ層10の前に提供され得る。
任意の適切な切り換え可能な視差光学素子が本実施形態で使用され得る。たとえば、図8、9、10(a)〜10(d)に示される切り換え可能な視差光学素子が使用され得る。
図11(a)〜11(c)の実施形態のさらなる利点は、四角ピクセルまたは四角複合ピクセルを有する画像ディスプレイ層に規定されていない。視差光学素子が視差バリアである場合、たとえば、方程式(3)における項「s」が定数でないようにするために、1つのバリアのピクセルバリア分離が第2のバリアのピクセルバリア分離に等しくないように、2つの視差バリアは配置され得る。図11(a)〜11(c)の実施形態はSP/PP〜Sl/Plである場合に一定の視距離を提供する。この場合、SPは縦方向において使用される視差バリアのピクセル分離バリアで、PPは縦方向のピクセルピッチで、Slは縦方向において使用される視差バリアのピクセル分離バリアで、Plは横方向のピクセルピッチである(1方向におけるビュー間の分離eが他方向における場合とほぼ同じである場合)。(2つの視差バリアが同じ距離に配置されるが、SP=Slとなるように画像ディスプレイ層の逆側に設置される場合、画像ディスプレイ層が前述の実施形態のように、四角ピクセルまたは四角複合ピクセルを有する必要があるということに留意すべきである。)
図6(b)に示されるタイプの視差バリアは、たとえば図8、9、10(a)〜10(d)に示される任意の方法を用いて切り換え可能な視差バリアとして具体化され得るということに留意すべきである。これには、図6(a)〜6(d)の実施形態が2−Dディスプレイを提供するために切り換えられるディスプレイとして具体化され得るという利点がある。しかし、指向性ディスプレイモードにおいて動作するとすでに説明されたように低強度の問題が発生し得るのである。
図11(a)〜11(c)の実施形態において、それぞれの視差光学素子12、12’および画像ディスプレイ層10が、基板の分離対とともに提供されている。しかし、基板が両視差光学素子にとって共通であるように、両視差光学素子が画像ディスプレイ層の同じ側に配置されている場合に、たとえば、画像ディスプレイ層10および視差光学素子のうち1つに基板が共通なものになることは可能である。
本発明のさらなる実施形態において、2つの切り換え可能な視差光学素子が単一のアドレス可能な層において規定される。本実施形態は、図12(a)〜12(d)への参照で説明される。記述された例において、アドレス可能な層は液晶層であるが、実施形態は必ずしもこれに規定されない。
図12(a)に示されるように、アドレス可能な層は2つの独立したアドレス可能な電極28、29のセットとともに提供される。1つの電極28のセットはアドレス可能な層において視差バリアを規定する。視差バリアはディスプレイが1方向(たとえば横方向)にあるときに使用に適している。電極の第2のセット29は、ディスプレイがもう1方向(たとえば縦方向)であるときに使用に適する視差バリアを規定する。図12(a)に示されるように、電極28,29のそれぞれのセットはストライプ電極28a、28b、28c;29a、29b、29cの一組から成る。これらのストライプは互いに平行に伸びて、1つのセットの電極は他のセットの電極に実質的に垂直である。
本実施形態の視差光学素子は電極の1つの組を配置することによって具体化され得る。たとえば、基板30上の「横方向電極」28a、28b、28c...である。これは図12(b)に示される。
次いで、電気的絶縁層31が横方向電極28a、28b、28c...上に配置され、横方向電極が完全にカバーされるようにする。バリア層の上面は図12(c)に示されるように実質的に平らにするために堆積される、または実質的に平らにされる。
電極の第2のセット、本例においては「縦方向電極」29a、29b、29c...は、バリア層上に堆積される。これらは、絶縁バリア層31によって横方向電極28a、28b、28cから絶縁されている。これは図12(d)に示される。
図12(a)に示される、交差した電極の2つの独立したアドレス可能なセットを有する第2の基板は同様に準備される。2つの基板はそれから、1つの基板と他の基板の間に配置される液晶材料のようなアドレス可能な材料の層とともに組み立てられる。この視差バリアがマルチビュー指向性ディスプレイに組み込まれるとき、アドレス可能な層は、横方向電極28または縦方向電極29のどちらか適切な方を用いてアドレスされる。ディスプレイが横方向にあるとき、たとえば横方向電極28は活性化し、アドレス可能な層における、デバイスの横方向に適している視差バリアを規定し、縦方向電極29はOFFになる。装置が縦方向に回転するとき、横方向電極28はスイッチがオフされ、縦方向電極29は活性化されて、ディスプレイの縦方向においての使用に適する視差バリアを規定する。
本実施形態において、視差バリアは両方向における層31において規定されるので、ピクセルバリア分離は、縦方向と横方向の間で変化しない。それゆえ、1方向においても他方向と同じ視距離を獲得するために、画像ディスプレイ層が四角ピクセルまたは四角複合ピクセルを有する必要がある。
図12(a)〜12(d)における視差バリアは2つのONモードにおいて切り換え可能であり、また、アドレス可能な層において視差バリアが規定されないOFFモードにも切り換え可能である。それゆえ視差バリアは、指向性モードと2−Dモード動作の間で切り換え可能であることが望ましいディスプレイに組み込むのに適している。
図13(a)〜13(d)は本発明のさらなる実施形態を示す。2つの切り換え可能な視差光学素子が再び単一のアドレス可能な層において規定されている。記された例において、アドレス可能な液晶層であるが、実施形態はかならずしもこれに限定されない。
図13(a)および13(b)に示されるように、アドレス可能な層は再び、2つの独立した電極28,29のアドレス可能なセットとともに提供されている。電極28,29はアドレス可能な層の各側に1つずつ配置されている。電極28の1つのセットはアドレス可能な層において、ディスプレイが1つの方向(たとえば横方向)にあるときに使用に適した視差バリアを規定し、電極の第2のセット29は、ディスプレイがもう1つの方向(たとえば縦方向)にあるときに使用に適した視差バリアを規定する。図12(a)の実施形態におけるように、電極28,29のそれぞれのセットは、1組のストライプ電極28a、28b、28c;29a、29b、29cから成る。これらのストライプ電極は互いに平行に伸び、1つのセットの電極は他のセットの電極に実質的に垂直である。ストライプ電極28a、28b、28c;29a、29b、29cは一般的に図12(a)の実施形態のストライプ電極に類似する。
図13(a)および13(b)の実施形態において、電極28の第1のセットはさらなる電極28wを含む。電極28wは電極の第1のセットの電極28a〜28cの形に補完的である。図13(a)の実施形態において、補完的な電極28wは1組のストライプ電極28x、28y、28zから成る。ストライプ電極28x、28y、28zはストライプ電極28a〜28cと相互に指状突起がある。補完的電極28wのストライプ電極28x、28y、28zの1つの幅は、電極の第1のセットの2つの隣接のストライプ電極28a〜28c間の隙間よりもわずかに小さくされている。このように、補完的な電極28wのそれぞれのストライプ電極28x、28y、28zは電極の第1のセットの2つの隣接するストライプ電極28a〜28c間の隙間を実質的に埋めて、小さな隙間130(典型的におよそ10μm幅)を残して、電極28の第1のセットと補完的な電極28w間の電気的絶縁を提供する。同様に、電極29の第2のセットはさらなる電極29wを含む。電極29wは一般的に、電極の第1のセットの電極29a〜29cの形に補完的な形を有する。図13(b)の実施形態において、補完的電極29wはストライプ電極29x、29y、29zの1組から成る。ストライプ電極29x、29y、29zはストライプ電極29a〜29cと相互に指状突起している。補完的電極29wのストライプ電極29x、29y、29zの1つの幅は電極の第2のセットの2つの隣接するストライプ電極29w間の隙間よりもわずかに小さくされて、補完的電極29wのストライプ電極29x、29y、29zが電極の第2のセットの2つの隣接するストライプ電極29a〜29c間の隙間を実質的に埋めて、小さな隙間130(典型的に10μm)を残して電気的絶縁を提供する。
アドレス可能な層および電極を示す断面図である図13(d)に示されるように、補完的電極28w,29wは電極28,29の第1または第2のセットと同じレベルであることが好ましい。基板30に金属層を配置し、金属層をエッチングして、図13(c)に示されるように電極28の第1のセットおよび補完的電極28wを規定し、電極29の第2のセットおよび対応する補完的電極29が同様に形成され得ることによって、電極は好都合に加工され得る。金属層はたとえばITO(インジウムスズ酸化物)層であり得る。
基板30はそれから、たとえば配向層(示されない)の堆積およびラビングといったさらなる処理ステップの対象になり得る。基板30は組み合わされ、セル131を規定し、セル131はそれから、この例では液晶材料21の層であるアドレス可能な材料で充填される。
本実施形態において、電極28の第1のセットは、たとえば横方向の、ディスプレイの1方向における視差バリアを規定し、電極29の第2のセットはたとえば縦方向のディスプレイのもう1つの方向における視差バリアを規定する。図12(a)〜12(c)の実施形態と比較すると、電極28,29の1つのセットおよび対応する補完的電極28w、29wは、それらの間の狭い隙間130とは別に、カウンター電極として作用する基本的な連続電極部分を規定する。このように、横方向の視差バリアを獲得するために、第1の電圧が第1のセットのストライプ電極28a〜28cに適用されると同時に、第2の異なる電圧が第1のセットのストライプ29a〜29cおよび対応する補完的電極29wに適用されて、基本的に、アドレス可能な全体部分にかかる均一電位でカウンター電極を生成する。第1のセットのストライプ電極28a〜28cの下のアドレス可能な層の部分が実質的に非透過であるように第1および第2の電圧が選択されることによって、視差バリアの不透明部分を規定する。(実際には、第2の電圧が、また上部補完的電極28に適用され得て、上部補完的電極28と、下部ストライプ電極29a〜29cまたは下部補完的電極29との間の電位がゼロであるようにする。)
同様に、縦方向に視差バリアを獲得するために、第1の電圧が第2のセット29のストライプ電極29a〜29cに適用されると同時に、第2の異なる電圧が第2のセットのストライプ電極28a〜28cおよび対応する補完的電極28wに適用されて、基本的に、アドレス可能な層の全体部分にかかる均一電位でカウンター電極を生成する。電極の第2のセットのストライプ電極29a〜29cのアドレス可能な層の部分が実質的に非透過でないように第1および第2の電圧が選択されることによって、視差バリアの不透明な部分を規定する。
第1のセットのストライプ電極28a〜28cおよび対応する補完的電極28wに第1の電圧を適用し、第1のセットのストライプ電極29a〜29cおよび対応する補完的電極29wに適用することによって、2次元ディスプレイモードが獲得され得る。これによって、アドレス可能な層の各側に1つずつある、基本的に、2つの均一な電極を生成する。第1および第2の電圧は、アドレス可能な層が全体部分にわたって透過状態を適用するように選択される(アドレス可能な層の性質によって、第1の電圧は第2の電圧に等しいことがあり得るか、または第2の電圧とは異なることがあり得る)。
本発明の動作は次の表によって要約され得る:
本実施形態の視差バリアは、電極の第1(または第2)のセットおよび対応する補完的電極が金属層を単純にエッチングすることによって規定され得るので、製造するのに安価であるという有利性を有する。さらに、一度に1つの視差バリアのみが規定されるので、ディスプレイは比較的狭い非透過部分を有し、明るい画像が獲得される。
図14(a)は2つの異なるON状態の一方かまたは他方において構成されるさらなる視差バリア12を示す。
図14(a)の視差光学素子は再び視差バリアである。基準方向に対して45°に配置された透過軸を有する第1の線形偏光板31を備える。次の層はパターン化された反応性のメソゲン層32で、この次がλ/2の厚みを有するフレデリックのタイプの液晶層33であり、λはディスプレイの設計された波長である。550nmは可視波長範囲のほぼ中心であるので、典型的にλ=550nmである。(フレデリックのタイプの液晶層またはFRED液晶層は単純な平面タイプのツイストされていない液晶層。)
液晶層33は、第2のパターン化された反応性のメソゲン層34に続き、それから基準方向に45°の透過軸を有する第2の直線偏光板35に続く。最後に、視差バリア12は切り換え可能な散乱層36を含む。
切り換え可能な散乱層36は視差バリア12の出力面に提供される。つまり、使用では、光は第1の偏光板31を経由して視差バリアに入り、切り換え可能な散乱層36を経由して出て行く。その結果、切り換え可能な散乱層36のスイッチがONに切り換わり、視差バリア12を出て行く光を散乱する場合、液晶層33において規定される任意の視差バリアも散乱層36によって取り除かれる。それゆえ、散乱層36のスイッチがONに切り換わるとき、視差バリア12はスイッチがOFFに切り換わり、全体部分に不均一な透過率を有する。
それぞれのRM層32、34は4つの異なる部分にパターン化される。反応性メソゲン層の光軸は部分間で変わる。第1のRM層において、第1の部分である32は基準方向に対して67.5°の光軸を有し、第2の部分は基準方向に対して0°の光軸を有し、第3の部分は基準方向に対して22.5°を有し、第4の部分は基準方向に対して45°の光軸を有する。第2のRM層34において、第1の部分は基準方向に対して22.5°の光軸を有し、第2の部分は基準方向に対して135°の光軸を有し、第3の部分は基準方向に対して22.5°の光軸を有し、第4の部分は基準方向に対して45°の光軸を有する。
液晶層33は切り換え可能であり、基準方向に対して45°に配置された光軸を有する。使用される液晶層33は半波長プレートとして作用する状態と垂直状態の間で切り換わる。RM層は位相リターダとして作用する。
散乱層36がOFFに切り換わると、液晶層は、常に不透明である部分(部分4)の1セットおよび常に透明である部分(部分2)の1セットを含む。また液晶層がONに切り換わると透明であるが、液晶層33がOFFに切り換わると不透明になる部分(部分1)の1セットを含む。最後に、液晶層33がONに切り換わると不透明になり、液晶層33がOFFに切り換わると透過になる部分(部分3)の1セットを含む。それゆえ、液晶層33における縦方向モード視差バリアまたは横方向モード視差バリアを規定することは可能である。
図15(a)は2×2マトリックスにおける1〜4で配置されたそれぞれの部分の1つを示している。切り換え可能な散乱体はOFFであるが、液晶層33はONである場合、部分3および4は不透明で、部分1および2は透過である。これによって、垂直に伸びる不透明で透過ストリップを有する第1の視差バリアは、図15(b)に概略的に示されるように規定される。しかし、液晶層33がOFFに切り換わると、部分1および4は不透明になり、部分2および3は透過になる。これによって水平に伸びる不透明部分および水平に伸びる透過部分を有する視差バリアは図15(c)に示されるように規定される。このように、本実施形態の視差バリアは、第1のON状態と第2のON状態の間で再び構成可能である。
切り換え可能な散乱体層36がONに切り換わると、液晶層33のすべての部分は図15(a)に示されるように光透過になる。これによってディスプレイが2−Dディスプレイに切り換わる。
図15(d)は液晶層における部分1,2,3,4の1つの可能な配置を示す。部分1および部分2は列に配置され、部分3および部分4もまた列に配置される。部分2および部分3と同様に、部分1および部分4は行に配置される。液晶層が切り換わり部分3および部分4が黒で、部分1および部分2が透過とする場合、垂直の不透明部分および垂直の透過部分(垂直は図15(d)に示される方向に関連する)を有する視差バリアが獲得される。液晶層が切り換えられ、部分1および部分2が黒で、部分3および部分4が透過であるようにする場合、水平な不透明部分および水平な透過部分(水平は再び図15(d)に示される方向に言及する)を有する視差バリアが獲得される。このように、液晶は切り換えられて、水平に伸びる透過部分および不透明部分を有する視差バリアを提供するか、垂直に伸びる透過部分および不透明部分を有する視差バリアを提供する。
最後に、図15(e)は2−Dモード、縦方向モード、横方向モードにおける液晶層33の部分1−4の必要な状態を示す。
切り換え可能な散乱層36は本実施形態の視差バリアから省略され得る。散乱層36が省略される場合、視差バリアが切り換えられて2−Dモード動作を提供することができない(2つの同一の画像を表示して2−Dモードにおいてディスプレイが動作されて観察者の片目が同じ画像を見ることができるようにするが)。
本実施形態において、アドレス可能な層において規定される2つの視差バリアは互いから独立して選択された幅とピッチを有することがある。本実施形態の視差バリアはそれゆえ任意の画像ディスプレイ層を用いて、2つの視差バリアを適切に構成することによって用いられ得て、横方向におけるディスプレイの視距離が縦方向におけるディスプレイの視距離と実質的に同じであるということを確実にすることが可能である。図15(d)に示されるような次元の、部分1〜4を用いて、たとえば、1つの視差バリアは他の視差バリアのピッチのおよそ3倍のピッチを有する。
切り換え可能な散乱層36はたとえばポリマー散乱した液晶層であり得る。
上記のディスプレイはたとえば「観察者トラッキング」などの他の周知の特徴とともに提供され得る。ビューアの目の位置をモニターし、ビューアの動きを考慮に入れるために画像ディスプレイ層10のピクセルにデータの割り当てを調整することは周知である。このことはそうでなければビューアがクロストークまたは二次的画像を受けられる場所に移動し始める場合に特になされ得る。観察者の目の位置をモニタリングすることおよびしたがって画像ディスプレイ層にデータ割り当てを調整することは、任意の適切な観察者トラッキング技術を用いても実行され得る。
代替として、観察者の動きを考慮に入れるために、画像ディスプレイ層10のピクセルにデータの割り当てを調整するのではなく、視差バリアがアドレス可能な層において規定される実施形態において、観察者の動きを考慮に入れるために視差バリアを調整することは可能である。この実施形態において、観察者の目の位置を追うために画像ディスプレイ層10に表示される2つの画像のビューイングウインドウの位置を変えるために視差バリアが調整される。たとえば、アドレス可能な層においてバリアを規定する電極ストリップが複数の独立したアドレス可能な電極ストリップからそれぞれ形成される場合に、視差バリアの位置は調整され得る。たとえば視差バリアの不透明部分の左側の1つのストリップをOFFに切り換える一方で、その視差バリアの不透明な部分の右側の1つの電極ストリップをONに切り換えることは可能である。視差バリアのそれぞれの不透明ストリップにおいてこれが繰り返され、有効な視差バリアの位置が右に動き、このようにして画像ディスプレイ層に表示される2つの画像の視覚部分の位置を変える。
たとえば横方向モードから縦方向モードのように、ディスプレイが一方向からもう一方向へ回転される場合、ディスプレイの視野角特性が変化し得る。使用されるディスプレイが均一な視野角特性を有する場合、表示される画像の質は、一方向から他方向へのディスプレイの回転によってほとんど影響を受けない。しかし、視野角特性が不均一である場合、複雑な視野角補償フィルムを有さない単純なツイストされたネマチック液晶ディスプレイの場合であり得るように、表示された画像の質は、ディスプレイ動作の横方向モードと縦方向モードの間で大きく変わり得る。デュアルビューディスプレイは自動立体視ディスプレイより大きな視野角で動作される傾向にあるので、特にデュアルビューディスプレイにとってこれは問題になり得る。この不利な点が克服され得る1つの方法は、それぞれの方向においてディスプレイに異なるグレイスケールマッピングを用いることである。これにより、ディスプレイのそれぞれの方向にとってディスプレイの透過電圧特性によって最善に使用されることが可能になる。
上記の実施形態において、視差バリアは画像ディスプレイ装置の外側である。これによって、視差バリアと画像ディスプレイ層の間の最小の分離に制限を設け、2つのビューイングウインドウの間が最大角分離が低すぎることがあり得るということである。2つのビューイングウインドウの間の角分離を大きくすることが所望される場合、同時係属の英国特許出願第0320358.5号の教示に従って、画像ディスプレイ層の基板の1つの中に視差バリアを配置することは可能である。
上記の実施形態において、画像ディスプレイ装置は液晶層を備える。しかし、発明は、液晶画像ディスプレイ層を有するディスプレイに限定されない。任意の適切な画像ディスプレイ層が用いられ得る。画像ディスプレイ層は適切なバックライトに照らされる透過層であり得るか、またはOLED層、プラズマパネル層、陰極線管のような放射層であり得る。
発明は、正面バリアディスプレイおよび後方バリアディスプレイに適用され得る。
横方向モードまたは縦方向モードにおいて動作するとこを意図するディスプレイへ参照することで、発明が記述されてきた。しかし、本発明は、2つの特定のディスプレイモードに規定されない。本発明は、2つ以上の異なる方向で見られることを意図する任意のディスプレイにも適用し得る。
図17は、本発明のさらなるマルチビュー指向性ディスプレイ120の概略的な平面図である。ディスプレイ120は4つの独立したビューを表示し得、各ビューは4つの異なる同一平面上にない方向のうちそれぞれの1つに沿って表示される。各ビューは、ディスプレイ120の表示面に対して傾斜する方向に表示されており、その結果、それぞれの観察者122a〜122dは各ビューを見ることができる。ビューが表示される方向がディスプレイ120の表示面上に投影される場合、各投影された方向は、隣接する投影された方向に対してほぼ90°である。図17は、正面図で見られるように、ほぼ90°の角度範囲を有する各ビューのビューイングウィンドウを示しているが、実施形態はこれに限られず、ビューイングウィンドウは互いに異なる角度範囲を有し得る。画像のビューイング方向は、その画像についてビューイングウィンドウの中心方向と規定される。画像のそれぞれは、その他の画像とほぼ同じ視距離を有する。
以下に記載されるように、ビューは同一向きにおいて全て表示されているわけではない。例えば、ビュー2および3は、1つの向き(例えば、縦向き)に表示され得、ビュー1および4は、異なる向き(例えば、横向き)に表示され得る。ディスプレイが、垂直軸を中心に90°回転すると、ディスプレイの1つの向きにおいて縦モードで表示されたビューは、新しい向きにおいて横モードで表示され、その逆もまた同様である。
図17のディスプレイ120は、例えば、ディスプレイがその表示面が水平であるようにテーブル121上に配置される水平の卓上インタラクティブゲームにおいて用いられ得る。各観察者122a〜122dは、ゲームの参加者であり得、異なる参加者はゲームの状況について異なる情報を提供されている。図17のディスプレイ120の他の用途は、授業において用いられ得る。観察者のうち1人122aが先生であり得、残りの観察者122b〜122dは生徒であり得る。ディスプレイ120はまた、商談または会議においても用いられ得る。これら用途において、ディスプレイは「デュアルビュー」ディスプレイとして動作し、各観察者は他の観察者に表示されるビューから独立して制御され得るビューを見ている。
図17に示されるタイプのディスプレイはまた、3次元マルチビューディスプレイとしても用いられ得、この場合、従来のディスプレイのように表示面を垂直にして用いられ、あるいは表示面を水平にして用いられ得る。この場合、図17に示される位置122a〜122dは、観察者の位置というよりはむしろ観察者の目の位置を表している。従って、例えば、ビュー2およびビュー1はそれぞれ、第1のビューから観察者に表示された右眼ビューと左眼ビューであり得、ビュー4およびビュー3はそれぞれ、第1のビューの上のビューから表示された右眼ビューと左眼ビューであり得る。従って、ディスプレイ120は、2つの個別のビューから独立した自動立体視3D画像を表示し得る。これにより、垂直「見回す(look around)」効果が与えられ得、ここでは、1人の観察者が第1の3Dビューの上または下のビューから第1の3Dビューまたは第2の3Dビューを眼にし得る。(この用途に関して、ディスプレイの向きは図17に示される向きから変更される必要がある。ディスプレイは、下部のコーナーのうち1つ(例えば、前に出てきたビュー割り当てについて、下部右側コーナー)に静置しておく必要があり、その結果、各立体視画像ペアの2つの画像は、同一の垂直高さで表示された。あるいは、図18(a)に示されるピクセル割り当ては変更される必要があり、その結果、画像のうち2つは1つの高さで表示され、画像のうちその他2つは異なる高さで表示された。)あるいは、(例えば、2人の観察者がテーブルの反対側に着席している場合)ビュー1および2は互いに3Dビューを提供し得、ビュー3および4は第2の観察者に3Dビューを提供し得、よって結合3D、デュアルビューイングモードを提供する。
図17の実施形態は、ちょうど4つのビューを表示するディスプレイに関して以下に記載される。しかしながら、この実施形態は、5つ以上のビューを表示し得るディスプレイに適用され得る。
図18(a)〜図18(c)は、ディスプレイ120が4つの個別の方向に沿って4つのビューを表示し得る1つの方法を示す。図18(a)は、画像ディスプレイ層125上に画像がどのように表示されるのかを示しており、画像ディスプレイ層は第1のビューから第4のビューまでを表示する第1の領域から第4の領域を有することが分かる。図18(a)の実施形態において、画像ディスプレイ層はピクセル化された画像ディスプレイ層であり、図18(a)は4つのビューがどのようにピクセルに割り当てられるのかを示す。図18(a)の実施形態において、各ビューは2つのピクセル124a〜124h上に表示されており、各ピクセルは「1」、「2」、「3」または「4」の番号付けをされ、ビュー1〜ビュー4のうちどれがそのピクセルに表示されるのかを示す。図18(a)から分かるように、2つのビュー(ビュー2および3)は、ピクセルの1つの行上で並んで表示される。1つのビュー(ビュー1)は、ビュー2および3が表示されるピクセルの行の上にあるピクセル行上に表示されており、第4のビュー(ビュー4)は、ビュー2および3が表示されるピクセルの行の下にあるピクセル行上に表示される。ビュー1および4は、互いに同一のピクセル列上に表示される。さらに、ビュー1および4が表示されるピクセル列は、図18(a)に示されるピクセルの「十字型」群を生み出すように、ビュー3が表示される左側の列とビュー2が表示される右側の列とである。
画像ディスプレイ層は、任意の適切なピクセル化画像ディスプレイ層であり得る。それは、適切なバックライトにより照らされるピクセル化されたディスプレイ層といった液晶透過ディスプレイ層、OLED(有機エレクトロルミネセンス装置)またはPDPアレイといった電子放射ディスプレイ層、または、通常の適切なピクセル構造を有する他のディスプレイであり得る。
図18(a)は、ピクセルの単一の行のみに、およびピクセルの2つの列上に表示される各ビューを示す。本発明はこれに限られることなく、図18(a)の「十字型」群が設けられていることを条件として、各ビューは1つより多くのピクセル行上および/または2つより多くのピクセル列上に表示され得る。
フルカラーディスプレイの場合、図18(a)に示される各ピクセル124a〜124hは、図18(a)への挿入画に示されるように、赤色サブピクセル124R、緑色サブピクセル124Gおよび青色サブピクセル124Bから成り得る。
図18(b)は、図18(a)の画像ディスプレイ層125とともに用いる適切な視差光学素子126を示す。この実施形態において、視差光学素子は透過開口127を備える視差バリアである。視差バリアの透過開口127は、画像ディスプレイ層125の2つの側面に沿って隣接するピクセルと実質的には同じ形であるが、僅かに小さい。視差バリアは、一般的に、例えば図6(b)の視差バリアに類似しており、図18(b)において水平方向に延びる不透過ストリップを有する1つの視差バリアと、図18(b)において垂直方向に延びる不透過ストリップを有する他の視差バリアとの重ね合わせと言える。
図18(c)は、図18(a)の画像ディスプレイ層125上に重ね合った図18(b)の視差バリア126を示す。視差バリア126の開口127は、第1のビューを表示する領域(すなわち、2つのピクセル124a、124bを有する)と、第2のビューを表示する領域(すなわち、2つのピクセル124c、124dを有する)と、第3のビューを表示する領域(すなわち、2つのピクセル124e、124fを有する)と、第4のビューを表示する領域(すなわち、2つのピクセル124g、124hを有する)と関連する。視差バリアの開口127は、図18(a)に示されるピクセルの十字型群上にほぼ中心に配置される。視差バリア126が画像ディスプレイ層125と観察者との間に配置される場合、左側からディスプレイを見ている観察者(図18(c)に示されるディスプレイのような)は、ビュー1、2および4は視差バリアの不透過領域によって遮断されているので、ビュー3を知覚するが、ビュー1、2または4は眼にしない。反対に、右手側からディスプレイを見ている観察者は、画像2のみを知覚する。同様に、上端部からディスプレイを見ている観察者は、画像4のみを知覚し、その一方で、下端部からディスプレイを見ている観察者は、画像1のみを知覚する。
ビュー1および4は、ビュー1および4が表示される2つのピクセルはそれぞれの観察者に対して横方向に配置されているので、横モードで眼にされることを注記する。しかしながら、ビュー2および3は、画像2または画像3が表示される2つのピクセルが、ビュー2またはビュー3が向けられる観察者によって見られる場合、1つが他方の上にあるように配置されているので、縦モードで表示される。従って、この実施形態のディスプレイ120は、2つの異なるモードで同時に画像を表示する。
図18(a)は、ディスプレイ120の画像ディスプレイ層125の1つの要素を示す。図19(a)は、図18(a)の複数の十字型ピクセル群を規定するために、画像ディスプレイ層のピクセルが4つのビューに割り当てられ得る1つの方法を示す。図19(a)の構造は、1つの要素のビュー1に割り当てられた2つのピクセルが他の要素のビュー4に割り当てられたピクセルと同じ行で、隣接しているように、図18(a)の十字型ピクセル群をインターレースすることによって得られることが言える。従って、図19(a)におけるピクセルの1つおきの行は、ビュー2および3に割り当てられ、ピクセルのインターレースしている行は、ビュー1および4に割り当てられる。
図19(b)は、図19(a)の画像ディスプレイ層125の前に配置された適切な視差バリア126を図示する。視差バリアは、開口127のアレイを備える。開口は、視差バリアが画像ディスプレイ層125の上に配置される場合、各開口127が図19(a)のピクセル構造に規定された十字型ピクセル群のうちの1つの中心上に配置されるように、位置決めされる。
図19(b)を図17と比較すると、卓上の向きに配置される4人の観察者に4つのビューが示されるとき、ビュー1が画像ディスプレイ層上に表示されるのと同じ方法で、ビュー1は観察者122aに表示されることが分かる。すなわち、図19(b)において画像ディスプレイ層の下部に示される画像1のピクセルは、観察者122aが見る画像の下部にある。しかしながら、図19(b)において画像ディスプレイ層の下部に示される画像4のピクセルは、観察者122dが見る画像の上部にある。これは、ビュー4を見る観察者122dは、ビュー1を見る観察者122aに対してテーブル121の反対側にいる(観察者122dは観察者122aと対面している)からである。両方の観察者が適切にそれぞれの画像を見ることを保証するために、2つの画像が互いに異なる第1の方法と第2の方法とで画像ディスプレイの2つの画像それぞれのピクセルに割り当てられ、その結果、ビューが画像ディスプレイ層上で異なる向きを有することが好ましい。すなわち、ビュー1は、好ましくは、画像の上部と下部とがそれぞれ図19(b)に示されるように、画像ディスプレイ層の上部と下部とにあるように、画像ディスレプレイ層のラベル1の番号付けされたピクセルに割り当てられる。しかしながら、ビュー4は、好ましくは、画像の上部と下部とがそれぞれ図19(b)に示されるように、画像ディスプレイ層の下部と上部とにあるように、ラベル4の番号付けされたピクセルに割り当てられる。
同様に、観察者122bおよび122cは、テーブル121越しに互いに向かい合っている。従って、ビュー2がビュー3とは異なる方法でそれぞれのピクセルに割り当てられ、その結果、ビューは画像ディスプレイ層上で互いに異なる向きを有することが必要である。観察者が図17に示されるように位置づけられており、ビュー2は、好ましくは、画像の上部および下部がそれぞれ図19(b)に示されるように画像ディスプレイ層の左と右とにあるように、ラベル2の番号付けされたピクセルに割り当てられる。しかしながら、ビュー3は、画像の上部および下部がそれぞれ、図19(b)に示されるように画像ディスプレイ層の右および左にあるようにラベル3の番号付けされたピクセルに割り当てられる。
図17のディスプレイが2人の異なる観察者に立体視画像を表示しており、ビュー1および2が1人の観察者に立体視画像ペアを形成し、ビュー3および4が他の観察者に立体視画像ペアを形成するところで、ビュー1および2は、互いに同じ方法で画像ディスプレイ層のそれぞれのピクセルに割り当てられなければならなく、また、ビュー3および4もまた、互いに同じ方法で画像ディスプレイ層のそれぞれのピクセルに割り当てられなければならない。その結果、各観察者には適切な立体視画像が見える。しかしながら、2人の観察者はテーブルを越しに互いに向き合っているので、ビュー1および2が画像ディスプレイ層のそれぞれのピクセルに割り当てられる方法は、ビュー3および4が画像ディスプレイ層のそれぞれのピクセルに割り当てられる方法と異なる。例えば、ビュー1および2は、画像の上部および下部が図19(b)の画像ディスプレイ層の左上および右下斜めエッヂに沿って移動するように画像ディスプレイ層に割り当てられ得るが、ビュー3および4は、画像の上部および下部が図19(b)の画像ディスプレイ層の右下および左上斜めエッヂに沿って移動するように画像ディスプレイ層に割り当てられ得る。
図20(a)は、画像ディスプレイ125のピクセル124が4つのビューに割り当てられ得る他の方法を示す。この構造において、ピクセルの各行は、ビューのうち4つ全てを表示する。この構造は、1つのピクセル群の上の行が、隣接する十字型ピクセル群のピクセルの第2の行と同じピクセル行上に規定されるように図18(a)の十字型ピクセル群をインターレースしているものと考えられ得る。図18(a)の十字型ピクセル群のうち1つが、図20(a)において強調表示されている。
図20(b)は、図20(a)の画像ディスプレイ層125を示し、その上には視差バリアが配置されている。視差バリアの開口127の位置が再び選択され、視差バリアが画像ディスプレイ層125上に配置される場合、視差バリアの各開口の中心は、図18(a)の十字型ピクセル構造のうちの1つの中心と一致する。
図19(a)〜図20(b)は、図18(a)の「単位セル」を取り入れる4つの画像の中からの画像ディスプレイ層のピクセルと、対応する視差バリアとの2つの可能な割り当てを示すが、本発明はこれら十字型インターレースに限られない。他の十字型インターレースが用いられ得る。
画像間のピクセルの割り当ては、ディスプレイの特定の意図された用途に応じて選択され得る。例えば、バリアの可視性が問題である場合、図20(a)に示されるピクセル構造がより良い。何故ならば、バリア開口127が、図20(b)から分かるように、垂直線または水平線に配置されていないからである。図20(b)では、視差バリアの開口127は、水平方向または垂直方向について傾斜した線に配置されており、ヒトの眼は、図19(b)における垂直線および水平線と同じ程度に、そのような線を見る傾向にない。画像ディスレプレイ層のピクセルの他の可能性のある割り当ては、図18(a)の「単位セル」のランダムまたは半ランダム構造であり、これにより、視差バリアの可視制がさらに削減され得、また、ビュー間のプライバシーが向上され得る(これは、二次ビューイングウィンドウが、ディスプレイの異なる部分において全てのピクセル混合を示す結果、ビューはその対象とされた視距離においてのみ可視となるからである)。プライバシーは、例えば、ゲームのプレーといった用途において有用である。
図19(a)と図20(a)とにおいて、各ピクセル124は、フルカラーディスプレイの場合に、図18(a)への挿入画に示されるように、赤色ピクセル、青色ピクセルおよび緑色ピクセルから成り得る。さらに、図18(a)を参照しながら前に説明したように、図19(a)と図20(a)とは、ピクセルの単一行にのみ配置された各ビューを示すが、本発明はこれに限られない。
図19(b)と図20(b)との両者は、表示面に対する直角線に沿ってディスプレイを見る観察者には、ビュー2および3の混合物が見えることを示す。
ディスプレイ120は、前に説明したように、ケースビュー1、2、3および4が互いに独立し得るデュアルビューディスプレイとして用いられ得る。あるいは、前に説明したように、2つの独立立体視画像ペアの左眼画像と右眼画像とを含む4つのビューの場合の2つの3D自動立体視ビューを提供するように用いられ得る。2つの画像ペアは、2つの異なるビューから1つの画像を表し得、結合された3Dおよびデュアルビューモードを提供するように2つの異なる画像を表し得る。
本発明は、視差光学素子としての視差バリアとともに用いることに限られない。本発明のこの実施形態によるディスプレイは、例えば、両凸レンズアレイといった他の形式の視差光学素子を備え得る。この実施形態のディスプレイは、マルチ視差バリアシステムを用い得、ここでは、例えば図12(a)の実施形態について記載したように2つ以上の視差バリアが提供される。
視差光学素子は、固定の視差光学素子であり得る。あるいは、視差光学素子は、アクティブ視差光学素子であり得、ONの状態とOFFの状態との間で切り替わり得る。例えば、視差光学素子が視差バリアである場合、これは、透過開口のアレイが液晶層内に規定されており、液晶層の残りは不透過であるONの状態と、液晶層が均一に光透過であるOFFの状態との間で切り替わり得る液晶層として具現化され得る。これにより、視差バリアをOFFに切り替えることによって、かつ、ディスプレイに従来方法で単一の画像を表示するように再度アドレス指定することによって、ディスプレイが従来の2Dディスプレイモードに切り替わることが可能になる。
この実施形態のディスプレイ120は、ディスプレイの解像度および/または表示されたビューの輝度を改善するために、時系列順にアドレス指定され得る。
図18(a)、19(a)および20(a)から分かるように、本発明のディスプレイは、長方形ピクセルが行と列とに配置されている従来のピクセル化した画像ディスプレイ層を使用し得る。従って、本発明のこれら実施形態は、任意の従来の液晶ディスプレイパネルとともに用いられ得、空間ディスプレイパネルを必要としない。同様に、長方形開口の正規アレイを含む従来の視差バリア(または他の適切な従来の視差光学素子)が用いられ得、本発明は、特化した視差光学素子を必要としない。さらなる利点は、4つのビューのインターレースするパターンは比較的再現することが容易であることである。
図18(a)、19(a)および20(a)に示されるビューのインターレースは、画像ディスプレイ層の任意のピクセルが永久的に暗く維持されることを要求しない。画像ディスプレイ層の各ピクセルは、4つのビューのうち1つに割り当てられる。これは、ディスプレイの輝度を最大にし、ディスプレイの可能性のある出力強度の4分の1が4つのビューのそれぞれに入力されることを保証する。
さらに、前述したように、ディスプレイのサイドエッジは垂直であり、ディスプレイのトップエッジおよびボトムエッジは水平であるので、パネル120は、図17に示される観察者122に対して自然な向きを有している。観察者のうち2人は、横モードのビューを見ており、2人の観察者は縦モードのビューを見ている。ディスプレイを90°回転さえることによって、1人の観察者の眼に写るビューは、縦モードから横モードに変更する(その逆も同様である)。
図21(a)は、本発明の本実施形態におけるディスプレイ120の使用に適した画像表示層125をさらに示す。画像表示層125は、先と同様、ピクセル化された画像表示層であり、4つの像はピクセルに割当てられている。図21(a)に示されるように、4つの像は、十字(+)の4つの腕の端に配置された4つのピクセルの群に割当てられる。図21(a)において、ピクセルには陰影がつけられており、それにより、ピクセルが割当てられた画像を示す。4つの画像は、それぞれ、均一な陰影、斜線陰影、縦線陰影、および点線陰影により示される。従って、ピクセルにこの割当を再び行うことにより、ピクセルの十字型の群が生じ、群には各像に割当てられたピクセルが含まれる。ピクセルのこの割当は、図21(a)に示されるように、画像表示層全体にわたり繰返し行われる。
図21(a)の画像表示層125との使用に適した一視差光学素子は、図に示される。本実施形態において、視差光学素子は視差バリアであり、その視差バリアには、一方向(図21(a)の横方向)に延びた不透明領域126aの第1の組と、第1の組と交差する第2の不透明領域126bとが含まれる。第1の組の不透明領域は図21(a)において輪郭が実線を用いて示され、第2の組の不透明領域126(b)は図21(a)において輪郭が点線を用いて示されている。この視差バリアは、例えば図6(b)の視差バリアと類似し、不透明領域が互いに交差する方向に広がる2つの従来型の視差バリアの重ね合わせとして見なすことができる。
図21(b)は、画像表示層125全体にわたって重ね合わされた2組の不透明領域126aおよび126bにより生成された視差バリア126を示す。図に示すように、2組の不透明領域は複数の透過開口部127を生成し、開口部127の形状は、通常、長方形である。隣接する透過開口部127の間隔が、ピクセル124の十字型の群の間隔とほぼ一致するように、不透明領域126aおよび126bの幅を選択する。その結果、視差バリアの各透過性開口部127は、ピクセルの十字型の群のうちの1つと関連し、それにより、上述したように、4つの像が4つの互いに異なる方向に表示され、図21(b)の観察者122の各々が4つの像の1つを互いに異なるように見る。図21(b)において、各観察者122が見る像は、観察者に隣接する適切な陰影の領域により示されている。
本実施形態において、ピクセルの十字型の群の真中における画像表示層の領域128は、画像を表示するように割当てられていない。その結果、ディスプレイの法線に沿ってディスプレイを観察する観察者には、黒色ディスプレイが観察される。これにより、意図せずに2つの画像を同時に観察してしまう可能性、または、自動立体視ディスプレイの場合には、意図せずに右眼に左眼用の画像が見えるか、または左眼に右眼用の画像が見えてしまう可能性が低減される。黒色ディスプレイにより、プライバシーも提供される。これは、観察者が、その観察者に向けられていない像を見ることが一層困難になるためである。
本発明の本実施形態は、従来型の液晶表示パネルまたは別のピクセル化された表示装置において実施される。そのために、十字型の群の真中のピクセルは不変的に黒色ディスプレイを生じさせるように駆動される必要があり、表示しない領域128を提供する。もしくは、本実施形態は、アドレス可能なピクセルが十字型の群の真中に提供されていない特注の液晶パネルまたは別の特注の画像表示装置において実施される。
図21(a)および21(b)において、各像は単一のピクセルに割当てられるように示してきた。それにより、ピクセルの十字型の群にはちょうど4つのピクセルが含まれる。フルカラーのディスプレイを得るために、図21(a)に示される各ピクセルは3色のサブピクセルを含み得る。そのサブピクセルは、図18(a)の挿入図に示されるような、赤色サブピクセル、青色サブピクセル、および緑色サブピクセルなどである。その上、各画像は2つ以上のピクセルに表示され得、各画像が1つのピクセルのみに表示されるようには制限されていない。
図22は、図17のディスプレイ120のさらなる実施形態を示す。本実施形態において、図18(a)に示された態様により、4つの像は画像表示層125のピクセルに割当てられる。本実施形態において、画像表示層はフルカラーの画像表示層であり、故に、ピクセルは、赤色ピクセル124R、青色ピクセル124B、または、緑色ピクセル124Gのいずれかである。各像は、赤色ピクセルと、青色ピクセルと、緑色ピクセルとにより生成された複合ピクセル124に割当てられる。簡略化のために、各像を1つの複合ピクセルのみに割当てられるように示したが、ピクセルへの像の割当は、図18(a)に示される割当と類似する。2つの像は2つの横方向に隣接したピクセルに割当てられ、1つの像は上方の行に割当てられ、残りの1つの像は下方の行に割当てられる。図22のカラーサブピクセルには、「1」、「2」、「3」、または「4」と番号付けされており、それにより、そのサブピクセルに割当てられた像を示す。図22において、各カラーサブピクセルには陰影がつけられており、それにより、サブピクセルが、赤色サブピクセル(斜線陰影)か、青色サブピクセル(均一な陰影)か、緑色サブピクセル(縦線陰影)かであるかを示す。
本実施形態において、視差光学素子はカラーフィルタバリアである。通常、カラーフィルタバリアには、図19(b)の実施形態における視差バリアにおいて示されるように配置された開口部127が含まれる。しかし、図22の挿入図に示されるように、各開口部127には、互いに異なった光透過特性を示す領域が含まれる。本実施形態において、カラーフィルタバリアにおける各開口部127には、第1の領域127rと、領域127bと、領域127gが含まれ、領域127rは、赤色光を透過し、青色光および緑色光を実質的に遮り、領域127bは、赤色光および緑色光を実質的に遮る一方で青色光を透過し、領域127gは、赤色光および青色光を実質的に遮る一方で緑色光を透過する。カラーフィルタバリアの開口部の位置は、輪郭のみが図22に示される。
赤色光と、緑色光と、青色光とに対して、図18(c)と関連して上述した態様で、図22の実施形態が動作するということが分かる。カラーフィルタバリアにおける開口部127の赤色透過部分127rは、横方向では、ビュー2に割当てられた赤色ピクセルとビュー3に割当てられた赤色ピクセルとの間に配置され、縦方向では、ビュー4に割当てられた赤色ピクセルと像1に割当てられた赤色ピクセルとの間に配置される。同様に、青色光のみを透過するカラーフィルタにおける開口部の部分127Bは、横方向では、ビュー2に割当てられた青色ピクセルとビュー3に割当てられた青色ピクセルとの間に配置され、縦方向では、ビュー4に割当てられた青色ピクセルとビュー1に割当てられた青色ピクセルとの間に配置される。緑色領域のスペクトルを透過するカラーフィルタの部分は、横方向では、ビュー2に割当てられた緑色ピクセルとビュー3に割当てられた緑色ピクセルとの間に配置され、縦方向では、ビュー1に割当てられた緑色ピクセルとビュー4に割当てられた緑色ピクセルとの間に配置される。従って、図18(c)の実施形態と同じように、ビュー1、2、3および4とが、4つの互いに異なった方向に向けられる。
図18(c)、図19(b)および図20(b)の実施形態と比較すると、図22の実施形態は、表示面に対する直角線に沿ってディスプレイを見る観察者が、暗いディスプレイを知覚するという潜在的な利点を有する。これは、カラーフィルタバリアの開口の各部分が、開口のその部分によって透過される光を放つピクセル上に直接配置されていないからである。赤色光を透過するカラーフィルタの部分は、例えば、部分的に青色ピクセルに隣接し、かつ、部分的に緑色ピクセルに隣接するように配置されており、その結果、カラーフィルタバリアの開口に垂直入射で光を入射することが全て遮断される。従って、この実施形態は、ディスプレイに垂直に沿って見られる場合、ピクセルを永久に黒く保持することを必要とせず、また、カスタム画像ディスプレイ層を必要とせずに、ダークディスプレイを提供するディスプレイが提供される。
カラーフィルタバリアの更なる詳細は、注目の同時係属の英国特許出願番号第0320367.6号に含まれる。
図23(a)〜図23(c)は、本発明のさらなる実施形態を示す。この実施形態において、図23(a)に示されるように、単純な水平方向および垂直方向のインターレースを用いて、4つの画像がピクセルに割り当てられる。この実施形態におけるこの視差光学素子は、長方形の透過開口127を有する視差バリアである。このディスプレイは、実行することが容易であるが、4つのビューはディスプレイのエッジよりむしろ、ディスプレイのコーナーへ向けられるという潜在的な不利益を有する。図23(a)の実施形態は、4つの画像の単純なインターレースを用いるので、ディスプレイは、容易なよく知られたアドレス指定技術を必要とする。(他の実施形態のように、図23(a)に示された各ピクセルは、図23(a)への挿入画に示されるように3つのカラーサブピクセルから成り、フルカラーディスプレイを提供し得る。)
図23(a)の単純な水平方向および垂直方向のインターレースから設けられる単純なアドレス指定の利点を保持するために、ピクセル列がディスプレイのエッジについて傾いている画像ディスプレイ層を用いてこの実施形態を実行することが可能である。この画像ディスプレイ層は、図23(b)に示されており、ピクセル列128と隣接するピクセル列128間のノンディスプレイエリア129とが示されている。このピクセル列は、画像ディスプレイ層125のサイドエッジに対して、かつ、トップエッジおよびボトムエッジに対して傾斜して延びている。視差バリアの開口127のサイドエッジがピクセル列に対して水平または垂直に延びる視差バリアを用いて、この画像ディスプレイ層をディスプレイに取り込む場合、図23(c)に示されるように、4つのビューはディスプレイの4つのエッジの中心に向けられる。これにより、観察者は、ディスプレイをコーナーから見なければならないのではなく、図17に示される直角な向きからディスプレイを観測することができる。しかしながら、この実施形態は一般的に、ピクセル列が画像ディスプレイパネルのエッジに対して傾斜して延びるカスタム画像ディスプレイパネルを必要とする。
図20(a)および図20(b)、図21(a)および図21(b)、図22および図23(a)〜図23(c)の実施形態において、また、図19(b)に関して前述したように、画像は異なる方法で画像ディスプレイ層に割り当てられることが好ましく、その結果、各ビューは適切な向きにいるそれぞれの観察者によって見られる。
本発明は、長方形開口を有する視差バリアを特に参照しながら上に記載された。しかしながら、視差バリアが視差光学素子として用いられる場合、開口は長方形に限られず、円形、正方形または有用な任意の具体的な形状であり得る。非長方形開口は、特に、5つ以上のビューを表示する図17のタイプのディスプレイにとって好ましいものであり得る。
視差バリアにおける開口のエッジは、英国特許出願第9616281.3号および英国特許出願第9917318.9号に記載されるように、「軟化」(アポダイズ)されることにより、さらにクロストークを低減し得る。
図24(a)〜24(c)は本発明のさらなる実施形態に従うディスプレイのための視差バリア70の基本構想図である。視差バリアは図中で数字1〜4で示される4つの異なるタイプの領域72(本例では9つの領域が示されているが、実用バリアは10以上の領域を含む)を備える。タイプ1,2,3の領域は液晶材料から作成される。液晶材料は、一度適切なスレショルド電圧を上回ると、不透明なタイプ1およびタイプ3の領域を選択するか、または不透明なタイプ2およびタイプ3の領域をそれぞれ選択することで、横方向または縦方向の視差バリアが生成され得るように、切り換えられる。タイプ1およびタイプ2の領域は特定の条件下でのみ光を透過する材料から成り得る。タイプ3の領域は2Dモードで光を透過する必要がある材料から成る。タイプ4の領域は常に光を透過することを要求され、クリアポリマーまたは樹脂から成り得る。タイプ4の領域に用いられる樹脂は反応性メソゲンのような複屈折フォトレジストであり得る。(タイプ4の領域は常に光を透過することを要求されるので、ディスプレイの偏光板はこれが可能であるように配置されなければならない。同じ偏光板構成が全ディスプレイ領域に渡って用いられ得るか、または代わりに、パターン化された偏光板が使用され得る。)
図24(a)はビューアの向きを示し、縦方向モードで動作するディスプレイに適切な視差バリアを示す。図24(b)は再びビューアの向きを示すが、横方向モードで動作するディスプレイに適切な視差バリアを示す。濃いストリップ71は視差バリアの不透明な領域を示す。2つの画像の適切な水平分離を提供するためにビューアによって見られる場合に、バリアの濃いストリップ71は常に垂直であるということが注意される。このように、不透明なタイプ1およびタイプ3の領域を適切に選択することによって、または、不透明なタイプ2およびタイプ3の領域を選択することによって、ディスプレイが横方向から縦方向に回転される場合、視差バリアは再構成される。
図24(c)は光を透過する視差バリアの領域のすべての4つの異なるタイプを示す。この図は視差バリアが必要とされない2次元ディスプレイモードを提供する。
図25(a)および25(b)は図24に示されるバリア70のタイプ1〜3の領域の必要なスレショルド特性の例を示す。図25(a)は、2Dディスプレイモードが装置の活性モードであるあることが要求される場合、つまり、2Dモードが可能であるようにするために電圧が供給されなければいけない場合の該当領域の特性を示す。タイプ2および4の領域が低電圧で光を透過する一方で、領域1および3にはこれが該当しない。それゆえ、タイプ1および3の領域は低電圧で縦方向モード視差バリアを形成する。電圧が電圧スレショルドT1を上回って増加するにつれて、タイプ2の領域はもはや光を透過しないで、領域タイプ1が光を透過し始める。タイプ3および4の領域はそれぞれ非透過および透過なままである。それゆえ視差バリアはスレショルドT1において縦方向構成から横方向構成に変化する。およそT2に示されるように、電圧が電圧スレショルドを上回ってさらに増加するにつれて、タイプ3の領域を含むすべての領域が透過になり、活性化した2次元ディスプレイモードを提供する。
図25(b)の領域の特性は次の点を除いて図25(a)のそれと類似する。その点というのは、2次元モードがゼロまたは低電圧範囲に存在することによって、視差バリアに電力が適用されない場合にディスプレイが2次元モードで動作するようにするという点である。電圧スレショルドT3領域以下の全タイプは透過である。タイプ3の電圧スレショルドT3領域以上は光の透過を止め、タイプ2の電圧スレショルドT4およびT5間の領域は光の透過を止める。タイプ1および4の唯一の領域であるスレショルドT4およびスレショルドT5の間が光を透過し、それによって横方向視差バリア動作モードを提供する。タイプ1の領域のスレショルドT5以上は光の透過を止め、タイプ2の領域が透過になることによって、縦方向動作モードを提供する。図25(b)の特性は2−Dモードが低またはゼロ適用電圧で獲得され、ディスプレイが2−Dモードで使用される場合にほとんどまたはまったく余剰電力が必要とされないという利点を有する。
液晶の異なる厚みの領域はタイプ1,2,3の領域を規定するために提供され得る。液晶の厚みはステップまたはランプを提供されることで変化し得る。ステップまたはランプは液晶セル内でフォトレジストなどのポリマーを用いて生成され得る。常に透過である領域4は完全にポリマーから形成される。そのような構造は周知であり、たとえばフォトリソグラフィーによって加工され得る。ステップ構造は均一な電極が提供される基板上に加工され得る。対向の基板はまた均一な電極が提供される。ポリマーステップおよび対向基板の間の隙間は適切な液晶で埋められる。配向表面は、液晶を配向し、ネマチック液晶の場合における領域間でダレクター構成を変化させる能力を提供するためにそれぞれの基板上に形成され得る。
代わりに、たとえば異なる厚みの領域を有するITO(インジウムスズ酸化物)などの不均一な厚みを有する電極が用いられ、同時に、異なる厚みと電極の液晶領域を提供する。
切り換え可能な媒体として強誘電性液晶を用いて図24(a)〜24(c)の視差バリアが埋め込まれることがある。周知のように、電極中の電圧パルスの適用によって、適用されたパルスのパラメーター(パルス電圧およびパルス幅を含む)に従って、視差バリアのFLC層の特定領域の切り換えが可能である。図26はパルス電圧に対するパルス期間のグラフで、パルス期間電圧平面として知られる平面を規定する。図26のグラフは3つの曲線の対、79,80;79’、80’;79”、80”を示す。これらの曲線の第1の対を検討すると、曲線79と80の間の領域81は、領域的な切り換えが発生するパルス幅とパルス電圧状態を示す。曲線79以下の液晶材料は切り換えらない。曲線80以上の材料は完全に切り換わる。矢印は厚みが増す効果を示すことで、曲線79’、80’が第1の曲線79、80より厚い液晶材料を有する視差バリアの領域のパルスに対する反応を示し、曲線79”、80”がさらに厚い液晶材料を有する視差バリアの領域のパルスに対する反応を示せるようにする。増した厚みによってスイッチングスレショルドを変化させる。この影響は、より高いパルス電圧に対する曲線の反応を変化させる。低電圧では、領域的なスイッチング領域81、81’、81”の幅はわずか2〜3ボルトで、曲線の対は厚みにおけるマイクロメーター変化あたりおよそ20ボルト変化する。あるパルス幅にとって、液晶の異なる厚みを切り換えるためにパルス電圧が変化させられることがあり、それによって、視差バリアの位置が変わる。例として、図26におけるAと記された位置を検討すると、あるパルス幅とパルス電圧において、第1の厚みに対するスイッチング動作を示す曲線79,80に対して、位置Aは曲線80の上にあるので、材料は完全に切り換えられるが、曲線79’、80’に表されるより大きな厚みに対して材料は切り換えられない。
図26に示されるように、BおよびCで示される2つの位置が曲線の対にあり、2つの厚みを同時に駆動して横方向または縦方向バリアのどちらかを生成することは可能である。
図26の中間の曲線79’、80’の対はタイプ3の領域に対応する。タイプ1,2の領域は、曲線79,80の対かまたは曲線79”、80”の対のどちらかに対応し得る。
他の双安定の液晶モードもまた存在する。これは上記のFLC材料に対するスイッチングスレショルドの変化に同様に対応して、図24(a)〜24(c)の視差バリアにおいて用いられ得る。これらは、いくつかの異なるタイプ(つまり180°または360°ツイスト)を有するBTN(bistable twisted nematic)液晶、ZBD(zenithal bistable mode)、binem180ネマチックモード(BTNの別の充填)を含む。一般的に、ネマチック材料は上記のFLCモードに必要とされるセルの厚みの約2倍であるという利点を有する。
異なる誘電体材料がそれぞれの領域で用いられ得てLC層にドロップされる電圧を制御する。液晶の実効的な誘電率は電圧が適用されて切り換わるのに応じて変化することに注意すべきである。このことが図27に示されている。図27は、適用された電圧の関数としてのネガティブデルタイプシロンネマチック液晶の3.7μm厚みの層の効果的な誘電率を示す。
図28は、液晶の7μm厚みの層に対する電圧での透過の反応のモデルを示し、これは図7のタイプ2の領域に用いられる。目盛りに示される電圧は液晶層にドロップされた電圧である。およそ3.2Vの明るい状態は図24(a)の縦方向モードに用いられ、4.1Vの暗い状態は図24(b)の横方向モードにおいて使用され、6.5Vのさらに明るい状態は図25(c)の2次元ディスプレイモードに用いられる。
図29は液晶の3.7μm厚みの層に対する透過電圧反応のさらなるモデルであり、これは図24(a)〜24(c)における領域タイプ1または3のどちらかに適用され得る。約2.6Vより下の暗い状態および約4.0Vの明るい状態がある。
タイプ1および3の領域の間の厚いステップが異なる誘電率を有する材料を用いて生成される場合、図24(a)のバリアは、領域1および3に対する液晶の3.7μm厚みの層および領域タイプ2に対する液晶の7μm厚みの層を用いて獲得され得る。領域タイプ4は常に透過である。この配置は図30に示されている。図30は図24(a)〜24(c)の視差バリアを通る断面概略図である。
視差バリアは2つの基板82および83を有し、その間に液晶84および樹脂85が配置されている。樹脂85は段階状の厚みを有して配置され、上記のようにタイプ1〜4の領域を規定する。領域タイプ4は常に透過であるため、純粋に樹脂を含む。タイプ1および3の領域は液晶の3.7μm厚みの層をおよび樹脂と等しい深さを有する。しかし、タイプ1(1に固定されたε)の領域における樹脂の誘電体定数はタイプ3の領域における樹脂の誘電率(2に固定されたε)に等しくない。タイプ2の領域は液晶の7μm厚みの層およびそれに対応する薄い樹脂を含む。タイプ2および4の領域における樹脂の誘電体定数は同じであり得る。タイプ1および3の領域の誘電体定数はタイプ2および4(注意書きされたように、互いに異なる)の領域のそれと異なる。
樹脂85が設置されている基板83は均一にラビングされ得る。液晶84が設置される基板82は、ラビングされ得て異なる領域に異なる液晶ディレクター構成を提供する。それは液晶セルの製造中に必要とされるためである。
アドレス電極および配向膜のような他の構成成分は図30から省略されている。
縦方向、横方向、2Dモードにおいて光を透過するタイプ1〜3の領域は、領域タイプ4のカラーおよび輝度(常に透過)と一致する光を透過し、十分な2D、3Dの画像および一貫性が表示されるようにする。